第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」

当社企業グループは、再生可能エネルギーや分散型エネルギーの普及拡大や事業基盤を置く東北6県・新潟県における人口減少に起因する社会課題の顕在化等を大きな事業環境変化と捉え、2020年2月に東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」を策定しました。 

「よりそうnext」では、事業環境変化を踏まえ、大規模系統電源による電力供給事業の競争力を徹底強化すること、分散型エネルギーを主体的に活用すること、社会課題を事業機会と捉えてその解決に挑戦することを事業転換の着眼点とし、電力供給事業の構造改革とスマート社会実現事業の収益化を通じ持続的に利益を創出しながら、「東北発の新たな時代のスマート社会」の実現に貢献していくこととしております。

また、再生可能エネルギーの導入拡大や電力小売全面自由化以降の需給・収支の構造変化に伴う収益性低下を抑止し、成長のための資源投入を加速するため、“キャッシュ創出力”に着目した指標として「連結キャッシュ利益」を財務目標として採用し、達成すべき最低限の水準として「2024年度に3,200億円以上」を設定しました。

 

※連結キャッシュ利益=営業利益+減価償却費+核燃料減損額+持分法投資損益(営業利益は、燃料費調整制度のタイムラグ影響を除く。)

 

これまで、電力供給事業の構造改革として、燃料調達から発電・卸売のバリューチェーンの最適化や、変動費・固定費全般の抑制等を進め、スマート社会実現事業の収益化としては、太陽光や蓄電池等の分散型電源を活用したエネルギーサービスや、各種の生活・産業関連サービスのご提案等を進めてきました。

 

(2) 至近の事業環境

「よりそうnext」実現に向けた取り組みには一定の進捗が見られるものの、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻に端を発する国際情勢の緊迫化に伴う燃料・電力調達価格の高騰、及び同年3月に福島県沖で発生した地震等の影響を受け、収支・財務ともに東日本大震災発生直後の水準を下回る状況にあります。また、同年6月以降は、燃料価格が燃料費調整制度の回収上限を超過し、その超過分を当社が負担する「逆ザヤ」の状態が続きました。

これに対し、当社では、高圧以上のお客さまの電気料金単価の見直しを2022年11月と2023年4月に行い、2022年12月からは低圧自由料金プランでの燃料費調整制度における上限価格設定の廃止等をさせていただきました。加えて、2023年6月からは、小売規制料金の値上げと低圧自由料金の料金単価等の見直しを実施しております。また、東北電力ネットワーク株式会社においても、2022年9月より「電気最終保障供給約款」を変更し、卸電力取引市場価格の平均実績を反映する「市場価格調整額」を新たに導入しました。

このように、足もとの燃料・電力市場の価格の高騰は当社企業グループの事業運営に大きく影響していますが、国際情勢等を踏まえると、このような電気事業運営上の高いボラティリティは当面継続するものと想定しており、事業運営全般におけるボラティリティの抑制と利益確保の両立が重要と捉えております。

また、2023年1月には、当社及び東北電力ネットワーク株式会社において、新電力のお客さま情報等の不適切な取り扱いを行っていた事案が判明しました。当社企業グループとしては、このたびの事案は、電気事業運営の根幹を揺るがすものと重く受け止めており、再発防止対策の徹底はもとより、従業員の一人ひとりが、業務遂行上のあらゆる場面で公益事業者としての高い倫理観を持ち、ステークホルダーのみなさまからのご信頼の確保に努める所存です。
 

(3) 2023年度東北電力グループ中期計画における課題と対応

2023年度東北電力グループ中期計画においては、「収支と財務基盤の早期回復」・「『よりそうnext』の実現」の観点から具体的な取り組みを展開します。

「収支と財務基盤の早期回復」については、経営全般の徹底的効率化をベースとしながら、家庭向け・法人向けのサービス提案を強化するとともに、原子力発電所の再稼働を果たすことにより、2023年度の営業黒字を確保し、利益の早期積み上げを図ります。

これと並行して、引き続き、電力供給事業の構造改革とスマート社会実現事業の収益化にも取り組むことで、中長期的な成長の基盤を整え、「よりそうnext」具体化の加速・実現を目指します。

 

<2023年度中期計画期間における経営展開の基本認識>

 


 

<経営効率化の取り組み概要>

着眼点

主な効率化の取り組み

高騰する燃料・電力の調達コスト抑制

熱効率向上、秋田4号廃止時期変更、低品位炭調達拡大、

LNG契約方法多様化

強靭な事業体質の構築に向け、

事業全般の固定費を抑制

業務効率化、退職給与金削減、競争発注拡大、

情報システム管理効率化、火力発電所の定期点検の長周期化

 

 

各事業における取り組みは以下のとおりです。

 

■発電・販売事業

(発電・卸売)

経年火力の着実な休廃止(秋田火力発電所第4号機:2024年7月廃止予定)を進めるとともに、火力発電の将来的位置付けや制度措置等を踏まえた電源リプレース等の検討を行い、競争力の確保に努めます。また、火力脱炭素化に向けたFS(事業性調査)・実証を加速させつつ、燃料調達スキームの検討を進めます。

事業環境のボラティリティの抑制と利益確保の両立に向けては、需給最適化と戦略的な燃料調達・発電・卸売を進めます。最適な調達先・調達量・契約体系等を組み合わせた燃料ポートフォリオを構築しつつ、トレーディング機能(東北電力エナジートレーディング株式会社)を通じ、先物市場の拡大も捉えながら最適化や事業機会を追求します。卸販売に際しては、内外無差別な交渉機会の確保と販売利益最大化の両立を図ります。

 

(原子力)

事業運営のボラティリティの抑制に加え、エネルギーセキュリティの確保やカーボンニュートラルへの挑戦等の観点から、原子力は当社企業グループにとって重要な電源です。女川原子力発電所第2号機は、2023年11月の工事完了、2024年2月の再稼働、同年4月の営業運転再開を目指し安全対策工事に取り組んでおり、当社企業グループにとっての最重要課題の一つとして、引き続き地域のご理解をいただきながら安全最優先で準備を進めます。また、防災体制整備・運転体制強化、教育訓練実施等により、再稼働後の安定運転に万全を期していきます。加えて、再稼働後のさらなる経済性向上に向け、安全確保を最優先に、競争発注拡大等のコスト低減を図ります。

東通原子力発電所第1号機・女川原子力発電所第3号機についても、再稼働に向けた対応を進めるとともに、女川原子力発電所第1号機については、廃炉作業を着実に継続していきます。

 

(再生可能エネルギー)

当社企業グループでは、2030年代早期に200万kWの新規開発を行うことを目標としており、引き続き地域と共生する新規開発を進めます。一方、新規開発のみならず、既存発電設備の適切な維持・更新によるパフォーマンス向上にも取り組みます。また、当社企業グループとしての開発体制の最適化に資するべく、当社と東北自然エネルギー株式会社との間で風力、太陽光、地熱発電の事業再編を行っており、本体制下で開発を推進していきます。

カーボンニュートラルの潮流が加速する中、再生可能エネルギーについては、開発面のみならず、当社企業グループ各社のノウハウ・強みを合わせ、バリューチェーン・ライフサイクル全般を通じた事業機会の獲得が重要と考えております。このため、VPPや法人向けオンサイト・オフサイトPPA、家庭向け太陽光・蓄電池サービス、風力発電のメンテナンス等による収益拡大を図りつつ、お客さまニーズを捉えた事業モデルの構築を進めていきます。

 

(スマート社会実現事業)

電力調達価格が高騰している状況を踏まえ、電力小売の展開に当たっては、市場動向・需要動向を的確に捉え、相対取引・市場取引等を組み合わせた最適な電源の確保を進めます。

また、お客さまの負担軽減につなげるため、従来のオール電化に、電気の使用量を抑制できる太陽光発電や蓄電池の「創エネ・蓄エネ」のシステムや、電気以外のさまざまなサービスを組み合わせ、安心・快適でエコな暮らしにつながる「スマートライフ電化」や、省エネメニュー、エネルギーソリューション等のサービス提案を強化します。

このほか、当社企業グループ各社において、お客さまのニーズやお困り事等を起点とした商品・サービス開発を強化し、お客さまにおけるカーボンニュートラルへの対応のニーズの高まりを踏まえ、再生可能エネルギー電気のご提供や関連サービスのご提案を進めます。また、ご好評いただいている「すまい安心サポート」(電気設備・水回りのトラブルサポート)に加え、空き家管理サービス等の新たなサービスの提供エリア拡大や、周辺ビジネス領域の開拓を進めます。


 

