当連結会計年度のわが国経済は、新興国経済の減速の影響などから生産や輸出などに弱い動きがみられたものの、企業収益が改善するなかで基調として緩やかに回復してきた。九州経済も、設備投資が増加したほか、雇用・所得環境の改善などにより個人消費や住宅投資も持ち直しており、緩やかに回復してきた。
当社グループ(当社及び連結子会社)においては、電気事業において、全ての原子力発電所が停止し、厳しい収支・財務状況、需給状況が続いていたが、平成27年9月に川内原子力発電所1号機、11月に同発電所2号機が通常運転に復帰した。
当連結会計年度の業績については、グループ一体となって費用削減に取り組んだことや、川内原子力発電所1、2号機の発電再開に加え、燃料価格の大幅な下落により燃料費が減少したこと、さらに、収入面では燃料費調整制度による電気料金引下げへの反映が一部翌期にずれ込んだことなどから、黒字を確保することができた。
しかしながら、玄海原子力発電所3、4号機は新規制基準への適合性審査が続いており、依然として収益力の本格的な回復には至っていない状況であるため、当社は引き続きグループ一体となって、安全確保・法令遵守・安定供給を前提に、徹底した費用削減に努めるとともに、玄海原子力発電所の早期再稼働に向けた取組みを進めていく。
当連結会計年度の連結収支については、収入面では、電気事業において、再エネ特措法交付金は増加したが、燃料費調整の影響による料金単価の低下や販売電力量の減少などにより電灯電力料が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ377億円減(△2.0%)の1兆8,356億円、経常収益は380億円減(△2.0%)の1兆8,519億円となった。
一方、支出面では、電気事業において、再生可能エネルギー電源からの購入電力料は増加したが、燃料価格の大幅な下落や川内原子力発電所1、2号機の発電再開などにより燃料費が減少したことに加え、グループ一体となった費用削減に取り組んだ結果、経常費用は2,026億円減(△10.3%)の1兆7,610億円となった。
以上により、経常損益は前連結会計年度の損失736億円から改善し909億円の利益、親会社株主に帰属する当期純損益は前連結会計年度の損失1,146億円から改善し734億円の利益となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
| 当連結会計年度 (平成27年4月1日から 平成28年3月31日まで) | 前年度比 | |
金額(百万円) | |||
電気事業 | 売 上 高 | 1,692,316 | 98.3 |
営業利益 | 96,183 | - | |
エネルギー関連事業 | 売 上 高 | 184,649 | 98.9 |
営業利益 | 10,852 | 98.8 | |
情報通信事業 | 売 上 高 | 103,557 | 107.3 |
営業利益 | 10,277 | 90.0 | |
その他の事業 | 売 上 高 | 26,804 | 104.2 |
営業利益 | 4,327 | 117.7 | |
(注) 1 「電気事業」は、当社事業から附帯事業を除いたものである。
2 上記の記載金額には消費税等を含んでいない。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、電気事業において電灯電力料収入の減少はあったが、火力燃料代が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ2,407億円増(+271.3%)の3,294億円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の償還及び売却による収入の増加はあったが、設備投資の増加などにより、前連結会計年度に比べ199億円増(+7.4%)の2,883億円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ、株式及び社債の発行による収入が減少したことに加え、社債の償還及び借入金の返済による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度の3,108億円の収入から1,261億円の支出に転じた。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ867億円減少し4,297億円となった。
当社グループ(当社及び連結子会社)の事業内容は、電気事業が大部分を占め、電気事業以外の事業の生産、受注及び販売の状況は、グループ全体からみて重要性が小さい。また、電気事業以外の事業については、受注生産形態をとらない業種が多いため、生産及び受注の状況を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため、以下では、電気事業の生産及び販売の状況を当社個別の実績によって示している。
種 別 | 当事業年度 (平成27年4月1日から 平成28年3月31日まで) | 前年度比 | |||
