文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献する」という企業理念のもとに、公益事業としての使命を果たしつつ、多くのステークホルダーにとって魅力ある安定成長企業となるため、国内においては電力供給の安定性と強靭化の要請に応えつつ、再生可能エネルギーの拡大や化石電源のゼロエミッション化等によるCO2フリーの電力供給の実現を目指していくとともに、海外においては経済発展に伴うエネルギー需要増と気候変動問題への対応の両立に貢献していくことにより、グローバルな事業展開を目指します。また、併せてこれらの取組みを支える事業基盤の強化を図ってまいります。
当社グループは、公正で透明な経営を行うとともに、上記取組みを通じて企業価値の増大を図り、多様なステークホルダーの期待に応えてまいります。
(2) 当社グループを取り巻く経営環境と対処すべき課題
わが国の電気事業においては、国際社会に向けた新たなCO2削減目標の決定、2016年4月から開始された電力小売の全面自由化と卸規制の撤廃、2020年4月からの発送電分離や、新たな市場の創設(2019年7月のベースロード市場や2020年予定の容量市場等)など、事業環境が大きく変化しております。
一方で、長期的には気候変動問題への対応、発展途上国での電力需要の増加やデジタルトランスフォーメーションの進展等により、エネルギー業界は大きな転換期を迎えています。
このような状況のなか、当社グループは、2050年に向けて国内ではCO2フリーの電力供給の実現、海外では経済発展と気候変動問題対応の両立への貢献を目指していく長期的な方向性のもと、更なる成長に向けてグローバルな事業展開に取り組んでまいります。具体的には、中期経営計画(2015年7月31日公表)に基づき以下の重点的な6つの取組みを推進し、事業環境の大きな変化を成長の機会に結び付け、企業価値の向上に努めてまいります。
① 再生可能エネルギーの更なる拡大
当社グループは、設立以来、電力安定供給及びCO2排出削減に大きく貢献する水力発電で大量の電気を生み続けており、今後も長期安定稼働に向けて取り組みつつ、更なる発電電力量の増加(中小水力開発、既設発電所の主要設備一括更新に伴う増出力等)にも取り組んでまいります。
風力発電においては、陸上風力について建設・建設準備中のプロジェクト(くずまき第二、上ノ国第二、南愛媛第二)の着実な推進に加え、引き続き新たな地点の発掘・培養を進めるとともに、既設地点での大型風車へのリプレースにも取り組んでまいります。洋上風力では、北九州市港湾区域や先進地イギリスでの開発案件(響灘洋上風力発電、トライトン・ノール風力発電プロジェクト)への参画により得られた事業ノウハウを活用し、更なる新規開発案件の獲得を目指してまいります。
ベースロード電源である地熱発電についても、建設・建設準備中のプロジェクト(鬼首、安比)の着実な推進に加え、新たな地点の発掘にも取り組んでまいります。
当社グループは、水力発電・風力発電を中心に国内トップクラスの設備出力を有する再生可能エネルギーのトップランナーとして、これらの取組みを通じて更なる規模拡大と事業基盤強化を図ってまいります。
② 化石電源のゼロエミッション化への取組み
世界に広く賦存し安定的なエネルギー資源である石炭を利用し、バランスのとれたエネルギーミックスの実現に貢献していくとともに、石炭利用のゼロエミッション化に挑戦してまいります。
当社グループは、石炭利用のゼロエミッション化に向けて、CO2の分離・回収に優れ、発電用途以外の多目的利用が可能な酸素吹石炭ガス化複合発電(酸素吹IGCC)の商用機開発計画の検討、並びに分離・回収したCO2の利用・貯留(CCUS)などの研究開発に取り組んでまいります。
このような技術開発の一環として、当社グループは、中国電力㈱と共同で設立した大崎クールジェン㈱において、酸素吹IGCC実証事業(第1段階)の実証試験を2017年より進めてまいりましたが、2019年2月に同試験が終了し、基本性能や制御性・運用性等の実証試験目標を達成しました。また、2019年12月にはCO2分離・回収型酸素吹IGCC実証事業(第2段階)の実証試験を開始したほか、同年3月にはこれらに燃料電池を組み込んだ、CO2分離回収型の石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証事業(第3段階)にも着手しております。
なお、第2段階の実証試験で分離・回収したCO2を用いたカーボンリサイクルについても、中国電力㈱と共同で検討(農業利用等)を進めているほか、培った石炭ガス化技術を活かしてCO2フリーの水素サプライチェーン構築の日豪共同の実証試験にも参画しております。
③ 安全を大前提とした大間原子力計画の推進
当社グループは、青森県下北郡大間町にて、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使用する大間原子力発電所(出力138.3万kW、運転開始時期未定)の建設を進めております。
同発電所は、エネルギー安定供給を支えるベースロード電源の確保と、気候変動問題対応の社会的要請に応えるとともに、プルトニウム利用による原子燃料サイクルの中核を担う重要なプロジェクトとして、一層の安全性の向上を不断に追求してまいります。また、引き続き地域の皆様にご理解・ご信頼を頂けるように、より丁寧な情報発信・双方向コミュニケーションに努めながら、着実な推進を図ってまいります。
2014年12月16日、原子力発電所に係る新規制基準への適合性審査を受けるため、原子力規制委員会に対し、原子炉設置変更許可申請書及び工事計画認可申請書を提出いたしました。現在、当社グループは、原子力規制委員会の適合性審査に真摯かつ適切に対応しており、引き続き必要な安全対策などを着実に実施することで、早期の建設工事本格再開を目指してまいります。
④ 海外発電事業での新たな展開
当社グループは、2000年より本格的に海外での発電事業に参画し、2010年以降は主に火力発電の新規開発により規模及び収益を拡大してまいりました。一方で、各国の新たな電源の開発ニーズは多様化しており、また、自由化や再生可能エネルギーの導入が進展する国では電気事業の構造変化が進行しつつあります。
