第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランド・メッセージとする「九電グループの思い」のもと、「低廉で良質なエネルギーをお客さまにお届けすることを通じて、お客さまや地域社会の生活や経済活動を支える」ことを使命に、事業活動を進めている。

昨今の経営環境は、2016年4月の電力小売全面自由化、2017年4月のガス小売全面自由化が開始されたことに加え、2020年4月には送配電部門の分社化(法的分離)が予定されているなど、大きな転換期にある。

世界に目を向けると、経済・社会・環境問題などの地球規模の社会的課題の解決を通じて、全ての人々にとって、より良い世界・未来を創り、次世代につなげていこうというESGやSDGsの意識が高まっており、これらを実現するため、企業への期待も大きくなっている。

また、国内においては、人口減少や少子高齢化の進行に加え、都市部への一極集中により、社会的・経済的な地域格差が拡大するなど、様々な社会的課題が深刻化しつつある。

こうした中、九州が保有するポテンシャルを活かした地域・社会の持続的発展に向けて、当社グループがどういった貢献ができるかを示し、地域とともに発展・成長していくという私たちの姿勢を発信するため、本年6月に「九電グループ経営ビジョン2030」を策定した。

今後、この経営ビジョンのもと、全力を挙げて以下の取組みを推進し、お客さまから信頼され、選ばれ続ける企業グループを目指していく。

 

 

「九電グループ経営ビジョン2030」

 

○ 2030年のありたい姿


 

○ ありたい姿実現に向けた戦略


 

○ 経営目標


 

(参考)<九州電力グループ中期経営方針で定めた財務目標(2017年6月公表)>

                                 (連結ベース)

項 目

目 標

自己資本比率(2021年度)

20%程度

経常利益(2017~2021年度平均)

1,100億円以上

成長投資(2017~2021年度累計)

4,200億円

 

 

  (1) エネルギーサービス事業の進化

低炭素で持続可能な社会の実現に挑戦し、より豊かで、より快適な生活をお届けする

○ 環境に優しいエネルギーを低廉かつ安定的にお届けし続ける。

「低廉で良質なエネルギーを安定してお客さまにお届けする」という変わらぬ使命を永続的に持ち続け、グループ一体となって、エネルギーの安定供給の責任を果たすとともに、S+3Eの観点から、最適なエネルギーミックスを追求する。

再生可能エネルギーについては、地熱や水力などの開発を積極的に進めるとともに、下関バイオマスエナジー合同会社を設立し、国内最大級の木質専焼バイオマス発電所の開発を進めるなど、安定供給や環境への影響を考慮しながら国内外で積極的に展開していく。

原子力発電については、安全を大前提として、最大限活用するとともに、経営の最重要課題として、特定重大事故等対処施設などの早期完成に向けて、引き続き最大限の努力を傾注するなど、原子力諸課題(安全・安心の追求、使用済燃料貯蔵対策、廃止措置など)に真摯に向き合い、解決していく。

火力発電については、本年12月営業運転開始予定の松浦発電所2号機の開発を着実に進め、競争力と安定性を備えた電源を確保していく。

また、ESGの視点を重視し、環境にやさしく、利便性に優れた電気の良さや価値を、より多くのお客さまに感じていただくために、あらゆる分野で電化を推進し、九州の低炭素化を図る。
 

○ エネルギー情勢やお客さまニーズの多様化など、環境変化を先取りし、エネルギーサービスを進化させる。

本年4月には、4基の原子力発電所が再稼働したことと経営効率化の取組状況を反映して、電気料金を値下げするとともに、お客さまのニーズを捉えた「すくすく赤ちゃんプラン」、「IJUターン応援プラン」の2つの料金プランを創設した。今後も、お客さまにお選びいただけるよう、お客さまとの接点を重視した「顔の見える営業」を展開するとともに、低廉な電気料金や魅力ある料金プランの提供など、エネルギーサービスの充実を図ることにより、競争力の強化に取り組む。