発 | 自 | 水力発電電力量 | (百万kWh) | 4,804 | 116.6 |
火力発電電力量 | (百万kWh) | 47,508 | 80.5 | ||
原子力発電電力量 | (百万kWh) | 8,632 | - | ||
新エネルギー等発電電力量 | (百万kWh) | 1,309 | 100.7 | ||
他 | 受電電力量 | (百万kWh) | 25,378 | 106.2 | |
(新エネルギー等再掲) | (7,081) | (140.6) | |||
送電電力量 | (百万kWh) | △1,723 | 135.0 | ||
融 | 受電電力量 | (百万kWh) | 308 | 32.5 | |
送電電力量 | (百万kWh) | △51 | 168.1 | ||
揚水発電所の揚水用電力量 | (百万kWh) | △677 | 329.8 | ||
合 計 | (百万kWh) | 85,488 | 97.4 | ||
損失電力量等 | (百万kWh) | 6,278 | 96.5 | ||
販売電力量 | (百万kWh) | 79,210 | 97.5 | ||
出水率 | (%) | 111.4 | - | ||
(注) 1 「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称である。
2 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量である。
3 販売電力量の中には、自社事業用電力量(121百万kWh、前年度比117.5%)を含んでいる。
4 出水率は、昭和59年度から平成25年度までの30か年平均に対する比である。
ア 契約高
種 別 | 当事業年度 | 前年度比 | |
契約口数 | 電灯 | 7,943,562 | 100.9 |
電力 | 900,184 | 98.5 | |
計 | 8,843,746 | 100.6 | |
契約電力 | 電灯 | 29,259 | 101.3 |
電力 | 18,822 | 95.8 | |
計 | 48,081 | 99.1 | |
(注) 本表には、特定規模需要を含み、他社販売及び電力会社融通(送電分)を含んでいない。
イ 販売電力量及び料金収入
種 別 | 当事業年度 (平成27年4月1日から 平成28年3月31日まで) | 前年度比 | ||
販売電力量 (百万kWh) | 特 需 定 要 規 以 模 外 | 電灯 | 28,100 | 98.5 |
電力 | 4,744 | 97.5 | ||
電灯電力計 | 32,844 | 98.4 | ||
特定規模需要 | 46,366 | 96.8 | ||
電灯電力・特定規模需要計 | 79,210 | 97.5 | ||
再
掲 | 一般需要 | 56,517 | 97.7 | |
大口電力 | 22,693 | 96.9 | ||
他社販売 | 1,645 | 134.2 | ||
料金収入 (百万円) | 電灯 | 614,284 | 94.7 | |
電力 | 823,622 | 91.8 | ||
電灯電力計 | 1,437,906 | 93.0 | ||
他社販売 | 18,731 | 112.3 | ||
(注) 1 料金収入の電力には、特定規模需要を含んでいる。
2 本表には、下記の電力会社融通(送電分)電力量及び同販売電力料を含んでいない。
3 上記の記載金額には、消費税等を含んでいない。
| 当事業年度 (平成27年4月1日から 平成28年3月31日まで) | 前年度比 |
融通電力量(百万kWh) | 51 | 168.1 |
同上販売電力料(百万円) | 523 | 144.4 |
(注) 上記の記載金額には、消費税等を含んでいない。
ウ 産業別(大口電力)需要実績
種 別 | 当事業年度 (平成27年4月1日から 平成28年3月31日まで) | 前年度比 | ||
販売電力量(百万kWh) | ||||
鉱 | 鉱 業 | 166 | 95.8 | |
製 | 食 料 品 | 2,290 | 97.9 | |
繊 維 工 業 | 277 | 90.7 | ||
パルプ・紙・紙加工品 | 302 | 90.6 | ||
化 学 工 業 | 2,475 | 92.5 | ||
ゴ ム 製 品 | 556 | 96.0 | ||
窯 業 土 石 | 897 | 92.1 | ||
鉄 鋼 業 | 2,230 | 87.2 | ||
非 鉄 金 属 | 1,867 | 101.4 | ||
機 械 器 具 | 6,519 | 101.8 | ||
そ の 他 | 1,873 | 98.0 | ||
計 | 19,286 | 96.8 | ||
計 | 19,452 | 96.8 | ||
そ | 鉄 道 業 | 1,084 | 99.1 | |
そ の 他 | 2,157 | 96.6 | ||
計 | 3,241 | 97.4 | ||
合 計 | 22,693 | 96.9 | ||
石炭、重油、原油、LNGの受払状況
区分 | 当事業年度(平成27年4月1日から平成28年3月31日まで) | |||||||||
