第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。なお、新型コロナウイルス感染症により、当社グループのガスをご利用のお客さまである飲食店等の営業自粛や工場の稼働減によるガスエネルギー事業への影響、また、食関連及び不動産事業等への影響についても先行き不透明な状況ではあるが、引き続き注視していく。

 

(1) 会社の経営の基本方針及び中長期的な経営戦略

当社グループは、2016年に策定した西部ガスグループ中期経営計画「スクラム2019」のもと、ガスエネルギー事業を中核としたうえで、ガスエネルギー以外の事業の拡大にも注力し、事業構造の多様化・強靭化に向けたグループ変革を進めてきた。そのような中、エネルギーの自由化をはじめ競争環境の変化に柔軟かつ迅速に対応しながら、グループとして更なる飛躍を図るために、新たに西部ガスグループ中期経営計画「スクラム2022」を策定した。「スクラム2022」では、「スクラム2019」で掲げた「お客さまから圧倒的な信頼をいただくエネルギーとくらしの総合サービス企業グループ」という目指す姿の実現に向け、引き続き取り組みつつ、目標とするガスエネルギー以外の事業の内訳を明確に定めることにより、その取り組みを加速していく。

当社グループを取り巻く事業環境は、電力・ガス小売全面自由化によるエネルギー間競争の激化などにより一層厳しさを増している。さらには新型コロナウイルス感染症による状況も踏まえながら、当社グループは「スクラム2022」の着実な実行を通して、グループ価値の更なる拡大を図るとともに、より強固なお客さまからの信頼を獲得していくことで、当社グループの持続的な成長を実現しうるよう、グループの総力を結集し、以下の経営課題について着実に対処していく。

 

(2) 目標とする経営指標

グループ中期経営計画「スクラム2022」における目標は次のとおりである。

項 目

目 標(2022年度)

経常利益(3年合計)

   320億円 (※)

ROA

 1.8%

ROE

 8.3%

自己資本比率

 21.8%

   (※)2020年度~2022年度 計画合計

 

(3) 優先的に対処すべき課題

①  エネルギーシェアの拡大

都市ガス、LPG、LNG、電気など、お客さまの快適なくらしや社会に不可欠なエネルギーをお客さまのご要望に応じて最適に組み合わせて提供し、お客さまが使用されるエネルギーのトータルシェア拡大を図っていく。また、競争環境が厳しさを増す中、これまで以上にお客さまとのつながりを強め、更なる関係の深化を図れるよう、従来のエネルギー供給に加え、お客さまのご要望をくみ取った魅力ある付加価値サービスの充実に努めていく。

特に、当社グループ事業の中核をなすガスエネルギー事業に関しては、豊富な潜在需要を有する業務用分野の開拓に一層注力し、産業用需要を中心として、重油などの燃料を使用されているお客さまに対して、省エネ性、環境性などに優れた都市ガス、LPG、LNGなどを総合的に提案していくとともに、お客さまの事業内容やエネルギーに関するご要望に対応したソリューション提案を推進していく。また、飲食店などのお客さまを対象に、水まわりや電気設備の修理などのガス機器以外のトラブルにも対応する「あきないプラスサービス」など、当社独自の多様なサービスの提供に努めていく。

家庭用分野においては、柔軟かつ低廉な料金プランによる価格面での訴求に加え、引き続き家庭用燃料電池エネファームをはじめとしたガス機器の普及拡大や電気とガスのセット販売を推進していくとともに、ガス機器の故障やすまいのトラブルに対して24時間365日対応する「ヒナタくらしサービス」を充実させることなどにより、快適なくらしをサポートしていく。また、まちづくり・再開発・建物建設といった不動産開発事業などにおいて、計画段階から、ディベロッパーさま・ハウスメーカーさまなどに対してグループのソリューション力を活かした提案をしていくなど、お客さまのビジネスそのものに貢献し、当社グループを真のパートナーとして選んでいただくための取り組みを推進していく。

 

