第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものである。

 

電力小売全面自由化に伴う競争は、今後も一段と激しさを増していくものと予想される。また、人口減少や節電、省エネの影響などによる電力需要の伸び悩みや、再生可能エネルギーの導入拡大等に起因する需給構造の変化が顕在化しつつあり、当社を取り巻く環境は厳しさを増している。

このようななか、当社は、平成29年1月に公表した「東北電力グループ中期経営方針(2017年~2020年)」に掲げた以下の3つの力点に基づき、多様な施策を展開していく。

 

<3つの力点に基づく施策の展開>

[力点1]お客さま・地域社会の声にお応えする

東北6県及び新潟県における電力販売では、お客さまとのさらなる関係強化をはかり、ニーズをしっかりとくみ取ることで、魅力ある料金プランや新サービスの充実に取り組み、価格・非価格両面での競争力を強化していく。また、LPガスとのセットプランなどで、エネルギーに関する多様なお客さまのご要望にお応えする魅力的な提案を行っていく。

また、エコキュートやヒートポンプエアコンなどの高効率電気機器の普及拡大や火力発電所の熱効率向上など、CO2排出削減に向けた需要と供給の両面からの取り組みにより、企業グループ一丸となって低炭素社会の実現を目指していく。

低炭素社会の実現に有効な非化石エネルギーのひとつである原子力発電については、引き続き適合性審査に的確に対応していくとともに、新規制基準への適合性にとどまらず、原子力発電所のさらなる安全性向上に向けた取り組みを進めていく。原子力発電所の再稼働には、地域のみなさまからのご理解が何より重要であることから、社員一人ひとりが、地域のみなさまとの双方向のコミュニケーションを大切にし、丁寧な対話を行っていくことで、当社の取り組みに対しご理解を得られるよう努めていく。

 

[力点2]成長に向けた新たな事業機会を追求する

これまでの供給エリアを越えた電力販売について、家庭用分野では、引き続き首都圏向け料金プラン「よりそう、でんき」の加入拡大をはかるとともに、平成30年3月に出資を行った株式会社東急パワーサプライを通じて、さらなる販売拡大をはかっていく。法人分野では、引き続き株式会社シナジアパワーを通じて、北関東を中心とした関東圏の高圧・特別高圧のお客さまに積極的な提案活動を実施していく。また、東北電力エナジートレーディング株式会社による電力取引市場を活用した卸電力の売買等により、収益力のさらなる強化をはかっていく。

ガス事業については、平成29年4月以降、岩手中部工業団地向けに天然ガスの供給を開始しており、今後も、グループ企業とともに供給拡大に向けた取り組みを進めていく。

海外事業については、平成30年3月に、当社初の海外地熱発電事業として、インドネシア共和国の地熱発電事業に出資しており、今後も、北・中米及び東南アジアを重点エリアとして定め、案件の拡大に取り組み、収益力の強化をはかっていく。

再生可能エネルギーについては、引き続きグループ企業とともに水力や地熱、さらには風力発電の開発を推進していく。加えて、国や電力広域的運営推進機関での議論を踏まえ、電源の稼働実態に即した空き容量の算定方法への見直し等、引き続き既存の送電線の利用効率向上に向けた取り組みを行うことなどにより、電力品質を確保しつつ、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大をはかっていく。

また、IoT・AIなどの新たな情報技術やベンチャー企業との提携によるオープンイノベーションの活用、企業・大学・自治体との連携強化などにより、設備運用の高度化・効率化や新規事業・新規サービスの創出・展開について検討を進めていく。具体的には、平成30年度から平成32年度までの3ヵ年を対象に、地域に分散して存在するエネルギーリソースを遠隔制御し集約することで、あたかも一つの発電所のように機能させる「バーチャルパワープラント」の実証プロジェクトを開始していく。これにより、設備の有効活用や電力需給バランス調整への活用など、お客さまと当社が相互にメリットを享受できる取り組みを目指していく。

 

 