期首残高 | 前年度比 | 受入 | 前年度比 | 消費 | 期末残高 | 前年度比 | ||||
発電用 | 前年度比 | その他 | 前年度比 | |||||||
石炭(t) | 507,710 | 142.4 | 5,553,018 | 88.1 | 5,693,902 | 92.6 | △109 | - | 366,935 | 72.3 |
重油(kl) | 186,067 | 92.3 | 1,111,064 | 58.9 | 1,147,481 | 60.3 | △221 | - | 149,871 | 80.5 |
原油(kl) | 111,189 | 87.9 | 338,448 | 49.5 | 396,826 | 56.7 | 247 | 1,584.0 | 52,564 | 47.3 |
LNG(t) | 172,656 | 135.6 | 3,780,918 | 79.4 | 3,806,255 | 80.7 | 2,333 | 233,330.0 | 144,986 | 84.0 |
当社は、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランド・メッセージとする「九州電力の思い」のもと、責任あるエネルギー事業者として、安定した電力・エネルギーをお客さまにしっかりとお届けすることを使命に、事業活動を進めている。
平成23年3月の福島第一原子力発電所における深刻な事故を契機に、当社においても、全ての原子力発電所が停止し、厳しい収支・財務状況、需給状況が続いていた。
こうした中、最重要課題である原子力発電所の再稼働については、全国に先がけて、平成27年9月に川内原子力発電所1号機、11月に同発電所2号機が通常運転に復帰した。
平成27年度の業績については、グループ一体となって費用削減に取り組んだことや、川内原子力発電所1、2号機の発電再開に加え、燃料価格の大幅な下落により燃料費が減少したこと、さらに、収入面では燃料費調整制度による電気料金引下げへの反映が一部翌期にずれ込んだことなどから、5期ぶりの黒字となった。
しかしながら、玄海原子力発電所3、4号機は新規制基準への適合性審査が続いており、依然として収益力の本格的な回復には至っていない状況である。
また、本年4月から電力小売の全面自由化が開始され、当社は厳しい競争の時代を迎えている。
このような状況のもと、当社は、昨年4月に策定した「九州電力グループ中期経営方針」(平成27~31年度)に基づき、玄海原子力発電所の早期再稼働や、あらゆる収支改善対策、小売全面自由化への取組み等に最大限の努力を傾注しており、今後も、この中期経営方針のもと、引き続き、お客さまから信頼され、選ばれ続けるため、グループを挙げて以下の取組みを推進していく。
なお、本年4月に発生した「平成28年熊本地震」により、当社設備が多大な被害を受けたが、当社としては、電力の安定供給の確保に向け、設備の早期の本格復旧に努めていく。
(1) 九州のお客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えする
○ 電力の安定供給の確保
質の高い電気を安定的かつ効率的にお客さまにお届けし続けるという使命を果たすため、電力設備の安全・安定運転を徹底していく。
原子力発電については、昨年通常運転に復帰した川内原子力発電所1、2号機について、更なる安全性向上のための自主的かつ継続的な取組みを進めていく。また、玄海原子力発電所3、4号機について、一日も早い再稼働を目指すとともに、川内原子力発電所における、故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムに対処するための、特定重大事故等対処施設の設置等についても、国の審査や検査に、グループを挙げて対応していく。
また、今後の競争の進展を見据え、競争力と安定性を備えた電源を確保するため、松浦2号の開発を着実に進めるとともに、燃料トレーディングの実施や上流権益取得などにより、燃料調達における柔軟性の向上と競争力の強化を図っていく。
さらに、将来の環境変化にも柔軟に対応できるよう、原子力、石炭、LNG及び水力・地熱等の再生可能エネルギーによるバランスの取れた供給体制を構築していく。
なお、太陽光など気象条件等による出力変動の大きい再生可能エネルギーについては、電力の安定供給を前提とした上で、導入に努めていく。
○ 多様なエネルギーサービスの提供
当社グループ(当社及び連結子会社)の基盤である九州において、「電気をお届けする」会社から「エネルギーサービスを提供する」企業グループとなり、エネルギーに関するお客さまニーズにお応えした様々なサービスの最適な組合せを、ワンストップでお届けしていく。
本年4月からの電力小売の全面自由化にあたっては、多様化するお客さまのライフスタイルに対応した「新料金プラン」を創設した。
併せて、引き続き当社をお選びいただけるよう、「九電あんしんサポート」など、お客さまが安心して暮らせる毎日をサポートする「新サービス」を展開していく。
