第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月28日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

当社グループは、「人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献する」という企業理念のもとに、公益事業としての使命を果たしつつ、多くのステークホルダーにとって魅力ある安定成長企業となるため、国内事業における設備信頼性の確保、再生可能エネルギーの拡大と石炭利用の低炭素化・脱炭素化に向けた技術開発などによる低炭素社会への貢献、成長が見込まれる海外での発電事業のさらなる展開、これら事業を支える財務健全性の維持などに着実に取り組んでおります。

当社グループは、公正で透明な経営を行うとともに、上記取り組みを通じて企業価値の増大を図り、多様なステークホルダーの期待に応えてまいります。

 

(2) 当社グループを取り巻く経営環境と対処すべき課題

わが国の電気事業においては、平成27年7月に「長期エネルギー需給見通し」が策定され、再生可能エネルギー、原子力、石炭火力などのエネルギーミックス目標が示されるとともに、国際社会に向けた新たなCO2削減目標の決定、平成28年4月から開始された電力小売の全面自由化と卸規制の撤廃、さらに平成32年に予定されている発送電分離など、事業環境が大きく変化しております。

こうした状況を受け、当社グループは、平成27年3月に実施した公募増資と自己株式の処分による資金調達を梃子とする今後10年間の更なる成長に向けた挑戦を、中期経営計画として策定いたしました(平成27年7月31日公表)。その方向性は、「国内での成長は、自由化された市場で競争に勝ち抜くことにより実現」、「企業成長の舞台を国内外に広く求めるグローバル展開」、「国内外での成長を、一層の低炭素化技術で支える」の3点であり、これらの方向性を具体化するために、以下の取り組みを推進し、更なる成長と企業価値の向上に努めてまいります。

 

①再生可能エネルギーの拡大

当社グループは、設立以来、電力安定供給およびCO2排出削減に大きく貢献する水力発電で大量の電気を生み続けており、今後も長期安定稼働に取り組みつつ、更なる水力発電の活用(中小水力開発、既設発電所の主要設備一括更新に伴う増出力等)も併せて進めてまいります。

風力発電につきましては、建設中のプロジェクト(せたな大里、くずまき第二、にかほ第二)の着実な推進に加え、引き続き風況良好な地点を継続的に発掘・培養し事業基盤の拡大を図るとともに、保守・運営の効率化による設備稼働率の向上に取り組み、収益力向上に努めてまいります。また、洋上風力事業についても取り組んでまいります。

ベースロード電源である地熱発電についても、建設中の山葵沢地熱発電所(出力4.2万kW、三菱マテリアル株式会社および三菱ガス化学株式会社との共同事業、平成31年運転開始予定)の着実な推進に加え、新規開発、既設リプレースに取り組んでまいります。

当社グループは、技術力を活かし、純国産CO2フリーエネルギーのトップランナーとして、再生可能エネルギーによる低炭素社会の実現に貢献してまいります。

 

②石炭利用の低炭素化・脱炭素化への挑戦

世界に広く賦存し安定的なエネルギー資源である石炭を利用し、バランスのとれたエネルギーミックスの実現に貢献していくとともに、化石エネルギー電源の脱炭素化に挑戦し、低炭素社会の実現に貢献してまいります。

 (a) 技術開発の取り組み

当社グループは、2050年代ゼロエミッションに向けて、酸素吹石炭ガス化複合発電(酸素吹IGCC)の商用化を目指すとともに、CO2回収・貯留(CCS)技術・水素などの研究開発に取り組んでまいります。

このような技術開発の一環として、当社グループは、中国電力株式会社と共同で大崎クールジェン株式会社を設立いたしました。平成29年3月には酸素吹IGCC技術実証試験(第1段階)を開始し、平成31年度に開始予定のCO2分離・回収型酸素吹IGCC技術実証試験(第2段階)に向けて必要なCO2分離・回収設備の詳細設計を進めております。また、オーストラリアの褐炭から製造された水素を液化し、日本へ輸送する国際的なサプライチェーン構築を目指し、当社は褐炭をガス化し水素を製造する技術開発に取り組んでまいります。

 

(b)高効率石炭火力の開発

当社グループは、現在建設中の竹原火力発電所新1号機リプレース(出力60万kW、平成32年運転開始予定)、鹿島パワープロジェクト(出力64.5万kw、新日鐵住金株式会社との共同事業、平成32年運転開始予定)について確実に遂行するとともに、今後も高効率石炭火力の開発を推進してまいります。

 

(c)バイオマス混焼の取り組み

当社グループは、木質バイオマス燃料を中心とする既設火力発電所でのバイオマス混焼継続に加えて、現在建設中の竹原火力発電所新1号機で最大10%混焼を目指してまいります。

 

③安全を大前提とした大間原子力計画の推進

当社グループは、青森県下北郡大間町にて、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用する大間原子力発電所(出力138.3万kW、運転開始時期未定)の建設を進めております。