現在当社グループは、インドネシアと米国で火力電源(セントラルジャワ石炭火力発電所、ジャクソン火力発電所)の開発を進めておりますが、こうした事業環境の変化に対応して、イギリスで建設中のトライトン・ノール風力発電プロジェクトや米国での大規模太陽光発電プロジェクトといった再生可能エネルギーの新規開発にも取り組んでまいります。加えて、電気事業の構造変化が進展していく国では、発電事業以外の電気事業についても取組みを検討してまいります。
⑤ 分散型エネルギーサービスへの取組み
気候変動問題の対応に向けて、大規模電源のゼロエミッション化と並行して、今後、太陽光発電等の再生可能エネルギーを軸に電源の分散化が進展していく見込みです。これにより新たな分散型のエネルギーサービスが普及・拡大していくことを見据え、当社グループの新たな事業分野として取り組んでまいります。
具体的には、当社グループはパートナー企業と協同して電力の小売販売事業を実施しておりますが、グリーン電力の小売供給やバーチャル・パワープラント(VPP)事業等による新たな付加価値の創出にも取り組んでいます。今後、パートナー企業とも連携してこうした取組みを更に発展させていくことにより、分散化の進展に対応した新たなビジネス機会を追求してまいります。
加えて、これまで取組みを進めてきたスタートアップ企業とのネットワーク拡大を通じた新事業の創出においても、様々な分散型サービス提供の可能性を探求してまいります。
⑥ 収益基盤の強化・財務規律及び人財戦略
収益基盤の一層の強化のために、現在国内で建設中の竹原火力発電所新1号機及び鹿島火力発電所2号機、また、海外で建設中のセントラルジャワ石炭火力発電所やジャクソン火力発電所の着実な遂行を図ってまいります。
運転中の発電所につきましては、火力発電所の保守・運営の現在の保守子会社への集約、風力発電所の保守・運営の水力・送変電設備の保守子会社への移管により、当社グループとしての実施体制の変革による競争力の一層の強化を図ってまいります。
電力販売においては、今後卸電力市場向けの販売電力量の増加が予想されることを踏まえて、販売方法の多様化を図ることにより、収益向上と安定化を図ってまいります。
送電事業については、2020年4月1日に当社より100%出資子会社である電源開発送変電ネットワーク㈱に承継しております。今後は同社を通じて、設備信頼性の維持・向上に取り組み、佐久間周波数変換設備及び関連設備の増強とともに、安定供給やレジリエンス強化、さらには広域的な電力ネットワーク整備に努めてまいります。
財務規律においては、財務健全性を保つために一定の範囲内で有利子負債を活用していく方針としており、また、投資決定にあたっては、案件毎に社内で定める収益率の基準をもとに審査を実施し、投資実施後は定期的なモニタリングによる事後チェックを実施することとしています。
これらの取組みを支える人財戦略では、多様な個性や世代、異なる価値観を持つ従業員の活躍を促進してまいります。具体的には、国内外での事業拡大を支える能力・個性を持つ人財育成・獲得と成長分野へのローテーション、自発的な学びを支援する公募制度、多様な働き方の実現、安全な職場環境の整備や健康経営の推進に取り組んでまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標として、以下を採用しております。
○成長性指標:『J-POWER EBITDA=営業利益+減価償却費+持分法投資損益』
継続的に大規模な電源開発を進める当社グループにとっては、設備投資の回収を踏まえた収益力の大きさが成長を表すこと、また持分法投資による収益貢献も大きいことから、EBITDA(営業利益+減価償却費)に持分法投資損益を加えたJ-POWER EBITDAを成長性指標として採用しております。
○健全性指標:『有利子負債÷J-POWER EBITDA』
今後も成長に向けた設備形成のための投資を行う当社グループとしては、有利子負債とキャッシュ・フローのバランスを重視し、財務健全性に留意しながら成長を目指す必要があることから、有利子負債÷J-POWER EBITDAを健全性指標として採用しております。
以下には、当社の財政状態、経営成績並びに現在及び将来の事業等に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2020年6月26日)において当社が入手可能な情報等に基づいて判断したものです。また、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、当社が必ずしも重要なリスクとは考えていない事項であっても、事業等のリスクを理解する上で投資家にとって参考となる情報は記載しております。また、以下の記述は、別段の意味に解される場合を除き、連結ベースでなされており、「当社」には当社並びに当社の連結子会社及び持分法適用会社(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和51年大蔵省令第28号)の定義に従います。)が含まれています。
(1) 気候変動問題について
当社は、LNG等他の化石燃料を使用する発電所と比較して、発電量当たりのCO2排出量が相対的に多い石炭火力発電所を多数有していますが、化石電源のゼロエミッション化を2050年に向けた目標として掲げ、その実現に向けて石炭火力の高効率化・低炭素化等に取り組んでおります。
また、CO2フリー電源である再生可能エネルギーの導入拡大、原子力発電の開発などにも取り組んでおります。さらに、2015年7月に当社を含む電気事業者により策定された「電気事業における低炭素社会実行計画」に基づき、電気事業全体での目標の達成に向けて最大限努力しております。
日本国内では、2030年のエネルギーミックスにおいて石炭火力発電が電力供給の一定比率を担うとされているものの、2050年時点での温室効果ガス80%削減という政府目標や世界的な「脱炭素社会」への取組みの加速に対応して、今後、気候変動問題への対応に関する新たな法的規制等が導入されること等により、事業計画・事業運営に大幅な変更や制約等が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 電気事業制度改革の進展等による当社の料金収入等への影響について
