当社グループは、「ずっと先まで、明るくしたい。」をブランド・メッセージとする「九電グループの思い」のもと、「低廉で良質なエネルギーをお客さまにお届けすることを通じて、お客さまや地域社会の生活や経済活動を支える」ことを使命に、事業活動を進めている。
世界情勢が不安定な状況が続く一方で、データセンターや半導体関連産業による電力需要の増加が見込まれるなど、人々の生活や社会経済活動を支える電力を安定的に供給することの重要性がこれまで以上に高まっている。
また、世界的な脱炭素の潮流のなかで、当社グループは、2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」や「GX(グリーントランスフォーメーション)2040ビジョン」の方向性も踏まえ、日本政府の方針である「2050年カーボンニュートラル」の達成に向け、エネルギー事業者としての積極的な貢献が期待されている。
加えて、生成AI等のデジタル技術の急速な進展や、少子高齢化による労働力人口の減少、仕事に対する価値観の多様化など、現在の経営環境は大きな転換期にある。
当社グループは、事業を通じて「社会価値」と「経済価値」の双方を創出し、サステナブルな社会への貢献と九電グループの企業価値の向上を実現するサステナビリティ経営を推進している。
経営環境が大きく変化するなかにおいても、九電グループが地域とともに持続的な成長を続けるために、2025年5月、中長期的に目指す経営の方向性として「九電グループ経営ビジョン2035」を策定した。
今後、「九電グループ経営ビジョン2035」と「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」のもと、ROIC経営の推進、カーボンニュートラルの実現や人的資本経営推進などの取組みをグループ一体となって進めていく。
また、「九電グループ経営ビジョン2035」で掲げる「ありたい姿の実現に向けたグループ重点戦略」を、社会と当社グループのサステナビリティを実現していくうえでの経営上の重要課題(マテリアリティ)と位置づけ、その解決に向けた取組みを中期経営計画に反映させることで、マテリアリティ解決に向けた取組みの着実な推進を図り、持続可能な社会と九電グループの中長期的な成長の両立に繋げていく。(図1、2)
[図1 マテリアリティ(サステナビリティ実現に向けた経営上の重要課題)]

[図2 サステナビリティに係る理念等の体系]

Ⅰ カーボンマイナスへの挑戦
電化の進展、半導体工場・データセンターの新設により電力需要は大きく増加し、低・脱炭素の電気に対する期待は今後ますます高まっていく。
九電グループは、電気事業をはじめとする各事業のサプライチェーン温室効果ガス(GHG)排出量を極力抑制し、加えて社会全体のGHG排出削減へ貢献し、社会の期待に応えていく。これにより、「GHG排出量」<「GHG排出削減貢献量」のカーボンマイナスを2050年よりできるだけ早期に実現する。
Ⅱ 多様なニーズを叶えるソリューション進化
お客さまの事業・生活の「低・脱炭素化」「効率化・最適化」「強靭化」に役立つソリューションを、更に強化・充実していく。各事業領域でプラットフォーム型ビジネスを展開し、他事業者の商品・サービスも取扱うことでソリューションの提供領域を拡大する。これにより、新たな技術・ビジネスの創出に資するデータや、お客さまのニーズ把握に資する顧客情報を蓄積していく。
将来的には、上記データを事業横断的に活用し、ソリューションを更に高度化させていく。加えて、お客さまの潜在ニーズを把握し、お客さまニーズにマッチしたソリューションを提供し、「快適で、そして環境にやさしい」社会の実現に貢献していく。
Ⅲ 地域共創による価値創造と成長
九州の地場企業として、地域ニーズ・課題の把握・解決に向け、幅広い専門力(エネルギー、ICT、都市開発等)と地域とのネットワーク・信頼関係をベースに、地域共創ビジネスを推進する。また、環境性の高い電気等の九州の強みを活かし、海外も含めデータセンターや半導体産業をはじめとした企業の誘致を推進する。
地域社会の発展と暮らしの充実を図り、エネルギー需要やサービス機会を増大させることにより、九電グループの成長につなげていく。そして、地域共創の取組みを更に充実していくことで、地域とともに持続的に成長していく。
Ⅳ 価値創出に向けた人的資本経営
少子高齢化による労働力人口の減少や、働き手の価値観の多様化が進展するなかでも、経営ビジョンを実現するため、各事業に必要な多様な強みを有する人材の獲得・育成など、DE&Iを推進していく。
また、従業員のチャレンジ意欲を喚起し、自律的に能力を磨き、活かし、活躍していくためのキャリア形成支援の強化を図るとともに、個人の思いを起点に価値創出につなげる組織マネジメントへの進化に取り組む。
これらの基盤である安全を最優先とした事業運営など、従業員が安心して働くための環境整備も更に進め、従業員エンゲージメント及び生産性を高め、人と組織が共に成長し、持続的な価値創出につなげる人的資本経営を推進していく。
Ⅴ 企業変革をリードするDX推進
