第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

<当社を取り巻く経営環境>

平成27年度におけるわが国の電気事業は,まさに歴史的な転換期のなかにあった。

昨年7月には,国の中長期的なエネルギー政策の指針であるエネルギー基本計画を踏まえた長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)が決定された。そこでは,安全確保を大前提に,安定供給,経済効率性,環境適合の観点から,原子力,火力,再生可能エネルギーによるバランスのとれた電源構成が必要であることが示されている。しかしながら,原子力発電については,東日本大震災以降,国内の発電所が長期間停止し,新規制基準への適合性審査も長期化する状況が続いている。一方,電力システム改革については,本年4月,小売分野における全面自由化がはじまり,平成32年4月には,送配電部門の法的分離(別会社化)が予定されている。

東北地域においては,大震災からの復旧関連工事が高水準で推移していることなどから,緩やかな景気回復が続いた。大震災から5年が経過し,社会基盤の整備は着実に進みつつあるが,一方で,被災された方々が安定した生活を取り戻したとまでは言えず,被災地の復興には未だ多くの課題があると認識している。

このようななかで,当社は,被災地の復興・発展に寄り添いながら,かつてない経営環境の変化にも適切に対応してきている。

 

<新たなブランド展開>

当社は,昨年10月,新たなコーポレートスローガン「より、そう、ちから。」を掲げた。これは,小売全面自由化という大きな経営の転換期を迎えるにあたり,お客さまから選択いただき,これからも地域とともに成長・発展していくため,お客さまや地域の声にしっかりとお応えしていくという,当社の企業姿勢を示したものである。

このスローガンには,新しい時代を迎え,「お客さまお一人お一人に“より沿う”サービスを提供していく」,「創立以来の変わらない想いを胸に,地域に“寄り添う”取り組みを継続していく」という当社の2つの想いを込めている。

 

<小売全面自由化への対応>

新たなコーポレートスローガンのもと,当社は,小売全面自由化を見据えた競争力強化に取り組んできた。

販売面では,本年1月,東北6県及び新潟県のお客さま向けの新料金プラン,会員制ウェブサービスやポイントサービスの具体的内容を公表し,引き続き当社を選択いただくための施策を打ち出した。また,昨年10月,株式会社シナジアパワーを設立したほか,本年3月には,首都圏のご家庭向けに電気の販売を開始することを公表し,これまでの供給エリアを越えた新たな事業展開に向けた取り組みを進めてきた。そのほかにも,小売全面自由化に備えて必要な設備や体制の整備を図ってきた。

一方,供給面では,昨年7月,八戸火力発電所第5号機(41.6万キロワット)がLNGへの燃料転換を完了した。また,昨年12月には,世界最高水準の熱効率を誇るLNGコンバインドサイクル発電設備である新仙台火力発電所第3号系列(98万キロワット)の半量が営業運転を開始し,本年7月には,全量が営業運転を開始する予定である。さらに,本年1月には,能代火力発電所第3号機(60万キロワット)の新設工事を着工した。こうした取り組みにより,高い経済性と環境負荷低減を両立した設備形成を進めてきた。

 

 

<原子力発電所の安全性向上に向けた取り組み>

女川原子力発電所第2号機及び東通原子力発電所第1号機については,現在,原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査が続けられている。

また,原子力発電所の安全性向上に向けた取り組みとして,新規制基準などを踏まえた安全対策を設備と運用の両面から進めており,さらに,自主的かつ継続的な安全性の向上にも取り組んでいる。

設備面では,非常用ディーゼル発電機の燃料タンクの地下化や発電所内部の火災防護対策の拡充工事に取り組むとともに,運用面では,国などの関係機関と連携した原子力防災訓練において,より実践的な「シナリオ非提示型」の訓練を実施するなど,万が一の事態に備えた体制の充実・強化を図った。

加えて,当社は,関係自治体との間で,協定の締結などにより,情報連絡をはじめとする連携を強化してきた。また,安全性向上に向けた取り組みについて,地域のみなさまにご理解を深めていただけるよう,発電所を実際にご覧いただく取り組みも継続して展開してきた。

一方,他社原子力発電所においてケーブルなどの不適切な敷設状態が確認されたことから,当社は昨年12月から,女川・東通の両原子力発電所において調査を実施したところ,同様の状態が確認された。このため,不適切な敷設状態の是正を図るとともに,本年3月,調査結果などを原子力規制委員会へ報告した。是正は現在までに概ね完了しているが,引き続き計画的に進めるとともに,再発防止対策を確実に実施していく。

