第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1)当社グループの目指すべき姿及び経営の基本的方向性

当社グループは、「総合エネルギー事業をコアとして、ビジネス・生活サポートを通した新しい価値の創造を目指し、地域に生き、共に発展する一体感のある企業グループ」を目指して様々な取り組みを推進している。経営の基本的方向性として、「エネルギーの安定供給に尽くす」「お客さまの多様なニーズに対応し、満足度の向上に尽くす」「地域社会の良き企業市民として社会的責任を果たす」「人を育み、人を大切にする」「積極的な事業展開と不断の経営効率化を通じて持続的成長を図る」の5つを位置付けている。

(2)中長期的な経営戦略

グループの中心である電気事業においては、電力システム改革を契機に、沖縄県内においても新電力が参入し、本格的な競争時代を迎えている。

このような状況の下、当社グループの目指すべき姿の実現ならびに2020年度・2025年度の財務目標の達成に向けて『沖縄電力中期経営計画(2019-2021)』を策定し、グループ一丸となって果敢に挑戦していく。

(3)目標とする経営指標

当社グループは、収益性及び資本効率の向上に係る財務目標を、以下のとおり設定している。

 

2020年度

2025年度

経常利益

90億円以上

120億円以上

ROE[自己資本当期純利益率] ※

4%以上

5%以上

自己資本比率

30%台維持

30%台維持

※ROE = 親会社株主に帰属する当期純利益 ÷ 自己資本〔期首・期末平均〕

(4)経営環境及び対処すべき課題

電力需要については、省エネの進展等により当社電力需要の伸びの鈍化が見込まれる一方、大規模都市開発計画等による新たなエネルギー需要が期待される。

収益面については、オール電化の強力な推進、県内熱需要の低炭素化に資する天然ガスへの燃料転換、最適なエネルギーサービスの提供など、電気とガスの両方を供給できる当社グループの強みを活かした総合エネルギーサービスの積極的な展開により、販売拡大を図っていく。また、更なる収益基盤の構築およびグループ収益の拡大に向け、新規事業、新規投資案件の掘り起こしにも積極的に取り組み、成長分野への投資を強化していく。

コスト面については、ゼロベースでの業務の検証や見直しを断行し、激しく変化する事業環境に的確に対応するとともに、競争力の強化に取り組んでいく。

災害対策については、地震・津波等の自然災害に強い設備形成など、防災・減災意識を高めた事業運営および設備管理を徹底するとともに、台風時における迅速な復旧に向けたグループ・協力会社を挙げた全社的な復旧体制の充実や自治体等の防災関係機関との連携、タイムリーな情報発信など、更なる対策強化に取り組んでいく。

地球温暖化対策については、電気事業全体でCO排出抑制目標の達成に向けて取り組んでおり、当社においては、最も有力な手段である液化天然ガスを燃料とした吉の浦火力発電所の着実な運用等を通し、低炭素社会の実現に向けて取り組んでいく。

無事故無災害への取り組みについては、「安全」は経営の根幹であり、当社事業に従事する全ての者の安全確保が最優先事項であることを強く認識し、グループ・協力会社一体となって、安全文化の浸透や安全管理の徹底に努めるとともに、エネルギーの安定供給という使命を果たしていく。

また、従業員の心身における健康を確保し、仕事と生活の調和を図るため、長時間労働の防止等、適正な労働時間管理にも徹底して取り組んでいく。

電気事業以外の事業については、好調な県経済を背景とした市場の好機を捉え、総合エネルギー事業を中心に建設業・不動産業、IT関連事業など、これまでの事業運営で培ったグループ各社の強みと総合力を発揮して更なる収益拡大に取り組んでいく。

 

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、以下のようなものがある。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1) 電気事業に関する制度変更等について

電力システム改革については、電力広域的運営推進機関の設置、小売全面自由化に続き、2020年には送配電部門の一層の中立化を図るための法的分離が予定されているが、当社は小売電気事業、発電事業を営むことができる「認可一般送配電事業者」に位置付けられることにより、引き続き発送電一貫体制を維持することになる。

一方、国のエネルギー政策やそれに伴う電気事業に係る制度変更、環境規制の強化などの動向によって、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

(2) 電気事業以外の事業について

当社グループは、電気事業を核として建設業、IT関連事業、不動産業、ガス供給事業、再エネ事業等の事業を展開している。

当社グループの業績は、他事業者との競合の進展など事業環境の変化により、影響を受ける可能性がある。

(3) 販売電力量の変動について

当社グループの中核事業である電気事業において、販売電力量は気象状況(気温や台風等)や景気動向、省エネルギーの進展、他事業者との競争状況などによって変動することから、当社グループの業績はそれらの状況により影響を受ける可能性がある。

