(1) 業績
当連結会計年度の収入面は、電気事業の燃料価格及び火力発電所利用率の低下(当社個別:80%→75%)等により、売上高(営業収益)は前連結会計年度に対し4.6%減少の7,444億円となりました。これに営業外収益を加えた経常収益は、前連結会計年度に対し4.1%減少の7,649億円となりました。
一方、費用面は、退職給付費用の増加はあったものの、燃料価格及び火力発電所利用率の低下等による燃料費の減少に加え、当社が当連結会計年度より減価償却方法を変更(定率法→定額法)したことによる減価償却費の減少等により、営業費用は前連結会計年度に対し4.3%減少の6,626億円となりました。営業外費用は為替差損の解消等により、前連結会計年度に対し25.7%減少の351億円となり、経常費用は前連結会計年度に対し5.6%減少の6,977億円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度に対し14.7%増加の671億円となり、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に対し3.4%増加の414億円となりました。
なお、当連結会計年度における報告セグメント別の業績は次のとおりです。
(電気事業)
電気事業の販売電力量は、水力は出水率が前連結会計年度を下回った(111%→92%)こと等により、前連結会計年度に対し17.6%減少の85億kWhとなりました。火力についても、発電所利用率が前連結会計年度を下回ったこと等により、前連結会計年度に対し4.9%減少の535億kWhとなり、電気事業全体では、前連結会計年度に対し6.7%減少の627億kWhとなりました。
売上高(電気事業営業収益)は、燃料価格及び火力発電所利用率の低下等により、前連結会計年度に対し5.6%減少の5,402億円となりました。
セグメント利益は、売上の減少に加え、退職給付費用の増加等により、前連結会計年度に対し31.1%減少の222億円となりました。
(電力周辺関連事業)
売上高(その他事業営業収益)は、前連結会計年度並みの3,573億円となりました。
セグメント利益は、炭鉱用機械装置の減損損失の計上等により、前連結会計年度に対し1.5%減少の142億円となりました。
(海外事業)
海外事業の販売電力量は、平成27年に営業運転を開始したタイ国ウタイガス火力発電所(1号系列:平成27年6月、2号系列:平成27年12月)が期間を通して稼働したこと等により、前連結会計年度に対し5.7%増加の146億kWhとなりました。
売上高(海外事業営業収益)は、販売電力量は増加したものの、燃料価格の低下及び円高による為替換算の影響により、前連結会計年度に対し3.9%減少の1,498億円となりました。
セグメント利益は、ウタイガス火力発電所が期間を通して稼働したこと及び為替差損の解消等により、前連結会計年度に対し172.0%増加の312億円となりました。
(その他の事業)
売上高(その他事業営業収益)は、前連結会計年度に対し4.0%増加の239億円となりました。
セグメント利益は、売上の増加等により、前連結会計年度に対し69.9%増加の13億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費の減少や売上債権の増加等により、前連結会計年度に対し306億円減少の1,154億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、米国エルウッド火力発電所の追加権益取得等により、前連結会計年度に対し61億円増加の1,376億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債による資金調達の増加及び連結子会社株式の一部譲渡等により、前連結会計年度の886億円の支出に対し304億円の収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し85億円増加の1,684億円となりました。
当社グループが実施する事業のうち、電気事業の受給実績、販売実績、資材の状況及び海外事業の販売実績について記載しております。
(注) 発受電電力量は、水力・汽力・内燃力・風力・地熱発電電力量等の合計であります。
① 販売実績
(注) 1 発電事業の販売電力量及び電力料は、水力・汽力・内燃力・風力・地熱等の合計であります。
2 販売電力料・託送料には消費税等は含まれておりません。
② 主要顧客別売上状況
(注) 1 売上高は電力料と託送料の合計であり、消費税等は含まれておりません。
2 割合は電気事業営業収益に対する割合です。
(3) 資材の状況
①石炭、重油及び軽油の受払状況
(イ) 石 炭
(ロ) 重 油
(ハ) 軽 油
○海 外 事 業
販売実績
(注)タイ国におけるプロジェクトの販売実績を記載しております。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献する」という企業理念のもとに、公益事業としての使命を果たしつつ、多くのステークホルダーにとって魅力ある安定成長企業となるため、国内事業における設備信頼性の確保、石炭火力の高効率化技術開発など低炭素化への対応、成長が見込まれるアジアを中心とした海外事業のさらなる展開、これら事業を支える財務健全性の維持などに着実に取り組んでおります。
当社グループは、公正で透明な経営を行うとともに、上記取り組みを通じて企業価値の増大を図り、多様なステークホルダーの期待に応えてまいります。
(2) 当社グループを取り巻く経営環境と対処すべき課題
