以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。
<東北電力グループ中長期ビジョンにおける今後の経営展開「よりそうnext+PLUS」>
当社グループは、事業環境変化や将来見通し等を踏まえ、2024年4月に東北電力グループ中長期ビジョンにおける今後の経営展開「よりそうnext+PLUS」を策定し、「事業展開」、「財務基盤」、「経営基盤」の3つの方針に基づき、事業を推進しております。
(事業展開)
事業展開については、電気・エネルギーを中心とした5つの領域と11の事業区分を設定した上で、各事業が自律的に収益と成長を追求していきます。また、カーボンニュートラルやDXを成長の機会として捉え、イノベーションなどを通じた既存事業の強化・拡張や新たな事業領域の拡大にも挑戦していきます。

(財務基盤)
電力の安定供給の維持に必要な財務基盤の回復を早期に実現するとともに、資本コストを上回る企業価値を創出し、「利益・投資・成長の好循環」を形成していくために、「連結経常利益」、「連結自己資本比率」、「連結ROIC※1」を指標とした財務目標を設定しております。
また、財務目標達成に向けた取組を通じて得られた利益・キャッシュは、有利子負債の削減や、カーボンニュートラルなどに対応しながらお客さまに電気を安定的にお届けし、さらなる付加価値を提供していくための投資に活用します。配当については、財務基盤の回復とのバランスを考慮しながら、当面はDOE(株主資本配当率)※22%を目安として安定的な株主還元を実現していきます。
※1 ROIC(投下資本利益率)=税引後営業利益/(株主資本+有利子負債)×100
※2 DOE(株主資本配当率)=年間配当総額/株主資本×100

(経営基盤)
持続的に事業を展開していくための土台として経営基盤を強化していきます。具体的には、サステナビリティ経営を推進し、ESGを中心としたサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の解決に中長期的な視点で取り組みます。特に、電気事業の果たす役割が大きいカーボンニュートラルへの長期的かつ戦略的な対応(CN戦略)や、DXを活用したイノベーション・業務変革(DX戦略)、そして成長の源泉である人的資本の強化(人財戦略)に重点的に取り組んでいきます。詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
<経営計画体系の見直し及び2025年度東北電力グループ経営計画>
2024年度は、女川原子力発電所第2号機の再稼働を果たしたことなどにより、連結経常利益は2,567億円となりましたが、連結自己資本比率は同年度末時点で18.3%程度と回復の途上にあり、自然災害等の事業リスクへ対応していくためにも財務基盤の早期回復に取り組む必要があります。また、物価上昇による資機材調達等のコスト上昇や、電力の卸・小売双方において競争が活発化している状況にあり、不確実で変化の大きい事業環境に対して、これまで以上に迅速かつ臨機に対応していく必要があります。
このため、中長期ビジョンに基づく具体的な計画について、2025年度からは従来のフォーキャストの視点で成果を積み上げていく「3カ年の中期計画」を、将来のありたい姿からバックキャストした「単年度計画」に見直すことといたしました。これにより、機動性の高い経営管理や事業展開を図り、中長期の成長にチャレンジしながら、ありたい姿の実現に向けて着実に歩みを進めてまいります。

この新たな経営計画体系のもとで策定した「2025年度東北電力グループ経営計画」においては、「①収益拡大に向けた事業展開」「②成長に資する戦略的な投資」「③持続的な経営基盤の強化」に取り組み、財務基盤の早期回復を図るとともに、中長期的な「利益・投資・成長の好循環」の形成につなげてまいります。詳細は、当社ウェブサイト(URL https://www.tohoku-epco.co.jp/)において公表の「2025年度東北電力グループ経営計画」をご参照ください。

(収益拡大に向けた事業展開)
「グリーンビジネス領域」や「エネルギー・ソリューションサービス領域」での取組に注力し、特に、「グリーンビジネス領域」においては、「コーポレートPPAサービス」のさらなる販売拡大に取り組むとともに、「再エネアグリゲーションサービス」等の強化を進めていきます。また、「エネルギー・ソリューションサービス領域」においても、東北・新潟を軸に、エリアに捉われない事業展開で販売拡大を図るとともに、電気とサービスを組み合わせ、お客さまのニーズに合った付加価値の提供に取り組んでいきます。さらに、関連領域において、AI関連等の新分野におけるサービス開発にも挑戦していきます。

(成長に資する戦略的な投資)
中長期の視点に立って、電気事業の変化に対して付加価値を生むための戦略投資などを通じて、「利益・投資・成長の好循環」を形成していきます。

(持続的な経営基盤の強化)
電気事業の果たす役割が大きいカーボンニュートラルの達成に向けた対応(CN戦略)や、DXを活用したイノベーション・業務変革(DX戦略)、そして成長の源泉である人的資本の強化(人財戦略)に取り組んでいきます。
2025年4月に「総務・地域共創部門」を本店に設置し、これまで以上に地域の発展や課題解決を推進していきます。

東北電力グループは、経営理念「地域社会との共栄」とグループスローガン「より、そう、ちから。」のもと、地域の皆さまが快適・安全・安心なくらしを実感できるスマート社会の実現に貢献し、社会の持続的発展とともに成長する企業グループを目指してまいります。
当社企業グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。