顧客ニーズの多様化や働き手不足を背景に、AIなどの技術革新を活用した変革が求められていることを踏まえ、九電グループ一体でデジタル技術を最大限活用し、生産性向上や業務プロセスの効率化・高度化・自動化を推進していく。
Ⅵ 革新と成長を支えるガバナンス強化
各事業部門がROICを意識した事業運営を行うとともに、グループ大で経営資源配分を定期的に見直すことで、事業ポートフォリオ管理を高度化し、長期的な企業価値向上を実現する。さらに、スピーディな事業領域拡大・新たな知見の獲得に向け、これまで以上に他事業者とのアライアンス・M&Aを積極的に推進していく。
その他、コーポレート・ガバナンスの充実や、安全と健康、コンプライアンス経営の推進、リスクマネジメントシステムの強化を図っていく。
当社グループとしては、これらの取組みを通じて、ステークホルダーの皆さまへの価値提供を果たしていく。
(文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したもの)
(1) サステナビリティ全般
当社グループは、「九電グループサステナビリティ基本方針」のもと、事業活動を通じて地域やグローバルな社会課題解決に貢献することで、持続可能な社会への貢献とグループの中長期的な企業価値向上の実現を目指している。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものである。

サステナビリティ経営の実践に向け、カーボンニュートラルをはじめとするESG(環境・社会・ガバナンス)の取組みを強力に推進するため、取締役会の監督下に、社長を委員長とし、社外取締役や関係統括本部長等を委員とする「サステナビリティ推進委員会」を設置している。本委員会では、サステナビリティ全般に係る戦略・基本方針の策定(マテリアリティの特定)、施策実施状況の進捗管理に加え、気候変動や人的資本等の重要なサステナビリティ課題に関する戦略、リスク・機会についての審議・監督を行っている。また、本委員会の下には、「カーボンニュートラル・環境分科会」及び「地域・社会分科会」を設置し、環境・社会問題全般について、より専門的な見地から審議を行っている。
年に2回以上開催する本委員会の審議結果は、取締役会に遅滞なく報告しており、取締役会はサステナビリティに係る活動全般を監督している。
■サステナビリティ経営推進体制図

当社グループは、「九電グループの思い」及び「九電グループサステナビリティ基本方針」のもと、中長期的に目指す姿として、「九電グループ経営ビジョン2035」と「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」を定め、グループ一体となった取組みを推進している。
これらの方針・ビジョン実現に向けた経営上の重要課題をマテリアリティとして特定し、その解決に向けた具体的取組みを中期経営計画(中期ESG推進計画)に落とし込むことで、着実な実践を図っている。
持続的に企業価値(経済価値)を高めていくためには、「短期」のみならず、「中長期」の社会情勢や経営環境の変化を見据えたうえで、今後の成長の障壁となりうるマテリアリティに焦点をあてた取組みを強化することが極めて重要である。そのため、当社グループは、企業価値(経済価値)につながる要素を「①短期の機会最大化」「②中長期の機会拡大」「③リスクの低減」の3つに分解し、それぞれの視点からマテリアリティ解決に向けた取組みを推進している。
■サステナビリティ経営を通じた企業価値向上モデル

当社グループの経営に影響を与えるリスクについて、毎年リスクの抽出、分類、評価を行い、全社及び部門業務に係る重要なリスクを明確にしている。把握したリスクについては、対応策を各部門及び事業所の事業計画に織り込むとともに、複数の部門等に関わるリスク及び顕在化の恐れがある重大なリスクについて、関連する部門等で情報を共有した上で、対応体制を明確にし、適切に対処している。特に、社会と企業のサステナビリティ実現に係るリスクについては、サステナビリティ推進委員会及び取締役会にて審議し、マテリアリティの見直し要否の判断につなげるとともに、対応策を中期ESG推進計画等に反映し、進捗管理を行うことで着実な実践を図っている。
当社グループの経営成績、財務状況等に重要な影響を与える可能性があると経営者が認識している主要なリスクは、「
当社グループでは、マテリアリティごとに目指す姿を設定するとともに、その着実な実現に向け、中期ESG推進計画において、各取組みの中期目標及び年度目標を設定の上、取組みの進捗を管理している。なお、当社グループ全体での指標及び目標の策定管理は、現在主要な事業会社において実施している。
■2025年度中期ESG推進計画
実績集計範囲 ※当社及び九州電力送配電株式会社
(2) 気候変動
