第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営の基本方針

  当社は、お客さま、株主をはじめとする投資家の皆さま、従業員等との信頼関係を大切にしながら、クリーンエネルギー天然ガスの供給を柱として、着実な成長を図るとともに、地域の発展に寄与することを経営理念としている。また、コーポレート・ガバナンスを重視しコンプライアンス(法令等遵守)の徹底を図るなかで、常に信頼される企業を目指すとともに、企業活動のあらゆる場面を通じて、環境調和型社会の実現に貢献することを目指している。

 

○目標とする経営指標

 

平成29年度
実績

中期経営計画
目標
平成30年度

平成25~30年度
平均伸び率

 

ビジョン目標
平成34年度

お客さま数

(取付メーター数)

天然ガス

246万件

246万件

+0.8%

 

250万件

LPG※1

49万件

48万件

+1.8%

 

50万件

販売量

天然ガス※2

41億m3

45億m3

+2.2%

 

50億m3

LPG

47万トン

47万トン

+2.3%

 

50万トン

 

※1 お客さま数(LPG)には、配送受託件数を含む。
 ※2 販売量(天然ガス)には、LNG販売分を含む。

 

前回中期経営計画
平均
(平成21~25年度)

平成29年度
実績

中期経営計画
目標
平成30年度

 

ビジョン目標
平成34年度

営業キャッシュフロー

482億円

570億円

580億円

 

600億円

D/Eレシオ

0.7

0.3

1.0以下

 

1.0以下

ROA

2.1%

3.4%

3%程度

 

3%以上

 

 

(2) 対処すべき課題

 エネルギー業界では、電力・ガス小売り全面自由化に伴い、事業者の相互参入が進むなど、競争が激化している。当社グループは、こうした大きな環境変化を変革の推進力とし、「強靭な都市ガス事業の構築」、「トータルエネルギーシェアの拡大」、「グループ事業の成長、新規事業の開発」に取り組むことで、持続的な成長を目指していく。

 

 ①強靭な都市ガス事業の構築

 当地域における都市ガスの安定供給と輸送能力の向上を図るため、基幹路線の建設を進めるとともに、供給エリアの拡大に向け、周辺での導管ネットワークを整備する。また、製造・供給設備の高経年化対策や発災時の緊急遮断ブロックの細分化、自治体との連携など、ハード・ソフト両面からの保安・防災対策を進める。
 お客さま先では、ガス機器修理などの24時間365日受付体制のもと、約180拠点・総勢3,000人の「まかせて安心 ガスのプロ」が安全・安心を確保する。
 低廉かつ安定的な原料調達を実現するため、調達方法の多様化とLNG基地の受入柔軟性向上を図るとともに、あらゆる分野における一層の経営効率化に取り組み、競争力を強化する。

 

 

 ②トータルエネルギーシェアの拡大

 都市ガスの需要開発に引き続き取り組むとともに、LPG・電気も含めた営業活動を一体的に展開し、より多くのお客さまに当社グループのエネルギーをお届けする。
 都市ガス事業では、家庭用は、エネファームをはじめとする高効率なガス機器の提案や各種サービスメニューの拡充などにより、お客さまの要望にきめ細かくお応えする。業務用では、他燃料からの燃料転換などによる新規需要の開発に加え、最適な設備・エネルギー利用をご提案する。また、本年9月に体験型業務用ショールーム「プロ厨房オイシス」を開設し、ガス厨房の魅力を幅広く発信していく。
 LPG事業では、より広域での需要開発を推進するとともに、卸売や充てん・配送ネットワークを拡大する。
 電気事業では、あらゆる接点機会を活用してお客さま数を拡大するとともに、四日市工場内の発電設備を活用しつつ、卸取引や市場調達を組み合わせ、低廉かつ安定的な電力調達を実現する。

 

 ③グループ事業の成長、新規事業の開発

 名古屋市港区において建設中のスマートタウン「みなとアクルス」は、本年9月にまちびらきを迎える。国内最高水準のエネルギー効率を実現するほか、地域の活性化に貢献する。 
 リフォームや総合ユーティリティサービスなどの既存のグループ事業の強化に加え、安全・安心サービス、地域活性化支援、エネルギー高度利用を中心とした事業の創出を図る。さらに、海外においても新たな事業機会の発掘に取り組む。