当社企業グループは、創立以来脈々と受け継がれてきた「東北の繁栄なくして当社の発展なし」との考え方のもと、地域社会の持続的な発展とともに成長すべく、電気事業を通じて様々な社会課題の解決に取り組んでまいりました。その積み重ねが地域の皆さまとの信頼関係に繋がり、今日の当社企業グループの経営の礎となっております。こうして築いてきた地域とのネットワークを通じて、地域の皆さまの声を受け止め、「東北電力グループだからできること」でお応えしていくことが、今後当社企業グループに一層強く求められていくものと考えております。
当社企業グループは、サステナビリティを経営の中核に据え、「東北電力グループサステナビリティ方針」のもと、事業を通じて地域や社会が直面する課題の解決に努め、未来世代にわたるステークホルダーとともに、社会価値と企業価値を共創していくことを目指してまいります。
東北電力グループサステナビリティ方針
(1) サステナビリティ共通
[ガバナンス]
当社及び東北電力ネットワーク株式会社の両社で構成するサステナビリティ推進会議において、ステークホルダーの視点をもとに、「マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)」への取組を包括的に確認し、今後の方向性を経営計画等に反映させております。社長執行役員は、サステナビリティ推進会議の議長を務め、サステナビリティへの対応の統括を担っております。
また、サステナビリティ推進会議の結果について取締役会に報告することで適切な監督を受けるとともに、東北電力グループサステナビリティ連絡会等を通じて、グループ企業間の連携を図っております。

[リスク管理]
サステナビリティに係る様々な課題は、当社企業グループと地域社会の持続可能性を脅かすリスクとなる一方、持続的成長を図る機会として捉えております。優先的に取り組むべき課題である「マテリアリティ」に係るリスクと機会を把握し、各課題への対応を各カンパニー・本部の経営計画等に織り込み、リスクの低減に努めるとともに、地域社会との持続的な成長を目指してまいります。
当社企業グループは、2022年7月に優先的に取り組むべき課題である「マテリアリティ」を以下のとおり特定し、各取組を展開しております。
特に、電気事業の果たす役割が大きいカーボンニュートラルへの長期的かつ戦略的な対応(CN戦略)や、DXを活用したイノベーション・業務変革(DX戦略)、そして成長の源泉である人的資本の強化(人財戦略)に重点的に取り組んでまいります。
■重点的に取り組む分野「CN戦略」
カーボンニュートラルへの対応については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候変動対応」に記載しております。
■重点的に取り組む分野「DX戦略」
「あらゆるビジネスシーンで、最新のデータ・デジタル技術を最大限活用する」ことでビジネスモデル変革や業務プロセス変革を実現します。
その中でも特に、「人的価値最大化」、「収益拡大」、「安全・技術継承」に注力し、成長に必要な経営資源を確保するとともに、「持続的な成長」を可能とする経営基盤の強化を目指します。
これらを推進するため、東北電力グループのDX牽引役であるChief Digital Officer(CDO)を経営層から任命し、CDOの下に、DX戦略を立案・実行するDX推進部を設置しております。
また、グループのDX戦略については、CDOが委員長を務め、当社及び東北電力ネットワーク株式会社の両社で構成するDX推進委員会で審議しており、加えて、CDOやDX推進部によるグループ企業各社との連携強化も図っております。

■重点的に取り組む分野「人財戦略」
人的資本の強化の取組については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本」に記載しております。
[指標及び目標]
当社企業グループは、特定した「マテリアリティ」に関連する目標や指標を設定し、課題解決に向けた取組を推進しております。
(注)1 TD:東北電力株式会社、TN:東北電力ネットワーク株式会社、
TFP:東北電力フレンドリー・パートナーズ株式会社、G:グループ全体。
2 2024年度実績は、2025年9月頃に
3 2025年度からは、指標・目標の範囲を「G(グループ全体)」に拡大。2024年度実績は、東北電力株式会社及び東北電力ネットワーク株式会社の実績。
4 自然関連財務情報開示タスクフォース。TNFD提言に基づく開示については、
5 2025年度からは、「自由料金プラン比率」ではなく「電化住宅向け料金プランの契約口数」の指標を設定し、モニタリングします。
6 「よりそう東北コネクト」は、東北・新潟エリアにおける法人同士のお困りごと・アイデア・ソリューションをつなげるプラットフォームとして、株式会社トークネットが2021年からサービス提供を開始しているもの。
7 2025年度からは、安定したエネルギーの供給に係る指標は「高経年化設備の計画的な改修」ではなく、「次世代投資計画の進捗率」(レベニューキャップ制度に基づき事業計画として公表済の次世代投資計画に対する実績額)にてモニタリングします。次世代投資計画は、送配電網のバージョンアップ・強靭化、デジタル技術等の活用等を含みます。
8 エンゲージメントスコアは、「この会社を素晴らしい会社として知人に勧めたいか」の設問で、「勧めたい」を5、「どちらかといえば勧めたい」を4、「どちらかといえば勧めたくない」を2、「勧めたくない」を1とした平均スコア。
9 学習時間には、社員が参加している研修時間の他、自己啓発として自主的に学習しているeラーニングの学習時間を含みます。
10 2025年度からは、グループ全体でDX人財数の目標を設定。
11 2025年度からは、普通休暇平均取得率は、毎年4月に付与する普通休暇20日及び季節休暇(夏期休暇2日、冬期休暇1日)に対する取得率をモニタリングします。
12 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく「課長級」以上の女性数。人事・賃金制度見直しに伴う職能等級再編(2024年10月実施)により「課長級」の対象が拡大。2025年度からは、女性活躍推進の状況は女性管理職比率にてモニタリングします。
