当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループ(当社、当社の子会社及び関連会社)は、ガス事業を通じて地域社会の発展に貢献するとともに、業績の向上を図り、お客さまや株主の皆さまから常に信頼・評価され、選択していただける企業であることを基本方針としております。また、経営にあたりましては、「安定供給、安全の確保、天然ガスの普及拡大」を使命とし、グループ会社や協力会社も含めたオール北陸ガスで地域密着の体制を築き、サービスの向上やエネルギー利用の創出につなげてまいります。
さらに、企業活動のあらゆる場面において、企業倫理の向上、法令遵守の徹底を図り、社会的責任を確実に果たしてまいります。
(2)経営環境及び対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、エネルギー事業者間の競争激化に加え、人口減少や少子高齢化、気候変動、災害の激甚化などにより厳しい状況が続いております。また、2月に策定された第7次エネルギー基本計画では、あらためて「S(安全性)+3E(安定供給・経済効率性・環境適合性)」の原則が政策の基本的視点であることが示され、天然ガスが脱炭素化の実現に向けた重要なエネルギー源として位置づけられたことから、ガス事業を中心に据える当社グループの果たすべき役割は日々重要性を増しております。
このような状況のなか、当社グループは新潟県内約46万件のお客さまへの都市ガスの安定供給を引き続き事業の根幹としつつ、以下の取り組みを重点的に進めてまいります。
1つ目は、安定した収益構造の構築であります。昨今の国内外の情勢下による物価上昇や原料価格の高止まりといった状況下において、当社は適正なガス料金水準を維持し安定的に収益を確保できるよう、2024年10月に14年ぶりとなるガス料金改定を実施いたしました。
また、お客さまニーズにお応えすべく、新規サービスであるガスと電気のセット販売「北陸ガス+でんき」の開始や、会員サイト「ずっと近くでねっと」を開設し顧客基盤の拡大を目指すとともに、新潟県警察の庁舎等におけるPPA事業をはじめとしたエネルギーサービス関連事業への取り組みも強化してまいりました。
今後も引き続きガス需要の維持拡大に努めるとともに、当社の持続的成長に資する新規事業やサービスを検討・実施することにより収益性の向上を図ってまいります。
2つ目は、事業基盤の強靭化であります。レジリエンス強化として、過去の災害対応の経験を活かし、導管の耐震性向上や遠隔監視システムの機能強化に継続して取り組むとともに、事業継続を想定した部門横断的な災害対応訓練を実施することで、災害時における一層の対応力強化を図ってまいります。また、保安・安定供給の維持向上を目的としたスマート保安の導入に向けた検討も進めてまいります。
加えて、情報セキュリティ対策を強化するとともに、クラウド、生成AI、ローコード開発等の技術を活用し、業務全般の効率化、DX推進にも積極的に取り組んでまいります。
3つ目は、2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みであります。脱炭素社会の実現に向け、業務用のお客さまに対するカーボン・オフセット都市ガスの供給やガスZEBの推進に加え、家庭用・業務用における他熱源をご利用のお客さまに対して都市ガス転換を積極的に提案するとともに、エネファームをはじめとした省エネ機器の普及促進による低炭素化に取り組んでまいります。
当社グループはこれらの取り組みを着実に実行し、引き続きお客さまニーズや環境変化に応じた付加価値の高いサービスを提供することで、地域のお客さまに信頼され、選択され続ける企業グループを目指してまいります。
また、当社は2025年4月に小千谷市が運営しておりました小千谷地区のガス事業を譲り受け、事業を開始いたしました。今後はスムーズな業務移行を心掛けるとともに、より一層のお客さまサービスの向上に努めてまいります。
当社グループは、当社が定める「サステナビリティに関する取組み基本方針」のもと、持続可能な社会の実現に向け、企業活動を通じた環境との調和及び資源の有効活用などを掲げた当社環境理念に基づき、CO2削減に資する他燃料の天然ガス転換、熱の有効利用に資する分散型エネルギーシステムの推進など天然ガスの普及拡大によりトランジションにおける低炭素化を進め、脱炭素社会の実現に貢献することを目指しております。またこのほかに基本方針に定める重点項目に継続的に取り組むことで、企業価値の向上に努めております。
<サステナビリティに関する取組み基本方針>