 

 以上の取り組みを支えるため、リスク管理やコンプライアンスの徹底など、内部統制の強化を図るとともに、若手層への確実な技能伝承や多様な人材の確保を進めるなど、事業基盤の整備にも努める。また、お客さま先での環境負荷軽減や水素関連技術の普及にも取り組み、低炭素社会の実現に貢献する。
 ガス小売り全面自由化2年目を迎え、競争環境は一層厳しさを増すものと想定されるが、当社グループは、当地域に根差すエネルギー事業者として、いつの時代にも選ばれ続ける企業を目指していく。

 

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、主に以下のようなものがある。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年3月31日)現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)  需要変動による影響

都市ガス・LPG事業は、猛暑や暖冬等気温・水温の状況や景気動向のほか、小売全面自由化に伴う競争環境の変化によりガス販売量が変動し、収支に影響を受ける可能性がある。

 

(2)  原料価格の変動による影響

都市ガスの原料であるLNG(液化天然ガス)の価格は、原油価格・為替相場などの変動の影響を受ける。原料価格の変動は、原料費調整制度によってガス販売価格に反映されるが、反映までのタイムラグにより期間収支に影響を受ける可能性がある。また、LNG調達先との価格交渉の動向によって、収支に影響を受ける可能性がある。

 

(3)  金利変動等による影響

当社グループの保有する株式・年金資産等は株価・金利などが変動することによって、収支に影響を受ける可能性がある。
 また、市場金利の動向により調達金利が変動することによって、収支に影響を受ける可能性がある。ただし、有利子負債の大部分は固定金利で調達した長期借入金や社債であり、金利変動による影響は限定的である。

 

(4)  政策・法令・制度等の変更による影響

エネルギー政策や環境政策、各種法令や制度の変更により、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。

 

(5)  自然災害等による影響

大規模な自然災害により、製造設備や供給設備、お客さま設備に広範に被害が発生した場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。また、不測の大規模停電が発生した場合にも、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。
 当社は、大規模な自然災害に対しては、自家発電設備や防消火設備などの防災設備や防災体制を整備するなど、災害の影響を最小限に止める対策を実施するとともに、ガス導管の耐震化など供給設備や製造設備等の耐震性の向上を図っている。

 

(6)  原料調達、製造、供給支障による影響

ガスの原料調達、製造、供給に重大な支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。

 

(7)  情報システム支障による影響

基幹となる情報システムに重大な支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。

 

(8)  ガス消費機器・設備トラブルによる影響

ガスの消費機器・設備に関する重大なトラブルが生じた場合、社会的な責任を含めて有形無形の損害が発生する可能性がある。

 

(9)  取扱商品・サービス等の品質による影響

当社グループ及び委託先が取り扱う商品・サービス等に関する品質にトラブルが発生した場合、社会的な責任を含めて有形無形の損害が発生する可能性がある。

 

 

(10)  海外投資環境の変化による影響

経済情勢の変化等によっては、海外投資の一部または全部について、適切に回収されず、収支に影響を受ける可能性がある。
 また、事業を行う各国における法規制や商慣習等の変化により、事業運営の遅延や停滞、費用の増加などが発生する可能性がある。

 

(11)  コンプライアンス違反による影響

法令、約款、若しくは企業倫理や社会的規範に反する行為が発生した場合、社会的な責任を含めて有形無形の損害が発生する可能性がある。

 

(12)  情報漏洩による影響

当社グループが取得、管理しているお客さまの個人情報が外部に流出した場合、社会的な責任を含めて有形無形の損害が発生する可能性がある。

 

(13)  感染症の流行による影響

新型インフルエンザ等の感染症が大規模に流行した場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性がある。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度(以下、当期という。)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

 