2013年4月に閣議決定された「電力システムに関する改革方針」に基づく電気事業制度改革によって、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しております。電気事業法改正により、2016年4月には電力小売参入が全面自由化されるとともに、卸電気事業者に関する規制(事業許可制や料金規制)が撤廃されました。また、2020年4月には当社及び旧一般電気事業者は送配電部門の法的分離を実施しました。今後さらに、旧一般電気事業者に対する電気小売料金規制(経過措置)の見直しが行われる予定です。
制度改革における電気事業類型の見直しに伴い、2016年4月より当社は改正前の電気事業法で規定されていた卸電気事業者から、発電事業及び送電事業を営む電気事業者となりました。発電事業に関する料金は、原価主義に基づく料金規制等が撤廃され、市場競争環境下で販売先との協議により決定されることになります。また、送電事業に関する料金は、健全な送配電ネットワーク維持のため引き続き規制分野として原価主義に基づく料金制度となっております(当社の電気料金については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照)。
当社の営業収益の大半は、国内における旧一般電気事業者への販売による料金収入であるため、当社は、市場競争が進んでいく発電事業分野で、持続的に当社の発電事業が価値を発揮できるような取組みを進めております。具体的には、旧一般電気事業者を主とする販売先との適切な料金協議や電力販売の多様化による収益基盤の安定化の取組みに加えて、発電設備の保守高度化による競争力の強化等の取組みも進めております。
しかしながら、かかる取組みにもかかわらず、今後の長期的な電力需要の推移、更なる市場競争の進展、販売先との協議、法的規制等によって事業計画・事業運営に大幅な変更等が生じ、又は予期せぬ設備トラブル等により発電コストに見合った収益を確保できない場合、当社の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 大間原子力発電所建設計画について
大間原子力発電所計画は、1995年8月の原子力委員会決定によって、国及び電気事業者の支援の下、当社が責任を持って取り組むべきとされた全炉心でのMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料利用を目指した改良型沸騰水型軽水炉(フルMOX-ABWR)であり、軽水炉でのMOX燃料利用計画の柔軟性を広げるという政策的な位置付けを持つものとされております。このため、全炉心でのMOX燃料利用に関する技術開発部分について、「全炉心混合酸化物燃料原子炉施設技術開発費補助金交付要綱」に基づき、政府から補助金の交付を受けております。また、既に沖縄電力㈱を除く旧一般電気事業者9社と基本協定を締結しており、その中で旧一般電気事業者9社による適正原価等での全量受電が約されております。
大間原子力発電所計画は、全炉心でのMOX燃料利用の原子力発電所として、地元大間町、青森県の同意を得て、1999年8月に電源開発調整審議会により電源開発促進法で定める国の電源開発基本計画に組み入れられました(2003年10月の電源開発促進法の廃止に伴い、電源開発基本計画の制度も廃止となりましたが、同計画の有していた機能を引き継いだ重要電源開発地点の指定制度に基づき、2005年2月に地点指定を受けております)。
また、2008年4月には「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づく原子炉設置許可、5月には電気事業法に基づく工事計画認可(第1回)を経済産業大臣から受け、着工に至っております。この時点で予定していた建設費は4,690億円でした。その後、2011年3月に発生した東日本大震災直後より工事を休止しておりましたが、2012年10月より工事を再開しました。
当社は、2013年7月に施行された原子力発電所に係る新規制基準への適合性審査を受けるため、2014年12月16日に原子力規制委員会に対し、原子炉設置変更許可申請書及び工事計画認可申請書を提出しました。具体的な取組みは多岐にわたりますが、シビアアクシデントを防止するために、設計基準事故対策の強化及び地震・津波等への想定や対応策の強化を行うとともに、新規制基準において新設された重大事故等対策として、炉心損傷の防止及び格納容器の破損防止のための対策を行っております。さらに、航空機衝突等のテロ対策として、原子炉格納容器の破損による外部への放射性物質の異常な放出を抑制するため原子炉の減圧等の遠隔操作を可能とする特定重大事故等対処施設を設置することとしています。上記申請の中でとりまとめた追加の安全強化対策の工事は、原子力規制委員会の審査において当社の申請内容が新規制基準に適合することが認められた後に開始されます。当社は、かかる追加工事の工事費として約1,300億円を見込んでおります。今後、当社は、原子力規制委員会の適合性審査に真摯かつ適切に対応し、必要な安全対策等を着実に実施することで、全社をあげて安全な発電所づくりに取り組む所存です。
なお、事業者として適合性審査の進展に予断を持つことはできませんが、追加の安全強化対策工事を、2020年後半に開始し、2025年後半に終了することを目指しております。しかしながら、原子力事業を取り巻く状況の変化、原子力規制委員会の審査の状況、新規制基準への追加の対応等により、工程が延伸する可能性があります。これらの場合には、建設費の増加や関連費用が更に発生する可能性があります。加えて、原子力発電においては、国の原子力政策の見直しなど原子力事業を取り巻く状況の大幅な変化や更なる市場競争の進展、予期せぬ事態の発生等による計画変更等のリスク、また、運転開始後には、放射性物質の貯蔵と取扱いに関するリスク、他の発電設備と同様、自然災害、不測の事故等のリスクも存在します(「(7) 自然災害、疫病の流行等について」を参照)。
当社は、プルトニウムの平和利用を通じて核燃料サイクルを支え、日本のエネルギーセキュリティに貢献するという大間原子力発電所の重要性も踏まえ、これらのリスクに対して可能な限り対策を講じる所存ですが、仮にリスクが顕在化した場合、当社の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 海外発電事業をはじめとする国内外での新たな事業への取組みについて