 

<再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取り組み>

当社は,これまでも,グループ企業とともに,水力発電,地熱発電,風力発電などの再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んできた。また,国の固定価格買取制度のもと,特に太陽光発電については,急増する当社送電網への接続申し込みにも適切に対応してきた。

風力発電や太陽光発電は,気象条件によって出力が変動するという技術的な課題がある。このため,当社では,蓄電池技術を活用した出力変動抑制対策の実証事業として,昨年2月の西仙台変電所に続き,本年2月には,南相馬変電所に大容量蓄電池システムを導入した。

また,来年3月より,太陽光発電による電気を用いて水素を製造・貯蔵し,この水素を燃料に発電することで出力変動抑制対策としての有効性を検証する研究を行っていくこととした。

当社としては,こうした事業や研究を通じて得られた知見や成果を活用し,再生可能エネルギーの導入拡大に向けて取り組んでいく。

 

<決算概要>

当連結会計年度の企業グループの収支については,収益面では,当社において,「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に基づく再エネ特措法交付金が増加したものの,販売電力量並びに燃料費調整額の減少などにより電灯・電力料が減少したことなどから,売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ864億円(4.0%)減の2兆955億円,経常収益は前連結会計年度に比べ854億円(3.9%)減の2兆1,046億円となった。

一方,費用面では,安定供給維持のための修繕費が増加したものの,燃料価格の低下などに伴い燃料費が大幅に減少したほか,経費全般にわたり効率化の実施に努めたことなどから,経常費用は前連結会計年度に比べ1,214億円(5.9%)減の1兆9,520億円となった。

この結果,経常利益は前連結会計年度に比べ359億円(30.8%)増の1,526億円となった。

また,親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ208億円(27.2%)増の973億円となった。

 

 

当連結会計年度におけるセグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は次のとおりである。

 

[電気事業]

売上高は,「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に基づく再エネ特措法交付金が増加したものの,販売電力量並びに燃料費調整額の減少などにより電灯・電力料が減少したことなどから,前連結会計年度に比べ787億円(4.1%)減の1兆8,562億円となった。一方,営業費用は,安定供給維持のための修繕費が増加したものの,燃料価格の低下などに伴い燃料費が大幅に減少したほか,経費全般にわたり効率化の実施に努めたことなどから,前連結会計年度に比べ946億円(5.3%)減の1兆6,985億円となった。

この結果,営業利益は前連結会計年度に比べ159億円(11.2%)増の1,577億円となった。

 

[建設業]

売上高は,電力関連工事が増加したことなどから,前連結会計年度に比べ118億円(4.1%)増の2,986億円となった。一方,営業費用は,売上高増加に伴い工事原価が増加したことなどから,前連結会計年度に比べ74億円(2.7%)増の2,806億円となった。

この結果,営業利益は前連結会計年度に比べ43億円(31.7%)増の180億円となった。

 

[その他]

売上高は,製造業において増加したことなどから,前連結会計年度に比べ173億円(8.0%)増の2,340億円となった。一方,営業費用は,製造業における増加などから,前連結会計年度に比べ161億円(8.0%)増の2,187億円となった。

この結果,営業利益は前連結会計年度に比べ11億円(8.0%)増の152億円となった。

 

 

(2) キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益が増加したものの,法人税等の支払額が増加したことなどから,前連結会計年度並みの3,718億円の収入となった。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

固定資産の取得による支出が増加したものの,工事負担金等受入による収入が増加したことなどから,前連結会計年度並みの2,505億円の支出となった。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

社債の償還による支出が減少したことなどから,前連結会計年度に比べ1,071億円(50.7%)減の1,041億円の支出となった。

 

この結果,現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は,前連結会計年度末残高に比べ179億円(7.3%)増の2,624億円となった。

 

 

2 【生産,受注及び販売の状況】

当社企業グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため「生産実績」を定義することが困難であり,建設業においては請負形態をとっているため「販売実績」という定義は実態にそぐわない。

よって,生産,受注及び販売の状況については,記載可能な情報を「1 業績等の概要」においてセグメントの業績に関連付けて記載している。

なお,当社個別の事業の状況は次のとおりである。

 

