当社グループは、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランド・メッセージとする「九電グループの思い」のもと、「低廉で良質なエネルギーをお客さまにお届けすることを通じて、お客さまや地域社会の生活や経済活動を支える」ことを使命に、事業活動を進めている。
① 経営環境
一般送配電事業等の分社化や小売競争の激化など電力システム改革の進展に加え、脱炭素の潮流や新型コロナウイルス感染拡大、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速など、社会構造も変容しており、大きな転換期にある。
特に、脱炭素の潮流については、日本政府の方針である「2050年カーボンニュートラル」や「2030年温室効果ガス排出削減目標」の実現に向け、エネルギー事業者としての積極的な貢献が期待されている。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、社会生活の維持に不可欠なエネルギーの安定供給を担う責務は更に大きくなっており、事業運営に支障を来すことのないよう感染予防・拡大防止対策に万全を期すことが求められている。
加えて、世界情勢が不安定さを増す中、エネルギー資源の価格高騰等の動向を注視し、リスクを踏まえたサプライチェーンマネジメントを徹底する必要がある。
② 中長期的な経営戦略
当社グループは、変化する経営環境に対応し、地域・社会とともに持続的成長を果たしていくため、事業を通じて「社会価値」と「経済価値」を同時創出するサステナビリティ経営を一層推進し、「九電グループ経営ビジョン2030」の着実な実現を図り、お客さまから信頼され、選ばれ続ける企業グループを目指していく。
〇 サステナビリティの推進体制及び方針の整備
カーボンニュートラルをはじめとするESG(環境、社会、ガバナンス)諸課題に戦略的かつスピーディーに取り組むため、2021年7月、取締役会の監督下に「サステナビリティ推進委員会(委員長:社長)」を設置するなど、推進体制を整備した。
また、2021年12月に、基本的姿勢を示す「九電グループサステナビリティ基本方針」を制定するとともに、2022年4月には、社会と当社グループのサステナビリティ実現に向けた経営上の重要課題として「マテリアリティ」を設定した。
これらの推進体制及び方針のもと、課題解決に向けたグループ一体での取組みを加速させ、持続可能な社会の実現と企業の中長期的な成長の両立を図っていく。
[マテリアリティ(サステナビリティ実現に向けた経営上の重要課題)]

〇 カーボンニュートラルの実現に向けた取組み
サステナビリティの実現に向けては、責任あるエネルギー事業者として、気候変動をはじめとした社会課題の解決に貢献することが極めて重要であると考え、2021年4月に、「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」を策定し、エネルギー供給面での「電源の低・脱炭素化」と需要面での「電化の推進」に取り組んでいく方針を示した。
また、2021年11月には、「九電グループ カーボンニュートラルの実現に向けたアクションプラン」を策定し、2030年の経営目標(環境目標)や、その達成に向けたKPI(重要業績評価指標)を設定するなど、カーボンニュートラル実現への道筋を示した。
その実現に向けたエネルギー需給両面の取組みとして、「電源の低・脱炭素化」については、再生可能エネルギーの主力電源化や原子力の最大限の活用、火力発電の低炭素化等に積極的に取り組んでいく。
「電化の推進」については、家庭部門でのオール電化の更なる推進や、業務・産業部門での電気式空調・給湯・厨房設備等の普及拡大、運輸部門での電気自動車の普及促進など、あらゆる部門で最大限の電化に挑戦し、九州の電化率向上に貢献していく。
これらの取組みを通じて、当社グループは、自らの温室効果ガス(GHG)排出量を上回る削減効果を社会全体で創出し、事業活動によるGHG排出量を実質マイナスにする「カーボンマイナス」を2050年よりできるだけ早期に実現する。
[カーボンニュートラルの実現]
○ 九電グループが目指す姿

○ 2030年の環境目標

○ 2030年の環境目標の達成に向けたKPI(2030年度)
2019年6月、「九電グループ経営ビジョン2030」を策定し、2030年のありたい姿の実現に向けた戦略Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを掲げている。
また、2021年4月には、経営ビジョンの実現に向けた中間目標として、2025年度を対象に、財務目標(連結経常利益・自己資本比率)を策定した。
経営ビジョンに掲げる3つの戦略(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)をグループ一体で加速させ、財務目標の達成を図り、その先にある経営ビジョンの実現をより確かなものとしていく。
[九電グループ経営ビジョン2030]
○ 2030年のありたい姿

○ 経営目標(2030年度)

[財務目標(2025年度)]
○「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向けた中間目標
※3 ハイブリッド社債の資本性を考慮
戦略Ⅰ エネルギーサービス事業の進化
エネルギー情勢やお客さまニーズの多様化など、環境変化を先取りし、エネルギーサービスを進化させ、環境に優しく、低廉なエネルギーを安定的にお届けし続ける。
○ 発電・販売事業については、S(安全)+3E(エネルギーの安定供給、環境保全、経済性)の観点から、容量市場など新たな電力取引市場も最大限活用しつつ、最適なエネルギーミックスを追求していく。
再生可能エネルギーについては、地熱や水力に加え、洋上風力やバイオマス等について、地域との共生や収益性等を勘案しながら、国内外で開発を推進し、主力電源化を図る。
原子力発電については、CO2排出抑制面やエネルギーセキュリティ面等で総合的に優れた電源であり、安全の確保を大前提として最大限活用していく。玄海原子力発電所3、4号機の特定重大事故等対処施設については、安全最優先で設置工事を進めるとともに、川内原子力発電所の40年超運転可否の判断材料となる特別点検の実施等についても、着実に対応していく。また、地域の皆さまの安心と信頼を高めていくため、分かりやすい情報発信やフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーション活動を継続していく。
火力発電については、電力の需給調整に不可欠な電源であり、最新鋭のLNG火力発電所の開発や、非効率石炭火力のフェードアウト対応など、環境面やコスト競争力、供給安定性のバランスを追求しつつ活用していく。
また、電力の安定供給については、電力需給変動リスクや燃料価格変動リスク等を踏まえた供給力の確保や燃料調達等を徹底しつつ、適切に対応していく。