世界共通の課題である気候変動への対応は、エネルギー事業者にとって、事業のあり方そのものに影響しうる大きなリスクであると同時に、持続的成長に向けたビジネス変革への新たなチャンスである。当社グループは、責任あるエネルギー事業者として、また、再生可能エネルギー開発の長い歴史を持ち、東日本大震災以降いち早く原子力の再稼働を実現した低・脱炭素のトップランナーとして、今後も脱炭素社会を牽引するとともに、その取組みを更なる企業成長につなげるため、気候変動への対応をグループ重点戦略(マテリアリティ)と位置づけ、グループ一体となった取組みを推進している。
気候変動対応については、サステナビリティ推進委員会を中心としたガバナンス体制のもと、その取組みを推進している。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 <ガバナンス>」に記載している。
当社グループが持続的に気候変動の緩和に貢献し、かつ成長し続けることができるよう、上昇温度が1.5℃と4℃のシナリオを想定し、リスク・機会等の分析を行っている。
また、その分析結果を踏まえた対応戦略については、サステナビリティ推進委員会で議論を重ねたうえで、具体的な行動計画を毎年策定する「中期ESG推進計画」の中に落とし込み、戦略実現の実効性を高めている。
いずれのシナリオにおいても、低・脱炭素のトップランナーとして、中期ESG推進計画の取組みを実践することで、機会の最大化・リスクの最小化を実現していく。
■主なリスク・機会と対応戦略
※1.5℃、4℃のシナリオごとで各項目のリスク・機会の影響度・発現可能性は異なる
<リスク管理>
気候変動に係るリスクは、他のサステナビリティ課題に係るリスクと共に管理している。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 <リスク管理>」に記載している。
<指標と目標>
低・脱炭素のトップランナーとして、2050年のサプライチェーン全体のGHGの実質ゼロにとどまらず、社会のGHG排出削減に大きく貢献する「カーボンマイナス」を2050年より早期に実現するというゴールを設定している。また、2030、2035年の経営目標(環境目標)として、チャレンジングな目標・KPIを設定し、その着実な達成に向けて、進捗を管理している。

※2021年実績。九州の電化率は、国の統計情報をもとに当社にて試算
■サプライチェーンGHG排出原単位の推移

(注)2050年のカーボンニュートラル実現及び2035年の環境目標、本ロードマップは国の政策支援及び技術確立等がなされることを見込んで設定したものであり、状況に応じて見直すことがあります。
※1 GHGプロトコルに準拠し、Scope1・2・3が対象
※2 高効率LNG火力の新増設、既設火力での水素・アンモニア混焼、CCS、低炭素電源からの調達 など
※3 再エネ拡大や次世代革新炉の開発・設置の検討 など
■サプライチェーンGHG排出量の推移

(3) 人的資本
九電グループを取り巻く事業環境が大きく変化する中で、経営ビジョンを実現する原動力となるのは人材であり、人的資本充実に向けた取組みを加速し、多様な人材の力を価値創出につなげることが重要である。このため、九電グループは、「個人の思い(Will)と組織のビジョン等を結び付け、人と組織が共に成長しながら価値創出につなげていく」ことを基本的考え方とする「人的資本経営」を推進し、持続的な企業価値向上を図る。
<ガバナンス>
人的資本経営については、サステナビリティ推進委員会を中心としたガバナンス体制のもと、その取組みを推進している。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 <ガバナンス>」に記載している。
<戦略>
人的資本経営の推進により、「従業員エンゲージメント」と「一人当たり付加価値」の向上を図り企業価値を高めていくため、人材戦略として、以下の戦略の5つの柱を設定し、各種施策を展開している。
■人的資本経営における人材戦略と価値創出プロセスの全体概念

◆戦略の柱ごとの取組み
[戦略の柱①]人と組織の進化による価値創出
会社や職場のビジョン・目標に共感し、自律的に挑戦する人材の力を組織の力に変え、人と組織が共に成長しながら価値創出につなげるための活動「QX(Qden Transformation)」に、2023年度から全社をあげて取り組んでいる。
QXの取組みでは、職場対話を中核としながら、エンゲージメントサーベイによる組織風土の改善サイクルをスパイラルアップさせるとともに、個々人の思いを実現するために必要なスキル獲得等を可能とする学びの環境も整備している。また、従業員のイノベーションのアイデアを起点に、社外とも連携しながら新たなビジネスやサービスを共創する「KYUDEN i-PROJECT」を実施し、柔軟な発想によるイノベーションを推進している。
加えて、デジタル技術を積極的に活用することで、業務の効率化・高度化・自動化を進め、人材がより付加価値の高い業務を担うことで、生産性を高め、付加価値創出を加速している。
[戦略の柱②]経営戦略の実現に必要な人材の獲得・育成
