第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、2023年度に、Ⅰ「安定供給確保と収支改善及び財務基盤強化」Ⅱ「地域と一体となった脱炭素化の推進」Ⅲ「持続的成長に向けた新事業領域の拡大」の経営の3本柱や財務目標からなる「北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>」(以下、新中期経営計画)を公表し、新中期経営計画のもと、事業活動を行っている。

2025年度は新中期経営計画期間の折り返しとなるが、足元では、第7次エネルギー基本計画やGX2040ビジョンの策定、電力事業の競争激化など、当社グループを取り巻く経営環境は絶えず変化している。

このような変化の中、将来にわたってエネルギー事業者としての責任を果たすとともに、グループの成長の実現を図るためには、これまでの取組みを強化・加速していく必要があり、経営環境の変化や当社グループの取組み状況を踏まえ、2025年度アクションプランでは、経営の3本柱は堅持しつつ、3つの強化ポイントを設定。

強化ポイント①「災害を踏まえたハード・ソフト両面でのレジリエンス強化、知見の定着・全国への展開及び地域振興への貢献」については、地域に根差した責任あるエネルギー事業者として責任を果たし続ける観点から、令和6年能登半島地震や奥能登豪雨での経験を踏まえ、更なる災害対応力の強化を進めるとともに、被災した地域の復興へ貢献していく。

強化ポイント②「安定供給と、新規電源を含めた脱炭素化の土台固め」については、富山新港火力発電所LNG2号機の建設等をはじめ、安定供給と脱炭素化の両立という社会的な要請に対し、将来にわたって責任を全うするための取組みを着実に進めていく。

強化ポイント③「更なる利益拡大と自己資本の拡充」については、連結自己資本比率が20.5%となり、安定供給に必要最低限の水準を回復したが、将来にわたって安定供給と脱炭素化の両立という社会的な要請に応え続けるため、一層の収益拡大や経営効率化に取り組んでいく。

引き続き、従来の枠組みに囚われないチャレンジングな取組みにより、更なる企業価値の向上に取り組むとともに、その先にある2050年の将来像やカーボンニュートラル実現に繋げていく。

 

(1)北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>及び2025年度アクションプラン

 

[北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>]

(経営の3本柱)

柱Ⅰ:安定供給確保と収支改善及び財務基盤強化

柱Ⅱ:地域と一体となった脱炭素化の推進

柱Ⅲ:持続的成長に向けた新事業領域の拡大

■経営基盤を支える取組みの強化

 

(財務目標)

連結経常利益

450億円以上

連結自己資本比率

20%以上(2027年度末)

連結自己資本利益率(ROE)

8%以上

 

(成長投資に関する方針)

成長投資については、北陸地域のカーボンニュートラルの推進や成長事業に向けた投資をタイムリーに実施する。(2023~2027年度で総額1,500億円程度)

投資判断に際しては、事業リスクを勘案しつつ、収益性を重視するために、ROIC等の手法を用いた事業評価により投資を厳選する。

 

(株主還元に関する方針)

株主還元については、毀損した財務基盤の回復を図りつつ、株主の期待にお応えする。

 

[2025年度アクションプラン]

(強化ポイント①)

災害を踏まえたハード・ソフト両面でのレジリエンス強化

知見の定着・全国への展開及び地域振興への貢献

・安定供給に向けた被災設備の復旧

・災害対応時に認識した課題等の分析・改善

・「こころをひとつに震災復興応援でんき」提供

・震災がれき等の受入・活用             等

 

(強化ポイント②)

安定供給と、新規電源を含めた脱炭素化の土台固め

・火力電源の低炭素化

・再エネ電源開発の推進

・志賀原子力発電所2号機の早期再稼働への着実な対応

・送配電網の次世代化                等

 

(強化ポイント③)

更なる利益拡大と自己資本の拡充

・需給収支最大化のための対応

・電力販売基盤を生かしたサービスの提供

・グループ一体となった事業領域拡大

・業務改革・DX推進による生産性向上        等

 

 

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(2)2050年の将来像及びカーボンニュートラル達成に向けたロードマップ

脱炭素社会の実現に向けた社会の動きの加速などを踏まえ、2050年に向けて当社グループが既存の電気事業の枠を超えて事業を展開していく将来像及びカーボンニュートラル達成に向けたロードマップを策定し、地域の課題解決及びカーボンニュートラルの実現に向けて取組みを進めている。

 

[2050年の将来像]