同発電所は、エネルギー安定供給を支えるベースロード電源の確保と、地球温暖化対策の社会的要請に応えるとともに、プルトニウム利用による原子燃料サイクルの中核を担う重要なプロジェクトとして、一層の安全性の向上を不断に追求してまいります。また、引き続き地域の皆様にご理解・ご信頼を頂けるように、より丁寧な情報発信・双方向コミュニケーションに努めながら、着実な推進を図ってまいります。

平成26年12月16日、原子力発電所に係る新規制基準への適合性審査を受けるため、原子力規制委員会に対し、原子炉設置変更許可申請書および工事計画認可申請書を提出いたしました。現在、当社グループは、原子力規制委員会の適合性審査に真摯かつ適切に対応しており、引き続き必要な安全対策などを着実に実施することで、早期の建設工事本格再開を目指してまいります。

 

④海外発電事業の拡大

現在、インドネシアにおいて建設中のセントラルジャワ石炭火力IPPプロジェクト(出力200万kW、PT. ADARO POWERおよび伊藤忠商事株式会社との共同事業)については、建設計画に基づき平成32年6月(1号機)、同年12月(2号機)の運転開始を目指して進めてまいります。また、アメリカにおいて建設中のウェストモアランド火力発電所プロジェクト(出力92.6万kW、コンバインドサイクルガスタービン発電所、Tenaska,Inc.およびDiamond Generating Corporationとの共同事業)については、平成30年の運転開始を目指して進めてまいります。

当社グループは、建設中のプロジェクトを確実に遂行し、既存プロジェクトも含めた海外発電事業における収益力の向上に努めてまいります。さらに、中期経営計画で掲げた海外持分出力1,000万kWを実現するため、事業基盤を有するタイ、アメリカ、中国に加え、旺盛なエネルギー需要があるアジアを中心に、高効率石炭火力も含めた新規開発案件の獲得を目指すとともに、風力、水力を始めとする再生可能エネルギー事業の拡大に取り組んでまいります。

 

⑤既設設備の価値向上

(a)競争環境への適応

国内電気事業においては、市場参入規制を緩和し市場競争を導入する自由化が進展しております。当社グループは、競争的な市場の実現に不可欠な卸電力市場活性化に向けて、ベースロード電源市場への電源供出等により期待される役割を果たしてまいります。

また、今後卸電力市場向けの販売電力量が増加していく中で、電気の価値が供給力や調整力、非化石価値に細分化されることを踏まえて、安定供給・安全を大前提としつつ、生産部門の強化に向けたコスト競争力強化、市場のニーズに対応した設備運用の柔軟性向上、保守の最適化を不断に追求するとともに、販売方法の多様化による当社グループ電源の価値最大化を実現してまいります。

 

(b)電力流通設備の広域的整備と健全性維持

当社の保有する地域間連系線等の流通設備については引き続き設備信頼性の維持・向上に取り組むとともに、佐久間周波数変換設備および関連設備の増強等を通じて、広域的な電力ネットワーク整備に貢献してまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標として、以下を採用しております。

 

○成長性指標:『J-POWER EBITDA=営業利益+減価償却費+持分法投資損益』

継続的に大規模な電源開発を進める当社グループにとっては、設備投資の回収を踏まえた収益力の大きさが成長を表すこと、また持分法投資による収益貢献も大きいことから、EBITDA(営業利益+減価償却費)に持分法投資損益を加えたJ-POWER EBITDAを成長性指標として採用しております。

 

○健全性指標:『有利子負債÷J-POWER EBITDA』

今後も成長に向けた設備形成のための投資を行う当社グループとしては、有利子負債とキャッシュ・フローのバランスを重視し、財務健全性に留意しながら成長を目指す必要があることから、有利子負債÷J-POWER EBITDAを健全性指標として採用しております。

 

(4) 会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社取締役会は、会社法施行規則第118条第3号に規定する「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」を、以下のとおり決議しております。

「当社は、国内の電力供給の増加を目的として昭和27年に設立されて以来、半世紀にわたり低廉かつ安定した電力を供給するとともに、全国規模での基幹送電線の建設及び運用を行い、わが国の経済発展と国民生活の向上に寄与してまいりました。

この間、当社は、人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献することを企業理念として掲げるとともに、エネルギーと環境の共生を事業の基調とし魅力ある安定成長企業を目指し、企業価値向上のため不断の取り組みを継続しております。

当社の事業の特徴は、発電所等の公共性の高い設備に投資し、長期間の操業を通じてこれを回収することにあります。当社は、こうした長期の事業運営のなかで、多くのステークホルダーと協調し、安定的に成長していくことにより、当社の企業価値の最大化が図られていると考えております。

当社は、このような当社事業の特性を株主の皆様にご理解いただくことを期待しておりますが、また一方、当社株式の売買が株主の皆様ご自身の意思に基づき自由に行われるべきことも当然であります。

しかしながら、経営支配権の取得を目指す当社株式の大規模な買付けにつきましては、当社の取締役は、株主の皆様の負託を受けた立場から、株主共同の利益ひいては当社の企業価値に照らして、これを慎重に検討し、対処するべきであると考えております。