九州域外における電気事業については、域外での電力販売による収益拡大に向け、安定・安価な電源確保を目的に、千葉県袖ケ浦市における火力発電所の開発について、引き続き、事業性を考慮した検討を進めていく。また、九電みらいエナジー株式会社が実施している関東エリアでの電力販売についても、他社との提携を含め営業強化に努めていく。

海外電気事業については、昨年5月、世界最大規模の地熱発電所であるインドネシアのサルーラ地熱発電所が全号機営業運転を開始した。また、昨年5月に米国のクリーンエナジーガス火力、昨年8月に米国のサウスフィールドエナジーガス火力発電事業、本年5月にタイのエレクトリシティ・ジェネレーティング・パブリック・カンパニー社の経営に参画した。今後も、参画事業に関するリスク管理機能を強化するとともに、電力需要の増加が見込まれるアジアでの開発案件に加え、早期に収益貢献を果たせる欧米案件にも積極的に取り組んでいく。

送配電事業については、一層の公平性・透明性・中立性を確保しつつ、保全・運用業務の効率化・高度化などにより、安定供給とコスト低減の両立を実現する。また、電力の安定供給のために実施している太陽光などの出力制御については、出力制御量の最小化に向け、これまでにシステムを開発することにより、九州から本州への再エネ送電可能量拡大に取り組んだ。今後も、再エネの普及や効率的な設備運用を目指し、ネットワーク技術の高度化を推進する。

 

(2)  持続可能なコミュニティの共創

九州各県の地場企業として、新たな事業・サービスによる市場の創出を通じて、地域・社会とともに発展していく

○ 地域・社会の課題解決に向けて、挑戦者としてあらゆることに取り組むという姿勢の下、当社グループの強みを活かせる「ICTサービス」、「都市開発・まちづくり」、「インフラサービス」を中心に取り組む。

「都市開発・まちづくり」については、当社は他企業とコンソーシアムを組み、昨年12月に福岡市青果市場跡地活用事業における事業者に正式選定された。また、「インフラサービス」についても、民間委託が進む空港運営事業に取り組んでおり、本年4月から福岡空港の運営事業を開始したほか、熊本空港でも来年4月からの事業開始に向けて準備を進めるなど、当社グループの強みを活かした事業を展開していく。

また、「ビジネスサポート」や「ライフサポート」にも取り組みつつ、地域特性を踏まえ、「観光関連」や「一次産業関連」などの領域にも挑戦し、九州の更なる成長・活性化に向けてグループ一体となって新たな市場の創出に取り組む。

 

○ 取組みにあたっては、デジタルトランスフォーメーションを進めるとともに、他企業とのアライアンスを積極的に推進することで、外部の知見を取り入れ、新たな価値を創造する。

 

(3) 経営基盤の強化

経営を支える基盤の強化を図り、グループ一体となって挑戦し、成長し続ける

○ 安全・健康・ダイバーシティを重視した組織風土をつくる。

安全については、当社グループの事業に関わるすべての人たちの安全を守り、その先にある安心と信頼につなげるため、「九電グループ安全行動憲章」を制定しており、憲章に基づく継続的な教育・訓練などを通じて、当社グループが目指す安全の永続的な徹底を図っていく。特に、原子力については、自主的・継続的な安全対策に取り組むとともに、地域の皆さまの安心と信頼を高めていくため、分かりやすい情報発信やフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーション活動を継続していく。また、本年2月に廃止を決定した玄海原子力発電所2号機についても、今後、1号機と併せて、地域の皆さまとのコミュニケーションを密にしながら、安全を最優先に廃止措置を進めていく。

健康については、「九州電力健康宣言」のもと、従業員の健康保持・増進の取組みを進めるとともに、より一層の労働環境の整備を行い、労働生産性・働きがいの向上に向けた働き方改革に全社を挙げて取り組んでいく。

事業の基盤となる人づくりについては、一人ひとりが能力を最大限に発揮するためのダイバーシティ推進の取組みを進めるとともに、オープンなマインドセットを持ったプロフェショナルな人材を育成する。

 