[力点3]変革実現により強固な経営基盤を確立する

当社は、平成30年4月のカンパニー制導入に伴う第一線事業所までの組織整備を7月に実施し、新たな組織体制のもと、競争の激化と送配電部門の法的分離に的確に対応するとともに、成長に向けた新たな事業機会を追求できる組織への変革を進めていく。

また、平成30年4月の「役付執行役員の新設」と6月の「監査等委員会設置会社への移行」を柱とする経営機構の見直しにより、監督と執行の役割分担をこれまで以上に明確化し、迅速かつ機動的な意思決定や業務執行を行える体制を構築するとともに、業務執行状況等の監督機能を強化し、企業グループ全体の求心力を高め、引き続きガバナンスの向上に取り組んでいく。

さらに、新しい事業分野への進出やビジネスモデルの変化等に対応した人材や専門スキルを持った人材の獲得・育成に努めるとともに、業務削減・効率化、ワーク・ライフ・バランスの実現、業務品質向上の好循環により、生産性の高い働き方の実現を目指していく。

 

こうした各力点に基づく取り組みにより、当社は、東北電力グループ中期経営方針に掲げた電気事業、海外事業、ガス事業の3つの分野における以下の目標及び「2020年度までに自己資本比率(連結決算ベース)25%以上(将来的には30%)」とする財務目標の達成を目指していく。

 

 

2015年度実績

2020年度

2030年度

電気事業

販売電力量

(域外・卸売を含んだ増分)

参考:域内販売電力量

+35

億kWh

+150

億kWh

751

億kWh

海外事業

海外発電事業持分出力

20

万kW

60

万kW

120

万kW

ガス事業

販売ガス量

34

万t

45

万t

60

万t

 

 

<地域の復興・発展への貢献>

東日本大震災から7年が経過し、被災地では、再生に向けた街づくりが進むなか、当社としては、地域のみなさまとのコミュニケーションを大切にしながら、電力の安定供給という面から地域の復興・発展を支えていく。

また、今後とも、それぞれの地域がおかれた状況やニーズの違いを踏まえながら、将来の成長・発展に資するプロジェクトや地域活性化施策を積極的に支援していく。

 

当社は、経営理念である「地域社会との共栄」、「創造的経営の推進」のもと、経営環境の変化に適切に対応しながら、地域とともに成長してきた。

当社を取り巻く環境は今後さらに大きく変化していくが、この環境変化をチャンスと前向きにとらえ、企業グループが一体となって変革を加速していくことで、引き続きお客さまや地域のみなさまのご期待にしっかりとお応えしていく。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社企業グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるリスクには、主に以下のものがある。企業グループでは、これらのリスクを認識したうえで、リスクの低減に努めるとともに、発生した場合は、的確な対応に努めていく。

なお、以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであり、今後のエネルギー政策の変更や電力システム改革などの影響を受ける可能性がある。

 

(1) 原子力発電を取り巻く制度変更等による影響

当社は、安全確保を大前提に原子力を一定程度活用していくことが重要と考えており、新規制基準への適合に加え、さらなる安全性向上に向けて自主的な対策を進めるなどの取り組みを行っている。

ただし、原子力発電を取り巻く環境が厳しさを増している中、今後の政策・規制変更等により、原子力発電所の停止が長期化するなど安定運転に影響を与える場合、火力燃料費の増加等により、企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(2) 電気事業を取り巻く制度変更等による影響

小売分野における全面自由化や送配電部門の法的分離などの電力システム改革の進展、エネルギー基本計画に基づく政策の動向、それによる電気事業者及び他エネルギー事業者との競争の進展などにより、企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(3) 原子力のバックエンド事業コストの変動による影響

原子力のバックエンド事業は、超長期の事業で不確実性を伴うが、国による制度措置等により事業者のリスクが軽減されている。

ただし、国の政策変更や、関連する制度措置の見直し、将来費用の見積額の変動、再処理施設の稼働状況により、費用負担が増加するなど、企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(4) 経済状況、天候状況並びに東日本大震災などによる販売電力量の変動による影響