従いまして、株主の皆様及び取締役にとって検討のための情報や時間が不足している場合、または、検討の結果、株主共同の利益ひいては当社の企業価値を著しく毀損するおそれがある場合には、会社法をはじめとする関係法令等の許容する範囲で適切な措置を講じる方針であります。」

 

2 【事業等のリスク】

以下には、当社の財政状態、経営成績並びに現在及び将来の事業等に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(平成30年6月28日)において当社が入手可能な情報等に基づいて判断したものであります。また、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、当社が必ずしも重要なリスクとは考えていない事項であっても、事業等のリスクを理解する上で投資家にとって参考となる情報は記載しております。また、以下の記述は、別段の意味に解される場合を除き、連結ベースでなされており、「当社」には当社並びに当社の連結子会社及び持分法適用会社(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和51年大蔵省令第28号)の定義に従います。)が含まれています。

 

(1) 電気事業制度改革の進展等による当社の料金収入等への影響について

平成25年4月に閣議決定された「電力システムに関する改革方針」に基づく電気事業制度改革によって、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しております。電気事業法改正により、平成28年4月には電力小売参入が全面自由化されるとともに、卸電気事業者に関する規制(事業許可制や料金規制)が撤廃されました。また、平成32年を目途に当社および旧一般電気事業者は送配電部門の法的分離が求められております。さらに送配電部門の法的分離以降、旧一般電気事業者に対する電気小売料金規制(経過措置)の見直しが行われる予定です。

制度改革における電気事業類型の見直しに伴い、平成28年4月より当社は改正前の電気事業法で規定されていた卸電気事業者から、発電事業及び送電事業を営む電気事業者となりました。発電事業に関する料金は、原価主義に基づく料金規制等が撤廃され、市場競争環境下で販売先との協議により決定されることになります。また、送電事業に関する料金は、健全な送配電ネットワーク維持のため引き続き規制分野として原価主義に基づく料金制度となっております(当社の電気料金については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照)。

当社の営業収益の大半は、国内における旧一般電気事業者への販売による料金収入であるため、市場競争が進んでいく発電事業分野で、当社の発電事業の価値が適正に評価されるよう、旧一般電気事業者を主とする販売先と適切な料金協議を行うとともに、販売先のさらなる多様化や卸電力取引所での取引の活用も進めております。

しかしながら、今後の長期的な電力需要の推移、更なる市場競争の進展、販売先との協議、設備トラブル、法的規制等によって事業計画・事業運営に大幅な変更等が生じ、発電コストに見合った収益を確保できない場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 地球温暖化問題について

当社は、LNG等他の化石燃料を使用する発電所と比較して、発電量当たりのCO2排出量が相対的に多い石炭火力発電所を多数有しており、石炭火力の高効率化・低炭素化に取り組んでおります。また、CO2フリー電源である再生可能エネルギーの導入拡大、原子力発電の開発などにも取り組んでおります。さらに、平成27年7月に当社を含む電気事業者により策定された「電気事業における低炭素社会実行計画」に基づき、電気事業全体での目標の達成に向けて最大限努力してまいります。

しかしながら、今後、地球温暖化対策に関する新たな法的規制等が導入されること等により、事業計画・事業運営の大幅な変更等が生じた場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 海外発電事業をはじめとする国内外での新たな事業への取り組みについて

当社は、新たな収益基盤を構築することを目指して、海外発電事業をはじめとする国内外での新たな電気事業等の取り組みを進めております。

具体的には、海外発電事業については、これまで海外諸国でコンサルティング事業に従事しており、この経験を活かしてIPP(独立系発電事業者)プロジェクトへの取り組みを進めております。

また、国内電気事業については、高効率石炭火力発電所等の新規開発や、風力・地熱・廃棄物等の再生可能エネルギーを利用した発電事業等を進めております。

しかしながら、これらの事業は、状況の大幅な変化、需要や市場環境の変化、規制の変更等の予期せぬ事態の発生等により、当社が期待したほどの収益を生まない可能性がありますし、これらの事情により事業計画の変更、事業・建設の取り止め等があれば、これに伴う関連費用の発生、追加資金拠出等により、当社業績に悪影響を及ぼす可能性もあります。また、これらの事業の中には第三者との合弁形態で運営されているものがあり、事業環境の変化に伴う合弁形態の見直しや、当社が少数持分保有者に留まる合弁形態のために経営統制等に関与できない事態等が生じた場合、合弁事業の結果が、必ずしも当社の業績に有益な貢献をもたらさない可能性があります。さらに、海外での事業については、為替リスクに加え当該国の政情不安等によるリスク(カントリーリスク)が存在します。

 

(4) 資金調達について

当社は、これまで発電所等への多額の設備投資を行っており、そのための設備資金を主として借入れ及び社債発行によって調達してきました。今後も、大間原子力発電所や竹原火力発電所新1号機の新規開発をはじめとする国内外での新たな事業等への投資、既存の債務の償還等のための資金調達を必要とする見通しです。今後の資金調達にあたり、その時点における金融情勢、当社の信用状態又はその他の要因のために当社が必要資金を適時に適正な条件で調達することができなければ、当社の事業展開及び収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 大間原子力発電所建設計画について