既存の電気事業の枠を超えて事業を展開し、地球温暖化問題への対応及び地域の持続可能な発展とスマート社会の実現という社会課題の解決に貢献していく。

 

[カーボンニュートラル達成に向けたロードマップ]

地球温暖化対策としての脱炭素社会の実現は大きな社会的課題であり、当社グループは、信頼され選択される責任あるエネルギー事業者として、「電源の脱炭素化」、「送配電網の次世代化」及び「お客さま・地域のゼロエミッション支援」を通じ、2050年カーボンニュートラルに挑戦する。

 

〇主要目標

・2030年代早期に再エネ開発量を+100万kW以上(+30億kWh/年以上)※1

・2030年度時点での発電電力量に占める非化石電源比率を50%以上

・2030年度時点でのCО排出量を△50%以上※2

※1:2018年度対比

※2:2013年度対比、小売販売電力量ベース

 

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものである。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、2050年カーボンニュートラルや持続可能なスマート社会の実現に向けて取り組んでいる。今後もESGの視点による経営を更に深化させることで、持続可能な社会の実現(SDGsの達成)に貢献していく。

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 サステナビリティに係る事項は、以下のとおり各種会議体を定期的に開催して、評価・管理を行っており、重要事項については、常務会や取締役会に報告する等、トップマネジメントのもと管理するガバナンス体制を構築している。リスク管理については、経営リスクについて適宜把握・評価のうえ、取締役会にて毎年度策定する経営計画等の諸計画に反映するとともに、必要に応じて、当該リスクに関する課題や対応方針を検討する組織の整備や全社横断的な委員会等を設置し、適切に対応している。

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(2)気候変動

 当社は、社会的に責任のあるエネルギー事業者として、ESGを重視した経営を展開しており、「気候変動が事業活動にもたらすリスク及び機会を分析し、情報開示を推進する」というTCFD提言の趣旨に賛同している。TCFD提言に沿った情報開示を進めるとともに、電源の脱炭素化や電化の推進等、気候変動が当社事業にもたらすリスク及び機会に適切に対応し、社会の持続的な発展に貢献していく。

 

①ガバナンス

 社長を議長とする「カーボンニュートラルチャレンジ推進会議」等を定期的に開催し、気候関連リスク及び機会、指標等の評価・管理を行っている。

 また、カーボンニュートラルチャレンジ推進会議等での審議内容については、適宜、取締役会に付議または報告している。

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②戦略

 気候変動に関するリスク及び機会を認識するために、IEA等が公表している気候シナリオを参照し、2℃以下シナリオを含む複数のパターンで当社を取り巻く環境を想定している。

 当社グループは、社会的に責任のあるエネルギー事業者として、再生可能エネルギーの主力電源化をはじめとする電源の脱炭素化、暮らしやモビリティ等の電化推進等を通じ、2050年カーボンニュートラルに挑戦していく。

 

 

<参照シナリオ>

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<日本のCO排出量想定>

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<気候関連リスク及び機会> 太字:特に影響度の大きいリスク及び機会

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 (注)上記は「北陸電力グループ統合報告書2024」公表(2024年9月)時点の情報を記載している。

 

③リスク管理

 気候変動に係る経営リスクについて適宜把握・評価のうえ、毎年度策定する経営計画(取締役会にて決定)等の諸計画に反映するとともに、必要に応じて、当該リスクに関する課題や対応方針を検討する組織の整備や全社横断的な委員会等を設置し、適切に対応している。

 気候関連リスクについては、カーボンニュートラルチャレンジ推進会議等において識別・評価し、経営リスクとともに取締役会に報告している。

④指標及び目標

 当社は「北陸電力グループカーボンニュートラル達成に向けたロードマップ」を策定し、目標を掲げ、各施策を推進している。

<北陸電力グループカーボンニュートラル達成に向けたロードマップにおける目標>

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(注)北陸電力グループカーボンニュートラル達成に向けたロードマップは当社ホームページに掲載している。

   https://www.rikuden.co.jp/sustainability/vision.html

 

<サプライチェーン温室効果ガス排出量>

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(注)1.当社及び北陸電力送配電株式会社の実績を記載している。

   2.「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(Ver.2.6)」

     (環境省・経済産業省)等に基づき算定している。

 

(3)人的資本

 

