当社の2022年度の収支・財務状況は、世界的な燃料価格や卸電力市場価格の高騰等に加え、2022年8月以降、規制料金を含む低圧料金の燃料費調整制度における平均燃料価格が上限価格を超過したことなどにより、電力供給コストが電気料金収入を大きく上回る状態が続き、大幅に悪化した。
このような状況のもと、当社は抜本的な業務効率化と業務変革を目指したカイゼン活動・DX(デジタルトランスフォーメーション)などを通じ、全社を挙げて経営基盤の強化に取り組んできた。
2022年度の連結経常損益は、期中の燃料調達において市場価格よりも割安な調達に努めるなど経営効率化の深掘りに取り組んだものの、燃料価格の上昇や卸電力市場価格の上昇に伴う電力調達費用の増加などにより、前連結会計年度に比べ430億82百万円減の292億51百万円の損失となった。
当社は厳しい収支・財務の状況下においても、経営の健全化を図り、燃料の安定的な調達や電力設備の保全に的確に対応することで電力の安定供給を継続していくため、高圧・特別高圧のお客さまについて2023年4月から電気料金の値上げを実施するとともに、規制部門の小売電気料金の値上げについて経済産業大臣から認可をいただき、6月から低圧自由料金のお客さまも含めた電気料金の値上げを実施した。
<「ほくでんグループ経営ビジョン2030」における利益・財務・環境目標>
また、脱炭素化に向けた取り組みとして『ほくでんグループ「2050年カーボンニュートラル」を目指して』を公表し、その実現に向けて最大限挑戦していくこととした。「発電部門からのCO2排出ゼロ」を目指すとともに、さまざまな分野で電化の流れを創出する好機と捉え、グループワイドでの収入拡大につなげていく。
さらに、脱炭素化と経済の活性化や持続可能な地域づくりを目指して北海道が推進する「ゼロカーボン北海道」の実現に向け、幅広い連携や協働を実践していく。
[2023年度の取り組み事項]
(1) 経営基盤の強化
① 収入拡大に向けた取り組み
多くのお客さまに「ほくでん」をお選びいただけるよう、電気のご利用状況に合わせた料金プランのご紹介などお客さまのご負担軽減につながる販売活動に取り組んでいく。ご家庭向けには、省エネに資するヒートポンプ機器を暖冷房と給湯に、IHクッキングヒーターをキッチンでご利用いただく「スマート電化」をおすすめしていく。法人のお客さま向けには、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)プランナーとして道内最多の実績を活かし、幅広い業種の建物に対して省エネのコンサルティングを行っていく。
エネルギーに関する課題を解決するサービス(エネルギーソリューションサービス)として、2023年3月に開業した「エスコンフィールドHOKKAIDO」では、エネルギーの調達から運転・保守、管理までを一括して提供するESP(エネルギーサービスプロバイダ)事業を展開している。また、脱炭素化に取り組まれている事業者さまに対して、PPAサービス※などの提供により再生可能エネルギー由来の電気を供給していく。EV(電気自動車)の普及拡大に向けては、2023年2月に集合住宅向けのEV充電スタンドの導入から運用までをワンストップで実施するサービスを開始するなど、取り組みを推進している。加えて、道内に進出する大規模な最先端半導体製造工場と関連企業への対応や、データセンターをはじめとする脱炭素エネルギーを求める道外企業誘致に、迅速かつ的確に取り組んでいく。
※当社が再生可能エネルギー発電設備をお客さま敷地内外に所有・設置し、発電した電力をお客さまへ
供給するサービス(Power Purchase Agreement)
② 効率化・費用低減に向けた取り組み
社長を委員長とする経営基盤強化推進委員会のもとで、抜本的な業務効率化・業務変革を目指し、さらなる深掘りに取り組んでいる。
カイゼン活動では、収入拡大や費用低減の影響が大きい複数の取り組みについて、経営トップの視点を加えた役員指定プロジェクトとして立ち上げ、確実に取り組みを推進する。DXについては、投資対効果が高い案件や業務高度化案件を優先して実施していく。また、調達検討委員会において資機材調達コスト低減等の取り組みを進めている。
燃料価格の変動に対しては、市況の動向を注視し、長期契約・スポット調達の組み合わせや価格決定方式の多様化、デリバティブ取引の活用などにより、価格変動リスクの分散・回避に努めていく。また、自社による発電と電力市場取引による電気の調達を経済合理性の観点から最適に組み合わせることで費用低減を図っていく。
(2) 泊発電所の早期再稼働と安全性向上に向けた取り組み