経営ビジョンの達成に向け、事業戦略の実現に必要な人材を整理した人材ポートフォリオに基づき、人材の獲得及び育成に取り組んでいる。人材の獲得については、他企業経験者・高度専門人材の採用を拡大するとともに、その専門力を発揮できるようスペシャリストコースを設ける等、キャリアルートも複線化している。また、人材の育成においては、電気事業を支える人材だけでなく、事業創造を牽引する人材の育成等、教育を体系化し、事業戦略の実現に取り組んでいる。

[戦略の柱③]自らの可能性にチャレンジできる仕組みづくり
従業員の自律的なキャリア形成を支援し、そのチャレンジを経営戦略実現の力とするため、個の自律的な学びや、社内外での副業・兼業等の多様な経験の機会を充実させるとともに、手挙げでの異動公募等の仕組みを整備している。

[戦略の柱④]多様な人材が活躍できる環境づくり
一人ひとりの力を引き出し、価値創出につなげるため、多様な人材が働きやすく、成長・働きがいを感じながら能力を最大限発揮できる環境づくりに向けてDE&Iを推進している。特に、女性活躍については、男女で管理職への就任状況に差が生じており、出産・育児等のライフイベントが業務経験に影響していること等がその主要因であることを踏まえ、出産・育児等の前に、部門の中核となる業務等を早期に付与する「キャリアの早回し」や、評価・登用における公正なキャッチアップに取り組むとともに、女性の声を活躍環境の整備に活かす「ウィメンズ・カウンシル」を設置し、経営層への提言を実施した。技術系部門においては女性が極めて少数であることから、女性の新卒採用拡大等の取組みを強化する。
また、男性の育児参画推進や、性的指向・性自認に関わらず、安心して自分らしく働くための制度整備や職場風土醸成に取り組んでいる。
さらに、生産性向上やワーク・ライフシナジー等を目的とし、業務改革、意識・風土改革、働く環境整備の三位一体で働き方改革を推進している。
[戦略の柱⑤]安心して働ける基盤づくり
多様な人材が安心して働き、能力発揮する基盤として、安全・健康・人権尊重に係る取組みを推進している。
事業の基盤である安全については、「安全はすべてに優先する」という基本方針を示した「九電グループ安全行動憲章」を意識と行動のベースとして、重大災害ゼロに向けた取組み等、安全活動を推進している。また、2023年4月に設立した安全教育施設「安全みらい館」において、当社グループ従業員を対象とした教育を展開し、安全への決意と実践力を育み、グループの総力をあげて安全文化を創造し、進化させている。また、健康については、「九州電力健康宣言」及び「九州電力健康経営方針」の下、全ての従業員が心身ともに健康で、活き活きと働ける会社づくりを目指す健康経営を推進している。さらに、「九電グループ人権方針」の下、人権を尊重した事業活動を展開するとともに、サプライチェーンに対しても責任ある行動を徹底している。
<リスク管理>
人的資本に係るリスクは、他のサステナビリティ課題に係るリスクと共に管理している。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 <リスク管理>」に記載している。
<指標と目標>
「人と組織が成長し続ける組織文化の醸成により未来の価値を創出」することを目指す姿とし、「従業員エンゲージメント」及び「一人当たり付加価値」を九電グループ経営ビジョン2035における人材面の経営目標としている。この経営目標の達成に向けて、下記のKPIにより取組み状況をモニタリングしている。

※1:年度の記載がないものは2025年度目標
※2:実績集計範囲は当社及び九州電力送配電株式会社(その他の指標は当社グループ全体)
※3:売上高から外部購入価値(燃料費や委託費等)及び減価償却費を差し引いたもの
(経常利益+人件費+賃借料+金融費用+租税公課等)
※4:社外提供のエンゲージメントサーベイにおけるレーティング(当該サーベイを利用する10,000を超える企業全体での偏差値をAAA~DDの11段階で区分したもの)
※5:手挙げ研修の受講等の「自律的な学び」、社内兼業や社外副業等の「多様な経験」、ジョブ・チャレンジ制度等を活用した「キャリア実現」への挑戦
※6:健康経営度調査の対象である40代以上を対象とする
Ⅰ リスクマネジメント体制及びプロセス
九電グループの経営に影響を与えるリスクについては、九州電力のリスク管理に関する規程に基づき、毎年リスクの抽出、分類、評価を行い、全社及び部門業務に係る重要なリスクを明確にしている。
各部門及び事業所は、明確にされた重要なリスク及び個別案件のリスク等への対応策を事業計画に織り込み、適切に管理している。
複数の部門等に関わるリスク及び顕在化のおそれがある重大なリスクについては、関連する部門等で情報を共有したうえで、対応体制を明確にし、適切に対処している。特に、原子力については、社外の知見や意見等も踏まえ、幅広いリスクの把握に努めるとともに、取締役、執行役員等による情報の共有化を行い、継続的にその低減を図っている。
また、非常災害等の事象が発生した場合に迅速、的確に対応するため、予めその対応体制や手順等を規程に定めるとともに、定期的に訓練等を実施している。