(4) 燃料価格の変動について

当社グループの電気事業における主要な火力燃料は、石炭・重油・LNGであるため、燃料価格及び外国為替相場等の動向によって燃料費は変動する。

燃料価格及び外国為替相場の変動を電気料金へ反映させる「燃料費調整制度」があるが、燃料価格等が著しく変動した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

(5) 金融市場の動向について

当社グループの有利子負債残高は、2019年3月末時点で1,809億円であり、今後の市場金利動向や格付けの変更による調達金利の変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

ただし、有利子負債残高の大部分を固定金利で調達していることから、金利変動による業績への影響は限定的と考えられる。

また、当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されている。割引率や運用利回りの変動により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

(6) 沖縄振興特別措置法等に基づく特別措置について

当社は、沖縄振興特別措置法により、沖縄における電気の安定的かつ適正な供給を確保するため、資金の確保等に関する特別措置を受けており、これと併せて、沖縄振興開発金融公庫法、同業務方法書等に基づき同公庫から最優遇金利による融資を受けている。

また、当社は、税法上の特別措置(固定資産税の軽減、石炭およびLNGに係る石油石炭税の免除)を受けているが、これによる特別措置額は、お客さまに還元されている。

当該制度が撤廃された場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(7) 自然災害・トラブルの発生について

当社グループは、お客さまに電気・ガスを安定的に供給するため、設備の点検・修繕を計画的に実施し、設備の信頼性維持・向上に努めている。

しかしながら、大規模な地震・津波・台風等の自然災害や設備事故等のトラブルが発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

(8) 個人情報の流出について

当社グループが事業を行うために取得・管理しているお客さまの個人情報(特定個人情報を含む)については、充分な対策を講じているが、万が一、外部流出により問題が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

(9) 企業倫理に反する行為の発生について

当社グループは、コンプライアンス意識の維持・向上を図るため、法令遵守・企業倫理に関する取り組みを実施しているが、法令違反等の企業倫理に反する行為により社会的信用の低下などが発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態および経営成績の状況

2018年度の沖縄県経済は、個人消費が堅調で、観光は好調、建設関連も公共投資が底堅く推移していることなどにより、全体として拡大した。

このような状況の中で、当連結会計年度の収支については、売上高(営業収益)は、前連結会計年度に比べ93億46百万円増(4.8%増)の2,054億81百万円となった。

営業費用は前連結会計年度に比べ132億37百万円増(7.1%増)の2,000億38百万円となった。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ38億90百万円減(41.7%減)の54億43百万円となった。

また、営業外損益を含めた経常利益は31億60百万円減(37.7%減)の52億20百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は25億22百万円減(40.2%減)の37億51百万円となった。

セグメントの業績は次のとおりである。

電気事業

売上高は、販売電力量の減少があったものの、燃料費調整制度の影響により、前連結会計年度に比べ78億84百万円増(4.2%増)の1,959億60百万円となった。

一方、営業費用は、減価償却費や修繕費が減少したものの、燃料費や他社購入電力料が増加したことから、前連結会計年度に比べ115億38百万円増(6.4%増)の1,924億53百万円となった。

この結果、営業利益は36億53百万円減(51.0%減)の35億7百万円となった。

その他

売上高は、民間工事やガス供給事業の増などにより、前連結会計年度に比べ20億51百万円増(4.6%増)の471億11百万円、営業費用は前連結会計年度に比べ22億64百万円増(5.3%増)の451億66百万円となった。

この結果、営業利益は2億13百万円減(9.9%減)の19億44百万円となった。

 

②キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増減額の減少などにより、前連結会計年度に比べ160億1百万円減(49.1%減)の166億8百万円の収入となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べ21億70百万円増(14.2%増)の174億8百万円の支出となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済などにより、7億78百万円の支出となった。

この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ15億78百万円減(8.7%減)の165億8百万円となった。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループの主たる事業である電気事業セグメントのみを記載している。

需給実績

種別

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

発受電電力量

 

 

自社火力発電電力量(千kWh)

5,811,718

93.0

自社新エネルギー発電電力量(千kWh)

1,298

84.7

他社受電電力量(千kWh)

1,929,681

106.8

合計(千kWh)

7,742,697

96.1

損失電力量(千kWh)

289,291

98.5

販売電力量(千kWh)

7,453,407

96.0

(注)1.自社の発電電力量は、送電端の電力量を記載している。

      2.販売電力量の中には、建設工事用電力及び事業用電力(12,343千kWh)を含んでいる。

 

販売実績

種別

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

販売電力量

(百万kWh)

電灯

2,960

94.3

電力

4,493

97.2

7,453

96.0

料金収入

(百万円)

電灯

80,267

99.9

電力

97,460

105.4

177,727

102.8

(注)上記料金には、消費税等は含まれていない。

 

資材の実績

石炭、燃料油及びLNGの受払実績

区分

前連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

期首在庫量

当期受入

当期払出

期末在庫量

期首在庫量

当期受入

当期払出

期末在庫量

石炭(t)

