2025年3月に「持続的な企業価値向上に向けた取組み方針」を公表、同年9月にマテリアリティを改定し、それらを踏まえ、グループ経営ビジョン「Compass2030」の前倒し実現を目指して、同年10月に2026-2028年度中期経営計画を策定しました。
2026-2028年度中期経営計画(2025年10月29日発表)
https://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20251029-02.pdf

*第1 企業の概況 3 事業の内容 の事業区分とは異なる
**全社ROICは決算資料上の調整額を含め算出
***バリューチェーン
各事業の具体的な戦略については2026-2028年度中期経営計画(2025年10月29日発表)
(https://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20251029-02.pdf)をご覧ください。


(2)中期経営計画の進捗について
■主要計数
(注)1 固定資産売却損益含む
2 発行済みハイブリッド社債及びハイブリッドローンの資本性50%を調整
当社グループは、「社会的価値創出と経済価値創出を両立し、持続的成長を実現する」ことをサステナビリティ推進の基本的な考え方とし、サステナビリティを企業価値向上に不可欠なものと位置づけています。
この考えのもと、グループ経営理念を体現するべく特定したマテリアリティを羅針盤として、中期経営計画・事業活動を推進しています。さらに、ステークホルダーとの対話も踏まえ、戦略・施策にこれを反映させる好循環を実現し、持続的な成長につなげていきます。

<監督>
■取締役会
取締役会では、経営計画・経営方針その他の当社の経営の重要な意思決定を行っており、2025年度においては、東京ガスグループ2026-2028年度中期経営計画の策定に先立ち、マテリアリティを決議しました。
また、各年度の経営計画においてサステナビリティに関する主な指標をKPIとして決議し、執行役からの定期的な報告を踏まえ、サステナビリティに関する専門性を有する社外取締役を含む取締役の知見や経験を活かして、進捗をモニタリングしています。報酬委員会は、執行役(取締役を兼務する者も含む)の賞与及び株式報酬に連動する業績評価指標を毎年決議しており、その一部にサステナビリティに関する主な指標を組み込み、その達成状況を報酬に反映しています。
<執行体制>
■経営会議
経営会議では、当社グループ各組織で推進するマテリアリティに基づく事業活動について、案件の審議・調整を行い、執行役が重要事項を取締役会に報告しています。
■サステナビリティ委員会
執行役社長が委員長を務め、東京ガスグループ経営会議メンバー及び関係部長を委員とするサステナビリティ委員会を開催し、サステナビリティに関する議題を共有、議論しています。2025年度は年3回実施しました。委員会では主に、サステナビリティを取り巻く状況変化をアップデートした上で、サステナビリティに関する重要な指標を評価・モニタリングし、グループ全体の方向性の検討と調整を行い、サステナビリティ経営を推進しています。なお、次年度以降のサステナビリティ委員会は、サステナビリティに関する議論をより深める場とし、サステナビリティの重要な指標の進捗管理は経営会議をはじめ、各委員会・各部門会議等にて行っていく予定です。

サステナビリティ推進体制
当社グループは全社的リスク管理(ERM=Enterprise Risk Management)体制を構築し、「リスク統制規則」の中で重要リスクを明文化しています(詳細は
特定されたマテリアリティについて、その継続的な妥当性の確認を含め、関連するリスク及び機会のモニタリングをサステナビリティ委員会において定期的に実施予定です。
当社グループは、マテリアリティを羅針盤として長期経営ビジョン・中期経営計画を推進しています。
長期経営ビジョンであるグループ経営ビジョン「Compass2030」において「『CO2ネット・ゼロ』をリード」「『価値共創』のエコシステム構築」「LNGバリューチェーンの変革」の3つの挑戦を掲げています。
このビジョンを実現すべく、2025年10月に策定した2026-2028年度中期経営計画において、持続的な成長を実現する取り組みとして、以下のようにマテリアリティに掲げた価値創出と変革を行います。

サステナビリティに関する指標のうち、取締役会でKPIとして決議しモニタリングしていく主要な指標は以下のとおりです。
サステナビリティに関する主な指標・目標
(注)1 事業を牽引する高い専門性を有する人材について、必要人数に対する充足割合。
2 従業員意識調査の「貢献意欲」に関する設問(6段階評価)において、上位2段階の肯定的回答をした従業員の割合。
3 当社及び東京ガスネットワーク㈱合算の目標を記載しています。
<補足説明>
・その他指標・目標及び2025年度実績値は、2026年9月発行予定の「
当社グループは、気候変動への対応を、事業活動を通じて解決すべき重要課題として認識しており、マテリアリティの一つとして「エネルギーの安定供給とカーボンニュートラル化の両立」を特定しています。
当社グループの事業を取り巻く環境を踏まえ、気候変動が事業に及ぼす影響を定性・定量的に把握し、事業戦略のレジリエンスの確認・対応策の検討に活用することを目的に、シナリオ分析に取り組んでいます。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)が公表しているシナリオ等を参照しながら事業環境を想定し、想定されるリスクと機会を特定・整理しています。

各シナリオにおける一部リスク要因については、その財務影響を試算しました。一例として、カーボンプライシング等の政策・法規制の導入は、エネルギー消費が抑制されることで都市ガス事業収支に影響を及ぼす可能性があります。WEO2023 NZEシナリオ(1.5℃シナリオ)では、2030年に日本の天然ガス消費量は10%減少が予測されており、仮に当社グループの都市ガス販売量に同じ影響がある場合、過去実績を基に試算すると、売上高約1,000億円に相当します。また、猛暑や暖冬等の異常気象が発生した場合、給湯・暖房用を中心とする家庭用及び一部の業務用ガス販売量が変動し、都市ガス事業収支に影響を及ぼす可能性があります。IPCC第6次報告書SSP-8.5(4℃シナリオ)では2030年に気温が0.5℃上昇すると予測されており(2011-2020年基準)、過去実績を基に試算すると、売上高約150億円に相当します。
当社グループは、リスクと機会に適切に対応することを目指し、カーボンニュートラルエネルギー及びソリューション事業の拡大に取り組んでいきます。「東京ガスグループ カーボンニュートラルロードマップ 2050」では、CO2ネット・ゼロの実現に向けて、2040年、2050年を見据えた具体的な道筋を示しました。2020、2030年代のトランジション期には化石燃料の中で最もCO2排出量が少なく、再エネ導入拡大に向けた調整力・供給力としても活用が期待される天然ガスを最大限高度利用しながら、併行して再エネの活用を進めます。また、e-メタンや水素等、新技術の社会実装に向けた技術開発にも積極的に取り組み、2030年時点で当社の都市ガス販売量の1%(※1)に相当するe-メタン・RNG導入を目標としています。2040年代は、さらなる脱炭素化技術の拡大・普及を実現し、2050年までにガス・電力の脱炭素化を目指します。
