第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」

当社企業グループは、東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」において、電力供給事業(発電・卸、送配電)の構造改革とスマート社会実現事業(電力小売含む)の早期収益化によるビジネスモデルの転換を通じ、「東北発の新たな時代のスマート社会の実現」に貢献していくことを2030年代のありたい姿として掲げております。

 

2020年2月の「よりそうnext」の公表以降、電力供給事業においては、再生可能エネルギー新規開発持分の積上げや原子力発電所の安全対策工事、燃料調達から発電・卸売のバリューチェーン最適化、「カイゼン」を通じた送配電部門の効率化・生産性向上等を進めております。また、スマート社会実現事業においては、お客さまニーズを捉えた電気料金プランのご提案や生活・産業関連サービスを拡充している他、東北電力フロンティア株式会社や東北電力ソーラーeチャージ株式会社が事業を開始いたしました。

 

ビジネスモデル転換の取り組みには一定の進捗があるところですが、足もとでは、国際情勢の緊迫化に伴う燃料価格の高止まりが電力販売の収益性に大きな影響を及ぼし、この先の事業環境の不確実性も増しております。また、電気事業を構成する各事業・機能について、直面する市場構造や規制環境に応じ機会やリスクが多様化するとともに、2050年カーボンニュートラル実現に向けた社会潮流が加速し、お客さまのニーズや当社グループへの期待も変化しつつあります。このような事業環境において持続的な成長を遂げるためには、さらなる成果を積み上げていくことが必要と考えております。

 

(2)  2022年度東北電力グループ中期計画の力点とそれに基づく取り組み

当社グループでは、上記のような認識に基づき将来に向けて安定的に収益を確保し成長していくため、グループスローガン「より、そう、ちから。」の下、電力供給事業の構造改革とスマート社会実現事業の早期収益化を進める「よりそうnext」実現の方向性を堅持しながら、3つの力点に基づき取り組みの水準やスピードを一層上げていくこととしております。

《3つの力点》

力点1“Change” 電力供給事業の抜本的変革による競争力の徹底強化

 構造変化する市場環境においても持続的に利益を創出できる事業構造への転換を進め、電力供給事業を構成する各機能が、各々のミッション遂行と利益最大化を両立させる。

力点2“Challenge” スマート社会実現事業の早期収益化への挑戦

 電力小売を切り口とする付加価値の高いサービスパッケージのご提案により競争に打ち勝ち、利益を積み上げるとともに、サービス開発~販売開始のサイクルの高速回転により独自のサービスプラットフォームの構築を加速する。

力点3“Create” 企業価値創造を支える経営基盤の進化

 社会要請やステークホルダーからの期待の変化への感度を高め、グループをあげてESGを中心としたサステナビリティの取り組みを積極的に進める。

 


 

《力点に基づく取り組み》

[発電・販売事業]

再生可能エネルギーの開発については、スマート社会実現事業との連携も視野に再エネ電源全体(風力・太陽光・バイオマス・水力・地熱)を俯瞰した戦略立案・計画策定を行い、開発から運営までを一貫して推進します。200万kWの新規開発目標に向け、他社との協業による開発に加え、これまで蓄積したノウハウを活用し、自社開発の強化や開発エリア拡大等を進め、開発案件を積み上げるとともに、水力・地熱の経年設備の抜本改修等による発電量の維持・拡大及び東北電力リニューアブルエナジー・サービス株式会社を通じた運用・保守事業を展開してまいります。

 

原子力発電に関しては、女川原子力発電所2号機について、“安全対策等のハード対策”と“運転に必要な技術力向上等のソフト対策”による安全性の更なる向上に向けて、2023年11月までの安全対策工事完了に取り組んでまいります。女川原子力発電所3号機については、引き続き適合性審査に向けた検討を進めるととともに、女川原子力発電所1号機については、安全確保を最優先に廃止措置に取り組んでまいります。また、東通原子力発電所1号機については、引き続き、適合性審査に的確に対応してまいります。さらに、設備利用率の更なる向上を目指し、再稼働後の安定運転や定検期間効率化を追求するとともに、停止号機も含めた調達改革や点検数・頻度の見直し、グループ力を活用した業務の内製化等によるコスト低減の実現にも取り組んでまいります。

原子力発電所の運転には、地域社会から信頼をいただくことが不可欠であることから、地域社会等との丁寧な双方向コミュニケーションを通じた情報発信を行い、安全性向上の取り組み等についてご理解いただけるよう取り組んでまいります。

 

火力発電については、厳しい燃料市況でも経済性を確保すべく、効率化施策の深掘りによる調達コスト低減や、需要変動等に応じた燃料調達の弾力性向上に努めます。また、2022年12月の営業運転開始を予定している上越火力発電所1号機による高効率化、既設火力発電所の運用高度化及び経年火力発電所の休廃止を着実に推進することで、火力電源の低炭素化・競争力強化に取り組んでまいります。加えて、火力脱炭素化実証や実装を見据えた事業性評価等のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを着実に展開いたします。

発電・電力卸売としての全体利益の最大化に向けては、トレーディングの活用による市場変化に即応した最適な燃料・電力の取引、市況やお客さま目線を踏まえたご提案、市場別のきめ細かな対応等を進めてまいります。

 

スマート社会実現事業展開の切り口となる電力小売については、市況変化を考慮したきめ細やかな販売・価格戦略の実行と最適なソリューションサービスの展開、お客さまニーズや電気の使い方を起点とした最適な電気料金プランの提案等により、グループの電力小売利益を最大化してまいります。また、お客さまとの接点の拡大・強化や最適メニューの提案力強化につなげるべく、「よりそうeねっと」会員の増加にも取り組むほか、再エネ(環境価値)メニューや電化等の施策を強化するとともに、デジタルマーケティングの活用と対面営業や地元企業との協業などの効果的な組み合わせにより、市場競争を勝ち抜くための販売力・提案力を強化してまいります。

 

