第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

電力の小売競争の激化や送配電部門の法的分離に加え、わが国が「2050年カーボンニュートラル」に向けて動きだすなど、当社グループを取り巻く環境は大きく変化している。足元では、自然災害の頻発化・激甚化や新型コロナウイルス感染症の拡大、今冬の電力需給のひっ迫など、事業活動に影響を与える様々な事象も生じている。また、国連総会における「持続可能な開発目標(SDGs)」の採択やESG投資の拡大など、経済・社会・環境面での課題解決に向けた動きが活発となっており、企業に対しても、事業活動全体を通じて社会課題の解決に貢献することへの期待が高まっている。

当社グループは、こうした事業環境の変化や社会的要請に対応しながら、グループ経営ビジョン「エネルギアチェンジ2030」の実現に向けて、以下の諸課題に取り組んでいく。

 

(1)エネルギー事業を中心とした既存事業の強化・進化

当社は、本年2月に「中国電力グループ『2050年カーボンニュートラル』への挑戦」を公表した。当社グループは、S+3E(安全性、安定供給、経済性、環境への適合)を同時達成する電源構成の実現を目指しながら、脱炭素化と競争力強化に向けて積極的に取り組んでいく。また、販売電力量の維持・拡大に向けた取り組みを強化するとともに、強靭な収益構造の構築に向け、業務運営の抜本的な見直しをはじめとする経営効率化を着実に進めていく。

 

  原子力発電所の再稼働・運転開始及び開発に向けた取り組み

原子力発電は、安定供給、経済性、環境への適合の観点から重要な役割を担うベースロード電源であり、また、確立した脱炭素技術としても、一定比率を維持していく必要があると考えている。当社は、更なる安全性を不断に追求し、みなさまに安心していただける原子力発電所を目指していく。

島根原子力発電所においては、地震・津波対策、電源確保、冷却機能確保、テロ対策など、設備面の安全対策を着実に実施するほか、原子力災害発生時の対応能力の向上を目的とした訓練等の継続的な実施や関係自治体との連携強化など、原子力防災対策にも積極的に取り組んでいく。

島根2号機については、原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査が最終段階を迎えている。今後も審査に適切に対応していくとともに、地域のみなさまのご理解をいただきながら、島根2号機・3号機の早期の再稼働・運転開始に向け、最大限取り組んでいく。

加えて、将来にわたっての重要な電源として新規原子力発電所の開発も必要であると考えており、上関原子力発電所の開発に引き続き取り組んでいく。

 

  石炭火力発電の高効率化、脱炭素化に向けた取り組み

当社は、現在、経年化が進む既設火力発電所の代替として三隅発電所2号機の建設を進めており、建設にあたっては、利用可能な最良の発電方式である超々臨界圧(USC)の採用、バイオマス混焼の拡大等によって環境性にも優れた電源とし、環境負荷の低減にも努めていく。

また、脱炭素化に向けた研究・開発として、「大崎クールジェンプロジェクト」による石炭火力発電の高効率化、CO₂分離・回収技術の開発及びカーボンリサイクルなどを通じて、革新的な低炭素石炭火力発電技術の開発に取り組むとともに、水素・アンモニアによるカーボンフリー発電技術の検討を進めていく。

 

 

  電力販売の収益拡大に向けた取り組み

電力小売事業における多数の事業者参入による競争の激化や新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響により、当社の販売電力量は減少傾向にある。

当社グループが今後収益を確保していくためには、電源の競争力強化に加え、販売電力量の維持・拡大が重要であると考えている。

当社は、引き続きお客さまに選択していただけるよう、ライフスタイルや多様なニーズに応じた料金メニュー、付加価値の高いサービスの拡充に努めていく。また、販売電力量の拡大に向け、電化推進による需要獲得、首都圏・関西エリアにおける電力販売、電気に係る市場取引の積極的な活用等に取り組むとともに、脱炭素化をはじめとしたお客さまの環境経営の実現にも貢献していく。

 

  徹底した経営効率化

島根原子力発電所の運転停止が長期化している中においても、収支の改善・財務体質の悪化抑制を図り、競争力を強化していくため、競争発注の拡大などによる資機材等の調達コストの低減、燃料費の削減など、費用全般にわたる効率化を進めていく。