大間原子力発電所計画は、平成7年8月の原子力委員会決定によって、国及び電気事業者の支援の下、当社が責任を持って取り組むべきとされた全炉心でのMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料利用を目指した改良型沸騰水型軽水炉(フルMOX-ABWR)であり、軽水炉でのMOX燃料利用計画の柔軟性を拡げるという政策的な位置付けを持つものとされております。このため、全炉心でのMOX燃料利用に関する技術開発部分について、「全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発費補助金交付要綱」に基づき、政府から補助金の交付を受けております。また、既に沖縄電力㈱を除く旧一般電気事業者9社と基本協定を締結しており、その中で旧一般電気事業者9社による適正原価等での全量受電が約されております。

大間原子力発電所計画は、全炉心でのMOX燃料利用の原子力発電所として、地元大間町、青森県の同意を得て、平成11年8月に電源開発調整審議会により電源開発促進法で定める国の電源開発基本計画に組み入れられました(平成15年10月の電源開発促進法の廃止に伴い、電源開発基本計画の制度も廃止となりましたが、同計画の有していた機能を引き継いだ重要電源開発地点の指定制度に基づき、平成17年2月に地点指定を受けております)。また、平成20年4月には「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づく原子炉設置許可、5月には電気事業法に基づく工事計画認可(第1回)を経済産業大臣から受け、着工に至っております。この時点で予定していた建設費は4,690億円でした。その後、平成23年3月に発生した東日本大震災直後より工事を休止しておりましたが、平成24年10月より工事を再開しました。

当社は、平成25年7月に施行された原子力発電所に係る新規制基準への適合性審査を受けるため、平成26年12月16日に原子力規制委員会に対し、原子炉設置変更許可申請書及び工事計画認可申請書を提出しました。具体的な取り組みは多岐に亘りますが、シビアアクシデントを防止するための設計基準事故対策として、地震・津波への想定や対応策を強化するとともに、新規制基準において新設された重大事故等対策として、炉心損傷の防止及び格納容器の破損防止のための対策を行っております。さらに、航空機衝突等のテロ対策として、原子炉格納容器の破損による外部への放射性物質の異常な放出を抑制するため原子炉の減圧等の遠隔操作を可能とする特定重大事故等対処施設を設置することとしています。上記申請の中でとりまとめた追加の安全強化対策の工事は、原子力規制委員会の審査において当社の申請内容が新規制基準に適合することが認められた後に開始されます。当社は、かかる追加工事の工事費として約1,300億円を見込んでおります。今後、当社は、原子力規制委員会の適合性審査に真摯かつ適切に対応し、必要な安全対策等を着実に実施することで、全社をあげて安全な発電所づくりに取り組む所存です。

 なお、事業者として適合性審査の進展に予断を持つことはできませんが、追加の安全強化対策工事を、平成30年後半に開始し、平成35年後半に終了することを目指しております。しかしながら、原子力事業を取り巻く状況の変化、原子力規制委員会の審査の状況、新規制基準への追加の対応等により、工程が延伸する可能性があります。また、これらの場合には、建設費の更なる増加や関連費用が発生する可能性があります。加えて、原子力発電においては、国の原子力政策の見直しなど原子力事業を取り巻く状況の大幅な変化や更なる市場競争の進展、予期せぬ事態の発生等による計画変更等のリスク、また、運転開始後には、放射性物質の貯蔵と取扱いに関するリスク、他の発電設備と同様、自然災害、不測の事故等のリスクも存在します(「(7) 自然災害、不測の事故等について」を参照)。当社は、これらのリスクに対して可能な限り対策を講じる所存ですが、仮にリスクが顕在化した場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(6) 石炭火力発電用燃料について

当社の石炭火力発電所は海外炭を主たる燃料としております。当社は、海外炭の調達にあたっては、供給の安定性と経済性を同時に追求するため、オーストラリア、インドネシア、ロシアなどに調達地域を多様化しております。また、石炭の安定確保のために、一部の炭鉱においては権益を保有しております。なお、当社による海外炭の調達は、主として長期契約又は期間1年程度の契約により行われており、補完的にスポットでの購入も行っております。長期契約に基づく石炭の購入価格は、通常、1年に1回市場価格を踏まえて調整されます。

当社の燃料費は、海外炭の価格変動、輸送船舶の需給状況、燃料調達先の設備・操業トラブル等により影響を受けますが、主要な石炭火力発電所の電力料金の燃料費相当部分については、販売先との間で燃料調達に係る市況の変動を適宜反映することとしているため、当社の業績への影響は限定的です。但し、石炭価格の急激な上昇等があった場合、これに伴う燃料費の上昇分を料金に反映させるまでにタイムラグがあるため、一時的に当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、石炭価格が大幅に下落し、当社が権益を保有している炭鉱の業績に影響が生じた場合、当社の業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 自然災害、不測の事故等について

