第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度のわが国経済は、輸出など一部に弱い動きがみられたものの、設備投資が増加するなど緩やかな回復基調が続いた。九州経済は、4月の平成28年熊本地震で生じた需要減少等の影響が和らぐもとで、生産・住宅投資・公共投資の増加、輸出の持ち直しの動きなどにより、緩やかに回復してきた。

当連結会計年度の業績については、平成28年熊本地震に伴う特別損失の計上はあったが、玄海原子力発電所3、4号機が発電再開に至っていないなか、グループ一体となって費用削減に取り組んだことや、平成27年8月以降に発電を再開した川内原子力発電所の安定稼働などにより燃料費が減少したことなどから、黒字となった。これに加え、連結子会社において、海外電気事業からの受取配当金の増加などもあり、増益となった。

当連結会計年度の連結収支については、収入面では、電気事業において、再エネ特措法交付金や他社販売電力料の増加はあったが、燃料費調整の影響による料金単価の低下や販売電力量の減少などにより電灯電力料が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ81億円減(△0.4%)の1兆8,275億円となった。また、エネルギー関連事業において、受取配当金が増加したことなどにより、経常収益は63億円減(△0.3%)の1兆8,456億円となった。
 一方、支出面では、電気事業において、再生可能エネルギー電源からの他社購入電力料は増加したが、グループ一体となって費用削減に取り組んだことや、川内原子力発電所の安定稼働や燃料価格の下落などにより燃料費が減少したことなどから、経常費用は96億円減(△0.5%)の1兆7,514億円となった。

以上により、経常利益は前連結会計年度に比べ33億円増(+3.6%)の942億円となった。

また、平成28年熊本地震に伴う特別損失の計上はあったが、法人税等の減少などから、親会社株主に帰属する当期純利益は57億円増(+7.9%)の792億円となった。

なお、玄海原子力発電所3、4号機は新規制基準への適合性審査が続いており、当社は引き続きグループ一体となって、安全確保・法令遵守・安定供給を前提に、徹底した費用削減に努めるとともに、玄海原子力発電所の早期再稼働に向けた取組みを進めていく。

 

報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。

 

 

当連結会計年度

(平成28年4月1日から

平成29年3月31日まで)

前年度比
(%)

金額(百万円)

電気事業

売 上 高

1,685,082

99.6

営業利益

98,365

102.3

エネルギー関連事業

売 上 高

185,220

100.3

営業利益

10,088

93.0

情報通信事業

売 上 高

101,440

98.0

営業利益

8,499

82.7

その他の事業

売 上 高

24,917

93.0

営業利益

4,528

104.6

 

 

(注) 1 「電気事業」は、当社事業から附帯事業を除いたものである。

    2 上記の記載金額には消費税等を含んでいない。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、電気事業において燃料代支出の減少はあったが、電灯電力料収入が減少したことや他社購入電力料支出が増加したことに加え、「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律」の施行に伴い未払使用済燃料再処理等拠出金を支出したことなどにより、前連結会計年度に比べ1,414億円収入減(△42.9%)の1,880億円の収入となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ132億円支出減(△4.6%)の2,750億円の支出となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入が増加したことなどにより、前連結会計年度の1,261億円の支出から783億円の収入に転じた。

以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ99億円減少し4,198億円となった。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループ(当社及び連結子会社)の事業内容は、電気事業が大部分を占め、電気事業以外の事業の生産、受注及び販売の状況は、グループ全体からみて重要性が小さい。また、電気事業以外の事業については、受注生産形態をとらない業種が多いため、生産及び受注の状況を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため、以下では、電気事業の生産及び販売の状況を当社個別の実績によって示している。

 

(1) 需給実績

 

種     別

当事業年度

(平成28年4月1日から

平成29年3月31日まで)

前年度比
(%)


 

 

 

 

 


 

 水力発電電力量

(百万kWh)

4,788

100.3

 火力発電電力量

(百万kWh)