①戦略

ⅰ.人材育成方針

○基本的な考え方

 当社グループは、「人材」こそが企業価値を高める原動力であり、かけがえのない資本であると考え、北陸電力グループ理念である“Power & Intelligenceでゆたかな活力あふれる北陸を”の実現に向けて、変化の激しい経営環境においても北陸地域とともに持続的に成長していくため、人的資本に対する投資を積極的に進めている。

 

○従業員の教育

 人材の育成を図るため、各階層において必要な知識・ビジネススキル等の習得を目標とする基本教育や、部門ごとに必要な専門知識・技能等の習得を目的とする職能教育を実施し、従業員の能力伸長を図っている。

 また、国家資格等取得時の祝金贈呈や通信教育費用の助成などにより、従業員の職務遂行能力や自己啓発意欲の向上を促進している。

 加えて、現場技術技能継承のための技術マスター認定制度や若手社員の定着、自立・成長を図るメンター制度などを整備している。

 

<教育体系>

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○人事評価面談、キャリアデザイン研修等を通じた人材育成・キャリア形成支援

 上司との人事評価面談(年4回以上)や、上司・同僚・部下からの360度多面評価の定期的な実施を通じて、能力伸長や自律的なキャリア形成に向けた動機づけを図っている。

 また、20~30代の従業員向けにキャリアデザイン研修を実施し、自己実現に向けたキャリア意識の醸成を促進している。

 

○若年層の更なる活躍に向けた取組み

 役職登用年齢を早期化し、若いうちから経営への影響度が大きい施策等、責任ある職務にあたらせるため、2024年7月に新たな役職位として「プロジェクト推進リーダー」を設置した。若年層の成長意欲や挑戦意欲をかき立て、更なる活躍を促進している。

 

ⅱ.社内環境整備方針

○基本的な考え方

 多様な人材が、互いを尊重しながら、各々の能力・強みを存分に発揮し、健康でいきいきと働けることが、持続的な企業価値の向上に繋がるとの考えのもと、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進及び働く環境の整備に取り組んでいる。

 また、当社グループは、人権の尊重を事業活動の根幹と位置づけており、その意思を表明するため、2023年12月1日に「北陸電力グループ人権方針」を策定・公表し、この方針のもと、人権の尊重に取り組んでいる。

 女性活躍をはじめとするDE&I推進及び人権啓発に向けて、定期的に研修を実施し、全社的な理解促進・行動変容を促している。

 

○多様な人材の活躍促進

多様な属性(性別、年齢、障がいの有無など)の従業員の活躍促進に取り組んでいる。

<女性>

 DE&I推進に関する社長メッセージの発信、地元企業との異業種交流会や女性役職者メンタープログラムの実施等で女性従業員の活躍を促進してきたことにより、「えるぼし」の3段階目の認定を2017年から継続して受けている。

 また、育児支援関連制度の充実に取り組んでおり、「プラチナくるみん」の認定を2019年から継続して受けている。

<キャリア(経験者)採用者>

 多様な能力・専門性を有する他企業等経験者をこれまで200人以上採用しており、異業種での勤務経験やスキル・資格等を活かし、様々な部門で活躍している。

<障がい者>

 自社における雇用に加え、オフィスサポート業務を担う特例子会社「北陸電力ウィズスマイル株式会社」の設立による雇用拡大により、障がい者雇用を推進している。

 

○働きやすい職場づくり

 コアタイムを設定しないフレックスタイム勤務・時間短縮勤務・在宅勤務・勤務間インターバル(11時間以上)・時間単位休暇などの柔軟な勤務制度に加え、育児・介護・慶弔・社会貢献など各従業員のライフイベントに応じた特別休暇や休職制度を設けており、従業員のワーク・ライフ・バランス実現に向けた取組みを推進している。

 特に、育児休業については、産後パパ育休期間の一部を有給化するなど、男性も育児休業を取得しやすい制度を設けており、また、社長メッセージの発信や男性育児休業セミナーの開催等により、男性の育児休業の取得促進にも取り組んでいる。

 また、2024年7月には、職場全体のエンゲージメント向上を図るため、新たな役職位として「DE&I推進リーダー」を設置した。仕事と育児・介護の両立支援やハラスメント防止等に係る職場の相談役を担っている。

 