また、本年4月、当社グループが目指す向こう5年間の新たなIT構想を策定しており、この構想のもと、最新のICTを活用したデジタル・トランスフォーメーション(DX)への取り組みを推進するとともに、業務運営の抜本的な見直しを進め、労働生産性の向上に努めていく。

(注)デジタル・トランスフォーメーション=デジタル化と仕組みにより新たなサービスやビジネスモデルを創出するほか、働き方改革を含む業務全般のコスト低減、生産性の向上を目指した幅広い取り組み。

 

  安定供給の確保

当社グループは、設備保全の効率化・高度化やレジリエンス(災害に対する強靭性及び回復能力)強化の観点から、設備の計画的かつ確実な点検・補修、更新工事などを行うとともに、業務品質の維持・向上に向け、実践的な訓練や点検作業を通じ、保有する技術・技能の向上と着実な継承に努めていく。

また、災害時には当社と中国電力ネットワーク株式会社が連携のうえ、円滑かつ迅速な復旧対応等を行っていく。

昨年12月下旬以降、全国的に厳しい寒さが続き、例年に比べ、電力需要が大幅に増加したことなどから、電力需給がひっ迫する状況となった。当社グループは、国の審議会による検証結果も踏まえ、引き続き電力の安定供給に向けた取り組みを進めていく。

 

(2)更なる成長に向けた新たな事業への挑戦

当社グループは、多様化する社会の変化から可能性を見つけ出し、新たな事業領域の開拓に挑戦していく。

 

  海外事業の領域拡大に向けた取り組み

当社グループは、海外事業を利益の一角を担える事業にしていくため、これまで培ってきた電気事業の知見を活用し、新たな海外事業への出資参画を進め、収益力の強化に取り組んでいる。本年3月には、台湾における水力発電事業、及びフィジー共和国で発電・送配電・小売事業を一貫して担う電力会社にそれぞれ出資参画した。

引き続き、再生可能エネルギーを中心に海外発電事業の発掘・獲得を進めるとともに、送配電・小売事業や電力周辺事業に加え、新たなエネルギービジネスにも積極的に取り組み、事業領域を拡大していく。

 

  再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取り組み

再生可能エネルギーを地球環境問題への対応だけでなく成長領域の一つと位置づけ、ビジョンで掲げる目標達成に向け、水力や風力等の導入に積極的に取り組んでいる。本年4月には、グループ企業のバイオマス発電所が2地点で運転開始するなど、2020年代中盤には新規導入量が約30万kWとなる見込みであり、今後は特に成長分野と見込まれる洋上風力発電の開発を積極的に進めることで、更なる導入量の上乗せに取り組んでいく。

 

 

  エネルギア創造ラボの取り組み

2019年に発足した「エネルギア創造ラボ」では、新たな利益の創出を目指して、「地域の未来の創造」と「電気の未来の創造」をコンセプトに、独自の技術・サービスを有するベンチャー企業への投資や協業に取り組んでいる。本年3月末までに、成長が期待できるベンチャー企業6社への投資を行った。また、再生可能エネルギーや蓄電池、EV等を活用した次世代エネルギーサービスの実現を目指して、取り組みを進めている。

今後もベンチャー企業への投資や協業を通じて、ビジョンに掲げる利益目標達成への貢献や新たなエネルギーサービスの実現に取り組んでいく。

 

(3)多様な人材が活躍できる更なる環境づくり

ビジョンを実現し、当社グループが持続的に成長していくためには、多様な価値観・経験を持つ社員一人ひとりの活躍が不可欠である。

当社は、女性社員の活躍推進や障がい者の雇用促進に加え、他企業経験者や専門能力を有する人など幅広く多様な人材の採用に取り組んでいる。また、社員の健康を確保するとともに、柔軟かつ生産性の高い働き方を実現できるよう、フレックスタイム勤務制度、勤務間インターバル制度、生活上の様々なニーズに対応する独自の休暇制度等の設定に加え、男女ともに仕事と家庭を両立できる職場風土の醸成など、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みを推進している。

今後も時代の要請に合わせて柔軟に対応しながら、多様な人材が活躍できる企業文化や制度の構築に取り組んでいく。

 

 

 

〇 中国電力グループ経営ビジョン「エネルギアチェンジ2030」

 


 

 

〇 中国電力グループ「2050年カーボンニュートラル」への挑戦

   ~脱炭素社会の実現に向けたギアチェンジ~

 