(※1)卸、発電を除いた当社の都市ガス販売量の1%(2020年度時 約8,000万Nm3/年)
気候変動に関する主な指標・目標
気候変動に関する主な実績
(注)1 他の化石燃料よりも低炭素な天然ガスへの燃料転換、高効率機器導入、再エネ導入等による社会全体のCO2排出量削減の効果。計上方法は第三者機関DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社によるアドバイスを受けています。
2 目標値は、国内におけるエンドユーザーへの「環境価値が付帯されたガス・電力等」の販売を通じて提供される環境価値の量です。
3 GHG(温室効果ガス)排出量は2024年度実績値を掲載しています。
内訳や算定基準等については、2025年9月発行「東京ガスグループ
(https://www.tokyo-gas.co.jp/sustainability/download/pdf/sr2025.pdf)」の55・56ページを参照ください。2025年度実績値は、2026年9月発行予定の「東京ガスグループ
(https://www.tokyo-gas.co.jp/sustainability/download/index.html)」の「環境データ」を参照ください。
4 2030年度ネット・ゼロ達成に向けて当該年度に目標化した施策の実施率です。
(5)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標について
当社グループにおける人的資本に関するガバナンス体制は、「(2)サステナビリティに関するガバナンス及びリスク管理について ①ガバナンス」に記載する体制と同様の枠組みで、人的資本経営を推進しています。
加えて、経営会議メンバーで構成される人材開発委員会を定期的に開催し、経営戦略と一体で人的資本に関するテーマを議論・討論しています。
当社グループにおける人的資本に関するリスク管理は、「(2)サステナビリティに関するガバナンス及びリスク管理について ②リスク管理」に記載しています。
当社グループは、渋沢栄一が会社を創立した第1の創業、LNG導入により「地域」環境問題に貢献した第2の創業を経て、今、「第3の創業」ともいうべき大きな転換点を迎えています。「エネルギーの安定供給とカーボンニュートラル化の両立」と「脱炭素・最適化・レジリエンスに貢献するソリューションの提供」を目指し、既存事業の変革による収益基盤の強化を図るとともに、脱炭素やDX(デジタルトランスフォーメーション)といった成長領域へ経営資源を重点的に配分し、事業ポートフォリオの変革を加速させています。そして、この変革を実現するのは人です。
当社グループでは、一人ひとりの人材を、単なる資本ではなく「心を持つ貴重な財産」と捉えています。経営戦略を力強く推進するために、グループ員一人ひとりに投資し、挑戦を奨励しながら人材の価値を高め、グループ員一人ひとりの多様性を尊重しながら最大限その価値を発揮する環境づくりを進めています。
b.人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
当社グループは、人的資本経営の実践に向けて、以下の事項に取り組んでいます。
<ポイント1>人材ポートフォリオの再構築
事業戦略と連動したあるべき人材ポートフォリオを定義し、タレントマネジメントシステムやデータ活用により現状とのギャップを特定した上で、一人ひとりの適性や意思を反映した人材獲得・育成・配置を推進するとともに、リスキリングや外部からの高度専門人材の戦略的獲得も進めます。これにより、事業環境の変化に迅速に対応できる強靭な人材基盤を構築し、戦略的人材の充足を目指します。
<ポイント2>「挑戦による成長」と「多様性を力に」を促す企業文化の醸成
グループ員一人ひとりがやりがいの大きい業務で成果を出し、成長できるよう、個人の目標と組織戦略の連携・挑戦を促すOKR(Objectives and Key Results)、社内公募制度をはじめとする施策により、挑戦の機会を拡充します。また、当社グループに集う多様な人材の知識、経験、考え方を尊重し、その能力を最大限に引き出すDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を推進しています。中でも女性活躍をその端緒と位置付けて様々な取組みを進めています。2026年4月1日には当社の女性執行役員数が増加し4名になるなど、各役職段階に占める女性の割合が着実に増加しており、多様な人材が活躍できる土壌が形成されています。また、変化に強いしなやかな企業体質の実現に向けて、男女ともに柔軟な働き方や仕事と育児の両立を推進しています。
<ポイント3>Well-beingの実現
グループ員一人ひとりが心身ともに健康で、いきいきと働きがいを持って能力を最大限に発揮できる状態の実現を目指します。その指標として従業員エンゲージメントを定期的に測定し、施策に反映することで、人事制度・運用やマネジメントを高度化していきます。
(注) 1 連結子会社の実績は、
2 当社及び東京ガスネットワーク㈱合算の実績及び目標を記載しています。
3 事業を牽引する高い専門性を有する人材について、必要人数に対する充足割合。
4 平均取得日数は68日。
5 従業員意識調査の「貢献意欲」に関する設問(6段階評価)において、上位2段階の肯定的回答をした従業員の割合。
<補足説明>
・2026年度以降は、「リスキル学びなおし実施率」の指標管理を終了し、新たな指標として「高度専門性充足度」「高エンゲージメント回答率」を追加設置する。
(注) 1 翌年度の4月1日時点実績
2 2021年度については、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定された計算方法に基づく算出なし
<補足説明>
・詳細は、当社「
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、本事業リスク等については、当社グループが特定した7つのマテリアリティに分類して記載しています。また、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社は天然ガスをはじめとする都市ガス原料の大半を海外から輸入しているため、原料輸入先のカントリーリスクやガス田・LNG液化基地でのトラブル、LNG船の運航途上でのトラブル、東京湾での入港規制等により原料が長期にわたり調達できない場合には、都市ガスの供給に支障を来し、事業収支に影響を及ぼす可能性があります。
このため、1969年の受入開始以来、安定調達を続けている主要原料のLNGについては、現在、5カ国10プロジェクトから購入し、調達先の多様化を進めています。また、自社管理LNG船等を活用した柔軟な配船やトレーディングの活用等により、安定的かつ柔軟なLNG調達に取り組み、原料調達リスクの低減を進めています。
なお、ロシア・ウクライナ問題や中東情勢等の地政学リスクに起因した原料調達支障は、2026年5月末現在発生しておりませんが、関係各所と連携しつつ、引き続き都市ガスの安定供給に努めていきます。
② 自然災害
当社グループは、都市ガスの製造・供給設備を事業活動の基盤としている装置産業であるため、大規模な自然災害が発生した場合には、LNG基地等の製造設備や導管等の供給設備等に損害を受け、都市ガスの供給に支障を来す可能性があり、その復旧対応等に伴う費用が収支に影響を及ぼす可能性があります。