原子力発電は、燃料供給の安定性、長期的な価格安定性を有するなど、電力の安定供給の確保に資するとともに、技術的に確立した脱炭素電源としてカーボンニュートラルの実現に向けて最大限貢献する重要な基幹電源である。
2022年10月、泊発電所の新規制基準の適合性審査において、「震源を特定せず策定する地震動評価」について「おおむね妥当な検討がなされている」との評価をいただいた。引き続き、早期再稼働の実現に向けてその他の審査項目についても総力を挙げて対応するとともに、審査の状況や当社の取り組み等についても積極的に情報発信していく。
福島第一原子力発電所のような事故を決して起こさないとの強い決意のもと、原子力事故のリスクを一層低減するよう継続的に取り組んでおり、毎年、「泊発電所安全性向上計画」を策定している。新規制基準への適合はもとより、「世界最高水準の安全性」を目指し、不断の努力を重ねるとともに、泊発電所の安全性についてご理解いただけるよう努めていく。
(3) 電力の安定供給確保に向けた取り組み
S+3E(安全性の確保を大前提に、エネルギーの安定供給、経済効率性、環境適合)の観点からバランスの取れた、競争力のある電源構成の構築に取り組むとともに、2050年のカーボンニュートラルを見据えた電源構成の検討を進めていく。
当社及び送配電事業を担う北海道電力ネットワーク株式会社は、2022年7月までに北海道と道内全179市町村の間で「大規模災害時における相互協力に関する基本協定」を締結した。本協定に基づき、各自治体との連携を一層強化し、災害対応力のさらなる向上を図ることで、災害時における停電の早期復旧に向けた体制を整え、グループ一体となって北海道内における電力の安定供給とレジリエンス(災害等に対する回復力・復元力)向上に取り組んでいく。
北海道電力ネットワーク株式会社においては、レジリエンスを強化し、安定供給の確保と再生可能エネルギーの接続拡大を両立する次世代型電力ネットワークの構築に向けて取り組んでいくとともに、北海道と本州を結ぶ長距離海底直流送電に関する国の検討についても、技術的課題などの検討に協力していく。
(4) カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み
発電における脱炭素化に向けては、泊発電所の早期再稼働を目指すとともに、再生可能エネルギー電源の導入拡大を進めている。2023年度は、風力発電事業について道内各地で風況調査を実施し事業化の検討を進めるとともに、森発電所に続く地熱発電事業の展開に向け、京極町において他企業と共同で開発調査を進めていく。
2023年1月、CO2を回収、有効活用、貯留するCCUS(Carbon Capture,Utilization and Storage)の実現に向け、苫小牧エリアにおいて事業拠点や強みを有する企業と共同で検討を開始することとした。
水素の利活用に向けては、苫小牧市において2023年5月に運用を開始した水の電気分解による水素製造装置について、再生可能エネルギー余剰対策としての設備性能評価を行うとともに、寒冷地における運用・保守技術の確立を図り、将来の水素社会の実現に向けた各種検討を進めていく。当社は、道内外の企業と連携し、水素サプライチェーン構築の早期実現、将来的には北海道が国産クリーン水素活用のパイオニアになることを目指していく。
(5) ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組み
ほくでんグループは「人間尊重・地域への寄与・効率的経営」の経営理念のもとで持続的な成長を続けていくために、ESGを重視している。
発電における脱炭素化、電化拡大など需給両面での取り組みにより、カーボンニュートラルの実現に向けて最大限挑戦するとともに、CO2排出量の削減方策など環境関連情報を積極的に開示し、ステークホルダーのみなさまとの対話を推進していく。林業・木材産業の人材育成支援等を目的とした植樹に加え、2023年4月には、「G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合」に合わせ開催された「環境広場ほっかいどう2023」で、ほくでんグループの「2050年カーボンニュートラル」への挑戦や、環境・SDGsの取り組みなどを紹介した。
北海道の未来を担う小学生を対象にSDGs教育の支援を目的とした出前授業を実施しており、今後も地域に密着した支援を積極的に行っていく。また、北海道の発展こそがほくでんグループの事業基盤になるとの認識に立ち、地域課題の克服や経済の発展に向けて自治体や地域の企業と連携する「共創」の取り組みを進めていく。
2023年3月、「ほくでんグループ人権方針」を制定し、事業活動に関わるすべての方々の人権を尊重することを表明した。この方針に基づき、人権尊重の取り組みをさらに推進していく。