13 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく「課長級」以上に限らず、全ての管理職のうち女性社員が占める割合。
14 プレゼンティーイズムとは、出勤はしているが、何らかの疾患や症状によって業務遂行能力や労働生産性が低下している状態、アブセンティーイズムとは、心身の不調により連続して休務をしている状態をいいます。それぞれ低値の方がより良い状態です。
15 2025年度からは、収益・財務基盤の確保に係る指標は「連結キャッシュ利益」ではなく、「連結経常利益」、「連結自己資本比率」、「連結ROIC」にてモニタリングします。なお、新指標の2024年度実績は、「
16 東北電力株式会社及び東北電力ネットワーク株式会社が主催又は共催した活動(グループ企業の参加を含む)の実績値であることから、範囲を「G(グループ全体)」から「TD・TN(東北電力株式会社・東北電力ネットワーク株式会社)」に見直し。
(2) 気候変動対応(TCFD※提言への取組)
[ガバナンス]
当社は取締役会において、気候関連リスクと機会の認知及び対応策の検討、目標の進捗状況のモニタリングと監督を通じて気候変動への対応を強化し、経営戦略に取り込んでいくことを意思決定しております。
社長執行役員はカーボンニュートラル推進会議及びサステナビリティ推進会議の議長を務めております。
カーボンニュートラル推進会議は、2050年カーボンニュートラルの達成に向けた戦略策定や施策立案、進捗管理の統括を担っております。
サステナビリティ推進会議は、マテリアリティへの取組全体の統括を担っており、当社企業グループのマテリアリティの1つとして「カーボンニュートラルへの挑戦」を特定し、指標・目標をモニタリングしております。この進捗状況については、サステナビリティ推進会議を経て、毎年取締役会に報告することとしております。
※TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース
[リスク管理]
当社は、各業務執行部門が抽出し財務的な影響度を評価した全社の気候関連リスク及び機会を集約・一覧化し、各リスクへの対応の優先度を財務影響の度合いにより把握しております。経営上影響の大きな気候関連リスクについては、全社的な対応方針とともに統合リスクマネジメント会議を経て、年2回取締役会に管理状況を報告し、監督を受けることとしております。
[戦略]
将来の気候関連リスク及び機会が与える財務上の影響を把握するため、当社はシナリオ分析を行っております。シナリオ分析においては、リスク・機会のうち当社事業への影響度が大きいものを抽出し、当社が想定したシナリオの中でどのリスク・機会が増大するか分析しております。
気候変動に関するシナリオとしては、温室効果ガス排出量を実質ゼロとすることを目指し、脱炭素技術が進展し政策や社会全体の行動様式が大きく変化し移行リスクの増大が想定される「1.5℃シナリオ」と、現状を上回る追加の気候変動対策をとらず物理的リスクが大きくなる「4℃シナリオ」を選定し、中長期的な時間軸でシナリオ分析を行っております。
■1.5℃シナリオにおける移行リスクと機会の分析結果と当社の対応
1.5℃シナリオにおいては、移行リスクとしては温室効果ガス排出抑制に向けた社会・経済環境の急速な変化により、火力電源の事業機会縮小・競争力低下や、火力電源による既存ビジネスモデルの収益性低下などが懸念されます。
一方で、機会としては再生可能エネルギーや原子力などの非化石電源の事業機会拡大、競争力向上、電化領域の拡大による電力需要の増加が期待されるため、お客さまのニーズを捉え、これらの機会を利益創出につなげることが必要と考えております。
当社企業グループは、2050年カーボンニュートラル達成に向けて、「1.再エネと原子力の最大限の活用」「2.火力の脱炭素化」「3.電化の推進とエネルギー利用の最適化」に取り組んでおります。
電気の脱炭素化と同時に、電化の推進、家庭用太陽光・蓄電池サービスやオンサイト・オフサイトPPAの推進といったエネルギー利用の最適化に取り組み、事業活動及び社会全般の脱炭素化を目指してまいります。
■4℃シナリオにおける物理リスクの分析結果と当社の対応
物理的リスクの大きい4℃シナリオにおいては、日本の気候変動の影響が顕著となり、気象災害の激甚化や降水・積雪パターンの変化が想定されます。
急性リスクとして気象災害の頻発化・激甚化による当社及び東北電力ネットワーク株式会社の設備被害・供給支障の増加が想定されるため、電力レジリエンスの重要性が高まります。また、慢性リスクとして降水・積雪パターンの変化による水力発電などへの影響が想定されます。
当社及び東北電力ネットワーク株式会社は、頻発化・激甚化する気象災害のリスクに備え、設備の強靭化と復旧対応力を高め、電力レジリエンスの向上を図ってまいります。
[指標及び目標]
■スコープ1、2の温室効果ガス排出量 (注)1、2、3、4
(単位:万t-CO2)
(注)1 数値は東北電力株式会社及び東北電力ネットワーク株式会社に加え、2023年度から連結子会社(火力発電事業)1社の排出量(342.7万t-CO2)を追加しております(「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」(昭和54年法律第49号)及び「地球温暖化対策の推進に関する法律」(平成10年法律第117号)に基づき算出)。
2 2024年度実績は、2025年9月頃に
3 スコープ1排出量は、2022年度実績については東北電力グループサステナビリティレポート2023年度版、2023年度実績については東北電力グループサステナビリティデータブック2024年度版において第三者保証を受けております。