さらに、電力販売については、競争環境が厳しさを増し、社会全体の環境意識も高まる中、引き続きお客さまにお選びいただけるよう、法人お客さま向けの再エネ・CO2フリープランである「再エネECO極」のほか、「再エネECOプラス」、「CO2削減プラン」やご家庭向けの「まるごと再エネプラン」など、お客さまニーズに沿った料金プラン・サービスの提案や、グループ会社商材との一体販売など、エネルギーサービスの充実を図っていく。
○ 送配電事業については、九州電力送配電株式会社を中心に、一層の公平性・透明性・中立性を確保しつつ、安定供給とコスト低減の両立を実現する。
再生可能エネルギーの最大限の受入れや効率的な設備運用等を目指し、送配電ネットワークの次世代化を推進していく。
○ 海外事業については、リスク評価や収益性評価などのリスク管理機能を強化しつつ、当社がこれまで蓄積したノウハウやネットワークを活かして、一層の収益拡大を目指す。
再生可能エネルギー・火力発電事業、送配電事業、マイクログリッド事業等に取り組み、これまでのアジア・中東・米州に加え、欧州・アフリカ地域など、進出エリアや事業領域の更なる拡大を図っていく。
戦略Ⅱ 持続可能なコミュニティの共創
地域・社会の課題解決に向けて、グループの強みやエネルギーサービス事業とのシナジー等を発揮できる都市開発やICTサービス等の事業を中心に取り組んでいく。
○ 都市開発事業については、大型都市開発プロジェクトへの参画や、オフィス・住宅・物流施設の開発など、九州をはじめ国内外の案件を開拓し、収益拡大を図るとともに、交流人口拡大や地域の賑わい創出など地域の発展・活性化にも貢献していく。
○ ICTサービス事業については、DXが進展する中、光ブロードバンド事業やモバイルサービス事業、データセンター事業等の既存事業に加え、ドローンサービスや地域情報プラットフォームサービスなど、地域・社会のニーズにお応えする新たなサービス創出にグループを挙げて取り組んでいく。
○ また、自治体向けのカーボンニュートラル支援や森林資源を活用したJ-クレジット事業など、当社グループのソリューションの提供等を通じて、地域・社会の課題解決に貢献していく。
○ さらに、イノベーションの取組みである「KYUDEN i-PROJECT」を推進し、多岐にわたる領域での新規事業・サービスの創出に挑戦していく。
戦略Ⅲ 経営基盤の強化
持続的成長と中長期の企業価値向上に向けたグループ一体の挑戦により、経営を支える基盤を強化していく。
○ 安全・健康・ダイバーシティを重視した組織風土をつくる。
「九電グループ安全行動憲章」に基づき、事業に関わる全ての人たちの安全を守り、その先にある安心と信頼につなげていくため、「九州電力安全推進委員会(委員長:社長)」を設置し、安全を最優先する風土・文化の醸成に努めている。重大災害を撲滅するという強い決意のもと、当社グループ、委託・請負先一体となって災害防止に向けた先取り型の安全諸活動を一層強化していく。
また、従業員の活力・生産性向上に向け、「九州電力健康宣言」のもと、従業員の健康保持・増進に取り組んでいく。
さらに、変革や新たな事業展開を担う多様な人材の確保・育成、これらの人材が活躍できる組織風土づくりに取り組んでいく。
併せて、事業活動に関わる全ての人々の人権を尊重するとともに、新たな価値を創出するため、女性活躍をはじめとした多様な個性を活かすダイバーシティを推進する。
○ DXによる業務改革、働き方改革により、生産性の向上と新たな付加価値創造の強固な基盤を創っていく。
ICTを用いた業務効率化・高度化などDXの取組みを進めており、デジタルを起点とした業務の抜本的改革や新たなビジネスの展開を更に加速するとともに、生産性・収益性の向上や、社会への新たな価値提供等に取り組んでいく。
また、リモートワークの活用をはじめ場所や時間に捉われない、柔軟に働ける環境整備を進め、生産性が高く、働きがいが実感できる働き方の改革を推進する。
○ ステークホルダーからの信頼向上に継続的に取り組む。
当社グループの持続的成長と企業価値の向上に向け、コーポレート・ガバナンスの充実や、コンプライアンス経営の推進、情報セキュリティの確保、迅速で分かりやすい情報発信の徹底を図る。
さらに、株主価値向上に向け、財務体質を改善し、株主還元の更なる充実に取り組んでいく。
当社グループとしては、これらの取組みを通じて、ステークホルダーの皆さまへの価値提供を果たしていく。
(文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したもの)
当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績、財務状況等に重要な影響を与える可能性があると経営者が認識している主要なリスクは、以下のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものである。
(1) 競争環境等の変化
① 国内電気事業
当社グループの総販売電力量及び販売価格は、気温・気候の変化、経済・景気動向などの避けがたい外部環境の影響、電力小売全面自由化における競合他社との競争状況の変化、電力取引市場における卸電力取引の動向などにより、影響を受ける可能性がある。
なお、2021年度の当社グループの総販売電力量は973億kWhで前年度に比べ13.3%増となっている。
また、当社グループにおいて、国内電気事業を通じて得られる収入は、当社グループの営業収益の大半を占めており、総販売電力量や販売価格が大きく変動した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは魅力ある料金プラン・サービスの提案、全社一丸となった営業活動の強化などにより販売拡大に取り組むとともに、ガス販売事業などを推進することで、国内電気事業の収益減少リスクの低減に取り組んでいる。
なお、九州電力送配電株式会社では、行為規制を踏まえ、九州エリアの電力需要創出を目的とした活動に取り組んでいる。
② 海外事業
当社グループでは、収益拡大を図る観点から発電、送配電など海外事業への投資を行っている。海外における当社グループの持分出力は、2022年3月末現在で291万kWとなっており、2030年度までに500万kWに拡大することを目標としている。
海外事業は国内電気事業などとは異なるリスクを保有しており、カントリーリスクの顕在化や脱炭素化の急速な進展に伴う環境・エネルギー関連の政策変更などの外部環境変化が生じた場合、投資額に見合うリターンを得られず、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは担当組織を設置し、海外事業投資に関するノウハウなどを一元化するとともに、参画案件の管理体制の整備を行うなど、リスクの低減に取り組んでいる。また、海外事業におけるリスクマネジメントとして、案件ごとに収益性評価やリスク評価を行うとともに、必要に応じてポートフォリオの最適化に取り組んでいる。
③ その他エネルギーサービス事業