当社は、収益基盤の強化を目指して、海外発電事業をはじめとする国内外での新たな取組みを進めております。
具体的には、海外発電事業については、海外諸国でのコンサルティング事業の経験を活かしてIPP(独立系発電事業者)プロジェクトへの取組み等を進めております。
また、国内電気事業については、高効率石炭火力発電所等の新規開発や、風力・地熱・廃棄物等の再生可能エネルギーを利用した発電事業等に加えて、電力小売販売等にも取り組んでおります。
しかしながら、これらの事業は、状況の大幅な変化、需要や市場環境の変化、規制の変更等の予期せぬ事態の発生等により、当社が期待したほどの収益を生まない可能性がありますし、これらの事情により事業計画の変更、事業・建設の取り止め等があれば、これに伴う関連費用の発生、追加資金拠出等により、当社の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性もあります。また、これらの事業の中には第三者との合弁形態で運営されているものがあり、事業環境の変化に伴う合弁形態の見直しや、当社が少数持分保有者に留まる合弁形態のために経営統制等に関与できない事態等が生じた場合、合弁事業の結果が、必ずしも当社の業績に有益な貢献をもたらさない可能性があります。さらに、海外での事業については、為替リスクに加え当該国の政情不安等によるリスク(カントリーリスク)が存在します。
(5) 資金調達について
当社は、これまで発電所等への多額の設備投資を行っており、そのための設備資金を主として借入れ及び社債発行によって調達してきました。今後も、大間原子力発電所や竹原火力発電所新1号機の新規開発をはじめとする国内外での新たな事業等への投資、既存の債務の償還等のための資金調達を必要とする見通しです。今後の資金調達にあたり、その時点における金融情勢、当社の信用状態又はその他の要因のために当社が必要資金を適時に適正な条件で調達することができなければ、当社の事業展開並びに財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 石炭火力発電用燃料について
当社の石炭火力発電所は海外炭を主たる燃料としております。当社は、海外炭の調達にあたっては、供給の安定性と経済性を同時に追求するため、オーストラリア、インドネシア、ロシアなどに調達地域を多様化しております。また、石炭の安定確保のために、一部の炭鉱においては権益を保有しております。なお、当社による海外炭の調達は、主として長期契約又は期間1年程度の契約により行われており、補完的にスポットでの購入も行っております。長期契約に基づく石炭の購入価格は、通常、1年に1回市場価格を踏まえて調整されます。
当社の燃料費は、海外炭の価格変動、輸送船舶の需給状況、燃料調達先の設備・操業トラブル等により影響を受けますが、主要な石炭火力発電所の電力料金の燃料費相当部分については、販売先との間で燃料調達に係る市況の変動を適宜反映することとしているため、当社の業績への影響は限定的です。但し、石炭価格の急激な上昇等があった場合、これに伴う燃料費の上昇分を料金に反映させるまでにタイムラグがあるため、一時的に業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、石炭価格が大幅に下落し、当社が権益を保有している炭鉱の業績に影響が生じた場合、当社の財政状態及び経営成績にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 自然災害、疫病の流行等について
自然災害、人為的なミス、テロ、燃料供給の中断又はその他の不測の事態により、当社の発電設備若しくは送・変電設備等又はこれらの設備を運転制御する情報システム等に重大な事故等があった場合、当社の事業運営に支障を来たし、ひいては周辺環境に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、当社が事業を実施している国及び地域における重要なインフラストラクチャーである発電設備及び送・変電設備の事故等の防止、関係者の安全確保並びに周辺環境の保全のため、保安・防災体制の確立、事故・災害の予防対策及び応急・復旧対策並びに環境モニタリング等に全社をあげて取り組んでおります。
しかしながら、事故等のために当社の発電設備又は送・変電設備等が操業を停止した場合、さらには事故等のため周辺環境に悪影響を及ぼした場合には、当社の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は発電設備又は送・変電設備等の維持・運営等にあたり、電力安定供給のための対策を実施していますが、疫病の流行その他の不測の事態により、設備の運営、建設・補修工事又は大規模な点検等に必要な人員、原材料及び資機材等の確保が困難となる場合には、当社の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法的規制について
当社事業の大半を占める電気事業については、電気事業法による規制を受けております。
2014年6月の電気事業法改正により、2016年4月以降、改正前の電気事業法で定められていた卸電気事業者に関する規制(事業許可制や料金規制)は撤廃されましたが、当社は、引き続き同法に規定される発電事業及び送電事業を営む電気事業者として、事業規制及び保安規制、並びにこれらの規制に伴う変更・中止命令及び送電事業については許可の取り消しに関する規定の適用を受けております。この他、当社の事業運営は様々な法令の適用を受けております。このため、当社がこれらの法令・規制を遵守できなかった場合、又はこれらの法令・規制の改正があった場合には、当社の事業運営や財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、原子力事業者による相互扶助の考え方に基づいて、将来にわたって原子力損害賠償の支払等に対応できる支援組織を中心とした仕組みを構築することを目的とする「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」により、原子力事業者は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の業務に要する費用に充てるための負担金を納付することを義務付けられております。当社は、現在進めている大間原子力発電所計画について、同発電所が「原子力損害の賠償に関する法律」に定める原子炉の運転等を開始した後に、負担金を納付することとなりますが、かかる負担金の額によっては当社の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 業務情報の管理