自然災害、人為的なミス、テロ、燃料供給の中断又はその他の不測の事態により、当社の発電設備若しくは送・変電設備又はこれらの設備を運転制御する情報システム等に重大な事故があった場合、当社の事業運営に支障を来たし、ひいては周辺環境に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、わが国における重要なインフラストラクチャーである発電設備及び送・変電設備の事故防止、関係者の安全確保並びに周辺環境の保全のため、保安・防災体制の確立、事故・災害の予防対策及び応急・復旧対策並びに環境モニタリング等に全社をあげて取り組んでおります。

しかしながら、事故等のために当社の発電設備又は送・変電設備が操業を停止した場合、さらには事故等のため周辺環境に悪影響を及ぼした場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 法的規制について

当社事業の大半を占める電気事業については、電気事業法による規制を受けております。

平成26年6月の電気事業法改正により、平成28年4月以降、改正前の電気事業法で定められていた卸電気事業者に関する規制(事業許可制や料金規制)は撤廃されましたが、当社は、引き続き同法に規定される発電事業及び送電事業を営む電気事業者として、事業規制及び保安規制、並びにこれらの規制に伴う変更・中止命令及び送電事業については許可の取り消しに関する規定の適用を受けております。この他、当社の事業運営は様々な法令の適用を受けております。このため、当社がこれらの法令・規制を遵守できなかった場合、又はこれらの法令・規制の改正があった場合には、当社の事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、原子力事業者による相互扶助の考え方に基づいて、将来にわたって原子力損害賠償の支払等に対応できる支援組織を中心とした仕組みを構築することを目的とする「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」により、原子力事業者は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の業務に要する費用に充てるための負担金を納付することを義務付けられております。当社は、現在進めている大間原子力発電所計画について、同発電所が「原子力損害の賠償に関する法律」に定める原子炉の運転等を開始した後に、負担金を納付することとなりますが、かかる負担金の額によっては当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 業務情報の管理

当社は、個人情報をはじめ機密を要する多くの重要な情報を保有しています。これらの情報については情報セキュリティ対策の推進、従業員教育等の実施により厳重に管理しておりますが、外部に流出した場合、当社のレピュテーションや業績は悪影響を受ける可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の収入面は、電気事業の燃料価格及び火力発電所利用率の上昇(当社個別:75%→80%)等により、売上高(営業収益)は前連結会計年度に対し15.0%増加の8,562億円となりました。営業外収益は為替差益等により、前連結会計年度に対し41.8%増加の291億円となり、経常収益は前連結会計年度に対し15.7%増加の8,853億円となりました。

一方、費用面は、燃料価格及び火力発電所利用率の上昇等による燃料費の増加等により、営業費用は前連結会計年度に対し13.5%増加の7,519億円となり、これに営業外費用を加えた経常費用は、前連結会計年度に対し12.2%増加の7,828億円となりました。

この結果、経常利益は前連結会計年度に対し52.6%増加の1,024億円となりました。これに減損損失を特別損失に計上し、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に対し65.2%増加の684億円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(電気事業)

電気事業の販売電力量は、水力は出水率が前連結会計年度を上回った(92%→105%)こと等により、前連結会計年度に対し8.7%増加の92億kWhとなりました。火力についても、発電所利用率が前連結会計年度を上回ったこと等により、前連結会計年度に対し6.5%増加の570億kWhとなり、電気事業全体では、前連結会計年度に対し6.8%増加の670億kWhとなりました。

売上高(電気事業営業収益)は、燃料価格及び火力発電所利用率の上昇等により、前連結会計年度に対し17.3%増加の6,337億円となりました。

セグメント利益は、売上の増加等により、前連結会計年度に対し78.1%増加の395億円となりました。

 

(電力周辺関連事業)

売上高(その他事業営業収益)は、連結子会社の石炭販売収入の増加等により、前連結会計年度に対し15.5%増加の4,127億円となりました。

セグメント利益は、売上の増加等により、前連結会計年度に対し62.2%増加の230億円となりました。

 

(海外事業)

海外事業の販売電力量は、前連結会計年度に対し8.1%増加の158億kWhとなりました。

売上高(海外事業営業収益)は、販売電力量の増加及び円安による為替換算の影響等により、前連結会計年度に対し8.8%増加の1,630億円となりました。

セグメント利益は、為替差益や円安による為替換算の影響等により、前連結会計年度に対し29.8%増加の405億円となりました。

 

(その他の事業)

売上高(その他事業営業収益)は、前連結会計年度に対し13.6%増加の272億円となりました。

セグメント利益は、前連結会計年度に対し8.6%減少の12億円となりました。

 

資産については、固定資産の増加等により、前連結会計年度末から409億円増加し2兆6,472億円となりました。

一方、負債については、前連結会計年度末から311億円減少し1兆8,110億円となりました。このうち、有利子負債額は前連結会計年度末から587億円減少し1兆5,613億円となりました。なお、有利子負債額のうち2,795億円は海外事業のノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。