家庭向けには、東北電力フロンティア株式会社においても、「くらしのシンプル保険」や「トキメクくらしの家計ご相談サービス」を始めとするお客さまの暮らしに彩り・トキメキにつながるサービスのご提案を進めております。引き続き、当社及び東北電力フロンティア株式会社が両社の強み・ノウハウを活かすことで、当社企業グループだからこその価値のご提案に努めます。この他、ご家庭向けには、これらサービスご提案の入り口となる「よりそうeねっと」会員獲得や、ライフスタイルのサポートにつながる自由料金プランのご提案等も強化します。法人向けにも、当社企業グループが一体となった開発・販売を強化します。各社が保有する商材を組み合わせ、ワンストップでのご提案を行うことで、お客さまの事業活動に最適なソリューションをご提供します。

現在、スマート社会実現事業については、当社企業グループが強みを持つ「次世代エネルギーサービス領域」、「電気+サービス領域」をコアに事業基盤の構築を進めていますが、これと並行して新たな事業育成に取り組んでいきます。

 

■送配電事業

2023年4月から導入された新しい託送料金制度(レベニューキャップ制度)のもと、必要な投資や安定供給を確保しながら効率化を着実に実現します。

安定供給の確保に向けては、計画的な設備改修・補修、効率的な設備保守・設備形成等を通じ、送配電網の的確な形成と運用を行います。

また、再生可能エネルギーの導入拡大のためには、系統整備・運用の高度化が重要となります。大規模基幹系統整備への着実な対応(東北北部電源接続案件募集プロセス、東北東京間連系線等)や、日本版コネクト&マネージ等による既存系統の有効活用、再生可能エネルギーの出力予測精度向上を図ることでこれに努めていきます。

さらに、中長期的視点での新規事業と電力需要の拡大として、保有資産やノウハウを活用した収益機会の獲得、エリア需要の拡大に向けた企業誘致の支援も進めます。

 

 

■ガバナンス -企業倫理及び法令遵守の徹底

2023年1月以降、当社において、東北電力ネットワーク株式会社が管理する当社以外の小売電気事業者のお客さま情報を当社従業員が閲覧していた事案(東北電力ネットワーク株式会社において非公開とすべき情報が漏えいしていた事案)などが確認され、当社及び東北電力ネットワーク株式会社に対し、電力・ガス取引監視等委員会からの業務改善勧告等がなされました。

東北電力グループとして、引き続き、社員一人ひとりの意識・行動変革、運用面の各種ルールの整備等を行い、二度と同様の事案を発生させないよう、企業倫理・法令遵守及び再発防止策の徹底に努め、ステークホルダーのみなさまからの信頼回復に努めます。


 

ガバナンスについては、企業倫理・法令遵守の徹底のみならず、様々な側面からこれを強化することが重要と考えております。自然災害や燃料・電力等の市場環境、電気事業制度等の規制環境、さらにはサイバーリスク等、当社企業グループを取り巻くリスクが多様化している点に鑑み、「統合リスク管理方針」・「統合リスクマネジメント会議」のもと、リスクの認識、分析・評価、対応策の検討・実施によるリスク管理活動を展開していきます。

また、社会要請や事業環境等を踏まえた実効性のあるコーポレートガバナンス体制の維持・充実や人的資本等のESG情報開示の充実化による、ステークホルダーとの積極的なコミュニケーションも進めていきます。

 

■財務目標・成長投資

2023年度の営業黒字確保、女川原子力発電所第2号機の再稼働等により収支をV字回復させ、「よりそうnext」における財務目標(2024年度の連結キャッシュ利益3,200億円以上) を達成します。

「よりそうnext」の実現には、成長分野への投資を行い、これを収益化することが必要と考えております。再生可能エネルギー事業(送配電網の系統増強等を含む)とスマート社会実現事業を成長分野と位置付け、2030年頃までに4,000億円程度を投資し、それぞれの事業拡大と収益化に取り組みます。この際、財務健全性と資本効率性のモニタリングを行い、財務規律を踏まえた投資判断を徹底していきます。


 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社企業グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

当社企業グループは、創立以来脈々と受け継がれてきた「東北の繁栄なくして当社の発展なし」との考え方のもと、地域社会の持続的な発展とともに成長すべく、電気事業を通じて様々な社会課題の解決に取り組んでまいりました。その積み重ねが地域の皆さまとの信頼関係に繋がり、今日の当社企業グループの経営の礎となっております。こうして築いてきた地域とのネットワークを通じて、地域の皆さまの声を受け止め、「東北電力グループだからこそできること」でお応えしていくことが、今後当社企業グループに一層強く求められていくものと考えております。

当社企業グループは、サステナビリティを経営の中核に据え、「東北電力グループサステナビリティ方針」のもと、地域や社会が直面する課題の解決に努め、未来世代にわたるステークホルダーとともに、社会価値と企業価値を共創していくことを目指してまいります。

 

東北電力グループサステナビリティ方針

私たち東北電力グループは、東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」の実現や「カーボンニュートラルチャレンジ2050」への挑戦を通じて、積極的にサステナビリティを推進してまいります。

東北電力グループの考えるサステナビリティは、経営理念である「地域社会との共栄」とグループスローガン「より、そう、ちから。」に基づき、企業グループが一体となって、お客さまと地域によりそい、エネルギーを中心としたサービスの提供等を通じてスマート社会の実現に取り組むことで、地域や社会が直面する課題を解決し、中長期的な企業価値向上と社会全体の持続的な発展に貢献することです。

これを実現するため、東北電力グループは、「東北電力グループ行動指針」のもと、事業活動のバリューチェーンを強力に支えるグループ各社の特長を活かしながら、一丸となった取り組みで総合力を発揮し、誠実で公正な事業活動を行うとともに、大切なステークホルダーの皆さまのご期待に応え、企業としての社会的責任を果たしてまいります。

 

 

(1) サステナビリティ共通

[ガバナンス] 

当社及び東北電力ネットワーク株式会社の両社で構成するサステナビリティ推進会議において、ステークホルダーの視点をもとに、「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」への取り組みを包括的に確認し、今後の方向性を中期計画等に反映させております。社長執行役員は、サステナビリティ推進会議の議長を務め、サステナビリティへの対応の統括を担っております。

また、サステナビリティ推進会議の結果について取締役会に報告することで適切な監督を受けるとともに、東北電力グループサステナビリティ連絡会等を通じて、グループ企業間の連携を図っております。

 


 

 

[リスク管理] 

サステナビリティに係る様々な課題は、当社企業グループと地域社会の持続可能性を脅かすリスクとなる一方、持続的成長を図る機会として捉えております。当社は、優先的に取り組むべき課題である「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」に係るリスクと機会を把握し、各課題への対応を各カンパニー・本部の中期計画等に織り込み、リスクの低減に努めるとともに、地域社会との持続的な成長を目指してまいります。

 

[戦略] 

当社企業グループは、2022年7月に優先的に取り組むべき課題である「サステナビリティ重要課題(マテリアリ

ティ)」を以下のとおり特定し、各取り組みを展開しております。

 

マテリアリティ

個別主要課題

環境

(E)

カーボンニュートラルへの挑戦

・安全を最優先とした原子力発電所の早期再稼働と安定運用

・再生可能エネルギーの導入拡大

・火力電源の脱炭素化への移行

・お客さまによりそう省エネ提案・電化推進

・脱炭素技術の開発・イノベーション促進

循環型社会の形成

・廃棄物の発生抑制と資源の有効利用

生物多様性の保全

・地域環境の保全

社会

(S)

快適・安全・安心な暮らしと 地域社会の実現

・デジタル技術を活用した地域課題解決に資するスマート社会実現事業の推進

・お客さま満足度の追求

・東北・新潟の活力ある地域コミュニティの共創

レジリエントな社会インフラの構築

・安定したエネルギーの供給

・大規模災害への迅速な対応

・保有技術を活かした社会インフラ高度化への貢献

多様な人財がイキイキと働く職場作り

・ビジネスモデルの転換を支える人的資本の強化

・デジタル技術の活用などを通じた働き方改革の実践

・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進

・健康経営の推進

様々なステークホルダーの人権尊重

・労働安全の確保

・差別・ハラスメントの防止

・公衆保安・消費者安全の確保

ガバナンス

(G)

健全で透明性のある企業経営

・健全な収益・財務基盤の確保

・企業倫理・法令遵守の徹底

・リスクの管理・対応

・情報セキュリティの確保

・知的財産の保護・活用

・サプライチェーンのリスク管理

・ステークホルダーとの双方向コミュニケーションの拡大

・パートナーシップの強化

・実効性のあるガバナンス体制の構築

 

 

[指標及び目標] 