こうしたリスクマネジメントの適正性の確保等を図るため、業務執行に対して中立性を持った内部監査部門により、各部門やグループ会社におけるリスクマネジメントの実施状況について監査を行っている。
(1) リスクマネジメント体制

(2) リスクマネジメントプロセス

Ⅱ リスク認識と対応策
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると経営者が認識している主要なリスクは、以下のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものである。
(1) 競争環境等の変化
① 国内電気事業
② 海外事業
③ その他エネルギーサービス事業
④ ICTサービス事業、都市開発事業、新規領域の事業
(2) 原子力発電を取り巻く状況
① 安全の確保を大前提とした原子力の最大限活用
② 原子燃料サイクル
③ 原子力バックエンド事業
(3) 市場価格の変動
① 燃料価格の変動
② 金利の変動
③ 卸電力取引所における取引価格の変動
(4) 電気事業関係の制度変更等
(5) 気候変動に関する取組み
(6) 設備事故・故障、システム障害など
① 自然災害
② 設備の高経年化等
③ 燃料供給支障
④ 資機材・役務調達の不安定化
⑤ システム障害
⑥ サイバー攻撃
(7) オペレーショナルリスク
① 業務上の不備
② 法令違反等
③ 人権侵害
④ 知的財産侵害等
⑤ 環境負荷低減取組み不十分・環境汚染
⑥ 人材確保困難化・従業員エンゲージメントの低下
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度のわが国経済は、個人消費や設備投資を中心に緩やかに回復している。九州経済も、雇用・所得環境が改善し個人消費が堅調に推移するなか、設備投資は高水準で推移し、緩やかに回復している。
当社グループにおいては、「九電グループ経営ビジョン2030」の実現に向け、国内電気事業において、事業活動全般にわたる徹底した効率化や収益拡大を目指すとともに、再エネ事業・海外事業・ICTサービス事業・都市開発事業などの成長事業においても、更なる成長軌道に乗せるための様々な戦略を実行に移してきた。また、安全性の確保を前提とした原子力の最大限の活用などによる「電源の低・脱炭素化」や「電化の推進」など、カーボンニュートラルの実現に向けた取組みにもグループ一体となって取り組んできた。
当連結会計年度の業績については、猛暑や厳冬に伴う冷暖房需要等による小売販売電力量などの増加はあったものの、燃料費調整の期ずれ影響による差益の減少や、卸電力取引価格の変動影響などにより、前連結会計年度に比べ減益となった。
当連結会計年度の小売販売電力量については、域内の契約電力が減少したものの、気温が前連結会計年度に比べ夏季は高く冬季は低く推移したことや、域外の契約電力が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ2.9%増の756億kWhとなった。また、卸売販売電力量については、取引所取引の増加などにより51.6%増の254億kWhとなった。この結果、総販売電力量は11.9%増の1,010億kWhとなった。
小売・卸売に対する供給面については、原子力をはじめ、火力・揚水等発電設備の総合的な運用等により、また、エリア需給については、調整力電源の運用及び国のルールに基づく再エネ出力制御の実施等により、安定して電力をお届けすることができた。
当連結会計年度の連結収支については、収入面では、国内電気事業において、小売販売電力量の増加はあったものの燃料費調整の影響などにより小売販売収入等は減少したが、卸売販売電力量の増加や当連結会計年度から新たに容量確保契約金額を計上したことにより卸売販売収入が増加したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度に比べ2,173億円増(+10.2%)の2兆3,568億円、経常収益は2,263億円増(+10.4%)の2兆3,963億円となった。
支出面では、国内電気事業において、卸電力市場価格の上昇に加え、他社受電の増加や容量拠出金の計上により購入電力料が増加したことなどから、経常費用は2,698億円増(+14.0%)の2兆2,016億円となった。
以上により、経常利益は前連結会計年度に比べ434億円減(△18.3%)の1,946億円、親会社株主に帰属する当期純利益は減損損失や関係会社事業に係る損失を特別損失に計上したことなどから376億円減(△22.6%)の1,287億円となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
[参考]国内電気事業再掲
(注) 「発電・販売事業」と「送配電事業」との内部取引消去後の数値を記載している。
② 資産、負債及び純資産の状況
資産は、棚卸資産などの流動資産の減少はあったが、設備投資などにより固定資産が増加したことから、前連結会計年度末に比べ467億円増(+0.8%)の5兆7,740億円となった。