4 スコープ2排出量は、2022年度実績についてはマーケット基準のみ東北電力グループサステナビリティレポート2023年度版、2023年度実績についてはマーケット基準、ロケーション基準ともに東北電力グループサステナビリティデータブック2024年度版において第三者保証を受けております。
■カーボンニュートラル達成に向けた取組の3つの柱
当社企業グループは、2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、「1.再エネと原子力の最大限の活用」「2.火力の脱炭素化」「3.電化の推進とエネルギー利用の最適化」に取り組んでおります。
発電ベースのCO2削減目標に加え、電化とエネルギー利用の最適化による需要側のCO2削減貢献量の目標を新たに設定いたしました。2030年度に250万tの削減貢献を目指し、お客さまのCO2排出削減に貢献する電化や関連サービスのご提案を進めてまいります。

■2030年に向けた今後のCO2削減対策
2050年カーボンニュートラルの達成に向け、2030年度のCO2排出量を2013年度比で半減させることを当面の目標とし、電力需給見通しや低・脱炭素化の進捗を的確にモニタリングしながら取組に反映させてまいります。

(注)1 各対策のCO2削減効果は現時点で一定の仮定を置いて試算したものであり、今後の電力需要動向や脱炭素技術の開発動向、脱炭素技術導入・活用に係る国の制度動向等により変動する可能性があります。よって、進捗や見通しを踏まえて取組を継続的にチューニングしながら、目標達成の確度を高めていきます。
2 図中のCO2排出量はGX-ETSにおける当社企業グループのCO2排出量。
2023年度の排出実績は4,036万t-CO2(2013年度比△20.0%)であり、最新の2024年度実績は2025年9月頃に
(3) 人的資本
[戦略]
当社企業グループが東北発の新たな時代のスマート社会の実現に貢献し、社会の持続的発展とともに成長していくためには、新たな価値を創造できる人財の獲得・育成強化と、事業戦略と人財戦略の連動性を高めることが重要であると考えております。この考えのもと、人財ポートフォリオを策定し、電力供給事業のさらなる競争力強化、安定供給に向けた技術・技能の継承、事業領域の拡大等、事業戦略の遂行に必要となる人員数・スキルタイプを可視化するとともに、事業戦略の方向性に合わせて適宜見直しを行い、採用や育成などを通じて、必要な人財の確保を計画的に進めてまいります。
採用の困難化や人財の流動性の高まりに的確に対応するため、人財マネジメントサイクルにおいて、採用体制の強化による人財の確保、プロフェッショナル人財・DX人財など今後の成長を担う人財の育成を強化することに加え、より効果的な配置、評価・処遇を行ってまいります。同時に、社員が働くうえで土台となる安全と健康、働きやすい職場環境づくりやダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進し、従業員一人ひとりの「働きがい」、「働きやすさ」、「能力伸長」を高め、エンゲージメントの向上を図ってまいります。なお、当社及び東北電力ネットワーク株式会社の従業員のエンゲージメントレベルについては、定期的にエンゲージメントサーベイを実施し従業員意識の把握・分析を行い、今後の改善に向けた打ち手の検討等に活用してまいります。
こうした取組を通じて、多様な人財が組織とともに成長し活躍する企業風土を醸成し、持続的な企業価値向上と利益創出につなげてまいります。

■安全への取組
「労働安全」は「設備保安」とともに、当社企業グループが事業活動を行っていくうえでの基盤となります。当社企業グループの変わらぬ使命である低廉で品質の良い電気を安定してお客さまのもとにお届けするために、お客さまの安全と地域の安全はもちろん、全ての従業員並びに工事関係者の安全を確保することが、信頼獲得の第一歩と考えております。
「東北電力グループ安全・保安方針」のもと、中期的かつ具体的な現場の状況や働く人の気づきを活かした「現場起点」の取組として「安全管理の考え方」を制定いたしました。「安全管理の考え方」を踏まえ、当社企業グループは、「死亡災害ゼロ」、重大な災害に直結する「感電・墜落災害ゼロ」を目標に掲げ、これまでの安全活動に加え、リスクの想定、危険な作業の取止めや設備面での安全対策をより意識した安全活動を推進してまいります。
「東北電力グループ安全・保安方針」
「安全管理の考え方」
■健康経営に関する取組
当社及び東北電力ネットワーク株式会社では、疾病の予防及び改善に向けた早期対応の充実を図ることで「従業員一人ひとりが健康でイキイキと働く元気な会社」を目指し、社長執行役員を責任者とした体制のもと、2023年7月に社長執行役員による東北電力グループ「健康経営宣言」を公表し、健康経営を推進しております。
健康推進方針においては、「ヘルスリテラシーの向上」を従業員の健康維持・増進に向けた取組の土台に据えたうえで、「からだの健康」、「こころの健康」を柱として掲げ、従業員の健康維持・増進並びに健康経営の推進を図ってまいります。
■働き方に関する取組
当社及び東北電力ネットワーク株式会社では、従業員が自律的に働く時間や場所を選べる環境づくりに取り組んでおります。具体的には、フレックスタイム制度やテレワーク制度、勤務地を選べる「勤務地域限定コース」などを導入し、働き方の柔軟性を高めております。また、育児や介護などのライフイベント期にある従業員が家庭と仕事を両立できるよう、休職制度や短時間勤務制度の整備を進めております。
今後も、従業員一人ひとりが「働きやすさ」や「働きがい」を実感し自己成長できる職場環境を整備し、多様な人財が活躍できる場を広げ、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指してまいります。
■人財の多様性確保に向けた取組