また、2023年3月、当社と北海道電力ネットワーク株式会社は、「健康経営優良法人(ホワイト500)」に4年連続で認定された。従業員満足度、エンゲージメントを維持・向上する施策を実施し、誰もが生きがいや働きがいをもって能力を十分に発揮できる環境を確立していく。あわせて、当社の原動力である従業員の能力を最大化するため、多様な背景を持つ従業員がそれぞれの個性や違いを認め合い、個々の特性を活かしていく取り組み(ダイバーシティ&インクルージョン)を進めていく。
2022年6月の株主総会における決議をもって「監査等委員会設置会社」に移行したことにより、重要な業務執行の権限を取締役会から取締役に委任し、意思決定及び業務執行の迅速化とガバナンスのさらなる向上を図っている。コーポレートガバナンスのさらなる充実により、事業環境の変化に的確に対応するとともに、持続的な企業価値の向上に努めていく。
当社は、以上の取り組みを通じて企業価値の向上を図るとともに、北海道の発展と持続可能な社会の実現に貢献していく。
なお、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであるが、将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものである。
ほくでんグループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
ほくでんグループは事業の持続的な成長と持続可能な社会の実現に向け、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視している。サステナビリティを巡る社会の動向など、経営に与える影響が大きいリスクや収益機会を整理し、役付執行役員(社長執行役員、副社長執行役員、常務執行役員)等で構成する業務執行会議において審議を行ったうえで、取締役会において年度経営方針を策定している。
(2)重要なサステナビリティ項目
重要なサステナビリティ項目である人的資本及び気候変動対策に関する考え方及び取組は、次のとおりである。
① 人的資本
a. 戦略
ほくでんグループにおける主要な事業を営む当社及び北海道電力ネットワーク㈱は、雇用管理を両社一体的に実施しているため、以下の事項は、当社と北海道電力ネットワーク㈱の人的資本に関する方針を記載している。
ⅰ.人材育成方針
当社及び北海道電力ネットワーク㈱は、従業員が事業成長における原動力であるとの認識のもと、事業環境の変化や事業領域の拡大等に対応すべく、優秀な人材の確保や、従業員の教育・育成に取り組んでいる。
人材確保にあたっては、経験者採用を推進しており、多様な視点や価値観を持つ方に実力を発揮し活躍していただくために、通年で採用活動を実施しているほか、女性採用比率の向上に向け、女子学生をターゲットにした企画(女性向け座談会や女性社員による個別アプローチ等)の実施や、身近な存在として学生の動機付けを行うため、OB・OGによる研究室・ゼミ訪問を強化する等の取組を進めている。
人材育成においては、従業員一人ひとりの技術力・専門的知見・スキルの向上等が、電力の安定供給の確保のみならず、競争環境における当社の競争力の源泉にもなることから、職場内教育(OJT)はもとより、新入社員や中堅社員等を対象とした全社共通教育、専門的知見・スキルの伸長を目的とした部門別教育、次世代の経営層候補者を対象に、全社的な経営視点を養成するためのビジネスリーダー研修等、体系的かつ多様な教育・研修制度の充実化を図っている。今後は、新たな事業領域においても力を発揮できる人材や、変革をリードする人材の育成にも注力していく。
また、従業員の自律的なキャリア形成を支援するため、社内公募制度や資格取得に対する合格祝金制度、通信教育への費用助成等の制度や仕組みを整備し、従業員の成長や挑戦を後押ししている。
以上の取組を進めるため、人材情報の可視化に向けタレントマネジメントシステムを導入する等、従業員の能力最大化に資する基盤整備も進めている。
ⅱ.社内環境整備方針
当社及び北海道電力ネットワーク㈱は、「ほくでんグループ人権方針」において、ほくでんグループの事業活動に関わる全ての方々の人権の尊重を表明するとともに、人権に関する国際的規範・原則、及び各国のビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)を支持・尊重している。そして「人権委員会」において、人権問題に関する継続的な教育の推進、人権デュー・ディリジェンスの実施や救済メカニズムの運用について検討を推進し、ほくでんグループの事業活動における人権への負の影響の予防・軽減に努めている。