○ 働きがいのある職場を永続的に追求する。

風通しの良い組織・風土づくり、日常業務の改善・改革、デジタルトランスフォーメーションなどにより、創造的で付加価値の高い業務を行い、それぞれのライフスタイルにあった働き方で、やりがいを持って活き活きと働くことができる職場を追求する。

 

○ ステークホルダーからの信頼向上に継続的に取り組む。

当社グループの持続的成長と企業価値の向上に向け、様々な事業活動を行う上での基盤となるコーポレート・ガバナンスの体制構築・強化に継続的に取り組むとともに、CSR(企業の社会的責任)経営と迅速で分かりやすい情報発信を徹底していく。さらに、国際社会全体の「持続可能な開発目標」であるSDGsをはじめ、社会から解決を求められている課題について、九州地域の交流人口拡大につながる地域活性化への貢献や、九州の豊かな自然を守る環境活動の実施などに、当社グループの経営資源を活用し、積極的に取り組んでいく。

また、組織づくりについては、社会のニーズや経営環境変化に迅速・柔軟に対応できる組織・業務運営体制の構築を目指していく。

加えて、株主価値向上に向け、財務体質を改善し、株主還元の更なる充実に取り組むとともに、ビジネスパートナーとの強固な信頼関係をベースにグループ一体となって事業を推進する。

 

当社グループとしては、これらの取組みを通じて、ステークホルダーの皆さまへの価値提供を果たしていく。

 

(文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したもの)

 

2 【事業等のリスク】

当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、以下のようなものがある。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

(1) 電気事業を取り巻く制度変更等

エネルギー政策については、エネルギーの需給に関する基本的な方針等を定める「第5次エネルギー基本計画」が2018年7月に閣議決定されたことを受けて、この計画を実現するための制度設計等の検討が進められている。

また、電力システム改革については、2020年4月に送配電部門の法的分離が予定されており、更に、電力市場における更なる競争活性化と自由化の下での公益的課題への対応の点から、ベースロード電源市場や容量市場、既に取引が開始されている非化石価値取引市場の拡大等の詳細検討が進められている。

こうした電気事業を取り巻く制度の変更等に伴い、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(2) 原子力発電を取り巻く状況

当社としては、エネルギーセキュリティ面や地球温暖化対策の観点から、原子力発電は重要であると考えており、福島第一原子力発電所事故の教訓等を踏まえて施行された国の新規制基準を遵守することに加え、更なる安全性・信頼性向上への取組みを自主的かつ継続的に進めている。併せて、地域の皆さまにご安心いただくための活動を積極的に行っている。

しかしながら、特定重大事故等対処施設設置等の新規制基準への対応や原子力に関する訴訟の結果等によっては、原子力発電所の長期停止や設備投資の増加などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(3) 販売電力量等の変動

電気事業における販売電力量は、景気動向、気温の変化のほか、住宅用太陽光発電の普及や省エネの進展、電力市場における競争状況などによって変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

なお、出力変動の大きい太陽光発電の増加などにより、需給運用は影響を受けることがある。

 

(4) 燃料価格の変動

電気事業における燃料費は、火力発電燃料であるLNG、石炭などを国外から調達しているため、CIF価格及び為替レートの変動により影響を受ける。

ただし、燃料価格の変動を電気料金に反映させる燃料費調整制度により、燃料価格の変動による当社グループの業績への影響は緩和されている。

 

(5) 原子力バックエンド等に関するコスト

原子力施設の廃止措置や使用済燃料の貯蔵・再処理・処分などの原子力バックエンド事業は、超長期の事業であり不確実性を伴うが、国の制度措置等により事業者のリスクは一定程度低減されている。

しかしながら、原子力バックエンド等の費用は、今後の制度見直しや将来費用の見積額の変更、使用済燃料の貯蔵の状況などによって変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(6) 地球温暖化対策に関するコスト

当社グループは、地球温暖化への対応として、安全の確保を前提とした原子力発電の活用、再生可能エネルギーの積極的な開発・導入、火力総合熱効率の維持・向上など、発電の一層の低炭素化・高効率化に向けた取組みを進めているが、今後、地球温暖化に関する政策の動向などによっては、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(7) 電気事業以外の事業