当社企業グループは、地域社会とともに成長・発展することを目指し、スマート社会の実現を通じて快適・安全・安心なくらしに貢献することとしております。そのための重要課題としてDE&Iを推進し、「DE&Iはイノベーションを創出する」との考えのもと、個々の多様性を活かし、社員一人ひとりが活躍できる職場づくりを目指しております。
その一環として、当社及び東北電力ネットワーク株式会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「次世代育成支援対策推進法」(平成15年法律第150号)に基づく「一般事業主行動計画」のなかで、女性管理職数の目標値を、また、さらなる中長期的な目標として、女性管理職比率の目標値を設定しております。
また、当社企業グループは、合理的配慮の考え方に立った職場環境の整備に努め、障がいのある従業員が働きがいを感じ活躍の場を広げられるよう取り組んでおります。
今後も、「仕事と家庭の両立支援」や「キャリア形成・活躍支援」に向けた取組を充実させることによって、性別に関わらず多様な人財が活躍できる職場作りを進めていくとともに、DE&I推進に対する社員の意識変革を加速してまいります。
[指標及び目標]
人的資本に関連する指標及び目標は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ共通 [指標及び目標]」のマテリアリティ「多様な人財がイキイキと働く職場作り」、「様々なステークホルダーの人権尊重」の指標及び目標をご覧ください。また、各取組の内容・関連する指標及び目標の詳細については、2025年9月頃に
当社企業グループの中核である電気事業は、電力の安定供給のために発電設備や流通設備、燃料の確保等が必要不可欠であり、設備の損傷や電源の長期停止といった設備リスクは、事業運営における重要なリスクとして認識しております。また、電気という日常生活、産業活動に不可欠なインフラを供給するという社会的使命を果たす電気事業は、国のエネルギー政策の動向や関連する制度措置の見直しといった規制リスクを有しており、事業環境における重要なリスクとして認識しております。加えて、電気事業における主要コストである火力燃料費は、原油などのCIF価格及び為替レートの変動の影響を大きく受けることなどから、市場リスクについても重要なリスクとして認識しております。
これらのリスクが顕在化した場合には、当社企業グループの業績及び財政状態は影響を受ける可能性があると認識しており、当社企業グループでは、これらのリスクの低減に努めるとともに、発生した場合は、的確な対応に努めております。
以下では、当社企業グループの業績及び財政状態への影響が大きいリスクを取り上げておりますが、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであり、全てのリスクを網羅している訳ではありません。当社企業グループの事業は、現在は未知のリスク、あるいは現時点では重要と見做されていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、当社は、経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクについて、社長執行役員を議長とする統合リスクマネジメント会議を設置し、統合リスク管理方針を定め、モニタリング・リスクマネジメントを行うとともに、各部門は定期的に事業活動に係るリスクの抽出・評価を行い、その対策等を毎年度策定する事業計画に織り込み、管理サイクルの中でリスク管理を実践しております。
[リスク管理体制図]

(1)設備リスク等の事業運営におけるリスク
a.自然災害及び設備事故の発生による影響
(2)規制リスク等の事業運営におけるリスク
a.電気事業を取り巻く制度変更等による影響
b.原子力発電を取り巻く制度変更等による影響
c.原子力のバックエンド事業等のコストの変動による影響
d.気候変動に関するリスク
(3)価格変動等の市場リスク
a.需要及び販売価格の変動による影響
b.燃料費、購入電力料の変動による影響
c.金利の変動による影響
d.退職給付費用・債務の変動による影響
(4)その他のリスク
a.情報流出による影響
b.コンプライアンスに反した行為による影響
c.新型感染症拡大による影響
d.電気事業以外のリスク
以下に記載の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
2024年度のわが国経済は、緩やかに回復しているものの、物価上昇やアメリカの通商政策、ウクライナや中東地域をめぐる情勢、中国の経済動向、金融資本市場の変動などの影響に十分注意を要する状況にあります。電力業界においては、依然として難しい国内外のエネルギー情勢が継続するなか、原子力事業の進展やエネルギー基本計画の見直しなど大変重要な局面にあり、また、中長期的にはデジタル化の進展やカーボンニュートラルの潮流加速などを受けて、事業環境が大きく変化していくことが想定されます。
当社においては、これまでの取組における成果・反省や至近の事業環境変化、将来見通し等を踏まえた今後の経営展開として「よりそうnext+PLUS」を2024年4月に策定し、地域のみなさまが快適・安全・安心なくらしを実感できるスマート社会の実現を目指して企業グループをあげて取組を進めております。具体的には、「事業ドメイン」として、電気とエネルギーを中心に5つの領域と11の事業区分を設定し、各事業が自律的に収益と成長を追求しております。
このような状況のなか、当連結会計年度の販売電力量の状況については、当社において、卸電力市場取引の増加などにより販売電力量(卸売)が増加したものの、競争の進展による契約の切り替えなどにより販売電力量(小売)が減少したことなどから、販売電力量(全体)は、780億kWh(前年度比 1.6%減)となりました。
売上高は、燃料価格の低下による燃料費調整額の減少などから、2兆6,449億円となり、前連結会計年度に比べ、1,729億円(6.1%)の減収となりました。