45,615

99.7

 原子力発電電力量

(百万kWh)

12,455

153.6

 新エネルギー等発電電力量

(百万kWh)

1,133

94.4





 受電電力量

(百万kWh)

24,087

93.8

 (新エネルギー等再掲)

(8,590)

(121.3)

 送電電力量

(百万kWh)

△4,094

230.8

 揚水発電所の揚水用電力量

(百万kWh)

△1,306

192.8

   合     計

(百万kWh)

82,678

99.5

 損失電力量等

(百万kWh)

4,059

104.7

 販売電力量

(百万kWh)

78,619

99.3

 出水率

(%)

115.0

 

 

(注) 1 自社の発電電力量は当事業年度より送電端の数値を記載している。前年度比については、前事業年度の自
社の発電電力量、発受電電力量合計、損失電力量等を現在の記載に合わせて算定している。

2 「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称である。

3 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量である。

4 販売電力量の中には、自社事業用電力量(126百万kWh、前年度比104.0%)を含んでいる。

5 出水率は、昭和60年度から平成26年度までの30か年平均に対する比である。

 

 

(2) 販売実績

 

 

販売電力量及び料金収入

 

種     別

当事業年度

(平成28年4月1日から

平成29年3月31日まで)

前年度比
(%)

 

販売電力量

(百万kWh)

電灯

28,535

101.5

電力

50,084

98.0

合計

78,619

99.3

料金収入

(百万円)

電灯

594,823

96.8

電力

747,682

90.8

合計

1,342,506

93.4

 

 

(注) 1 販売電力量の百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。

   2 上記の記載金額には、消費税等を含んでいない。

 

 

当事業年度

(平成28年4月1日から

平成29年3月31日まで)

前年度比
(%)

 他社・融通電力量(百万kWh)

3,747

221.0

 同上販売電力料(百万円)

34,077

177.0

 

 

(注) 上記の記載金額には、消費税等を含んでいない。

 

(3) 資材の状況

 石炭、重油、原油、LNGの受払状況

 

区分

当事業年度(平成28年4月1日から平成29年3月31日まで)

期首残高

前年度比
(%)

受入

前年度比
(%)

消費

期末残高

前年度比
(%)

発電用

前年度比
(%)

その他

前年度比
(%)

石炭(t)

366,935

72.3

6,413,609

115.5

6,261,595

110.0

5,027

513,922

140.1

重油(kl)

149,871

80.5

473,365

42.6

504,229

43.9

386

118,621

79.1

原油(kl)

52,564

47.3

163,057

48.2

144,248

36.4

△40

71,413

135.9

LNG(t)

144,986

84.0

4,009,946

106.1

4,053,398

106.5

15,176

650.4

86,358

59.6

 

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社は、平成27年に策定した「九州電力グループ中期経営方針」(平成27~31年度)に基づき、原子力発電所の早期再稼働、あらゆる収支改善対策、電力・ガスの小売全面自由化を勝ち抜くための取組みなどに、最大限の努力を傾注してきた。

さらに、エネルギー事業を取り巻く環境が変化し続ける中、当社グループの経営姿勢をさらに明確にし、経営革新への取組みを一段と加速化していく必要があることから、本年6月、今後5か年の財務目標を掲げた。

今後も、中期経営方針に掲げた「日本一のエネルギーサービスを提供する企業グループ」を目標として、全力を挙げて以下の取組みを推進し、お客さまから信頼され、選ばれ続ける企業を目指していく。

なお、昨年4月に発生した「平成28年熊本地震」により、当社設備は多大な被害を受けたが、各自治体・関係機関をはじめ、地域の皆さまや、全国の電力会社の方々のご協力を得て、本震発生から4日後には、送電をほぼ完了した。今後も、被災地の電力の安定供給の確保に向け、設備の本格復旧に努めていく。

 

 

「九州電力グループ中期経営方針」

 