このため、主要設備は阪神・淡路大震災、東日本大震災クラスの大地震でも十分耐えられる構造になっており、さらに二次災害を防止するための予防対策等を実施しています。また、内閣府想定の大規模地震災害に備えた事業継続計画(BCP=Business Continuity Plan)の策定をはじめ、地震、台風、津波、富士山噴火等の自然災害に対する非常事態体制の整備、定期的な訓練の実施及び近年の大型台風等の風水害リスクに対するレジリエンス向上策の実施等、災害の影響を最小限に止める対策を実施しています。
当社グループは、お客さまの生活や産業を支える都市ガスの製造・供給及び発電を行っているため、都市ガスの製造・供給に伴う大規模な漏洩・爆発事故や供給支障が発生した場合には、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生し、事業収支にも影響を及ぼす可能性があります。また、発電に支障が発生した場合には、電力の市場調達が必要となり、その対応に伴う費用等により、電力収支に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ガスの大規模供給支障事故に備えたBCPの策定をはじめ、各種保安対策を計画的に実施するとともに、非常事態体制を整備し、定期的な訓練を実施する等、事故・供給支障の防止に取り組んでいます。また、当社は複数のLNG基地を有し、基地間での補完が可能なため、ガスの供給停止に至る可能性は低いと考えます。
当社のLNG基地は信頼性の高い受電系統を配しており、LNG基地への電力供給が停止する可能性は低いと考えられますが、ガスの需要量や製造・供給設備の状況によってはガスの製造・供給に支障を来し、事業収支に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、関東エリアで不測の大規模停電が発生した場合に備えて、BCPの策定をはじめ影響を最小限に止める対策を実施しています。また、系統電源からの電力供給が停止した場合には、停電によるガス需要減も見込まれるとともに、自家用発電設備で稼働することが可能なため、停電時にも一定量のガス送出が可能となっています。さらに、当社は複数のLNG基地を有し、仮に1つのLNG基地が停止しても、基地間での補完が可能であり、必要なガスの製造が概ね可能となっています。
また、ガス供給については、圧力調整器の動力がガス自身の圧力差であり電力が不要であることから、大規模停電が発生した場合においてもガス供給を継続することが可能です。一方、ガスの圧力や流量の監視・コントロールする設備や災害対応を行う保安拠点ビルについては、商用電源を利用していますが、停電時には商用電源から非常用電源に切り替わり、継続して使用可能となっています。
当社グループの業務従事者の病原性や感染力の高い感染症への感染により、万一、都市ガスの製造・供給及び発電に支障を来した場合には、当社の事業収支に影響を及ぼすとともに社会的責任の発生等有形無形の損害が生じる可能性があります。
このため、流行発生の予見は困難ですが、病原性や感染力の高い感染症に備え、BCPの策定や非常事態体制の整備により影響を最小化する対策を実施しています。
事業活動の継続のためのサプライチェーンの強靭化は重要な経営課題の1つであり、当社グループでは、様々な取り組みを実施しています。
取引先の収支悪化や労働力不足等による事業縮小・撤退リスク、紛争や政治的不安定による地政学リスク、自然災害などのサプライチェーンリスクに対し、事業継続のために必要な重要業務で使用する部品・材料等の棚卸とリスク評価を実施し、その結果に応じた調達先の多様化、必要最低限の在庫確保、代替部品・材料の検証などの対策に取り組んでいます。
また、人権デュー・デリジェンスの観点を含めた「サステナブル調達ガイドライン」、サプライチェーン全体の共存共栄を目指す「パートナーシップ構築宣言」を定め、サプライチェーンリスクに対して強靭でサステナブルなサプライチェーンの構築に努めています。
2026-2028年度中期経営計画で掲げた海外への展開において、原油・ガス・電力価格及び外国為替相場は、常に変動することから収支に影響を及ぼす可能性があります。特に2023年12月に米国のTG Natural Resources LLCを通じて天然ガス開発・生産事業会社を新たに買収したこと、2025年3月にシェブロン社とシェールガス共同開発契約を締結したことでヘンリーハブ価格(ガス価格)の変動による影響をより大きく受ける構造となりました。そのためヘッジの活用や生産コスト低減などに加えて、安定的なエネルギー販売先の確保など米国内での中下流領域への事業を拡大することで、収益の安定化を目指していきます。また、アジア大洋州において、成長するLNGインフラへの投資により安定収益確保を目指していきます。
当社の連結売上高の多くが都市ガス・電力の販売によるものであるため、猛暑や暖冬等の異常気象が発生した場合には、家庭用ガス・電力販売量や一部の業務用ガス・電力販売量が変動し、事業収支に影響を及ぼす可能性があります。
このため、気象の影響を受けづらい工業用やコージェネ用都市ガス販売に加え、東京ガスグループ2026-2028年度中期経営計画で掲げている、LNGトレーディングや、ソリューション、海外事業、都市ビジネスの拡大等による事業バランスの変更を図っていきます。
他企業との競合激化や資源価格の変動、及び脱炭素の潮流による制度・お客さま志向の変化等LNGそのものが他エネルギーとの競争力を失う場合には、需要が減少し、収支に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループは、環境性・効率性・快適性の高いガス利用設備の導入や徹底した効率化によるコストダウンを通じた競争力向上に取り組むとともに、LNGトレーディングや、ソリューション、海外事業、都市ビジネスの拡大等による事業バランスの変更を図っていきます。
⑪ 法令・制度・国及び地方自治体の政策変更
ガス・電力事業においては、小売全面自由化に続き、送配電部門・ガス導管部門の法的分離が実施される等、制度の見直しが進められており、当社グループを取り巻く環境は大きく変化しています。今後のエネルギー政策の動向や他事業者との競争激化により、当社グループの事業収支に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ガスは徹底的な効率化による競争力向上、電力は拡販と効率化の両立に取り組むと共に、ソリューション事業ブランドIGNITUREのもとお客さまの新たな生活様式や価値観に対応したソリューション商材を提供していくことでガス・電力に次ぐ新たな収益基盤の確立を図っていきます。
気候変動問題に関しては、米国トランプ政権の影響や昨今の中東情勢を受けて、短期的には世界的に脱炭素化に向けた潮流に変化が生じているものの、中長期の視点に立って対応を継続することが必要と考えています。カーボンニュートラルロードマップ2050で示したとおり、足元ではこれまでに推進してきた天然ガスの高度利用と並行して再生可能エネルギー等の分散型リソースの活用促進や、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)における調整後排出係数がゼロとなる都市ガスメニューの開発に取り組み、ガス・電力の脱炭素化の準備を進めており、2030年代には脱炭素化技術を実装・拡大していきます。2040年時点でCO2排出量を2022年度比で6割削減、国内のお客さまに供給するガス・電力の5割をカーボンニュートラル化し、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指します。