 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、当社グループの業績等に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載している。当社グループは、グループ経営ビジョンの実現に向けて、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避や発生した場合の対応に努めていく。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1) 原子力発電に係る規制・制度の見直し

当社は、福島第一原子力発電所において発生した事故を踏まえ、地震・津波対策、外部電源の信頼性確保、フィルタ付ベント設備の設置といったシビアアクシデント対策など、2013年7月に施行された新規制基準への適合はもちろんのこと、さらなる安全性を不断に追求しているが、原子力に関する政策変更や法規制・基準の見直し等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。当社としては、新規制基準適合性審査の先行実績や規制動向を注視し、当社の原子力発電所の安全対策に、計画的かつ適切に取り組んでいく。

原子力のバックエンド事業は、超長期の事業であり不確実性を有しているが、国による制度措置等により事業者のリスクが軽減されている。しかしながら、今後の制度の見直しや将来費用の見積り額の変更、再処理工場の稼働状況などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。当社としては、再処理事業者など関係先と連携し、事業の着実な実施に取り組んでいく

 

(2) 電気事業に係る政策・制度の見直し

現状、小売電気事業者間の競争状態については競争が不十分という評価のもと、小売料金の経過措置料金の解除が全エリアで見送られており、さらなる競争活性化に向けた追加的な対応が検討されている。これにより、旧一般電気事業者の自社小売部門と他社小売部門との間における内外無差別の確立に向けた規制がさらに強化される可能性があり、この動向によっては、当社の競争力や経営環境は影響を受ける可能性がある。当社としては、こうした規制強化のリスクも認識しつつ、調達コストの低減や経済合理的な判断プロセスの下で総合エネルギー事業全体としての利益最大化に取り組んでいく。

 

(3) 環境規制

政府は、2050年までにカーボンニュートラルを目指すと宣言し、脱炭素社会の実現に向けて、総力を挙げて取り組むとしている。この動向によっては、エネルギー政策の大幅な見直しや、温室効果ガスの排出等に対する環境規制の強化が想定され、当社グループにおいては、それに伴う対応費用の発生や、取り組みが不十分と判断された場合の社会的評価の低下など、業績に影響を受ける可能性がある。

当社は、2021年2月に「中国電力グループ『2050年カーボンニュートラル』への挑戦」を公表し、再生可能エネルギーの開発、安全確保を大前提とした原子力発電の早期稼動及び安定的な運転継続、水素やアンモニア等の脱炭素電源の活用、脱炭素のための電化促進等に積極的に取り組んでいくこととしており、技術開発の不確実性を踏まえつつ、複線的なシナリオを描きながら、カーボンニュートラルに向けた取り組みを進め、脱炭素社会の実現に向けて最大限取り組んでいく。

 

(4) コンプライアンス

当社グループは、あらゆる業務運営においてコンプライアンス最優先に進めることを経営の基本とし、コンプライアンス徹底の取り組みに努めるとともに、コンプライアンスに反する行為に対しては、速やかな是正措置をとることとしているが、仮に重大な事案が発生した場合には、当社グループへの社会的信用が低下し、円滑な業務運営に影響を与える可能性がある。

当社としては、コンプライアンス経営推進宣言における3つの行動「良識に照らします、率直に話します、積極的に正します」を踏まえ、役員率先垂範のもと、コンプライアンス最優先の業務運営の徹底に取り組んでいく。また、グループ会社においてもコンプライアンス最優先の業務運営が行われるよう、各社を支援・指導していく。

なお、当社は、2021年4月、「特別高圧電力及び高圧電力の供給について、共同して、中部地区、関西地区または中国地区における顧客の獲得を制限している疑いがある」として、公正取引委員会の立入検査を受けており、公正取引委員会の調査に適切に対応していく。

 

(5) 災害・トラブルの発生

電気事業を中心とする当社グループは、電力供給設備をはじめ多くの設備を保有している。大規模な地震、台風等の激甚な自然災害、テロ等の不法行為、新型コロナウイルス等の重篤な感染症の蔓延、需給ひっ迫、その他の理由によるトラブルの発生により、それら設備をはじめ業務システムや多くの従業員等が被害を受けるほか、調達コストが大幅に増加するなどの可能性がある。その結果として、設備の復旧や代替火力燃料・電力の市場調達などに係る費用の増加や売上高の減少を余儀なくされるほか、停電の長期化などによる社会的信用やブランドイメージの低下、経済活動の停滞に伴う販売電力量の減等による売上高の減少、工事や資機材調達において支障が生じることによる費用の増減、インバランス料金の増減等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