当社グループは、グループ各社の保有する経営資源を活用し、電気事業以外の事業(海外事業を含む)についても着実に展開していくことにより、収益基盤の充実を図っている。事業運営にあたっては、収益性を重視し、効率性の向上と成長性の追求に努めているが、国内外の事業環境の悪化等により計画どおりの収益が確保できない場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(8) 繰延税金資産

連結貸借対照表に計上している繰延税金資産は、将来の課税所得の見積りに基づいて、その回収可能性を判断しているため、経営環境の変化等により将来の課税所得の見積りが悪化する場合は、繰延税金資産を取り崩すことにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(9) 金利の変動

当社グループの有利子負債残高は、2019年3月末時点で3兆2,231億円(総資産の67%に相当)であり、今後の市場金利の変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

ただし、有利子負債残高の96%が社債や長期借入金であり、その大部分を固定金利で調達していることなどから、金利の変動による当社グループの業績への影響は限定的と考えられる。

 

(10) 情報の流出

当社グループは、グループ各社が保有する社内情報や個人情報について、厳格な管理体制を構築し、情報セキュリティを確保するとともに、情報の取扱い等に関する規程類の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報管理を徹底している。

しかしながら、コンピュータウイルスによる感染やサイバー攻撃などにより社内情報や個人情報が流出した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(11) 自然災害等

当社グループは、お客さまに電力を安定的に供給するため、設備の点検・修繕を計画的に実施し、トラブルの未然防止に努めている。しかしながら、台風、集中豪雨、地震・津波等の自然災害、又は事故や不法行為等により、設備の損傷や発電所の長期停止などが発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

また、当社グループは、危機管理体制を整備し、事業運営に重大な影響を及ぼす様々な危機に備えているが、危機に対し適切に対応ができなかった場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(12) コンプライアンス

当社グループは、ステークホルダーの皆さまに信頼していただけるよう、グループ一体となってコンプライアンス意識の徹底を図り、法令遵守はもとより、お客さまや地域の皆さまの視点に立った事業活動に取り組んでいるが、コンプライアンスに反する行為により社会的信用の低下などが発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

当社グループは、引き続きステークホルダーの皆さまとの信頼関係構築に取り組んでいく。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①  経営成績の状況

当連結会計年度のわが国経済は、このところ輸出や生産の一部に弱さも見られるが、設備投資の増加などにより、緩やかに回復した。九州経済も、総じてみると生産や輸出で弱めの動きとなっているが、設備投資や個人消費の増加もあり、緩やかに拡大した。

当社においては、玄海原子力発電所3、4号機が発電を再開し、原子力4基稼働体制が実現するなか、収支の改善、財務基盤の回復に向け、電力を中心としたエネルギー市場における需要獲得、海外エネルギー事業など成長事業への展開などに取り組むとともに、事業活動全般にわたる徹底した効率化に、グループ一体となって取り組んできた。

 

当連結会計年度の業績については、玄海原子力発電所の発電再開はあったが、契約電力の減少や暖冬の影響などにより販売電力量が減少するなか、川内原子力発電所1、2号機の定期検査や送配電設備において安定供給に必要な保全工事を実施したことなどから、修繕費、諸経費などの費用が増加したことに加え、海外エネルギー事業に係る投資の評価損を持分法による投資損失に計上したことなどから、前連結会計年度に比べ減益となった。

当連結会計年度の連結収支については、収入面では、電気事業において、販売電力量の減少などにより電灯電力料が減少したが、再エネ特措法交付金や他社販売電力料が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ568億円増(+2.9%)の2兆171億円、経常収益は514億円増(+2.6%)の2兆276億円となった。
 一方、支出面では、グループ一体となって費用削減に取り組んでいるなか、電気事業において、再生可能エネルギー電源からの他社購入電力料が増加したことや、川内原子力発電所の定期検査や送配電設備において安定供給に必要な保全工事を実施したことなどから、修繕費、諸経費などの費用が増加したことに加え、エネルギー関連事業において、海外投資に係る評価損を持分法による投資損失に計上したことなどから、経常費用は725億円増(+3.8%)の1兆9,750億円となった。