当社企業グループは、特定した「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」に関連する目標や指標を設定し、課題解決に向けた取り組みを推進しております。

 

マテリアリティ

主な目標/指標

(注)1

目標年度/範囲

(注)2

2022年度実績

環境

(E)

カーボンニュートラルへの挑戦

・カーボンニュートラルの実現を目指す

2050/G

・火力脱炭素化に向けた各種実証や再生可能エネルギー・原子力の最大限活用に向けた取り組み、電化・スマート社会実現を切り口としたサービスの展開など、東北電力グループカーボンニュートラルチャレンジ2050の3つの柱を中心とした取り組みを着実に推進。

・CO2排出量:集約中 (注)4

[2021年度実績:3,255万t-CO2

(2013年度実績比△28.7%)]

・CO2排出量(注)3について2013年度実績(4,563万t-CO2)から半減を目指す

2030/TD

循環型社会の形成

・産業廃棄物全体の再資源化率90%以上

毎年/TD・TN

87.6%

・プラスチック使用量の少ない製品又は代替製品の可能な範囲での選択

・廃プラスチック類再資源化率維持・向上

毎年/TD・TN

廃プラスチック類再資源化率:84.2%

生物多様性の保全

・事業活動に伴う生物多様性への影響を回避・最小化

毎年/TD・TN

・東通原子力発電所構内の湿原調査・維持管理を実施、湿原環境が保たれていることを確認。

・新仙台火力発電所リプレース計画に係る動植物・生態系について、事後調査結果が保全目標どおりであることを確認し、仙台市環境影響評価審議会に報告。

・そのほか、設備形成時には、希少動植物に係る情報収集を行い、必要な保全対策の内容を決定・実施。

社会

(S)

快適・安全・安心な暮らしと地域社会の実現

・社会課題解決等に資する付加価値の高いサービスの提供

/事業・サービス件数

2030/G

43件(累積リリース件数)

レジリエントな社会インフラの構築

・電力品質の維持

/お客さま1戸あたりの平均停電回数・時間

毎年/TN

0.11回・24分

・大規模災害への対応力強化(年1回以上の非常災害対策訓練の実施)

毎年/TD・TN

全店大の訓練を毎年実施

多様な人財がイキイキと働く職場作り

・普通休暇平均取得率を8割以上(時間休暇含む)

2024/TD・TN

・TD:77.1%

・TN:83.0%

・女性管理職数(注)5を2019年度期首比2.0倍以上

2024/TD・TN

・TD:1.48倍

・TN:1.11倍

・管理職に占める女性の割合(女性管理職比率(注)6)を5.0%

2035/TD・TN

2.46%

・障がい者雇用率2.3%以上(法定)

毎年/TD・

TN・TFP

2.48%

・喫煙率を20%以下に低減

2024/TD・TN

20.9%

様々なステークホルダーの人権尊重

・死亡労働災害発生件数ゼロ(請負・委託業務等を含む)

毎年/G

2件

・ハラスメント相談案件への的確な対応

/窓口への相談件数

毎年/TD・TN

25件

・公衆感電事故発生件数ゼロ(設備不備に伴い発生したもの)

毎年/TD・TN

0件

 

 

 

マテリアリティ

主な目標/指標

(注)1

目標年度/範囲

(注)2

2022年度実績

ガバナンス

(G)

健全で透明性のある企業経営

・連結キャッシュ利益3,200億円以上

2024/G

1,366億円

・企業倫理・法令遵守の徹底

/重大なコンプライアンス違反件数、内部通報窓口対応件数

毎年/G

・重大なコンプライアンス違反件数2件

・内部通報窓口対応件数:148件

・グループ行動指針に掲げる「知的財産権の保護」の遵守

/特許保有件数

毎年/TD・TN

・特許:293件

・実用新案:4件

・意匠:12件

・商標:102件

・ステークホルダーとの積極的なコミュニケー

ション活動

/社会貢献活動実施件数

毎年/G

922件 (注)7

・取締役会の実効性向上(取締役会の実効性評価の実施及び評価結果に基づく継続的な改善)

毎年/TD

・2016年度より実効性評価アンケートを継続実施し、検証結果を取締役会へ報告のうえ、次年度向けに改善措置等を講じている。

 

 

(注)1 スラッシュ(/)以降は指標。

(注)2 TD:東北電力株式会社、TN:東北電力ネットワーク株式会社、

    TFP:東北電力フレンドリー・パートナーズ株式会社、G:グループ全体。

(注)3 小売電力由来の排出量。

(注)4 CO2排出量の2022年度実績は2023年9月に当社ウェブサイト(URL https://www.tohoku-epco.co.jp/)

において公表予定の東北電力グループ統合報告書2023年度版又は東北電力グループサステナビリティレ
ポート2023年度版
をご参照ください。

(注)5 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく「課長

    級」以上の女性数。

(注)6 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく「課長

    級」以上を含む、役職に就く者のうちの女性の割合。

(注)7 東北電力株式会社及び東北電力ネットワーク株式会社の実績値。

 

 

(2) 気候変動対応(TCFD提言への取り組み)

[ガバナンス]

 当社は取締役会において、気候関連リスクと機会の認知及び対応策の検討、目標の進捗状況のモニタリングと監督を通じて気候変動への対応を強化し、経営戦略に取り込んでいくことを意思決定しております。

 社長執行役員は、カーボンニュートラル・環境経営推進会議の議長を務め、気候変動への対応を含む環境活動の統括を担っております。

 気候関連問題への対応については、環境マネジメントの枠組みにおいて進捗状況を集約した後、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の1つとして、サステナビリティ推進会議を経て、毎年取締役会に報告することとしております。サステナビリティ推進会議は、当社企業グループのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の1つとして「カーボンニュートラルへの挑戦」を特定し、目標設定やKPIのモニタリングの際に気候関連事項を考慮しております。 

 ※TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース

 

[リスク管理]

 当社は、環境マネジメントの枠組みにおいて、各業務執行部門が抽出し財務的な影響度を評価した全社の気候関連リスク及び機会を集約・一覧化し、各リスクへの対応の優先度を財務影響の度合いにより把握しております。経営上影響の大きな気候関連リスクについては、気候関連以外のリスクとあわせて統合リスク管理の枠組みにより、年2回取締役会に報告する仕組みを構築しております。

 

[戦略]

 将来の気候関連リスク及び機会が与える財務上の影響を把握するため、当社はシナリオ分析を継続して行っております。シナリオ分析においては、環境マネジメントの枠組みで把握したリスク・機会のうち、当社事業への影響度が大きいものを抽出し、当社が想定したシナリオの中でどのリスク・機会が増大するか分析しました。

 気候変動に関するシナリオとしては、移行リスクの増大が想定される「1.5℃シナリオ」と物理的リスクの大きい「4℃シナリオ」を選定し、中長期的な時間軸で2050年以降を念頭にシナリオ分析を行っております。

 移行リスクの増大が想定される1.5℃シナリオにおいては、短中長期いずれの期間においても政治・政策的リスク(カーボンプライシング導入等)又は経済・市場的リスク(従来型電源の市場価格低下等)が想定され、これにより、炭素排出コストの負担がより大きくなることで、石炭などの化石燃料由来の火力発電の競争力が低下するリスクがあります。

 中長期においては、熱効率の改善・電気自動車用蓄電池コストの低下など脱炭素技術が進展することが見込まれます。これに伴うリスクとしては、新規設備投資額の増加や省エネ技術が進展することによる電力需要の減少が挙げられます。

 一方で、1.5℃シナリオにおいては、脱炭素製品・サービスの市場シェアの拡大や電化率の上昇などが当社にとっての事業機会と想定されます。

 当社は、「再生可能エネルギーと原子力の最大限活用」「火力電源の脱炭素化」「電化とスマート社会実現」を柱とする「東北電力グループ“カーボンニュートラルチャレンジ2050”」のもと、技術開発の推進をはじめとする様々な取り組みにより、東北電力グループのCO2排出削減を加速化し、カーボンニュートラルに積極的に挑戦いたします。

 物理的リスクの大きい4℃シナリオにおいては、気候変動の影響が顕著となり、気象災害の激甚化・降水パターンの変化が想定されます。

 急性リスクとして気象災害の頻発化・激甚化による当社設備被害・供給支障の増加が想定されるため電力レジリエンスの重要性が高まります。また 、慢性リスクとして降水パターンの変化による水力発電等への影響が想定されます。

 当社は、頻発化・激甚化する気象災害に備え、設備の強靭化と復旧対応力を高め、電力レジリエンスの向上を図ってまいります。

 

 

[指標及び目標]