当社グループは持続可能な社会の実現に向け、企業活動を通じた環境との調和及び資源の有効活用などを掲げた当社環境理念に基づき、CO2削減に資する他燃料の天然ガス転換、ZEB及びZEHへの対応も見据えたコージェネレーション等の省エネ・高効率システムの提案強化など、天然ガスの普及拡大によりトランジションにおける低炭素化を進め、脱炭素社会の実現に貢献することを目指します。また、それらの取組みを含むSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた以下の重点項目に継続的に取り組むことで、さらなる企業価値向上に努めてまいります。
・お客さま先における環境負荷の低減など
天然ガスの普及拡大、他燃料の天然ガス転換、コージェネレーション等の省エネ・高効率システムの提案強化、
エネルギーの面的利用、カーボン・オフセット都市ガスの供給、東港メガソーラー事業など
・安定供給の確保・保安の確保
保安管理体制の充実、ガス設備の検査、保安教育、保安啓発活動、地震対策の推進など
・事業活動における環境負荷の低減
掘削土の発生抑制と有効利用、消化ガスの利用、自社施設へのZEB採用など
・地域社会への貢献
火育授業・食育授業、職場体験・工場見学の受入れ、環境に配慮した料理教室・カーボンオフセットイベントの開催、地域行事・イベントへの参加など
・働きやすい職場環境の推進
雇用を創出し働き甲斐のある職場の提供、女性が活躍できる職場環境の推進、ワークライフバランスの推進など
・コンプライアンスの推進
コンプライアンス教育の実施など
(1)ガバナンス
各部門にて低炭素化・脱炭素化に向けた取り組みを検討するとともに、「サステナビリティに関する取組み基本方針」に定める各重点項目に取り組んでおります。それらの取り組み状況について、各部門が適宜常務会等の場において報告を行い、重要事項については必要に応じて取締役会へ報告・付議することとしております。なお、取締役会はこれらのプロセスを監督するとともに必要に応じて対応の指示を行うこととしております。
(2)リスク管理
リスク管理にあたり、事業全体におけるリスクを各部門にて特定・分類した上で、各リスクに対する発生の可能性や影響度を評価するとともに、具体的な対応策を検討し展開しております。また、定期的に各リスクへの対応策に係る実施項目の有効性評価を行い、その結果を反映することで対応策の実効性向上を図っております。さらに、リスクの管理及び対応状況については毎年度取締役会へ報告・付議することとしており、議論の内容を踏まえ、事業環境の変化に対応できるよう適宜見直しを行っております。
なお、人的資本に関する方針や指標及び目標については以下のとおりです。
<人材の多様性の確保に向けた方針>
当社は、変化の厳しい事業環境に対応し、持続的な企業価値向上を遂げるため、多様な人材確保を重要課題と位置付けております。多様性の確保に向けた取り組みとしては、働き方改革の推進により労働時間の適正化を図るほか、多様な働き方を実現するために各種制度導入を進めており、全社員を対象にしたダイバーシティ教育や、研修等により意識改革を図ってまいります。
また、新卒採用に関しては、女性活躍推進法による一般事業主行動計画に基づき、女性応募者増加に向けた継続的な取り組みを進めてまいります。
<人材育成の方針>
当社では会社業務を職種という切り口で整理し、その職種ごとに必要なスキルと能力開発のための研修・資格をまとめた当社独自の「キャリア指南書」を作成しています。本指南書を利用することで、会社の全業務を全社員で共有するとともに、社員個人のキャリアの蓄積及びスキルアップの方向性を見える化しながら、社員個人と所属長との対話を通じた人材育成に取り組んでまいります。
<社内環境の整備に関する方針>
「従業員が健康であること」や「多様な人材が多様な働き方をすること」は、各人が能力を存分に発揮し、会社の持続的な成長にも繋がるものと考えます。当社は健康経営に資する取り組みを継続するとともに、働きやすい労働環境整備を進めてまいります。
<人的資本に関する指標及び目標>
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人的資本に関する指標 |
2024年度実績 |
目標 |
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人材の多様性の確保 |
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2021年4月から2025年3月に おける4ヵ年平均 |
2021年4月から2026年3月に おける5ヵ年平均 |
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人材育成 |
職制者研修の実施 |
全職制者92名に対して 2024年9月に実施 |