以上により、経常利益は前連結会計年度に比べ211億円減(△28.7%)の525億円となった。

また、前連結会計年度に繰延税金資産を追加計上したことによる影響で、法人税等が増加したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は556億円減(△64.3%)の309億円となった。

 

報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。

 

 

当連結会計年度

(2018年4月1日から

2019年3月31日まで)

前年度比
(%)

金額(百万円)

電気事業

売 上 高

 1,848,695

 102.2

営業利益

 61,728

 75.8

エネルギー関連事業

売 上 高

 217,644

 113.7

営業利益

 14,764

 125.8

情報通信事業

売 上 高

 105,447

 98.8

営業利益

 4,860

 66.4

その他の事業

売 上 高

 29,510

 115.4

営業利益

6,025

124.9

 

 

(注) 1 「電気事業」は、当社事業から附帯事業を除いたものである。

    2 上記の記載金額には消費税等を含んでいない。

 

②  資産、負債及び純資産の状況

資産は、現金及び預金などの流動資産の減少はあったが、設備投資などにより固定資産が増加したことから、前連結会計年度末に比べ839億円増(+1.8%)の4兆7,940億円となった。

負債は、未払税金の減少はあったが、未払の使用済燃料再処理等拠出金費などのその他の流動負債や資産除去債務が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ726億円増(+1.8%)の4兆1,287億円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ206億円減(△0.6%)の3兆2,231億円となった。

純資産は、配当金の支払はあったが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ112億円増(+1.7%)の6,652億円となり、自己資本比率は13.3%となった。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、電気事業において燃料代支出の減少はあったが、電灯電力料収入の減少や他社購入電力料、修繕費の支出の増加に加え、消費税等や法人税等の支払額の増加などにより、前連結会計年度に比べ729億円収入減(△20.5%)の2,830億円の収入となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や投融資による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ425億円支出増(+13.2%)の3,643億円の支出となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ496億円支出減(△54.9%)の407億円の支出となった。

以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,206億円減少し2,452億円となった。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

当社グループ(当社及び連結子会社)の事業内容は、電気事業が大部分を占め、電気事業以外の事業の生産、受注及び販売の状況は、グループ全体からみて重要性が小さい。また、電気事業以外の事業については、受注生産形態をとらない業種が多いため、生産及び受注の状況を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため、以下では、電気事業の生産及び販売の状況を当社個別の実績によって示している。

 

① 需給実績

 

種     別

当事業年度

(2018年4月1日から

2019年3月31日まで)

前年度比
(%)


 

 

 

 

 


 

 水力発電電力量

(百万kWh)

5,099

 109.6

 火力発電電力量

(百万kWh)

26,531

 61.3

 原子力発電電力量

(百万kWh)

28,812

 200.9

 新エネルギー等発電電力量

(百万kWh)

1,038

 95.1

 融通・他社受電電力量

(百万kWh)

 16,299

 87.9

 (新エネルギー等再掲)

(11,319)

(113.3)

 揚水発電所の揚水用電力量

(百万kWh)

 △2,035

 125.0

   合     計

(百万kWh)

 75,744

 94.4

 損失電力量等

(百万kWh)

3,525

101.3

 販売電力量

(百万kWh)

 72,219

94.1

 出水率

(%)

 100.2

 -

 

 

(注) 1 自社の発電電力量は送電端の数値を記載している。

2 「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称である。

3 融通・他社受電電力量は、受電電力量から送電電力量を控除した電力量を記載している。

4 揚水発電所の揚水用電力量とは、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量である。

5 販売電力量の中には、自社事業用電力量(143百万kWh、前年度比110.2%)を含んでいる。

6 出水率は、1987年度から2016年度までの30か年平均に対する比である。

 

 

 

② 販売実績

 販売電力量及び料金収入

 

種     別

当事業年度

(2018年4月1日から

2019年3月31日まで)

前年度比
(%)

 

販売電力量

(百万kWh)

電灯

26,531

92.8

電力

45,688

94.8

合計

72,219

94.1

料金収入

(百万円)