また、純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末から721億円増加し8,361億円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末の27.8%から29.7%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により、前連結会計年度に対し448億円増加の1,603億円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、投融資による支出の減少や固定資産の取得による支出が減少したこと等により、前連結会計年度に対し280億円減少の1,096億円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度は連結子会社株式の一部譲渡による収入がありましたが、借入れによる収入の減少や社債の償還による支出の増加等により、前連結会計年度の304億円の収入に対し858億円の支出となりました。

 

以上の結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に対し316億円減少の1,368億円となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループが実施する事業のうち、電気事業の受給実績、販売実績、資材の状況及び海外事業の販売実績について記載しております。

 

○電 気 事 業

a.受給実績

 

種別

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

発受電電力量(百万kWh)

72,851

107.6

損失電力量等(百万kWh)

△5,173

113.9

内部取引(百万kWh)

△587

166.9

販売電力量(百万kWh)

67,090

106.8

 

(注) 発受電電力量は、水力・汽力・内燃力・風力発電電力量等の合計であります。

 

b.販売実績

① 販売実績

 

 

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

電力量(百万kWh)

電力料・託送料
(百万円)

電力量

電力料・託送料

発電事業

67,090

577,861

106.8

118.6

送電事業

48,679

99.3

合計

67,090

626,541

106.8

116.8

 

(注) 1 発電事業の販売電力量及び電力料は、水力・汽力・内燃力・風力等の合計であります。

 2 電力料・託送料には消費税等は含まれておりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

② 主要顧客別売上状況

 

 

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

売上高(百万円)

割合(%)

売上高(百万円)

割合(%)

中国電力㈱

111,599

20.7

132,024

20.9

関西電力㈱

88,888

16.5

100,471

15.9

東京電力エナジーパートナー㈱

93,701

17.4

99,071

15.7

九州電力㈱

56,446

10.5

72,379

11.5

 

(注) 1 売上高は電力料と託送料の合計であり、消費税等は含まれておりません。

2 割合は電気事業営業収益に対する割合です。

 

c.資材の状況

①石炭、重油及び軽油の受払状況

(イ) 石 炭

 

区分

期首残高(t)

受入量(t)

払出量(t)

棚卸修正(t)

期末残高(t)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

1,939,638

21,533,486

21,688,680

104,729

1,889,173

前年同期比(%)

99.5

104.9

105.9

△238.3

97.4

 

 

(ロ) 重 油

 

区分

期首残高(kl)

受入量(kl)

払出量(kl)

棚卸修正(kl)

期末残高(kl)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

27,901.9

38,197.0

42,318.8

130.5

23,910.6

前年同期比(%)

92.0

91.6

95.9

△1,305.0

85.7

 

 

(ハ) 軽 油

 

区分

期首残高(kl)

受入量(kl)

払出量(kl)

棚卸修正(kl)

期末残高(kl)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

10,463.90

20,254.33

18,843.99

△0.59

11,873.65

前年同期比(%)

101.2

85.2

79.6

△2.4

113.5

 

 

○海 外 事 業 

①販売実績

 

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

電力量(百万kWh)

電力料(百万円)

電力量(百万kWh)

電力料(百万円)

ガス火力(コンバインドサイクル)

14,687

147,948

15,871

161,272

 

 (注)タイ国におけるプロジェクトの販売実績を記載しております。

 

 

 

 

②主要顧客別売上状況

 

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

売上高(百万円)

割合(%)

売上高(百万円)

割合(%)

タイ電力公社(EGAT)

138,830

92.6

150,935

92.6

 

(注) 1 売上高には消費税等は含まれておりません。

2 割合は海外事業営業収益に対する割合です。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の将来の見積りについては、リスクや不確実性があることから、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

なお、この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載されているとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(イ)営業収益

営業収益は、前連結会計年度に対し1,118億円(15.0%)増加の8,562億円となりました。

このうち電気事業営業収益は、燃料価格及び火力発電所の順調な稼働に伴う利用率の上昇等により、前連結会計年度に対し933億円(17.3%)増加の6,319億円となりました。

海外事業営業収益は、タイ国連結子会社であるGulf JPが運営するガス火力の販売電力量の増加及び円安(対タイバーツ)による為替換算の影響等により、前連結会計年度に対し131億円(8.8%)増加の1,630億円となりました。

また、その他事業営業収益は、オーストラリア国連結子会社であるJ-POWER AUSTRALIAの石炭販売単価の上昇等により、前連結会計年度に対し52億円(9.5%)増加の612億円となりました。

 

(ロ)営業費用及び営業利益

営業費用は、前連結会計年度に対し892億円(13.5%)増加の7,519億円となりました。

電気事業営業費用は、退職給付費用の減少はあったものの、燃料価格及び火力発電所利用率の上昇等による燃料費の増加等により、前連結会計年度に対し783億円(16.1%)増加の5,661億円となりました。

海外事業営業費用は、タイ国Gulf JPの販売電力量の増加に伴う燃料費の増加及び円安(対タイバーツ)による為替換算の影響等により、前連結会計年度に対し117億円(9.8%)増加の1,312億円となりました。