個人向けサービスでは、電力小売を切り口とする付加価値の高いサービスパッケージをご提案し、サービスプラットフォームの構築を加速すべく、東北電力本体と東北電力フロンティア株式会社の両社が一体となり、それぞれの強みを最大限に発揮しながら、商品・サービスを拡大するとともに、お客さまとの接点強化を図り、段階的に自社開発サービスを充実してまいります。また、個別サービスとして、暮らしの困りごとをワンストップで解決するサービスやお客さまご自身の時間やご家族との時間を楽しむサービス等を提供し、競合に先駆けてお客さまの快適・安全・安心に貢献するパッケージサービスを拡大させ、サービス提供基盤の構築につなげてまいります。

 

次世代エネルギーサービスでは、VPP事業の取り組みを加速するとともに、カーボンニュートラルの実現に向けた情勢を踏まえて、太陽光発電や蓄電池等の分散電源ビジネスの拡大、オール電化と蓄エネルギー・創エネルギー・エネルギーマネジメント等を組み合わせたスマートライフ電化の提案を強化してまいります。また、スマートシティ等の地域プロジェクトへの参画等、エネルギーに関する地域の課題解決力の拡充にも取り組んでまいります。 

 

 

[送配電事業]

送配電については、送配電網の的確な設備形成・運用を継続するとともに、カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギー大量導入を見据え、大規模系統整備、既存系統の有効活用の推進、系統・需給運用技術の高度化等による電力の安定供給と電力品質維持の確保に的確に対応してまいります。また、2023年度からの新託送料金制度のもとでも安定的な利益を創出するために、デジタル技術の活用、他社での取組事例の導入、業務プロセスの抜本的な見直しや最適な業務運営体制構築など効率化の取り組みを継続・深掘りするとともに、「カイゼン」を企業文化に根付かせ、持続的な効率化・生産性向上に取り組んでまいります。加えて、東北電力ネットワーク株式会社の資産や運用ノウハウ等を活用した新規事業創出による収益の獲得に挑戦するとともに、電化への取り組みを推進してまいります。

 

[サステナビリティ]

社会要請やステークホルダーからの期待の変化への感度を高め、グループをあげてESGを中心としたサステナビリティの取り組みを積極的に進めることとし、サステナビリティ方針、及びサステナビリティ推進会議の下、ステークホルダーの期待に応える事業基盤を整えながら、電力供給事業・スマート社会実現事業を通じて社会課題を解決する、東北電力グループならではのサステナビリティを推進いたします。

 

このうち、環境面(E)では特にカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを強化し、「東北電力グループカーボンニュートラルチャレンジ2050」のもと、「再生可能エネルギーと原子力発電の最大限活用」(再エネ200万kWの新規開発に向けた案件積み上げ、原子力発電所の早期再稼働と再稼働後の安定運転等)、「火力電源の脱炭素化」(新潟火力発電所における水素・アンモニア混焼実証、能代火力発電所におけるブラックペレット混焼実証、発電所遊休地でのバイオマス原料の試験栽培等)、「電化とスマート社会実現」(熱源転換など電化導入のご提案と分散型電源による事業拡大、再生可能エネルギーアグリゲーション事業の推進、EV普及に向けた社用車電動化の推進等)の3つの柱を中心にCO2排出削減を加速してまいります。

 


 

 

社会面(S)では、人財ポートフォリオを活用した人材の相互融通や人材発掘等、事業戦略に応じたグループワイドの人財戦略を実行し、事業体制・運営との連動を図ってまいります。

 

 


また、一人ひとりの意識・行動変革と、ICTツールの活用によるテレワークの本格展開等により、最適な働き方を自律的に追求し、働きがいと生産性を向上するとともに、性別、年齢、経歴、障がいの有無等にかかわらず、多様な人材が能力を最大限発揮できる職場づくりを推進し、お客さまニーズの多様化への対応力も強化してまいります。さらに、安全最優先の文化の構築や、地域ニーズや地域課題解決の芽の発掘につなげる地域との積極的なコミュニケーション、グループの各事業(者)・機能が各々の役割を的確に果たすことによるエネルギーの安定供給の確保にも努めてまいります。

 

ガバナンス(G)に関しては、機動性と的確な経営管理に配慮したガバナンス体制を構築するとともに、自然災害・設備事故リスク、市場リスク(燃料・電力等)、気候変動リスク、情報リスク等の各種リスクに対し、「統合リスクマネジメント会議」の下、「統合リスク管理方針」を策定し、関係会議体と連携を取りつつ、リスク抽出・評価・対策等のリスク管理サイクルを展開しながら、的確なリスク管理を実施してまいります。

 

 

(3)財務目標達成に向けた取り組みについて

当社企業グループは、「よりそうnext」において、現下の需給・収支の構造変化に伴う収益低下を抑止し、成長のための資源投入を加速するため、“キャッシュ創出力”に着目した指標として「連結キャッシュ利益」を財務目標に採用するとともに、達成すべき最低限の水準として「2024年度に3,200億円以上」を設定しており、引き続き、電力供給事業の構造改革などを通じて、財務目標の達成に取り組んでまいります。

なお、燃料価格及び為替レートの著しい変動は、当社企業グループの中核である電力供給事業に大きな影響を及ぼすことから、今後のエネルギー市場の動向が当社の事業環境に与える影響を見定める必要があると考えております。

 

※連結キャッシュ利益=営業利益+減価償却費+核燃料減損額+持分法投資損益(営業利益は、燃料費調整制度のタイムラグ影響を除く。)

 

 


 