211,737

1,503,428

1,537,779

177,386

177,386

1,426,009

1,371,290

232,105

重油(kl)

68,694

260,862

265,771

63,785

63,785

277,477

274,107

67,155

軽油(kl)

807

1,053

1,022

838

838

1,591

1,268

1,161

灯油(kl)

3,607

21,985

21,734

3,858

3,858

16,752

15,121

5,489

LNG(t)

57,988

242,804

269,017

31,775

31,775

267,760

263,612

35,923

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度の販売電力量は、電灯については、お客さま数が増加したものの、気温が前年度に比べ夏場は低く、冬場は高めに推移したことによる冷暖房需要の減少などにより、前連結会計年度を下回った。電力については、前年度に比べ夏場の気温が低めに推移したことや、他事業者への契約切り替えによる需要減などにより、前連結会計年度を下回った。

この結果、電灯と電力の販売電力量合計は、前連結会計年度に比べ4.0%減の74億53百万kWhとなった。

 

当連結会計年度の経営成績は、売上高については、電気事業において、販売電力量の減少があったものの、燃料費調整制度の影響により、前連結会計年度に比べ93億46百万円増(4.8%増)の2,054億81百万円となった。営業費用については、電気事業において、減価償却費や修繕費が減少したものの、燃料費や他社購入電力料が増加したことから、前連結会計年度に比べ132億37百万円増(7.1%増)の2,000億38百万円となった。

この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ38億90百万円減(41.7%減)の54億43百万円、営業外損益を含めた経常利益は31億60百万円減(37.7%減)の52億20百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は25億22百万円減(40.2%減)の37億51百万円となった。

 

当連結会計年度の財政状態は、資産については、固定資産の減価償却に伴う減少などにより、前連結会計年度末に比べ29億83百万円減(0.7%減)の3,991億4百万円となった。負債については、支払手形及び買掛金の減少などにより、26億28百万円減(1.1%減)の2,467億円となった。純資産については、剰余金の配当などにより、3億55百万円減(0.2%減)の1,524億4百万円となった。

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度に比べ0.1ポイント増の37.8%となった。

 

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動については、仕入債務の増減額の減少などにより、前連結会計年度に比べ160億1百万円減(49.1%減)の166億8百万円の収入となった。投資活動については、固定資産の取得による支出の増加などにより、21億70百万円増(14.2%増)の174億8百万円の支出となった。

この結果、差し引きのフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ181億72百万円減の7億99百万円のマイナスとなった。

財務活動については、長期借入金の返済などにより、7億78百万円の支出となったことから、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ15億78百万円減(8.7%減)の165億8百万円となった。

 

当社グループの資本の財源については、電気事業等を行うための設備投資と債務償還などに必要な資金を、自己資金に加えて、金融機関からの長期借入や社債発行により調達している。また、短期的な運転資金を銀行借入やコマーシャル・ペーパー発行により調達している。資金の流動性については、各種計画に基づき、適時に資金繰計画を作成・更新するほか、当座借越枠の設定やコミットメントラインの取得により確保している。

 

なお、当社グループは、収益性及び資本効率の向上に係る財務目標を設定している。財務目標の達成に向けて、電気とガスの両方を供給できる総合エネルギー事業者として、グループの強みを最大限に発揮し、電気とガスの販売拡大に取り組むとともに、グループの既存事業の売上拡大、新たな事業の掘り起こしなど、グループ全体で収益拡大に取り組んでいく。

また、抜本的かつ継続的なコスト低減と業務効率化を推し進め、収益性の向上を図ることで、財務目標の着実な達成に繋げていく。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はない。

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、電気事業に関わる分野を中心に、主として当社が担当し実施している。

研究開発は、良質な電気の安定供給や地球環境との調和等、持続的成長を図る研究を推進しつつ、新技術調査研究等新しい価値の創造を目指し行っている。

研究の実施にあたっては、限られた資源を有効に活用するとともに、公的研究機関をはじめ、電気事業者各社、(一財)電力中央研究所等、社外機関と積極的に情報交換・協調・連携を図り、国等の補助金の活用や他研究機関との共同研究を行うこと等により、より効率的かつ効果的な研究開発を目指している。

当連結会計年度における研究開発費の総額は584百万円となる。

主要研究開発は次のとおりである。

(1) 持続的成長を図る研究の推進

①良質な電気の安定供給を目指した研究

・災害に強い電力システム構築に関する調査研究 等

②地球環境との調和を目指した研究

・宮古島における系統安定化に関する調査研究 等

③適正利益水準の確保を目指した研究

・総合エネルギーサービスに繋がる調査研究

・小型無人航空機(ドローン)を用いた設備点検の高度化に関する研究

 

(2) 新しい価値の創造を目指した新技術等への挑戦

・新技術調査研究