また、今年度から本格稼働するGX-ETSに関しては、当社グループ対象事業者として東京ガスエンジニアリングソリューションズ、川崎天然ガス発電、扇島パワーが該当することを踏まえ、政府の検討の中で定められたBM、GFの仕組みに基づき対応し、GXの進展に貢献していきます。
上記のような事業環境の変化に対応するため、Compass2030及びカーボンニュートラルロードマップ2050で示した通り、脱炭素関連のソリューションを拡充し、カーボンニュートラル社会へのシームレスな転換を牽引するとともに、ソリューション事業ブランドIGNITUREのもとお客さまの新たな生活様式や価値観に対応したソリューション商材を提供していくことでガス・電力に次ぐ新たな収益基盤の確立を図っていきます。
自由化の進展や技術革新により、中期的に既存ガス商材に対する競合の激化、競争力低下の恐れがあります。さらに、国や自治体の制度・政策等動向によっては、既存事業における競争環境が悪化する可能性があります。
このため、Compass2030及びカーボンニュートラルロードマップ2050で示したとおり、カーボンニュートラル社会へのシームレスな転換を牽引すると共に、価値共創のエコシステム構築の取組みとして、デジタルマーケティング力を活かした商圏拡大、リアルの強みとAI・デジタル技術を活かしたニーズを先取りしたソリューション提供、低・脱炭素商材の提供等を推進し、新たな市場を開拓し差別化・収益化を図ります。
当社グループは、都市ガス供給上及び消費機器の使用に係る保安責任を負うことから、都市ガス供給に関わる事故やガス機器等に起因する事故が発生した場合には、その対応に伴う直接・間接の損害が発生する可能性があります。
このため、お客さまとの保安接点機会である開栓時及び定期保安点検時におけるガス工作物の健全性の確認、消費機器の安全性の確認を通じ、引き続きガスの安全使用を徹底するとともに、家庭向けガス警報器の普及促進や業務用厨房への業務用換気警報器の設置を継続します。これらの取り組みにより、ガスによる重大事故は着実に減少しています。
不適切なお客さま対応等が発生した場合には、SNS等を通じて容易に拡散され、当社グループのブランドイメージの毀損による企業競争力の低下や既存顧客の流出等の有形無形の損害が発生し、事業収支に影響を及ぼす可能性があります。
このため、頂いたお客さまの声を該当する部門へ速やかに届けて改善策を講じる等、グループ全体でCSの向上を進めています。
将来のCO2削減に向けた社会的要請や機運が一層高まる中で、それらの開発や実用化が、将来、他社と比較して遅延した場合には、その新技術を活用できない、若しくはその活用に必要な知財使用・購入コストや代替技術開発コストが増加すること等により、結果的に競争力が低下し、経営成績等に中長期的に影響を及ぼす可能性があります。
このため、カーボンニュートラルロードマップ2050で掲げたカーボンニュートラル社会へのシームレスな転換を牽引するため、ガスはRNG、e-methane(合成メタン)導入を、電力は再生可能エネルギーの拡大を主軸として脱炭素化を推進するとともに、それらの普及拡大に向け、グリーン・イノベーション基金事業での従来よりも大幅な高効率化を目指す革新的メタネーション技術開発、洋上風力の浮体式基礎の連続製造・施工技術の確立、低コストグリーン水素製造に向けた水電解用セルスタック開発等の実現を目指します。
また、オープンイノベーションを戦略的に活用し、スピードや知財マネジメントを意識しつつ、自社開発、社外からの知見の取り込み状況の見える化、及びその進捗管理を適宜実施しています。
① 人的資本の確保・育成及び適正配置に関するリスク
当社においては、少子高齢化や労働市場の変化等により、担い手の確保が困難となる可能性があり、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社では、事業継続上重要な業務領域における人材確保のため、教育・研修プログラムを導入し、専門性を持つ人材の育成を強化しています。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用し、業務効率化や自動化を推進することで、担い手の負担軽減と労働生産性の向上を図っています。さらに、多様な働き方を促進し、幅広い人材の参加を可能にする環境整備を進めています。これらの取り組みにより、担い手不足リスクの軽減と事業運営の安定性を確保しています。
当社の事業活動において、ガス製造・供給・消費機器等に関する事故や重大なトラブルに加え、その他の設備・システム障害、労働災害、自然災害等が発生した場合、有形無形の損害が発生する可能性があります。
このため、当社では平時より都市ガスの防災対策及びガス機器の安全性向上に継続して取り組むとともに、設備の保全やシステムの安定運用、安全衛生の確保等を実施し、お客さま・行政・報道機関等に対し、当社の安全確保に関する取り組みや安全な使用方法の周知に努めています。万一事故・災害等が発生した場合には、関係機関等と連携のうえ、当該事象に関連する情報について適時・適切に情報発信を行うなど、ステークホルダーの理解促進と不安の低減に努めます。
当社はDX(デジタルトランスフォーメーション)の中核としてAI活用を推進しています。AI活用を軸とした既存業務の抜本的な改革や新たなビジネス創出により、事業収益の向上を実現していますが、AIへの投入データや出力結果が不適切に扱われると、法令・コンプライアンス違反につながり、ブランドイメージの毀損や事業収支への影響を招く可能性があります。
このため当社では、AI活用が社内に広がり始めた初期段階から、効果的な活用を推進しながらリスクを最小限に抑えることを重視し、当社内にAI活用方針を明示するとともに、AI特有のリスクに対応したガイドラインを策定するなどの対策を講じてきました。また、AIの技術進展や適用事例の拡大に伴い、ガイドラインの更新や審査体制の整備、社員リテラシー向上のための研修実施などガバナンス強化を図りつつ、責任あるAI(Responsible AI)を徹底しています。
お客さまの個人情報が外部へ流出した場合には、対応に要する直接的な費用、被害が深刻なお客さまからの信頼や当社グループのブランドイメージの毀損等により、事業収支に影響を及ぼす可能性があります。
このため、グループ全体を対象とした情報セキュリティ推進体制の構築と監理機能の強化、情報セキュリティ教育や個人情報保護法教育、自主検査の実施、流出事故発生時のエスカレーションルールの徹底等を行うと共に、その構築・運用状況を定期的な社内審査により確認し、必要な改善を行う体制を強化する等の人的・組織的対策と外部からの不正アクセスやコンピュータウィルスによるシステムへの攻撃に対する侵入防止対策等の技術的対策により、個人情報の流出防止と事故発生時の影響の最小化に取り組んでいます。
② ITシステムの停止・動作不良
重要業務システムが停止した場合や動作不良を起こした場合には、お客さま対応業務の縮小・停滞・お約束不履行の発生等による当社グループのブランドイメージ毀損、通常と異なる手段で業務継続をするための追加費用の発生等のリスクがあります。また、ITシステムの停止・動作不良は、プログラム・オペレーティングシステム・データベース・機器の不具合等様々な原因で発生します。