電灯

613,163

97.5

電力

757,007

99.2

合計

1,370,171

98.4

 

 

(注) 1 販売電力量の百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。

   2 上記の記載金額には、消費税等を含んでいない。

 

 

当事業年度

(2018年4月1日から

2019年3月31日まで)

前年度比
(%)

 地帯間・他社販売電力量(百万kWh)

7,855

131.7

 同上販売電力料(百万円)

78,176

127.8

 

 

(注) 上記の記載金額には、消費税等を含んでいない。

 

③ 資材の状況

 石炭、重油、原油、LNGの受払状況

 

区分

当事業年度(2018年4月1日から2019年3月31日まで)

期首残高

前年度比
(%)

受入

前年度比
(%)

消費

期末残高

前年度比
(%)

発電用

前年度比
(%)

その他

前年度比
(%)

石炭(t)

407,846

 79.4

 5,079,712

86.4

 4,975,563

 83.2

 △3,337

 -

 515,332

126.4

重油(kl)

132,590

 111.8

 223,550

 36.2

229,487

 38.0

11,042

115,611

 87.2

原油(kl)

28,792

 40.3

 2,714

 1.8

 △550

 26,628

 92.5

LNG(t)

69,669

 80.7

 2,200,896

 59.2

 1,905,734

 51.1

 68,339

296,492

 425.6

 

 

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」に記載している。
 当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り、判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

ア 売上高及び営業利益

売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ568億円増(+2.9%)の2兆171億円となった。一方、営業費用は733億円増(+4.0%)の1兆9,306億円となった。以上により、営業利益は165億円減(△16.0%)の865億円となった。

 

報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。

[電気事業]

販売電力量については、契約電力の減少や暖冬の影響などにより722億kWhとなり、前連結会計年度に比べ5.9%の減少となった。

一方、供給面については、原子力4基の安定稼働に加え、火力・揚水等の総合的な運用及び国のルールに基づく再エネ出力制御の実施により、安定して電力を供給することができた。

業績については、売上高は、販売電力量の減少などにより電灯電力料が減少したが、再エネ特措法交付金や他社販売電力料が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ403億円増(+2.2%)の1兆8,486億円となった。一方、営業費用は、グループ一体となって費用削減に取り組んでいるなか、再生可能エネルギー電源からの他社購入電力料が増加したことや、川内原子力発電所の定期検査や送配電設備において安定供給に必要な保全工事を実施したことなどから、修繕費、諸経費などの費用が増加したことなどにより、600億円増(+3.5%)の1兆7,869億円となった。以上により、営業利益は、196億円減(△24.2%)の617億円となった。

 

[エネルギー関連事業]

エネルギー関連事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、再生可能エネルギー、エネルギーサービス事業等を展開している。また、九電グループが培ってきた技術・ノウハウを活かし、海外エネルギー事業の強化や九州域外におけるエネルギー事業の展開などにも取り組んでいる。

売上高は、発電所建設・補修工事の増加や、九州域外での電力販売の増加及びLNG販売に係る収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ261億円増(+13.7%)の2,176億円、営業利益は30億円増(+25.8%)の147億円となった。

 

[情報通信事業]

情報通信事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や事業ノウハウを活用し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報システム開発、データセンター事業等を展開している。

売上高は、情報システム開発受託の減少などにより、前連結会計年度に比べ12億円減(△1.2%)の1,054億円、営業利益は、IoTサービスの開始に伴う広告宣伝費等の費用の増加などもあり、24億円減(△33.6%)の48億円となった。

 

[その他の事業]

その他の事業は、不動産、住宅関連サービス、有料老人ホーム事業等を主たる事業とする生活サービス事業と、環境・リサイクル事業を展開している。

売上高は、不動産販売に係る収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ39億円増(+15.4%)の295億円、営業利益は、12億円増(+24.9%)の60億円となった。

 

イ 営業外収益・費用

営業外収益は、固定資産売却益の増加はあったが、持分法による投資利益の減少などにより、前連結会計年度に比べ54億円減(△34.2%)の104億円となった。また、営業外費用は、海外投資に係る評価損の計上などに伴う持分法による投資損失の増加はあったが、支払利息の減少などにより、8億円減(△1.8%)の444億円となった。