当社グループとしては、国の法令等に準拠した電力設備設計や計画的な修繕、従業員に係る災害予防、災害応急対策及び災害復旧を図るための防災等に係る各種業務計画の策定、事業継続のための体制整備、防災訓練及び需給ひっ迫に関する国の審議会の検討結果も踏まえ、適切に対応する。

 

(6) 金融市場の変動

2021年3月末時点で、当社グループの有利子負債残高は2兆2,918億円であり、市場金利の変動及び格付の変更に伴う調達金利の変動により支払利息が増減し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ただし、有利子負債残高の多くは固定金利で調達した長期資金(社債や長期借入金)であるため、業績への影響は限定的と考えられる。

また、2021年3月末時点で当社グループの退職給付債務は2,428億円及び年金資産は2,409億円である。退職給付費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されており、金利・株価等の変動に伴う割引率や運用利回りの変動により、退職給付費用が増減し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ただし、当社グループは年金資産をリスクを抑えた資産構成で運用しているため、業績への影響は限定的と考えられる。

 

(7) 燃料価格の変動

電気事業における主要な火力燃料は石炭、LNG、重油であるため、石炭価格、LNG価格、重油価格及び外国為替相場の変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ただし、燃料価格の変動を電気料金へ反映させる「燃料費調整制度」の適用により、業績への影響は限定的と考えられる。また、当社としては、バランスのとれた電源構成を目指すこと等によって燃料価格変動リスクの分散に努めているほか、一部の燃料についてはデリバティブを使って価格変動を抑制している。

 

(8)競争環境の変化

電気事業における他事業者との競争激化に伴う、当社から他事業者へのスイッチングの増加等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。当社グループとしては、家庭用から事業用までエネルギーに関する多様なニーズに対し、付加価値の高いサービスを提供し、事業基盤である中国地域のお客さまに引き続き選択していただけるよう取り組んでいくとともに、中国地域外においても、首都圏や関西地域を中心とした営業活動の強化などにより、更なる収益の拡大に向け取り組んでいく。

また、新たな市場などでの市場取引をはじめ収益性が見込める販売チャネルを活用し、販売電力量の拡大を図る。

 

(9) 業務情報の管理

当社グループは、電気事業におけるお客さまの情報をはじめとして、多くの業務情報を保有している。これらの業務情報が、高度化・巧妙化するサイバー攻撃等により外部に漏えいした場合、社会的評価の低下を招くほか、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

当社としては、管理体制とともに情報管理基本方針及び個人情報保護方針等の社内ルールを整備し、定期的な教育・訓練により遵守するよう徹底している。また、技術的セキュリティ対策の継続的な見直しを行うこと等により、厳重に業務情報の管理を行っている。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

 (1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。

 

 (2) 経営成績

 ① 事業全体

当連結会計年度におけるわが国の経済情勢をみると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、景気は年度初めから急速に悪化し、その後持ち直しの動きはみられたものの、感染症の再拡大に伴い個人消費が弱含むなど、厳しい状況が続いた。当中国地方においても、ほぼ全国と同様の状況で推移した。

このような中で、当連結会計年度の経営成績は、売上高(営業収益)は、競争進展に加え、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う上期の生産活動の停滞などによる小売販売電力量の減少により、電気料金収入が減少したことなどから、1兆3,074億円と前連結会計年度に比べ398億円の減収となった。

営業費用は、冬季の電力需給ひっ迫の影響に伴う燃料及び電力の調達費用の増加はあったものの、小売販売電力量の減少による原料費の減少に加え、経営全般にわたる効率化に努めたことなどから1兆2,732億円と前連結会計年度に比べ259億円の減少となった。

この結果、営業利益は、小売販売電力量の減少に加え、電力需給ひっ迫の影響などにより、342億円と前連結会計年度に比べ138億円の減益となった。

支払利息などの営業外損益を加えた経常利益は300億円となり、前連結会計年度に比べ97億円の減益となった。

電力需給ひっ迫及び市場価格高騰の影響を受けた債権の一部について、貸倒引当金繰入額114億円を特別損失として計上し、法人税などを控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は145億円となった。