経常利益については、女川原子力発電所第2号機の再稼働による収支改善があったものの、燃料費調整制度のタイムラグ影響による差益の減少などから、前連結会計年度に比べ、352億円減(12.1%)の2,567億円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ432億円減(19.1%)の1,828億円となりました。
また、当連結会計年度における連結キャッシュ利益※は4,705億円となりました。
※東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」において「連結キャッシュ利益」を財務目標として
設定しております。(2024年度に3,200億円以上を目標)
「連結キャッシュ利益」= 営業利益+減価償却費+核燃料減損額+持分法投資損益
(営業利益は、燃料費調整制度のタイムラグ影響を除く。)
なお、東北電力グループ中長期ビジョンにおける2030年に向けた今後の経営展開「よりそうnext+PLUS」において、財務基盤の早期回復及び「利益・投資・成長の好循環」の形成を目指すための定量的な目標として、以下のとおり財務目標を新たに設定しております。
※ 目標達成時の連結ROEは8%以上

当連結会計年度におけるセグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
[発電・販売事業]
<業績の概要>
当社の販売電力量(小売)は、前連結会計年度に比べ冬季の気温が低かったことにより暖房需要が増加したものの、競争の進展による契約の切り替えなどから、5.1%減の609億kWhとなりました。このうち、電灯需要は、0.4%減の197億kWh、電力需要は、7.2%減の412億kWhとなりました。また、販売電力量(卸売)は、卸電力市場取引が増加したことなどから、13.5%増の171億kWhとなりました。
この結果、当社の販売電力量(全体)は、1.6%減の780億kWhとなりました。
これに対応する供給については、渇水による供給力の減少があったものの、原子力発電所の再稼働に加えて、火力発電所の安定稼働により確保しました。
売上高は、燃料価格の低下による燃料費調整額の減少などから、2兆1,389億円となり、前連結会計年度に比べ、1,420億円(6.2%)の減収となりました。
経常利益は、燃料費調整制度のタイムラグ影響による差益の減少があったものの、女川原子力発電所第2号機の再稼働効果や燃料費調整単価の上限超過解消による収支改善などにより、前連結会計年度に比べ、236億円増加し、2,438億円となりました。
<関連する事業の主な取組>
■発電・卸 - 火力発電、原子力発電 -
〇 電力の安定供給を確保しながら、2050年カーボンニュートラルを達成するために必要となる火力電源の脱炭素化を進めております。
・ 長期的な収入の予見可能性が高まる長期脱炭素電源オークションを活用したリプレース(東新潟火力発電所)
・ 水素やブラックペレットなどの燃料活用に向けた混焼試験の実施(新潟火力発電所、能代火力発電所)
〇 女川原子力発電所第2号機が、2024年11月にBWRとして初の再稼働をいたしました。14年ぶりの再稼働は、震災からの復興につながるとともに、電力の安定供給やカーボンニュートラル貢献の観点からも大きな意義を有します。
〇 東通原子力発電所第1号機における新規制基準適合性審査対応と、女川原子力発電所第3号機における適合性審査申請に向けた検討に取り組んでおります。
〇 「安全対策に終わりはない」という確固たる信念のもと、さらなる安全性の向上に向けた取組も着実に進めております。
■グリーンビジネス - 再エネ発電、次世代エネルギー、グリーンエネルギー -
〇 200万kW以上の再生可能エネルギー電源の開発を目指すとともに、多様化するニーズにお応えするため、再生可能エネルギー電源からの電力を長期的かつ安定的に調達できるコーポレートPPAなどのサービスを幅広く提供しております。
・ 当連結会計年度は、参画した事業のうち3件が商業運転を開始
・ 全ての開発案件が事業化された場合の持分出力の累計は、2024年度末時点で約85万kW
・ 今後の林業の振興と地域の活性化、脱炭素化の推進を目指し、2024年5月、他社と共同で、木質バイオマス発電などを行う「横手湯沢フォレストサイクル株式会社」を設立
・ 株式会社七十七銀行との「カーボンニュートラルの推進に関する連携協定」に基づく初の事業案件である「77ソーラーパーク富谷」が2024年10月に運用開始
■エネルギー・ソリューションサービス - 電力小売、ソリューションサービス -
〇 電力小売については、お客さまの電気料金の負担軽減となるサービスなどを、また、ソリューションサービスについては、電力小売を切り口に、お客さまの豊かさの最大化を目指して、様々な快適・安全・安心なサービスを、それぞれ提供しております。
・ デマンドレスポンスサービスにより、電力需給の改善とお客さまの電気料金の負担軽減の双方に寄与
・ 住まいのお困りごとを解決する「くらしサービス」として、電気設備や水まわりのトラブルに備える「すまい安心サポート」や「ハウスクリーニング」などを提供
・ 工場などのお客さまへ、受変電設備や空調設備等の導入から保守・運用までを行う「イーズサポートプラス」により、“お客さまが安心・安定して設備をご利用いただける環境”と“経営資源の最適化”をサポート
[送配電事業]
<業績の概要>
当連結会計年度のエリア電力需要は、業務用の需要が減少したことなどから、0.3%減の752億kWhとなりました。
売上高は、再生可能エネルギー電気卸供給の増加などにより、9,082億円となり、前連結会計年度に比べ、501億円(5.8%)の増収となりました。
経常利益は、調整力確保などに係る調達費用の増加などにより、169億円となり、前連結会計年度に比べ、437億円(72.1%)の減益となりました。