全職制者に対して 年1回実施 |
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社内環境の整備 |
正社員1人あたりの 月平均時間外労働時間 |
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(注)「人材の多様性の確保に向けた方針」、「人材育成の方針」、「社内環境の整備に関する方針」及び「人的資本に関する指標及び目標」については、連結グループに属する全ての会社で実施されているものではなく、連結グループにおける記載が困難であることから、提出会社単体で記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)法令・制度の変更等による競合激化
①小売全面自由化及び今後の法令・エネルギー政策等の変更
小売全面自由化による新規参入者の出現及びエネルギー政策やガス事業法等の各種法令、ガス事業制度の変更等による更なるエネルギー間競争の激化によりお客さま件数及びガス販売量が減少する可能性があります。このため当社は、情報収集に努めつつ制度変更に適切に対応し、競合他社の動向も注視しながら、お客さまのニーズに沿った新規事業・新規サービス等を検討・実施することで、新たな収益源を確保するとともに、お客さま一世帯あたりの売上金額増加に取り組んでまいります。
②脱炭素社会の進展
「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に向けて、新たな環境規制を含めた脱炭素社会の実現に向けた議論や具体的な手法の検討が加速しており、有望な脱炭素手段とされる脱炭素化された電力による電化が進むことなどにより、お客さま件数及びガス販売量が減少する可能性があります。これに対し当社は、e-methane(イーメタン)等の供給による官民一体となった取り組みをはじめ、脱炭素社会に向けた都市ガスの役割をPRし、他燃料の天然ガス転換や分散型エネルギーシステムの推進など、2050年の脱炭素化に向けた移行期における低炭素化に取り組んでまいります。また、卸元と連携してカーボン・オフセット都市ガスの販売に取り組み、電化による脱炭素化が進展した場合への対応等について検討するとともに、自治体等地域の脱炭素に向けた取り組みに都市ガスの役割を反映してもらえるようアプローチしてまいります。
③他エネルギーとの競合
電化の進行等他エネルギーとの競合によりお客さま件数及びガス販売量が減少する可能性があります。これに対し当社は、関連企業・取引先との協力体制強化や情報収集の徹底により、新築向けの都市ガス採用提案を強化するとともに既存需要家の離脱防止に努めております。
(2)気候及び社会状況の変化
①気候変動・不況によるガス販売量への影響
ガス販売量は気温、水温の変動に影響を受けるため、冷夏や暖冬等の異常気象が発生した場合、大きく減少する可能性があります。また、不況によるお客さま設備の稼働減等によりガス販売量が減少する可能性があります。このため当社は、お客さま接点の量的質的拡充により都市ガスのメリットをPRするとともに、年間を通して需要変動の少ない機器の販売拡大をはじめあらゆる分野において営業活動を展開し、多様な用途での新規需要獲得に取り組んでまいります。
②人口・世帯数の減少、省エネの進展
当社供給エリア内の人口・世帯数の減少や生活形態の変化、節ガスや省エネの進展等によりお客さま件数及びガス販売量が減少する可能性があります。このため当社は、ガス温水暖房システムやガス衣類乾燥機等の販売を強化し、新築住宅における都市ガスの採用率向上及び一世帯あたりのガス使用量増加に取り組んでおります。また、地方自治体と協働し、地方創生施策への参加等を通じて地域の活性化に取り組むなど、SDGs(持続可能な開発目標)と整合した取り組みを進めてまいります。
③設備投資、出資の未回収、資産価値の低下
大規模な設備投資を実施する場合、費用負担が増加し経営成績に一時的な影響を与える可能性があります。また、経済情勢や事業環境等の変化により、保有資産の価値下落により経営成績等に影響を与える可能性があります。これに対し当社は、収支計画を踏まえた取締役会での総合的な経営判断を経て設備投資を実施しており、実施後も収支や投資回収の状況を定期的に確認すること、また、保有資産については時価や収益性の定期的な確認と検証を行うことにより、評価損や減損損失等のリスク発生の抑制に努めております。
(3)自然災害・事故等
①製造・供給設備への損害