○労働災害の防止と健康経営の推進

 「安全と健康はすべてに優先する」との考えのもと、安全衛生管理方針を策定し、労働災害の防止、心身の健康増進に向けた取組みを、全社を挙げて推進している。

 労働災害の防止については、当社の事業にかかわる全ての者の安全を確保するため、従業員と請負会社が一体となり、基本ルールの遵守徹底等に取り組んでいる。

 心身の健康増進については、2023年4月に「北陸電力健康憲章」を制定し健康増進に積極的に取り組む企業風土の醸成を図るとともに、メンタルヘルスや生活習慣病対策などの健康増進施策を実施しており、「健康経営優良法人 ホワイト500」に3年連続で選定されている。

 2025年4月からは敷地内全面禁煙かつ就業時間中禁煙に取り組むなど、禁煙促進・受動喫煙防止を推進している。

 

○人権の尊重

 当社グループはこれまでも、人権の尊重を事業活動の根幹と位置づけ、従業員への人権啓発、ハラスメント防止、働きやすい職場づくり等に取り組んでいる。

 2023年度からは、「北陸電力グループ人権方針」に基づき、人権デュー・ディリジェンスをはじめとする人権尊重の取組みを実践している。

 今後とも皆さまから「信頼され選択される北陸電力グループ」であり続けるため、「北陸電力グループ人権方針」のもと事業活動を推進していく。

 

②指標及び目標

項目

目標

2024年度実績

男女の役職比率差

女性社員に占める役職者の比率と男性社員に占める役職者の比率を同程度とする

→2028年度末までに2022年度末比半減(10ポイント程度縮小)

4ポイント程度縮小

有給休暇取得日数

20以上

21.2

男性の育児休業取得率

100

105.0

障がい者雇用率

法定雇用率(2.5)達成

2.59

 

(注)1.連結ベースでの指標及び目標の開示については、各社毎に事業内容及び事業環境が多岐に亘るため、

当社連結グループに属する全ての会社を総合した指標は設定していない。このため、当社連結グルー

プにおいて主要な事業を営む当社及び北陸電力送配電株式会社を合わせた数値を記載している。

2.男女の役職比率差は、女性社員に占める役職者の比率と男性社員に占める役職者の比率の差である。

3.有給休暇取得日数は、ゆとり休暇(使途を限定せず、年間5日付与)を含む。

4.男性の育児休業取得率は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64

号)の規定に基づき、正規雇用の従業員について、当事業年度に育児休業を取得した男性労働者数を、

当事業年度に配偶者が出産した男性労働者数で除して算出している。このため、前事業年度以前に配

偶者が出産した男性労働者が当事業年度に育児休業を取得した場合は当事業年度の取得に含め、当事

業年度に配偶者が出産した男性労働者が翌事業年度以降に育児休業を取得した場合は当事業年度の取

得から除いて算出している。

5.障がい者雇用率は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第23号)の規定に基づき

報告している「障害者雇用状況報告書」に記載している2024年6月1日現在の雇用率である。また、

特例子会社認定を受けた会社を含めた雇用率である。

3【事業等のリスク】

当社グループの業績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクについては、以下に記載のとおりである。

なお、記載した将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものである。

(1) 原子力を取り巻く状況について

①志賀原子力発電所の状況

当社は、東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故を受け、早期に安全強化策を取りまとめ、実施してきた。引き続き、新規制基準も踏まえた安全性向上施策に関する工事を進めており、2号機については新規制基準への適合性確認審査を受けている。

安全性向上施策については、先行他社の審査状況を踏まえ得られた知見・評価を反映しながら2号機の工事を進めており、工事完了時期については、今後の審査や工事の進捗を踏まえて決定する。なお、1号機については引き続き検討を進めていく。

また、新規制基準への適合性確認審査の場では、これまで敷地内断層の審査が中心に行われてきたが、2023年3月、敷地内断層は活断層ではないとする当社の評価が認められた。今後も、敷地周辺の断層や地震動、津波などの審査が継続するが、引き続き、先行他社の審査状況及び令和6年能登半島地震による新たな知見を踏まえて新規制基準等に的確に対応し、世界最高水準の安全性を目指していくとともに、安全対策や適合性確認審査の内容を地域の皆さまに適時的確にご説明し、ご理解いただけるよう最大限努力していく。

なお、新規制基準への適合性確認審査の進捗や原子力政策・規制の見直し等によって、原子力発電所の停止が長期化する場合や稼働率が低下する場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

②原子力バックエンド事業

原子力バックエンド事業については、使用済燃料の再処理・放射性廃棄物の処分・原子力施設の廃止措置等に多額の資金と長期にわたる事業期間が必要であり、事業に必要な費用については、国の制度措置等に基づき費用計上・拠出している。