負債は、有利子負債や未払税金が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ634億円減(△1.3%)の4兆7,427億円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ466億円減(△1.2%)の3兆7,188億円となった。
純資産は、配当金の支払による減少はあったが、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどから、前連結会計年度末に比べ1,102億円増(+12.0%)の1兆312億円となった。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.8ポイント向上し17.3%となった。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、国内電気事業において、卸売販売収入の増加はあったが、購入電力料支出が増加したことや小売販売収入等が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ1,542億円収入減(△26.3%)の4,318億円の収入となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投融資による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ145億円支出増(+4.2%)の3,588億円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債発行による収入の増加などにより、前連結会計年度に比べ591億円支出減(△39.3%)の913億円の支出となった。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ145億円減少し、3,496億円となった。
当社グループの事業内容は、国内電気事業(発電・販売事業及び送配電事業)が大部分を占め、国内電気事業以外の事業の生産、受注及び販売の状況は、グループ全体からみて重要性が小さい。また、国内電気事業以外の事業については、受注生産形態をとらない業種が多いため、生産及び受注の状況を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため、以下では、生産及び販売の状況を、国内電気事業における実績によって示している。
(注) 1 百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 発電電力量は、送電端の数値を記載している。
4 「新エネルギー等」は、太陽光、風力、バイオマス、廃棄物及び地熱などの総称である。
5 揚水発電所の揚水用電力量等は、貯水池運営のための揚水用に使用する電力量及び自己託送の電力量である。
6 出水率は、当社の自流式水力発電電力量の1993年度から2022年度までの30か年平均に対する比である。
(注) 1 販売電力量の百万kWh未満は四捨五入のため、合計の数値が一致しない場合がある。
2 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社、九電みらいエナジー株式会社)の合計値(内部取引消去後)を記載している。
3 小売販売収入は小売販売電力量、卸売販売収入は卸売販売電力量に対応する料金収入である。
4 卸売販売電力量には間接オークションに伴う自己約定を含んでいる。
5 電灯料及び電力料には「電気・ガス価格激変緩和対策事業」、「酷暑乗り切り緊急支援」及び「電気・ガス料金負担軽減支援事業」により国が定める値引きの原資として受領する補助金収入は含んでいない。
石炭、重油、LNGの受払状況
(注) 当社及び連結子会社(九州電力送配電株式会社)の合計値を記載している。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア 売上高(営業収益)及び経常利益
売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ2,173億円増(+10.2%)の2兆3,568億円、経常収益は2,263億円増(+10.4%)の2兆3,963億円となった。一方、経常費用は2,698億円増(+14.0%)の2兆2,016億円となった。以上により、経常利益は434億円減(△18.3%)の1,946億円となった。
報告セグメントの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりである。
[発電・販売事業]
発電・販売事業は、国内における発電・小売電気事業等を展開している。
売上高は、小売販売電力量の増加はあったものの、燃料費調整の影響などにより小売販売収入等が減少したが、卸売販売電力量の増加や容量確保契約金額の計上により卸売販売収入が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ1,891億円増(+10.4%)の2兆89億円となった。