わが国の電気事業においては、平成27年7月に「長期エネルギー需給見通し」が策定され、再生可能エネルギー、原子力、石炭火力などのエネルギーミックス目標が示されるとともに、国際社会に向けた新たなCO2削減目標の決定、平成28年4月から開始された電力小売の全面自由化と卸規制の撤廃、さらに平成32年に予定されている発送電分離など、事業環境が大きく変化しております。
こうした状況を受け、当社グループは、平成27年3月に実施した公募増資と自己株式の処分による資金調達を梃子とする今後10年間の更なる成長に向けた挑戦を、中期経営計画として策定いたしました(平成27年7月31日公表)。
中期経営計画では、事業環境の変化に対応しつつ更なる成長を実現するため、「Ⅰ.自由化が進展する国内市場で更なる成長の基盤を構築し、コスト競争力を武器に競争に勝ち残る発電事業者となること」、「Ⅱ.世界各地域のエネルギー事情を踏まえ、その持続可能な発展に貢献する海外発電事業を成長させること」、「Ⅲ.気候変動対策に適応すべく石炭火力の更なる低炭素化に向けた技術開発を加速し、石炭火力発電におけるリーディングカンパニーとして国内外での事業展開を図ること」の3点を挑戦の基本方向と定め、さらにその具体的な取り組みとして、以下の6項目の重点取組を定めております。
当社グループは、「人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献する」という企業理念のもと、かかる中期経営計画の実現に向けた取り組みを着実に進め、更なる成長と企業価値の向上に努めてまいります。
①高効率石炭火力の開発と次世代に向けた技術開発の促進
(a)国内における高効率石炭火力の開発
世界に広く賦存する石炭は、石油・ガスより地政学的リスクが低く、安定的に供給されるエネルギー資源であるとともに、日本に輸入され消費されるエネルギー資源の中では最も低コストとなっております。当社グループは、バランスのとれたエネルギーミックスの観点から重要な高効率石炭火力の開発を通じて、日本の経済成長に貢献しつつ企業成長を目指してまいります。
【主な建設中・計画中のプロジェクト】
※1 新日鐵住金株式会社との共同事業
※2 大阪ガス株式会社および宇部興産株式会社との共同事業
(b)高効率化・低炭素化に向けた技術開発
気候変動対策に対応しつつ石炭を継続利用していくため、より高効率な酸素吹石炭ガス化複合発電(酸素吹 IGCC)技術の技術開発を推進するとともに、CO2回収・貯留(CCS)技術などの研究開発に取り組み、更なる低炭素化の実現を目指してまいります。
このような技術開発の一環として、当社グループは、中国電力株式会社と共同で大崎クールジェン株式会社(広島県豊田郡大崎上島町)を設立いたしました。平成29年3月には酸素吹IGCC技術実証試験(第1段階)を開始し、平成31年度に開始予定のCO2分離・回収型酸素吹IGCC技術実証試験(第2段階)に向けて必要なCO2分離・回収設備の詳細設計を進めております。
②自由化がもたらす競争環境への適応と設備信頼性の向上
(a)競争環境への適応
国内電気事業においては、市場参入規制を緩和し市場競争を導入する自由化が進展しております。当社グループは、卸規制が撤廃されるなど市場競争が進む発電事業分野で、コスト競争力を武器に一層の成長を実現すると同時に、競争的な市場の実現に不可欠な卸電力市場活性化に向けて期待される役割を果たしてまいります。
また、市場競争の進展に伴う収益の変動幅の拡大に対しては、適切なリスク・マネジメントを行い、リターンの増大を追求してまいります。
(b)安定稼働の取り組み強化
収益の変動幅が拡大する中にあって、発電設備の安定稼働の確保こそが最大のリスク・マネジメントと考えております。当社グループは、安定稼働の確保に向けて、設備の保守・運転の最適化を不断に追求し、設備価値の向上を実現してまいります。
(c)電力流通設備の広域的整備と健全性維持
電力システム改革が目指す健全な競争市場は、広域的な電力流通ネットワークが健全に機能することにより支えられます。当社グループは、電力安定供給に貢献するとともに活発な市場競争を支えるため、地域間連系線をはじめとする流通設備の広域的な整備と健全な機能維持に一層努めてまいります。
なお、電力広域的運営推進機関にて策定された佐久間周波数変換設備(30万kW→60万kW)および関連送電線の増強計画については、当社は実施主体として選定されており、当社グループの技術・経験を活かし、最大限取り組んでまいります。
③再生可能エネルギーの導入拡大
当社グループは、技術力を活かし、純国産CO2フリーエネルギーのトップランナーであり続けます。
風力発電につきましては、開発中のプロジェクトの着実な推進に加え、引き続き風況良好な地点を継続的に発掘・培養し事業基盤の拡大を図るとともに、保守・運営の効率化による設備稼働率の向上に取り組み、収益力向上に努めてまいります。また、福岡県北九州市の「響灘洋上風力発電施設の設置・運営事業者」の公募において、当社を含むコンソーシアムが占用予定者(優先交渉者)に選定され、今後、事業化に向けた調査等を実施してまいります。
さらに、当社グループは、設立以来、純国産CO2フリーエネルギーである水力発電で大量の電気を生み続けており、今後も水力発電の活用(中小水力開発、既設発電所の主要設備一括更新に伴う増出力等)を進めてまいります。
また、ベースロード電源である地熱発電についても、開発を推進してまいります。
このほか、石炭火力発電所におけるバイオマス燃料混焼の拡大に取り組むとともに、その着実な推進のため、下水汚泥などのバイオマス資源の燃料化事業にも継続的に取り組んでまいります。
【主な建設中・計画中のプロジェクト】
※ 三菱マテリアル株式会社および三菱ガス化学株式会社との共同事業
④安全を大前提とした大間原子力計画の推進
当社グループは、青森県下北郡大間町にて、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用する大間原子力発電所(出力138.3万kW、運転開始時期未定)の建設を進めております。
