電力の小売全面自由化から3年が経過し、来年4月までに送配電部門の法的分離への対応が必要になるなど、電気事業はまさに変革期にある。
当社グループにおいては、業務全般にわたる経営効率化に努めているものの、抜本的な経営基盤の回復・経営の安定化に不可欠な原子力発電所の稼働は依然見通しが立っておらず、競合他社との競争が激化する中、これまで以上に厳しい状況が続いている。
このような中、当社グループとしては、「信頼。創造。成長。」の企業理念のもと、コンプライアンス最優先の業務運営を基本としながら、中国電力グループ経営ビジョンの実現に向けて、以下の諸課題に取り組んでいく。

電力の小売全面自由化を受け、中国地域においても大手電力会社を含めた多数の小売事業者が参入する中、当社では、新料金メニュー「ぐっとずっと。プラン」、会員制WEBサイト「ぐっとずっと。クラブ」を展開し、2019年4月1日時点で、新料金メニューが113万口、WEB会員が95万口に到達するなど、多くのお客さまから確かな評価をいただいている。
2019年度からは、当社がお届けするサービスを「ぐっとずっと。Eサービス」と総称するとともに、お客さまのニーズやライフスタイルに合わせたコミュニケーションを実施していくため、新たに「LINE」を活用するなど、それぞれのチャネル特性に合わせたサービスを展開していく。
このほかにも、家庭から事業用までエネルギーに関する多様なニーズに対し、付加価値の高いサービスを提供していくことなどで、事業基盤である中国地域のお客さまに引き続き選択していただくことを目指していく。
加えて、新たな収益基盤を確立するため、以下のような取り組みを進めている。
中国地域外では、首都圏での電気の販売において様々なサービスを展開することによりさらなる収益拡大を目指していくとともに、その他の地域についても事業拡大を積極的に進めていく。また、2017年4月にJFEスチール株式会社と共同で設立した千葉パワー株式会社で計画していた石炭火力発電所開発の検討は中止したが、引き続き天然ガス火力発電所開発の事業実現性検討を行っている。
海外では、マレーシア石炭火力発電事業が本年の営業運転開始に向けて概ね計画どおりに進捗している。また、昨年5月に米国天然ガス火力発電事業、本年3月にインドネシア水力発電事業に出資参画し、加えて本年4月には台湾洋上風力発電事業の株式売買契約を締結した。引き続き、新たな海外投資案件の発掘・具体化により、収益力強化に取り組んでいく。
さらに、本年4月に設置した新組織「エネルギア創造ラボ」により、事業環境の変化に対応し、既成概念にとらわれない新たな発想で、既存ビジネスの革新や新ビジネスの創出を推進していく。
今後も収益性及びリスクを見極め、時機を逸することなく、当社グループの強みが活かせる成長事業の育成・拡大に取り組んでいく。
島根原子力発電所においては、新規制基準への適合はもちろんのこと、さらなる安全性を不断に追求し、みなさまに安心していただける原子力発電所を目指していく。
具体的には、緊急時対策所や航空機衝突その他のテロ行為による重大事故等に対処するための特定重大事故等対処施設の設置など、設備面の安全対策に取り組んでいく。また、社員の危機管理に対する意識を高め、緊急時の対応能力を維持・向上させる訓練・教育などを引き続き実施していく。
島根2号機については、原子力規制委員会における新規制基準への適合性審査が進められており、地震・津波関係の審査が概ね終了し、本年2月から設備関係の審査が再開された。再稼働に向けて着実に前進しているものと受け止めており、今後も総力をあげて対応していく。また、島根3号機については、昨年8月に原子力規制委員会へ適合性審査を申請し、同年9月に初回の審査会合が開催された。
引き続き、地域のみなさまのご理解をいただきながら、早期の再稼働・運転開始に向け、最大限取り組んでいく。
島根原子力発電所の運転停止が長期化している中においても、収支の改善・財務体質の悪化抑制を図り、競争力を強化していくため、引き続き徹底した経営効率化に取り組んでいく。
具体的には、競争発注の拡大などによる請負・資機材等の調達コストの低減、燃料費の削減に取り組んでいる。また、RPAを使用した電算機入力業務の自動化やタブレット端末による事業所と作業現場間のリアルタイムな映像情報の共有などのIT技術の活用に加え、既存の概念にとらわれない新しい視点からの「業務リノベーション」に挑戦し、生産性の向上に努めている。今後も事業環境の変化を見据え、恒常的なコストの削減につながるよう、業務の進め方の抜本的な見直しに取り組んでいく。
(注)RPA=Robotic Process Automationの略。パソコン等の中で動作するソフトウェアロボットを利用して人間の定型作業を代行・自動化する概念。
当社グループは、電源の競争力強化を図りつつ、将来にわたり、低廉で高品質な電気を安定的に供給するという当社の変わらぬ使命を果たすため、中長期的な展望に立った設備の形成・信頼度維持などに取り組んでいく。
資源の乏しいわが国においては、特定のエネルギー源に過度に依存することなく各種電源の特徴を活かしながらバランスよく活用していくことが必要である。とりわけ、重要なベースロード電源である原子力発電については、温室効果ガスの削減を継続的に進めていくためにも、一定比率維持していく必要がある。