このため、発生防止及び発生時の影響の最小化を目指して、対障害性・耐災害性に優れた堅牢なデータセンターの設置やクラウドサービスの選定、各種セキュリティ対策及び定期的な訓練の実施等、システムの安定稼動に必要な対策を実施しています。また、万一発生した際には、再発防止及び再発時の影響の最小化のため、根本原因の徹底追究、他システムも含めた情報共有・点検等を実施していきます。なお、都市ガスの製造・供給調整に関するITシステムは、独自にバックアップシステムの整備及び自営無線の整備等の安全対策を施しているため、当該システムの停止・動作不良により都市ガスの製造・供給へ大きな影響が及ぶ可能性は低いものとなっています。
近年、サイバー攻撃のリスクが増大しています。サイバー攻撃の脅威が想定以上に高度化、複雑化し、個人情報の流出、重要業務システム及び都市ガスの製造・供給及び発電に関する制御システムの停止・動作不良等が発生した場合には、お客さま対応の停滞、被害が深刻なお客さまからの信頼や当社グループのブランドイメージの毀損、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生し、事業収支にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
このため、情報系と制御系の部門横断的な体制を強化し、定期的な審査の実施、子会社等も含めたグループ全体でのセキュリティ管理の強化、各種セキュリティ対策やインシデント対応訓練を実施する等、サイバー攻撃の影響を最小限に止める対策を実施すると共に、サイバーセキュリティ基本法や経済安全保障推進法など各種法令に従い、重要インフラ事業者として適切に対応しています。
グローバルに事業を加速させる中、世の中の企業コンプライアンスに対する社会意識の高まりに加え、法規制の強化・多様化等により、コンプライアンス違反が顕在化する可能性は一層高まっています。法令・定款に照らして不適切な行為、情報開示における不適切な対応、若しくは企業倫理・社会的規範に反する行為等が発生した場合には、対応に要する直接的な費用にとどまらず、社会的信用の毀損等有形無形の損害が発生し、結果として事業収支に影響を及ぼす可能性があります。
このため、コンプライアンスを業務運営の基盤と位置付け、社長を委員長とする経営倫理委員会において審議する「コンプライアンス活動計画」のもとに、グループ全体でコンプライアンス向上の取り組みを実施し、法令・企業倫理・社会的規範の遵守の周知徹底や、その状況等を内部監査により確認する等コンプライアンスの推進に取り組んでいます。
事業活動における人権尊重を経営上の重要課題として位置付けていますが、事業を加速させている海外も含め、世の中の「ビジネスと人権」に関する意識がますます高まっています。こうしたリスクの所在や発生源、影響を及ぼしうる取引先やサプライチェーン上の課題を適切に把握して対応しなければ、訴訟費用の発生にとどまらず、社会的信用の毀損等有形無形の損害が発生し、結果として事業収支に影響を及ぼす可能性があります。
このため当社は、国連の指導原則に基づく「東京ガスグループ人権方針」を制定してグループ内への浸透を図ると共に「人権デュー・デリジェンス」の仕組みを構築し、当社グループの人権リスクを特定し、その防止・軽減を図っています。サプライチェーン上の人権尊重への対応として、人権の観点を含む「サステナブル調達ガイドライン」の周知やアンケート実施、救済メカニズムの整備等により人権課題の実態把握及び改善に向けた取り組みを強化しています。
主として都市ガスの原料としているLNGの調達先との契約更改・価格交渉の動向によっては、収支に影響を及ぼす可能性があります。また、LNGは主に原油価格に連動して価格が決定されるため、原油価格の変動が収支に影響を及ぼす可能性があることに加え、ドル建ての売買契約になっているため、円の対ドル為替レート変動が収支に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、長期契約のLNGプロジェクトからの調達量を上回る需要増、感染症の拡大・地政学リスク等に伴う経済活動の制限による需要減、出荷基地・輸送上のトラブルの発生、新規LNGプロジェクトの供給開始遅延等が生じ、スポットLNGの追加調達や転売が必要となる場合には、スポット市況により、収支に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社は調達先の多様化、契約条件の多様化、グローバルなLNGトレーディング強化等により、原料費の低減と安定化に取り組んでいます。
一方、原料費が変動しても「原料費調整制度」により、最大5ヶ月後にはガス料金に転嫁されます。ただし、原料費調整制度に基づき算定される平均原料価格(1トン当たり)が調整上限を超過した場合には超過分は未回収となります。また、会計年度を越えてガス料金に反映される場合には、年度収支に原料費の未回収・過回収による影響が及ぶ可能性があります。
電力市場やLNG価格の変動が、収支に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社は需要・供給両面での市場リスクマネジメントに取り組んでいます。
所有する不動産や株式をはじめとした有価証券等の資産の市場価格が変動する場合、または年金資産が市場変動の影響により運用計画未達成となる場合には、会計基準にしたがって損失を計上する可能性があります。また、有利子負債について金利変動により支払利息が増加する可能性があります。
これらの損失影響を抑制するため、不動産については長期安定収益を志向する物件の取得、株式については保有意義が希薄化した証券の順次売却の実施、年金運用については特定の市場変動の影響を過度に受けないような分散投資の実施等の対応を行っています。また、当社の有利子負債は大部分が概ね固定金利で調達していることに加え、借り換え時期を分散していることから、金利変動による影響は限定的です。
当社は設備投資、出資、融資及び債務保証に関する案件に対しては投資評価委員会において採算性及びリスク評価を行い、その結果を踏まえて経営会議若しくは取締役会に付議する等、総合的な経営判断のもとに投資を決定しています。
しかし、パイプラインやLNG基地建設等の安定供給基盤の強化や、電力事業、再エネ事業、エネルギーサービス事業、ガス田の開発等の海外事業やLNG輸送事業、IT及び保有不動産の活用に係わる大規模投資が、その後の経済情勢の変化等によっては、適切に回収されない、又は所期の成果を生み出せず、特別損失として収支に悪影響を及ぼす可能性があります。
このため、経済情勢の変化等は通年管理しており、その短・中期的影響を踏まえ未回収リスクの発現時は決算に反映させています。
① 経営成績等の状況の概要
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度における我が国の経済は、輸出入や生産が横ばいとなったものの、雇用・所得環境の改善を受けて緩やかに回復しました。世界経済についても緩やかな持ち直しが続いているものの、中東情勢の物価・経済への影響が懸念されます。加えて、金融資本市場の変動、米国の政策動向をめぐる影響を注視する必要があります。