2 【事業等のリスク】

当社企業グループの中核である電気事業は、電力の安定供給のために発電設備や流通設備、燃料の確保等が必要不可欠であり、設備の損傷や電源の長期停止といった設備リスクは、事業運営における重要なリスクとして認識しております。また、電気という日常生活、産業活動に不可欠なインフラを供給するという社会的使命を果たす電気事業は、国のエネルギー政策の動向や関連する制度措置の見直しといった規制リスクを有しており、事業環境における重要なリスクとして認識しております。加えて、電気事業における主要コストである火力燃料費は、原油などのCIF価格及び為替レートの変動の影響を大きく受けることなどから、市場リスクについても重要なリスクとして認識しております。
 これらのリスクが顕在化した場合には、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があると認識しており、当社企業グループでは、これらのリスクの低減に努めるとともに、発生した場合は、的確な対応に努めております。
 以下では、当社企業グループの業績及び財政状態への影響が大きいリスクを取り上げておりますが、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであり、全てのリスクを網羅している訳ではありません。当社企業グループの事業は、現在は未知のリスク、あるいは現時点では重要と見做されていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
 なお、当社は、経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについて、社長執行役員を議長とする統合リスクマネジメント会議を設置し、統合リスク管理方針を定め、モニタリング・リスクマネジメントを行うとともに、各部門は定期的に事業活動に係るリスクの抽出・評価を行い、その対策等を毎年度策定する事業計画に織り込み、管理サイクルの中でリスク管理を実践しております。

 

【リスク管理体制図】

 


 

 

(1)設備リスク等の事業運営におけるリスク

a.自然災害及び設備事故の発生による影響

 影響度:極めて大きい

 重要性:特に高い

 

 地震・津波や台風等の自然災害、戦争、事故やテロ、サイバー攻撃等の不法行為や設備トラブルの発生などにより、当社が出資や受電する他社の発電所を含め設備が損傷した場合や電源の長期停止、重要システムの停止などに至った場合は、設備復旧費用や発電費用の上昇などにより、当社企業グループの業績及び財政状態は重大な影響を受ける可能性があります。
 当社企業グループは、これらの設備リスクを低減し、お客さまに高品質な電力を安定的に供給するため、設備の点検・修繕を計画的に実施するとともに、サイバーセキュリティ対策を講じ、設備の信頼性向上に努めるとともに、「東北電力グループ安全・保安方針」を制定し、労働安全・設備保安に係る取り組みの充実を図っております。

 

 

 

(2)規制リスク等の事業運営におけるリスク

a.電気事業を取り巻く制度変更等による影響

 影響度:大きい

 重要性:特に高い

 

 非化石価値取引市場やベースロード市場、容量市場、需給調整市場等の市場取引における制度変更や電力システム改革の進展、国内外のエネルギー政策の動向、それによる電気事業者及び他エネルギー事業者との競争の進展、環境関連規制の強化等による設備対策の増加などにより、当社企業グループの業績及び財政状態は長期にわたり影響を受ける可能性があります。
 このため、国のエネルギー政策動向や電気事業を取り巻く制度変更等に関して、引き続き動向を注視してまいります。

 

 

 

b.原子力発電を取り巻く制度変更等による影響

 影響度:大きい

 重要性:特に高い

 

 原子力発電を取り巻く環境が厳しさを増している中、今後の政策・規制変更、新規制基準への対応や訴訟等の結果により、当社が保有するあるいは当社が受電する原子力発電所の停止が長期化する場合など、火力燃料費の増加継続などにより、当社企業グループの業績及び財政状態は長期にわたり影響を受ける可能性があります。
 当社は、安全確保を最優先に原子力を一定程度活用していくことが重要と考えており、新規制基準への適合に加え、さらなる安全性向上に向けて自主的な対策を進めるなどの取り組みを行っております。
 なお、一定の前提を置いた試算ではありますが、女川原子力発電所2号機が再稼働した場合は年間で400億円程度、東通原子力発電所1号機が再稼働した場合は年間で250億円程度の火力燃料費が減少するものと想定しております。

 

 

 

c.原子力のバックエンド事業等のコストの変動による影響

 影響度:極めて大きい

 重要性:特に高い

我が国は、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としており、使用された原子燃料の処理・処分等に係るバックエンド事業については、関係法令等に基づき実施しております。

原子力のバックエンド事業等のコストについては下表のとおりです。なお、原子力のバックエンド事業は超長期の事業で不確実性を伴いますが、国による制度措置等により事業者のリスクが軽減されております。

 

内容

関連法令等

制度措置等

使用済燃料の再処理等に要するコスト

原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律

使用済燃料再処理機構に対し、原子力発電所の運転に伴い発生する使用済燃料の量に応じた拠出金を納付

使用済燃料の再処理後に生じる特定放射性廃棄物の最終処分に係るコスト

特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律

原子力発電環境整備機構に対し、原子力発電所の運転に伴い発生する特定放射性廃棄物等の量に応じた拠出金を納付

原子力発電施設を解体するために要するコスト

原子力発電施設解体引当金に関する省令

原子力発電施設解体引当金等取扱要領に定められた算式により算定した原子力発電施設解体費の総見積額を見込運転期間にわたり定額法で費用計上

 

 

ただし、国の政策変更や、関連する制度措置の見直し、将来費用の見積額の変動、再処理施設の稼働状況等により、費用負担が増加するなど、当社企業グループの業績及び財政状態は長期にわたり影響を受ける可能性があります。

このため、原子力のバックエンド事業等に係る国の政策や関連する制度措置の動向に関して、引き続き動向を注視してまいります。

 

 

d.気候変動に関するリスク

 影響度:大きい

 重要性:特に高い

 

 自然災害の激甚化による設備被害増大など、気候変動による影響を受けた場合、当社企業グループの業績及び財政状態は長期にわたり影響を受ける可能性があります。
 また、脱炭素社会への移行が国際的に求められている中、化石燃料を使用した火力電源の稼働・資金調達には一定の制約等がありうることを認識しており、日本政府においても2050年カーボンニュートラルを目指すことが示されるなど、社会全体にとって、気候変動への対応はこれまで以上に重要な課題となっております。
 このような状況を踏まえ、「東北電力グループ“カーボンニュートラルチャレンジ2050”」のもと、火力電源の脱炭素化に加えて、再生可能エネルギーと原子力発電の最大限活用及びスマート社会実現事業の展開を中心としたCO2排出削減などの緩和策を加速させるとともに、自然災害へのレジリエンス向上などの適応策に引き続き取り組んでおります。