また、その他事業営業費用は、前連結会計年度に対し8億円(1.5%)減少の545億円となりました。

この結果、営業利益は前連結会計年度に対し226億円(27.7%)増加の1,043億円となりました。

 

(ハ)営業外収益と費用及び当期経常利益

営業外収益は、持分法投資利益が減少したものの、為替差益の増加等により、前連結会計年度に対し85億円(41.8%)増加の291億円となりました。為替差益は、タイ国Gulf JPの保有するドル建て借入金について、決算時に為替変動の評価を行いますが、ドルに対するバーツ高が進行し前連結会計年度より変動が大きくなったことが主な要因です。

営業外費用は、前連結会計年度に対し41億円(11.8%)減少の309億円となりました。

 

 

この結果、当期経常利益は前連結会計年度に対し353億円(52.6%)増加の1,024億円となりました。これは、タイ国の為替差益やオーストラリア国の石炭販売単価上昇による増益要因のほか、国内の火力発電所の前連結会計年度の設備トラブルが解消され、当連結会計年度は順調に稼働したことが主な要因です。

 

(ニ)親会社株主に帰属する当期純利益

税金等調整前当期純利益は、減損損失を特別損失に計上したものの、当期経常利益の増加により、前連結会計年度に対し319億円(47.6%)増加の990億円となりました。法人税等合計は、米国税制改革法の成立による法人税率の引き下げに伴う繰延税金負債の取り崩し等により、前連結会計年度に対し50億円(23.5%)減少の164億円となりました。

また、非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度のタイ国Gulf JP株式の一部譲渡による非支配株主の持分比率上昇等に伴い99億円(235.3%)増加の142億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に対し270億円(65.2%)増加の684億円となりました。

 

(ホ)成長性指標、健全性指標

 

中期経営計画 [3カ年の見通し]

○成長性指標:『J-POWER EBITDA=営業利益+減価償却費+持分法投資損益』

 平成27年度~平成29年度の3カ年平均で1,850億円/年

○健全性指標:『有利子負債÷J-POWER EBITDA』

 平成29年度末に、平成26年度末実績(9.5倍)と同水準を維持

 

 (当連結会計年度末の評価)

○成長性指標:1,867億円/年(平成27年度~平成29年度の3カ年平均実績)

○健全性指標:8.0倍(平成29年度末実績)

 

 平成27年度の中期経営計画で掲げた成長性指標であるJ-POWER EBITDAは、平成27~29年度の3カ年平均で1,867億円となり、目標である1,850億円を達成することができました。これは、ここ10年余りにわたり取り組んできた海外事業セグメントが成長の牽引役を果たしたものと評価しております。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

○営業収益

(電気事業営業収益)

当社の電気事業営業収益の大半は旧一般電気事業者や新電力といった小売電気事業者等からの販売電力料収入と一般送配電事業者からの託送料収入です。当社の販売電力量は、販売先である小売事電気業者等の電力需給動向により影響を受けるため、当社の電力量料金に係る収入は間接的に小売電力需要の影響を受けます。

 

(イ) 発電設備容量

当社は、発電施設建設にあたり、長期的な電力需要の見通し、市場競争の進展度合い等の想定されうる将来の事業環境を前提に、当該発電施設の収益性を判断し、開発計画を策定しております。想定以上の事業環境の変化により当社が期待する収益性を確保できない可能性はありますが、基本的には発電設備容量の増加が販売電力量及び販売電力料の増加に結びつきます。

 

(ロ) 電力需要

日本の最終電力需要の見通しによっては、長期的に当社が建設・運転可能な発電所数が左右されることになり、間接的に当社収益に影響します。短期的には当社火力発電所の発電量の多寡を通じ、営業収益に影響します。また、電力需要は冷夏・暖冬等の天候によっても影響を受けます。

 

(ハ) 電気料金等

発電事業に関する料金は、電気事業法の改正に伴い、平成28年4月より卸規制等が撤廃され、販売先との協議により決定しております。一方、送電事業に関する料金は、健全な送配電ネットワーク維持のため引き続き規制分野として原価主義を採用しており、送電事業で必要と想定される適正な原価に適正な利潤を加えて算定しております。

各料金の詳細な条件は契約当事者間で協議の上、適宜改定を行っています。また、料金の構成としては、揚水を除く発電設備については、原則として基本料金と販売電力量に応じた従量料金としています。一方、揚水発電設備、送・変電設備については、全額を基本料金としております。

なお、火力発電設備の従量料金の大半を占める燃料費相当部分については、海外炭の価格動向など市況の変動が大きいため、原則として販売先との間で燃料調達に係る市況の変動を適宜反映する仕組みを導入しております。

 

(海外事業営業収益)

当社グループの海外事業営業収益の大半は、当社の連結子会社とタイ電力公社(EGAT)との長期電力販売契約に基づく販売電力量収入です。販売電力量収入には固定料金である基本料金収入と販売電力量に応じた電力量料金収入があります。当社の連結子会社の販売電力量は、販売先であるタイ電力公社の電力需給動向により影響を受けるため、当社の連結子会社の電力量料金に係る収入は間接的に電力需要の影響を受けます。