電気事業における販売電力量は、景気動向や気温の変動、さらには省エネルギーの進展などによって変動することから、企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

また、平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、東北地域は大きな被害に見舞われた。震災後7年を経てもなお、被災地の復興は途上であり、電力需要について、震災前の水準への回復が遅れる可能性がある。

なお、年間の降雨降雪量により、豊水の場合は、燃料費の低下要因、渇水の場合は、燃料費の増加要因となるが、「渇水準備引当金制度」により一定の調整が図られるため、業績への影響は限定的と考えられる。

 

(5) 燃料価格の変動による影響

電気事業における火力発電燃料費は、石炭、LNG、重・原油などのCIF価格及び為替レートの変動により、影響を受けるため、当社は、バランスのとれた電源構成を目指すことなどによって燃料価格変動リスクの分散に努めている。

電気事業には、燃料価格及び為替レートの変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」が適用されるが、燃料価格などが著しく変動した場合には、企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

 

(6) 自然災害及び操業トラブルの発生による影響

企業グループは、お客さまに高品質な電力を安定的に供給するため、設備の点検・修繕を計画的に実施し、設備の信頼性向上に努めているが、地震・津波や台風等の自然災害、事故やテロ等不法行為などにより、大規模な停電が発生し、設備の損傷や電源の長期停止などに至った場合は、企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(7) 金利の変動による影響

今後の市場金利の動向及び格付の変更により、企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

ただし、有利子負債残高の多くは固定金利で調達した社債や長期借入金であることなどから、市場金利の変動による影響は限定的と考えられる。

 

(8) 情報流出による影響

企業グループは、大量の個人情報や設備情報など重要な情報を保有している。重要な情報の適切な取扱いを図るため、基準等の整備や従業員に対する教育啓発、委託先管理の徹底等、情報セキュリティ対策の強化を図っているが、重要な情報の流出により問題が発生した場合は、企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(9) 電気事業以外の事業による影響

企業グループは、エネルギー分野では、電気事業を中核に、省エネルギー対策を中心とする付加価値提案型事業(ESCO事業)やガス事業との連携を強化している。また、情報通信事業などのエネルギー分野以外では、選択と集中を徹底しながら、収益性を重視した自立性の高い事業展開を推進している。これら事業の業績は、他事業者との競合状況、ガスシステム改革の進展など、事業環境の変化により影響を受けることがあることから、電気事業以外の事業の業績により、企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(10) 企業倫理に反した行為による影響

企業グループは、企業倫理・法令遵守が全ての事業活動の前提になるとの考えのもと、企業倫理・法令遵守の体制を構築し、定着に向けて取り組んでいるが、法令違反等の企業倫理に反した行為が発生した場合、企業グループに対する社会的信用が低下し、企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものである。

 

(1) 業績の状況

<当社を取り巻く経営環境>

平成29年度は、電力及びガスの小売全面自由化により、全国大で地域や業種を越えた競争や業務提携に大きな進展がみられた。

東北6県及び新潟県においても、電気事業における競争は激化している状況にある。また、平成32年4月には、送配電部門の法的分離(別会社化)が予定されており、そのための組織整備を確実に進める必要がある。

東北地域においては、東日本大震災からの復旧・復興関連工事が高水準で推移していることなどから、緩やかな景気回復が続いた。一方で、被災地の街づくりやなりわいの再生には一部で進展がみられるものの、これからのところも多く、復興は未だ道半ばと言わざるを得ないと認識している。

このようななかで、当社は、コーポレートスローガン「より、そう、ちから。」のもと、お客さまに“より沿う”サービスの充実とともに、被災地をはじめ東北6県及び新潟県の成長・発展に“寄り添う”取り組みに努め、かつてない経営環境の変化にも適切に対応してきた。

 