 

ウ 経常利益

経常収益が前連結会計年度に比べ514億円増(+2.6%)の2兆276億円となり、経常費用が725億円増(+3.8%)の1兆9,750億円となったことから、経常利益は211億円減(△28.7%)の525億円となった。

 

エ 渇水準備金引当又は取崩し 

当連結会計年度は、出水率が100.2%と平水(100%)を上回ったことから、将来の渇水による費用増加に備えるため、渇水準備引当金を2億円引き当てた。

 

オ 法人税等

法人税等は、前連結会計年度に繰延税金資産を追加計上したことによる影響で、法人税等調整額が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ342億円増の197億円となった。

 

カ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ556億円減(△64.3%)の309億円となった。1株当たり当期純利益は117.51円減の58.05円となった。

 

③ 目標とする経営指標の達成状況等

当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「自己資本比率(2021年度)20%程度」、「経常利益(2017~2021年度平均)1,100億円以上」などの財務目標を設定しており、当連結会計年度においては、自己資本比率13.3%、経常利益525億円、2017~2018年度平均では経常利益631億円となった。

当連結会計年度の経常利益は1,100億円を下回ったものの、本年6月に策定した「九電グループ経営ビジョン2030」における「連結経常利益(2030年度)1,500億円」などの経営目標も踏まえ、今後、海外事業や再生可能エネルギー事業をはじめとする成長事業への投資による収益の拡大や徹底した効率化による競争力強化などの取組みを推進していく。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、燃料代などの支払いや設備投資及び投融資、並びに借入金の返済及び社債の償還などに資金を充当している。

これらの資金需要に対して、自己資金に加え、社債や借入金により資金調達を行うとともに、一時的な資金需要の変動に対しては、コマーシャル・ペーパーなどにより機動的な対応を行っている。

また、流動性リスクについては、月次での資金繰により資金需要を的確に把握するよう努めるとともに、コミットメントラインや当座貸越、及びキャッシュ・マネジメント・サービスなどを活用することとしている。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、安定した電力・エネルギーをお客さまにしっかりとお届けするとともに、多様なエネルギーサービスの提供を通じて地域社会とともに発展していくため、「安全性」を前提とした、「安定供給」、「経済性」、「環境保全」(S+3E)の視点並びに「当社グループの持続的成長と地域社会の発展」の視点を基本に以下を重点課題として研究開発に取り組んでいる。

(1) 電力の安全・安定供給やコスト低減のための研究開発

・原子力発電所の更なる安全性・信頼性向上に関する研究

・火力発電所の適用炭種拡大や発電設備の保全業務の高度化・効率化に関する研究

・高度なセンサ技術やAI・IоTなどのデジタル技術を活用した電力設備(発電・送変電・配電設備)の保全・運用に関する研究 など

(2) 再生可能エネルギーや環境保全などに関する研究開発

・再生可能エネルギーの大量連系時における電力系統安定性、電力品質維持に関する研究

・再生可能エネルギーの出力制御量低減に伴うシステムや出力予測精度向上に関する研究開発 

・V2G実証試験など需要家側エネルギーリソースを活用した需給バランス調整に関する研究

・未利用エネルギーの活用や運輸部門の電化など低炭素化に資する研究

・木質バイオマスを有効活用する新燃料開発に関する研究

・水素や電力貯蔵技術等の新たなエネルギーリソースに関する技術動向調査 など

(3) 持続可能なコミュニティの共創に向けた研究開発

・IoTなど革新的技術活用による事業・サービスの創出に資する研究

・地域、大学と連携し、持続可能なまちづくりを目指すための研究開発

・農業の活性化に向けた統合生産技術の確立などスマート農業や植物工場に関する研究 など

当連結会計年度の当社グループの研究開発費は5,459百万円であり、うち、電気事業に係る研究開発費は4,874百万円、エネルギー関連事業に係る研究開発費は118百万円、情報通信事業に係る研究開発費は466百万円である。