なお、原子力発電工事償却準備引当金の全額を取崩した前連結会計年度に比べ754億円の減益となった。

 

区分

前連結会計年度
(億円)

当連結会計年度
(億円)

差引
(億円)

増減率
(%)

売上高(営業収益)

13,473

13,074

△398

△3.0

経常利益

398

300

△97

△24.5

親会社株主に帰属する
当期純利益

900

145

△754

△83.8

(参考)営業利益

481

342

△138

△28.8

 

 

(参考)中国電力個別決算

区分

前事業年度
(億円)

当事業年度
(億円)

差引
(億円)

増減率
(%)

売上高(営業収益)

12,437

11,477

△959

△7.7

経常利益又は経常損失(△)

351

△109

△460

当期純利益

又は当期純損失(△)

877

△53

△930

(参考)

営業利益又は営業損失(△)

404

△127

△531

 

 

 

 

 ○前提となる主要諸元(中国電力個別)

項目

前事業年度

当事業年度

総販売電力量

562.9億kWh

535.6億kWh

為替レート(インターバンク)

109円/$

106円/$

原油CIF価格

67.8$/b

43.4$/b

海外炭CIF価格

101.3$/t

79.1$/t

 

 

 

 ② 生産、受注及び販売の実績

当社及び連結子会社の業種は広範囲かつ多種多様であり、また、当社の電気事業が事業の大半を占めることから、当社の電気事業の販売実績、発受電実績及び資材の状況についてのみ記載している。

なお、当社は、2020年4月1日付で会社分割によって一般送配電事業等を中国電力ネットワーク株式会社に承継しており、前連結会計年度の数値は、当連結会計年度との比較を容易にするため、一定の前提のもと2社に分社したと仮定した想定値としている。

 

a.販売実績

総販売電力量は、競争進展や新型コロナウイルス感染症の影響などから、前連結会計年度に比べ4.9%の減少となった。

小売販売電力量は463.9億kWhと、前連結会計年度に比べ7.1%の減少となった。

他社販売電力量は71.7億kWhと、前連結会計年度に比べ12.5%の増加となった。

種別

前連結会計年度
(自 2019年4月1日
 至 2020年3月31日)

当連結会計年度
(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日)

前年同期比

(%)

総販売電力量

(百万kWh)

小売販売電力量

電灯

16,750

16,822

100.4

電力

33,170

29,568

89.1

他社販売電力量

6,370

7,166

112.5

56,289

53,557

95.1

料金収入

(百万円)

電灯料・電力料

913,910

806,370

88.2

他社販売電力料

59,871

65,816

109.9

973,782

872,186

89.6

 

    (注) 1 上記金額には、消費税等は含まれていない。

2 他社販売電力量及び他社販売電力料には、中国電力ネットワーク株式会社とのインバランス・調整電源に係る他社販売電力量及び他社販売電力料を含んでいない。

     3 前連結会計年度及び当連結会計年度の総販売電力量には、自社用を含んでいない。

 

 

b.発受電実績

 発受電電力量は、前連結会計年度に比べ6.7%の減少となった。

 自社の水力発電は、前連結会計年度に比べ出水増により増加となった。

 自社の火力発電は、小売販売電力量の減による稼働減などにより減少となった。

種別

前連結会計年度
(自 2019年4月1日
 至 2020年3月31日)

当連結会計年度
(自 2020年4月1日
 至 2021年3月31日)

前年同期比

(%)

発受電

電力量

(百万kWh)

自社

水力発電電力量

2,942

3,483

118.4

火力発電電力量

29,855

28,059

94.0

原子力発電電力量

新エネルギー等 

発電電力量

7

8

102.9

他社送受電

電力量

受電電力量

34,125

32,106

94.1

送電電力量

△11,502

△11,578

100.7

揚水発電所の揚水用電力量

△866

△1,177

135.9

合計

54,561

50,901

93.3

出水率(%)

81.3

96.5

 

    (注) 1 他社送受電電力量は、提出日時点で把握している電力量を記載している。

    2 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力である。

    3 当連結会計年度の出水率は、1989年度から2018年度までの30か年の年平均に対する比である。

 

c. 資材の状況

    主要燃料の受払状況

 