また、多様な視点や価値観が社内に存在することは持続的な成長に向けた強みとなりうると認識し、性別・入社歴・国籍等にとらわれず人材の多様性の確保に努めている。従業員の多様性を尊重しながらそれぞれの個性を活かして活躍できる職場作りを推進するという方針に基づき、管理職候補となり得る女性社員の情報交換等を目的とした交流会の開催や、経験者採用により入社した者に入社前後のギャップや悩みを聞き取り、必要に応じて個別に対応する等の取組を実施している。さらに、高い技術力や知見を備えた人材に長く継続的に力を発揮してもらうため、2018年4月から、技術・技能継承を支える高いスキルを有する従業員を対象に、満70歳まで特別に雇用を延長する制度を導入する等、適宜、制度の整備・充実を図るとともに、障がいを持つ人がいきいきと働くために適切な就労の場を提供し、働くことによる社会的自立と社会参加を支援していくため、グループ全体で障がい者雇用の拡大に努めている。
加えて、従業員が働きがいを感じ、健康に働き続けることができるよう、これまで育児・介護フレキシブル勤務の導入や在宅勤務の適用回数拡大、時間単位休暇の取得要件拡大等の各種勤務制度の整備のほか、健康経営を担当する役員が統括する健康経営推進委員会の設置等、各種健康経営諸施策の推進や労働安全確保に繋がる活動を推進しており、良好な職場環境の構築による従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいる。そうした取組が評価され、経済産業省と日本健康会議が認定する「健康経営優良法人(ホワイト500)」に4年連続で認定されている。
b. 指標及び目標
雇用管理を一体的に実施している当社及び北海道電力ネットワーク㈱においては、前記「a. 戦略」において記載した人材育成方針及び社内環境整備方針に関連する指標のデータ管理や具体的な取組を行っているものの、ほくでんグループに属する全ての会社において行っていないため、ほくでんグループにおける記載が困難である。このため、次の指標に関する目標及び実績は、ほくでんグループにおける主要な事業を営む当社及び北海道電力ネットワーク㈱のものを記載している。
<人材育成方針に関わる指標及び目標>
2023年3月31日現在
(注) 1 当社と北海道電力ネットワーク㈱は、雇用管理を両社一体的に実施しているため、当該指標の実績値や目標値についても両社一体で算出している。また、実績欄の( )内は目標値を示している。
2 自発的離職率は、2022年4月1日時点の在籍従業員のうち、2023年3月31日までに自発的に離職(自己都合)した従業員の比率である。
3 目標値については、当社及び北海道電力ネットワーク㈱において現状で設定しているもののみ記載している。
<社内環境整備方針に関わる指標及び目標>
2023年3月31日現在
(注) 1 当社と北海道電力ネットワーク㈱は、雇用管理を両社一体的に実施しているため、当該指標の実績値や目標値についても両社一体で算出している。また、実績欄の( )内は目標値を示している。
2 障がい者雇用率については、障害者雇用促進法第43条第7項に基づき公共職業安定所に報告している「障害者雇用状況報告書」に記載している2022年6月1日現在の雇用率である。
3 大規模法人のうち、保険者(健康保険組合等)と連携して優良な健康経営を実践している法人を日本健康会議において認定・公表する制度で、このうち上位500法人が「健康経営優良法人」(通称「ホワイト500」)として認定される。
4 労働災害度数率:延べ100万労働時間あたりの労働災害による休業1日以上の死傷者数を示し、災害の発生頻度を表す。
5 目標値については、当社及び北海道電力ネットワーク㈱において現状で設定しているもののみ記載している。
② 気候変動対策
a. ガバナンス及びリスク管理
気候変動対策を含むグループ経営方針や具体方策について、業務執行会議において審議を行い、その上で、取締役会において重要な業務執行に関する意思決定を行っている。
また、当社及び北海道電力ネットワーク㈱の社長を委員長とする環境委員会を設置し、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づく気候関連リスク・機会の整理を含めて、ほくでんグループにおける環境施策全般についての審議を行い、ここでの議論内容をグループ経営方針などへ反映している。
b. 戦略
気候変動関連のリスクと機会を検討するにあたり、IEA(国際エネルギー機関)の1.5℃シナリオや、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)の4℃シナリオのデータを参照している。世界の低・脱炭素化に向けて、エネルギー供給側の低・脱炭素化及び需要側の電化とエネルギー使用の高効率化が重視されており、供給・需要の両面からカーボンニュートラルの実現に挑戦する当社の取組の方向性と整合している。