同発電所は、エネルギー安定供給を支えるベースロード電源の確保と、地球温暖化対策の社会的要請に応えるとともに、プルトニウム利用による原子燃料サイクルの中核を担う重要なプロジェクトとして、安全性の確保を大前提に、引き続き地域の皆様からのご理解を得ながら、着実な推進を図ってまいります。
平成26年12月16日、原子力発電所に係る新規制基準への適合性審査を受けるため、原子力規制委員会に対し、原子炉設置変更許可申請書および工事計画認可申請書を提出いたしました。現在、当社グループは、原子力規制委員会の適合性審査に真摯かつ適切に対応しており、引き続き必要な安全対策などを着実に実施することで、全力をあげて安全な発電所づくりに取り組み、早期の運転開始を目指してまいります。
⑤海外発電事業の推進
当社グループは、現在、インドネシア国においてセントラルジャワ石炭火力IPPプロジェクト(出力200万kW、PT. ADARO POWERおよび伊藤忠商事株式会社との共同事業)を建設中であります。本プロジェクトにつきましては、用地取得および融資銀行団との融資契約締結が完了し、今後は、建設計画に基づき平成32年6月(1号機)、同年12月(2号機)の運転開始を目指して進めてまいります。
当社グループは、建設中のプロジェクトを確実に遂行し、既存プロジェクトも含めた海外発電事業における収益力の向上に努めてまいります。さらに、中期経営計画で掲げた海外持分出力1,000万kWを実現するため、旺盛なエネルギー需要があるアジアを中心に、高効率石炭火力も含めた新規開発案件の獲得を目指すとともに、自由化の先進市場であり、豊富な事業機会が見込める米国において、今日の事業基盤をベースに、多様な販売形態を取り入れながら業容拡大を図ってまいります。
⑥事業の選別による資産効率の向上
当社グループは、国内外を問わずグローバルな発電事業者として成長を目指します。一方、新たなエネルギー基本計画、気候変動問題に対するわが国の対応、自由化の進展などにより事業環境は大きく変化しており、これら事業環境の変化に対応しリスク耐力を強化するには、不断の資産効率の向上が不可欠と考えております。
当社グループは、上記の①から⑤の取り組みに加え、常に個々の事業価値を再評価しつつ資産の選別を進め、収益力を一層高める取り組みを推進してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標として、以下を採用しております。
○成長性指標:『J-POWER EBITDA=営業利益+減価償却費+持分法投資損益』
継続的に大規模な電源開発を進める当社グループにとっては、設備投資の回収を踏まえた収益力の大きさが成長を表すこと、また持分法投資による収益貢献も大きいことから、EBITDA(営業利益+減価償却費)に持分法投資損益を加えたJ-POWER EBITDAを成長性指標として採用しております。
○健全性指標:『有利子負債÷J-POWER EBITDA』
今後も成長に向けた設備形成のための投資を行う当社グループとしては、有利子負債とキャッシュ・フローのバランスを重視し、財務健全性に留意しながら成長を目指す必要があることから、有利子負債÷J-POWER EBITDAを健全性指標として採用しております。
(4) 会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社取締役会は、会社法施行規則第118条第3号に規定する「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」を、以下のとおり決議しております。
「当社は、国内の電力供給の増加を目的として昭和27年に設立されて以来、半世紀にわたり低廉かつ安定した電力を供給するとともに、全国規模での基幹送電線の建設及び運用を行い、わが国の経済発展と国民生活の向上に寄与してまいりました。
この間、当社は、人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献することを企業理念として掲げるとともに、エネルギーと環境の共生を事業の基調とし魅力ある安定成長企業を目指し、企業価値向上のため不断の取り組みを継続しております。
当社の事業の特徴は、発電所等の公共性の高い設備に投資し、長期間の操業を通じてこれを回収することにあります。当社は、こうした長期の事業運営のなかで、多くのステークホルダーと協調し、安定的に成長していくことにより、当社の企業価値の最大化が図られていると考えております。
当社は、このような当社事業の特性を株主の皆様にご理解いただくことを期待しておりますが、また一方、当社株式の売買が株主の皆様ご自身の意思に基づき自由に行われるべきことも当然であります。
しかしながら、経営支配権の取得を目指す当社株式の大規模な買付けにつきましては、当社の取締役は、株主の皆様の負託を受けた立場から、株主共同の利益ひいては当社の企業価値に照らして、これを慎重に検討し、対処するべきであると考えております。
従いまして、株主の皆様及び取締役にとって検討のための情報や時間が不足している場合、または、検討の結果、株主共同の利益ひいては当社の企業価値を著しく毀損するおそれがある場合には、会社法をはじめとする関係法令等の許容する範囲で適切な措置を講じる方針であります。」