 

 

 

(3)価格変動等の市場リスク

a.需要及び販売価格の変動による影響

 影響度:大きい

 重要性:特に高い

 

 電気事業における販売電力量や託送電力量並びに販売価格は、電力小売全面自由化による競争激化、少子高齢化による人口減少や景気動向、気温の変動、さらには省エネルギーの進展などによって変動することから、当社企業グループの業績及び財政状態は重大な影響を受ける可能性があります。

当社企業グループは、小売のみならず、卸売でのさらなる販売拡大により、域外での販売電力量の拡大を引き続き推進していくほか、電気の価値の最大化に向けた電力市場化を踏まえたトレーディング機能の活用に取り組んでおります。

 

 

 

b. 燃料費、購入電力料の変動による影響

 影響度:大きい

 重要性:特に高い

 

 電気事業における火力燃料費や購入電力料等は、石炭、LNG、重・原油などのCIF価格及び為替レートや、卸電力取引所価格の変動による影響を受けます。電気事業には、燃料価格及び為替レートの変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」が適用されますが、火力発電所の稼働状況や燃料価格などが著しく変動した場合には、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
 このため、当社は、バランスのとれた電源構成を目指すことなどによって燃料費変動リスクの分散に努めております。
 また、年間降雨降雪量により、豊水の場合は燃料費の減少要因、渇水の場合は燃料費の増加要因となりますが、「渇水準備引当金制度」により一定の調整が図られるため、業績への影響は限定的と考えられます。
 なお、当社火力燃料費は、一定の前提を置いた試算ではありますが、1バレル当たりの原油価格が1米ドル変動すると年間23億円、1米ドルの為替レートが1円変動すると年間38億円、出水率が1パーセント変動すると年間10億円の変動影響があるものと想定されますが、火力発電所の稼働状況などにも影響を受けるため、燃料価格及び為替レートのみで決定はされません。

 

 

 

c. 金利の変動による影響

 影響度:大きい

 重要性:高い

 当連結会計年度末の有利子負債残高は2兆7,603億円となりました。当社では、金利の変動影響を回避するため、固定金利での資金調達を基本としておりますが、今後の市場金利の動向及び格付の変更により、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があり、金利が1パーセント変動すると年間33億円の影響があると試算されます。
 ただし、有利子負債残高の多くは固定金利で調達した社債や長期借入金であることなどから、市場金利の変動による影響は限定的と考えております。

 

 

d. 退職給付費用・債務の変動による影響

 影響度:大きい

 重要性:高い

 

 退職給付費用及び債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出しております。割引率や運用利回りの変動により、当社企業グループの業績は影響を受ける可能性があります。
 このため、企業年金資産の分散投資によるリスク低減や、連合型確定拠出年金制度の導入により、当社企業グループ全体での退職給付債務の削減による財務リスクの軽減を図り、業績への影響緩和に努めております。

 

 

 

 

(4)その他のリスク

a.情報流出による影響

 影響度:大きい

 重要性:高い

 

 当社企業グループは大量の個人情報や設備情報など重要な情報を保有しており、重要な情報の流出により問題が発生した場合は、損害賠償金の支払いや当社企業グループに対する社会的信用の低下などにより、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
 当社企業グループでは、重要な情報の適切な取扱いを図るため、基準等の整備や従業員に対する教育啓発、委託先管理の徹底等、情報セキュリティ対策の強化を図っております。

 

 

 

b. 企業倫理に反した行為による影響

 影響度:大きい

 重要性:高い

 

 法令違反や人権侵害等の企業倫理に反した行為が発生した場合、法令上の罰則や当社企業グループに対する社会的信用の低下などにより、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
 当社企業グループでは、企業倫理・法令遵守が全ての事業活動の前提になるとの考えのもと、企業倫理・法令遵守の体制を構築し、定着に向けた啓発活動等に取り組むとともに、「東北電力グループサステナビリティ方針」のもと、誠実で公正な事業活動を行うとともに、ステークホルダーの期待に応え、企業としての社会的責任を果たしてまいります。

 

 

 

c. 新型感染症拡大による影響

 影響度:大きい

 重要性:高い

 

 新型コロナウイルス等の新型感染症の拡大が長期化した場合、消費の低迷や生産活動の停滞等による電力需要の減少や発電所の稼働に制約が生じる等によって、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
 また、当社管内での流行時には発電所の運転人員等の確保や、世界的な感染拡大の状況によっては発電燃料の調達に影響を及ぼす可能性があります。
 当社では、感染症の大規模流行に備え、電力の安定供給を維持するための事業継続計画を策定しており、当社管内の流行段階に応じて、縮小や中断が可能な業務から順次業務を絞り込みながら業務運営を行うこととしているほか、燃料の調達ソースの多様化・分散化により調達安定性を確保し、燃料の供給が途絶するリスクの低減を図り電力の安定供給に努めていくとともに、中長期的な事業環境変化にも対応していくこととしております。

 

 

 

d. 電気事業以外のリスク

 影響度:大きい

 重要性:高い

 

 スマート社会実現事業を含めた従来の電気事業以外の事業の業績は、他事業者との競合状況や、ガスシステム改革の進展などの事業環境の変化により、売上・利益の減少などの影響を受けることがあることから、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
 当社企業グループでは、従来の電気事業の枠を超え、エネルギーとサービスのトータルパッケージでの提供やソリューションサービスの充実化を図ることで、競争力の強化を進めながら、スマート社会の実現に貢献し、早期収益化に挑戦していくこととしております。

 

 

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)事業の経過

① 企業グループを取り巻く経営環境

2021年度のわが国経済は、持ち直しの動きがあるものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が続いており、一部に弱さがみられ、物価上昇傾向にあります。東北地域においても同様の傾向にあります。