<気候関連リスク>
<気候関連機会>
[発現・実現時期] 長期:10年超、中期:10年程度、短期:5年程度
[影響・貢献度] 大:100億円超/年、中:10億~数十億円/年程度、小:数億円/年程度
[ほくでんグループの事業基盤である北海道における気候関連機会]
国の研究機関の推計によると、北海道の人口は将来的に減少する傾向が示されている。一方で、北海道の家庭部門のエネルギー消費に着目すると、暖房使用などの用途により、石油系エネルギーへの依存度が全国と比較し非常に高い状況であり、電化の拡大による電力需要拡大のポテンシャルは非常に大きいと考えている。エネルギー供給側の取組として、非化石電源の導入を最大限進めるなど、需給両面の取り組みにより北海道におけるエネルギー全体のカーボンニュートラルの実現に最大限挑戦していく。


c. 指標及び目標
2050年の北海道におけるエネルギー全体のカーボンニュートラル実現に向け、気候変動対策に係る定量目標を設定するとともに、実績を公表している。
<CO2排出削減目標>
<排出実績>
(注) Scope1、2の範囲は当社及び北海道電力ネットワーク㈱分を計上している。また、Scope1、2の2022年度実績は、情報の集約・算定に時間を要することから、今後公表する「ほくでんグループレポート」に掲載を予定している。
ほくでんグループの業績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがある。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において判断したものである。
ほくでんグループでは、これらのリスクを認識した上で、発現の回避や発現した場合の対応に努めていく。
(1) 原子力発電の状況
泊発電所の安全確保を経営の最重要課題と位置づけ、社長のトップマネジメントのもと、「安全性向上計画」に基づき、安全性のより一層の向上に取り組んでいる。具体的には、原子力発電所の新規制基準への適合はもとよりさらなる安全性・信頼性向上に向けた安全対策工事や、重大事故などを想定した原子力防災訓練の実施など、安全対策の多様化や重大事故等対応体制の強化・充実に取り組んでいる。また、泊発電所の再稼働に向けて、新規制基準の適合性審査への対応に取り組んでおり、「地震による津波と陸上地すべりによる津波の組合せの評価」「基準津波の策定」「火山活動の可能性評価」「降下火砕物(火山灰)の層厚の評価」「防潮堤の設計方針」「津波により防波堤が損傷した場合の影響評価」などへの対応を進めている。
しかしながら、今後の審査の状況などによって泊発電所の停止がさらに長期化し燃料費の増大が続く場合などには、業績に影響が及ぶ可能性がある。
(2) 設備障害・供給支障
発電設備や流通設備については、点検・保守の着実な実施などによる設備の信頼性維持や、安定的な燃料調達、資機材サプライチェーンの維持管理に努めているが、自然災害や故障等により設備に障害が生じた場合、燃料供給や資機材サプライチェーンの途絶により設備の運転・維持管理が困難になる場合には、その復旧工事や発電所の停止に伴う他の発電所の焚き増しなどのために費用が増加するなど、業績に影響が及ぶ可能性がある。
(3) 電気事業を取り巻く制度の変更等
電気事業のさらなる競争活性化等を目的とした市場やルールの整備・見直しなど、国の制度変更により、業績に影響が及ぶ可能性がある。
原子力発電に伴う原子力バックエンド事業は、超長期にわたる事業であり不確実性を伴うが、使用済燃料の再処理や放射性廃棄物の処分のために必要となる費用については、法令等に基づき算定した金額を拠出する制度が措置されており、原子力発電施設を解体するために必要となる費用については、その総見積額を見込運転期間にわたり費用計上する制度が法令等により措置されている。これらの制度措置により、事業者のリスクは軽減されているが、当該制度が見直される場合は、業績に影響が及ぶ可能性がある。
また、全国の電気事業者からなる「電気事業低炭素社会協議会」の一員としてCO2排出原単位の低減に努め、2030年度に発電部門からのCO2排出量の2013年度比半減以上(1,000万トン以上低減)を目指しているが、地球温暖化対策に関する環境規制などが導入された場合は、業績に影響が及ぶ可能性がある。
(4) 燃料・卸電力市場価格の変動