<関連する事業の主な取組>
■送配電
〇 東北電力ネットワーク株式会社は、地域の豊かなくらしを支えるため、安全最優先のもと、電力の安定供給やカーボンニュートラル達成への貢献に取り組むとともに、電力需要拡大にも取り組んでおります。
・ 高経年化設備を計画的・効率的に更新するための新たなシステムを導入
・ 2024年11月に東北地方整備局と災害時の相互協力に関する協定を締結
・ 2024年7月の日本海側を中心とした大雨による停電の際には、自治体等と連携し、停電の早期解消に向けて懸命な復旧作業を実施
・ 再生可能エネルギー導入拡大に向けた東北・東京エリア間の500kV送電線の2ルート化に関連する全ての主要工事に着工
・ 大規模供給を希望される需要者さまの事業計画へよりそうために、供給設備の面から比較的早期に対応可能な候補地点を「ウェルカムゾーン」として公表
[その他]
<業績の概要>
売上高は、連結範囲の変更などにより、4,215億円となり、前連結会計年度に比べ、1,436億円(25.4%)の減収となりました。
これにより、経常利益は、263億円となり、前連結会計年度に比べ、11億円(4.1%)の減益となりました。
<関連する事業の主な取組>
■関連領域 - 総合設備エンジニアリング、不動産、DX・IT -
〇 関連領域においては、当社企業グループ全体で、エネルギー事業で培ったアセット・ノウハウを活用して幅広いサービスを提供しております。
・ 総合設備エンジニアリング事業については、事業基盤である東北・新潟での事業のさらなる深化に加え、首都圏をはじめとした他地域での案件獲得や、海外での事業強化に注力
・ DX・IT事業については、生成AIの開発・利用に必要なGPU需要の急速な拡大に迅速に対応するため、2社と業務提携し、クラウドサービスの提供を開始
・ 関係会社においても、地域のデジタル化や安全・安心の社会づくりに貢献するサービスを提供
(株式会社トークネット)
「Think VPNサービス」を利用するお客さまが、これまでよりも容易にクラウド接続できる「L3コネクト」の提供を、2024年7月に開始
(株式会社トインクス)
クラウド基盤を活用したネットワーク機器の運用保守をトータルでサポートする「TOiNXマネージドネットワークサービス」の提供を、2025年1月に開始
(2) 財政状態の分析
資産は、売上債権が減少したものの、固定資産が新規取得により増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ、94億円(0.2%)増加し、5兆3,982億円となりました。
負債は、支払債務が減少したことなどから、負債総額は、前連結会計年度末に比べ、882億円(2.0%)減少し、4兆3,894億円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などから、前連結会計年度末に比べ、977億円(10.7%)増加し、1兆88億円となりました。
これにより、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.9ポイント上昇し、18.3%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
法人税等の支払額が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ398億円(8.8%)減少し、4,103億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出や固定資産の取得による支出の増加などから、前連結会計年度に比べ支出が890億円(26.7%)増加し、4,226億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債の発行による収入が増加したことなどから、前連結会計年度の支出から収入に転じ、341億円の収入(前連結会計年度は960億円の支出)となりました。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に比べ217億円(4.1%)増の5,511億円となりました。
(単位:億円)
(注) フリー・キャッシュ・フローは「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」の合計であります。
なお、当連結会計年度よりフリー・キャッシュ・フローの算出方法を見直しており、前連結会計年度については、当該算出方法の見直しを遡って適用しております。
また、キャッシュ・フロー指標の変動は次のとおりであります。
(注) 1 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
2 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利息の支払額
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
① 資金調達方針並びに状況
当社は、電気事業における安定供給に必要な設備投資、社債などの償還資金への充当及びさらなる付加価値を提供していくための投資などの資金需要に対し、資金調達環境の動向や有利子負債、現金及び現金同等物の適正な保有額を総合的に勘案し、社債の発行及び、金融機関からの借入金等を組み合わせて安定的に資金を調達しております。
一般担保付社債については、当連結会計年度において、総額1,630億円発行しております。これらは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりA+、株式会社日本格付研究所(JCR)よりAAの長期債格付を取得しております。なお、当社は、2020年3月27日に「電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第47号)」(平成27年6月成立)に基づき、経済産業大臣の認定のもと、2020年度から5年間に限り、一般担保付社債の発行が可能となる経過措置を受けております。2025年度以降に新規に発行する社債は無担保となりますが、投資家保護を重視し、既に発行済の一般担保付社債と同様に社債管理者の設置を継続いたします。