(1) 需給実績

種別

当連結会計年度

(平成27年4月1日から

  平成28年3月31日まで)

前年同期比(%)

発受電電力量

 

 

 

自社

 

 

 

水力発電電力量

(百万kWh)

7,921

96.2

火力発電電力量

(百万kWh)

57,212

101.1

原子力発電電力量

(百万kWh)

新エネルギー等発電電力量

(百万kWh)

931

99.3

他社受電電力量

(百万kWh)

23,282

93.8

融通電力量

(百万kWh)

7,684

△14,765

100.4

102.8

揚水発電所の揚水用電力量

(百万kWh)

△56

99.5

合計

(百万kWh)

82,209

98.1

損失電力量等

(百万kWh)

7,152

99.3

販売電力量

(百万kWh)

75,057

98.0

出水率

(%)

98.7

 

(注) 1 他社受電電力量の中には,連結子会社からの受電電力量(酒田共同火力発電㈱ 4,869百万kWh,東北自然
エネルギー㈱ 572百万kWh他)を含んでいる。

         なお,東北自然エネルギー㈱は平成27年7月1日付で東北水力地熱㈱,東北自然エネルギー開発㈱,東北ソーラーパワー㈱の3社を吸収合併し,商号を東星興業㈱から変更している。

2 融通電力量の上段は受電電力量,下段は送電電力量を示す。

3 揚水発電所の揚水用電力量とは貯水池運営のため揚水用に使用する電力である。

4 販売電力量の中には,自社事業用電力量(108百万kWh)を含んでいる。

5 出水率は,昭和59年度から平成25年度までの30ヶ年平均に対する比である。

 

 

(2) 販売実績

① 契約高

種別

当連結会計年度

(平成28年3月31日現在)

前年同期比(%)

契約口数

電灯

6,995,015

100.8

電力

802,617

98.6

7,797,632

100.6

契約電力(kW)

電灯

24,535,548

101.6

電力

4,845,571

99.1

29,381,119

101.2

 

(注) 本表には,特定規模需要は含まない。

 

② 販売電力量及び料金収入

種別

当連結会計年度

(平成27年4月1日から

  平成28年3月31日まで)

前年同期比(%)

販売電力量(百万kWh)

電灯

23,706

97.7

電力

3,555

94.9

電灯電力 計

27,261

97.3

特定規模需要

47,796

98.3

電灯電力・特定規模 計

75,057

98.0

他社販売

1,864

191.3

融通

14,764

102.8

料金収入(百万円)

電灯

586,437

93.4

電力

933,071

92.6

電灯電力 計

1,519,508

92.9

他社販売

21,077

151.1

融通

189,782

93.3

 

(注) 1 料金収入の電力には,特定規模需要を含んでいる。

2 上記金額には,消費税等は含まない。

 

 

③ 産業別(大口電力)需要実績

種別

当連結会計年度

(平成27年4月1日から

  平成28年3月31日まで)

販売電力量

(百万kWh)

前年同期比(%)

鉱工業

 

 

鉱業

163

96.3

製造業

 

 

食料品

1,610

102.5

繊維工業

79

100.3

パルプ・紙・紙加工品

739

99.1

化学工業

1,922

96.3

石油製品・石炭製品

24

130.6

ゴム製品

304

94.8

窯業土石

864

97.8

鉄鋼業

2,697

97.7

非鉄金属

3,416

95.6

機械器具

7,079

99.1

その他

2,135

99.9

20,868

98.3

21,032

98.3

その他

3,556

101.0

合計

24,588

98.7

 

 

(3) 資材の状況

 石炭及び燃料油等の受払状況

区分

単位

平成27年
3月末
在庫量

当連結会計年度

(平成27年4月1日から

 平成28年3月31日まで)

平成28年
3月末
在庫量

受入

前年同期比
(%)

払出

前年同期比
(%)

石炭

t

518,848

8,290,920

111.1

8,122,138

105.3

687,630

重油

kl

220,726

384,641

42.7

431,426

48.4

173,941

原油

kl

143,264

301,416

92.9

329,772

105.5

114,908

LNG

t

158,521

4,572,782

107.7

4,486,651

105.8

244,652

 

 

 

 

3 【対処すべき課題】

当社は,本年4月より,小売全面自由化という新たな競争のステージに入る転換点を迎えたが,本格的な競争時代においても,地域の復興・発展に貢献しながら,競争に打ち勝ち,お客さまから選ばれる企業グループを目指していくことが,当社の経営展開の基本である。