②  お客さまの安全・安心と安定供給体制の更なる強化

エネルギー事業者として最大の責務であるお客さまの安心・安全の確保については、ガス生産設備及び供給設備の災害対策やセキュリティの向上はもとより、お客さま設備の安全対策の確実な実施に加え、当社が提供する各種エネルギーをお客さまが安心してご利用いただくための取り組みを一層強化していく。

また、現在建設中の九州北部幹線をはじめ、ひびきLNG基地を中核とした強固なガス生産供給基盤の整備を継続するとともに、大規模な災害などにおいて早期復旧を可能とする防災拠点の整備を進めるなど安定供給体制の更なる強化を図っていく。

 

③  グループ事業の拡大

ガスエネルギー事業を引き続き推進しつつ、不動産事業やリノベーション事業、健康・レジャー事業、電力事業など、ガスエネルギー以外のグループ事業の拡大にも注力し、将来に亘る安定的なグループ収益の確保に向けた取り組みを加速していく。具体的には、多くのグループ事業とのシナジー効果が期待できる不動産事業をガスエネルギー事業に次ぐ収益の柱として成長させていく。

また、ひびきLNG基地の立地条件の優位性や拡張性を活かし、当社グループがこれまでに培ってきたLNG事業のノウハウを活用できる国際エネルギー事業の拡大も図っていく。このような不動産事業や国際エネルギー事業など成長を見込める分野を中心に、積極的な投資を実施していく。更には、2019年7月に熊本市内で開業したホテル事業や、同年12月に福岡市内に開業した滞在型の温浴施設事業、また、ベンチャー企業をはじめとする成長企業などへの出資・支援を実施していくなど、当社グループの強みと経営資源を最大限活用しながら、新たな分野での事業についても積極的に推進していく。

 

④  グループ経営基盤の強化

事業環境の変化に適切かつ迅速に対応し、エネルギー自由化の時代に適応した強靭なグループ経営基盤を構築するため、グループ全体最適の視点で事業構造を変革していくなど、グループ全体の企業価値向上に資する取り組みを強化していく。具体的には、グループ経営における戦略の策定やガバナンスなどの仕組みを見直し、グループ全体の企業価値の向上を図るとともに、地域に根差した事業展開を通して、お客さまのご要望を的確にくみ取り、サービス品質の向上と効率的な事業運営を推進していく。これらを実現するために、当社は、純粋持株会社体制及び地域に根差した事業体制を主な内容とする、当社グループ新体制への移行について検討を開始した。

また、最新のデジタル技術を活用した、新たな価値の創出や業務の効率化・高度化を図るとともに、グループ内における人事交流や、専門的な知識・経験を有する人材の積極的な採用を実施することなどによって、グループ全体としての生産性の向上や組織の活性化に取り組んでいく。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1) ガス事故の発生

製造・供給・消費の各段階において、漏えいや爆発などのガス事故が発生した場合、直接的な損害に止まらず、社会的責任の発生等、重大な影響を及ぼし、当社グループの事業運営に支障をきたす可能性がある。そのため、事故発生リスクの低減に向け、経年設備の更新や安全型機器の普及促進を図っている。

 

(2) 自然災害

地震、台風等の大規模な自然災害が発生した場合において、LNG基地等のガス製造設備や、導管等の供給設備に損害が生じて、当社グループの事業運営に支障をきたし、その復旧に伴う費用が業績に影響を与える可能性がある。そのため、被害を最小限に抑えるよう、ガス設備の耐震化等を図っている。

 

(3) 原料価格の変動及び原料調達支障

LNGは海外より調達しているため、為替や原油価格の変動によってはコストの増加に繋がる可能性がある。また、調達元のLNG基地のトラブル、LNG船の運航途上の事故が発生するなど、LNG調達が滞る場合には、都市ガスの供給に支障をきたす恐れがある。そのため、都市ガスの原料であるLNGの調達元との契約更改・価格見直しにより、調達コストの低減に努めているとともにLNG調達先の多様化を進めている