○ 2030年のありたい姿


 

○ ありたい姿に向けた3つの戦略の柱


 

○ 成長事業の目標

 

2015年

2030年

海外電気事業(発電事業持分出力)

150万kW

500万kW

九州域外電気事業(電源開発量)

200万kW

再生可能エネルギー事業(開発量)

150万kW

400万kW

 

(注) 2015年の数値は、「九州電力グループ中期経営方針」策定時の実績

 

 

○ 財務目標

 (連結ベース)

 項 目

目 標

自己資本比率(2021年度)

20%程度

経常利益(2017~2021年度平均)

1,100億円以上

成長投資(2017~2021年度累計)

4,200億円

 

(注) 財務目標については、平成29年6月に公表

 

(1) 九州のお客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えする

○ 電力の安定供給については、質の高い電気を安定的かつ効率的にお客さまにお届けし続けるため、電力設備の着実な保全、設備形成を図り、安全・安定運転を徹底していく。

原子力発電については、玄海原子力発電所3、4号機の一日も早い再稼働に向け、全社を挙げて対応していく。また、川内原子力発電所における特定重大事故等対処施設の設置などに関する国の審査や検査に、グループ一体となって対応するとともに、更なる安全性向上のための自主的かつ継続的な取組みを進めていく。

また、火力発電については、競争力と安定性を備えた電源を確保するため、松浦発電所2号機の開発を着実に進めるとともに、燃料トレーディングの実施など、燃料調達における柔軟性向上と競争力強化を図っていく。

さらに、再生可能エネルギーについては、地熱や水力などの開発を積極的に進めるとともに、太陽光などの気象条件等による出力変動が大きい電源は、電力の安定供給を前提としつつ、受入れ拡大に努めていく。

これらの取組みを進めるにあたっては、将来の環境変化にも柔軟に対応できるよう、原子力、石炭、LNG及び再生可能エネルギーによるバランスの取れた供給体制を構築していく。

 

○ エネルギーサービスの提供については、「電気をお届けする」会社から多様な「エネルギーサービスを提供する」企業グループを目指して、お客さまのニーズにお応えできる最適なサービスメニューを、グループ一体となってお届けしていく。

電力小売の全面自由化への対応として、お客さまのニーズに応じた料金プランや「九電あんしんサポート」などを提供するとともに、本年4月から全面自由化が始まったガス事業については、ご家庭向けに「きゅうでんガス」の販売を開始した。今後、オール電化に加え、お客さまのご要望に応じて、ガスも組み合わせた多様なエネルギーサービスを展開していく。

 

(2)  九電グループの強みを活かして、成長市場で発展していく

○ 海外電気事業については、本年3月、世界最大規模の地熱発電所であるインドネシアのサルーラ地熱発電所の初号機が、営業運転を開始したが、引き続き、2、3号機の営業運転開始に向けて、着実に工事を進めていく。今後とも、市場の成長性が高いアジアを中心に、発電事業を拡大していく。

また、ケニアにおける地熱発電所の運営状況の調査など、海外コンサルティングについても、引き続き積極的に展開し、海外事業の開発能力強化、グループ全体の収益機会の拡大に資する案件を実施していく。

 

○ 九州域外における電気事業については、出光興産株式会社及び東京ガス株式会社と共同で設立した株式会社千葉袖ケ浦エナジーが、石炭火力発電所開発に向け、環境影響評価の手続きなどを進めている。

また、昨年4月に、九電みらいエナジー株式会社が関東エリアでの電力販売を開始しており、引き続き、他社との提携などによる営業強化に努めていく。

 

 

○ 再生可能エネルギー事業については、当社と九電みらいエナジー株式会社が共同で山川バイナリー発電所の建設を進めるとともに、同社が参加するコンソーシアムが新たに北九州市響灘地区で洋上風力の開発に向けた検討を開始するなど、安定供給や環境への影響を考慮しながら国内外で積極的に展開していく。