この考え方のもと,事業を安定させ,より発展させていくためには,経営基盤を回復させるとともに,環境変化や自然災害などの事業リスクへの対応力を強化する必要がある。このため,当社は,財務体質の改善を最優先課題と位置付け,本年1月,新たに「2020年度までに自己資本比率(連結決算ベース)25%以上」との財務目標を掲げた。また,将来的には「自己資本比率(連結決算ベース)30%」を目指していく。これにより,安定的な資金調達を実現し,安定供給のための設備投資やさらなる成長に向けた資金の確保が可能になるものと考えている。

そのうえで,当社は,財務目標を達成し,競争を勝ち抜くための成長戦略を実現するために,「収益拡大施策の展開」,「バランスのとれた電源構成とコスト競争力の強化」,「地域の復興・発展への貢献」を成長に向けた3つの柱に掲げた。今後,新たなコーポレートスローガンのもと,本格的な競争に備えて検討・準備をしてきた施策について,企業グループが一体となって実施していく。具体的には,以下の各施策を確実に実施することで,さらなる成長を果たしていく。

 

<収益拡大施策の展開>

当社は,自由化の時代にあっても,まずは事業基盤である東北6県及び新潟県のお客さまを大切にし,当社を選択いただくことが,収益の源泉であり,競争に打ち勝つ原動力であると考えている。小売全面自由化を迎え,ますます競争は激しくなるが,この基本的な考え方のもと,お客さまのご要望に“より沿う”サービスを提供することで,当社をお選びいただくことを目指していく。

当社は,本年4月から,多様化するお客さまのライフスタイルに合わせた新料金プランの適用を開始した。また,お客さまの利便性向上につながる会員制ウェブサービス「よりそうeねっと」を開設するとともに,会員向けポイントサービス「よりそうeポイント」を開始した。

当社としては,こうした料金プランや各種サービスを皮切りとして,お客さまのニーズにかなう,創意工夫を凝らしたサービスの開発・充実に,スピード感を持って取り組んでいく。あわせて,ヒートポンプ機器の活用など,お客さまに電気のご使用を工夫いただくことで料金の低減につながるような省エネルギーのコンサルティングを,引き続き実施していく。

一方,これまでの供給エリアを越えた新たな事業展開として,本年4月から,首都圏において,ご家庭向け料金プラン「よりそう、でんき」による電気の販売を開始した。これにより,首都圏にお住まいのお客さまにも,当社の電気やお得なサービスをご活用いただきたいと考えている。

また,東京ガス株式会社と共同で設立した株式会社シナジアパワーも,北関東を中心とする関東圏の高圧・特別高圧のお客さまへの電力販売を開始した。同社については,東北6県と新潟県のお客さまへの安定供給を全うしたうえで,当社の供給力を有効活用するものであり,当社の収益拡大に寄与するものと考えている。

 

<バランスのとれた電源構成とコスト競争力の強化>

エネルギー資源の乏しいわが国では,各エネルギー源が持つ特性を十分に踏まえたうえで,各電源をバランスよく組み合わせて運用していくことが重要である。このため,当社は,安全確保を大前提に,安定供給,経済効率性,環境適合の観点から,バランスのとれた電源構成を目指している。

原子力発電については,準国産エネルギーとして安定した出力が見込まれ,CO2の排出抑制効果にも優れていることから,引き続き重要な電源であると考えている。このため,女川原子力発電所第2号機及び東通原子力発電所第1号機の新規制基準への適合性審査に的確に対応するとともに,両原子力発電所の設備・運用面におけるさらなる安全性向上のための自主的な取り組みについても進めていく。また,原子力事業者の責務として,国や関係自治体と連携した原子力防災体制の強化に積極的に取り組むとともに,適切な情報発信や双方向のコミュニケーションなどを通じて地域のみなさまのご理解を得ながら,早期の再稼働を目指していく。

火力発電については,コスト競争力に優れた発電設備の着実な開発に取り組んでいく。具体的には,能代火力発電所第3号機や上越火力発電所第1号機の建設計画を着実に進めていく。

また,東北地域に適地の多い再生可能エネルギーについては,送電網の整備や大容量蓄電池システムの実証事業などを通じて,固定価格買取制度のもとでの導入拡大に対応するとともに,当社においても,グループ企業の活用により,導入拡大に取り組んでいく。