当社としても、より一層安全性に優れた新規原子力発電所の開発を計画的に進めていくことが重要であると考えている。島根1号機の廃止を考慮すると、島根3号機の早期運転開始はもとより、新規原子力である上関原子力発電所の開発はこれまで以上に重要な経営課題であり、早期に着手できるよう、引き続き取り組んでいく。
また、経年化が進む既設火力発電所の代替として、最新鋭の発電技術を採用することによりCO₂排出削減にも配慮した三隅発電所2号機について、昨年11月に本体工事を開始した。周辺環境の保全に万全を期すとともに、地域のみなさまのご理解をいただきながら、営業運転開始に向け、着実に工事を進めていく。
さらに、トラブルの未然防止や災害への備えとして、設備の計画的かつ確実な点検・補修、更新工事など将来にわたる電力の安定供給確保に取り組むとともに、業務品質の維持・向上に向け、実践的な訓練や点検作業を通じ、グループの保有する技術・技能の向上と着実な継承に努めていく。
昨年7月に発生した豪雨災害においては、多数の当社電力設備に被害が発生した。当社は、これまでに得た教訓を活かし、今後大規模災害が発生した際に迅速・適切な対応を図ることができるよう、情報収集・情報発信体制の構築や自治体等とのさらなる連携など、今後も取り組みを実施していく。
地球温暖化問題については、パリ協定に基づき各国で取り組みを進めているところであり、当社グループにとっても重要な課題である。
当社を含む電気事業者は、電気事業全体のCO₂排出抑制目標を掲げ、低炭素社会の実現に向けて取り組んでいる。
当社グループとしては、安全確保を大前提とした原子力発電の活用や他事業者との共同出資によるバイオマス発電事業などの再生可能エネルギーの導入拡大、「大崎クールジェンプロジェクト」による高効率石炭火力発電とCO₂分離・回収技術の開発などに努めていくことにより、温室効果ガスの削減に引き続き取り組んでいく。
送配電部門の法的分離については、本年4月に分割準備会社「中国電力ネットワーク株式会社」を設立し、安定供給や効率性を阻害することなく円滑に移行できるよう、着実に準備を進めている。このように、経営環境が大きく変化する中においても、当社グループは、引き続き、「地域で選ばれ、地域をこえて成長する企業グループ」を目指して取り組んでいく。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載している。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避や発生した場合の対応に努めていく。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
当社は、福島第一原子力発電所において発生した事故を踏まえ、地震・津波対策、外部電源の信頼性確保、フィルタ付ベント設備の設置といったシビアアクシデント対策など、2013年7月に施行された新規制基準への適合はもちろんのこと、さらなる安全性を不断に追求していく。しかしながら、原子力に関する政策や規制の見直し等の動向によっては、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
原子力のバックエンド事業は、超長期の事業であり不確実性を有しているが、国による制度措置等により事業者のリスクが軽減されている。しかしながら、今後の制度の見直しや将来費用の見積り額の変更、再処理工場の稼働状況などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
来年4月に予定する送配電部門の法的分離、電気事業に係る制度の見直し、小売全面自由化に伴う他事業者との競争激化により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
また、2030年度のエネルギーミックスや温室効果ガス排出量の削減等に関する、エネルギー・環境政策の動向によっては、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
電気事業を中心とする当社グループは、電力供給設備をはじめ多くの設備を保有している。地震、台風等の自然災害の発生や、テロ等不法行為、その他の理由によるトラブルの発生により、設備の復旧に係る費用や代替火力燃料の調達等に係る費用等が発生し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社グループは、電気事業以外に「総合エネルギー供給事業」、「情報通信事業」、「環境調和創生事業」、「ビジネス・生活支援事業」を行っている。これらの事業が事業環境の変化等により当社グループの予想通りに進展しない場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
電気事業における販売電力量は生産活動等の景気動向の影響を受けるため、経済状況により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