具体的には、使用済燃料の再処理及び放射性廃棄物の処分に係る費用については、法令に基づき事業を実施する各機構から通知される拠出金単価を基に、原子力発電所の運転に伴い発生する使用済燃料や特定放射性廃棄物の量に応じた金額を拠出している。

また、原子力施設の廃止措置に係る費用については、廃炉に要する資金の確保・管理・支弁を行う使用済燃料再処理・廃炉推進機構から通知される拠出金額を当機構に拠出している。

これらの制度措置等により事業者のリスクは低減されているものの、今後の制度の見直しや将来費用の見積額の変更等がある場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

(2) 電気事業に関わる制度の変更等について

電力システム改革については、小売全面自由化や送配電部門の法的分離が実施された。市場取引については、非化石価値取引市場、ベースロード市場、容量市場、需給調整市場での取引が開始されており、2023年度には長期脱炭素電源オークションの取引が開始されている。

2025年2月には「地球温暖化対策計画」が閣議決定され、新たに2035年度及び2040年度の温室効果ガス排出削減目標が示された。

また、同月閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」と紐づく「2040年度のエネルギー需給見通し」では、温室効果ガス排出削減目標と整合する形で、再生可能エネルギーは4~5割、原子力は2割、火力は3~4割程度とする電源構成が示された。

「第7次エネルギー基本計画」では、今後、DXやGXなどの進展により電力需要が増加に転じることが見込まれる中、安定供給と脱炭素を両立する観点から、再生可能エネルギーは主力電源として最大限導入するとともに、原子力は再生可能エネルギーと並び最大限活用していく方針が今回示され、また、火力は安定供給等に重要な役割を担っている電源であり、火力全体で安定供給に必要な発電容量(kW)を維持・確保しつつ、非効率な石炭火力を中心に発電量(kWh)を減らしていくことが示された。

2023年5月に成立した「GX推進法」では、将来的なカーボンプライシングの導入が示されており、2025年5月に成立した「改正GX推進法」において、CO排出量が一定規模以上の事業者は、排出量取引制度への参加と、排出量と同量の排出枠の償却が義務付けられ、政府指針に基づき事業者毎に割り当てられた排出枠が排出量と比べて不足する場合には、排出枠を調達する必要がある。

このような当社事業に関連する制度の変更や脱炭素社会の実現に向けた環境規制強化などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

当社グループとしては「低廉で良質なエネルギーを安定的にお届けする」という社会的使命に変わりはなく、お客さまをはじめステークホルダーの皆さまの視点に立ち、安定供給や更なる経営効率化に不断の努力で取り組むとともに、2021年4月に策定・公表した2050年カーボンニュートラル達成に向けたロードマップに基づき、電源の脱炭素化及びお客さまや地域のゼロエミッション支援などに取り組んでいく。

 

(3) 経済状況や天候等による販売電力量等の変動について

販売電力量は、経済活動や天候(特に気温)の状況、電力市場における競争状況、企業の海外移転などによる産業空洞化、感染症の流行などによって変動することから、営業収益の増減により当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

また、年間の降雨降雪量の変動により水力発電所の発電量が増減し、火力燃料費等が変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(4) 燃料価格、卸電力市場価格の変動等について

火力燃料は、石炭、原・重油、LNGであり、需給状況や外国為替相場の動向により、火力燃料価格が急激に変動した場合や、調達地域での操業トラブルや政治情勢の変動等により、燃料が円滑に調達できない場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

なお、燃料価格の変動については、価格変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」によって一定の調整が図られるが、特定小売供給約款の適用を受ける契約には燃料費調整単価に上限が設けられている。

また、当社グループは、卸電力取引所を通じ、供給余力を活用した販売や不足時の調達を行っているが、需給状況や燃料価格の動向により、卸電力取引所の市場価格が変動した場合、販売収入や調達費用が増減し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

なお、卸電力取引所の市場価格の変動については、高圧・特別高圧の契約を対象に価格変動を電気料金に反映させる市場価格調整単価を導入し、業績の変動幅を抑制している。

また、燃料・卸電力市場価格動向や自社の需給状況を評価し、燃料・電力デリバティブ取引の活用や販売ポートフォリオの最適化などにより、最大限、収支変動リスクの抑制を図っていく。

(5) 金利・物価等の動向について

当社グループの有利子負債残高は、当連結会計年度末で1兆1,491億円であり、市場金利や格付の低下等に伴う調達金利の上昇により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