また、平成29年4月から全面自由化されるガス事業についても、これまでの卸供給に加え、小売事業に本格的に参入していく。
(2) 九電グループの強みを活かして、成長市場で発展していく
○ 海外電気事業の強化
海外電気事業については、2030年時点での発電事業持分出力500万kWを目標としており、これまで蓄積した技術・ノウハウを活かして、現在、インドネシアの北スマトラにおいて、世界最大級の地熱発電所であるサルーラ地熱発電所の建設に取り組んでいる。今後とも、市場の成長性が高いアジアを中心に発電事業を拡大していく。
また、ベトナムやインドにおける、高効率石炭火力発電所建設に係る事業性調査や老朽火力発電所の設備改善調査など、海外コンサルティングについても、引き続き積極的に展開していく。
○ 九州域外における電気事業の展開
九州域外における電気事業については、他社とのアライアンス等により、域外における電源開発にも取り組んでいく。具体的には、出光興産株式会社及び東京ガス株式会社と三社共同で設立した株式会社千葉袖ケ浦エナジーが、石炭火力発電所開発に向けた検討と環境影響評価の手続きを進めている。
また、本年4月より、子会社の九電みらいエナジー株式会社が関東エリアでの電力販売を実施している。
○ 再生可能エネルギー事業の拡大
世界各地で開発・導入が進んでいる再生可能エネルギー事業については、昨年6月に営業運転を開始した九電みらいエナジー株式会社の菅原バイナリー発電所など、安定供給や環境への影響を考慮しながら、地熱や水力を中心に国内外で積極的に展開していく。
(3) 強固な事業基盤を築く
○ 競争力の源泉となる人材と組織の強化
今後の競争の進展を見据え、情熱を持って変革をリードする人材や、創意工夫を凝らして業務の改善・改革を実践できる人材の育成に取り組んでいく。
また、環境が大きく変化する中においても、スピード感をもって、柔軟に対応できる組織・業務運営体制を構築していく。
なお、平成29年4月からは、送配電事業へ「社内カンパニー」を導入して、外形的にも中立性の高い組織を設置し、より一層、公平性・透明性・中立性の確保及び自律的な業務運営に努めていく。
○ 九電グループ一体となった財務基盤・競争力強化
事業活動全般にわたる徹底した効率化に努め、競争力を強化することで、収支の改善、財務基盤の回復に努めていく。
具体的には、燃料調達価格の低減や、業務委託範囲・内容の見直し、高効率火力発電所の優先運転の徹底による経済的な需給運用等に加え、外部知見を活用した資機材調達改革や、継続的なコスト低減に向けた原価意識の向上及び原価管理の強化に取り組んでいく。
また、競争優位性の構築に向け、グループ一体となった技術開発の推進やこれまで培ってきた技術力・スキルの維持・継承に取り組んでいく。
○ 安全・安心の追求
全ての事業活動の基本として、安全・安心を最優先に取り組んでいく。
特に、原子力については、安全への取組みに終わりがないことを強く自覚し、経営トップの強いリーダーシップのもと、「原子力の安全確保」に継続的に取り組む意識を、当社社員の根底にある「電力の安定供給確保」の意識と同様に、当社のDNAとして、グループの隅々にまで定着させていく。
また、地域の皆さまとのフェイス・トゥ・フェイスの対話活動を進め、皆さまの声を当社の取組みに反映させていく。
○ CSR(企業の社会的責任)経営の徹底
法令遵守はもとより、社会から信頼される行動による誠実かつ公正な事業運営を徹底していく。
また、社会とのコミュニケーションを強化し、いただいた声を事業運営に的確に反映していく。併せて、迅速で分かりやすい情報公開を徹底し、事業活動の透明性を高めていく。
さらに、NPOなど地域の皆さまと協働で取り組むボランティア活動「こらぼらQでん」を拡大させるとともに、「九電みらい財団」を設立し、大分県坊ガツル湿原一帯における環境保全活動や当社の水源かん養林を活用した環境教育、地域の団体が行う次世代育成活動の助成を行うなど、地域社会の課題解決に貢献し、ともに発展していく。
当社としては、これらの取組みをグループ一体となって進めることにより、持続的な成長を目指すとともに、ステークホルダーの皆さまへの価値提供を果たしていく。
(参考)九州電力グループ中期経営方針(平成27~31年度)
○ 2030年のありたい姿

○ ありたい姿に向けた3つの戦略の柱

○ 成長事業の目標

当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、以下のようなものがある。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 電気事業を取り巻く制度変更等
電力システム改革については、平成28年4月から小売の全面自由化がスタートし、平成32年4月から送配電のより一層の中立性確保を目的とした法的分離の実施が予定されている。当社としては、制度変更に伴う社内体制の整備や経営効率化への取組みを着実に進めている。
また、国において、原子力や再生可能エネルギーの政策の方向性など、エネルギーの需給に関する基本的な方針等を定めた「エネルギー基本計画」に基づく、長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)が決定され、この実現に向けた検討が行われている。