以下には、当社の財政状態、経営成績並びに現在及び将来の事業等に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(平成29年6月29日)において当社が入手可能な情報等に基づいて判断したものであります。また、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、当社が必ずしも重要なリスクとは考えていない事項であっても、事業等のリスクを理解する上で投資家にとって参考となる情報は記載しております。また、以下の記述は、別段の意味に解される場合を除き、連結ベースでなされており、「当社」には当社並びに当社の連結子会社及び持分法適用会社(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和51年大蔵省令第28号)の定義に従います。)が含まれています。
(1) 電気事業制度改革の進展等による当社の料金収入等への影響について
平成25年4月に閣議決定された「電力システムに関する改革方針」に基づく電気事業制度改革によって、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しております。電気事業法改正により、平成28年4月には電力小売参入が全面自由化されるとともに、卸電気事業者に関する規制(事業許可制や料金規制)が撤廃されました。また、平成32年を目途に当社および旧一般電気事業者は送配電部門の法的分離が求められております。さらに送配電部門の法的分離以降、旧一般電気事業者に対する電気小売料金規制(経過措置)の見直しが行われる予定です。
制度改革における電気事業類型の見直しに伴い、平成28年4月より当社は改正前の電気事業法で規定されていた卸電気事業者から、発電事業及び送電事業を営む電気事業者となりました。発電事業に関する料金は、原価主義に基づく料金規制等が撤廃され、市場競争環境下で販売先との協議により決定されることになります。また、送電事業に関する料金は、健全な送配電ネットワーク維持のため引き続き規制分野として原価主義に基づく料金制度となっております(当社の電気料金については、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照)。
当社の営業収益の大半は、国内における旧一般電気事業者への販売による料金収入であるため、市場競争が進んでいく発電事業分野で、当社の発電事業の価値が適正に評価されるよう、旧一般電気事業者を主とする販売先と適切な料金協議を行うとともに、販売先のさらなる多様化や卸電力取引所での取引の活用も進めております。
しかしながら、今後の長期的な電力需要の推移、更なる市場競争の進展、販売先との協議、設備トラブル、法的規制等によって事業計画・事業運営に大幅な変更等が生じ、発電コストに見合った収益を確保できない場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 地球温暖化問題について
当社は、LNG等他の化石燃料を使用する発電所と比較して、発電量当たりのCO2排出量が相対的に多い石炭火力発電所を多数有しており、石炭火力の高効率化・低炭素化に取り組んでおります。また、CO2フリー電源である再生可能エネルギーの導入拡大、原子力発電の開発などにも取り組んでおります。さらに、平成27年7月に当社を含む電気事業者により策定された「電気事業における低炭素社会実行計画」に基づき、電気事業全体での目標の達成に向けて最大限努力してまいります。
しかしながら、今後、地球温暖化対策に関する新たな法的規制等が導入され、事業計画・事業運営の大幅な変更等が生じた場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 海外発電事業をはじめとする国内外での新たな事業への取り組みについて
当社は、新たな収益基盤を構築することを目指して、海外発電事業をはじめとする国内外での新たな電気事業等の取り組みを進めております。
具体的には、海外発電事業については、これまで海外諸国でコンサルティング事業に従事しており、この経験を活かしてIPP(独立系発電事業者)プロジェクトへの取り組みを進めております。
また、国内電気事業については、高効率石炭火力発電所等の新規開発や、風力・地熱・廃棄物等の再生可能エネルギーを利用した発電事業等を進めております。
しかしながら、これらの事業は、状況の大幅な変化、需要や市場環境の変化、規制の変更等の予期せぬ事態の発生等により、当社が期待したほどの収益を生まない可能性がありますし、これらの事情により事業計画の変更、事業・建設の取り止め等があれば、これに伴う関連費用の発生、追加資金拠出等により、当社業績に悪影響を及ぼす可能性もあります。また、これらの事業の中には第三者との合弁形態で運営されているものがあり、事業環境の変化に伴う合弁形態の見直しや、当社が少数持分保有者に留まる合弁形態のために経営統制等に関与できない事態等が生じた場合、合弁事業の結果が、必ずしも当社の業績に有益な貢献をもたらさない可能性があります。さらに、海外での事業については、為替リスクに加え当該国の政情不安等によるリスク(カントリーリスク)が存在します。
(4) 資金調達について
当社は、これまで発電所等への多額の設備投資を行っており、そのための設備資金を主として借入れ及び社債発行によって調達してきました。今後も、大間原子力発電所や竹原火力発電所新1号機の新規開発をはじめとする国内外での新たな事業等への投資、既存の債務の償還等のための資金調達を必要とする見通しです。今後の資金調達にあたり、その時点における金融情勢、当社の信用状態又はその他の要因のために当社が必要資金を適時に適正な条件で調達することができなければ、当社の事業展開及び収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 大間原子力発電所建設計画について