 当社企業グループはS+3Eの確保を大前提に、2050年カーボンニュートラルに挑戦します。

 また、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、当社企業グループは2030年度のCO2排出量について2013年度実績と比較して「半減」を目指してまいります。

 2021年3月に公表した「東北電力グループ“カーボンニュートラルチャレンジ2050”」のもと、「火力電源の脱炭素化」に加えて、「再生可能エネルギーと原子力発電の最大限活用」と「電化とスマート社会実現」により、当社企業グループのCO2排出削減を加速させてまいります。

 


 

[2021年度のCO2排出実績] (注)1

「地球温暖化対策の推進に関する法律」(平成10年法律第117号)に基づき算出した提出会社(注)2の2021年度のCO2排出量及びCO2排出係数は、以下のとおりです。

CO2排出量

3,255万t-CO2(3,341t-CO2)(注)3

(2013年度実績比△28.7%)

CO2排出係数

0.483kg-CO2/kWh(0.496kg-CO2/kWh)(注)3

 

(注)1 2022年度実績は2023年9月に当社ウェブサイト(URL https://www.tohoku-epco.co.jp/)において公表予定

    の東北電力グループ統合報告書2023年度版又は東北電力グループサステナビリティレポート2023年度版をご

    参照ください。

(注)2 小売電気事業者としての報告値。

(注)3 ()内の値は再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)による調整等を反映していない基礎CO2排出

    量及びCO2排出係数。

 

[スコープ1、2の温室効果ガス排出量] (注)1、2

(単位:万t-CO2)

項目

2020年度実績

2021年度実績

スコープ1

(事業者自らによるGHGの直接排出)

3,114

3,281.5

スコープ2

(他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴うGHGの間接排出)

0.1

0.1

 

(注)1 数値は当社及び東北電力ネットワーク株式会社の発電所、その他事業所合計値。

(注)2 2022年度実績は2023年9月に当社ウェブサイト(URL https://www.tohoku-epco.co.jp/)において公表予定

    の東北電力グループ統合報告書2023年度版又は東北電力グループサステナビリティレポート2023年度版をご

    参照ください。

 

(3) 人的資本

[人財戦略]

当社企業グループが東北発の新たな時代のスマート社会の実現に貢献し、社会の持続的発展とともに成長していくためには、新たな価値を創造できる人財の強化と、事業戦略と人財戦略の連動性を高めることが重要であると考えております。この考えのもと、当社企業グループは中長期の事業ポートフォリオに基づく人財ポートフォリオを策定いたしました。

 この人財ポートフォリオを活用することで、人的資本の最大化に向けた人事施策を展開してまいります。具体的には、タレントマネジメントシステムの活用により、人財マネジメントのデジタルトランスフォーメーション(DX)化を推進するとともに、社員一人ひとりのスキル等に対し定量把握・分析を行うことで、人員計画や採用計画、人財育成、配置に反映してまいります。

 また、データ分析・デジタルマーケティングといったデジタル関連スキルを有する人財や新規事業の立ち上げ・推進を担う人財さらには将来企業グループ経営を担う人財は特に必要性が高いことから、計画的な採用・育成に取り組んでまいります。

 これらの施策を推進し人財マネジメントを高度化していくことで、「よりそうnext」の実現を支える人財を育成してまいります。

 同時に、働き方改革やダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進し、従業員一人ひとりのエンゲージメントや労働生産性を向上させ、多様な感性や価値観を持つ人財が活躍する企業文化を構築してまいります。


 

[人財の多様性確保に向けた取り組み]

 当社及び東北電力ネットワーク株式会社は、以下のとおり、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づく「一般事業主行動計画」のなかで女性管理職数の目標値を、また、さらなる中長期的な目標として、新たに女性管理職比率の目標値を設定しております。

 

女性管理職数 (注)1

2025年3月末までに、女性管理職数を2019年度期首比で2.0倍以上とする。

女性管理職比率 (注)2

2035年度末までに管理職に占める女性の割合を5.0%とする。

 

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく「課長級」

    以上の女性数。

(注)2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく「課長級」

    以上を含む、役職に就く者のうちの女性の割合。

 

 今後も、「仕事と家庭の両立支援」や「キャリア形成・活躍支援」に向けた取り組みを充実させることによって、多様な人財が活躍できる職場作りを進めていくとともに、DE&I推進に対する社員の意識変革を加速させ、管理職に占める女性割合の向上を目指してまいります。

 

[健康経営に関する取り組み]

 当社及び東北電力ネットワーク株式会社では、疾病の予防及び改善に向けた早期対応の充実を図ることで「従業員一人ひとりが健康でイキイキと働く元気な会社」を目指し、「健康推進基本方針」で定めた3つの重点施策に沿った取り組みを行い、健康経営を推進しております。

 健康経営の実践により、一人ひとりの心身の健康状態が改善し、生産性が上がることで、企業価値向上につなげてまいります。

 

「健康推進基本方針」

1.生活習慣病対策 2.喫煙対策の推進 3.メンタルヘルス対策

 

 

 当社及び東北電力ネットワーク株式会社は、長期的な視点を持ち、継続的かつ計画的に取り組むべく、「健康推進基本方針」の3つの重点施策に対する数値目標を設定し、様々な取り組みを行っております。

 

重点施策

目標内容

2024年度目標値

1 生活習慣病対策

肥満率(BMI25以上)の減少

27.1%以下

2 喫煙対策の推進

喫煙率の減少

20.0%以下

3 メンタルヘルス対策

メンタルヘルス不調による

傷病休務日数の減少

12,780日以下

 

 

[安全への取り組み]

 「労働安全」と「設備保安」は、当社企業グループが事業活動を行っていくうえでの基盤となります。当社企業グ

ループの変わらぬ使命である低廉で品質の良い電気を安定してお客さまの元にお届けするために、お客さまの安全と地域の安全を確保することが、信頼獲得の第一歩と考えております。

 全ての従業員並びに工事関係者が「より、そう、ちから。」を実践していくことで信頼され選択される企業グ

ループを目指すとともに、「東北電力グループ安全・保安方針」のもと、何事にも優先して、「安全を大切にする企業グループ」としての企業文化の構築に取り組み、企業価値の向上を図ってまいります。

 

 「東北電力グループ安全・保安方針」

1.常に安全確保を最優先に行動する 2.立ち止まる勇気を持つ 3.常に問い直し、問いかける習慣を持つ

4.自らの役割と責任を自覚し行動する 5.コミュニケーションを常に心がけ、情報を共有する

 

 

 当社及び東北電力ネットワーク株式会社は、「死亡災害ゼロ必達」、重大災害に直結する「感電・墜落災害ゼロ」、「重傷災害ゼロ」を目標に掲げ、「東北電力グループ安全・保安方針」に基づいた行動の実践をさらに進め「相互啓発型」の安全文化の構築を目指し、安全活動に取り組んでまいります。
 

定量目標及び実績(2022年度)

社員の死亡・重傷災害発生件数(通勤災害含む)

目標:死亡0件、重傷0件

実績:死亡0件、重傷3件

 

 

3 【事業等のリスク】

当社企業グループの中核である電気事業は、電力の安定供給のために発電設備や流通設備、燃料の確保等が必要不可欠であり、設備の損傷や電源の長期停止といった設備リスクは、事業運営における重要なリスクとして認識しております。また、電気という日常生活、産業活動に不可欠なインフラを供給するという社会的使命を果たす電気事業は、国のエネルギー政策の動向や関連する制度措置の見直しといった規制リスクを有しており、事業環境における重要なリスクとして認識しております。加えて、電気事業における主要コストである火力燃料費は、原油などのCIF価格及び為替レートの変動の影響を大きく受けることなどから、市場リスクについても重要なリスクとして認識しております。
 これらのリスクが顕在化した場合には、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があると認識しており、当社企業グループでは、これらのリスクの低減に努めるとともに、発生した場合は、的確な対応に努めております。
 以下では、当社企業グループの業績及び財政状態への影響が大きいリスクを取り上げておりますが、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであり、全てのリスクを網羅している訳ではありません。当社企業グループの事業は、現在は未知のリスク、あるいは現時点では重要と見做されていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
 なお、当社は、経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについて、社長執行役員を議長とする統合リスクマネジメント会議を設置し、統合リスク管理方針を定め、モニタリング・リスクマネジメントを行うとともに、各部門は定期的に事業活動に係るリスクの抽出・評価を行い、その対策等を毎年度策定する事業計画に織り込み、管理サイクルの中でリスク管理を実践しております。

 

【リスク管理体制図】

 


 

 

(1)設備リスク等の事業運営におけるリスク

a.自然災害及び設備事故の発生による影響

 影響度:極めて大きい

 重要性:特に高い

 