<販売施策の強化徹底>

競争の激化により、全国的に、従来の電力会社から他の事業者へ契約を切り替えるお客さまが増加している状況にある。こうしたなか、当社は、引き続きお客さまに当社をお選びいただくことを目指し、お客さまのご要望により沿う様々な新サービスを提供してきた。

家庭用分野では、平成29年4月以降、家族人数の多いファミリーなどにおすすめの新料金プラン「よりそうプラスファミリーバリュー」や、LPガス、セキュリティサービス、インターネットサービスと電気を組み合わせたセットプランの提供を順次開始した。さらに、「よりそうeポイント」の交換先拡充など、サービスの充実に向けた取り組みを進めてきた。

法人分野では、お客さまのニーズにより沿う料金メニューのご提案に加え、電化による省エネやガス供給などを組み合わせたトータルエネルギーソリューションを展開してきた。

また、これまでの供給エリアを越えた事業展開として、家庭用分野では、平成30年1月より、さらにお得な料金へ見直した首都圏向け料金プラン「よりそう、でんき」の加入拡大をはかるとともに、法人分野では、東京ガス株式会社と共同で設立した株式会社シナジアパワーを通じた電力販売などを進めてきた。

さらに、電力自由化の進展による市場取引の拡大などを見据え、平成29年6月に、電力と燃料のトレーディング等を行う「東北電力エナジートレーディング株式会社」を設立し、平成30年4月より事業を開始している。

 

<最適な設備形成と再生可能エネルギー導入拡大に向けた取り組み>

火力発電については、原子力発電所が停止しているなか、供給力の中心として安定供給に努めるとともに、高い経済性と環境負荷低減を両立した電源構成の実現に向けた取り組みを進めてきた。具体的には、能代火力発電所第3号機(60万キロワット)の建設工事や上越火力発電所第1号機(57.2万キロワット)の建設計画を着実に推進してきた。

水力発電については、経年化が進行した発電所の大規模改修工事を進め、水資源の有効活用をはかりつつ、発電効率の向上に努めてきた。

送配電については、日々の設備巡視・点検や保修工事などの的確なメンテナンスによりこれまでにも増して安定供給に努めるとともに、新技術の採用等により、一層の効率化を推進してきた。

また、太陽光発電や風力発電など、急増する再生可能エネルギーの当社送電線への接続申し込みについては、受け入れに容量面の制約があることから、広域的な需給調整や送電網の整備計画の策定等を行う電力広域的運営推進機関と連携のうえ、送電網の整備・拡充や工事費の低減等に向けた取り組みを行ってきた。さらに、研究開発センターでの水素製造技術を活用した出力変動対策の研究や、福島県浪江町での大規模水素エネルギーシステムを活用した電力需給バランス調整の実証事業に着手するなど、再生可能エネルギーのさらなる導入拡大に向けた取り組みを進めてきた。

 

 

<原子力発電所の安全性向上に向けた取り組み>

原子力発電については、新規制基準への適合性審査へ的確に対応してきた。女川原子力発電所第2号機については、基準地震動、基準津波に対し「おおむね妥当な検討がなされている」との評価を受け、発電所設備に関する審査も本格化してきている。東通原子力発電所第1号機については、補機冷却海水系取水設備の直下にある敷地内断層等の活動性評価に時間を要していたが、平成30年2月に、設備を別の位置に設置することを決定しており、引き続き基準地震動、基準津波の審査へ的確に対応していく。

なお、安全対策工事については、女川原子力発電所第2号機は平成30年度後半、東通原子力発電所第1号機は平成31年度の完了を目指して取り組んできたが、審査の過程で得られた知見・評価を適宜反映しながら設計や工事を進めていく必要があることなどを踏まえ、全体の工事工程をあらためて評価した結果、女川原子力発電所第2号機は平成32年度、東通原子力発電所第1号機は平成33年度の完了を目指して工事を進めていくこととした。

 