こうした電気事業を取り巻く制度の変更等に伴い、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
(2) 原子力発電を取り巻く状況
当社としては、エネルギーセキュリティ面や地球温暖化対策の観点から、原子力発電は重要であると考えており、福島第一原子力発電所事故の教訓等を踏まえて施行された国の新規制基準を遵守することに加え、更なる安全性・信頼性向上への取組みを自主的かつ継続的に進めている。併せて、地域の皆さまにご安心いただくための活動を積極的に行っている。
しかしながら、新規制基準への対応や原子力に関する訴訟の結果等によっては、原子力発電所の停止の長期化や設備投資の増加などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
(3) 販売電力量等の変動
電気事業における販売電力量は、景気動向、気温の変化のほか、住宅用太陽光発電の普及や省エネの進展、小売全面自由化による競争状況などによって変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
なお、出力変動の大きい太陽光発電の増加などにより、需給運用は影響を受けることがある。
(4) 燃料価格の変動
電気事業における燃料費は、火力発電燃料であるLNG、石炭などを国外から調達しているため、CIF価格及び為替レートの変動により影響を受ける。
ただし、燃料価格の変動を電気料金に反映させる燃料費調整制度により、燃料価格の変動による当社グループの業績への影響は緩和されている。
(5) 原子力バックエンド等に関するコスト
原子力施設の廃止措置や使用済燃料の貯蔵・再処理・処分などの原子力バックエンド事業は、超長期の事業であり不確実性を伴うが、国の制度措置等により事業者のリスクは一定程度低減されている。しかしながら、原子力バックエンド等の費用は、今後の制度見直しや将来費用の見積額の変更、使用済燃料の貯蔵の状況などによって変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
(6) 地球温暖化対策に関するコスト
当社グループは、地球温暖化への対応として、安全の確保を前提とした原子力発電の活用、再生可能エネルギーの積極的な開発・導入、火力総合熱効率の維持・向上など、発電の一層の低炭素化・高効率化に向けた取組みを進めているが、今後、地球温暖化に関する政策の動向などによっては、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
(7) 電気事業以外の事業
当社グループは、グループ各社の保有する経営資源を活用し、電気事業以外の事業についても着実に展開していくことにより、収益基盤の充実を図っている。事業運営にあたっては、収益性を重視し、効率性の向上と成長性の追求に努めているが、事業環境の悪化等により計画どおりの収益が確保できない場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
(8) 繰延税金資産
連結貸借対照表に計上している繰延税金資産は、将来の課税所得の見積りに基づいて、その回収可能性を判断しているため、経営環境の変化等により将来の課税所得の見積りが悪化する場合は、繰延税金資産を取り崩すことにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
(9) 金利の変動
当社グループの有利子負債残高は、平成28年3月末時点で3兆2,248億円(総資産の68%に相当)であり、今後の市場金利の変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
ただし、有利子負債残高の96%が社債や長期借入金であり、その大部分を固定金利で調達していることなどから、金利の変動による当社グループの業績への影響は限定的と考えられる。
(10) 情報の流出
当社グループは、グループ各社が保有する社内情報や個人情報について、厳格な管理体制を構築し、情報セキュリティを確保するとともに、情報の取扱い等に関する規程類の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報管理を徹底している。しかしながら、コンピュータウイルスによる感染やサイバー攻撃などにより社内情報や個人情報が流出した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
(11) 自然災害等
当社グループは、お客さまに電力を安定的に供給するため、設備の点検・修繕を計画的に実施し、トラブルの未然防止に努めている。しかしながら、台風、集中豪雨、地震・津波等の自然災害、又は事故や不法行為等により、設備の損傷や発電所の長期停止などが発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