当社は、個人情報をはじめ機密を要する多くの重要な情報を保有しています。これらの情報については情報セキュリティ対策の推進、従業員教育等の実施により厳重に管理しておりますが、外部に流出した場合、当社のレピュテーションや業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の収入面は、海外事業の販売電力量が増加したこと等により、売上高(営業収益)は前連結会計年度に対し1.8%増加の9,137億円となりました。営業外収益は為替差益の計上等により、前連結会計年度に対し40.5%増加の265億円となり、経常収益は前連結会計年度に対し2.6%増加の9,403億円となりました。
一方、費用面は、電気事業の火力発電所利用率の低下による燃料費の減少はあったものの、他社購入電源費の増加や海外事業の燃料費の増加等により、営業費用は前連結会計年度に対し1.4%増加の8,301億円となり、これに営業外費用を加えた経常費用は、前連結会計年度に対し1.7%増加の8,622億円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度に対し13.9%増加の780億円となりました。これに当社の持分法適用関連会社であるBirchwood Power Partners, L.P.の事業に関する減損損失相当額である関係会社事業損失を特別損失に計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に対し8.6%減少の422億円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
(電気事業)
電気事業の販売電力量は、水力は出水率が前連結会計年度を下回った(106%→101%)こと等により、前連結会計年度に対し5.3%減少の91億kWhとなりました。火力についても、発電所利用率が前連結会計年度を下回った(当社個別:79%→77%)こと等により、前連結会計年度に対し5.3%減少の520億kWhとなりましたが、卸電力取引市場等から調達した電力の小売電気事業者向け販売が増加したこと等により、電気事業全体では、前連結会計年度に対し5.4%増加の731億kWhとなりました。
売上高(電気事業営業収益)は、卸電力取引市場等から調達した電力の小売電気事業者向け販売の増加はあったものの、燃料価格及び火力発電所利用率の低下等により、前連結会計年度に対し1.4%減少の6,860億円となりました。
セグメント利益は、退職給付費用の増加はあったものの、燃料価格及び火力発電所利用率の低下による燃料費の減少や既設設備の撤去費用の減少等により、前連結会計年度に対し83.2%増加の274億円となりました。
(電力周辺関連事業)
売上高(その他事業営業収益)は、連結子会社の石炭販売収入の減少等により、前連結会計年度に対し12.0%減少の4,005億円となりました。
セグメント利益は、売上の減少等により、前連結会計年度に対し30.1%減少の185億円となりました。
(海外事業)
海外事業の販売電力量は、前連結会計年度に対し43.1%増加の156億kWhとなりました。
売上高(海外事業営業収益)は、販売電力量の増加等により、前連結会計年度に対し27.0%増加の1,790億円となりました。
セグメント利益は、為替差益の計上等により、前連結会計年度に対し16.0%増加の339億円となりました。
(その他の事業)
売上高(その他事業営業収益)は、前連結会計年度に対し27.0%減少の221億円となりました。
セグメント利益は、前連結会計年度に対し59.0%減少の5億円となりました。
資産については、米国ジャクソンガス火力発電所建設工事の進捗等により、前連結会計年度末から392億円増加し2兆8,053億円となりました。
一方、負債については、前連結会計年度末から274億円増加し1兆9,480億円となりました。このうち、有利子負債額は前連結会計年度末から55億円増加し1兆6,484億円となりました。なお、有利子負債額のうち2,692億円は海外事業のノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。
また、純資産については、繰延ヘッジ損益の減少はあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末から118億円増加し8,573億円となりました。
以上の結果、自己資本比率は28.8%となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に対し108億円増加の1,592億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、米国ジャクソンガス火力発電所建設による設備投資の増加はあったものの、昨年度実施した英国洋上風力発電事業の権益取得の反動減等により、前連結会計年度に対し87億円減少の1,617億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入の減少に加え、社債の償還や長期借入金の返済による支出の増加等により、前連結会計年度の746億円の収入に対し277億円の支出となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に対し298億円減少の1,572億円となりました。
当社グループが実施する事業のうち、電気事業の受給実績、販売実績、資材の状況及び海外事業の販売実績について記載しております。
(注) 発受電電力量は、水力・汽力・内燃力・風力発電電力量等の合計です。
① 販売実績
(注) 1 発電事業の販売電力量及び電力料は、水力・汽力・内燃力・風力等の合計です。
2 電力料・託送料には消費税等は含まれておりません。
② 主要顧客別売上状況
(注) 1 売上高は電力料と託送料の合計であり、消費税等は含まれておりません。
2 割合は電気事業営業収益に対する割合です。