<競争に立ち向かう組織への変革>

当社は、競争の激化や送配電部門の法的分離など、激変する経営環境を踏まえた事業運営体制を構築するため、平成30年4月よりカンパニー制を導入し、発電・送配電・販売事業を担う従来の3本部を「発電・販売カンパニー」及び「送配電カンパニー」に再編した。これにより、カンパニーごとの意思決定や経営管理による自律的かつ機動的な事業運営を目指すとともに、法的分離を見据えた体制で先行的に業務を実施することで、分社時の円滑な組織の移行を目指していく。

発電・販売カンパニーは発電部門と販売部門の総合力による競争力強化と収益拡大により、送配電カンパニーは引き続き電力の安定供給を果たすとともに中立性・公平性の一層の確保に努めていくことにより、企業価値のさらなる向上を実現していく。

なお、原子力発電は、発電所の再稼働を巡る環境を踏まえ、経営直結の「原子力本部」として運営していく。

あわせて、監査等委員会設置会社への移行を見据えて、業務執行を担う「役付執行役員」を新設し、組織面での対応にとどまらず、経営面からも迅速かつ機動的な業務執行をはかるなど、競争環境の大きな変化などに柔軟に対応し、競争に打ち勝っていくための取り組みを進めている。

 

<地域活性化への貢献>

当社は、地域に寄り添う取り組みとして、平成29年2月に地域づくり支援制度「東北・新潟の活性化応援プログラム」を創設し、地域の課題解決に向けて自主的な活動を行っている7団体に対し支援を行った。

さらに、公営水力発電所を運営する岩手・秋田・山形県の3県と連携して新たな電力供給ブランドを設立するなど、これまで以上に地域活性化への貢献にも努めてきた。

 

<決算概要>

当連結会計年度の企業グループの収支については、収益面では、当社において、販売電力量は減少したものの、燃料費調整額の影響などにより電灯・電力料が増加したことや、地帯間・他社販売電力料が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ1,217億円(6.2%)増の2兆713億円、経常収益は前連結会計年度に比べ1,218億円(6.2%)増の2兆777億円となった。

一方、費用面では、減価償却費や修繕費などは減少したものの、太陽光の受電量の増加に伴い購入電力料が増加したことや、燃料価格の上昇により燃料費が増加したことなどから、経常費用は前連結会計年度に比べ1,381億円(7.5%)増の1兆9,893億円となった。

この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ162億円(15.5%)減の884億円となった。

また、当社において、緊急設置電源の廃止などに伴う減損損失を特別損失に計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ227億円(32.5%)減の472億円となった。

 

 

当連結会計年度におけるセグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は次のとおりである。

 

[電気事業]

当社の販売電力量は、前連結会計年度に比べ冬場の気温が低かったことによる暖房需要の増加があるものの、契約電力の減少や夏場後半の気温が低かったことによる冷房需要の減少などから、前連結会計年度に比べ3.0%減の720億キロワット時となった。

このうち、電灯需要については、0.5%減の239億キロワット時、電力需要については、4.3%減の481億キロワット時となった。

これに対応する供給については、原子力発電所の運転停止などに伴う供給力の減少が引き続きあるものの、火力発電所の補修時期の調整などにより安定した供給力を確保した。

 

収支の状況については、売上高は、当社において、販売電力量は減少したものの、燃料費調整額の影響などにより電灯・電力料が増加したことや、地帯間・他社販売電力料が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,273億円(7.4%)増の1兆8,576億円となった。一方、営業費用は、減価償却費や修繕費などは減少したものの、太陽光の受電量の増加に伴い購入電力料が増加したことや、燃料価格の上昇により燃料費が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,445億円(8.9%)増の1兆7,735億円となった。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ171億円(17.0%)減の840億円となった。

 

[建設業]

売上高は、一般民間向けの工事が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ84億円(2.8%)減の2,884億円となった。一方、営業費用は、売上高減少に伴い工事原価が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ69億円(2.5%)減の2,732億円となった。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ15億円(9.0%)減の151億円となった。

 

[その他]