燃料調達費用については、ウクライナ情勢や為替レートの影響により燃料価格が大きく変動している。電力購入費用については、卸電力市場価格の変動により影響を受ける。そのため、バランスのとれた電源構成を目指すとともに、長期契約・スポット調達の組み合わせや調達先など契約方法の多様化、デリバティブ取引の活用などにより価格変動リスクの分散・回避に努めている。また、自社による発電と電力市場取引による電気の調達を経済合理性の観点から最適に組み合わせることで費用低減を図っている。
低圧のお客さまには燃料価格の変動を一定の範囲内で反映する燃料費調整制度、高圧・特別高圧のお客さまには卸電力市場価格の変動についても反映する燃料費等調整制度を適用することにより、燃料・卸電力市場価格の変動による業績への影響は緩和される。
(5) 電力需要・販売電力量の変動
景気の悪化などによる経済活動・生産活動の低下、省エネルギーの進展、人口の減少、気温の影響などにより電力需要が減少した場合や、他事業者との競争激化により販売電力量が減少した場合には、業績に影響が及ぶ可能性がある。
(6) 降雨降雪量の変動
年間の降雨降雪量により、豊水の場合は燃料費の低減要因、渇水の場合は燃料費の増加要因となることから、業績に影響が及ぶ可能性がある。
なお、「渇水準備引当金制度」により一定の調整が図られるため、業績への影響は軽減される。
(7) 金利の変動
今後の市場金利の動向によっては新たな資金調達に係るコストが増加し、業績に影響が及ぶ可能性がある。
なお、2022年度末におけるほくでんグループの有利子負債は全て固定金利で調達していることから、金利の変動による利息支払額の変動リスクはない。
(8) 電気事業以外の事業
電気事業以外の事業については、事業内容の事前評価、事業運営の適切な管理に努めているが、事業環境の悪化などにより、当初の見込みどおりの事業遂行が困難になる可能性がある。
(9) 感染症の拡大
電力の安定供給確保に向け、感染症の拡大を防止する対策を実施しているが、感染拡大により業務遂行への支障が生じた場合は、業績に影響が及ぶ可能性がある。
(10) コンプライアンスの遵守
「ほくでんグループCSR行動憲章」や「コンプライアンス行動指針」を定め、法令やコンプライアンスの遵守を徹底しているが、法令違反や企業倫理に反する行為が発生した場合、社会的信用が低下し、業績に影響が及ぶ可能性がある。
(11) 情報の管理
ほくでんグループが保有するお客さま等に関する業務情報については、情報セキュリティの確保や社内ルールの整備、従業員教育の実施により厳正な管理に努めているが、情報流出により問題が発生した場合、社会的信用が低下し、業績に影響が及ぶ可能性がある。
なお、上記のリスクのうち、合理的に予見することが困難であるものについては、可能性の程度や時期、影響額を記載していない。
(1) 経営成績の分析
① 経営成績
当連結会計年度の小売販売電力量は、当社とご契約いただいたお客さまが増加したことなどから、対前年度増減率8.0%となった。他社販売電力量は、小売電気事業者さまへの販売量が減少したことなどから、対前年度増減率
△7.9%となった。
売上高は、燃料価格の上昇に伴う燃料費調整額の増加や小売販売電力量の増加などにより、前連結会計年度に比べ2,254億60百万円(34.0%)増の8,888億74百万円となり、営業外収益を加えた経常収益は、2,266億39百万円(34.0%)増の8,934億54百万円となった。
経常損益は、期中の燃料調達において市場価格よりも割安な調達に努めるなど経営効率化の深掘りに取り組んだものの、燃料価格の上昇や卸電力市場価格の上昇に伴う電力調達費用の増加などにより、前連結会計年度に比べ430億82百万円減の292億51百万円の損失となった。
また、親会社株主に帰属する当期純損益は、経常損失となったことなどにより、前連結会計年度に比べ290億58百万円減の221億93百万円の損失となった。
セグメント別の経営成績(セグメント間取引消去前)は、次のとおりである。
[北海道電力]
当連結会計年度の売上高は、燃料価格の上昇に伴う燃料費調整額の増加や小売販売電力量の増加などにより、前連結会計年度に比べ1,817億41百万円(30.4%)増の7,796億76百万円となった。経常損益は、期中の燃料調達において市場価格よりも割安な調達に努めるなど経営効率化の深掘りに取り組んだものの、燃料価格の上昇や卸電力市場価格の上昇に伴う電力調達費用の増加などにより、前連結会計年度に比べ464億71百万円減の344億71百万円の損失となった。
[北海道電力ネットワーク]
当連結会計年度の売上高は、市場価格の上昇に伴う他社販売電力料や最終保障供給による電力料の増加に加え、再生可能エネルギーの調整力確保に係る交付金の増加などから、前連結会計年度に比べ799億61百万円(29.8%)増の3,479億60百万円となった。