(1)経営成績

当期における当地域の経済は、生産や設備投資が増加傾向にあるなど、緩やかな拡大基調で推移した。一方、エネルギー業界は電力・ガス小売り全面自由化により、本格的な競争時代に入った。
 このような状況のもとで、当社グループは、都市ガスの普及拡大、安定供給、保安の確保に鋭意努力した結果、当期末のガスのお客さま数(取付メーター数)は、前期末と比べ1.2%増加し246万3千件となった。ガス販売量は、自由化による影響はあったものの前期と比べ1.2%増加し40億2千4百万㎥となった。用途別では、家庭用は、気温が前期に比べて低かった影響などにより同3.1%の増加となった。業務用は、需要開発を進めたことなどにより同0.8%の増加となった。他ガス事業者向け卸供給は同1.0%の増加となった。LPGのお客さま数は、前期末と比べ2.3%増加し49万件、販売量は同2.6%の増加となった。電気のお客さま数は、前期末と比べ6万5千件増加し8万7千件となった。
 売上高は、前期比9.8%増加し4,288億6千8百万円となった。

売上原価は、原油価格の上昇等を受けて原材料費が増加したことなどにより同17.9%増加し2,716億8千6百万円となった。供給販売費及び一般管理費は、同2.6%減少し1,331億9千8百万円となった。これらの結果、経常利益は同2.9%増加し252億8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同1.5%増加し180億2千2百万円となった。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。

 

<ガス>

お客さま数(取付メーター数)は当期中に2万9千件増加し、期末には246万3千件となった。ガス販売量は、自由化による影響はあったものの前期と比べ1.2%増加し、40億2千4百万㎥となった。用途別では、家庭用は、気温が前期に比べて低かった影響などにより3.1%増加し、7億6千8百万㎥となった。業務用は、需要開発を進めたことなどにより0.8%増加し、29億9千9百万㎥となった。他ガス事業者への販売量は1.0%増加し、2億5千7百万㎥となった。
 売上高は、前期比9.7%増の2,948億5千3百万円となった。営業利益は、前期比5.6%増の198億4千9百万円となった。

 

<工事及び器具>

新設工事は増加したものの、ガス機器の販売減により、売上高は前期比3.0%減の357億5千3百万円となった。営業利益は、前期比4億円増加し、2億3千1百万円となった。

 

<LPG・その他エネルギー>

LPG事業、電気事業、熱供給事業などの売上高は前期比19.4%増の793億8千2百万円となった。営業利益は、前期比12.5%減の13億4千2百万円となった。LPGについては、お客さま数は当期中に1万1千件増加し、期末には49万件となった。販売量は前期比2.6%増の46万5千トンとなった。電気のお客さま数は、期末には8万7千件となった。

 

<その他>

プラントの設計施工や不動産の賃貸などのその他事業については、売上高は前期比7.7%増の404億5千2百万円となった。営業利益は、前期比15.7%減の14億6千4百万円となった。

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりである。

 

当社グループにおいては、当社及び子会社が行うガス事業が生産及び販売活動の中心であり、外部顧客に対する売上高及び営業費用において連結合計の大半を占めている。ガス事業以外のセグメントにおける生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるが、生産規模は小さく、また受注生産形態をとらない製品も多い。このため以下は、ガス事業セグメントについて記載している。

 

①生産実績

当社及び水島瓦斯㈱においてガスの生産を行っている。

最近2連結会計年度のガスの生産実績は次のとおりである。

 

製品名

前連結会計年度

(自  平成28年4月

至  平成29年3月)

当連結会計年度

(自  平成29年4月

至  平成30年3月)

ガス(千m3)

3,961,235

3,991,644

 

 

②受注実績

ガス事業については、その性質上受注生産は行っていない。

 

③販売実績

当社は愛知県、三重県、岐阜県で、水島瓦斯㈱は岡山県内においてそれぞれガスの販売を行っている。

最近2連結会計年度におけるガス販売実績は次のとおりである。

 

項目

前連結会計年度

(自  平成28年4月

至  平成29年3月)

当連結会計年度

(自  平成29年4月

至  平成30年3月)

数量(千m3)

金額(百万円)

数量(千m3)

金額(百万円)

ガス販売実績

 

 

 

 