そのような環境変化の中、2025年10月に経営ビジョン「Compass 2030」を前倒し達成すべく、「2026-2028年度 中期経営計画」を策定しました。当社グループの強みである「顧客基盤」「エネルギーアセット」「オペレーション能力」を組み合わせ、「エネルギー」「ソリューション」「海外」の3事業の成長に注力します。また、生成AI等デジタルの社会実装が加速度的に進展する中、AIとデジタル技術の積極的な活用により、顧客接点の強化から市場競争力の向上まで幅広く取り組んでいきます。そして、事業ポートフォリオマネジメントを徹底するために、セグメント別ROIC管理を導入し、各事業の収益性を向上させつつ、リソースの最適配分によりさらなる成長を目指します。
売上高は、電力の販売量の増加及び北米シェールガス事業での販売単価上昇等により、前連結会計年度比7.5%増の2,834,749百万円となりました。
売上原価、販売費及び一般管理費を合計した営業費用は、前連結会計年度比5.3%増の2,637,071百万円となりました。
電源調達コストが増加したこと等により、売上原価は前連結会計年度比4.3%増の2,327,493百万円となりました。人件費が増加したこと等により販売費及び一般管理費は前連結会計年度比13.3%増の309,578百万円となりました。
営業費用の増加を上回る売上高の増加となったことから、営業利益は前連結会計年度比48.5%増の197,677百万円となりました。
営業外収益の合計は、前連結会計年度の27,154百万円から、36,212百万円となりました。これは、デリバティブ利益が前連結会計年度比11,625百万円増の15,414百万円となったことが主な要因です。
営業外費用の合計は、前連結会計年度の46,646百万円から、40,187百万円となりました。これは、支払利息が前連結会計年度比12,309百万円減の18,897百万円となったことが主な要因です。
この結果、経常利益は前連結会計年度比70.5%増の193,701百万円となりました。
特別利益の合計は、前連結会計年度の6,807百万円から、128,742百万円となりました。これは、前連結会計年度になかった為替換算調整勘定取崩益68,013百万円を当連結会計年度に計上したことが主な要因です。
特別損失の合計は、前連結会計年度の14,190百万円から、33,334百万円となりました。これは、前連結会計年度になかった減損損失30,196百万円を当連結会計年度に計上したことが主な要因です。
⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果から、親会社株主に帰属する当期純利益は同205.8%増の226,857百万円となりました。
売上高に対する親会社株主に帰属する当期純利益率は、前連結会計年度の2.8%から5.2ポイント増加し、8.0%となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の192円22銭から、654円76銭となりました。
⑦ セグメント情報
イ エネルギー・ソリューション
売上高は、ガスの原料費調整による売上単価の減少があったものの、電力の販売量の増加等により、前連結会計年度から145,626百万円(6.2%)増加し、2,486,107百万円となりました。営業費用は、前連結会計年度から116,569百万円(5.3%)増加し、2,336,361百万円となりました。持分法による投資利益は、501百万円と前連結会計年度比513百万円(50.6%)減少しました。この結果、セグメント利益は前連結会計年度から28,544百万円(23.5%)増加し、150,247百万円となりました。
(ガス)
都市ガス販売量は、前連結会計年度比0.4%減の11,175百万m3となりました。家庭用需要は、低気温影響等による需要増等により、前連結会計年度比2.1%増の2,719百万m3となりました。業務用需要は、低気温影響等による需要増等により、同0.3%増の2,275百万m3となりました。工業用需要は、需要家の稼働減等により、同1.1%減の4,630百万m3となりました。また、他事業者向け供給は、供給先の稼働減等により、同3.2%減の1,552百万m3となりました。
(注) 1 小売お客さま件数は、ガス小売事業者としてのガス料金請求対象件数
2 取付メーター数は、導管事業者としてのメーター取付数
3 業務用は、商業用、公用及び医療用
4 都市ガス販売量は45MJ(メガジュール)/m3
(電力)
販売量は、前連結会計年度比19.5%増の28,021百万kWhとなりました。小売では、件数増により、前連結会計年度比14.0%増の16,461百万kWhとなりました。卸他では、卸先の需要増により、同28.4%増の11,560百万kWhとなりました。
(注) 小売お客さま件数は、電力小売事業者としての電気料金請求対象件数
売上高は前連結会計年度から6,573百万円(2.0%)増加し、334,422百万円となりました。営業費用は、前連結会計年度から659百万円(0.2%)減少し、330,319百万円となりました。この結果、セグメント利益は前連結会計年度に比べ7,231百万円増加し、4,103百万円となりました。
ハ 海外
売上高は、前連結会計年度から60,218百万円(33.2%)増加し、241,460百万円となりました。営業費用は前連結会計年度から8,427百万円(5.2%)増加し、170,729百万円となりました。持分法による投資利益は、3,106百万円と前連結会計年度比822百万円(20.9%)減少しました。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ50,969百万円(222.9%)増加し、73,837百万円となりました。
売上高は、前連結会計年度から4,391百万円(5.6%)減少し、73,436百万円となりました。営業費用は前連結会計年度から9,194百万円(16.9%)増加し、63,588百万円となりました。持分法による投資損益は前連結会計年度に比べ691百万円悪化し、104百万円の損失となりました。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ14,277百万円(59.4%)減少し、9,743百万円となりました。
なお、参考のため、セグメント別の売上高及び構成比を示します。
(注) 各セグメントの売上高には、事業間の内部取引を含んでいます。
当社グループが供給する都市ガスの主要原料であるLNGは海外から輸入しており、ドル建ての売買契約になっているため、円/ドル為替の変動リスクを受けます。また、ドル建てのLNG価格は主として原油価格に連動して決定されるため、国際原油価格市場の変動リスクも受けます。
ただし、原料購入価格が変動しても変動分について最大5ヶ月遅れ(注1)で都市ガス料金に反映する「原料費調整制度(注2)」が適用されるため、年度を区切ると回収超過や回収不足が発生(スライドタイムラグ)しますが、中長期的には収支への影響は軽微です。
為替及び原油価格の変動が翌連結会計年度の売上総利益に与える影響額は、以下のとおりです。
為替:1円/ドルの円安により、約6億円減
原油価格:1ドル/バレルの価格上昇により、約7億円減
翌連結会計年度見通しにおける年平均為替相場と原油価格は、当連結会計年度が150.67円/ドル、71.41ドル/バレルであったのに対し、それぞれ155.00円/ドル、85.00ドル/バレルを想定しています。