品名

単位

2019年
3月末
在庫量

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

2020年
3月末
在庫量

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

2021年
3月末
在庫量

受入

払出

受入

払出

石炭

811,969

5,998,257

6,056,280

753,946

5,248,899

5,434,818

568,027

重油※

kl

98,873

274,074

256,905

116,042

336,643

340,542

112,143

原油

kl

99

99

LNG

119,450

2,281,277

2,242,409

158,318

2,061,543

2,075,821

144,040

 

※助燃用重油を含む

 

 

 ③ セグメント情報

当連結会計年度より、当社は「電気事業」、「総合エネルギー供給事業」及び「情報通信事業」としていた報告セグメントを「総合エネルギー事業」、「送配電事業」及び「情報通信事業」に変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいている。

詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載している。

 

 ○ 総合エネルギー事業

売上高(営業収益)は、競争進展に加え、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う上期の生産活動の停滞などによる小売販売電力量の減少により、電気料金収入が減少したことなどから、1兆1,813億円と前連結会計年度に比べ871億円の減収となった。

営業費用は、冬季の電力需給ひっ迫の影響に伴う燃料及び電力の調達費用の増加はあったものの、小売販売電力量の減少による原料費の減少に加え、経営全般にわたる効率化に努めたことなどから、1兆1,939億円と前連結会計年度に比べ548億円の減少となった。

この結果、小売販売電力量の減少に加え、電力需給ひっ迫の影響などにより、126億円の営業損失となり、前連結会計年度に比べ323億円の減益となった。

 

 ○ 送配電事業

売上高(営業収益)は、電力の需給ひっ迫により供給力が不足した中国エリア内の発電・小売会社への電力供給量の増加や市場価格の高騰により、不足インバランス収入が増加したこと、及び猛暑や厳冬により電灯需要が増加したことなどから、4,238億円と前連結会計年度に比べ710億円の増収となった。

営業費用は、経営全般にわたる効率化に努めたものの、需給ひっ迫の影響に伴い、他の一般送配電事業者からの電力融通費用が増加したことなどから、3,828億円と前連結会計年度に比べ532億円の増加となった。

この結果、営業利益は410億円となり、前連結会計年度に比べ178億円の増益となった。

 

 ○ 情報通信事業

売上高(営業収益)は、システム受託増加などにより情報関係事業収入が増加したことなどから、451億円と前連結会計年度に比べ21億円の増収となった。

営業費用は、情報関係事業費用が増加したことなどから、417億円と前連結会計年度に比べ21億円の増加となった。

この結果、営業利益は34億円となり、前連結会計年度並みとなった。

 

区分

総合エネルギー

事業
(億円)

送配電事業
(億円)

情報通信事業
(億円)

売上高

前連結会計年度

12,684

3,527

429

当連結会計年度

11,813

4,238

451

差 引

△871

710

21

営業費用

前連結会計年度

12,487

3,296

395

当連結会計年度

11,939

3,828

417

差 引

△548

532

21

営業利益又は

営業損失(△)

前連結会計年度

197

231

34

当連結会計年度

△126

410

34

差 引

△323

178

△0

 

 

 (3) 財政状態

資産は、島根原子力発電所の原子力安全対策工事及び三隅発電所2号機建設工事進捗による固定資産仮勘定の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,197億円増加し、3兆3,851億円となった。

負債は、有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,061億円増加し、2兆7,248億円となった。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ136億円増加し、6,603億円となった。

この結果、自己資本比率は、19.4%となった。

 

区分

前連結会計年度末
(億円)

当連結会計年度末
(億円)

差引
(億円)

資産

32,653

33,851

1,197

 

(うち電気事業固定資産)
(うち固定資産仮勘定)
(うち流動資産)

(12,986)
(10,322)
(2,893)

(12,950)
(11,244)
(2,962)

(△36)
(921)
(69)

負債

26,186

27,248

1,061

 

(うち有利子負債)

(21,939)

(22,918)

(979)

純資産

6,466

6,603

136

 

(うち自己資本)

(6,433)

(6,571)

(138)

 

(注)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金と社債の金額及び利子を支払っている負債を

    対象としており、無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含んでいる。

 

 (4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

(当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況)

 ○ 営業活動によるキャッシュ・フロー

税金等調整前当期純利益が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ194億円減少1,102億円の収入となった。