大規模な自然災害や事故等が発生し、製造・供給設備に大きな被害が発生した場合、ガスの供給に影響を与え、その復旧費用や供給支障の対応に伴う損害が発生する可能性があります。これに対し当社は、地震に強いポリエチレン管の普及等による耐震化率の向上を図るとともに、供給バックアップ体制を構築しております。また、災害発生時に迅速な対応ができるよう平常時から定期的な災害対応訓練を実施しております。
②事業所等への損害
大規模な自然災害が発生した場合、事業所等の建屋及び構築物に大きな被害が発生し、復旧費用に伴う損害が発
生する可能性があります。これに対し当社は、自然災害が発生した場合に、各所と連携し迅速に被害状況を把握す
るとともに、建屋や構築物に損壊等のリスクがないか平常時から定期的に確認を実施しております。
③消費機器等の重大なトラブル
ガス機器リコールやガス機器に起因する事故が発生した場合、ガス機器や都市ガスに対する信用低下等有形無形の損害が発生する可能性があります。このため当社は、消費機器調査の確実な実施により、お客さま保有ガス機器の情報を把握し、リコールや事故への対応を迅速に行っております。
④自然災害による販売面への影響
自然災害によるお客さま設備の稼働減によりガス販売量が減少する可能性があります。これに対し当社は、あらゆる分野において営業活動を展開し、多様な用途での新規需要獲得に取り組んでおります。
⑤感染症の流行による影響
感染症の流行により多くの従業員が出社不能となった場合、事業運営に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。これに対し当社は、感染症予防の啓発や分散勤務、予防備品の備蓄等予防対策の実施及び「新型インフルエンザ等対策マニュアル」の更新・周知を行っております。
⑥不測の大規模停電
当社供給エリア内で大規模かつ長時間の停電が発生した場合、工場・供給所の運転に支障が生じ、ガス供給に影響を与える可能性があるほか、各事業所の業務の停滞によりお客さまからの信用低下等有形無形の損害が発生する可能性があります。これに対し当社は、停電時でも長時間稼働できる非常用自家発電設備の整備や停電時に工場・供給所の運転を継続する手順の確認を行っております。
(4)原料価格の変動等
①為替レート、原油価格の変動
原料価格は為替レート及び原油価格の変動等外的要因により影響を受け変動します。この変動は原料費調整によりガス料金に反映させることができますが、タイムラグにより決算期をまたいで影響が発生する可能性があります。これに対し当社は、為替レートや原油価格の変動の影響を受けない原料調達先からの調達を維持しつつ、日頃から為替レート、原油価格の動向を注視し、LNG価格の実績把握及び想定を行い原料費への影響を把握するとともに、必要に応じて調達量及びガス料金の見直しを検討してまいります。
②原料調達に関するトラブル
原料調達先における設備及びLNG・LPG輸入に不測の事態が生じた場合、当社の原料調達及びガス供給に影響を及ぼす可能性があります。これに対し当社は、原料調達先及び工場・供給所の複数化を図り、供給バックアップ体制を構築しております。
(5)金利変動等
①資金調達における金利変動
資金調達の手段として金融機関からの借入れを行っており、借入れ時点での金利水準により経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これに対し当社は、金利変動による影響が限定的となるよう、固定金利での借入れを原則としております。
②退職給付制度における国債利回り、株式時価の変動
確定給付企業年金資産で保有する有価証券等の時価の下落により、退職給付費用が増加する等、業績に影響を与える可能性があります。これに対し当社は、一定期間ごとの資産状況確認、資産種類の分散、リスク対応掛金拠出による予防措置を実施しております。
(6)情報管理・システム運用
①基幹となる情報システムへの重大な障害
基幹となる情報システムに重大な障害が発生した場合、業務が停滞し社会的信用の低下等有形無形の損害が発生する可能性があります。これに対し当社は、不測の事態でも業務への影響を最小限に止めるよう、システムの監視、障害対策、各種情報セキュリティ対策及び定期的な訓練の実施等、システムの安定稼働に必要な対策を実施しております。
②お客さま情報の外部流出
お客さま情報の外部への流出が発生した場合、対応に要する直接的な費用に加え、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生する可能性があります。これに対し当社は、「お客様情報保護規程」を定めて社員に個人情報漏洩事故防止のための周知を行うほか、定期的な教育を実施し、社員・業務委託先・協力会社への注意喚起を実施しております。
③サイバー攻撃