電力業界においては、電力小売全面自由化以降続く競争の激化、激甚化する大規模自然災害及びカーボンニュートラルに向けた取り組みなど、電気事業を取り巻く経営環境に多くの課題が顕在化しております。加えて、当社においては、本年3月の福島県沖を震源とする地震による発電設備などへの甚大な被害や、世界的な燃料価格の高騰により、非常に大きな影響が生じております。

このような中、当社企業グループは、東北電力グループスローガン「より、そう、ちから。」のもと、電力供給事業を基盤としながら、スマート社会実現事業の早期収益化に向け、これまで以上にお客さまや地域のみなさまのご期待に応えつつ、地域とともに持続的に成長していくため、様々な施策を展開してまいりました。

 

[発電・販売事業]

② スマート社会実現事業の取り組み

成長事業であるスマート社会実現事業については、電力小売を事業展開の切り口と位置付け、早期収益化に向けた取り組みを進めてまいりました。

お客さまのニーズや電気の使い方に応じた提案を行うとともに、電気とサービスのパッケージにより快適・安全・安心を届けるため、サービスの拡充に努めてまいりました。具体的には、電気設備と水回りのトラブルに対応する「すまい安心サポート」の提供エリアの拡大や、自家消費型太陽光システムの提案などに取り組んでまいりました。

スマート社会実現事業の中核的な役割を担うために設立した東北電力フロンティア株式会社においては、電気と動画配信サービスを組み合わせたバンドルサービスである「シンプルでんき With Netflix」の提供を開始いたしました。加えて、キャンプ用品レンタルサービス、絵本の定期購入サービス、リユース子供服の購入サービス及び賃貸住宅向けの保険など、暮らしを彩る様々なサービスを提供してまいりました。

東北電力ソーラーeチャージ株式会社においては、太陽光発電設備と蓄電池を活用した「あおぞらチャージサービス」の提供を進め、東北6県及び新潟県に加え関東エリアでの販売を開始いたしました。

また、地域の社会課題の解決に資する事業アイデアを募集する「TOHOKU EPCO BUSINESS BUILD」を実施し、新しい雇用の仕組みを活用したサービスなどの事業化を目指してまいりました。加えて、東北大学との間で連携・協力に関する協定を締結し、安心・安全で持続可能なグリーンかつスマートな未来社会の実現推進に取り組んでおります。

今後、サービス開発から販売開始のサイクルを早め、独自のサービス提供基盤の構築を加速するとともに、電力小売を切り口とする付加価値の高いサービスパッケージを提案することで、競争に打ち勝ち、早期収益化を図ってまいります。

 

③ 持続的な利益創出に向けた取り組み

電力販売については、競争激化による小売販売単価の低下や世界的な燃料価格の高止まりによるコストの増加により、非常に厳しい状況にあります。

このような中、電力小売については、競争環境の変化や市況の動向を踏まえ、収益性を重視した販売活動に取り組んでまいりました。また、多様化するお客さまニーズにお応えするため、家庭用のお客さまには、「70周年記念ご愛顧感謝キャンペーン」を実施するとともに、東部ガス株式会社などと提携し、電気とガスのセット販売に取り組んでまいりました。法人のお客さまには、カーボンニュートラル推進の動きを受け、環境価値を付加した電気料金メニュー及び太陽光発電設備の導入提案などを強化するとともに、サステナブル農業の実現に向けたソリューションサービスの提供を開始いたしました。

電力卸売については、東北電力エナジートレーディング株式会社による電力取引市場や燃料先物の活用など、柔軟な契約条件の設定や市場環境の変化をとらえた各種取引を行うことで収益力強化に取り組んでまいりました。

 

 

④ 再生可能エネルギーに関する取り組み

再生可能エネルギーについては、風力発電を主軸に、水力発電、太陽光発電、地熱発電、バイオマス発電を含めて、200万kWの開発を目指しており、開発案件が事業化された場合の持分出力の累計は約60万kWとなっております。

具体的には、田子風力発電事業(青森県、秋田県)の開発可能性調査を実施するとともに、鳥海南(山形県)や新潟東港(新潟県)におけるバイオマス発電事業に参画するなど、新たに7件の開発に取り組んでまいりました。

また、昨年4月、再生可能エネルギー電源及び関連設備のメンテナンス、オペレーション、トレーニングなどのサービスを提供することを目的に「東北電力リニューアブルエナジー・サービス株式会社」を設立いたしました。

引き続き、再生可能エネルギー発電事業の開発から運用・保守などライフサイクル全般に関与していくことで、地域に豊富に賦存する再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでまいります。  

 

⑤ 原子力発電所の安全性向上

原子力発電については、新規制基準への適合にとどまらず、より高いレベルでの安全確保に向けて、最新の知見も取り入れながら、設備面と運用面の両面から、さらなる安全性の向上に取り組んでまいりました。

女川原子力発電所2号機については、昨年12月、原子力規制委員会から工事計画認可をいただきました。安全対策工事については、2022年度の完了を目指して取り組んでまいりましたが、あらためて工事完了時期について評価した結果、原子炉格納容器の圧力抑制室の狭隘な場所において並行して行う複数の工事が工程に与える影響を考慮し、2023年11月の工事完了を目指していくことといたしました。また、本年1月には、特定重大事故等対処施設の設置に関し、原子力規制委員会に原子炉設置変更許可申請を行いました。本年2月には、国主催の原子力総合防災訓練に参加し、発電所の事故収束訓練、国や自治体との情報連携訓練及び避難退域時検査の要員派遣などに適切に対応いたしました。

 

⑥ 発電・卸売の競争力向上、脱炭素の取り組み

燃料市場や電力市場が大きく変化するなかでも競争力を高めるため、当社と東北電力エナジートレーディング株式会社が連携し、燃料調達から発電、卸売のバリューチェーンの最適化に取り組んでまいりました。また、電源の競争力を高めつつ環境性を確保するため、経年火力発電所の休廃止を進めるとともに、世界最高水準の熱効率を有する上越火力発電所1号機の建設を着実に進め、本年3月には試運転を開始しております。