売上高は、ガス事業において増加したことなどから、前連結会計年度に比べ34億円(1.6%)増の2,185億円となった。一方、営業費用は、ガス事業における増加などから、前連結会計年度に比べ71億円(3.5%)増の2,077億円となった。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ37億円(25.7%)減の107億円となった。

 

 

(2) 財政状態の分析

資産は、固定資産において建設仮勘定が増加したことや、流動資産において売掛金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ762億円(1.8%)増の4兆2,221億円となった。

負債は、借入金などの有利子負債は減少したものの、諸前受金や買掛金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ331億円(1.0%)増の3兆4,234億円となった。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ430億円(5.7%)増の7,987億円となった。

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末から0.5ポイント上昇し、17.3%となった。

 

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益が減少したものの、燃料費や他社購入電力料の増加に伴い買掛金が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ458億円(16.5%)増の3,240億円の収入となった。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

工事負担金等受入による収入が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ175億円(6.9%)増の2,739億円の支出となった。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

コマーシャル・ペーパーの償還による支出が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ196億円(35.1%)減の362億円の支出となった。

 

この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ139億円(6.1%)増の 2,421億円となった。

 

また、キャッシュ・フロー指標の変動は次のとおりである。

 

前連結会計年度
(平成28年4月1日から
 平成29年3月31日まで)

当連結会計年度
(平成29年4月1日から
 平成30年3月31日まで)

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

8.8

7.5

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

11.2

14.6

 

(注)1  キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー

    2  インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額

 

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

①資本の財源

 当社は、電気事業における安定供給に必要な発電設備や送配電設備の形成を目的とした設備投資及び社債などの償還資金に充当するため、自己資金のほか、社債の発行及び金融機関からの借入を組み合わせて安定的に資金を調達している。また、短期的な資金需要に対しては、コマーシャル・ペーパーなどを活用し機動的に資金を調達している。

 

②資金の流動性に係る情報

 月次での資金計画などにより資金管理に努めており、また、当座貸越契約やコミットメントライン契約により、必要に応じて資金調達ができる体制を整えることで充分な流動性を確保している。

 

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

当社企業グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため「生産実績」を定義することが困難であり、建設業においては請負形態をとっているため「販売実績」という定義は実態にそぐわない。

よって、生産、受注及び販売の状況については、記載可能な情報を「(1)業績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載している。

なお、当社個別の事業の状況は次のとおりである。

 

① 需給実績

種別

当連結会計年度

(平成29年4月1日から

  平成30年3月31日まで)

前年同期比(%)

発受電電力量

 

 

 

自社

 

 

 

水力発電電力量

(百万kWh)

8,412

121.7

火力発電電力量

(百万kWh)

56,522

100.3

原子力発電電力量

(百万kWh)

新エネルギー等発電電力量

(百万kWh)

842

93.5

他社受電電力量

(百万kWh)

20,408

89.0

融通電力量

(百万kWh)

6,057

△13,761

103.6

116.3

揚水発電所の揚水用電力量

(百万kWh)

△88

189.5

合計

(百万kWh)

78,392

96.7

損失電力量等

(百万kWh)

6,389

94.1

販売電力量

(百万kWh)

72,003

97.0

出水率

(%)

108.3

 

(注) 1 他社受電電力量の中には、連結子会社からの受電電力量(酒田共同火力発電㈱ 4,719百万kWh、東北自然
エネルギー㈱ 574百万kWh他)を含んでいる。

2 融通電力量の上段は受電電力量、下段は送電電力量を示す。

3 揚水発電所の揚水用電力量とは貯水池運営のため揚水用に使用する電力である。

4 販売電力量の中には、自社事業用電力量(80百万kWh)を含んでいる。

5 出水率は、昭和61年度から平成27年度までの30ヶ年平均に対する比である。

 

 

② 販売実績

種別

当連結会計年度

(平成29年4月1日から

 平成30年3月31日まで)

前年同期比(%)

販売電力量(百万kWh)