大間原子力発電所計画は、平成7年8月の原子力委員会決定によって、国及び電気事業者の支援の下、当社が責任を持って取り組むべきとされた全炉心でのMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料利用を目指した改良型沸騰水型軽水炉(フルMOX-ABWR)であり、軽水炉でのMOX燃料利用計画の柔軟性を拡げるという政策的な位置付けを持つものとされております。このため、全炉心でのMOX燃料利用に関する技術開発部分について、「全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発費補助金交付要綱」に基づき、政府から補助金の交付を受けております。また、既に沖縄電力㈱を除く旧一般電気事業者9社と基本協定を締結しており、その中で旧一般電気事業者9社による適正原価等での全量受電が約されております。
大間原子力発電所計画は、全炉心でのMOX燃料利用の原子力発電所として、地元大間町、青森県の同意を得て、平成11年8月に電源開発調整審議会により電源開発促進法で定める国の電源開発基本計画に組み入れられました(平成15年10月の電源開発促進法の廃止に伴い、電源開発基本計画の制度も廃止となりましたが、同計画の有していた機能を引き継いだ重要電源開発地点の指定制度に基づき、平成17年2月に地点指定を受けております)。また、平成20年4月には「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づく原子炉設置許可、5月には電気事業法に基づく工事計画認可(第1回)を経済産業大臣から受け、着工に至っております。この時点で予定していた建設費は4,690億円でした。その後、平成23年3月に発生した東日本大震災直後より工事を休止しておりましたが、平成24年10月より工事を再開しました。
当社は、平成25年7月に施行された原子力発電所に係る新規制基準への適合性審査を受けるため、平成26年12月16日に原子力規制委員会に対し、原子炉設置変更許可申請書及び工事計画認可申請書を提出しました。具体的な取り組みは多岐に亘りますが、シビアアクシデントを防止するための設計基準事故対策として、地震・津波への想定や対応策を強化するとともに、新規制基準において新設された重大事故等対策として、炉心損傷の防止及び格納容器の破損防止のための対策を行っております。さらに、航空機衝突等のテロ対策として、原子炉格納容器の破損による外部への放射性物質の異常な放出を抑制するため原子炉の減圧等の遠隔操作を可能とする特定重大事故等対処施設を設置することとしています。上記申請の中でとりまとめた追加の安全強化対策の工事は、原子力規制委員会の審査において当社の申請内容が新規制基準に適合することが認められた後に開始されます。当社は、かかる追加工事の工事費として約1,300億円を見込んでおります。今後、当社は、原子力規制委員会の適合性審査に真摯かつ適切に対応し、必要な安全対策等を着実に実施することで、全社をあげて安全な発電所づくりに取り組む所存です。
なお、事業者として適合性審査の進展に予断を持つことはできませんが、追加の安全強化対策工事を、平成30年後半に開始し、平成35年後半に終了することを目指しております。しかしながら、原子力事業を取り巻く状況の変化、原子力規制委員会の審査の状況、新規制基準への追加の対応等により、工程が延伸する可能性があります。また、これらの場合には、建設費の更なる増加や関連費用が発生する可能性があります。加えて、原子力発電においては、国の原子力政策の見直しなど原子力事業を取り巻く状況の大幅な変化や更なる市場競争の進展、予期せぬ事態の発生等による計画変更等のリスク、また、運転開始後には、放射性物質の貯蔵と取扱いに関するリスク、他の発電設備と同様、自然災害、不測の事故等のリスクも存在します(「(7) 自然災害、不測の事故等について」を参照)。当社は、これらのリスクに対して可能な限り対策を講じる所存ですが、仮にリスクが顕在化した場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 石炭火力発電用燃料について
当社の石炭火力発電所は海外炭を主たる燃料としております。当社は、海外炭の調達にあたっては、供給の安定性と経済性を同時に追求するため、オーストラリア、インドネシア、ロシアなどに調達地域を多様化しております。また、石炭の安定確保のために、一部の炭鉱においては権益を保有しております。なお、当社による海外炭の調達は、主として長期契約又は期間1年程度の契約により行われており、補完的にスポットでの購入も行っております。長期契約に基づく石炭の購入価格は、通常、1年に1回市場価格を踏まえて調整されます。
当社の燃料費は、海外炭の価格変動、輸送船舶の需給状況、燃料調達先の設備・操業トラブル等により影響を受けますが、主要な石炭火力発電所の電力料金の燃料費相当部分については、販売先との間で燃料調達に係る市況の変動を適宜反映することとしているため、当社の業績への影響は限定的です。但し、石炭価格の急激な上昇等があった場合、これに伴う燃料費の上昇分を料金に反映させるまでにタイムラグがあるため、一時的に当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、石炭価格が大幅に下落し、当社が権益を保有している炭鉱の業績に影響が生じた場合、当社の業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 自然災害、不測の事故等について
自然災害、人為的なミス、テロ、燃料供給の中断又はその他の不測の事態により、当社の発電設備若しくは送・変電設備又はこれらの設備を運転制御する情報システム等に重大な事故があった場合、当社の事業運営に支障を来たし、ひいては周辺環境に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、わが国における重要なインフラストラクチャーである発電設備及び送・変電設備の事故防止、関係者の安全確保並びに周辺環境の保全のため、保安・防災体制の確立、事故・災害の予防対策及び応急・復旧対策並びに環境モニタリング等に全社をあげて取り組んでおります。