電気事業における販売電力量は冷暖房需要の影響を受けるため、気温の状況により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
出水率の低下は、水力発電比率の低下による原料費増加要因となるため、水力発電所の水源地域における降水量の状況により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
電気事業における主要な火力燃料は石炭、LNG、重・原油であるため、石炭価格、LNG価格、重・原油価格及び外国為替相場の変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ただし、バランスのとれた電源構成を目指すこと等によって燃料価格変動リスクの分散に努めているほか、燃料価格の変動を電気料金へ反映させる「燃料費調整制度」の適用により、業績への影響は限定的と考えられる。
市場金利の変動及び格付の変更により当社グループの調達金利が変動し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ただし、有利子負債残高の多くは固定金利で調達した長期資金(社債や長期借入金)であるため、市場金利の変動による業績への影響は限定的と考えられる。
また、当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されている。割引率や運用利回りの変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社グループは、あらゆる事業運営においてコンプライアンスを最優先に進めることを経営の基本とし、コンプライアンス徹底の取り組みに努めるとともに、コンプライアンスに反する行為に対しては、速やかな是正措置をとることとしているが、仮に重大な事案が発生した場合には、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な業務運営に影響を与える可能性がある。
当社グループは、電気事業におけるお客さまの情報をはじめとして、多くの業務情報を保有している。これらの業務情報については、情報管理基本方針や個人情報保護方針等の社内ルールを整備し、これらを遵守するとともに、情報セキュリティ対策を推進する等により、厳重に管理を行っているが、外部に漏洩した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
当連結会計年度におけるわが国の経済情勢をみると、海外経済の減速に伴い輸出の伸びが鈍化したものの、個人消費や設備投資が堅調に推移したことから、景気は緩やかに回復した。当中国地方においては、2018年7月の豪雨の影響による生産活動の一時的な落ち込みなどがあったものの、景気は緩やかに回復した。
このような中で、当連結会計年度の経営成績は、売上高(営業収益)は、販売電力量の減少はあったが、燃料費調整制度の影響による電気料金収入の増加に加え、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」の交付金と賦課金が増加したことなどから、1兆3,769億円と前連結会計年度に比べ620億円の増収となった。
営業費用は、経営全般にわたる効率化に努めたものの、燃料価格の上昇による原料費の増加に加え、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」の納付金が増加したことなどから、1兆3,574億円と前連結会計年度に比べ821億円の増加となった。
この結果、営業利益は195億円と、前連結会計年度に比べ200億円の減益となった。
支払利息などの営業外損益を加えた経常利益は126億円となり、前連結会計年度に比べ180億円の減益となった。
渇水準備金を取崩し、原子力発電工事償却準備金を引き当て、2018年7月の豪雨災害発生などに伴う特別損失、有価証券売却による特別利益を計上した結果、法人税などを控除した親会社株主に帰属する当期純利益では114億円となり、前連結会計年度に比べ92億円の減益となった。
当社及び連結子会社の業種は広範囲かつ多種多様であり、また、電気事業が事業の大半を占めることから、電気事業の販売実績、需給実績及び資材の状況についてのみ記載している。
当連結会計年度の販売電力量は529.4億kWhと、電力の小売全面自由化に伴う競争進展の影響などから、前連結会計年度に比べ4.5%の減少となった。
(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれていない。
2 融通・他社販売には、b.需給実績における融通・他社送電電力量及び融通・他社送電電力量に
相当する料金収入を記載している。
発受電電力量は、前連結会計年度に比べ 4.1%の減少となった。
自社の水力発電は、前連結会計年度に比べ出水減により減少した。
自社の火力発電は、販売電力量の減による稼働減などにより減少した。
(注) 1 融通・他社送受電電力量は、提出日時点で把握している電力量を記載している。