また、当社グループは、危機管理体制を整備し、事業運営に重大な影響を及ぼす様々な危機に備えているが、危機に対し適切に対応ができなかった場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
(12) コンプライアンス
当社グループは、ステークホルダーの皆さまに信頼していただけるよう、グループ一体となってコンプライアンス意識の徹底を図り、法令遵守はもとより、お客さまや地域の皆さまの視点に立った事業活動に取り組んでいるが、コンプライアンスに反する行為により社会的信用の低下などが発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
当社グループは、引き続きステークホルダーの皆さまとの信頼関係構築に取り組んでいく。
該当事項なし。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、安定した電力・エネルギーをお客さまにしっかりとお届けし、電気事業を通じて地域社会に貢献するという社会的使命・責任を果たすため、「安全性」を前提とした、「安定供給」、「経済性」、「環境保全」(S+3E)の視点を基本に、次の3つを重点課題として技術開発に取り組んでいる。
(1) 電力の安全・安定供給やコスト低減のための技術開発
・原子力発電所の更なる安全性・信頼性向上に関する研究
・火力発電所の適用炭種拡大や褐炭の高度利用に関する研究
・電力設備(発電・送変電・配電設備)の保全技術の高度化に関する研究 など
(2) 再生可能エネルギーや環境保全などに関する技術開発
・スマートグリッドに関する研究
・離島系統の再生可能エネルギー接続量拡大に関する研究
・大容量蓄電池を活用した需給バランスの改善に関する研究
・太陽光発電の出力制御システムに関する研究
・石炭灰の有効活用に関する研究
・水素など新たなエネルギーに関する技術動向調査 など
(3) グループ総合力の強化や社会貢献につながる技術開発
・リチウムイオン電池を活用した応用技術の研究
・ヒートポンプの適用などによる省エネ・省資源に関する研究 など
当連結会計年度の当社グループの研究開発費は6,499百万円であり、うち、電気事業に係る研究開発費は6,067百万円、エネルギー関連事業に係る研究開発費は126百万円、情報通信事業に係る研究開発費は305百万円である。
当社グループ(当社及び連結子会社)に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、連結財務諸表に基づいて分析した内容である。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、使用済燃料再処理等引当金、使用済燃料再処理等準備引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り、判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
(2) 経営成績の分析
① 売上高及び営業損益
売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ377億円減(△2.0%)の1兆8,356億円となった。一方、営業費用は2,013億円減(△10.5%)の1兆7,154億円となった。以上により、営業損益は前連結会計年度の損失433億円から改善し1,202億円の利益となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
[電気事業]
販売電力量については、電灯、業務用電力などの一般需要は、業務用電力の減少や、12月から3月の気温が前年に対し高めに推移したことによる暖房需要の減少などから、前連結会計年度に比べ2.3%の減少となった。また、大口産業用需要は、鉄鋼や化学などの減少から、3.1%の減少となった。この結果、総販売電力量は792億1千万kWhとなり、2.5%の減少となった。
一方、供給面については、需要の減少や新エネルギー等の受電増加に加え、川内原子力発電所1、2号機が発電再開したこともあり、自社火力が減少した。自社発電分と他社からの受電分を加えた発受電電力量のエネルギー別構成比でみると、原子力10%、火力72%、水力8%、新エネルギー等10%となっている。
業績については、売上高は、再エネ特措法交付金は増加したが、燃料費調整の影響による料金単価の低下や販売電力量の減少などにより電灯電力料が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ295億円減(△1.7%)の1兆6,923億円となった。一方、営業費用は、再生可能エネルギー電源からの購入電力料は増加したが、燃料価格の大幅な下落や川内原子力発電所1、2号機の発電再開などにより燃料費が減少したことに加え、グループ一体となった費用削減に取り組んだ結果、1,942億円減(△10.8%)の1兆5,961億円となった。以上により、営業損益は、前連結会計年度の損失684億円から改善し961億円の利益となった。