経常利益は、売上高の増加はあったものの、燃料費調整の期ずれ影響による差益の減少や、卸電力取引価格の変動影響などにより、338億円減(△22.9%)の1,137億円となった。
[送配電事業]
送配電事業は、九州域内における一般送配電事業等を展開している。
売上高は、エリア電力需要の増加などにより託送収益が増加したことや、再生可能エネルギー電源からの買取量の増加などにより卸電力市場への卸売販売収入が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ494億円増(+7.1%)の7,478億円となった。
経常利益は、託送収益は増加したものの、需給調整関連費用が増加したことなどから、147億円減(△35.7%)の266億円となった。
[海外事業]
海外事業は、海外における発電・送配電事業等を展開している。
売上高は、地熱IPPプロジェクトに係る収入の減少などにより、前連結会計年度に比べ13億円減(△23.5%)の44億円、経常利益は、持分法による投資利益の増加などにより、35億円増(+65.7%)の88億円となった。
[その他エネルギーサービス事業]
その他エネルギーサービス事業は、電気設備の建設・保守など電力の安定供給に資する事業、お客さまのエネルギーに関する様々な思いにお応えするため、ガス・LNG販売、石炭販売、再生可能エネルギー事業等を展開している。
売上高は、LNG販売の増加やLNG輸送サービス事業に係る取引量の増加及び石炭販売の増加などにより、前連結会計年度に比べ345億円増(+11.5%)の3,340億円、経常利益は、売上原価の増加などもあり、前連結会計年度並みの339億円となった。
[ICTサービス事業]
ICTサービス事業は、保有する光ファイバ網やデータセンターなどの情報通信事業基盤や事業ノウハウを活用し、データ通信、光ブロードバンド、電気通信工事・保守、情報システム開発、データセンター事業等を展開している。
売上高は、自治体向け情報システム販売の増加や光ブロードバンドサービスの販売拡大などにより、前連結会計年度に比べ64億円増(+4.9%)の1,378億円、経常利益は、光ケーブル整備に関する自治体等からの補助などもあり、27億円増(+35.4%)の105億円となった。
[都市開発事業]
都市開発事業は、不動産開発・運営事業、官民連携事業等を展開している。
売上高は、オール電化マンション販売の減少などにより、前連結会計年度に比べ4億円減(△1.4%)の285億円、経常利益は3億円減(△10.0%)の34億円となった。
イ 渇水準備金引当又は取崩し
当連結会計年度は、出水率が100.8%と平水(100%)を上回ったことから、将来の渇水による費用増加に備えるため、渇水準備引当金を2億円引き当てた。
ウ 特別損失
当連結会計年度は、減損損失や関係会社事業損失により138億円を特別損失に計上した。
エ 法人税等
法人税等は、当連結会計年度の課税所得の減少等に伴う法人税、住民税及び事業税の減少などから、前連結会計年度に比べ66億円減(△11.7%)の500億円となった。
オ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ376億円減(△22.6%)の1,287億円となった。1株当たり当期純利益は82.16円減の260.14円となった。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ア キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載している。
イ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、燃料代などの支払いや設備投資及び投融資、並びに借入金の返済及び社債の償還などに資金を充当している。
これらの資金需要に対して、自己資金に加え、社債や借入金により資金調達を行うとともに、一時的な資金需要の変動に対しては、コマーシャル・ペーパーなどにより機動的な対応を行っている。
また、流動性リスクについては、月次での資金繰により資金需要を的確に把握するよう努めるとともに、コミットメントラインや当座貸越、及びキャッシュ・マネジメント・サービスなどを活用することとしている。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。