c.資材の状況
① 石炭、重油及び軽油の受払状況
(イ) 石 炭
(ロ) 重 油
(ハ) 軽 油
○ 海 外 事 業
① 販売実績
(注)タイ国におけるプロジェクトの販売実績を記載しております。
② 主要顧客別売上状況
(注) 1 売上高には消費税等は含まれておりません。
2 割合は海外事業営業収益に対する割合です。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、当連結会計年度末における資産及び負債の報告数値並びに当連結会計年度における収益及び費用の報告数値に影響を与える見積りを行う必要があります。当該見積りについては、経営者は過去の実績や見積り時点で入手可能な情報等に基づく仮定を用いて合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
当社グループは、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、以下のものが重要であると考えております。
a.固定資産の減損
当社グループは、継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分を基本として資産をグルーピングしております。減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産及び資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識します。
減損の兆候の判定並びに減損損失の認識及び測定に当たっては、過去の実績や入手可能な情報等を踏まえた合理的な見積り及び仮定に基づき検討しておりますが、経営環境、市況又は事業計画の変化により当該見積り及び仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
b.有価証券の減損
当社グループは、時価のある有価証券について、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価を以て貸借対照表価額とし、評価差額を減損損失として認識します。また、時価のない有価証券について、当該会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく下落したときは、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、相当の減額を行い、評価差額を減損損失として認識します。
回復可能性の検討に当たっては、過去の実績や入手可能な情報等を踏まえた合理的な見積り及び仮定に基づき検討しておりますが、経営環境、市況又は事業計画の変化により当該見積り及び仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
c.退職給付費用及び債務
当社及び一部の国内子会社は、従業員に係る退職給付費用及び債務について、数理計算上で設定される前提条件(割引率、将来の退職金ポイント累計、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等)に基づき算出されておりますが、実際の算出結果が前提条件と異なる場合、特に株価等市況が大きく変化し年金資産の実運用収益率が影響を受けた場合又は割引率が低下した場合、数理計算上の差異が大きくなり、その償却により人件費が影響を受けます。
d.繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断に当たって、将来の課税所得を合理的に見積もっております。将来の課税所得の見積りに当たっては、合理的な要因に基づく業績予測等を前提としておりますが、経営環境の変化又は税制改正による法定実効税率の変更等が生じ、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を減額し費用を計上します。また、当該変更等により計上金額を上回る繰延税金資産を将来回収できると判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を増額し収益を計上します。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(イ)営業収益
営業収益は、前連結会計年度に対し164億円(1.8%)増加の9,137億円となりました。
このうち電気事業営業収益は、卸電力取引市場等から調達した電力の小売電気事業者向け販売の増加はあったものの、燃料価格及び火力発電所利用率の低下等により、前連結会計年度に対し96億円(1.4%)減少の6,841億円となりました。
海外事業営業収益は、タイ国連結子会社であるGulf JPが運営するガス火力の販売電力量の増加等により、前連結会計年度に対し380億円(27.0%)増加の1,790億円となりました。
また、その他事業営業収益は、前連結会計年度に対し120億円(19.2%)減少の505億円となりました。
(ロ)営業費用及び営業利益
営業費用は、前連結会計年度に対し116億円(1.4%)増加の8,301億円となりました。
電気事業営業費用は、他社購入電源費や退職給付費用の増加はあったものの、燃料価格及び火力発電所利用率の低下による燃料費の減少や既設設備の撤去費用の減少等により、前連結会計年度に対し234億円(3.6%)減少の6,292億円となりました。
海外事業営業費用は、タイ国Gulf JPの販売電力量の増加に伴う燃料費の増加等により、前連結会計年度に対し398億円(35.5%)増加の1,518億円となりました。
また、その他事業営業費用は、前連結会計年度に対し46億円(8.7%)減少の490億円となりました。
この結果、営業利益は前連結会計年度に対し47億円(6.1%)増加の836億円となりました。
(ハ)営業外収益と費用及び当期経常利益
営業外収益は、為替差益の増加等により、前連結会計年度に対し76億円(40.5%)増加の265億円となりました。為替差益は、主にタイ国Gulf JPが保有するドル建て借入金の決算時における為替変動の評価により発生します。当連結会計年度もドルに対するバーツ高が進行し為替差益が発生しましたが、バーツ高の進行が前連結会計年度に比べ大きかったことにより増加しました。