(注) 1 都市ガス料金への反映は、契約により5ヶ月遅れではない場合もあります。
2 調整の上限があり、原料費調整制度に基づき算定される平均原料価格(1トン当たり)が、2022年3月から5月までの平均原料価格の160%を超過した場合には超過分は未回収となります。
当社グループの年度売上高の過半が都市ガスの販売によるもので、その販売量は気温の影響を受けます。家庭用においては、主な都市ガスの利用目的は給湯・暖房であるため、暖冬の場合には都市ガス販売量が減少し減収・減益要因となります。業務用においては、主な利用目的が空調であるため、夏場においては気温が低い場合、冬場においては気温が高い場合に、それぞれ都市ガス販売量が減少し減収・減益要因となります。
当連結会計年度の平均気温(※)は上期で23.9℃、下期で10.8℃(通期で17.4℃)でしたが、翌連結会計年度の平均気温は通期で16.9℃を想定しています。
(※)平均気温は、各日における平均気温を月間で平均したものです。
③ 金利の変動
当社の有利子負債は、長期・短期ともに概ね固定金利ですが、一定割合が変動金利であり、変動金利分は借入れ期間中の金利変動リスクに晒されています。
当社の保有する株式のうち、上場株式の株価はマーケットリスクに晒されています。保有株式の取扱いについては、管理規則を設けています。
当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益の計上及び減価償却費の計上等があったものの、長期借入金の返済、自己株式の取得及び有形固定資産の取得等により、期末の現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ57,277百万円減少し、187,043百万円となりました(前期末比23.4%減)。
営業活動の結果増加した資金は、451,837百万円となりました。これは、為替換算調整勘定取崩益の計上(68,013百万円)等があったものの、税金等調整前当期純利益の計上(289,109百万円)及び減価償却費の計上(264,299百万円)等があったことによるものです。
また、これは、前連結会計年度に比べて88,717百万円の収入の増加となります(前期比24.4%増)。
投資活動の結果減少した資金は、206,934百万円となりました。これは、固定資産の売却による収入(63,483百万円)等があったものの、設備投資等に伴う有形固定資産の取得による支出(160,909百万円)及び無形固定資産の取得による支出(134,738百万円)等により資金が減少したことによるものです。
また、これは、前連結会計年度に比べて56,592百万円の支出の減少となります(前期比21.5%減)。
財務活動の結果減少した資金は、296,337百万円となりました。これは、長期借入れによる収入(170,345百万円)等があったものの、長期借入金の返済による支出(266,524百万円)、自己株式の取得による支出(200,071百万円)及び配当金の支払(33,887百万円)等があったことによるものです。
また、これは、前連結会計年度に比べて40,358百万円の支出の増加となります(前期比15.8%増)。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から37,175百万円(1.0%)増加し、3,892,268百万円となりました。これは、現金及び預金の減少があったものの、投資有価証券が増加したこと等によるものです。また、総資産利益率(ROA)は、前連結会計年度末の1.9%から5.9%に上昇しました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末から42,077百万円(2.0%)増加し、2,095,700百万円となりました。これは、長期借入金の減少があったものの、未払法人税等が増加したこと等によるものです。
長期借入金の減少等に伴い、当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ59,059百万円(4.4%)減少し、1,277,239百万円となりました。有利子負債比率(有利子負債÷総資産)は、有利子負債の下落率の方が大きかったため、前連結会計年度末の34.7%から32.8%に下落しました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ4,903百万円(0.3%)減少し、1,796,567百万円となりました。これは、株主資本について剰余金の配当や自己株式の取得等により7,536百万円減少したこと等によるものです。
自己資本比率は、前連結会計年度末の44.8%から44.1%に下落し、自己資本利益率(ROE)は、前連結会計年度末の4.3%から13.2%に上昇しました。負債資本倍率(D/Eレシオ)は、前連結会計年度末の0.77から0.74へと下落しました。また、ハイブリッドファイナンスを考慮した後の負債資本倍率(D/Eレシオ)は、0.70となりました。
当社グループの製品・サービスは広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくありません。また、都市ガスの販売が外部顧客に対する売上高及び営業費用の多くを占めています。
このため、以下は、エネルギー・ソリューションセグメントにおける都市ガスの生産実績について記載しています。
最近2連結会計年度の都市ガスの生産実績は次のとおりです。
都市ガスについては、その性質上受注生産は行いません。
都市ガスは導管を通じて直接需要家に販売していますが、一部については他事業者向け供給を行っています。
最近2連結会計年度の都市ガスの販売実績は次のとおりです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
重要な会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
<事業全体>
当連結会計年度の連結決算は、3期ぶりの増収増益となりました。
増益となった主な要因は、エネルギー・ソリューションセグメントにおいて、①都市ガス事業の春先の低気温影響に伴う家庭用の都市ガス販売量増加や競争優位性のある原料調達により粗利が増加したこと、②電力事業の小売件数増加や夏場の高気温影響に伴い電力販売量が増加したこと、海外セグメントにおいて、北米シェールガス事業の販売単価が上昇したことです。
<セグメント別>
エネルギー・ソリューションセグメントは、電力事業における小売件数増加や夏場の高気温影響による電力販売量増加などにより、売上高は前期比+1,457億円(+6.2%)の2兆4,861億円となり、都市ガス事業の競争優位性のある原料調達や原油価格下落に伴い原材料費が減少したことで、セグメント利益は前期比+285億円(+23.5%)の1,502億円となりました。
ネットワークセグメントは、低気温影響で託送供給収益が増加したことにより、売上高は前期比+66億円(+2.0%)の3,344億円となり、減価償却費の減少により営業費用が減少し、セグメント利益は+72億円の41億円となりました。
海外セグメントは、北米シェールガス事業の販売単価が上昇したことにより、売上高が前期比+602億円(+33.2%)の2,414億円、セグメント利益は前期比+510億円(+222.9%)の738億円となりました。