ただし、有利子負債の殆どは中長期的に利率が確定している社債や長期借入金で構成されていることから、金利上昇による業績への影響は限定的と考えられる。

また、企業年金資産等の一部は、株価・金利等の変動により時価が変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

資機材の調達において、物価・人件費等が変動した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

なお、競争発注の拡大やまとめ発注など調達方法の工夫により、資機材調達価格の低減を図っていく。

(6) 自然災害・操業トラブルについて

当社グループは、電力供給設備を中心に、多くの設備を保有しており、その保守・保全には万全を期しているが、当社グループの設備及び当社グループが受電している他社の設備において地震・台風等の大規模な自然災害や操業トラブルが発生した場合、修繕費用や代替電源の調達費用の増加等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

なお、自然災害については、令和6年能登半島地震を踏まえ、被災した設備の早期本格復旧に加え、災害対応力の更なる強化を図っていく。

また、操業トラブルについては、適正な設備点検補修を実施するとともに、AI・IoT技術等を活用し、トラブルの未然防止及び早期発見・早期復旧に繋がる対策の強化に努めている。

(7) 電気事業以外の事業について

当社グループは、これまでカーボンニュートラルに係る事業・サービスや海外事業などを展開している。また、2023年4月に公表した新中期経営計画においても「地域と一体となった脱炭素化の推進」「持続的成長に向けた新事業領域の拡大」を掲げており、電気事業の枠を超えた事業領域の開拓を進め、挑戦し続けていく。

これらの事業については、その将来性や収益性を十分勘案して取り組んでいるが、他業者との競合進展等の市場環境の変化や、国際情勢などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

(8) 企業倫理の遵守等について

企業倫理に反した行為やサイバー攻撃による被害が発生した場合、当社グループへの社会的信用の低下や対応に要する費用の増加等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

当社グループは、コンプライアンスの徹底を経営方針に掲げ、「行動規範」や「個人情報保護規程」の制定・遵守に加え、コンプライアンス研修を充実するなど、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取組みに努めているとともに、サイバー攻撃の早期発見・早期復旧するための体制構築など、情報セキュリティ対策の強化に努めている。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(財政状態)

資産合計は、前連結会計年度末に比べ43億円増の1兆8,598億円(前期末比 100.2%)となった。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ690億円減の1兆4,589億円(同 95.5%)となった。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ733億円増の4,008億円(同 122.4%)となった。

 

(経営成績)

当連結会計年度の経営成績は、売上高(営業収益)8,582億円(前期比 106.2%)、経常利益913億円(同 84.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益は651億円(同 114.7%)となった。

 

(セグメントごとの経営成績[セグメント間の内部取引消去前])

発電・販売事業は、売上高7,665億円(前期比 104.6%)、経常利益614億円(同 77.3%)となった。

送配電事業は、売上高2,213億円(同 108.5%)、経常利益219億円となった(同 97.8%)。

その他の事業は、売上高1,540億円(同 107.1%)、経常利益128億円(同 117.8%)となった。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、営業活動により1,522億円増加したが、投資活動により2,340億円、財務活動により488億円減少したことから、前連結会計年度末に比べ1,306億円減少し、当連結会計年度末には943億円(前期末比 41.9%)となった。

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループ(当社及び連結子会社)においては、電気を供給することを主たる事業としており、また、それ以外の事業は、広範囲かつ多種多様であり、生産、受注、販売といった画一的な区分による表示が困難である。

このため、発電及び販売の実績のみを記載している。

 

a. 発電実績

種別

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

水力発電電力量(百万kWh)

5,727

100.5

火力発電電力量(百万kWh)

20,295

111.4

原子力発電電力量(百万kWh)

-

-

再生可能エネルギー発電電力量(百万kWh)

4

91.7

合計(百万kWh)

26,026

108.8

 (注)1.当社の発電電力量を記載している。

2.四捨五入のため合計が一致しない場合がある。

 

b. 販売実績

(a)販売電力量

種別

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

前期比(%)

電灯(百万kWh)

7,535

101.0

電力(百万kWh)

16,708

99.7

電灯電力合計(百万kWh)

24,243

100.1

他社販売(百万kWh)

7,674

202.2

総販売電力量(百万kWh)

31,917

113.9

 (注)1.送配電事業関連の販売を除く。

2.他社販売は期末時点で把握している実績を記載している。

3.四捨五入のため合計が一致しない場合がある。

 