 地震・津波や台風等の自然災害、戦争、事故やテロ、サイバー攻撃等の不法行為や設備トラブルの発生などにより、当社が出資や受電する他社の発電所を含め設備が損傷した場合や電源の長期停止、重要システムの停止などに至った場合は、設備復旧費用や発電費用の上昇などにより、当社企業グループの業績及び財政状態は重大な影響を受ける可能性があります。
 当社企業グループは、これらの設備リスクを低減し、お客さまに高品質な電力を安定的に供給するため、設備の点検・修繕を計画的に実施するとともに、サイバーセキュリティ対策を講じ、設備の信頼性向上に努めるとともに、「東北電力グループ安全・保安方針」を制定し、労働安全・設備保安に係る取り組みの充実を図っております。

 

 

 

(2)規制リスク等の事業運営におけるリスク

a.電気事業を取り巻く制度変更等による影響

 影響度:大きい

 重要性:特に高い

 

 非化石価値取引市場やベースロード市場、容量市場、需給調整市場等の市場取引における制度変更や電力システム改革の進展、国内外のエネルギー政策の動向、それによる電気事業者及び他エネルギー事業者との競争の進展、環境関連規制の強化等による設備対策の増加などにより、当社企業グループの業績及び財政状態は長期にわたり影響を受ける可能性があります。
 このため、国のエネルギー政策動向や電気事業を取り巻く制度変更等に関して、引き続き動向を注視してまいります。

 

 

 

b.原子力発電を取り巻く制度変更等による影響

 影響度:大きい

 重要性:特に高い

 

 原子力発電を取り巻く環境が厳しさを増している中、今後の政策・規制変更、新規制基準への対応や訴訟等の結果により、当社が保有するあるいは当社が受電する原子力発電所の停止が長期化する場合など、火力燃料費の増加継続などにより、当社企業グループの業績及び財政状態は長期にわたり影響を受ける可能性があります。
 当社は、安全確保を最優先に原子力を一定程度活用していくことが重要と考えており、新規制基準への適合に加え、さらなる安全性向上に向けて自主的な対策を進めるなどの取り組みを行っております。
 なお、一定の前提を置いた試算ではありますが、女川原子力発電所第2号機が再稼働した場合は年間で800億円程度、東通原子力発電所第1号機が再稼働した場合は年間で500億円程度の火力燃料費が減少するものと想定しております。

 

 

 

c.原子力のバックエンド事業等のコストの変動による影響

 影響度:極めて大きい

 重要性:特に高い

我が国は、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としており、使用された原子燃料の処理・処分等に係るバックエンド事業については、関係法令等に基づき実施しております。

原子力のバックエンド事業等のコストについては下表のとおりです。なお、原子力のバックエンド事業は超長期の事業で不確実性を伴いますが、国による制度措置等により事業者のリスクが軽減されております。

 

内容

関連法令等

制度措置等

使用済燃料の再処理等に要するコスト

原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律

使用済燃料再処理機構に対し、原子力発電所の運転に伴い発生する使用済燃料の量に応じた拠出金を納付

使用済燃料の再処理後に生じる特定放射性廃棄物の最終処分に係るコスト

特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律

原子力発電環境整備機構に対し、原子力発電所の運転に伴い発生する特定放射性廃棄物等の量に応じた拠出金を納付

原子力発電施設を解体するために要するコスト

原子力発電施設解体引当金に関する省令

原子力発電施設解体引当金等取扱要領に定められた算式により算定した原子力発電施設解体費の総見積額を見込運転期間にわたり定額法で費用計上

 

 

ただし、国の政策変更や、関連する制度措置の見直し、将来費用の見積額の変動、再処理施設の稼働状況等により、費用負担が増加するなど、当社企業グループの業績及び財政状態は長期にわたり影響を受ける可能性があります。

このため、原子力のバックエンド事業等に係る国の政策や関連する制度措置の動向に関して、引き続き動向を注視してまいります。

 

 

d.気候変動に関するリスク

 影響度:大きい

 重要性:特に高い

 

 自然災害の激甚化による設備被害増大など、気候変動による影響を受けた場合、当社企業グループの業績及び財政状態は長期にわたり影響を受ける可能性があります。
 また、脱炭素社会への移行が国際的に求められている中、化石燃料を使用した火力電源の稼働・資金調達には一定の制約等がありうることを認識しており、日本政府においても2050年カーボンニュートラルを目指すことが示されるなど、社会全体にとって、気候変動への対応はこれまで以上に重要な課題となっております。
 このような状況を踏まえ、「東北電力グループ“カーボンニュートラルチャレンジ2050”」のもと、火力電源の脱炭素化に加えて、再生可能エネルギーと原子力発電の最大限活用及びスマート社会実現事業の展開を中心としたCO2排出削減などの緩和策を加速させるとともに、自然災害へのレジリエンス向上などの適応策に引き続き取り組んでおります。

 

 

 

(3)価格変動等の市場リスク

a.需要及び販売価格の変動による影響

 影響度:大きい

 重要性:特に高い

 

 電気事業における販売電力量や託送電力量並びに販売価格は、電力小売全面自由化による競争激化、少子高齢化による人口減少や景気動向、気温の変動、さらには省エネルギーの進展などによって変動することから、当社企業グループの業績及び財政状態は重大な影響を受ける可能性があります。

当社企業グループは、小売のみならず、卸売でのさらなる販売拡大により、域外での販売電力量の拡大を引き続き推進していくほか、電気の価値の最大化に向けた電力市場化を踏まえたトレーディング機能の活用に取り組んでおります。

 

 

 

b.燃料費、購入電力料の変動による影響

 影響度:大きい

 重要性:特に高い

 

 電気事業における火力燃料費や購入電力料等は、石炭、LNG、重・原油などのCIF価格及び為替レートや、卸電力取引所価格の変動による影響を受けます。電気事業には、燃料価格及び為替レートの変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」が適用されますが、火力発電所の稼働状況や燃料価格などが著しく変動した場合には、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
 このため、当社は、バランスのとれた電源構成を目指すことなどによって燃料費変動リスクの分散に努めております。
 また、年間降雨降雪量により、豊水の場合は燃料費の減少要因、渇水の場合は燃料費の増加要因となりますが、「渇水準備引当金制度」により一定の調整が図られるため、業績への影響は限定的と考えられます。
 なお、当社火力燃料費は、一定の前提を置いた試算ではありますが、1バレル当たりの原油価格が1米ドル変動すると年間29億円、1米ドルの為替レートが1円変動すると年間67億円、出水率が1パーセント変動すると年間24億円の変動影響があるものと想定されますが、火力発電所の稼働状況などにも影響を受けるため、燃料価格及び為替レートのみで決定はされません。

 

 

 

c.金利の変動による影響

 影響度:大きい

 重要性:高い

 当連結会計年度末の有利子負債残高は3兆3,756億円となりました。当社では、金利の変動影響を回避するため、固定金利での資金調達を基本としておりますが、今後の市場金利の動向及び格付の変更により、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があり、金利が1パーセント変動すると年間53億円の影響があると試算されます。
 ただし、有利子負債残高の多くは固定金利で調達した社債や長期借入金であることなどから、市場金利の変動による影響は限定的と考えております。

 

 

d.退職給付費用・債務の変動による影響

 影響度:大きい

 重要性:高い

 

 退職給付費用及び債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出しております。割引率や運用利回りの変動により、当社企業グループの業績は影響を受ける可能性があります。
 このため、企業年金資産の分散投資によるリスク低減や、連合型確定拠出年金制度の導入により、当社企業グループ全体での退職給付債務の削減による財務リスクの軽減を図り、業績への影響緩和に努めております。

 

 

 

 

(4)その他のリスク

a.情報流出による影響

 影響度:大きい

 重要性:高い

 

 当社企業グループは大量の個人情報や設備情報など重要な情報を保有しており、重要な情報の流出により問題が発生した場合は、損害賠償金の支払いや当社企業グループに対する社会的信用の低下などにより、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
 当社企業グループでは、重要な情報の適切な取扱いを図るため、基準等の整備や従業員に対する教育啓発、委託先管理の徹底等、情報セキュリティ対策の強化を図っております。

 

 

 

b.企業倫理に反した行為による影響

 影響度:大きい

 重要性:高い

 

 法令違反や人権侵害等の企業倫理に反した行為が発生した場合、法令上の罰則や当社企業グループに対する社会的信用の低下などにより、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
 当社企業グループでは、企業倫理・法令遵守が全ての事業活動の前提になるとの考えのもと、企業倫理・法令遵守の体制を構築し、定着に向けた啓発活動等に取り組むとともに、「東北電力グループサステナビリティ方針」のもと、誠実で公正な事業活動を行うとともに、ステークホルダーの期待に応え、企業としての社会的責任を果たしてまいります。