都市ビジネスセグメントは、不動産販売収益の減少により、売上高が前期比△44億円(△5.6%)の734億円となり、パークハイアット東京のリニューアルに伴う改装費用などの増加により、セグメント利益は前期比△143億円(△59.4%)の97億円となりました。
<認識>
当期は3期ぶりの増収増益で、売上高及び当期純利益が歴代2位の好決算となりました。主な要因は、エネルギー・ソリューションセグメントにおける夏場の高気温による電力販売量の増加や、海外セグメントにおける北米シェールガス事業の販売単価上昇などによるものです。また、中期経営計画「Compass Transformation 23-25」の最終年度の結果として、当期セグメント利益が2,011億円(目標1,500億円)、ROEが13.2%(目標8%程度)となり、それぞれ目標達成となりました。足元の事業環境については、生成AIなどデジタルにおける社会実装の加速度的な進展、金利・物価上昇、中東情勢の悪化など、先行きの不透明感は増すばかりです。このような状況下においても、事業ポートフォリオ改革による収益性及び資産効率性の持続的な改善を続けたことで、「Compass Transformation 23-25」で掲げたセグメント利益及びROEの目標を達成できました。今後も2026-2028年度中期経営計画で掲げる主要計数目標をコンスタントかつ早期に達成するため、「エネルギー」「ソリューション」「海外」の3つの成長ドライバーを中心とした取り組みを加速していきます。
当社グループの主な資金需要は、中長期的な成長に必要な設備投資及び投融資向けの資金です。
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フロー4,518億円に対して、投資活動によるキャッシュ・フローは△2,069億円となり、フリーキャッシュフロー(営業活動によるキャッシュ・フローから、投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた額)が2,449億円となりました。
2025年10月29日発表の「東京ガスグループ 2026-2028年度 中期経営計画」に基づき、事業ポートフォリオマネ ジメントの強化を通じて、健全な財務体質と成長投資を両立し、持続的な成長・企業価値向上を実現していきます。
イ 投資・資本効率性
投資に伴うリスク及び採算性に留意し個別の投資判断を行うとともに、投資効率の維持・向上及び株主資本の有効活用に努めます。また、稼ぐ力を考慮した投資・資産売却により、資本効率性を向上していきます。
具体的には、ROIC(投下資本利益率)・ROE(自己資本利益率)を主要経営指標と位置付け、2028年度における到達点を、ROICは5%、ROEは9%と定め、上記を実現していきます。
ロ 財務体質
現在の資金調達力を維持し財務健全性を確保するとともに、資本コストを意識した最適な資本構成の実現に努めます。
具体的には、D/Eレシオ(負債資本倍率)を財務規律とし、2028年度までの期間において0.9倍を目安に財務運営していきます。
ハ 株主還元
中長期的な1株当たり利益の成長に合わせた増配を株主還元の中核と位置付け、累進配当により、成長の成果を安定的に還元していきます。
また、余剰資金は、成長投資と資本コントロールのための自己株式取得へと最適に配分し、持続的な資本効率の向上を実現していきます。
上記方針に則り、2026-2028年度3カ年累計の株主還元は2,000億円以上、累進配当により28年度には1株当たり配当金140円を目指します。
該当事項はありません。
当社グループは、研究開発を経営戦略の一つとして位置付け、経営ビジョンCompass2030に沿って、以下の3つの挑戦に取り組んでいます。
・「CO2ネット・ゼロ」をリード
・「価値共創」のエコシステムの構築
・ LNGバリューチェーンの変革
研究開発の推進にあたっては、投入原資の選択と集中を図るとともに、スピードと採算性を重視して取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発費総額は
主な研究開発活動は、エネルギー・ソリューションセグメントを中心に行われており、当セグメントにおける研究開発費は
当連結会計年度における具体的な研究成果は、以下のとおりです。
① 東京都が公募した「令和7年度空港臨海部におけるパイプライン等による水素供給体制構築に向けた検討を実施する事業者の募集」における対象事業「空港臨海部全域における最適な水素パイプライン構築に向けた検討」に採択されました。脱炭素社会に向けた、高圧水素パイプライン構築の具体的な検討を実施します。
② e-methane(以下、「e-メタン」)事業開発を推進しているTeralta Hydrogen Solutions Inc.と、カナダ・マニトバ州におけるe-メタン事業の開発プロジェクトに関する合意書を締結しました。水力発電所由来の電力で製造した副生グリーン水素から年間3万トンのe-メタンを製造し、日本に輸出する計画です。
③ 株式会社SCREENホールディングスと、PEM形水電解装置の中核部品である水電解用触媒層付き電解質膜、商品名称「PEXEM®」(呼称:ペクセム)の商用受注に対応できる量産受注体制を確立しました。2021年より共同で開発してきた水電解用触媒層付き電解質膜の大型化に成功し、大量生産の体制を整えたものです。これにより安価なグリーン水素製造の普及を目指します。
④ TAKANAWA GATEWAY CITYにて本格稼働するエネルギーセンターに、東京ガスが特許を持つ強化学習AIのアルゴリズムを実装した「熱源機器最適制御AI」を導入しました。強化学習AIを活用して熱源機器を制御する取り組みは、新設の地域冷暖房施設としては国内初となります。
⑤ 東京ガスグループ独自のレーザー式メタン検知技術と数値流体シミュレーション技術を用いて、自然環境下におけるメタン濃度の簡易計測・可視化(以下「本手法」)の実証研究を開始しました。併せて、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構より、本手法が水田からのメタン発生量の変化を簡易に計測する手法として活用できるか評価する業務を受託しました。これらの取り組みを通じ、メタン発生量の簡易かつ高精度な計測技術(以下「本技術」)の確立、及びメタン排出量削減により創出されるカーボンクレジットの定量評価に本技術を広く活用することによるカーボンクレジットの信頼性向上への貢献を目指します。
⑥ 株式会社PXPのフィルム型次世代太陽電池をスレート屋根等の耐荷重の低い屋根へ設置する実証を、神奈川県カーボンニュートラル研究開発プロジェクトにて開始しました。また、株式会社マクニカ製のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の評価実証を、東京都のAirソーラー社会実装推進事業により開始しました。これらの実証を通じて、これまで設置が難しかった場所にも太陽電池を設置することが可能となることで、さらなる普及拡大に貢献していきます。
⑦ 東日本旅客鉄道株式会社がまちづくりを手掛けるTAKANAWA GATEWAY CITYに、ガス機器排気中のCO2をリサイクルし、洗剤等の原料となる炭酸塩をオンサイトで製造する「CO2資源化サービス」を日本で初めて導入しました。製造した炭酸塩から洗剤を製造し、TAKANAWA GATEWAY CITY内で利用される予定です。