 

(4) ガス需要の変動

ガス小売全面自由化による競合の激化や、天候・景気の変動等によって、ガス販売量が変動し、当社グループの業績が影響を受ける可能性がある。そのため、新たな料金メニューやかけつけサービスなどの付加価値サービスの提供などにより、新規需要の獲得・お客さまの離脱防止に積極的に取り組んでいる。

 

(5) 海外事業展開

当社グループが行っている海外事業においては、当該国における政治的又は経済的要因、社会情勢の悪化等により当社グループの業績が影響を受ける可能性がある。そのため、外部コンサルタントやファイナンシャルアドバイザーの活用、取引先調査の徹底など、早期に情報収集をすることで様々なリスクの低減を図っている。

 

(6) 金利変動

市場金利の動向により調達金利が変動することによって、当社グループの業績が影響を受ける可能性がある。そのため、固定金利のウエイトを高くする、金利スワップを導入するなどし、金利変動リスクを抑制している。

 

(7) 資産の時価の下落・収益性の低下

資産の時価が著しく下落した場合や収益性が低下した場合などは減損損失や評価損の計上等により、当社グループの業績が影響を受ける可能性がある。そのため、有形・無形固定資産について、減損の兆候判定と減損損失の認識及び測定を行うための手続きを整備し、運用している。また、投資有価証券及びたな卸資産等についても、評価減の要否判定と評価損の算定を行うための手続きを整備し、運用している。

 

(8) 投資未回収

新規事業やM&A等を大規模な投資を行った後の国内外の経済情勢の変化などにより、適切な回収がされず投資時に見込んだ将来の収支予測を達成できない場合、減損損失や評価損の計上等により、当社グループの業績が影響を受ける可能性がある。そのため、西部ガスグループ中期経営計画「スクラム2022」における基本方針の通り、不動産事業や国際エネルギー事業などへ成長投資を行うこととしている。投資を行うにあたっては、事前にリスクや事業性を検証した上で経営会議・取締役会に諮る等、経営判断の下に投資を決定している。

 

(9) 法令・制度等の変更

エネルギー政策やガス事業法等の各種法令、ガス事業制度等の変更によって、当社グループの業績が影響を受ける可能性がある。

 

(10) 情報システム障害

お客さま情報システム等の基幹情報システムの機能に重大な障害が発生した場合は、ガス料金の計算が適切に行われず、ガス売上が正確に計上できないことや、お客さま受付をはじめとした各種業務が滞ることにより、有形無形の損害が発生する可能性がある。そのため、不測の事態でも業務への影響を最小限にとどめるよう、情報関連会社と緊密な連携を図るとともに、インシデント対応訓練や各種セキュリティ対策を実施している

 

(11) 情報漏洩

公益事業としての業務を遂行するために、取得・管理しているお客さまの個人情報等が漏洩した場合は、社会的責任を含めて有形無形の損害が発生する可能性がある。そのため、個人情報保護規程、情報セキュリティガイドなどを制定し、全従業員に対して情報セキュリティ教育を実施する等、情報漏洩の対策を推進している。

 

(12) コンプライアンス

法令・定款、及び企業倫理・社会規範に反する行為が発生した場合には、その対応に直接的に要する費用のみならず、社会的信用の失墜など有形無形の損害が発生する可能性がある。そのため、内部統制推進委員会で策定されたコンプライアンス基本方針に基づき、様々な意識啓発・教育によってグループ全体のコンプライアンス統制を行っており、社内監査を定期的に実施している。

 

(13) 感染症

社内に感染症が蔓延した場合、都市ガス事業の継続が困難になることで、重大な損害が発生するリスクがある。そのため、新型インフルエンザ等対策に関する業務計画に基づき、感染症が国内外に大発生した場合においても、都市ガスの供給を維持するよう対策を講じている。

 

(新型コロナウイルス感染症の影響について)