(b)料金収入

種別

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

電灯(百万円)

186,723

106.9

電力(百万円)

368,968

95.2

電灯電力合計(百万円)

555,691

98.9

他社販売(百万円)

140,046

233.8

 (注)1.送配電事業関連の販売を除く。

    2.他社販売は期末時点で把握している実績を記載している。

3.「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおり、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」及び「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」に基づく施策である「電気・ガス料金支援」により、国が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っている。

c. 資材の実績

 石炭、重油、原油、LNGの受払実績

種別

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

石炭

(t)

期首残高

428,085

69.2

受入

5,534,950

116.4

払出

5,578,772

112.8

期末残高

384,263

89.8

重油

(kl)

期首残高

229,517

136.9

受入

64,181

35.6

払出

150,838

127.5

期末残高

142,861

62.2

原油

(kl)

期首残高

6,094

100.9

受入

-

-

払出

21

-

期末残高

6,073

99.7

LNG

(t)

期首残高

65,934

108.4

受入

500,538

99.8

払出

504,163

101.6

期末残高

62,309

94.5

(注)1.払出には、販売分・棚卸差異分を含む。

   2.四捨五入のため合計が一致しない場合がある。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり採用する重要な会計方針については「第5 経理の状況」に記載している。

当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、繰延税金資産の回収可能性、令和6年能登半島地震に係る災害復旧費用引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 売上高及び経常収益

売上高(営業収益)は、燃調収入の減少はあったものの、総販売電力の増加などにより、前連結会計年度に比べ500億円増の8,582億円(前期比 106.2%)となり、これに営業外収益を加えた経常収益は476億円増の8,638億円(同 105.8%)となった。

b. 経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益

経常利益は、総販売電力の増加はあったものの、燃調タイムラグによる燃調収入の減少などにより、前連結会計年度に比べ165億円減の913億円(前期比 84.6%)となった。

また、これに特別利益及び法人税等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、651億円(同 114.7%)となった。

特別利益については、近年の災害激甚化に伴い2021年4月に創設された「災害等復旧費用の相互扶助制度」に基づき、電力広域的運営推進機関から交付金決定通知を受けた、令和6年能登半島地震に伴う仮復旧費用に対する災害等扶助交付金43億円を計上している。

(セグメントごとの経営成績[セグメント間の内部取引消去前])

a. 発電・販売事業

発電・販売事業は、国内における発電・小売電気事業等を展開している。

当連結会計年度の総販売電力量については、前連結会計年度に比べ39億5百万キロワット時増の319億17百万キロワット時(前期比 113.9%)となった。

このうち、小売販売電力量については、電力で工場の稼働の減少はあったものの、電灯で冬季の気温が前年より低かったことによる暖房需要の増加があったことなどから、242億43百万キロワット時(同100.1%)となった。また、卸販売電力量については、卸電力取引所等への販売が増加したことから、76億74百万キロワット時(同 202.2%)となった。

供給力については、出水率が96.0%と平年を下回ったほか、志賀原子力発電所1・2号機が引き続き運転できなかったものの、供給設備全般にわたる効率的運用に努めた結果、期を通じて安定した供給を維持することができた。

なお、令和6年能登半島地震に伴い七尾大田火力発電所等の計画外停止は発生したものの、七尾大田火力発電所の夏季高需要期までの運転再開に加え、水力発電所の増発や卸電力取引所からの調達により、必要な供給力を確保することができた。

収支については、売上高は燃調収入の減少はあったものの、総販売電力の増加などにより、前連結会計年度に比べ340億円増の7,665億円(同 104.6%)となった。

また、経常利益は、総販売電力の増加はあったものの、燃調タイムラグによる燃調収入の減少などにより、前連結会計年度に比べ180億円減の614億円(同 77.3%)となった。

b. 送配電事業

送配電事業は、北陸域内における一般送配電事業等を展開している。

売上高は、需要電力量の増加に伴う託送収益の増加や再生可能エネルギー電源の買取に伴う卸電力取引所での販売の増加などにより、前連結会計年度に比べ172億円増の2,213億円(前期比 108.5%)となった。

また、経常利益は、調整力の調達価格の低下に伴う費用減はあったものの、容量拠出金や令和6年奥能登豪雨の復旧費用を計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ4億円減の219億円(同 97.8%)となった。