電灯

23,889

99.5

電力

48,114

95.7

電灯電力 計

72,003

97.0

他社販売

14,026

158.6

融通

6,078

104.9

料金収入(百万円)

電灯

587,361

105.2

電力

838,879

101.2

電灯電力 計

1,426,241

102.8

他社販売

149,335

139.4

融通

60,143

112.2

 

(注) 1 上記金額には、消費税等は含まない。

2 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合がある。

 

③ 資材の状況

 石炭及び燃料油等の受払状況

区分

単位

平成29年
3月末
在庫量

当連結会計年度

(平成29年4月1日から

 平成30年3月31日まで)

平成30年
3月末
在庫量

受入

前年同期比
(%)

払出

前年同期比
(%)

石炭

t

579,588

8,135,978

113.6

8,148,155

112.1

567,411

重油

kl

84,438

411,461

90.9

400,410

73.9

95,489

原油

kl

78,253

211,188

81.7

223,975

75.9

65,466

LNG

t

162,771

4,415,770

99.0

4,360,097

96.0

218,444

 

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はない。

 

 

5 【研究開発活動】

当社企業グループは、電力の安定供給を通じた地域の復興・発展に貢献しながら、お客さまから選択され、地域と共に成長することを目指す「東北電力グループ中期経営方針」等に基づき、研究開発を実施している。

 

現在、研究開発は、当社の研究開発センター及び各連結子会社の設計・開発担当部門などにより推進されており、当連結会計年度における当社及び連結子会社の研究開発費は8,648百万円である。このうち電気事業は7,718百万円、建設業は196百万円、その他は733百万円となっている。

 

[電気事業]

当社の研究開発は、電力の安全確保・安定供給に資する研究開発を根底に据え、「販売・営業力強化」「高効率発電・運用性向上」「再エネ大量連系対応」「先進技術」の重点領域に注力して取り組んでいる。

 

(1) 販売・営業力強化に資する研究開発

需要拡大やサービス創出、離脱防止の実現に向け、ヒートポンプ機器の活用などによるソリューション・電化提案に役立つ研究開発、販売・営業力強化についてのマーケティング技術等に資する研究開発

 

(2) 高効率発電・運用性向上による競争力強化に資する研究開発

次世代高効率ガスタービンを始めとした発電設備の高効率化や再エネとの共生を視野に入れた中長期的な競争力の確保に向けた研究開発

 

(3) 再生可能エネルギー大量連系に係る系統安定化に資する研究開発

再生可能エネルギー(特に太陽光発電)の大量連系に対して、ネットワークに与える影響や系統運用、需給運用などの諸課題の解決及び系統運用安定化に資する電源運用などの研究開発

 

(4) 将来の成長と競争力強化を支える先進技術の獲得に資する研究開発

設備の運用・保守の高度化や効率化、販売・営業力強化など広範囲に適用が期待されるIoT等の新たな情報通信技術に関する研究、水素製造・利用技術や新たなCO2削減技術、未利用エネルギー利用技術などの先進

的技術に関する研究開発

 

[建設業]

(1) 安全確保と品質向上に関する技術開発

電柱建て替えにおける元穴建柱工法の高度化による組立作業の効率化などを目的とした研究・開発や、鉄塔基礎形状の健全性を評価する捻れ振動基礎調査工法の円形柱体への適用拡大に向けた開発  など

 

(2) 収益力拡大に向けた技術開発

再生可能エネルギーの固定価格買取制度の改正に伴い、新ニーズへの対応に向けた太陽光発電設備における保守・メンテナンス手法の研究・開発  など

 

[その他]

(1) 光通信市場向け商品開発

高速光通信市場向け分波モジュール及び偏波カプラの新商品開発並びに量産技術開発  など

 

(2) コスト削減、売上拡大に向けた研究開発

ダム自動制御システム(次期モデル)の開発によるコスト削減や、高速伝送対応開閉器制御用子局の開発など市場の維持・拡大に向けた製品開発  など