あわせて,燃料調達の多様化などを通じて,燃料調達コストのさらなる低減を図るとともに,「調達改革委員会」による資材・役務の調達価格の低減など,経費全般にわたる効率化に継続して取り組んでいる。当社は,競争力の強

化のため,今後とも徹底して構造的なコスト低減を推し進めていく。

 

<地域の復興・発展への貢献>

当社は,東北6県と新潟県で事業を営む電力会社として,地域の復興・発展にしっかりと“寄り添う”取り組みを継続して展開していく。

東日本大震災という未曾有の災害を,地元の電力会社として経験したことにより得られた知見,教訓は大きなものがある。これらを十分に踏まえ,災害に強い設備の構築と対応力の強化を図り,電力の安定供給という電気事業を営む者としての基本的な使命を果たしていくことで,東北地域の復興を支えていく。

また,各自治体で展開されるスマートコミュニティ事業などに支援・参画するとともに,被災地域をはじめとする自治体などの再生可能エネルギー導入拡大に向けた取り組みへの協力を行っていく。

加えて,それぞれの地域がおかれた状況やニーズの違いを踏まえながら,将来の成長・発展に資するプロジェクトや地域活性化施策を積極的に支援していく。

 

当社は,「地域社会との共栄」を経営理念として掲げ,創立以来,地域に密着した経営を進めてきた。小売全面自由化を迎え,ますます競争は激しくなるが,お客さまに低廉で安定した電気をお届けし,地域とともに歩み続ける当社の使命は,これからも変わるものではない。

当社は,地域のみなさまにお支えいただきながら永く事業を営んできた当社だからこそできるサービスや地域貢献に,真心を込めて取り組んでいく。そして,引き続きお客さまから選択され,地域とともに成長する企業グループを目指していく。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社企業グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるリスクには,主に以下のものがある。企業グループでは,これらのリスクを認識したうえで,リスクの低減に努めるとともに,発生した場合は,的確な対応に努めていく。

なお,以下に記載の将来に関する事項は,有価証券報告書提出日現在において,当社が判断したものであり,今後のエネルギー政策の変更や電力システム改革などの影響を受ける可能性がある。

 

(1) 原子力発電を取り巻く制度変更等による影響

当社は,安全確保を大前提に原子力を一定程度活用していくことが重要と考えており,新規制基準への適合に加え,更なる安全性向上に向けて自主的な対策を進めるなどの取り組みを行っている。

ただし,原子力発電を取り巻く環境が厳しさを増している中,今後の政策・規制変更等により,原子力発電所の停止が長期化するなど安定運転に影響を与える場合,火力燃料費の増加等により,企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(2) 電気事業を取り巻く制度変更等による影響

電力広域的運営推進機関の設立,小売分野における全面自由化や送配電部門の法的分離などからなる電力システム改革が進められている。

このような電力システム改革やエネルギー基本計画に基づく政策の動向,それによる電気事業者及び他エネルギー事業者との競争の進展などにより,企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(3) 原子力のバックエンド事業コストの変動による影響

原子力のバックエンド事業は,超長期の事業で不確実性を伴うが,国による制度措置等により事業者のリスクが軽減されている。

ただし,国の政策変更や,関連する制度措置の見直し,将来費用の見積額の変動,再処理施設の稼働状況により,費用負担が増加するなど,企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

 

(4) 経済状況,天候状況並びに東日本大震災などによる販売電力量の変動による影響

電気事業における販売電力量は,景気動向や気温の変動,さらには省エネルギーの進展などによって変動することから,企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

また,平成23年3月11日に発生した東日本大震災により,東北地域は大きな被害に見舞われた。震災後5年を経てもなお,被災地の復興は途上であり,電力需要について,震災前の水準への回復が遅れる可能性がある。

なお,年間の降雨降雪量により,豊水の場合は,燃料費の低下要因,渇水の場合は,燃料費の増加要因となるが,「渇水準備引当金制度」により一定の調整が図られるため,業績への影響は限定的と考えられる。

 

(5) 燃料価格の変動による影響

電気事業における火力発電燃料費は,石炭,LNG,重・原油などのCIF価格及び為替レートの変動により,影響を受けるため,当社は,バランスのとれた電源構成を目指すことなどによって燃料価格変動リスクの分散に努めている。