当社グループは、電気設備の建設・運転・保守などの電力の安定供給に資する事業や、再生可能エネルギー事業(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)に取り組んでいる。さらには、燃料上流権益への投資による生産から、輸送・トレーディング・基地事業・電力/ガス供給までの燃料バリューチェーンを事業領域として収益機会の拡大に取り組んでいる。
しかしながら、他事業者との競争、再生可能エネルギーを巡る制度変更などの外部環境変化が生じた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。また、燃料上流権益も外部環境変化により燃料国際市況に変動が生じた場合、投資額に見合うリターンを得られず、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは、効率化の更なる推進によるコスト削減及び新たな技術への取組みにより、お客さまニーズに応じたエネルギーサービスを提供し、収益の向上を図るとともに、再生可能エネルギーを取り巻く事業環境変化を的確に捉えた開発を推進している。また、燃料上流権益についても、案件ごとに収益性評価やリスク評価を適正に行っている。
④ ICTサービス事業、都市開発事業
当社グループは、国内及び海外のエネルギーサービス事業以外に、当社グループの強みを活かして、ICTサービス事業、都市開発・不動産事業、社会インフラ事業など幅広く事業を営むとともに、新たな収益源を生み出す観点から、新規領域を含めたイノベーションにも取り組んでいる。
しかしながら、他社との競争激化や市場の縮小など、各事業領域の事業環境の変化により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
また、新規領域の事業については、既存事業領域と異なるリスクを有しており、場合によっては、投資額に見合うリターンを得られず、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは新規事業の実施にあたり、収益性評価やリスク評価などを行うことで、リスク低減に取り組んでいる。
(2) 原子力発電を取り巻く状況
① 原子力の安定稼働
当社グループは、原子力発電をCO₂排出抑制面やエネルギーセキュリティ面などで総合的に優れた電源であると考えており、福島第一原子力発電所事故の教訓などを踏まえて施行された国の新規制基準を遵守することに加え、更なる安全性・信頼性向上への取組みを自主的かつ継続的に進めるなど、安全の確保を大前提に、原子力を最大限活用することとしている。
しかしながら、玄海原子力発電所の特定重大事故等対処施設の完成がさらに遅れる場合や、玄海原子力発電所及び川内原子力発電所に係る訴訟の結果によっては、原子力発電所の運転停止を余儀なくされ、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性がある。
かかるリスクのうち、玄海原子力発電所の特定重大事故等対処施設については、当社グループの総力を挙げて、安全を最優先に、工法を工夫するなどして着実に工事を進めている。また、訴訟においては、当社グループの主張を十分に尽くし、原子力発電所の安全性などについてご理解いただけるよう努めている。
② 原子燃料サイクル・原子力バックエンド事業
当社グループは、原子燃料サイクル事業の実施主体である日本原燃株式会社に対して、2022年3月末時点で780億円の保証債務を保有しており、日本原燃株式会社の財務状態が悪化した場合、保証の履行を債権者より求められる可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは日本原燃株式会社の再処理事業等の早期竣工及びその後の安定稼働に向けて、応援要員の派遣等の支援を行っている。
また、超長期の事業である原子力施設の廃止措置や使用済燃料の再処理・処分などの原子力バックエンド事業等の費用は、今後の制度見直しや将来費用の見積額の変更などによって変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性はあるが、現時点において、当社グループは、国の制度措置等に基づき、必要な費用を計上・拠出していることから、これらのリスクは一定程度低減されている。
上記の費用のうち、当社が実施主体である原子力施設の廃止措置に係る費用については、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に規定された特定原子力発電施設の廃止措置について資産除去債務を計上するとともに、これに対応する費用は「原子力発電施設解体引当金に関する省令」等の規定に基づき、毎年度、原子力発電施設解体引当金等取扱要領に定められた算式(解体に伴って発生する廃棄物の種類及び物量から解体に要する費用を見積もる方法)により算定した原子力発電施設解体費の総見積額を発電設備の見込運転期間にわたり、定額法により費用計上している。ただし、エネルギー政策の変更等に伴って原子炉を廃止する場合については、特定原子力発電施設の廃止日の属する月から起算して10年が経過する月までの期間にわたり、定額法により費用計上している。また、使用済燃料再処理機構や原子力発電環境整備機構が実施主体である使用済燃料の再処理・処分などに係る費用については、「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律」及び「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に規定する拠出金を、原子力発電所の運転に伴い発生する使用済燃料や特定放射性廃棄物等の量に応じて費用計上している。
(3) 市場価格の変動
① 燃料費の変動
当社グループの発電事業における主要な火力燃料のLNG、石炭は、燃料調達先の設備・操業トラブル、自然災害、政治・経済・社会情勢等により、燃料需給の不均衡が生じ、それに伴う燃料国際市況の変動影響を受けることがある。また、外国為替相場の変動影響も受けることがあり、これらの変動状況が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
特にLNGについては、長期間貯蔵することが困難であり、貯蔵量が限られることから、電力需要の急伸や発電所の計画外停止などにより、想定を超えて電力の需給ひっ迫リスクが顕在化した場合には、電力の安定供給を目的としてLNGを緊急に調達することも考えられ、調達条件によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは、調達先の分散化や、燃料トレーディング等による燃料調整機能と需給運用の自社需給関連機能を一体的に運用することで調整機能を高め、調達の安定性・柔軟性の確保を行っている。
また、燃料の輸入などに伴う外貨建て債務などについて、必要に応じて為替予約取引及び燃料価格スワップ取引などを活用してリスクヘッジを行うこととしている。
なお、燃料価格や外国為替相場の影響を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」により、当社グループの業績への影響は一定程度緩和されている。