サイバー攻撃を受けた場合、都市ガスの製造・供給調整に関するシステム制御が不可能となり、製造停止及び大規模な供給支障が発生する可能性があるほか、個人情報の流出、業務に関する基幹システムの停止や動作不良によりお客さま対応が停滞し、社会的信用の低下等有形無形の損害が発生する可能性があります。これに対し当社は、最新情報の収集に努めるとともに各種セキュリティ対策及び対策要領に基づいた教育の実施、部門横断的なインシデント対応訓練を実施しております。
(7)コンプライアンス
法令・定款等に反する行為や企業倫理に反した行為が発覚した場合には、対応に要する費用に加え、社会的信用の低下等有形無形の損害が発生する可能性があります。これに対し当社は、社員に対する適時適切なコンプライアンス教育の実施、グループウェアを利用したタイムリーな情報提供及び啓発、内部監査による法令遵守状況の確認等によりコンプライアンス意識向上に取り組んでおります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などにより景気回復の兆しが見られたものの、ロシアによるウクライナ侵攻・中東情勢などを背景にした地政学リスクの高まりや、継続的な物価上昇、アメリカの政権交代に伴う政策動向など、先行きが不透明な状況が継続しました。
エネルギー業界におきましては、業種や地域の垣根を越えた事業者間の競争激化に加え、急速な脱炭素化の進展など大きな転換期を迎えております。
こうした情勢下にありまして、当社グループは総力をあげて都市ガスの普及拡大、保安の確保及び将来に向けた事業基盤の強化に取り組んでまいりました。
a.経営成績
当連結会計年度の売上高は、業務用のお客さま設備の稼働の減少によりガス販売量が減少したものの、当社におきまして2024年10月分よりガス料金の改定を行ったこと、連結子会社において空調機器の販売・施工の増加があったことなどから、617億66百万円(前期比0.6%増)となりました。
営業費用につきましては、LNG価格の下落及びガス販売量の減少に伴い原料費が減少したことから、603億56百万円(前期比3.2%減)となりました。
その結果、営業利益は14億10百万円(前期は営業損失9億43百万円)、営業外収益及び営業外費用を加えた経常利益は16億81百万円(前期は経常損失5億99百万円)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度に固定資産の売却に伴う特別利益を計上したほか、前連結会計年度に繰延税金資産の一部取崩しによる法人税等調整額の計上があったことなどから、19億52百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失17億59百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、売上高及びセグメント利益又はセグメント損失には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでおります。
<都市ガス>
ガス販売量につきましては、業務用のお客さまの設備稼働が減少したことにより405,762千㎥(前期比0.9%減)となりました。
都市ガス事業(付随する受注工事及び器具販売を含む)の売上高は、ガス販売量が減少したものの、ガス料金の改定などにより575億49百万円と前期並みとなり、セグメント利益はLNG価格の下落に伴い原料費が減少したことなどから10億円(前期はセグメント損失13億28百万円)となりました。
(注)ガス販売量は1㎥当たり45メガジュール換算で表示しております。
<LPG>
LPG事業の売上高はLPG販売量の増加及び原料費調整等に伴う販売単価の引き上げにより23億7百万円(前期比11.8%増)、セグメント利益は原料費の増加に伴い45百万円(前期比13.9%減)となりました。
<ガス設備の保全・設計施工>
ガス設備の保全・設計施工事業の売上高は設備点検等の増加により12億61百万円(前期比5.1%増)、セグメント利益は78百万円(前期比22.1%増)となりました。
<住宅設備機器の販売施工>
住宅設備機器の販売施工事業の売上高は空調物件の増加により20億64百万円(前期比13.0%増)、セグメント利益は1億50百万円(前期比28.7%増)となりました。
<土木・管工事>
土木・管工事事業の売上高は管工事の減少により26億68百万円(前期比8.7%減)、セグメント利益は82百万円(前期比37.9%減)となりました。
<太陽光発電>
太陽光発電事業の売上高は62百万円(前期比11.4%減)、セグメント利益は45百万円(前期比28.2%減)となりました。
(注)ガス量は本報告では、特に記載のある場合を除き、全て1㎥当たり45メガジュール換算で表示しております。
b.財政状態