 

 

 

c.新型感染症拡大による影響

 影響度:大きい

 重要性:高い

 

 新型コロナウイルス等の新型感染症の拡大が長期化した場合、消費の低迷や生産活動の停滞等による電力需要の減少や発電所の稼働に制約が生じる等によって、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
 また、当社管内での流行時には発電所の運転人員等の確保や、世界的な感染拡大の状況によっては発電燃料の調達に影響を及ぼす可能性があります。
 当社では、感染症の大規模流行に備え、電力の安定供給を維持するための事業継続計画を策定しており、当社管内の流行段階に応じて、縮小や中断が可能な業務から順次業務を絞り込みながら業務運営を行うこととしているほか、燃料の調達ソースの多様化・分散化により調達安定性を確保し、燃料の供給が途絶するリスクの低減を図り電力の安定供給に努めていくとともに、中長期的な事業環境変化にも対応していくこととしております。

 

 

 

d.電気事業以外のリスク

 影響度:大きい

 重要性:高い

 

 スマート社会実現事業を含めた従来の電気事業以外の事業の業績は、他事業者との競合状況や、ガスシステム改革の進展などの事業環境の変化により、売上・利益の減少などの影響を受けることがあることから、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
 当社企業グループでは、従来の電気事業の枠を超え、エネルギーとサービスのトータルパッケージでの提供やソリューションサービスの充実化を図ることで、競争力の強化を進めながら、スマート社会の実現に貢献し、早期収益化に挑戦していくこととしております。

 

 

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)事業の経過

① 企業グループを取り巻く経営環境

2022年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の抑制と経済活動の両立が進むもとで緩やかに持ち直しているものの、資源高の影響など一部に弱さがみられており東北地域においても同様の傾向にあります。

近年、電力業界においては、不安定な国際情勢による燃料価格や電力調達価格の高騰、大規模自然災害の激甚化及びカーボンニュートラル実現に向けた動きの加速など、事業環境は大きく変容し、複雑化しております。加えて、当社においては、2022年3月の福島県沖を震源とする地震による火力発電所の甚大な被害に伴い電力調達コストの負担が増加するなど、収支に大きな影響を与えております。

このような中、当社企業グループは、東北電力グループスローガン「より、そう、ちから。」のもと、電力供給事業の構造改革による徹底的な競争力強化を果たしながら電力の安定供給を担うとともに、スマート社会を実現していくため、様々な取り組みを展開してまいりました。

 

② 電気料金の値上げとさらなる経営効率化

電力小売全面自由化による販売競争が激化する中、徹底した効率化を進め、継続してコスト競争力の強化を図りながら電力の安定供給に努めてまいりました。一方、燃料価格や電力調達価格の高騰の影響及び地震による甚大な設備被害などの複合的な要因により、電力の供給コストが電気料金の収入を上回る状態となりました。

このままでは電力の安定供給に影響を及ぼしかねない非常に厳しい状況となることから、2022年11月以降、高圧以上の電気料金単価の見直し及び低圧自由料金の燃料費調整制度における上限設定の廃止を実施するとともに、2023年6月からは、低圧規制料金の値上げと低圧自由料金の料金単価等の見直しを実施しております。

引き続き、徹底した経営効率化に取り組み、お客さまに安定的に電気をお届けするとともに、少しでもお客さまの負担軽減につながるよう、電気の効率的な利用方法の提案に取り組んでまいります。

 

③ 新電力のお客さま情報等の不適切な取り扱い

2023年1月以降、当社において、東北電力ネットワーク株式会社が管理する当社以外の小売電気事業者のお客さま情報を当社従業員が閲覧していた事案(東北電力ネットワーク株式会社において非公開とすべき情報が漏洩していた事案)などが確認されました。これを受け、両社において徹底した調査及び詳細な原因分析を行い、ハード・ソフトの両面から再発防止策を策定いたしました。引き続き再発防止策の徹底に努めてまいります。

 

[発電・販売事業]

④ スマート社会実現事業の取り組み

スマート社会実現事業については、「電気+サービス」や「次世代エネルギーサービス」を中心に事業化を進めてまいりました。「電気+サービス」としては、お客さまの安全・安心の実現に向け、当社が空き家の所有者に代わり状況を確認する「空き家管理サービス」などのサービスを開発しました。「次世代エネルギーサービス」としては、分散型エネルギーを活用した事業機会の拡大に向け、当社が再生可能エネルギー事業者に代わり発電量の予測などを行う「再エネアグリゲーションサービス」を開始しました。また、2022年12月、スマート社会実現に向けた法人のお客さまの分散型エネルギー導入促進を加速するため、コーポレートPPA事業室を設置いたしました。

東北電力フロンティア株式会社では、暮らしを彩る様々なサービスの提供により事業領域を拡大してまいりました。具体的には、家計に関する課題解決をお手伝いする「トキメクくらしの家計ご相談サービス」や、オンライン申込型自動車保険「東北電力フロンティアくらしのシンプル保険」などを提供してまいりました。

引き続き、当社企業グループとしてスマート社会実現事業の収益化を進め、東北電力グループならではの価値をお客さまにご提供してまいります。

 

 

⑤ 発電・卸売の競争力向上の取り組み

電力取引の市場化に伴う量的・価格的な不確実性をコントロールするとともに、トレーディング機能も最大限活用しながら、燃料調達から発電・卸売までのバリューチェーンの最適化に取り組んでまいりました。

燃料調達については、価格高騰局面におけるLNGスポットの調達比率を低減するなど、経済的な燃料確保に努めてまいりました。また、2022年4月にシンガポール駐在員事務所を設立し、海外エネルギー動向などの調査機能を強化し、燃料調達における経済性・安定性のさらなる向上に努めてまいりました。

発電については、電源の競争力を高めつつ環境性を確保するため、経年火力発電所の休廃止を進めるとともに、最新鋭の火力電源である上越火力発電所第1号機の建設を着実に進め、2022年12月に営業運転を開始し、世界最高の発電効率を達成しております。

卸売については、東北電力エナジートレーディング株式会社による電力取引市場や燃料先物取引の活用など市場価格を意識した価格の設定や、柔軟な契約条件など付加価値のある提案を積極的に実施し、収益拡大を図ってまいりました。

 

⑥ 調達環境の変化を踏まえた電力小売の取り組み

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、燃料価格や電力調達価格が高騰していることなどから、2022年秋以降、高圧以上のお客さまに対し電気料金の値上げをお願いするとともに、低圧自由料金の燃料費調整制度における上限設定を廃止いたしました。また、2023年6月からは、低圧規制料金の値上げと低圧自由料金の料金単価等の見直しを実施しております。

また、燃料価格の高騰に伴いお客さまの負担が増えている状況を踏まえ、電気料金の負担軽減につながる提案をしてまいりました。家庭分野においては、節電に取り組まれたお客さまによりそうeポイントをプレゼントする「節電チャレンジキャンペーン」やヒートポンプ機器への買い替え費用の一部を補助する「エコ替えキャンペーン」などを実施いたしました。加えて、カーボンニュートラル実現に向け、最新電化機器を月々定額で利用できる「東北電力eライフリース」や太陽光発電と蓄電池の設置サービス「あおぞらチャージサービス」など、当社企業グループのサービスとあわせた提案を実施し収益拡大を図ってまいりました。法人分野においても、節電のコンサルティングや自家消費型太陽光オンサイトサービスなどの提案をグループ一体で実施してまいりました。

 

⑦ 再生可能エネルギーに関する取り組み

再生可能エネルギーについては、風力発電を主軸に、200万kWの開発を目指しており、福井県国見岳における風力発電事業に参画したほか、岩手県沖における浮体式洋上風力発電の事業化に向けた実現可能性調査を開始するなど、新たに4件の開発に取り組んでまいりました。また、開発を進めていた案件のうち、国内初の商業用大型洋上風力プロジェクトである秋田港及び能代港洋上風力発電所や玉川第二水力発電所(山形県)など4件が運転を開始しており、開発案件が事業化された場合の持分出力の累計は、2022年度末時点で約65万kWとなっております。

加えて、再生可能エネルギー電源及び関連設備のメンテナンスやトレーニングなどを担う東北電力リニューアブルエナジー・サービス株式会社においては、2023年3月、秋田火力発電所構内に「風力トレーニングセンター秋田塾」を開設し、風車での高所作業などを安全に行うための訓練サービスの提供を開始いたしました。