② 金利の変動
当社グループは、基幹事業である国内電気事業において、電力の安定供給に必要な発電設備や送変電設備、配電設備といった多数の設備を保有している。
また、電力の安定供給を継続していくためには、これら設備の建設や更新工事を計画的に進めていく必要があり、多額の資金を調達する必要がある。
当社グループは、これらの資金を主として金融機関からの借入及び社債の発行により調達しており、当社グループの有利子負債残高は、2022年3月末時点で3兆6,380億円(総資産の68%に相当)となっている。このため、今後の市場金利の変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
ただし、有利子負債残高の97%が社債や長期借入金であり、その大部分を固定金利で調達していることなどから、金利の変動による当社グループへの影響は限定的と考えられる。
③ 卸電力取引所における取引価格の変動
当社グループでは、低廉で安定した電気をお客さまにお届けするため、自社電源を運用しつつ、相対取引や卸電力取引所を活用して電源調達を行っている。このうち、卸電力取引所における電源調達の大半を占めるスポット取引については、取引市場における需要と供給のバランスによって取引価格が決定することになる。
このため、夏季・冬季における猛暑、厳冬などの気象条件をはじめとする電力需要の急激な伸びや、発電所の計画外停止、電力系統の事故などによる供給力の低下により取引価格が急騰する可能性があり、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
また、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」における回避可能費用が2021年度より全量市場取引価格連動となったことから、取引価格の上昇局面では調達費用が増加し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは、燃料価格や電力需給の動向に関する想定に基づき、適宜、電源調達手段を組み合わせた電源ポートフォリオの最適化や、デリバティブ取引の活用などにより、卸電力取引所における取引価格の変動リスクの低減を図っている。
(4) 電気事業関係の制度変更等
① エネルギー基本計画に基づく制度設計
エネルギー政策については、2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」のもと、2050年のカーボンニュートラルや2030年の温室効果ガス排出削減目標の実現などに向けた制度設計が進められている。
上記を含めた電気事業を取り巻く制度の変更などに伴って、当社グループが保有する発電設備や送変電設備、配電設備などの電力供給設備に対する設備投資、費用などが増大した場合や、当社グループが保有する発電設備の稼働率が低下した場合は、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
② 電力システム改革に伴う市場・ルールの整備
電力市場の競争の深化や安定供給(昨今の需給ひっ迫を踏まえた追加供給対策を含む)・環境適合などの公益的課題の達成に向けた市場整備が行われており、当社グループの業績への影響を注視する必要がある。
なお、新しく導入される市場により、電源が有する価値を分け、複数の市場(ベースロード市場を含む卸電力取引市場、容量市場、需給調整市場など)で取引することとなるが、制度設計および各種市場からの収益変動等が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
上記①、②にかかるリスクに対し、迅速かつ的確に対応できるよう、当社グループ内に担当組織を設置し、エネルギー政策、電気事業に係る制度、及び環境規制などに関する情報を積極的に収集の上、関係箇所で連携し、全社戦略の検討を実施している。
(5) 気候変動に関する取組み
近年、気候変動への関心が国内外で高まっており、2015年の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議での「パリ協定」採択以降、世界各国で低・脱炭素社会実現に向けた取組みが急務となっている。特に「2050年カーボンニュートラル宣言」実現の観点も踏まえ、国内においても今後様々な規制見直し・強化が予想される。
低・脱炭素化に向けた規制見直しが実施された場合、当社グループが保有する電力供給設備に対する設備投資、費用が増大するなど、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
また、世界の金融・資本市場においては、ESG情報を投資判断に活用することが急速に拡大しており、低・脱炭素化への取組みが不十分、あるいは気候変動に関する情報開示に的確に対応していないなどと判断された場合、株主・投資家から信頼・評価を失い、株価低迷や資金調達の困難化など、経営成績等に影響を与える可能性がある。
かかるリスクに対応するため、当社グループは、2021年4月に、「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」を策定し、エネルギー供給面での「電源の低・脱炭素化」と需要面での「電化の推進」に取り組み、低・脱炭素の業界トップランナーとして、九州から日本の脱炭素をリードする企業グループを目指すこととしている。
また、2021年11月には、「カーボンニュートラルの実現に向けたアクションプラン」を策定し、2030年の経営目標(環境目標)や、その達成に向けたKPI(重要業績評価指標)を設定するなど、カーボンニュートラル実現への道筋を示した。
当社グループは、自らの温室効果ガス(GHG)排出量を上回る削減効果を社会全体で創出し、事業活動によるGHG排出量を実質マイナスにする「カーボンマイナス」を2050年よりできるだけ早期に実現することを目指す。
また、当社グループは、2021年7月に気候変動対応を含めたESG(環境・社会・ガバナンス)の取組みを推進するため、社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置するとともに、ESG各分野における取組み全体を統括・推進する役割を担う「担当役員」及び「専任部署」を設置した。本体制のもと、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを着実に推進するとともに、TCFD提言を踏まえた情報開示の充実やステークホルダー等との対話や情報開示を更に推進している。
(6) 設備事故・故障、システム障害
① 自然災害
当社グループは、電気事業が社会と経済活動の基盤となり、お客さまの大切なライフラインに欠かせない重要な事業であることを認識し、電力の安定供給に努めている。