営業外費用は、前連結会計年度に対し28億円(9.9%)増加の320億円となりました。
この結果、当期経常利益は前連結会計年度に対し95億円(13.9%)増加の780億円となりました。これは、当連結会計年度のタイ国Gulf JPの為替差益の増加や既設設備の撤去費用が減少したことが主な要因です。
(ニ)親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は、当社の持分法適用関連会社であるBirchwood Power Partners, L.P.の事業に関する減損損失相当額である関係会社事業損失を特別損失に計上したこと等により、前連結会計年度より29億円(4.3%)減少の655億円となりました。法人税等合計は、税金等調整前当期純利益の減少等により、前連結会計年度に対し12億円(9.2%)減少の119億円となりました。
また、非支配株主に帰属する当期純利益は、タイ国Gulf JPの為替差益の増加等により22億円(24.6%)増加の113億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に対し39億円(8.6%)減少の422億円となりました。
(ホ)成長性指標、健全性指標
中期経営計画 [2018~2020年度3カ年の見通し(2018年4月27日に公表した計画)]
○成長性指標:『J-POWER EBITDA=営業利益+減価償却費+持分法投資損益』
2020年度に2,100億円以上
○健全性指標:『有利子負債÷J-POWER EBITDA』
2020年度末に2017年度末実績(8.0倍)と同水準を維持
なお、中期経営計画の進捗状況等については、定期的に見直しを行い公表しております。
(当連結会計年度末の評価)
○成長性指標:1,779億円(2019年度実績)
○健全性指標:9.3倍(2019年度末実績)
b.経営成績に重要な影響を与える要因
○ 営業収益
(電気事業営業収益)
当社グループの電気事業営業収益は主に、当社グループの発電設備で発電した電力の販売による収入、卸電力取引市場等から調達した電力の販売による収入、並びに一般送配電事業者からの託送料収入により構成されます。当社の販売電力量は、小売電気事業者等の電力需給動向により影響を受けるため、当社の電力量料金に係る収入は間接的に小売電力需要の影響を受けます。
(イ) 発電設備容量
当社は、発電施設建設にあたり、長期的な電力需要の見通し、市場競争の進展度合い等の想定されうる将来の事業環境を前提に、当該発電施設の収益性を判断し、開発計画を策定しております。想定以上の事業環境の変化により当社が期待する収益性を確保できない可能性はありますが、基本的には発電設備容量の増加が販売電力量及び販売電力料の増加に結びつきます。
(ロ) 電力需要
日本の最終電力需要の見通しによっては、長期的に当社が建設・運転可能な発電所数が左右されることになり、間接的に当社収益に影響します。短期的には当社火力発電所の発電量の多寡を通じ、営業収益に影響します。また、電力需要は冷夏・暖冬等の天候によっても影響を受けます。
(ハ) 電気料金等
発電事業に関する料金は、電気事業法の改正に伴い、2016年4月より卸規制等が撤廃され、販売先との協議により決定しております。一方、送電事業に関する料金は、健全な送配電ネットワーク維持のため引き続き規制分野として原価主義を採用しており、送電事業で必要と想定される適正な原価に適正な利潤を加えて算定しております。
各料金の詳細な条件は契約当事者間で協議の上、適宜改定を行っています。また、料金の構成としては、揚水を除く発電設備については、原則として基本料金と販売電力量に応じた従量料金としています。一方、揚水発電設備、送・変電設備については、全額を基本料金としております。
なお、火力発電設備の従量料金の大半を占める燃料費相当部分については、海外炭の価格動向など市況の変動が大きいため、原則として販売先との間で燃料調達に係る市況の変動を適宜反映する仕組みを導入しております。
また、卸電力取引市場等から調達する電力についての販売料金は、販売先との契約により決定し、適宜改定を行っております。
(海外事業営業収益)
当社グループの海外事業営業収益の大半は、当社の連結子会社とタイ電力公社(EGAT)との長期電力販売契約に基づく販売電力料収入です。販売電力料収入には固定料金である基本料金収入と販売電力量に応じた電力量料金収入があります。当社の連結子会社の販売電力量は、販売先であるタイ電力公社の電力需給動向により影響を受けるため、当社の連結子会社の電力量料金に係る収入は間接的に電力需要の影響を受けます。
○ 営業費用
(電気事業営業費用)
(イ) 減価償却費
重要な減価償却資産の減価償却の方法は、定額法によっております。今後、新たに大規模な設備が資産計上されると減価償却費も増加します。
(ロ) 燃料費
火力発電所の燃料に使用する石炭については、主として長期契約若しくは期間1年程度の契約により行っております。また、補完的にスポットでの調達も行っております。長期契約に基づく石炭の購入価格は、通常、1年に1回市場価格を踏まえて調整されます。当社の燃料費は、石炭の価格変動、輸送船舶の需給状況、燃料調達先の設備・操業トラブル等の影響を受けます。
(ハ) 人件費
従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件(割引率、将来の退職金ポイント累計、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等)に基づき算出されておりますが、実際の算出結果が前提条件と異なる場合、特に株価等市況が大きく変化し年金資産の実運用収益率が影響を受けた場合又は割引率が低下した場合、数理計算上の差異が大きくなり、その償却により人件費が影響を受けます。
(ニ) 修繕費
設備信頼性を維持するため計画的な補修を実施しておりますが、定期点検の内容、規模等により修繕費は変動します。
(ホ) 他社購入電源費
電力市場価格及び販売先との契約に基づく販売電力量等により、卸電力取引市場等からの電力の調達に要する他社購入電源費は変動します。
(海外事業営業費用)
(イ) 燃料費
タイ国における火力発電に用いる燃料の天然ガスは、タイ石油公社(PTT)と長期燃料供給契約を締結し購入しております。当社の連結子会社の燃料費は、ガス価格の変動、タイ石油公社の設備・操業トラブル等の影響を受けます。