当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、固定資産の減損、海外発電事業への投資及び海外における発電所建設等のサービスに係る金融資産の評価、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、退職給付に係る負債及び資産、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り、判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、特に重要なものは海外発電事業への投資及び海外における発電所建設等のサービスに係る金融資産の評価であり、詳細については、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、「九電グループ経営ビジョン2035」において、「連結経常利益1,800億円(2030年度)」「連結ROIC3.3%(2030年度)」の財務目標を設定している。当連結会計年度においては、燃料費調整の期ずれ影響による差益の減少や卸電力取引価格の変動影響などにより前連結会計年度と比べ減益となったものの、猛暑や厳冬による冷暖房需要の増加などもあり、経常利益1,946億円、連結ROIC3.6%となった。なお、期ずれ影響を除いた経常利益1,850億円程度から気温影響など一過性の収支好転要因を除いた経常利益は1,500億円程度、連結ROICは3%程度となる。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した財務目標の実現に向けて、原子力の安全・安定運転の継続や設備利用率向上の取組み、卸販売の推進や電化の推進などによる総合エネルギーサービス事業の収益拡大に加え、再生可能エネルギー事業や海外事業をはじめとする成長事業への投資による収益拡大などの取組みを引き続き推進していくとともに、投下資本のスリム化・最適化に取り組んでいく。
当社は、2023年4月28日の取締役会において、第三者割当の方法によりB種優先株式を発行することを決議し、割当先との間でB種優先株式の発行及び引受に関する投資契約(以下「本契約」という。)を締結している。
(1) 本契約の概要及び事前承諾事項
(2) 事前承諾に関する合意の目的
重要な会社の変更を事前承諾事項として設定することで、割当先が保有するB種優先株式の価値を保護することを目的としている。
(3) 本契約締結に至る過程
(4) 当社の企業統治に及ぼす影響
本契約において、当社は、割当先がかかる承諾の可否の判断に際し、当社の意向を最大限尊重し、不合理に拒絶又は留保しないものとする旨の確認を各割当先から得ていること等から、当社の経営に及ぼす影響は限定的と考えている。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、「九電グループ経営ビジョン2035」に掲げる「2035年のありたい姿」並びに「九電グループ カーボンニュートラルビジョン2050」及び「九電グループ カーボンニュートラルの実現に向けたアクションプラン」に基づき、エネルギーサービス事業における「S+3E」を堅持しつつ、社会と当社グループのサステナビリティを実現する上で優先的に取り組むべき経営上の課題(マテリアリティ)解決に必要な以下の研究開発に取り組んでいる。
(1) 「カーボンマイナスへの挑戦」に資する研究開発
・分散型エネルギーリソースのアグリゲーション技術など再生可能エネルギーの主力電源化に関する研究
・再エネポテンシャルの最大限活用に向けた送配電ネットワークの高度化に関する研究
・再生可能エネルギー併設型蓄電池によるマルチユース運用に関する研究
・安全性の確保を大前提とした原子力の最大限活用に資する研究
・水素製造・利活用、CCUS・カーボンリサイクルに関する研究
・火力発電所へのアンモニア混焼に関する研究
・ヒートポンプの活用などによる産業部門や農業部門の電化に関する研究
・EV向けの充放電器やEMSの開発など運輸部門の電化に関する研究 など
(2) 「多様なニーズを叶えるソリューション進化」に資する研究開発
・電力市場や燃料市場に関する政策・規制等の動向調査や電力取引のリスク管理への適用に関する研究
・効率的で持続可能な農業の実現を目指したスマート農業に関する研究
・蓄電池や電気運搬船を活用した港湾電化および海上パワーグリッド構想の実現に向けた研究 など
(3) 「地域共創による価値創造と成長」に資する研究開発
・量子技術を活用した避難経路の最適化などDeepTech活用による地域課題解決や新たなサービスの創出に関する研究
・カーボンニュートラル推進やレジリエンス強化といった自治体等のニーズに応じた地域エネルギーシステムに関する研究
・ドローン技術やAI技術などを活用したレジリエンス強化に関する研究 など
(4) 「企業変革をリードするDX推進」に資する研究開発
・最新のデジタル技術(LLM、RAG、AI TRiSM等)に関する調査・研究・開発
・高度なセンサ技術やAI技術などを活用した電力設備の保全業務の高度化・効率化に関する研究 など
また、知的財産面においては、コーポレートガバナンス・コードの改訂(2021年6月)を踏まえた知財・無形資産ガバナンスガイドラインの策定を受け、2023年12月に「知財戦略」を策定し、知財の創造・保護・活用の知的創造サイクルを回すことにより企業価値を向上させ、研究開発との連携により経営・事業戦略に知財面から貢献することとしている。
当連結会計年度の当社グループの研究開発費は