また、これら電力の安定供給に必要な発電設備や送変電設備、配電設備などの電力供給設備をはじめ、電気事業の遂行に必要となる多数の設備を保有しているが、地震・津波・台風・集中豪雨などにより大規模災害が発生した場合には、これら設備が損壊し、広範囲・長期間に及ぶ停電が発生する可能性があり、その結果として収入の減少や多額の復旧費用の支出を余儀なくされ、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは設備の耐力強化を図るとともに、自治体(県・市町村)や自衛隊などの関係機関との連携を図りながら、電力供給設備などへの災害予防、災害応急対策及び災害復旧に努めている。
また、九州電力送配電株式会社は一般送配電事業者10社連名による「災害時連携計画」を作成し、大規模災害が発生した場合には、他社からの応援受け入れや関係機関との連携等による迅速な復旧対応が可能な体制を構築している。
更に、原子力施設については、(2)にも記載のとおり、国の新規制基準を踏まえ、重大事故を起こさないための対策や、万が一の重大事故に対処するための対策の強化を図っている。
② 設備の高経年化等
当社グループは九州各地に発電設備や送変電設備、配電設備などの多数の電力供給設備や情報通信設備などを保有している。
特に、高度経済成長期に電力需要の伸びにあわせて建設した電力供給設備については高経年化が進んでおり、設備の劣化に伴い事故・故障発生確率が上昇する可能性がある。万一、大規模発電所や超高圧送電線などで重大な設備事故が発生した場合、設備被害により当社グループの経済損失が発生するとともに、広範囲・長期間の停電により社会経済活動に重大な影響を及ぼす可能性がある。また高経年設備の増加に伴い、点検・補修などの頻度が増加し、修繕費などの支出が増加する可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは設備巡視による危険箇所の事前把握や、設備状態に応じたきめ細やかなメンテナンスに取り組んでいる。また、経年の進んだ電力供給設備に対する重点的な点検・補修に加え、計画的な高経年設備の更新に取り組んでいる。さらに、ドローンや画像解析、AIなどの新技術を活用した設備保全の高度化・効率化にも取り組んでいる。
③ システム障害
当社グループでは、お客さま情報や各種社内情報などのデータ処理のために、情報処理システムの開発、更新、及び維持・運用に必要な投資、支出を行っている。また、社外に対してもICTサービスを提供しており、当社グループの重要な事業基盤と位置づけている。
このため、これら情報処理システムが動作不具合、または停止などのシステムリスクが顕在化した場合には、情報の流出、社外への情報提供の遅延、及び業務の停滞、並びにこれらに伴う事後対応費用の発生、信頼の失墜等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは24時間365日のシステム運用監視や計画的な設備更新など、システム障害の未然防止に取り組む一方、システム障害が発生した場合の速やかな初動・復旧体制の整備などを行い、万一の事態に備えている。
④ サイバー攻撃
当社グループに対するサイバー攻撃は年々増加しており、攻撃方法も巧妙かつ悪質化するなど、その脅威はますます増大している。
当社グループでは国内電気事業、ICTサービス事業など、幅広く事業を展開しており、サイバー攻撃により、機密性の高い内部情報や個人情報が流出する可能性がある。
また、海外では電力供給設備に対するサイバー攻撃による停電が発生しており、当社グループの電力供給設備がサイバー攻撃を受けた場合、電力の供給が停止する可能性がある。
いずれの場合にも、当社グループの信頼が失墜するとともに、事後対応費用が発生し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループではサイバーセキュリティ対策室を中心に、多層防御として、組織的・人的・物理的・技術的な対策を講じており、当社グループ全体の情報セキュリティレベルの維持向上を図っている。
(7) オペレーショナルリスク
① 業務上の不備
当社グループは国内電気事業、その他エネルギーサービス事業、ICTサービス事業など幅広く事業を展開しており、従業員の過失などによる各種業務上の不備が生じた場合、お客さまへのサービス提供に支障が出るなど、社内外に大きな影響を及ぼす可能性がある。
また、当社グループの基幹事業である国内電気事業においては、電力システム改革や再生可能エネルギーの普及などにより、従来と比べ需給運用が複雑化している。そのような状況においても、電力の安定供給は当社グループの重要な使命であり、万一、電力供給設備の運用や作業時のミスにより、感電などの人の死傷や広範囲の停電などが発生した場合、当社グループの信頼が失墜するとともに、事後対応費用が発生し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは電力供給設備の作業時のミス未然防止に向けて、綿密な事前の計画、作業管理体制を整備するとともに、作業の教育・訓練を実施している。
また、労働災害・事故の防止にあたっては、「九電グループ安全行動憲章」に基づき、事業に関わるすべての人たちの安全と安心の永続的な確保に向け、重大災害の防止対策や災害の未然防止に向けた先取り型の安全諸活動にグループ一体となって取り組んでいる。この取組みにあたっては、社長を委員長とする「九州電力安全推進委員会」を中心とした安全推進体制を整備し、安全を最優先する風土・文化の醸成に努めている。
② 法令違反等
当社グループは、九州エリアを中心に多くの拠点を持ち、電気をはじめ様々な商品やサービスをお客さまに提供しており、関連する法令や規制は多岐にわたる。また海外での事業運営においては、当該国の法的規制の適用を受けている。
当社グループでは、これらの様々な法的規制の遵守に努めているが、各種法令などに対する理解が不十分、または法令等が変更された際の対応が適切でなく、法令などに違反したと判定された場合や、従業員による個人的な不正行為などを含めて社会的要請に反した行動などによりお客さまからの信頼を失墜する事態に至った場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
かかるリスクに対し、当社では法令理解の浸透を通じた法的規制の遵守はもとより、社会的規範や企業倫理を守ることをコンプライアンス経営と定め、社長を委員長とするコンプライアンス委員会のもと、業務執行機関の長を「コンプライアンス責任者」として、活動計画を策定・実践するとともに、社内外に相談窓口を設置するなどの体制を整備し、コンプライアンスを推進している。
また、グループ会社に対しては、コンプライアンス情報の共有や意見交換などを行い、グループ会社と一体となった取組みを推進しているほか、グループ会社の指導・支援に関する管理部門の役割を明確化するなど、当社グループ全体での推進体制の強化を図っている。
なお、当社及び連結子会社である九電みらいエナジー株式会社は、2021年7月13日に、「旧一般電気事業者らは、特別高圧電力及び高圧電力の供給について、共同して、中部地区、関西地区、中国地区又は九州地区における顧客の獲得を制限している疑いがある。」として、独占禁止法第47条に基づく公正取引委員会の調査を受けた。