電気事業には,燃料価格及び為替レートの変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」が適用されるが,燃料価格などが著しく変動した場合には,企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(6) 自然災害及び操業トラブルの発生による影響

企業グループは,お客さまに高品質な電力を安定的に供給するため,設備の点検・修繕を計画的に実施し,設備の信頼性向上に努めているが,地震・津波や台風等の自然災害,事故やテロ等不法行為などにより,大規模な停電が発生し,設備の損傷や電源の長期停止などに至った場合は,企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(7) 金利の変動による影響

今後の市場金利の動向及び格付の変更により,企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

ただし,有利子負債残高の多くは固定金利で調達した社債や長期借入金であることなどから,市場金利の変動による影響は限定的と考えられる。

 

(8) 情報流出による影響

企業グループは,大量の個人情報や設備情報など重要な情報を保有している。重要な情報の適切な取扱いを図るため,基準等の整備や従業員に対する教育啓発,委託先管理の徹底等,情報セキュリティ対策の強化を図っているが,重要な情報の流出により問題が発生した場合は,企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(9) 電気事業以外の事業による影響

企業グループは,エネルギー分野では,電気事業を中核に,省エネルギー対策を中心とする付加価値提案型事業(ESCO事業)やガス事業との連携を強化している。また,情報通信事業などのエネルギー分野以外では,選択と集中を徹底しながら,収益性を重視した自立性の高い事業展開を推進している。これら事業の業績は,他事業者との競合状況,ガスシステム改革の進展など,事業環境の変化により影響を受けることがあることから,電気事業以外の事業の業績により,企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(10) 企業倫理に反した行為による影響

企業グループは,企業倫理・法令遵守が全ての事業活動の前提になるとの考えのもと,企業倫理・法令遵守の体制を構築し,定着に向けて取り組んでいるが,法令違反等の企業倫理に反した行為が発生した場合,企業グループに対する社会的信用が低下し,企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において,経営上の重要な契約等はない。

 

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社企業グループは,安全確保を大前提として,電気を中心とした最適なエネルギーサービスを提供するため,経営計画等に基づいた研究開発を重点的に実施している。

 

現在,研究開発は,当社の研究開発センター及び各連結子会社の設計・開発担当部門などにより推進されており,当連結会計年度における当社及び連結子会社の研究開発費は7,205百万円である。このうち電気事業は6,315百万円,建設業は172百万円,その他は717百万円となっている。

 

[電気事業]

次の4つを主な研究開発の目的とし研究テーマの重点化を図りながら,電力の安全・安定供給を支える研究開発を根底に据え,お客さまから選択され,競争に打ち勝っていくための研究開発に取り組んでいる。

 

(1) 事業基盤を支える安全確保・安定供給のための研究開発

設備・運用面の更なる安全性向上と災害に強い設備の構築・運用並びに再生可能エネルギーの大量導入時における系統安定化対策など,安全を確保し,安定して電力を供給するための研究開発

 

(2) 経営効率化のための研究開発

電力システム改革などの環境変化による広域的な競争進展を踏まえ,発電設備の高効率化や運用性向上など,競争力強化に向けたコスト低減・収益性向上,将来の設備形成を見据えた研究開発

 

(3) 効率的なエネルギー利用によるお客さまサービス向上のための研究開発

多様化するお客さまニーズを先見的に捉え,省エネ性・環境性に優れたヒートポンプを中心とした電化機器の普及拡大や効率的な利用等に役立つ研究開発

 

(4) 環境調和と地域貢献のための研究開発

廃棄物の有効利用や環境負荷低減による周辺環境との調和や配慮への取り組み並びに地域の復興と発展に役立つ研究開発

 

[建設業]

(1) 受注拡大と原価低減に向けた技術開発

地震動を吸収するケーブルラック用制震ダンパーの開発や,鉄塔基礎形状の健全性を評価する捻れ振動基礎調査工法の円形柱体への適用拡大に向けた開発  など

 

(2) 環境負荷低減に関する研究開発

太陽光発電設備の保守・メンテナンス手法の確立とモニタリング(監視)技術の研究開発  など

 

[その他]

(1) 光通信市場向け商品開発

高速光通信機器及び次世代光通信ネットワークに使用するモニタデバイス,レンズアレイ等の光学部品の開発  など

 