また、「東北電力グループ“カーボンニュートラルチャレンジ2050”」の実現に向けた取り組みを一層加速していくため、グリーン/トランジション・ファイナンスを実施するなど、持続可能な社会の実現に向けたカーボンニュートラルへの積極的な挑戦を資金調達面から支えるとともに、さらなる資金調達の多様性や安定性の確保に努めております。
上記による資金調達の結果、当連結会計年度末の社債発行残高及び借入金残高はそれぞれ1兆7,337億円、1兆6,032億円となっております。
短期的な資金需要に対しては、機動的なつなぎ資金調達の手段としてコマーシャル・ペーパーなどを活用しております。コマーシャル・ペーパーは、株式会社格付投資情報センター(R&I)よりa-1の短期債格付を取得しており、当連結会計年度は3,000億円の発行限度枠を設定しております。
② 資金の流動性に係る情報
当社は、月次での資金計画などにより、資金需要を的確に把握することに努めるとともに、金融機関との間に当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結していることから、電力需要の変動などに伴い、営業活動によるキャッシュ・フローが減少した場合でも、必要に応じて極度枠の範囲内で速やかに資金調達ができる体制を整えることにより、充分な流動性を確保しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
当社企業グループは、固定資産の減損、繰延税金資産、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
(5) 生産、受注及び販売の実績
当社企業グループ(当社及び連結子会社)の生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため「生産実績」及び「販売実績」を定義することが困難であることから、生産、受注及び販売の実績については、記載可能な情報を「(1)経営成績の分析」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、当社個別の事業の状況は次のとおりであります。
(注) 1 停止中発電所の所内電力量は、自社事業用電力量として、販売実績に記載しております。
2 融通・他社受電電力量には、連結子会社からの受電電力量(東北電力ネットワーク㈱ 6,661百万kWh、酒田共同火力発電㈱ 4,191百万kWh、東北自然エネルギー㈱ 751百万kWh 他)、送電電力量(東北電力ネットワーク㈱ 6,433百万kWh 他)を含んでおります。
3 融通・他社受電電力量の上段は受電電力量、下段は送電電力量を示しております。
4 揚水発電所の揚水用電力量等とは貯水池運営のため揚水用に使用する電力量及び自己託送の電力量であります。
5 出水率は、1993年度から2022年度までの30ヶ年平均に対する比であります。
6 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。
(注) 1 停止中発電所の所内電力量は、自社事業用電力量として、販売実績に記載しております。
2 小売には自社事業用電力量(29百万kWh)を含んでおります。
3 卸売には特定融通等を含んでおります。
4 個々の数値の合計と合計欄の数値は、四捨五入の関係で一致しない場合があります。
当連結会計年度において、重要な契約等の決定又は締結等はありません。
当社企業グループ(当社及び連結子会社)は、当連結会計年度における研究開発について、「東北発の新たな時代のスマート社会の実現に貢献し、社会の持続的発展とともに成長する企業グループ」を2030年代のありたい姿とする東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」等に基づき実施しております。
現在、研究開発は、当社の研究開発センター及び各連結子会社の設計・開発担当部門などにより推進されており、当連結会計年度における当社及び連結子会社の研究開発費は
[発電・販売事業][送配電事業]
当社の研究開発は、基盤事業を支える電力の安定供給に資する研究開発へ着実に取り組むとともに、「カーボンニュートラルチャレンジ推進に資する研究開発」「スマート社会実現・新たな収益源の創出に資する研究開発」「電力スマート保安・レジリエンスへの着実な取組に資する研究開発」を重点領域に据えて取り組んでおります。
(1) カーボンニュートラルチャレンジ推進に資する研究開発
火力発電所におけるブラックペレットや水素/アンモニアの混焼に関する研究、浮体式洋上風力発電に関する研究、太陽光・風力発電出力の予測手法の高度化に関する研究 など
(2) スマート社会実現・新たな収益源の創出に資する研究開発
スマートメーター通信網等の活用による事業創出に関する研究、需要家向けソリューションサービスの高度化に関する研究、エネルギー関連事業実証 など
(3) 電力スマート保安・レジリエンスへの着実な取組に資する研究開発
設備パトロールの自動化に関する研究、配電保守義務の高度化に関する研究、ドローン撮影画像を用いた鉄塔劣化診断に関する研究 など
[その他]
(1) 売上拡大に向けた研究開発
常時励磁方式開閉器制御用子局(光通信方式)の開発や、光通信方式対応自動電圧調整器Ⅱ型用子局の開発及び多回路分岐箱の製品化開発 など
(2) 新たなサービス提供に向けた研究開発
災害時における速報レポート自動作成ツールの開発、3Dモデルの事業化に向けた調査研究及びIoTプラットフォームをベースにした改良型設備監視システムの調査研究 など