 ○ 投資活動によるキャッシュ・フロー

前連結会計年度に比べ6億円増加1,727億円の支出となった。

この結果、差引フリー・キャッシュ・フローは、625億円のマイナスとなった。

 ○ 財務活動によるキャッシュ・フロー

社債・借入金による資金の調達を行ったことなどにより、752億円の収入となった

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ124億円増加し、598億円となった。

区分

前連結会計年度
(億円)

当連結会計年度
(億円)

差引
(億円)

○営業活動によるキャッシュ・フロー

1,296

1,102

△194

○投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,721

△1,727

△6

  差引フリー・キャッシュ・フロー

△424

△625

△200

○財務活動によるキャッシュ・フロー

△14

752

766

 

うち社債・借入金による純増減

176

957

780

 

うち配当金の支払額

△172

△181

△8

現金及び現金同等物(増減額)

△440

124

 

現金及び現金同等物(期末残高)

473

598

124

 

 

 

(連結キャッシュ・フローの推移)

当面、島根原子力発電所の安全対策工事や三隅発電所2号機の設備投資といった大型電源工事によりフリー・キャッシュ・フローはマイナスが続くが、新規電源の稼働後には、反転していくものと試算しており、2030年度までの10年間で、キャッシュ・フローの均衡を図る。 


 

(キャッシュ配分の考え方)

    大型電源工事期間中は、キャッシュアウトの抑制に努める。

その時々の事業環境等を踏まえ、適宜、見直しながら、既存領域や成長領域への投資、株主還元等のバランスを取ってキャッシュ配分を行う。株主還元については安定配当を基本としつつ、財務体質やビジョン「エネルギアチェンジ2030」に基づく当社グループの成長の成果を踏まえ、将来的な株主還元のあり方についても検討していく。

 

② 資本の財源

エネルギー事業を中心とした既存事業の強化・進化や更なる成長に向けた新たな事業への挑戦などに必要な資金を、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、主に社債及び長期借入金により調達している。

また、グループ全体の資金を効率的に活用するため、キャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)を通じてグループ内資金融通を行っており、グループ全体で必要な資金を当社が一括して調達している。

さらに、中長期的に安定的かつ低利な資金調達を実現するため、取引先金融機関の拡大や、個人向け社債、外貨建社債、転換社債の発行などによる調達手段・調達先の多様化に取り組んでいる。

なお、当社は、一般担保付社債の経過措置に係る認定に基づき、最長2024年度まで一般担保付社債を発行していく。

 

③ 資金の流動性

月次資金繰りに基づき十分な現預金を保有するとともに、金融機関とのコミットメントライン契約や当座貸越契約などにより、不測の資金需要に備える体制をとっている。

 

 

 (5) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の売上高(営業収益)は、競争の進展に加え、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う上期の生産活動の停滞などによる小売販売電力量の減少により、電気料金収入が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ398億円の減収となった。

連結経常利益は、グループを挙げて経営全般にわたる効率化に努めたものの、小売販売電力量の減少や、冬季の電力需給ひっ迫の影響で150億円減益となったことなどにより、前連結会計年度に比べ97億円減益の300億円となった。

親会社株主に帰属する当期純利益については、冬季の電力需給ひっ迫及び市場価格高騰の影響を受けた小売電気事業者向け債権の一部について、貸倒引当金繰入額114億円を特別損失として計上した結果、前連結会計年度では原子力発電工事償却準備引当金の全額を取崩したこともあり、754億円の減益となった。

冬季の全国的な電力需給ひっ迫の要因は、厳しい寒波の影響により、ここ数年で最も高い水準まで電力需要が急増するなか、発電用燃料の在庫減少や大型火力発電所の計画外停止など、複数の事象が同時期に発生したことにあると考えている。このような、電力需要の増加や電力の供給力の低下に伴い、燃料価格や卸電力市場のスポット価格が高騰した結果、当社においても、燃料・電力の調達費用が大きく増加したことなどから、前連結会計年度に比べて減益となったものと認識している。

 

 (6) 目標とする経営指標の達成状況等

当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2020年1月に公表した新たな中国電力グループ経営ビジョンにおいて、2030年度に実現を目指す利益・財務の目標として「連結経常利益600億円以上」及び「連結自己資本比率25%」を設定している。
 当連結会計年度においては、連結経常利益300億円、連結自己資本比率19.4%となっている。