(2) 再生可能エネルギー導入拡大,売上拡大に向けた研究開発

太陽光発電の導入拡大に向け,配電系統電圧を調整する逆潮流対応型SVR用子局及び逆潮流対応型通FT

子局の開発や,「IPネットワーク型配電用変電所TCの開発」など市場の維持・拡大に向けた製品開発

など

 

 

7 【財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 需要と供給の概況

当社の主たる事業である電気事業において,当連結会計年度の販売電力量は,東日本大震災からの復興の動きなどが続いているものの,前年に比べ春先や冬場の気温が高く夏場後半の気温が低めに推移したことによる冷暖房需要の減少や節電への取り組みに加え,大口電力における一部での生産設備の稼働減などから,前連結会計年度に比べ2.0%減の751億キロワット時となった。

このうち特定規模需要以外の需要については,2.7%減の273億キロワット時,特定規模需要については,1.7%減の478億キロワット時となった。

 

これに対応する供給については,原子力発電所の運転停止などに伴う供給力の減少が引き続きあるものの,火力発電所の補修時期の調整などにより安定した供給力を確保した。

 

(2) 経営成績の分析

①営業利益

当連結会計年度の売上高(営業収益)は,当社において,「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に基づく再エネ特措法交付金が増加したものの,販売電力量並びに燃料費調整額の減少などにより電灯・電力料が減少したことなどから,前連結会計年度に比べ864億円(4.0%)減の2兆955億円となった。

一方,営業費用は,安定供給維持のための修繕費が増加したものの,燃料価格の低下などに伴い燃料費が大幅に減少したほか,経費全般にわたり効率化の実施に努めたことなどから,前連結会計年度に比べ1,065億円(5.3%)減の1兆9,058億円となった。

この結果,営業利益は,前連結会計年度に比べ200億円(11.8%)増の1,897億円となった。

 

②経常利益

営業外収益は,前連結会計年度に比べ10億円(12.4%)増の90億円となり,営業収益と合わせた経常収益は前連結会計年度に比べ854億円(3.9%)減の2兆1,046億円となった。

一方,営業外費用は,前連結会計年度に比べ149億円(24.4%)減の462億円となり,営業費用と合わせた経常費用は前連結会計年度に比べ1,214億円(5.9%)減の1兆9,520億円となった。

この結果,経常利益は,前連結会計年度に比べ359億円(30.8%)増の1,526億円となった。

 

③親会社株主に帰属する当期純利益

税金等調整前当期純利益は,前連結会計年度に比べ162億円(11.9%)増の1,526億円となり,親会社株主に帰属する当期純利益は,前連結会計年度に比べ208億円(27.2%)増の973億円となった。

 

 

(3) 財政状態の分析

①資産の状況

資産は,電気事業固定資産の増加や,現金及び預金などの流動資産が増加したことから,前連結会計年度末に比べ212億円(0.5%)増の4兆1,524億円となった。

 

②負債の状況

負債は,社債などの有利子負債が減少したことなどから,前連結会計年度末に比べ119億円(0.3%)減の3兆4,680億円となった。

 

③純資産の状況

純資産は,親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから,前連結会計年度末に比べ331億円(5.1%)増の6,843億円となった。

 

以上の結果,自己資本比率は,前連結会計年度末から0.6ポイント上昇し,15.2%となった。

 

(4) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は,前連結会計年度末残高に比べ179億円(7.3%)増の2,624億円となった。

 

①営業活動によるキャッシュ・フロー

税金等調整前当期純利益が増加したものの,法人税等の支払額が増加したことなどから,前連結会計年度並みの3,718億円の収入となった。

 

②投資活動によるキャッシュ・フロー

固定資産の取得による支出が増加したものの,工事負担金等受入による収入が増加したことなどから,前連結会計年度並みの2,505億円の支出となった。

 

③財務活動によるキャッシュ・フロー

社債の償還による支出が減少したことなどから,前連結会計年度に比べ1,071億円(50.7%)減の1,041億円の支出となった。

 

また,キャッシュ・フロー指標の変動は次のとおりである。

 

前連結会計年度
(平成26年4月1日から
 平成27年3月31日まで)

当連結会計年度
(平成27年4月1日から
 平成28年3月31日まで)

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

6.8

6.6

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

6.7

11.2

 

(注)1  キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー

    2  インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額