 

(3) 強固な事業基盤を築く

○ 事業の基盤となる人づくりについては、競争時代を勝ち抜くため、事業戦略の実現に資する人材の育成に向け、採用・育成・キャリアパスなど人材マネジメントの改革に取り組むとともに、多様な人材を活かすダイバーシティ推進への取組みを展開していく。

また、組織づくりについては、環境が大きく変化する中においても、スピード感をもって、柔軟に対応できる組織・業務運営体制を構築していく。具体的には、本年4月に、事業分野ごとの特性に応じた最適な事業戦略のもと、自律的な業務運営を推進するため、これまでの本部等を統括する「統括本部」を新たに設置した。

併せて、送配電事業において、組織上も、高い独立性・中立性を実現するため、企画管理や内部監査の機能を有する「送配電カンパニー」を設置した。

 

○ 九電グループにおける財務基盤・競争力については、海外や九州域外における電気事業をはじめとする成長事業への投資などにより、収益拡大に努め、さらに、事業活動全般にわたる徹底した効率化に取り組み、競争力を強化することで、収支の改善、財務基盤の回復を図っていく。

また、グループ一体となった技術開発などを推進し、競争優位性の確保に取り組んでいく。

 

○ 安全・安心の追求については、全ての事業活動の基本として、これを最優先に取り組んでいく。

本年4月には、社長を委員長とする「全社安全推進委員会」を設置し、地域の皆さまの「安心」と信頼確保につながる安全対策を強化するとともに、社員一人ひとりが「安全」を最優先する風土・文化を醸成していく。

特に、原子力については、本年4月に社長直轄組織として「原子力発電本部」、「原子力監査室」を設置し、トップの強いリーダーシップのもと、規制対応に留まらない自主的な安全対策などを実施していく。また、地域コミュニケーション機能等を強化した「立地コミュニケーション本部」を設置し、フェイス・トゥ・フェイスの対話活動や積極的な情報発信などを、より一層充実させていく。

 

○ CSR(企業の社会的責任)経営については、法令遵守はもとより、誠実かつ公正な行動により、社会から信頼される事業運営を徹底していく。

また、社会とのコミュニケーションを強化し、いただいた声を事業運営に的確に反映していく。併せて、迅速で分かりやすい情報発信を徹底し、事業活動の透明性を高めていく。

さらに、昨年5月に設立した「九電みらい財団」が中心となり、大分県坊ガツル湿原一帯の環境保全、次世代育成支援を推進するとともに、グループ全体で各地域の課題解決のための活動に取り組んでいく。

 

今後、エネルギー事業を取り巻く環境は、変化し続けることが予想される。

しかしながら、いかなる事業環境においても、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランド・メッセージとする「九州電力の思い」のもと、「低廉で良質なエネルギーを安定してお届けすることを通じて、お客さまや地域・社会の生活や経済活動を支える。」という当社の使命は変わるものではない。

 

当社としては、グループ一体となった取組みを進めることにより、持続的な成長を目指すとともに、ステークホルダーの皆さまへの価値提供を果たしていく。

 

(文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したもの)

 

4 【事業等のリスク】

当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、以下のようなものがある。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

(1) 電気事業を取り巻く制度変更等

エネルギー政策については、エネルギーの需給に関する基本的な方針等を定めた「エネルギー基本計画」に基づき、長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)が策定され、この実現に向けた検討が行われている。

また、電力システム改革については、平成32年4月に送配電部門の法的分離が予定されており、当社として平成29年4月から送配電事業へ社内カンパニーを導入するなど、制度変更に伴う社内体制の整備や経営効率化への取組みを着実に進めている。

更に、電力市場における更なる競争活性化と自由化の下での公益的課題への対応の点から、ベースロード電源市場や容量メカニズムの創設等が検討されている。

こうした電気事業を取り巻く制度の変更等に伴い、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(2) 原子力発電を取り巻く状況