2 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力である。
3 販売電力量の中には自社事業用電力量(92百万kWh)を含んでいる。
4 出水率は、1987年度から2016年度までの30か年の年平均に対する比である。
5 四捨五入の関係で合計と一致しない場合がある。
売上高(営業収益)は、販売電力量の減少はあったが、燃料費調整制度の影響による電気料金収入の増加に加え、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」の交付金と賦課金が増加したことなどから、1兆2,485億円と前連結会計年度に比べ472億円の増収となった。
営業費用は、経営全般にわたる効率化に努めたものの、燃料価格の上昇による原料費の増加に加え、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」の納付金が増加したことなどから、1兆2,382億円と前連結会計年度に比べ686億円の増加となった。
この結果、営業利益は102億円となり、前連結会計年度に比べ214億円の減益となった。
売上高(営業収益)は、燃料価格の上昇などにより、燃料販売事業収入が増加したことなどから、739億円と前連結会計年度に比べ236億円の増収となった。
営業費用は、燃料販売事業費用が増加したことなどから、721億円と前連結会計年度に比べ240億円の増加となった。
この結果、営業利益は18億円となり、前連結会計年度に比べ3億円の減益となった。
売上高(営業収益)は、回線数増加などにより、電気通信関係事業収入が増加したことなどから、418億円と前連結会計年度に比べ8億円の増収となった。
営業費用は、電気通信関係事業費用が増加したことなどから、395億円と前連結会計年度に比べ12億円の増加となった。
この結果、営業利益は23億円となり、前連結会計年度に比べ3億円の減益となった。
資産は、島根原子力発電所の安全対策工事などにより固定資産仮勘定が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ822億円増加し、3兆2,616億円となった。
負債は、有利子負債の増加などから、前連結会計年度末に比べ1,043億円増加し、2兆7,030億円となった。
純資産は、配当金の支払いなどから、前連結会計年度末に比べ220億円減少し、5,586億円となった。
この結果、自己資本比率は、17.0%となった。
(注)1 前連結会計年度末に流動資産に計上していた繰延税金資産を固定資産(投資その他の資産)に組替え
ている。
2 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金と社債の金額及び利子を支払っている負債を
対象としており、無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含んでいる。
セグメント別の資産の内訳は以下のとおり。なお、セグメント別の財政状態の分析については、当社グループの資産は電気事業が大半を占めることから、記載を省略する。
セグメント資産は、3兆304億円と前連結会計年度末に比べ1,308億円の増加となった。
セグメント資産は、519億円と前連結会計年度末に比べ84億円の増加となった。
セグメント資産は、773億円と前連結会計年度末に比べ16億円の減少となった。
税金等調整前当期純利益の減少などにより、前連結会計年度に比べ831億円減少の816億円の収入となった。
島根原子力発電所の安全対策工事や海外における発電事業などの成長事業への投資を行ったことにより1,687億円の支出となった。前連結会計年度に比べると安全対策工事が減少したことなどにより、198億円減少した。
この結果、差引フリー・キャッシュ・フローは、871億円のマイナスとなった。
社債・借入金による資金の調達を行ったことなどにより、975億円の収入となった。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ103億円増加し、913億円となった。
資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりである。
電気事業への設備投資等に必要な資金を、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、主に社債及び長期借入金により調達している。
当社グループでは、必要な手許流動性を確保するとともに、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、グループ内資金の有効活用を図っている。
当社グループの当連結会計年度の売上高(営業収益)は、燃料費調整制度の影響などから前連結会計年度に比べ620億円の増収となる1兆3,769億円となった一方、競争進展による販売電力量の減少などにより、経営全般にわたる効率化に取り組んだものの、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ92億円減益となる114億円となった。