しかし、事故等のために当社の発電設備又は送・変電設備が操業を停止した場合、さらには事故等のため周辺環境に悪影響を及ぼした場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法的規制について
当社事業の大半を占める電気事業については、電気事業法による規制を受けております。
平成26年6月の電気事業法改正により、平成28年4月以降、改正前の電気事業法で定められていた卸電気事業者に関する規制(事業許可制や料金規制)は撤廃されましたが、当社は、引き続き同法に規定される発電事業及び送電事業を営む電気事業者として、事業規制及び保安規制、並びにこれらの規制に伴う変更・中止命令及び送電事業については許可の取り消しに関する規定の適用を受けております。この他、当社の事業運営は様々な法令の適用を受けております。このため、当社がこれらの法令・規制を遵守できなかった場合、又はこれらの法令・規制の改正があった場合には、当社の事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、原子力事業者による相互扶助の考え方に基づいて、将来にわたって原子力損害賠償の支払等に対応できる支援組織を中心とした仕組みを構築することを目的とする「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」により、原子力事業者は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の業務に要する費用に充てるための負担金を納付することを義務付けられております。当社は、現在進めている大間原子力発電所計画について、同発電所が「原子力損害の賠償に関する法律」に定める原子炉の運転等を開始した後に、負担金を納付することとなりますが、かかる負担金の額によっては当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 業務情報の管理
当社は、個人情報をはじめ機密を要する多くの重要な情報を保有しています。これらの情報については情報セキュリティ対策の推進、従業員教育等の実施により厳重に管理しておりますが、外部に流出した場合、当社のレピュテーションや業績は悪影響を受ける可能性があります。
当社の主たる事業は発電事業及び送電事業です。発電事業では旧一般電気事業者10社や新電力といった小売電気事業者等に対して、各社との出力・電力量、料金等を定めた契約に基づき、当社が所有する発電設備より電力を供給しております。また、送電事業では自社で所有する送・変電設備により、沖縄電力㈱を除く一般送配電事業者9社の電力託送を、各社との契約に基づき行っております。
なお、発電事業に関する料金は、電気事業法の改正に伴い、平成28年4月より卸規制等が撤廃され、販売先との協議により決定しております。一方、送電事業に関する料金は、健全な送配電ネットワーク維持のため引き続き規制分野として原価主義を採用しており、送電事業で必要と想定される適正な原価に適正な利潤を加えて算定しております。
当社における研究開発活動は、安価で良質な電力を安定的に供給するため、これまで電気事業で培った経験を活かしつつ当社事業環境の変化を踏まえ、将来の低炭素社会対応、ESG(環境・社会・ガバナンス)視点の企業価値向上や、当社事業競争力強化に関する以下の各分野に重点を置いております。これらの取り組みは、主に技術開発部(本店)及び管下機関の茅ヶ崎研究所(神奈川県茅ヶ崎市)、若松研究所(福岡県北九州市)にて行っております。
主な研究開発は、次のとおりです。
① 低炭素化対応技術(酸素吹IGCC、バイオマス混焼、洋上風力など)
② 環境対策技術(貯水池環境保全技術など)
③ コストダウン技術(発電所の保守・運用最適化技術、機器劣化診断など)
④ 原子力関連技術(フルMOX-ABWR技術)
⑤ 流通関連技術(系統シミュレーション技術など)
当連結会計年度の研究開発費の総額は、58億円(うち電気事業58億円)です。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積もり
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の将来の見積もりについては、リスクや不確実性があることから、実際の結果はこれらの見積もりと異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積もりに影響を及ぼすと考えております。
①退職給付
従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。前提条件には、割引率、将来の退職金ポイント累計、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。実際の算出結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響額は、数理計算上の差異として規則的に償却されます。
②有価証券の減損
当社が保有する有価証券は、「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号(平成11年1月22日(企業会計審議会) 平成20年3月10日改正))に定めるその他有価証券としての株式が主なものです。市場価格のない株式の実質価額(※)が、帳簿価額に比べて50%以上下落した場合には、実質価額まで帳簿価額を減損処理することとしています。また、市場価格等の時価のある株式について期末時価が帳簿価額に比べて50%以上下落した場合、又は50%未満30%以上の下落が2事業年度以上継続した場合は、期末時価まで帳簿価額を減損処理することとしています。