当社としては、エネルギーセキュリティ面や地球温暖化対策の観点から、原子力発電は重要であると考えており、福島第一原子力発電所事故の教訓等を踏まえて施行された国の新規制基準を遵守することに加え、更なる安全性・信頼性向上への取組みを自主的かつ継続的に進めている。併せて、地域の皆さまにご安心いただくための活動を積極的に行っている。

しかしながら、新規制基準への対応や原子力に関する訴訟の結果等によっては、原子力発電所の長期停止や設備投資の増加などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(3) 販売電力量等の変動

電気事業における販売電力量は、景気動向、気温の変化のほか、住宅用太陽光発電の普及や省エネの進展、電力市場における競争状況などによって変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

なお、出力変動の大きい太陽光発電の増加などにより、需給運用は影響を受けることがある。

 

(4) 燃料価格の変動

電気事業における燃料費は、火力発電燃料であるLNG、石炭などを国外から調達しているため、CIF価格及び為替レートの変動により影響を受ける。

ただし、燃料価格の変動を電気料金に反映させる燃料費調整制度により、燃料価格の変動による当社グループの業績への影響は緩和されている。

 

(5) 原子力バックエンド等に関するコスト

原子力施設の廃止措置や使用済燃料の貯蔵・再処理・処分などの原子力バックエンド事業は、超長期の事業であり不確実性を伴うが、国の制度措置等により事業者のリスクは一定程度低減されている。

しかしながら、原子力バックエンド等の費用は、今後の制度見直しや将来費用の見積額の変更、使用済燃料の貯蔵の状況などによって変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(6) 地球温暖化対策に関するコスト

当社グループは、地球温暖化への対応として、安全の確保を前提とした原子力発電の活用、再生可能エネルギーの積極的な開発・導入、火力総合熱効率の維持・向上など、発電の一層の低炭素化・高効率化に向けた取組みを進めているが、今後、地球温暖化に関する政策の動向などによっては、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(7) 電気事業以外の事業

当社グループは、グループ各社の保有する経営資源を活用し、電気事業以外の事業についても着実に展開していくことにより、収益基盤の充実を図っている。事業運営にあたっては、収益性を重視し、効率性の向上と成長性の追求に努めているが、事業環境の悪化等により計画どおりの収益が確保できない場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(8) 繰延税金資産

連結貸借対照表に計上している繰延税金資産は、将来の課税所得の見積りに基づいて、その回収可能性を判断しているため、経営環境の変化等により将来の課税所得の見積りが悪化する場合は、繰延税金資産を取り崩すことにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(9) 金利の変動

当社グループの有利子負債残高は、平成29年3月末時点で3兆3,139億円(総資産の72%に相当)であり、今後の市場金利の変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

ただし、有利子負債残高の96%が社債や長期借入金であり、その大部分を固定金利で調達していることなどから、金利の変動による当社グループの業績への影響は限定的と考えられる。

 

(10) 情報の流出

当社グループは、グループ各社が保有する社内情報や個人情報について、厳格な管理体制を構築し、情報セキュリティを確保するとともに、情報の取扱い等に関する規程類の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報管理を徹底している。

しかしながら、コンピュータウイルスによる感染やサイバー攻撃などにより社内情報や個人情報が流出した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(11) 自然災害等

当社グループは、お客さまに電力を安定的に供給するため、設備の点検・修繕を計画的に実施し、トラブルの未然防止に努めている。しかしながら、台風、集中豪雨、地震・津波等の自然災害、又は事故や不法行為等により、設備の損傷や発電所の長期停止などが発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

また、当社グループは、危機管理体制を整備し、事業運営に重大な影響を及ぼす様々な危機に備えているが、危機に対し適切に対応ができなかった場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(12) コンプライアンス