利益・財務の目標の実現に向けては、安全確保を大前提に、島根原子力発電所及び三隅発電所2号機などの稼働・運開により競争力のある大型電源を確保することで、エリア内需要の獲得はもとより、小売、卸売及び様々な市場を活用し、販売電力量の減少の反転・拡大を目指すとともに、海外発電事業をはじめ、更なる成長に向けた新たな事業へも挑戦していく。

 

区分

2018年度

2019年度

2020年度

連結経常利益

126億円

398億円

300億円

連結自己資本比率

17.0%

19.7%

19.4%

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項なし

 

 

5 【研究開発活動】

グループ経営ビジョンにおける「電気事業の強化・進化」、「新たな事業への挑戦」を進めていくために、研究開発の取り組む方向性を3つの「戦略的イノベーション領域」として設定し、重点的に取り組んでいる。

研究開発によるイノベーションを目指し、早期の実用化・ビジネス化に繋げていくために、他業種とのアライアンスやオープンイノベーションを積極的に活用している。

また、中国地方の大学をはじめとした産学官の連携、電力中央研究所などとの密接な協力関係を保ちながら、効率的に推進していくこととしている。この取り組みとして、国立大学法人広島大学との包括的研究協力に関する協定を締結し、産学の連携を通して最先端の技術開発を行っている。

研究開発活動とともに、グループ会社を含めて知的財産活動にも積極的に取り組んでいる。こうした取り組みの結果、当連結会計年度における当社グループの特許出願件数は223件、同新規登録件数は167件となった。商用の検索システムで集計したデータによる当連結会計年度末での当社の特許登録件数は3,678件であり、費用対効果を勘案し保有特許を厳選した結果、前年度よりやや減少したものの、エネルギー業界トップを維持している。

また、地域産業活性化に向けた取り組みとして、自治体や金融機関等と連携し、当社特許技術を中小企業へ紹介するなど、知財ビジネスマッチング活動を展開している。

なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は116億円であり、うち総合エネルギー事業に係る研究開発費は108億円、総合エネルギー事業以外に係る研究開発費は7億円である。

 

(1) 戦略的イノベーション領域に関する取り組み

① デジタル技術を活用した電力システムのイノベーション

AI/IoT等のデジタル技術を活用して、電力設備の運用・保守技術の高度化に関する研究開発を実施している。

② 脱炭素化に向けたエネルギー・環境技術のイノベーション

革新的な低炭素石炭火力発電の実現を目指し、「CO₂分離・回収型石炭ガス化複合発電実証事業」を実施している。さらに、カーボンリサイクルの取り組みとして、回収したCO₂を活用し土木材料(通称:CO-TriCOM)やコンクリート(通称:CO-SUICOM)、油脂(Gas-to-Lipids)を生成する技術の開発を実施している。

また、石炭灰リサイクル材を活用した水域底質環境の改善効果の実証を行い、これによる干潟・藻場への炭素固定効果について研究を実施している。

その他、太陽光発電が大量に導入された場合の電力系統へ与える影響調査・分析など、電力の品質確保や安定供給に向けた電力系統安定化技術等の研究開発に取り組んでいる。

③ 地域・他業種と融合した新サービスの創出

太陽光発電、蓄電池、電気自動車、電気温水器などの需要家側リソースを統合制御するバーチャルパワープラント(仮想発電所)の実証試験を実施し、再生可能エネルギーの活用や需給バランス調整等、新たなサービス展開を検討している。

 

(2) 電気事業を支える基盤技術に関する取り組み

設備信頼度の維持・向上及び修繕費の低減を図るため、設備の健全性を非破壊で診断する技術の開発や、補修工事を現地で簡易に施工できる方法の開発など、設備経年化へ適切に対応する技術の研究開発に取り組んでいる。

また、火力・原子力発電所の海水系統での付着生物による発電効率の低下を防止するため、付着抑制技術の研究開発にも取り組んでいる。

 

(3) その他

地域社会・経済の発展に貢献し、お客さまから選択し続けられるため、中国地域経済・産業動向の調査分析の実施及びエネルギア地域経済レポートなどを通じた情報提供、戦略的企業経営の支援、金融技術を活用したリスク管理、データの利活用に関する研究などに取り組んでいる。