当連結会計年度末の資産につきましては、有形固定資産の減少はあるものの、現金及び預金や投資その他の資産の増加などから前連結会計年度末に比べ21億57百万円増加の651億90百万円となりました。
負債につきましては、その他流動負債の増加はあるものの、短期借入金や支払手形及び買掛金の減少などにより前連結会計年度末に比べ2億84百万円減少の130億39百万円となり、純資産につきましては、当期の利益計上による利益剰余金の増加などから前連結会計年度末に比べ24億41百万円増加の521億51百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.2ポイント増加し74.9%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ14億21百万円増加し、66億46百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動におきましては、減価償却費が57億64百万円計上されたこと及び税金等調整前当期純利益23億8百万円が計上されたことなどにより77億61百万円(前期比63.5%増)の増加となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動におきましては、有形固定資産の取得による支出が41億22百万円あったことなどにより49億38百万円(前期比2.4%減)の減少となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動におきましては、短期借入金の純減額が10億円あったこと及び配当金の支払額が3億75百万円あったことなどにより14億円の減少(前期は2億99百万円の増加)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは、主たる事業として都市ガスを中心とした生産及び販売活動を行っておりますので、都市ガス供給事業に限定して記載しております。
a.生産実績
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項目 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
|
製品ガス |
168,427千㎥ |
99.7 |
(注)1.1㎥当たり45メガジュールで表示しております。
2.上記表に含まれていない当連結会計年度の「製品ガス仕入」は239,635千㎥(前期比98.1%)であります。
b.受注実績
当社グループは事業の性質上受注生産は行っておりません。
c.販売実績
当社グループの主製品である都市ガスは製造工場から導管により直接お客さまに販売しております。
イ ガス販売実績
|
項目 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|||
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数量(千㎥) |
前期比(%) |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
|
ガス販売量 |
405,762 |
99.1 |
52,541,363 |
100.5 |
(注) 1㎥当たり45メガジュールで表示しております。
ロ ガス普及状況
当社グループにおける都市ガスお客さま数は、連結財務諸表提出会社がその大半を占めておりますので、以下は連結財務諸表提出会社のガス普及状況について記載しております。
|
地区別 |
供給区域内世帯数(世帯) |
都市ガスお客さま数(件) |
普及率(%) |
|
新潟地区 |
269,529 |
259,859 |
96.4 |
|
長岡地区 |
147,793 |
133,987 |
90.7 |
|
柏崎地区 |
33,524 |
30,280 |
90.3 |
|
計 |
450,846 |
424,126 |
94.1 |
|
前期末計 |
448,852 |
423,827 |
94.4 |
(注)1.供給区域内世帯数は各地区内の市町村の統計資料から推計した一般世帯数であります。
2.都市ガスお客さま数はガスメーター取付数であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度につきましては、業務用のお客さま設備の稼働の減少があったことから都市ガス販売量は前連結会計年度に比べ0.9%減少の405,762千㎥となりました。売上高につきましては、ガス販売量の減少があったものの、当社におきまして2024年10月分よりガス料金の改定を行ったこと、連結子会社において空調機器の販売・施工の増加があったことから前連結会計年度に比べ0.6%増加し617億66百万円となりました。