引き続き、地域に豊富に賦存する再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでまいります。  

 

⑧ 原子力発電所の安全性向上

原子力発電については、新規制基準への適合にとどまらず、より高いレベルでの安全確保に向けて、最新の知見も取り入れながら、設備面と運用面の両面から、さらなる安全性の向上に取り組んでまいりました。

女川原子力発電所第2号機については、新規性基準に係る原子炉設置変更許可、工事計画認可、原子炉施設保安規定変更認可に関して、原子力規制委員会から許認可を受けました。現在、2023年2月に改正された審査基準に基づく保安規定の変更認可に係る審査に適切に対応しております。引き続き、2023年11月の安全対策工事完了に加え、使用前事業者検査や長期間停止している設備の点検・確認などにも着実に取り組み、2024年2月の再稼働を目指してまいります。また、特定重大事故等対処施設の設置に関し、2022年1月に原子力規制委員会に設置変更許可申請を行っており、現在、審査に適切に対応しております。

東通原子力発電所第1号機については、基準地震動や基準津波の評価に係る審査に適切に取り組んでおり、安全対策工事については、2024年度の完了を目指しております。

 

[送配電事業]

⑨ 電力の安定供給に向けた取り組み

東北電力ネットワーク株式会社は、「電気を安定的に地域のみなさまにお届けする」という使命を果たすため、送配電設備の整備や様々な状況を想定した訓練など、ハード・ソフトの両面から、激甚化し頻発している自然災害への対応力強化及び電力の安定供給に努めてまいりました。

2022年12月に発生した日本海側を中心とした大雪に伴う停電の際には、迅速な復旧に努めたものの、断続的な降雪や倒木により一部復旧が困難となり停電が長期化した地域がありました。このような地域については、ホームページやツイッターの活用、自治体への連絡要員の派遣など、タイムリーな情報提供に努めました。

今後も、訓練などを通じて、両社が連携のうえ電力の安定供給に努めてまいります。

 

⑩ 再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取り組み

東北北部エリアの電源接続案件募集プロセス及び東北東京間連系線などの系統整備の推進、再生可能エネルギーの予測精度向上による出力制御量低減及び佐渡島における最適な電力需給制御に向けた取り組みなど、再生可能エネルギーの導入拡大に向けて取り組んでまいりました。

 

⑪ 新託送料金制度に基づく託送供給等約款の認可

電力の安定供給や再生可能エネルギー導入拡大に必要な投資の確保と効率化を両立する新たな託送料金制度(レベニューキャップ制度)に基づく託送供給等約款について認可を受け、2023年4月より本託送供給等約款を実施しております。新たな託送料金制度のもと、2023年度から2027年度における達成目標などを示した事業計画を策定しております。東北6県及び新潟県のお客さまの安全・安心で豊かな暮らしを支えるため、当該事業計画に基づき安定供給とコスト低減の両立に取り組んでまいります。

 

⑫ 新規事業・サービスの展開

収益拡大に向け、東北電力ネットワーク株式会社の設備やノウハウなどのネットワーク資産を活用した新規事業の創出にも取り組んでまいりました。具体的には、お客さまのご自宅における停電や漏電などの電気のトラブルをサポートするサービス「でんきのSOS」や、事業所建物の外壁を利用した広告事業「より、そう、ビジョン@仙台」などに取り組んでまいりました。

 

 

(2)経営成績の分析

当連結会計年度の販売電力量の状況については、当社において、節電の影響や前連結会計年度に比べて冬場の気温が高く暖房需要が減少したことなどから、販売電力量(小売)が減少するとともに、販売電力量(卸売)が減少したことなどから、販売電力量(全体)は、818億kWh(前年度比 2.7%減)となりました。

売上高は、燃料費調整額が増加したことなどから、3兆72億円となり、前連結会計年度に比べ、9,027億円(42.9%)の増収となりました。

経常損益については、燃料価格の高騰や円安の影響に加え、卸電力取引市場の価格の上昇により電力調達コストが大幅に増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,500億円減少し、1,992億円の損失となりました。

また、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ191億円減少し、1,275億円の損失となりました。

この結果、営業損益及び経常損益は過去最大の損失となり、親会社株主に帰属する当期純損益を含めて、2年連続の赤字となりました。

なお、当連結会計年度における連結キャッシュ利益は1,366億円となりました。

 

※「東北電力グループ中長期ビジョン『よりそうnext』」において「連結キャッシュ利益」を財務目標として設定しております。(2024年度に3,200億円以上を目標)

「連結キャッシュ利益」= 営業利益+減価償却費+核燃料減損額+持分法投資損益

(営業利益は、燃料費調整制度のタイムラグ影響を除く。)

 

 

 

 

 


 

 

当連結会計年度におけるセグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は次のとおりであります。

[発電・販売事業]

当社の販売電力量(小売)は、前連結会計年度に比べ節電の影響や冬場の気温が高かったことによる暖房需要の減少などから、2.1%減の659億kWhとなりました。このうち、電灯需要は、4.9%減の200億kWh、電力需要は、0.8%減の460億kWhとなりました。また、販売電力量(卸売)は、常時バックアップの契約及びベースロード市場取引量が増加したものの、東北6県及び新潟県以外への卸売が減少したことなどから、5.0%減の159億kWhとなりました。

この結果、当社の販売電力量(全体)は、2.7%減の818億kWhとなりました。

これに対応する供給については、原子力発電所の運転停止継続や福島県沖地震の影響による一部発電所の運転停止により供給力の減少があったものの、卸電力市場などからの電力調達などにより安定した供給力を確保しました。

売上高は、燃料費調整額が増加したことなどから、2兆3,142億円となり、前連結会計年度に比べ、7,114億円(44.4%)の増収となりました。

経常損益は、燃料価格や卸電力取引市場価格の上昇により電力調達コストが大幅に増加し、収入増加を大きく上回ったことから、前連結会計年度に比べ1,354億円の減益となり、2,184億円の損失となりました。

 

[送配電事業]

当連結会計年度のエリア電力需要は、産業用その他における生産動向などから、2.4%減の771億kWhとなりました。

売上高は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づく購入電力量の増加に伴い卸電力取引市場を通じた販売電力量が増加したことや、加えて販売単価も上昇したことなどにより、1兆1,248億円となり、前連結会計年度に比べ、3,317億円(41.8%)の増収となりました。

経常利益は、調整力・インバランスに係る費用の増加や、追加供給力公募(kW公募)及び追加電力量公募(kWh公募)費用の増加などにより、113億円となり、前連結会計年度に比べ、295億円(72.2%)の減益となりました。

 

[建設業]

売上高は、屋内配線工事や配電線工事が増加したことなどから、3,035億円となり、前連結会計年度に比べ、36億円(1.2%)の増収となりました。

これにより、経常利益は、131億円となり、前連結会計年度に比べ、14億円(12.2%)の増益となりました。

 

[その他]

売上高は、ガス事業における取引量及び単価が増加したことなどから、2,462億円となり、前連結会計年度に比べ、389億円(18.8%)の増収となりました。

これにより、経常利益は、138億円となり、前連結会計年度に比べ、37億円(38.0%)の増益となりました。

 

(3) 財政状態の分析

資産は、流動資産における現金及び預金や売掛金などの増加に加え、繰延税金資産及び燃料貯蔵品などの棚卸資産が増加したことから、前連結会計年度末に比べ、4,862億円(10.3%)増加し、5兆2,119億円となりました。

負債は、安定供給に必要となる電力設備の維持・更新に充当する資金などを社債や借入金で調達したことにより、有利子負債残高が、前連結会計年度末に比べ6,153億円(22.3%)増加し、3兆3,756億円となったことなどから、負債総額は、前連結会計年度末に比べ、6,341億円(16.1%)増加し、4兆5,808億円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ、1,478億円(19.0%)減少し、6,310億円となりました。

これにより、自己資本比率は前連結会計年度に比べ4.3ポイント悪化し、10.5%となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況の分析

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

燃料価格の高騰により燃料及び電力調達支出が増加したことなどから、前連結会計年度の収入から支出に転じ、937億円の支出(前連結会計年度は971億円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

女川原子力発電所第2号機の安全対策工事などによる固定資産の取得支出が増加したものの、投融資の回収による収入が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ支出が463億円(14.4%)減少し、2,757億円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

社債の発行による収入が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ収入が3,052億円(104.1%)増加し、5,984億円の収入となりました。

 

この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ2,294億円(82.4%)増の5,078億円となりました。

 

フリー・キャッシュ・フローは前連結会計年度に比べ1,409億円(66.6%)減の△3,525億円となりました。

 