※ 実質価額とは、各決算期までに入手可能な直近の財務諸表を使用し、資産等の時価評価基準に基づく評価差額等を加味して算定することを原則として、1株当たりの純資産額に所有株式数を乗じたものをいいます。
ただし、この減損処理の条件に該当する場合においても、以下の事項に該当する場合は減損処理を実施しないことができることとしています。
・ 市場価格のない株式の場合は、実質価額が帳簿価額にほぼ近い水準にまで回復する見込みがあると合理的な根拠をもって証明できるもの
・ 時価のある株式については、期末日後1年以内に期末時価が帳簿価額にほぼ近い水準まで回復する見込みがあると合理的な根拠をもって証明できるもの
③ヘッジ会計
当社は、デリバティブ取引に関する社内規程に基づき、為替変動リスク、金利変動リスク及び商品価格変動リスクを回避することを目的として取引を実施しており、投機的な取引は行わない方針です。社債、借入金、外貨建債権債務の一部及び商品価格の変動により影響を受ける取引の一部をヘッジ対象とし、外貨建債権債務に振当てたデリバティブ取引、金利スワップの特例処理の対象となる取引及び商品価格に関するスワップをヘッジ手段とする取引を行っています。上記ヘッジ対象については原則としてヘッジを行う方針ですが、一部取引についてはリスクの度合い等を勘案して個別に判断した結果、ヘッジを行わないことがあります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度より、「借入金利子の資産取得原価算入」について会計方針の変更を行っており、遡及処理の内容を反映させた数値で前連結会計年度との比較を行っております。
①営業収益
営業収益は、前連結会計年度に対し4.6%(356億円)減少の7,444億円となりました。
このうち電気事業営業収益は、燃料価格及び火力発電所利用率の低下等により、前連結会計年度に対し5.7%(322億円)減少の5,385億円となりました。
海外事業営業収益は、ウタイガス火力発電所が期間を通して稼働したことにより販売電力量は増加したものの、燃料価格の低下及び円高による為替換算の影響により、前連結会計年度に対し3.9%(60億円)減少の1,498億円となりました。
また、その他事業営業収益は、前連結会計年度に対し5.0%(26億円)増加の559億円となりました。
②営業費用及び営業利益
営業費用は、前連結会計年度に対し4.3%(294億円)減少の6,626億円となりました。
電気事業営業費用は、退職給付費用の増加はあったものの、燃料価格及び火力発電所利用率の低下等による燃料費の減少に加え、当社が当連結会計年度より減価償却方法を変更したことによる減価償却費の減少等により、前連結会計年度に対し3.6%(184億円)減少の4,877億円となりました。
海外事業営業費用は、燃料価格の低下及び円高による為替換算の影響により、前連結会計年度に対し9.2%(120億円)減少の1,195億円となりました。
また、その他事業営業費用は、前連結会計年度に対し1.9%(10億円)増加の553億円となりました。
この結果、営業利益は前連結会計年度に対し7.0%(61億円)減少の817億円となりました。
③営業外収益と費用及び当期経常利益
営業外収益は、持分法投資利益の増加等により、前連結会計年度に対し14.9%(26億円)増加の205億円となりました。
営業外費用は、為替差損の解消等により、前連結会計年度に対し25.7%(121億円)減少の351億円となりました。
この結果、当期経常利益は前連結会計年度に対し14.7%(86億円)増加の671億円となりました。
④親会社株主に帰属する当期純利益
法人税等合計は前連結会計年度に対し20.1%(36億円)増加の214億円、非支配株主に帰属する当期純利益は連結子会社株式の一部譲渡等により823.4%(37億円)増加の42億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に対し3.4%(13億円)増加の414億円となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
①営業収益
○電気事業営業収益
当社の電気事業営業収益の大半は旧一般電気事業者や新電力といった小売電気事業者等からの販売電力料収入と一般送配電事業者からの託送料収入です。当社の販売電力量は、販売先である小売事電気業者等の電力需給動向により影響を受けるため、当社の電力量料金に係る収入は間接的に小売電力需要の影響を受けます。
(イ) 発電設備容量
当社は、発電施設建設にあたり、長期的な電力需要の見通し、市場競争の進展度合い等の想定されうる将来の事業環境を前提に、当該発電施設の収益性を判断し、開発計画を策定しております。想定以上の事業環境の変化により当社が期待する収益性を確保できない可能性はありますが、基本的には発電設備容量の増加が販売電力量及び販売電力料の増加に結びつきます。
(ロ) 電力需要
日本の最終電力需要の見通しによっては、長期的に当社が建設・運転可能な発電所数が左右されることになり、間接的に当社収益に影響します。短期的には当社火力発電所の発電量の多寡を通じ、営業収益に影響します。また、電力需要は冷夏・暖冬等の天候によっても影響を受けます。
(ハ) 電気料金等
発電事業に関する料金は、電気事業法の改正に伴い、平成28年4月より卸規制等が撤廃され、販売先との協議により決定しております。一方、送電事業に関する料金は、健全な送配電ネットワーク維持のため引き続き規制分野として原価主義を採用しており、送電事業で必要と想定される適正な原価に適正な利潤を加えて算定しております。