当社グループは、ステークホルダーの皆さまに信頼していただけるよう、グループ一体となってコンプライアンス意識の徹底を図り、法令遵守はもとより、お客さまや地域の皆さまの視点に立った事業活動に取り組んでいるが、コンプライアンスに反する行為により社会的信用の低下などが発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

当社グループは、引き続きステークホルダーの皆さまとの信頼関係構築に取り組んでいく。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、安定した電力・エネルギーをお客さまにしっかりとお届けするとともに、多様なエネルギーサービスの提供を通じて地域社会とともに発展していくため、「安全性」を前提とした、「安定供給」、「経済性」、「環境保全」(S+3E)の視点並びに「当社グループの持続的成長と地域社会の発展」の視点を基本に以下を重点課題として研究開発に取り組んでいる。

(1) 電力の安全・安定供給やコスト低減のための研究開発

・原子力発電所の更なる安全性・信頼性向上に関する研究

・火力発電所の適用炭種拡大や褐炭の高度利用に関する研究

・電力設備(発電・送変電・配電設備)の保全技術の高度化に関する研究 など

(2) 再生可能エネルギーや環境保全などに関する研究開発

・再生可能エネルギーの利用拡大に関する研究 

・大容量蓄電池を活用した需給バランスの改善に関する研究

・太陽光発電の大量連系時における電力品質維持に関する研究

・石炭灰の有効活用に関する研究

・水素など新たなエネルギーに関する技術動向調査 など

(3) 当社グループの持続的成長と地域社会の発展につながる研究開発

・IoTなど革新的技術活用による事業・サービスの創出に資する研究

・ヒートポンプの適用などによる省エネや未利用エネルギーの有効活用に関する研究 など

当連結会計年度の当社グループの研究開発費は5,817百万円であり、うち、電気事業に係る研究開発費は5,270百万円、エネルギー関連事業に係る研究開発費は133百万円、情報通信事業に係る研究開発費は412百万円である。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループ(当社及び連結子会社)に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、連結財務諸表に基づいて分析した内容である。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。
 当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り、判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。

 

(2) 経営成績の分析

① 売上高及び営業利益

売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ81億円減(△0.4%)の1兆8,275億円となった。一方、営業費用は105億円減(△0.6%)の1兆7,048億円となった。以上により、営業利益は23億円増(+2.0%)の1,226億円となった。

 

報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。

[電気事業]

販売電力量については、電灯は、6月から10月の気温が前年に対し高めに推移したことによる冷房需要の増加などから、前連結会計年度に比べ1.5%の増加となった。また、電力は、一部工場における生産の減少などから、2.0%の減少となった。この結果、総販売電力量は786億2千万kWhとなり、0.7%の減少となった。

一方、供給面については、川内原子力発電所1、2号機の安定稼働に加え、新エネルギー等の増加に対して火力、揚水等の発電設備の総合的な運用を行うことにより、安定した電力を供給することができた。

 

業績については、売上高は、再エネ特措法交付金や他社販売電力料は増加したが、燃料費調整の影響による料金単価の低下や販売電力量の減少などにより電灯電力料が減少したことなどから、前連結会計年度に比べ 72億円減(△0.4%)の1兆6,850億円となった。一方、営業費用は、再生可能エネルギー電源からの他社購入電力料は増加したが、グループ一体となって費用削減に取り組んだことや、川内原子力発電所の安定稼働や燃料価格の下落などにより燃料費が減少したことなどから、94億円減(△0.6%)の1兆5,867億円となった。以上により営業利益は、21億円増(+2.3%)の983億円となった。

 

[エネルギー関連事業]

エネルギー関連事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、再生可能エネルギー、エネルギーサービス事業等を展開している。また、九電グループが培ってきた技術・ノウハウを活かし、海外エネルギー事業の強化や九州域外におけるエネルギー事業の展開などにも取り組んでいる。