このことを厳粛に受け止め、公正取引委員会の調査に対し全面的に協力していく。
③ 感染症の流行
新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴い、政府から「緊急事態宣言」が発出されるなど、社会・経済に多大な影響が生じている。
新型コロナウイルスに限らず、病原性の高い新たな感染症が流行し、当社グループ内で蔓延した場合、事業継続に支障をきたす可能性がある。また、これらの感染症の世界的な流行に伴い、サプライチェーンの維持が困難化するなどし、電力の安定供給や円滑な業務運営にリスクが高まる可能性があり、当社グループの社会的信用や業績は影響を受ける可能性がある。
かかるリスクに対し、当社グループでは「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づき「新型インフルエンザ等対策に関する業務計画」を策定しており、新型コロナウイルス感染症においても、職場内の感染防止対策など職場環境の整備、国の「新しい生活様式」を踏まえた在宅勤務・時差出勤の拡大やリモートワークの活用を行っている。また、サテライトオフィスの整備等による接触機会の低減などの働き方やライフラインを担う事業者として私的時間帯を含めた日常生活での感染防止対策の徹底など、感染予防・感染拡大防止対策を講じ、リスク低減に取り組んでいる。
今後、新型コロナウイルスの感染が更に拡大、または新たな感染症が発生した場合であっても、同計画に準じて、安全確保を最優先として、電力の安定的かつ適切な供給体制維持を図るなど、事業継続できるように備えている。
④ 人材・スキル不足
当社グループは、優秀な人材の確保とそのスキル向上により、継続的にお客さまに質の高い商品、サービスを提供することが重要であると認識している。
中でも当社グループの基幹事業である国内電気事業においては、技術・ノウハウの継承が必要であり、人材の確保・育成ができなかった場合、もしくは多数の人材が流出した場合には、当社グループの持続的な成長を妨げ、業績に影響を及ぼす可能性がある。
また、新たな事業領域において収益を生み出せる人材やDXを活用し業務改革を推進していく人材を確保・育成していく必要があり、そうした人材の確保・育成ができなかった場合、今後の持続的な成長を妨げ、業績に影響を及ぼす可能性がある。
かかるリスクに対し、当社は毎年、中長期的な想定に基づく採用計画を策定し、新卒採用に加えて、高度・専門人材などの中途採用も実施することで新たな事業領域を含め必要な人材の確保に努めている。また、「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向け、特に必要となる行動を整理し、それらを職場で実践することで、成長につなげていくことができる人材の育成に取り組んでおり、専門力向上や技術継承、イノベーション創出やDX等に資する様々な教育・研修を実施している。
更に、当社グループの総合力強化を目指し、グループ合同研修の実施や当社とグループ会社間の人材交流を行うなど、グループ全体の人材育成にも取り組んでいる。
そのほかにも、ダイバーシティ推進の観点から、女性、高年齢者、障がい者など、多様な人材が活躍できる職場環境の整備を進めている。
(8) その他
① 固定資産の減損
当社グループは多数の設備を保有しており、その資産及び資産グループが生み出す将来キャッシュ・フローは、当社グループが置かれる経営環境の変化の影響を受ける。
このため、総販売電力量の減少や販売価格の低下、原子力発電所の計画外停止、発電設備の稼働率低下など、様々なリスクの顕在化によって収益性が低下した結果、将来キャッシュ・フローが減少し投資額の回収が見込めなくなった場合は、固定資産の減損により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
② 繰延税金資産の取崩し
当社グループでは、当社において、主に過年度の原子力発電所停止の長期化を原因として税務上の繰越欠損金が生じているが、これに係る繰延税金資産については、将来の課税所得の見積りに基づいて、その回収可能性を判断している。
このため、総販売電力量の減少や販売価格の低下、原子力発電所の計画外停止など、課税所得に重要な影響を及ぼすリスクが顕在化し、将来の課税所得の悪化が見込まれることになった場合は、繰延税金資産の取崩しにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用している。また、当該会計基準等の適用等を踏まえ「電気事業会計規則」が改正されたため、再生可能エネルギー固定価格買取制度に係る再エネ特措法賦課金及び再エネ特措法交付金の会計処理については、売上高(営業収益)には計上せず、対応する営業費用から控除する方法に変更している。なお、本改正において検針日基準の取扱いに変更はないため、当社及び連結子会社である九州電力送配電株式会社は、引き続き検針日基準により収益計上している。これらに伴い、前連結会計年度との比較・分析については、これらを遡及適用した後の数値で行っている。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの影響により厳しい状況にあるなか、その影響は徐々に緩和され、持ち直しの動きが続いてきたが、年明けからの感染再拡大により個人消費に弱さが見られる。九州経済も引き続き厳しい状況にあるなか、輸出・生産を中心に持ち直しつつあるものの、そのペースが鈍化している。
当社グループにおいては、「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向けた中間目標である2025年度の財務目標の達成に向け、国内電気事業では、電化の推進による需要創出に加え、お客さまニーズに応える料金プラン・サービスの充実などにより、成長事業では、九電グループの強みやノウハウを活かしたプロジェクトの検討や事業化の推進などにより、収益拡大に向けた取組みを推進するとともに、事業活動全般にわたる徹底した効率化に、グループ一体となって取り組んできた。
当連結会計年度の業績については、総販売電力量の増加や原子力発電所の稼働増などはあったが、燃料価格の上昇により燃料費調整の期ずれ影響が前連結会計年度の差益から差損に転じたことなどから、前連結会計年度に比べ減益となった。
当連結会計年度の小売販売電力量については、グループ一体となった営業活動による増加や、前連結会計年度が新型コロナウイルス感染症の影響で減少したことによる反動増などにより、前連結会計年度に比べ5.7%増の794億kWhとなった。また、卸売販売電力量については、相対卸の積極的な販売拡大に努めたことに加え、送配電事業における再エネ電源からの買取増に伴う増加などもあり、67.4%増の178億kWhとなった。この結果、総販売電力量は13.3%増の973億kWhとなった。