 

c. その他

売上高は、請負工事の受注増加などにより、前連結会計年度に比べ102億円増の1,540億円(前期比 107.1%)となり、経常利益は、前連結会計年度に比べ19億円増の128億円(同 117.8%)となった。

 

(キャッシュ・フロー及び財政状態の分析)

a. キャッシュ・フロー

営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の収入は、前連結会計年度に比べ710億円減の1,522億円(前期比 68.2%)となった。これは、災害復旧費用引当金が減少したことなどによるものである。

投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ1,645億円増の2,340億円(同 336.9%)となった。これは、投融資による支出が増加したことなどによるものである。

財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ448億円減の488億円(同 52.1%)となった。これは、長期借入れによる収入が増加したことなどによるものである。

これらの活動の結果、当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ1,306億円減の943億円(前期末比 41.9%)となった。

 

b. 資産

資産合計は、前連結会計年度末に比べ43億円増の1兆8,598億円(前期末比 100.2%)となった。これは、現金及び預金の増加などによるものである。

 

c. 負債

負債合計は、前連結会計年度末に比べ690億円減の1兆4,589億円(前期末比 95.5%)となった。これは、有利子負債の減少などによるものである。

 

d. 純資産

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ733億円増の4,008億円(前期末比 122.4%)となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の利益剰余金への計上などによるものである。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

a. 資金需要

主として電気事業固定資産に係る設備投資及び修繕費、社債の償還及び借入金の返済、火力燃料の購入等に資金を充当している。

b. 資金の源泉

主として営業活動によるキャッシュ・フロー、社債の発行、金融機関からの借入等により、必要とする資金を調達している。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローに係る情報については、「(キャッシュ・フロー及び財政状態の分析)」に記載している。

(有利子負債)

有利子負債に係る情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」に記載している。

なお、当連結会計年度末現在、長期発行体格付は株式会社投資格付情報センター(R&I)にてA+となっている。

また、電気事業法の下、当社により発行される社債については一般担保が付されており、償還請求において社債権者は無担保債権者よりも優先される。

 

c. 流動性

当社グループは、営業活動により十分なキャッシュ・フローを得ていることに加え、国内普通社債発行登録、短期社債発行枠の設定及びコミットメントライン契約により、必要に応じて資本市場及び金融機関より資金調達することが可能である。

また、必要な現預金残高を確保しているとともに、原則として元利確定の銀行預金等で運用することを定めており、十分な流動性を確保している。

(目標とする経営指標の達成状況等)

当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>」では、「連結経常利益450億円以上」「(2027年度末)連結自己資本比率20%以上」「連結自己資本利益率(ROE)8%以上」を財務目標として掲げている。

当連結会計年度における連結経常利益は913億円、連結自己資本比率は20.5%、連結自己資本利益率は18.9%となった。

今後も、「安定供給確保と収支改善及び財務基盤強化」、「地域と一体となった脱炭素化の推進」及び「持続的成長に向けた新事業領域の拡大」に取り組み、財務目標の達成を図っていく。

また、当事業年度は、1株当たり年間20円の配当を実施することとした。今後も、株主の皆さまのご期待にお応えし続けていくとともに、経営基盤の安定・強化に資する内部留保の充実を図っていく。

(事業等のリスクに係る情報)

 事業等のリスクに係る情報については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載している。

 

5【重要な契約等】

該当事項はない。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)では、お客さま、地域社会など皆さまからの期待・要望に適切、誠実にお応えするため、電力の安定供給、脱炭素社会の実現及び環境保全を中心とした研究開発に積極的に取り組んでいる。

なお、研究資源の有効活用や産学官の連携強化などの取組みにより効率的な研究開発に努め、当連結会計年度における研究開発活動の金額は「発電・販売事業」で1,290百万円、「送配電事業」で482百万円、グループ全体(内部取引消去後)で1,576百万円となった。

研究開発活動の内容は、次のとおりである。

研究開発活動の内容

セグメント情報の区分

発電・販売事業

送配電事業

電力の安定供給、

脱炭素社会の実現及び

環境保全に資する研究

信頼性と経済性の両立のための

送配電線雷事故解析手法の精度向上

 

長期的な設備機能維持に向けた工法開発等

電力設備の診断・寿命延伸・性能評価技術の開発

再生可能エネルギー大量導入による

系統影響の経済的な緩和対策

廃棄物の有効利用

 

新たな企業価値創造や

生産性向上に資する研究

新たな価値創造に向けた研究

業務効率化に向けた新技術の活用研究