経常損益は、売上高の増加に加え、カイゼン活動の推進など経営全般にわたる効率化に取り組んだものの、燃料価格の上昇に伴い需給調整に係る費用が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ10億91百万円の損失幅の縮小にとどまり、33億52百万円の損失となった。
[その他]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ187億97百万円(13.8%)増の1,551億28百万円となり、経常損益は、電気通信事業の携帯電話事業者への回線提供収入が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ13億43百万円(16.9%)増の93億9百万円の利益となった。
当社及び連結子会社の業種は広範囲かつ多種多様であり、また、「北海道電力」が担う発電・小売事業や「北海道電力ネットワーク」が担う一般送配電事業、離島における発電事業が事業の大半を占めることから、当該事業の発受電実績、販売実績及び資材の状況についてのみ記載している。
(注) 1 他社受電電力量には、連結子会社の北海道パワーエンジニアリング㈱及びほくでんエコエナジー㈱
からの受電電力量が含まれている。
2 揚水発電所の揚水用電力量とは貯水池運営のための揚水用に使用する電力である。
3 出水率は、自社の1991年度から2020年度までの当該累計期間の30ヶ年平均に対する比である。
[販売電力量]
(注) 1 小計欄は、北海道電力㈱の販売電力量を示す。
2 その他欄は、北海道電力ネットワーク㈱及び北海道電力コクリエーション㈱の販売電力量を示す。
[料金収入]
(注) 1 北海道電力㈱、北海道電力ネットワーク㈱及び北海道電力コクリエーション㈱の合計(内部取引消去後)の実績を示す。
2 「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づき実施される「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により、国が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っており、その原資として受領する補助金19,934百万円については、「電気事業雑収益」に計上している。
石炭、重油及びLNGの状況
(注) 本表には、当社及び北海道電力ネットワーク㈱の主な使用燃料を記載している。
[資産]
当連結会計年度末の総資産は、減価償却による電気事業固定資産の減少などはあったが、燃料価格の上昇による棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,004億60百万円増の2兆933億39百万円となった。
[負債]
当連結会計年度末の負債合計は、有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,280億71百万円増の1兆8,352億33百万円となった。
[純資産]
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度の期末配当金の支払いや親会社株主に帰属する当期純損失の計上などにより、前連結会計年度末に比べ276億11百万円減の2,581億6百万円となった。
以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.0ポイント減少し11.7%となった。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ9億72百万円増の898億67百万円となった。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失を計上したことや燃料価格の上昇による棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度に比べ1,029億11百万円減の5億74百万円の支出となった。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ75億28百万円増の852億48百万円の支出となった。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の増加などにより、867億95百万円の収入となった。