売上高は、スマートメーター導入に伴う従来型計器の整備受託の減少はあったが、発電所補修工事の増加などにより、前連結会計年度に比べ5億円増(+0.3%)の1,852億円、営業利益は、スマートメーター導入に伴う従来型計器の整備受託の減少などにより、7億円減(△7.0%)の100億円となった。

 

[情報通信事業]

情報通信事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や事業ノウハウを活用し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報システム開発、データセンター事業等を展開している。

売上高は、光ブロードバンドサービスに係る収入の増加などはあったが、情報システム開発受託の減少などにより、前連結会計年度に比べ21億円減(△2.0%)の1,014億円、営業利益は、光ブロードバンドサービス拡大に伴う租税公課や減価償却費の増加などにより、17億円減(△17.3%)の84億円となった。

 

[その他の事業]

その他の事業は、不動産、住宅関連サービス、介護事業等を主たる事業とする生活サービス事業と、環境・リサイクル事業を展開している。

売上高は、不動産販売に係る収入の減少などにより、前連結会計年度に比べ18億円減(△7.0%)の249億円、営業利益は、賃貸建物の減価償却費の減少などにより、2億円増(+4.6%)の45億円となった。

 

② 営業外収益・費用

営業外収益は、エネルギー関連事業において、受取配当金が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ18億円増(+11.3%)の181億円となった。また、営業外費用は、有価証券評価損の増加などにより、9億円増(+2.0%)の465億円となった。

 

③ 経常利益

経常収益が前連結会計年度に比べ63億円減(△0.3%)の1兆8,456億円となり、経常費用が96億円減(△0.5%)の1兆7,514億円となったことから、経常利益は33億円増(+3.6%)の942億円となった。

 

④ 渇水準備金引当又は取崩し 

当連結会計年度は、出水率が115.0%と平水(100%)を上回ったことから、将来の渇水による費用増加に備えるため、渇水準備引当金を9億円引き当てた。

 

⑤ 特別利益

当連結会計年度は、特別利益の計上はないが、前連結会計年度は、有価証券売却益や退職給付制度改定益など75億円を特別利益に計上した。

 

⑥ 特別損失

当連結会計年度は、平成28年熊本地震に伴う災害特別損失など104億円を特別損失に計上した。

 

 

⑦ 法人税等

法人税等は、当連結会計年度の課税所得の減少や連結納税制度を適用したこと等に伴う法人税、住民税及び事業税の減少や、法人税等調整額の減少などから、前連結会計年度に比べ151億円減(△87.2%)の22億円となった。

 

⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ57億円増(+7.9%)の792億円となった。1株当たり当期純利益は4.8円増の159.97円となった。

 

(3) 資産、負債及び純資産の状況

[資産]

資産は、原子力安全性向上対策工事等に伴う固定資産仮勘定などの増加はあったが、「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)の施行に伴う使用済燃料再処理等積立金の取崩しにより固定資産が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ1,606億円減(△3.4%)の4兆5,875億円となった。

 

[負債]

負債は、転換社債型新株予約権付社債の発行による増加はあったが、改正法の施行に伴う使用済燃料再処理等引当金及び使用済燃料再処理等準備引当金の取崩しなどにより、前連結会計年度末に比べ2,353億円減(△5.5%)の4兆129億円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ890億円増(+2.8%)の3兆3,139億円となった。

 

[純資産]

純資産は、配当金の支払による減少はあったが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ746億円増(+14.9%)の5,745億円となり、自己資本比率は12.0%となった。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

営業活動によるキャッシュ・フローは、電気事業において燃料代支出の減少はあったが、電灯電力料収入が減少したことや他社購入電力料支出が増加したことに加え、改正法の施行に伴い未払使用済燃料再処理等拠出金を支出したことなどにより、前連結会計年度に比べ1,414億円収入減(△42.9%)の1,880億円の収入となった。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ132億円支出減(△4.6%)の2,750億円の支出となった。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入が増加したことなどにより、前連結会計年度の1,261億円の支出から783億円の収入に転じた。

 

以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ99億円減少し4,198億円となった。