昨年3月、2050年カーボンニュートラルへの挑戦に向け、“カーボンニュートラルチャレンジ2050”を策定し、取り組みの柱の1つとして、「火力の脱炭素化」を進めることとしており、各種実証を進めております。

新潟火力発電所においては、LNG火力の脱炭素化に向け、燃焼時にCO2を排出しない水素・アンモニア混焼の設備への適応性評価などに取り組んでまいりました。石炭火力の能代火力発電所においては、さらなるバイオマス燃料の混焼率向上を目的として、木質チップよりも高い熱エネルギーを有するブラックペレット混焼の設備への適応性評価などに取り組んでまいりました。

 

 

 

 

[送配電事業]

⑦ 災害対応と電力設備の強靱化

東北電力ネットワーク株式会社は、激甚化する大規模自然災害への備えやこれまでの経験を踏まえ、電力の安定供給に努めてまいりました。

このような中、昨年8月の青森県下北地区に甚大な被害をもたらした台風9号に伴う停電や、本年3月の最大震度6強を観測した福島県沖を震源とする地震に伴う停電に対し、当社と適切に連携しつつ防災体制を整え、迅速な停電復旧に努めました。また、災害対応力の向上などを目的に、東日本電信電話株式会社や海上保安庁との間で、相互協力に関する覚書などを締結いたしました。さらに、お客さまへのサービス向上のため、AIを活用した停電に関する問い合わせへの自動応答を開始するとともに、一般送配電事業者10社による停電や電柱・電線などの送配電設備に係るチャット受付対応を開始いたしました。これによりお客さまをお待たせすることなく、最新の停電情報などを伝えることが可能となりました。

引き続き、大規模停電を回避する設備形成や維持運用、様々な事業者との連携による災害対応力の向上に取り組んでまいります。

 

⑧ 再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取り組み

 安定供給の維持と再生可能エネルギー導入拡大を実現するため、電力ネットワークの環境整備を進めてまいりました。具体的には、東北北部募集プロセスや東北東京間連系線などの系統整備計画の着実な推進、既存電力系統の最大限の有効活用、需給・系統運用技術の高度化及び再生可能エネルギー出力予測精度のさらなる向上など技術的課題への対応に取り組んでまいりました。

また、内燃力発電が主体である佐渡島において、安定供給の維持と再生可能エネルギーの最大限の活用を目指し、太陽光発電や蓄電池、エネルギーマネジメントシステムなどを組み合わせた最適な電力需給制御の実現に向けた取り組みを開始いたしました。東北電力ネットワーク株式会社においても、引き続き、“カーボンニュートラルチャレンジ2050”の実現に向け、電力ネットワークの高度化を通じ、安定供給の維持と電源の脱炭素化に向けた環境整備などに積極的に挑戦してまいります。

 

 

(2)経営成績の分析

当連結会計年度の販売電力量の状況については、当社において、販売電力量(小売)が、新型コロナウイルスの影響で大幅に減少した前年度からの反動などにより増加したことから、販売電力量(全体)は、841億kWh(前年度比 1.9%増)となりました。

売上高は、「収益認識に関する会計基準」の適用による影響などから、2兆1,044億円となり、前連結会計年度に比べ、1,823億円(8.0%)の減収となりました。なお、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更) 1収益認識に関する会計基準等の適用」に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」等の適用前と比べ、4,529億円減少しておりますが、費用も同額減少していることから、利益に影響を与えるものではありません。

経常損益については、減価償却方法の変更により減価償却費が減少したものの、燃料価格の高騰による燃料費調整制度のタイムラグ影響に加え、卸電力取引市場の価格上昇や、昨年2月及び本年3月に発生した福島県沖を震源とする地震に伴う火力発電所の停止により、電力調達コストが増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,167億円減少し、492億円の損失となりました。

また、親会社株主に帰属する当期純損益は、関係会社株式等の売却益を特別利益に、本年3月に発生した福島県沖を震源とする地震に伴う被害設備の復旧に要する費用や東北電力ネットワーク株式会社におけるインバランス収支還元損失※1、※2を特別損失に計上したことに加え、最近の業績動向等を踏まえ繰延税金資産の回収可能性について検討した結果、繰延税金資産の一部を取崩したことにより法人税等調整額が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,377億円減少し、1,083億円の損失となりました。

なお、当連結会計年度における連結キャッシュ利益※3は2,573億円となりました。

 

※1 インバランス

発電・小売電気事業者等が電力広域的運営推進機関を通じて一般送配電事業者へ提出した日々の発電・需要の計画と実績の差分のこと。一般送配電事業者は、この差分を補給もしくは購入した後、インバランス料金単価に基づき精算しております。

 

※2 インバランス収支還元損失

2021年12月に開催された「総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会」において、2021年1月の電力需給ひっ迫により高騰したインバランス料金のうち、200円/kWh(税抜)及び市場価格を超えた単価によって算定された小売電気事業者等の負担額を、将来の託送料金から毎月定額を差し引いて調整を行うことが取り纏められました。これを踏まえ、東北電力ネットワーク株式会社では、当該調整を実施するため、2022年1月27日に特例認可申請(電気事業法第18条第2項ただし書きによる措置)を行うとともに、その調整額を連結決算において特別損失として計上しております。

 

※3 「東北電力グループ中長期ビジョン『よりそうnext』」において「連結キャッシュ利益」を財務目標とし

て設定しております。(2024年度に3,200億円以上を目標)

「連結キャッシュ利益」= 営業利益+減価償却費+核燃料減損額+持分法投資損益

(営業利益は、燃料費調整制度のタイムラグ影響を除く。)
 

ウクライナ情勢の悪化などにより世界的にエネルギー価格が上昇し、燃料価格の動向が不透明感を増している中で、地震により被災した一部の火力発電所が停止したままであり、非常に厳しい経営環境が継続しているものと受け止めております。