各料金の詳細な条件は契約当事者間で協議の上、適宜改定を行っています。また、料金の構成としては、揚水を除く発電設備については、原則として基本料金と販売電力量に応じた従量料金としています。一方、揚水発電設備、送・変電設備については、全額を基本料金としております。
なお、火力発電設備の従量料金の大半を占める燃料費相当部分については、海外炭の価格動向など市況の変動が大きいため、原則として販売先との間で燃料調達に係る市況の変動を適宜反映する仕組みを導入しております。
○海外事業営業収益
当社グループの海外事業営業収益の大半は、当社の連結子会社とタイ電力公社(EGAT)との長期電力販売契約に基づく販売電力量収入です。販売電力量収入には固定料金である基本料金収入と販売電力量に応じた電力量料金収入があります。当社の連結子会社の販売電力量は、販売先であるタイ電力公社の電力需給動向により影響を受けるため、当社の連結子会社の電力量料金に係る収入は間接的に電力需要の影響を受けます。
②営業費用
○電気事業営業費用
(イ) 減価償却費
重要な減価償却資産の減価償却の方法は、定額法によっております。今後、新たに大規模な設備が資産計上されると減価償却費も増加します。なお、平成28年度より、国内では主として定率法によっていた減価償却方法を、設備の利用実態をより適切に反映することを目的として、定額法へ変更しております。
(ロ) 燃料費
火力発電所の燃料に使用する石炭については、主として長期契約若しくは期間1年程度の契約により行っております。また、補完的にスポットでの調達も行っております。長期契約に基づく石炭の購入価格は、通常、1年に1回市場価格を踏まえて調整されます。当社の燃料費は、石炭の価格変動、輸送船舶の需給状況、燃料調達先の設備・操業トラブル等の影響を受けます。
(ハ) 人件費
従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件(割引率、将来の退職金ポイント累計、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等)に基づき算出されておりますが、実際の算出結果が前提条件と異なる場合、特に株価等市況が大きく変化し年金資産の実運用収益率が影響を受けた場合、数理計算上の差異が大きくなり、その償却により人件費が影響を受けます。
(ニ) 修繕費
設備信頼性を維持するため計画的な補修を実施しておりますが、定期点検の内容、規模等により修繕費は変動します。
○海外事業営業費用
燃料費
タイ国における火力発電に用いる燃料の天然ガスは、タイ石油公社(PTT)と長期燃料供給契約を締結し購入しております。当社の連結子会社の燃料費は、ガス価格の変動、PTTの設備・操業トラブル等の影響を受けます。
③営業外収益・費用
営業外費用には、支払利息のほか為替差損があり、金利及び為替の変動によって影響を受ける可能性があります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当社の主な資金需要は電気事業、海外事業への設備投資及び長期負債の借換資金です。
②設備投資
当連結会計年度の電気事業に係る設備投資は前連結会計年度より113億円減少の1,078億円、海外事業に係る設備投資は前連結会計年度より101億円減少の13億円です。
③有利子負債
国内外への投資資金需要により当連結会計年度末での有利子負債残高は1兆6,200億円となり、前連結会計年度末より87億円減少しました。
(イ) 短期有利子負債
当連結会計年度末の短期有利子負債は、1年以内に償還予定の社債1,600億円、1年以内に返済予定の長期借入金481億円及び短期借入金249億円等です。なお、1年以内に返済予定の長期借入金のうち168億円はノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。
(ロ) 長期有利子負債
当連結会計年度末の長期有利子負債は、長期借入金8,912億円、社債4,949億円等です。なお、長期借入金のうち2,825億円はノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。
④流動性及び資金の源泉
(イ) 資金調達
当社の資金需要は設備投資と債務の借換に係るものが大半であり、資金調達は長期資金で手当てすることを原則としております。長期資金調達に際しては、低利かつ安定的な資金調達手段として普通社債の発行及び金融機関からの借入を行っており、当連結会計年度末の発行残高及び借入残高は、それぞれ6,550億円、9,393億円となっております。短期資金については、運転資金に加え、調達の即応性を高める観点から機動的なつなぎ資金調達を実施することとしており、これら短期の資金需要を満たすために1,000億円のコマーシャル・ペーパーの発行限度枠を設定しております。
(ロ) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費の減少や売上債権の増加等により、前連結会計年度に対し306億円減少の1,154億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、米国エルウッド火力発電所の追加権益取得等により、前連結会計年度に対し61億円増加の1,376億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債による資金調達の増加及び連結子会社株式の一部譲渡等により、前連結会計年度の886億円の支出に対し304億円の収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末残高に対し85億円増加の1,684億円となりました。