  家庭用

744,651

112,926

767,669

117,754

  業務用その他

3,229,615

155,757

3,256,107

177,026

3,974,266

268,683

4,023,776

294,781

期末お客さま数
(取付メーター数)

2,434千件

     2,463千件

 

 

 

 

(2)財政状態

総資産は前期末比83億2千1百万円の増加となった。これは、株式市況の影響により、保有株式等の時価が増加したことなどによる。

負債は前期末比111億5千6百万円の減少となった。これは、有利子負債を削減したことなどによる。

純資産は前期末比194億7千8百万円の増加となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を180億2千2百万円計上したことなどによる。

これらの結果、自己資本比率は、前期末の57.6%から60.3%となり、総資産当期純利益率(ROA)は、前期の3.3%から3.4%となった。

 

(3)キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上などにより、570億4千7百万円の収入となった。前期比では、197億8千3百万円の収入の増加となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資をはじめとして433億4千5百万円の支出となった。前期比では、146億2千2百万円の支出の減少となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の削減などにより、122億4千万円の支出となった。前期比では、107億2千1百万円の支出の減少となった。

これらの結果、当期における現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べ13億7千9百万円増加し、178億7千6百万円となった。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりである。
 資金調達については社債、コマーシャル・ペーパー及び銀行等金融機関からの借入により行っている。社債については、当期中の発行はない。なお、当期中の社債償還額は100億円である。借入金は前期末に比べ52億3千6百万円増加した。また、適時に資金繰計画を作成・更新するなどの方法により、流動性リスクを管理している。

 

(注)  1  本書面でのガス販売量は、すべて1㎥当たり45メガジュール換算で表示している。

2  本書面に記載の売上高、仕入高等の金額には、消費税等は含まれていない。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はない。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、環境性、供給安定性、利便性に優れた天然ガスの普及を促進し、地球環境負荷低減の要請に応えるため、天然ガスの高効率・高度利用、再生可能エネルギーの活用を始めとした環境技術、安定供給・保安の確保、コストダウン等の分野で研究開発を推進している。また、事業領域の拡大に向け、総合エネルギー事業に関する研究開発を進めている。

現在、当社グループの研究開発は、当社の技術開発本部等において主力事業であるガス事業を中心に行っている。具体的には以下のとおりである。

 

<天然ガスの高効率・高度利用>

家庭用分野では、燃料電池「エネファーム」の信頼性向上や低コスト化などに取り組んでいるほか、快適な生活を実現する床暖房システムや厨房機器などの性能向上や、省エネ診断ソフトの開発、調理・入浴等に関する研究に取り組んでいる。
 業務用分野では、ガスエンジンコージェネレーションの高効率化開発をはじめ、電力負荷の平準化にもつながるガス空調システムとして、ガスエンジンヒートポンプの新機種開発やナチュラルチラーの改良、高効率な固体酸化物形燃料電池システムの実用化開発に取り組んでいる。また、熱処理分野やアルミ溶解分野を中心に省エネルギー性に優れた工業炉バーナーの開発や、業務用厨房機器などの性能向上にも取り組み、随時商品化している。

 

<環境技術>

スマートエネルギー社会の実現に向けた技術の開発を進めている。具体的には、スマートメーターと通信技術の開発や、ガスエンジンコージェネレーションにナチュラルチラーや太陽光発電等の再生可能エネルギーを組み合わせることで、地域全体としてエネルギー需給の最適制御を行う、エネルギーマネジメントシステムの開発などに取り組んでいる。
 また、燃料電池自動車の普及に必要な商用水素ステーションの整備・運営に取り組むとともに、関連する技術の開発を行っている。

 

<安定供給・保安の確保、コストダウン>

保安の確保や安全・安心の一層の向上を目指して、シミュレーションを用いた導管耐震設計の高度化や、供給・製造設備の適切な維持管理に資する技術の開発等に取り組んでいる。
  また、ガス供給のコストダウンに向けて導管工事を効率的に行う非開削工法や、導管の検査や修理などを効率的に実施する技術の開発のほか、製造設備などの改良開発を行っている。

 

なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、1,841百万円である。