売上原価につきましては、前連結会計年度と比べ当連結会計年度はLNG価格が下落したほか、ガス販売量の減少に伴い原料費が減少したことから、前連結会計年度に比べ5.5%減少し396億98百万円となりました。供給販売費及び一般管理費につきましては、前連結会計年度に比べ1.6%増加の206億57百万円となり、営業費用全体としては売上原価の減少により前連結会計年度に比べ3.2%減少の603億56百万円となりました。
この結果、売上高が増加したことから売上総利益は前連結会計年度に比べ13.9%増加し220億67百万円となり、営業利益は14億10百万円(前連結会計年度は営業損失9億43百万円)となりました。
営業外収益は前連結会計年度に比べ21.2%減少の2億72百万円、営業外費用は前連結会計年度に比べ14.2%減少の1百万円となり、その結果、経常利益は16億81百万円(前連結会計年度は経常損失5億99百万円)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度において固定資産の売却に伴う特別利益を計上したほか、前連結会計年度は繰延税金資産の一部取崩しによる法人税等調整額の計上及び「令和6年能登半島地震」に伴う特別損失の計上があったことから、19億52百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失17億59百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
主たる事業である都市ガス事業(付随する受注工事及び器具販売を含む)につきましては、お客さま設備の稼働の減少による業務用需要の減少があったことに加え、天候による気温、水温の変動が影響する需要として、冬場から春先を中心とした給湯・暖房用需要は前年並みだったものの、夏場の気温が高く推移した前連結会計年度に比べ空調用需要が減少したこともあり、都市ガス販売量は前連結会計年度を下回りました。また、売上高はガス販売量の減少があったものの、当社におきまして実施したガス料金の改定などにより575億49百万円と前年並みとなり、セグメント利益はLNG価格の下落に伴う原料費の減少があったことなどから10億円(前連結会計年度はセグメント損失13億28百万円)となりました。
都市ガス以外のその他の事業につきましては、LPG事業の売上高は、LPG販売量の増加及び原料費調整等に伴う販売単価の引き上げにより前連結会計年度に比べ11.8%増加の23億7百万円、ガス設備の保全・設計施工事業の売上高は設備点検等の増加により前連結会計年度に比べ5.1%増加の12億61百万円、住宅設備機器の販売施工事業の売上高は空調物件の増加により前連結会計年度に比べ13.0%増加の20億64百万円となりました。一方、土木・管工事事業の売上高は管工事の減少により前連結会計年度に比べ8.7%減少の26億68百万円、太陽光発電事業の売上高は前連結会計年度に比べ11.4%減少の62百万円となりました。この結果、都市ガス以外の事業を合計した売上高は前連結会計年度に比べ3.4%増加の83億65百万円となり、利益につきましては6.4%減少の4億3百万円となりました。
なお、上記の金額は部門間の内部取引を含んだものであります。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備資金を内部資金または借入れにより資金調達することとしております。このうち、借入れによる資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、ガス導管の更新等の設備資金については固定金利の長期借入金で調達しております。
当連結会計年度末における有利子負債の残高は、前連結会計年度末に比べ10億39百万円減少の1億9百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は66億46百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら、これらの見積り、予測は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度の経営成績等につきましては上記のとおりでありますが、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にも記載してあるとおり、当社グループは今後もお客さまから信頼され、選択され続ける企業グループであるために、地域社会に根ざしたエネルギー事業者としてその役割を果たしてまいります。
該当事項はありません。
特記事項はありません。