電力の小売全面自由化から3年が経過し、競合他社との競争が激化している中、当社グループは、抜本的な経営基盤の回復・経営の安定化に不可欠な原子力発電所の稼働も依然見通しが立っておらず、これまで以上に厳しい状況が続いている。引き続き、徹底した経営効率化により収支の改善・財務体質の悪化抑制を図るとともに、当社グループの強みが活かせる成長事業の育成・拡大に取り組んでいく。
電力の小売全面自由化への対応では、事業基盤である中国地域のお客さまに引き続き選択していただくことを目指すことに加えて、新たな収益基盤を確立するため、中国地域外における電気の販売や海外における発電事業などに取り組むとともに、既成概念にとらわれない新たな発想で、既存ビジネスの革新や新ビジネスの創出を推進していく。
また、島根原子力発電所については、新規制基準への適合はもちろんのこと、さらなる安全性を不断に追求し、地域のみなさまのご理解を得ながら、早期の再稼働・運転開始に向け、最大限取り組んでいく。
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2020年代のできるだけ早い時期の実現を目指す利益・財務の目標として「連結経常利益600億円以上/年」及び「連結自己資本比率25%程度」を「中国電力グループ経営ビジョン」で設定している。
当連結会計年度においては、連結経常利益126億円、連結自己資本比率17.0%となった。
なお、利益・財務の目標は2020年代のできるだけ早い時期の実現を目指したものであり、今後、事業基盤である中国地域における電気事業の強化や、成長事業の育成・拡大に取り組むことで、利益・財務の目標の達成を図っていく。
当社は、2019年4月26日の取締役会決議により、2020年4月1日(予定)を効力発生日として、一般送配電事業及び離島における発電事業等を、会社分割の方法によって「中国電力ネットワーク株式会社」(2019年4月1日設立)に承継させることとし、同日、両社の間で吸収分割契約を締結した。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)に記載している。
電気事業の技術力を活かしグループ一体となり、S(安全確保)を前提としたうえで3E(供給安定性、経済性、環境保全)の同時達成に向け、電気の需要、供給、ネットワークの各方面において、電気事業への活用につながる新たな価値創造に取り組んでいる。
その中で、事業強化に向けて特に優先度の高い分野を「重点開発分野」として設定し、重点的に経営資源を配分するなどして、効果的な研究開発を推進していくとともに、研究開発成果を通して地域の産業創造、技術振興など、より魅力ある地域づくりに貢献したいと考えている。
また、中国地方の大学をはじめとした産学官の連携、電力中央研究所などとの密接な協力関係を保ちながら、効率的に推進していくこととしている。
研究開発活動とともに、グループ会社を含めて知的財産活動にも積極的に取り組んでいる。こうした取り組みの結果、当連結会計年度における当社グループの特許出願件数は339件、同新規登録件数は191件となった。商用の検索システムで集計したデータによる当連結会計年度末での当社の特許登録件数は、4,848件であり、電力・ガス会社でトップである。
また、地域産業活性化に向けた取り組みとして、自治体や金融機関等と連携し、当社特許技術を中小企業へ紹介するなど、知財ビジネスマッチング活動を展開している。
なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
革新的な低炭素石炭火力発電の実現を目指し、「CO₂分離・回収型石炭ガス化複合発電実証事業」を実施している。
設備信頼度の向上及び保修コストの低減を図るため、火力発電所のボイラ配管のひずみを高精度に計測し、それを基にボイラ配管の余寿命を診断する技術の開発、及び補修工事を現地で簡易に施工できる方法の開発など、設備経年化へ適切に対応する技術の研究開発に取り組んでいる。
また、火力・原子力発電所の海水系統での付着生物による発電効率の低下を防止するため、付着抑制技術の研究開発に取り組んでいる。
さらに、太陽光発電が大量に導入された場合の電力系統へ与える影響調査・分析など、電力品質や安定供給に影響を及ぼさない電力系統安定化技術などの研究開発に取り組んでいる。
また、蓄電池、電気自動車、給湯器などの需要家側リソースを仮想的な発電所として機能させ、電力の需給バランス調整に活用するVPPに関する研究開発に取り組んでいる。
環境問題に対する取り組みとして、石炭灰のリサイクル材を活用した河川底質改善技術の普及拡大に向けた実証試験を実施している。
さらに、電力の小売全面自由化が進展する中で、地域社会・経済の発展に貢献し、お客さまから選択し続けられるため、中国地域経済・産業動向の調査分析の実施及びエネルギア地域経済レポートなどを通じた情報提供、戦略的企業経営の支援、金融技術を活用したリスク管理、データの利活用に関する研究などに取り組んでいる。
その他、火力発電所のボイラ配管の保守関連技術について、英国のコンサルティング会社に使用許諾する契約を締結するなど、研究開発した成果の社外での有効活用による収益機会の拡大に取り組んでいる。