[エネルギー関連事業]
売上高は、連結子会社の増加による影響はあったが、ガス販売の減少などにより、前連結会計年度に比べ20億円減(△1.1%)の1,846億円、営業利益は1億円減(△1.2%)の108億円となった。
[情報通信事業]
売上高は、情報システム開発受託の増加などにより、前連結会計年度に比べ70億円増(+7.3%)の1,035億円、営業利益は、ブロードバンドサービス拡大に伴う減価償却費の増加などにより、11億円減(△10.0%)の102億円となった。
[その他の事業]
売上高は、不動産販売や建物賃貸に係る収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ10億円増(+4.2%)の268億円、営業利益は、賃貸建物の減価償却費の減少などもあり、6億円増(+17.7%)の43億円となった。
② 営業外収益・費用
営業外収益は、持分法による投資利益の増加はあったが、前連結会計年度に計上した為替差益が当連結会計年度は為替差損に転じたことなどにより、前連結会計年度に比べ3億円減(△1.8%)の162億円となった。また、営業外費用は、支払利息の減少などにより、13億円減(△2.9%)の456億円となった。
③ 経常損益
経常収益が前連結会計年度に比べ380億円減(△2.0%)の1兆8,519億円となり、経常費用が2,026億円減(△10.3%)の1兆7,610億円となったことから、経常損益は前連結会計年度の損失736億円から改善し909億円の利益となった。
④ 渇水準備金引当又は取崩し
当連結会計年度は、出水率が111.4%と平水(100%)を上回ったことから、将来の渇水による費用増加に備えるため、渇水準備引当金を59億円引き当てた。
⑤ 特別利益
当連結会計年度は、有価証券売却益や退職給付制度改定益など75億円を計上した。
⑥ 法人税等
法人税等は、当連結会計年度の課税所得増に伴う法人税、住民税及び事業税の増加はあったが、前連結会計年度の繰延税金資産の取崩しの反動で、法人税等調整額が減少したことにより、前連結会計年度に比べ229億円減(△57.0%)の173億円となった。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純損益
親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度の損失1,146億円から改善し734億円の利益となった。1株当たり当期純損益は397.55円改善し155.17円の利益となった。
(3) 資産、負債及び純資産の状況
[資産]
資産は、原子力安全性向上対策工事等に伴う電気事業固定資産などの増加はあったが、現金及び預金や、火力燃料などのたな卸資産が減少したことから、前連結会計年度末に比べ364億円減(△0.8%)の4兆7,482億円となった。
[負債]
負債は、未払の工事代金などの増加はあったが、有利子負債が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ854億円減(△2.0%)の4兆2,483億円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度に比べ1,130億円減(△3.4%)の3兆2,248億円となった。
[純資産]
純資産は、退職給付に係る調整累計額の減少はあったが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ489億円増(+10.8%)の4,999億円となり、自己資本比率は10.1%となった。退職給付に係る調整累計額の減少については、当社の確定給付企業年金資産において運用収益を確保したが、期待運用収益を下回ったことなどに伴い、数理計算上の差異が発生したことなどによるものである。
(4) キャッシュ・フローの状況
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、電気事業において電灯電力料収入の減少はあったが、火力燃料代が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ2,407億円増(+271.3%)の3,294億円の収入となった。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の償還及び売却による収入の増加はあったが、設備投資の増加などにより、前連結会計年度に比べ199億円増(+7.4%)の2,883億円の支出となった。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ、株式及び社債の発行による収入が減少したことに加え、社債の償還及び借入金の返済による支出が増加したことなどにより、前連結会計年度の3,108億円の収入から1,261億円の支出に転じた。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ867億円減少し4,297億円となった。