小売・卸売に対する供給面については、原子力をはじめ、火力・揚水等発電設備の総合的な運用等により、また、エリア需給については、調整力電源の運用及び国のルールに基づく再エネ出力制御の実施等により、安定して電力を供給することができた。
当連結会計年度の連結収支については、収入面では、国内電気事業において、小売販売収入が小売販売電力量の増や燃料価格上昇に伴う燃料費調整の影響などにより増加したことに加え、卸売販売収入やLNG転売益が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ2,213億円増(+14.5%)の1兆7,433億円、経常収益は2,241億円増(+14.6%)の1兆7,627億円となった。
支出面では、国内電気事業において、修繕費の減少などはあったが、原子力発電所の稼働増はあるものの燃料価格上昇の影響などにより燃料費が増加したことに加え、購入電力料や原子力バックエンド費用が増加したことなどから、経常費用は2,469億円増(+16.6%)の1兆7,303億円となった。
以上により、経常利益は227億円減(△41.3%)の323億円、親会社株主に帰属する当期純利益はインバランス収支還元損失や減損損失を特別損失に計上したことなどから249億円減(△78.4%)の68億円となり、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに前連結会計年度に比べ減益となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
[参考]国内電気事業再掲
(注) 「発電・販売事業」と「送配電事業」との内部取引消去後の数値を記載している。
② 資産、負債及び純資産の状況
資産は、原子力安全性向上対策工事等に伴う固定資産の増加に加え、棚卸資産などの流動資産が増加したことから、前連結会計年度末に比べ2,137億円増(+4.2%)の5兆3,423億円となった。
負債は、有利子負債の増加に加え、買掛金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ2,189億円増(+4.9%)の4兆6,660億円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ1,154億円増(+3.3%)の3兆6,380億円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加はあったが、配当金の支払による減少などにより、前連結会計年度末に比べ51億円減(△0.8%)の6,763億円となった。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.6ポイント低下し12.1%となった。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、国内電気事業において購入電力料支出の増加はあったが、小売販売収入や卸売販売収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ43億円収入増(+1.7%)の2,578億円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投融資の回収による収入の減少はあったが、設備投資による支出の減少などにより、前連結会計年度に比べ97億円支出減(△2.9%)の3,208億円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行・償還による収入の増加はあったが、長期借入金の返済による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ161億円収入減(△16.9%)の794億円の収入となった。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ178億円増加し、2,417億円となった。
当社グループの事業内容は、国内電気事業(発電・販売事業及び送配電事業)が大部分を占め、国内電気事業以外の事業の生産、受注及び販売の状況は、グループ全体からみて重要性が小さい。また、国内電気事業以外の事業については、受注生産形態をとらない業種が多いため、生産及び受注の状況を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため、以下では、生産及び販売の状況を、国内電気事業における実績によって示している。
(注) 1 百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 発電電力量は、送電端の数値を記載している。
4 「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱の総称である。
5 揚水発電所の揚水用電力量等は、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量及び自己託送の電力量である。
6 出水率は、当社の自流式水力発電電力量の1990年度から2019年度までの30か年平均に対する比である。
(注) 1 販売電力量の百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 小売販売収入は小売販売電力量、卸売販売収入は卸売販売電力量に対応する料金収入である。
4 小売販売電力量における新型コロナウイルス影響は△5億kWh程度である。
5 卸売販売電力量には間接オークションに伴う自己約定を含んでいる。
石炭、重油、原油、LNGの受払状況
(注) 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社)の合計値を記載している。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア 売上高(営業収益)及び経常利益
売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ2,213億円増(+14.5%)の1兆7,433億円、経常収益は2,241億円増(+14.6%)の1兆7,627億円となった。一方、経常費用は2,469億円増(+16.6%)の1兆7,303億円となった。以上により、経常利益は227億円減(△41.3%)の323億円となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
[発電・販売事業]
発電・販売事業は、国内における発電・小売電気事業等を展開している。
売上高は、小売販売収入がグループ一体となった営業活動などによる小売販売電力量の増や燃料価格上昇に伴う燃料費調整の影響などにより増加したことに加え、卸売販売収入やLNG転売益が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,936億円増(+14.6%)の1兆5,158億円となった。