   ※ フリー・キャッシュ・フロー

     <算出方法>

       営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー - 利息及び配当金の受取額

            - 利息の支払額

                                              (単位:億円)

 

  前連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日

  当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日

増 減

営業活動によるキャッシュ・フロー(A)

971

△937

△1,909

投資活動によるキャッシュ・フロー(B)

△3,221

△2,757

463

利息及び配当金の受取額(C)

10

10

△0

利息の支払額(D)

△145

△180

△35

フリー・キャッシュ・フロー(A+B-C-D)

△2,115

△3,525

△1,409

 

 

また、キャッシュ・フロー指標の変動は次のとおりであります。

 

前連結会計年度
(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
 至 2023年3月31日)

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

28.4

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

6.7

 

(注) 1 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロ

2 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額

3 当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

① 資金調達方針並びに状況

当社は、電気事業における安定供給に必要な設備投資、社債などの償還資金への充当及び東北電力グループ中長期ビジョンに掲げた再生可能エネルギー事業、スマート社会実現事業への投資などの資金需要に対し、資金調達環境の動向や有利子負債、現金及び現金同等物の適正な保有額を総合的に勘案し、社債の発行及び、金融機関からの借入金等を組み合わせて安定的に資金を調達しております。

一般担保付社債については、当連結会計年度において、総額2,757億円発行しております。これらは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりA+、株式会社日本格付研究所(JCR)よりAAの長期債格付を取得しております。なお、当社は、2020年3月27日に「電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第47号)」(平成27年6月成立)に基づき、経済産業大臣の認定のもと、2020年度から5年間に限り、一般担保付社債の発行が可能となる経過措置を受けております。

また、当社は、将来の成長に向けた投資資金の確保と財務基盤の強化を両立する資金調達手段として、2022年9月に当社として初めてとなる公募ハイブリッド社債(一般担保無・劣後特約付社債)を総額2,800億円発行しております。これらは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりA-、株式会社日本格付研究所(JCR)よりA+の長期債格付を取得しております。

さらに、世界的な燃料価格の高騰や電力卸取引市場の価格上昇に加え、福島県沖を震源とする地震の影響などによる厳しい状況を踏まえ、安定的な事業資金の確保のため、2022年12月に借入総額3,500億円のシンジケートローンによる資金調達を実施しております。

加えて、「東北電力グループ“カーボンニュートラルチャレンジ2050”」の実現に向けた取り組みを一層加速していくため、2023年3月に東北東京間連系線の整備、東北北部エリアにおける電源募集プロセスの系統整備、上越火力発電所の開発などを資金使途としたトランジションボンド及びトランジションローンによる資金調達を当社として初めて実施するなど、持続可能な社会の実現に向けたカーボンニュートラルへの積極的な挑戦を資金調達面から支えるとともに、さらなる資金調達の多様性や安定性の確保に努めております。

 

上記による資金調達の結果、当連結会計年度末の社債発行残高及び借入金残高はそれぞれ1兆7,357億円、1兆6,399億円となっております。

短期的な資金需要に対しては、機動的なつなぎ資金調達の手段としてコマーシャル・ペーパーなどを活用しております。コマーシャル・ペーパーは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりa-1の短期債格付を取得しており、当連結会計年度は2,000億円の発行限度枠を設定しております。

 

② 資金の流動性に係る情報

当社は、月次での資金計画などにより、資金需要を的確に把握することに努めるとともに、金融機関との間に当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結していることから、電力需要の変動などに伴い、営業活動によるキャッシュ・フローが減少した場合でも、必要に応じて極度枠の範囲内で速やかに資金調達ができる体制を整えることにより、充分な流動性を確保しております。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

当社企業グループは、固定資産の減損、繰延税金資産、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。

 

(6) 生産、受注及び販売の実績

当社企業グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため「生産実績」を定義することが困難であります。また、建設業においては請負形態をとっており、「販売実績」という定義は実態にそぐわないため、生産、受注及び販売の実績については、記載可能な情報を「(2)経営成績の分析」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。

なお、当社個別の事業の状況は次のとおりであります。

 

① 供給力実績

種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

前年度比(%)

自社発電電力量

 

 

 

水力発電電力量

(百万kWh)

7,990

99.5

火力発電電力量

(百万kWh)

49,347

95.1

原子力発電電力量

(百万kWh)

新エネルギー等発電電力量

(百万kWh)

597

97.6

融通・他社受電電力量

(百万kWh)

34,281

△6,681

104.6

130.8

揚水発電所の揚水用電力量等

(百万kWh)

△362

115.3

合計

(百万kWh)

85,172

96.9

出水率

(%)

97.0

 

(注) 1 停止中発電所の所内電力量は、自社事業用電力量として、販売実績に記載しております。

2 融通・他社受電電力量には、連結子会社からの受電電力量(東北電力ネットワーク㈱ 5,135百万kWh、酒田共同火力発電㈱ 3,687百万kWh、東北自然エネルギー㈱ 431百万kWh 他)、送電電力量(東北電力ネットワーク㈱ 5,921百万kWh 他)を含んでおります。

3 融通・他社受電電力量の上段は受電電力量、下段は送電電力量を示しております。

4 揚水発電所の揚水用電力量等とは貯水池運営のため揚水用に使用する電力量及び自己託送の電力量であります。

5 出水率は、1991年度から2020年度までの30ヶ年平均に対する比であります。

6 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。

 

② 販売実績

種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

前年度比(%)

販売電力量(百万kWh)

電灯

19,959

95.1

電力

45,982

99.2

小売 計

65,940

97.9

卸売

15,885

95.0

合計

81,825

97.3

 

(注) 1  停止中発電所の所内電力量は、自社事業用電力量として、販売実績に記載しております。

2 小売には自社事業用電力量(74百万kWh)を含んでおります。

3 卸売には特定融通等を含んでおります。

4 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。

 

 

 

③ 資材の状況

 石炭及び燃料油等の受払状況

区分

単位

2022年
3月末
在庫量

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

2023年
3月末
在庫量

受入

前年度比
(%)

払出

前年度比
(%)

石炭

t

701,298

8,867,281

99.66

8,603,517

93.54

965,062

重油

kl

66,328

495,764

137.51

469,449

145.88

92,643

LNG

t

183,625

3,773,857

98.04

3,755,774

96.47

201,708

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

  当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社企業グループは、「東北発の新たな時代のスマート社会の実現に貢献し、社会の持続的発展とともに成長する企業グループ」を2030年代のありたい姿とする東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」等に基づき、研究開発を実施しております。

 

現在、研究開発は、当社の研究開発センター及び各連結子会社の設計・開発担当部門などにより推進されており、当連結会計年度における当社及び連結子会社の研究開発費は74億円であります。このうち発電・販売事業は44億円、送配電事業は20億円、建設業は4億円、その他は5億円となっております。

 

[発電・販売事業][送配電事業]

電力の研究開発は、「カーボンニュートラルチャレンジ実現に資する研究開発」「スマート社会実現・新たな収益源の創出に資する研究開発」「電力供給事業の基盤強化・高度化に資する研究開発」の重点領域に注力して取り組んでおります。

 

(1) カーボンニュートラルチャレンジ実現に資する研究開発

火力発電所におけるブラックペレットや水素/アンモニアの混焼に関する研究、浮体式洋上風力発電に関する研究、HVDC接続による系統影響及び系統安定化活用に関する研究 など

 

(2) スマート社会実現・新たな収益源の創出に資する研究開発

スマートメーター通信網等の活用による事業創出に関する研究、太陽光発電の導入拡大対策に関する研究、モビリティ事業に関する研究 など

 

(3) 電力供給事業の基盤強化・高度化に資する研究開発

火力発電所保守・運転・運用のデジタル化に関する研究、レジリエンス強化に向けた新技術導入に関する研究、ドローン撮影画像を用いた鉄塔劣化診断に関する研究 など

 

[建設業]

(1) 安全確保と品質向上に関する技術開発

充電状態となっている高圧盤や分電盤等における感電災害防止を目的とした、アナウンス付充電中標識の開発 など

 

(2) 収益力拡大に向けた技術開発

業務効率化を目的とした、碍子洗浄機の開発や、多条管用締固め機の改良 など

 

[その他]

(1) 光通信市場向け商品開発

半導体レーザーの集光用光科学部品の製品開発 など

 

(2) 売上拡大に向けた研究開発

低風圧アルミ配電線の開発や、開閉器制御用子局(通信線搬送方式)の維持開発及び多回路子局の電源開発 など

 

(3) 新たなサービス提供に向けた研究開発

スマートグリッドにおける国際標準規格向けアダプタの開発や、IOTプラットフォームをベースにした改良型設備監視システムの調査研究 など