当社としては、被災発電所の早期復旧に全力で取り組み供給力の安定化を図るとともに、契約内容の見直しなど、販売面での収益性の向上や、収支改善の取り組みをさらに深堀りし、悪化した財務体質の回復に努めてまいります。

 

 

 


 

当連結会計年度におけるセグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は次のとおりであります。

[発電・販売事業]

当社の販売電力量(小売)は、前連結会計年度に比べ夏場の気温が低かったことによる冷房需要の減少や競争の進展による契約の切り替えがあったものの、新型コロナウイルス影響の反動などにより、業務用・産業用での稼動が増加していることから、2.1%増の673億kWhとなりました。このうち、電灯需要は、4.5%減の210億kWh、電力需要は、5.4%増の464億kWhとなりました。また、販売電力量(卸売)は、卸電力市場取引などが減少したものの、東北6県及び新潟県での卸売が増加したことなどから、0.9%増の167億kWhとなりました。

この結果、当社の販売電力量(全体)は、1.9%増の841億kWhとなりました。

売上高は、「収益認識に関する会計基準」の適用による影響などから、1兆6,028億円となり、前連結会計年度に比べ、1,327億円(7.6%)の減収となりました。(「収益認識に関する会計基準」等の適用影響 3,170億円 減少)

経常損益は、燃料価格の高騰による燃料費調整制度のタイムラグ影響に加え、卸電力取引市場の価格上昇や、福島県沖を震源とする地震に伴う火力発電所の停止により、電力調達コストが増加したことなどから、前連結会計年度に比べ969億円減少し、830億円の損失となりました。

 

[送配電事業]

当年度のエリア電力需要(kWh)は、前連結会計年度に比べ空調機器の稼動減などにより低圧が減少したものの、産業用その他における生産動向などにより高圧・特別高圧が増加したことから、2.8%増の790億kWhとなりました。

売上高は、「収益認識に関する会計基準」の適用による影響などから、7,931億円となり、前連結会計年度に比べ、608億円(7.1%)の減収となりました。(「収益認識に関する会計基準」等の適用影響 1,352億円 減少)

経常利益は、減価償却方法の変更により減価償却費が減少したことなどから、409億円となり、8百万円の増と前連結会計年度並みとなりました。

 

[建設業]

売上高は、配電工事や原子力関連の改良工事が増加したことなどから、2,999億円となり、前連結会計年度に比べ、287億円(10.6%)の増収となりました。

これにより、経常利益は、117億円となり、前連結会計年度に比べ、13億円(13.3%)の増益となりました。
 

 

 

[その他]

売上高は、ガス事業における増加などがあったものの、製造業や情報通信業における減少などにより、2,073億円となり、前連結会計年度に比べ8億円(0.4%)の減収となりました。

経常利益は、ガス事業における原料費増加などにより、100億円となり、前連結会計年度に比べ、7億円(6.9%)の減益となりました。

 

(3) 財政状態の分析

資産は、女川原子力発電所2号機の安全対策工事や、上越火力発電所1号機新設工事などにより建設仮勘定が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ、2,545億円(5.7%)増の4兆7,256億円となりました。

負債は、建設工事などに充てるための有利子負債が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ、3,771億円(10.6%)増の3兆9,466億円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ、1,225億円(13.6%)減の7,789億円となりました。
 

 

 

(4) キャッシュ・フローの状況の分析

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

燃料価格の上昇により燃料購入支出が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,204億円(55.3%)減の971億円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投融資による支出が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ672億円(26.4%)増の3,221億円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入れによる収入が増加したことなどから、前連結会計年度の支出から収入に転じ、2,932億円の収入(前連結会計年度は57億円の支出)となりました。

 

この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ688億円(32.8%)増の2,784億円となりました。

 

フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ1,888億円(833.3%)減の△2,115億円となりました。

 

   ※ フリー・キャッシュ・フロー

     <算出方法>

       営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー - 利息及び配当金の受取額

            - 利息の支払額

                                              (単位:億円)

 

  前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日

  当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日

増 減

営業活動によるキャッシュ・フロー(A)

2,176

971

△1,204

投資活動によるキャッシュ・フロー(B)

△2,549

△3,221

△672

利息及び配当金の受取額(C)

11

10

△0

利息の支払額(D)

△157

△145

12

フリー・キャッシュ・フロー(A+B-C-D)

△226

△2,115

△1,888

 

 

 

また、キャッシュ・フロー指標の変動は次のとおりであります。

 

前連結会計年度
(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日)

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

11.2

28.4

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

13.8

6.7

 

(注)1  キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー

    2  インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

① 資金調達方針並びに状況

当社は、電気事業における安定供給に必要な設備投資、社債などの償還資金への充当及び東北電力グループ中長期ビジョンに掲げた再生可能エネルギー事業、スマート社会実現事業への投資などの資金需要に対し、資金調達環境の動向や有利子負債、現金及び現金同等物の適正な保有額を総合的に勘案し、社債の発行及び、金融機関からの借入金等を組み合わせて安定的に資金を調達しております。

社債については、当連結会計年度において、一般担保付社債を総額2,500億円発行しております。これらは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりA+、株式会社日本格付研究所(JCR)よりAAの長期債格付を取得しております。なお、当社は、2020年3月27日に「電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第47号)」(平成27年6月成立)に基づき、経済産業大臣の認定のもと、2020年度から5年間に限り、一般担保付社債の発行が可能となる経過措置を受けております。

また、当社は、2021年8月に当社として初めてとなるグリーンローンによる資金調達を実施し、その後計4回のグリーンローンを実施するなど、再生可能エネルギー事業に対する積極的な取り組みを資金調達面から支えるとともに、さらなる資金調達の多様性や安定性の確保に努めております。

 

上記による資金調達の結果、当連結会計年度末の社債発行残高及び借入金残高はそれぞれ1兆2,750億円、1兆3,853億円となっております。

短期的な資金需要に対しては、機動的なつなぎ資金調達の手段としてコマーシャル・ペーパーなどを活用しております。コマーシャル・ペーパーは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりa-1の短期債格付を取得しており、当連結会計年度は2,000億円の発行限度枠を設定しております。