経常損益は、総販売電力量の増加や当連結会計年度に開設された需給調整市場からの収入増、原子力発電所の稼働増などはあったが、燃料価格の上昇により燃料費調整の期ずれ影響が前連結会計年度の差益から差損に転じたことなどから、赤字幅が53億円拡大し59億円の損失となった。
[送配電事業]
送配電事業は、九州域内における一般送配電事業等を展開している。
売上高は、卸売販売収入が再生可能エネルギー電源からの買取増に伴う卸売販売電力量の増により増加したことなどから、前連結会計年度に比べ390億円増(+7.0%)の5,983億円となった。
経常利益は、売上高の増加はあったが、購入電力料が再生可能エネルギー電源からの買取額及び当連結会計年度に開設された需給調整市場からの調達費用の増加等により増加したことなどから、219億円減(△75.3%)の71億円となった。
[その他エネルギーサービス事業]
その他エネルギーサービス事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、再生可能エネルギー事業等を展開している。また、九電グループが培ってきた技術・ノウハウを活かし、海外事業の強化などにも取り組んでいる。
売上高は、ガス・LNG販売価格の上昇などにより、前連結会計年度に比べ181億円増(+10.1%)の1,986億円、経常利益は48億円増(+27.2%)の224億円となった。
[ICTサービス事業]
ICTサービス事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や事業ノウハウを活用し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報システム開発、データセンター事業等を展開している。
売上高は、情報システム開発受託の減少などにより、前連結会計年度に比べ5億円減(△0.4%)の1,124億円、経常利益は、光ブロードバンドサービスに係る設備の減価償却費の増加などもあり、2億円減(△3.8%)の61億円となった。
[その他の事業]
その他の事業は、不動産、有料老人ホーム、事務業務受託、人材派遣事業等を展開している。
売上高は、オール電化マンションの分譲販売などにより、前連結会計年度に比べ38億円増(+12.9%)の333億円、経常利益は18億円増(+42.2%)の61億円となった。
イ 渇水準備金引当又は取崩し
当連結会計年度は、出水率が87.8%と平水(100%)を下回ったことから、渇水準備引当金を6億円取り崩した。
ウ 特別損失
当連結会計年度は、インバランス収支還元損失や減損損失により74億円を特別損失に計上した。
エ 法人税等
法人税等は、当連結会計年度の課税所得の減少等に伴う法人税、住民税及び事業税の減少などから、前連結会計年度に比べ52億円減(△23.8%)の167億円となった。
オ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ249億円減(△78.4%)の68億円となった。1株当たり当期純利益は52.77円減の10.09円となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ア キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載している。
イ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、燃料代などの支払いや設備投資及び投融資、並びに借入金の返済及び社債の償還などに資金を充当している。
これらの資金需要に対して、自己資金に加え、社債や借入金により資金調達を行うとともに、一時的な資金需要の変動に対しては、コマーシャル・ペーパーなどにより機動的な対応を行っている。
また、流動性リスクについては、月次での資金繰により資金需要を的確に把握するよう努めるとともに、コミットメントラインや当座貸越、及びキャッシュ・マネジメント・サービスなどを活用することとしている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性、海外発電事業への投資の評価、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り、判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものは繰延税金資産の回収可能性と海外発電事業への投資の評価であり、詳細については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、「九電グループ経営ビジョン2030」に向けた中間目標として、「連結経常利益1,250億円以上(2025年度)」「自己資本比率20%程度(2025年度末)」の財務目標を設定しており、当連結会計年度においては、燃料価格上昇に伴う燃料費調整制度の一時的な期ずれ影響等により、経常利益323億円、自己資本比率12.1%となった。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した財務目標及び経営目標の実現に向けて、カーボンニュートラルに貢献する電化の推進などによる国内電気事業の収益拡大に加え、再生可能エネルギー事業や海外事業をはじめとする成長事業への投資による収益拡大などの取組みを引き続き推進していく。
該当事項なし。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、「九電グループ経営ビジョン2030」に掲げる「2030年のありたい姿」並びに「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」及び「九電グループ カーボンニュートラルの実現に向けたアクションプラン」に基づき、エネルギーサービス事業における「S+3E」を堅持しつつ、「当社グループの持続的成長と地域社会の発展」の視点を基本に以下を重点課題として研究開発に取り組んでいる。
(1) カーボンニュートラル実現に向けた研究開発
・分散型エネルギーリソースのアグリゲーション技術など再生可能エネルギーの主力電源化に関する研究
・水素製造・利活用、CCUS・カーボンリサイクルに関する研究
・ヒートポンプの活用などによる産業部門の電化に関する研究
・大型車向け充放電器開発など運輸部門の電化に関する研究 など
(2) 電力の安全・安定供給やコスト低減のための研究開発
・高度なセンサ技術やAI・IоTなどのデジタル技術を活用した電力設備の保全・運用に関する研究
・電力設備の保全業務の高度化・効率化に関する研究
・再生可能エネルギーの大量連系時における系統安定性、電力品質維持に関する研究 など
(3) 持続可能なコミュニティの共創に向けた研究開発
・ICTの活用などによる地域課題解決や新たなサービスの創出に関する研究
・カーボンニュートラル推進やレジリエンス強化といった自治体等のニーズに応じた地域エネルギーシステ
ムに関する研究
・九州の主力産業である農業の活性化に向けたスマート農業に関する研究 など
当連結会計年度の当社グループの研究開発費は