○ 営業外収益・費用
営業外費用には、支払利息のほか為替差損があり、金利及び為替の変動によって影響を受けます。
c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(イ) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(ロ) 資金需要の動向
当社グループの主な資金需要は、電気事業及び海外事業への設備投資並びに長期負債の借換資金です。当連結会計年度の電気事業に係る設備投資は、前連結会計年度より170億円増加の1,169億円、海外事業に係る設備投資は、前連結会計年度より225億円増加の272億円です。
(ハ) 資金調達の方法及び状況
当社グループの資金需要は設備投資と債務の借換に係るものが大半であるため、資金調達は長期資金で手当てすることを原則としています。
長期資金調達に際しては、低利かつ安定的な資金調達手段として普通社債の発行及び金融機関からの借入を行っており、当連結会計年度末の普通社債発行残高は6,849億円、借入残高は9,454億円となりました。
短期資金については、運転資金に加え、調達の即応性を高める観点から機動的なつなぎ資金調達を実施することとしており、これら短期の資金需要を満たすために1,000億円のコマーシャル・ペーパーの発行限度枠を設定しています。
なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末から55億円増加の1兆6,484億円となりました。
○ 短期有利子負債
当連結会計年度末の短期有利子負債は、1年以内に償還予定の社債800億円、1年以内に返済予定の長期借入金800億円及び短期借入金149億円です。なお、1年以内に返済予定の長期借入金のうち151億円はノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。
○ 長期有利子負債
当連結会計年度末の長期有利子負債は、長期借入金8,653億円、社債6,049億円です。なお、長期借入金のうち2,579億円はノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。
(主たる事業に係る契約等)
当社の主たる事業は発電事業及び送電事業です。発電事業では旧一般電気事業者10社や新電力といった小売電気事業者等に対して、各社との出力・電力量、料金等を定めた契約に基づき、当社が所有する発電設備より電力を供給しております。また、送電事業では自社で所有する送・変電設備により、沖縄電力㈱を除く一般送配電事業者9社の電力託送を、各社との契約に基づき行っております。
なお、発電事業に関する料金は、電気事業法の改正に伴い、2016年4月より卸規制等が撤廃され、販売先との協議により決定しております。一方、送電事業に関する料金は、健全な送配電ネットワーク維持のため引き続き規制分野として原価主義を採用しており、送電事業で必要と想定される適正な原価に適正な利潤を加えて算定しております。
(送変電部門の分社化に伴う吸収分割契約締結)
(1) 吸収分割契約締結の目的
当社は、電気事業法に定める送電事業の法的分離に対応し、送変電部門の一層の中立性を確保することを目的とし、送変電部門を分社化するための準備会社として、2019年4月1日に100%当社出資の「電源開発送電事業分割準備㈱」を設立しました。
今般、同社に当社の送電事業を承継させるため、2020年4月1日を効力発生日とする、吸収分割契約を締結しております。なお、この吸収分割に伴い、同日付で同社の商号を「電源開発送変電ネットワーク㈱」に変更しております。
(2) 吸収分割の要旨
① 吸収分割の日程
本件吸収分割は、当社においては会社法第784条第2項に規定する簡易吸収分割に該当するため、株主総会の承認決議を経ずに行うものとしております。
② 当該組織再編の方式
当社を分割会社とし、当社の100%子会社である電源開発送電事業分割準備㈱を承継会社とする吸収分割です。
③ 当該組織再編に係る割当ての内容
本件吸収分割に際し、承継会社である電源開発送電事業分割準備㈱は、普通株式374,900株を発行し、それらをすべて当社に対して割当て交付します。
④ 当該組織再編に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
当社は新株予約権及び新株予約権付社債を発行しておりません。
⑤ 会社分割により増減する資本金
当社の資本金に変更はありません。
⑥ 承継会社が承継する権利義務
承継会社は、当社との間で締結した2019年4月26日付の吸収分割契約の定めに従い、当社が営む送電事業に関して有する権利義務を効力発生日に承継します。
なお、本件吸収分割による承継会社への債務の承継については、免責的債務引受の方法によるものとしております。
⑦ 債務履行の見込み
当社及び承継会社ともに、本件吸収分割後も資産の額が負債の額を上回ることが見込まれること、現在のところ、本件吸収分割後に負担する債務の履行に支障を及ぼす事態の発生は想定されていないことから、本件吸収分割後における当社及び承継会社の債務履行の見込みについては、問題ないと判断しております。
(3) 分割又は承継する事業部門の概要
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。
(4) 当該組織再編後の状況(2020年4月1日現在)
① 分割会社
② 承継会社
当社グループにおける研究開発活動は、安価で良質な電力を安定的に供給するため、これまで電気事業で培った経験を活かしつつ事業環境の変化を踏まえ、脱炭素社会対応、ESG(環境・社会・ガバナンス)視点の企業価値向上や、事業競争力強化に関する以下の各分野に重点を置いています。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、
主な研究開発は、次のとおりです。
① 低炭素化・脱炭素化技術(酸素吹IGCC、バイオマス混焼、CO2回収・利用・貯留、水素製造など)
② 環境対策技術(貯水池環境保全技術など)
③ 競争力強化技術(発電所保守・運用の最適化など)
④ 原子力関連技術(フルMOX-ABWR技術)
⑤ 流通関連技術(系統シミュレーション技術など)