 

② 資金の流動性に係る情報

当社は、月次での資金計画などにより、資金需要を的確に把握することに努めるとともに、金融機関との間に当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結していることから、電力需要の変動などに伴い、営業活動によるキャッシュ・フローが減少した場合でも、必要に応じて極度枠の範囲内で速やかに資金調達ができる体制を整えることにより、充分な流動性を確保しております。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

当社企業グループは、固定資産の減損、繰延税金資産、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。

 

(6) 生産、受注及び販売の実績

当社企業グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため「生産実績」を定義することが困難であります。また、建設業においては請負形態をとっており、「販売実績」という定義は実態にそぐわないため、生産、受注及び販売の実績については、記載可能な情報を「(2)経営成績の分析」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。

なお、当社個別の事業の状況は次のとおりであります。

 

① 供給力実績

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年度比(%)

自社発電電力量

 

 

 

水力発電電力量

(百万kWh)

8,028

101.7

火力発電電力量

(百万kWh)

51,891

101.9

原子力発電電力量

(百万kWh)

新エネルギー等発電電力量

(百万kWh)

612

87.0

融通・他社受電電力量

(百万kWh)

32,780

△5,109

98.1

79.3

揚水発電所の揚水用電力量

(百万kWh)

△314

292.8

合計

(百万kWh)

87,889

101.7

出水率

(%)

96.2

 

(注) 1 停止中発電所の所内電力量は、自社事業用電力量として、販売実績に記載しております。

2 融通・他社受電電力量には、連結子会社からの受電電力量(東北電力ネットワーク㈱ 3,833百万kWh、酒田共同火力発電㈱ 4,795百万kWh、東北自然エネルギー㈱ 441百万kWh 他)、送電電力量(東北電力ネットワーク㈱ 4,557百万kWh)を含んでおります。

3 融通・他社受電電力量の上段は受電電力量、下段は送電電力量を示しております。

4 揚水発電所の揚水用電力量とは貯水池運営のため揚水用に使用する電力であります。

5 出水率は、1990年度から2019年度までの30ヶ年平均に対する比であります。

6 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。

 

② 販売実績

種別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年度比(%)

販売電力量(百万kWh)

電灯

20,990

95.5

電力

46,356

105.4

小売 計

67,346

102.1

卸売

16,718

100.9

合計

84,064

101.9

 

(注) 1  停止中発電所の所内電力量は、自社事業用電力量として、販売実績に記載しております。

2 小売には自社事業用電力量(139百万kWh)を含んでおります。

3 卸売には特定融通等を含んでおります。

4 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。

 

 

 

③ 資材の状況

 石炭及び燃料油等の受払状況

区分

単位

2021年
3月末
在庫量

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

2022年
3月末
在庫量

受入

前年度比
(%)

払出

前年度比
(%)

石炭

t

1,001,304

8,897,217

104.35

9,197,223

111.92

701,298

重油

kl

27,590

360,540

1,254.53

321,802

356.06

66,328

原油

kl

25,301

14,974

37.33

40,275

65.63

LNG

t

227,524

3,849,214

89.16

3,893,113

90.93

183,625

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

  当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社企業グループは、「東北発の新たな時代のスマート社会の実現に貢献し、社会の持続的発展とともに成長する企業グループ」を2030年代のありたい姿とする東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」等に基づき、研究開発を実施しております。

 

現在、研究開発は、当社の研究開発センター及び各連結子会社の設計・開発担当部門などにより推進されており、当連結会計年度における当社及び連結子会社の研究開発費は75億円であります。このうち発電・販売事業は46億円、送配電事業は20億円、建設業は3億円、その他は5億円となっております。

 

[発電・販売事業][送配電事業]

電力の研究開発は、「電力供給事業の構造改革に対応し、電力の安全と安定供給を支える研究開発」「電力設備の建設・運用・保守など事業全般におけるコスト競争力強化に資する研究開発」「事業を通じた環境負荷の低減に資する研究開発」「将来の成長と新たな価値の創出に資する研究開発」の重点領域に注力して取り組んでおります。

 

(1) 電力供給事業の構造改革に対応し、電力の安全と安定供給を支える研究開発

・最適な電源ポートフォリオの実現に向けた研究開発

・電源の電力市場での価値向上に向けた研究開発

・レジリエンス対応力の強化に向けた研究開発

・系統電力需要拡大に資する研究開発

 

(2) 電力設備の建設・運用・保守など事業全般におけるコスト競争力強化に資する研究開発

・設備の高経年化対策と効率化の両立に資する研究開発

・再エネ主力電源化を見据えた送配電設備の形成、運用の高度化に資する研究開発

 

(3) 事業を通じた環境負荷の低減に資する研究開発

・電源の低・脱炭素化に向けた研究開発

 

(4) 将来の成長と新たな価値の創出に資する研究開発

・デジタルイノベーション(DI)技術の活用による研究開発

・スマート社会実現事業につながる研究開発

 

[建設業]

(1) 安全確保と品質向上に関する技術開発

安全確保を目的とした、砂質土地盤、かつケーブル架線状態に対応可能とする電柱倒壊防止装置の改良 など

 

(2) 収益力拡大に向けた技術開発

業務効率化を目的とした、変電所の主回路を構成する電線を施工する際の電線の曲げ加工(くせ取り)を可能とする電動工具の開発 など

 

[その他]

(1) 光通信市場向け商品開発

半導体レーザーの集光用光科学部品の製品開発 など

 

(2) 売上拡大に向けた研究開発

低風圧アルミ配電線の開発や、全方位映像を活用した映像提供システムの調査研究及び巡視点検支援システムのリプレースに向けた研究開発 など

 

(3) 新たなサービス提供に向けた研究開発

ストックビジネスに向けた共通プラットフォーム開発や、光通信対応配電遠隔監視制御装置の開発 など