(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ほくでんグループの資金需要は、主に電気事業に係る設備投資や債務償還に必要な資金であり、自己資金のほか、社債の発行及び金融機関からの借入により調達を行っており、短期的な資金需要にはコマーシャル・ペーパーを活用している。また、2021年12月より発行している「北海道電力グリーンボンド」をはじめ、グリーン・ファイナンス及びトランジション・ファイナンスの枠組みも活用しながら、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを進めていく上での資金調達手段の多様化・安定化に努めている。
資金調達にあたっては、月次での資金繰計画に基づく適切な資金管理を行っており、緊急の資金需要に対しては、現金及び現金同等物の保有に加え、当座貸越契約やコミットメントライン契約により充分な流動性を確保している。また、2022年4月より、ほくでんグループキャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)の範囲を拡大し、CMS参加会社の資金管理・資金調達・外部支払を一元化することにより、グループ内における資金の更なる効率化を図っている。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
ほくでんグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり採用する重要な会計方針については「第5 経理の状況」に記載している。
ほくでんグループは、連結財務諸表を作成するにあたり、繰延税金資産の回収可能性、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載している。
(6)経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
ほくでんグループは、2022年度は「ほくでんグループ経営ビジョン2030」で示した第Ⅰフェーズの経営目標「連結経常利益230億円以上/年」を目指し、抜本的な業務効率化と業務変革を目指したカイゼン活動・DXなどを通じ、全社を挙げて経営基盤の強化に取り組んできた。
2022年度の連結経常損益は、「連結経常利益230億円以上/年」の目標に対して、期中の燃料調達において市場価格よりも割安な調達に努めるなど経営効率化の深掘りに取り組んだものの、燃料価格の上昇や卸電力市場価格の上昇に伴う電力調達費用の増加などにより、前連結会計年度に比べ430億82百万円減の292億51百万円の損失となった。また、連結自己資本比率は、11.7%となった。2030年度までに15%以上の達成を目指す。
2030年度までに目指す経営目標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」へ記載している。
該当事項なし
当連結会計年度における研究開発費の総額は
ほくでんグループにおける研究開発は、当社の総合研究所が中心となって推進しており、経営計画等に基づいた研究開発を重点的に実施している。当連結会計年度における主な研究開発は次のとおりである。
(1)収入拡大
電力・ガス販売の支援として、寒冷地型ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)に適用できる先進的空調システムの実証、ESP(エネルギーサービスプロバイダ)事業を目的としたEMS(エネルギーマネジメントシステム)の実用化研究、再エネ等を活用したEMSなど家庭分野の新たなエネルギーサービス創出に向けた研究に取り組んでいる。
また、地域特性に即したEV充電インフラの適用検証、寒冷地向け中小規模植物工場に関する研究などに取り組み、エリア電力需要の拡大を目指している。
(2)安定供給・費用低減
電力の安定供給や設備保守費用の低減を目的に、材料診断、化学分析、生物評価などの基盤技術にDX(デジタルトランスフォーメーション)などの最新技術を組み合わせた設備保守技術の高度化に取り組んでいる。
送配電設備においては、鉄塔冠雪対策に関する研究、難着雪低風圧電線の開発、次世代デバイスの活用技術調査など、発電設備においては、発電所におけるドローン活用、AI技術を用いた土木設備点検、発電所取水路への付着生物低減対策などに関する研究に取り組んでいる。
(3)カーボンニュートラル
2050年の脱炭素社会の実現に向け、石炭火力発電におけるアンモニア混焼の検討、CCUS(CO2の分離回収・貯留・有効活用)の研究開発・実証に取り組んでいる。
また、水素サプライチェーンの事業可能性調査、水素製造コスト低減に向けた研究開発、分散型エネルギーリソースの高度利用、木質バイオマスガス化技術など、再エネの導入拡大に取り込んでいる。