 

○営業費用

(電気事業営業費用)

(イ) 減価償却費

重要な減価償却資産の減価償却の方法は、定額法によっております。今後、新たに大規模な設備が資産計上されると減価償却費も増加します。

 

(ロ) 燃料費

火力発電所の燃料に使用する石炭については、主として長期契約若しくは期間1年程度の契約により行っております。また、補完的にスポットでの調達も行っております。長期契約に基づく石炭の購入価格は、通常、1年に1回市場価格を踏まえて調整されます。当社の燃料費は、石炭の価格変動、輸送船舶の需給状況、燃料調達先の設備・操業トラブル等の影響を受けます。

 

(ハ) 人件費

従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件(割引率、将来の退職金ポイント累計、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等)に基づき算出されておりますが、実際の算出結果が前提条件と異なる場合、特に株価等市況が大きく変化し年金資産の実運用収益率が影響を受けた場合、数理計算上の差異が大きくなり、その償却により人件費が影響を受けます。

 

(ニ) 修繕費

設備信頼性を維持するため計画的な補修を実施しておりますが、定期点検の内容、規模等により修繕費は変動します。

 

(海外事業営業費用)

(イ)燃料費

タイ国における火力発電に用いる燃料の天然ガスは、タイ石油公社(PTT)と長期燃料供給契約を締結し購入しております。当社の連結子会社の燃料費は、ガス価格の変動、タイ石油公社の設備・操業トラブル等の影響を受けます。

 

○営業外収益・費用

営業外費用には、支払利息のほか為替差損があり、金利及び為替の変動によって影響を受けます。

 

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

(イ)資金需要

当社の主な資金需要は電気事業、海外事業への設備投資及び長期負債の借換資金です。

 

(ロ)設備投資

当連結会計年度の電気事業に係る設備投資は、前連結会計年度より77億円減少の1,001億円、海外事業に係る設備投資は36億円増加の50億円です。

 

(ハ)有利子負債

国内外への投資資金需要により、当連結会計年度末での有利子負債残高は1兆5,613億円となり、前連結会計年度末より587億円減少しました。

 

○短期有利子負債

当連結会計年度末の短期有利子負債は、1年以内に償還予定の社債400億円、1年以内に返済予定の長期借入金738億円及び短期借入金168億円です。なお、1年以内に返済予定の長期借入金のうち191億円はノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。

 

○長期有利子負債

当連結会計年度末の長期有利子負債は、社債5,549億円、長期借入金8,750億円です。なお、長期借入金のうち2,647億円はノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。

 

(ニ)流動性及び資金の源泉

○資金調達

当社の資金需要は設備投資と債務の借換に係るものが大半であり、資金調達は長期資金で手当てすることを原則としています。長期資金調達に際しては、低利かつ安定的な資金調達手段として普通社債の発行及び金融機関からの借入を行っており、当連結会計年度末の発行残高及び借入残高は、それぞれ5,949億円、9,489億円となっています。短期資金については、運転資金に加え、調達の即応性を高める観点から機動的なつなぎ資金調達を実施することとしており、これら短期の資金需要を満たすために3,000億円のコマーシャル・ペーパーの発行限度枠を設定しています。

 

○キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社の主たる事業は発電事業及び送電事業です。発電事業では旧一般電気事業者10社や新電力といった小売電気事業者等に対して、各社との出力・電力量、料金等を定めた契約に基づき、当社が所有する発電設備より電力を供給しております。また、送電事業では自社で所有する送・変電設備により、沖縄電力㈱を除く一般送配電事業者9社の電力託送を、各社との契約に基づき行っております。

なお、発電事業に関する料金は、電気事業法の改正に伴い、平成28年4月より卸規制等が撤廃され、販売先との協議により決定しております。一方、送電事業に関する料金は、健全な送配電ネットワーク維持のため引き続き規制分野として原価主義を採用しており、送電事業で必要と想定される適正な原価に適正な利潤を加えて算定しております。

 

5 【研究開発活動】

当社における研究開発活動は、安価で良質な電力を安定的に供給するため、これまで電気事業で培った経験を活かしつつ当社事業環境の変化を踏まえ、将来の低炭素社会対応、ESG(環境・社会・ガバナンス)視点の企業価値向上や、当社事業競争力強化に関する以下の各分野に重点を置いています。これらの取り組みは、主に技術開発部(本店)及び管下機関の茅ヶ崎研究所(神奈川県茅ヶ崎市)、若松研究所(福岡県北九州市)にて行っております。

 

主な研究開発は、次のとおりです。

 

 ① 低炭素化対応技術(酸素吹IGCC、バイオマス混焼、洋上風力など)

 ② 環境対策技術(貯水池環境保全技術など)

 ③ コストダウン技術(発電所の保守・運用最適化技術、機器劣化診断など)

 ④ 原子力関連技術(フルMOX-ABWR技術)

 ⑤ 流通関連技術(系統シミュレーション技術など)

 

当連結会計年度の研究開発費の総額は、172億円(うち電気事業171億円)です。