新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、今後事態が長期化または更に感染拡大する状況が進行すれば、ガス販売量の減少や当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。そのため、対策本部を設置し、お客さま並びに当社従業員の健康や安全を確保する観点から、感染予防及び感染拡大防止のための対策を講じるとともに、エネルギーの安定供給・保安の確保に最大限努めている。

具体的には、お客さまに関する取り組みとして、訪問の制限、マスク着用、ショールームの一時閉鎖、当社主催イベントの禁止等を行っている。また、当社従業員に関する取り組みとして、時差出勤やテレワークの推進、出社前の検温、執務室の換気、マスク着用、出張(国内・海外問わず)禁止等を実施している。

また、エネルギーの安定供給・保安確保に向けた取り組みとして、ガス製造・供給部門の完全交代勤務、自家用車での通勤、交代勤務時の一定距離を確保したうえでの引継ぎ等、お客さまの安全・安心の確保と安定供給体制の維持に努めている。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されている。経営者の視点による当連結会計年度の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する分析等は次のとおりである。

本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

1.経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の各種政策を背景にした企業業績の向上や雇用情勢の改善が進み、緩やかな回復基調にあったものの、米中貿易摩擦や英国EU離脱問題などによる世界経済の減速、さらには新型コロナウィルスの感染拡大などの影響により、先行きは依然として不透明な状況の中で推移した。

このような状況の中、当社グループは、2016年に策定した西部ガスグループ中期経営計画「スクラム2019」で掲げた「お客さまから圧倒的な信頼をいただくエネルギーとくらしの総合サービス企業グループ」の実現をめざし、都市ガス、LNG、LPG、電気などエネルギーのトータルシェア拡大を図るべく、懸命な営業活動を展開した。

 

特に西部ガスグループの中核をなす都市ガス、LNG、LPGのガスエネルギー事業に関しては、業務用分野の開拓に注力し、他燃料を使用されているお客様に対して省エネ性、環境性に優れたガスエネルギーを総合的にご提案する、お客様のご要望に対応したソリューション提案営業を推進した。

 

第2の収益の柱と位置付ける不動産事業においては、まちづくり・再開発・建物建築などの計画段階から、ディベロッパーさま・ハウスメーカーさまなどに西部ガスグループのソリューション力を活かした提案を行い、西部ガスグループを真のパートナーとして選んでいただき、ガスエネルギー事業とのシナジー効果を生み出せるように取り組んだ。また、タイ、米国等海外での不動産開発に着手し、事業規模拡大への取り組みを開始した。

 

その他の分野では、グループ会社におけるホテル事業への進出、ベンチャー企業をはじめとする成長企業への出資等を行うファンドを創立するなど、当社グループの強みと経営資源を最大限活用しながら、ガスエネルギー以外の事業拡大による事業構造の多様化・強靭化に向けたグループ変革を進めた。

 

このような事業活動の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高204,445百万円(前期比967百万円 0.5%増)、営業利益7,562百万円(前期比2,533百万円 25.1%減)、経常利益7,529百万円(前期比2,231百万円 22.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、4,695百万円(前期比801百万円 14.6%減)となった。

 

なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に関しては、ガス事業・LPG事業のお客様である商業施設や飲食店、工場等において、営業自粛・工場の操業停止・生産調整等の感染予防対策を実施されていることから、業務用・工業用を中心にガス・LPG販売量が減少する等の影響があった。また、不動産事業、その他の事業においても、お客様訪問自粛や飲食店営業自粛に伴う営業機会の逸失、物流停滞による建築用資機材の納期遅延等の影響があったものの、影響を受けた期間が比較的短期間であったことから、当連結会計年度の経営成績及び財政状態に与えた影響は軽微であると判断している。

今後、新型コロナウィルス感染拡大の影響が長期に及ぶ場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある。

 

セグメント別の状況は次のとおりである。

(1) ガス

当連結会計年度末の都市ガス事業におけるお客さま数は113万6千戸であり、都市ガス販売量は前期に比べ2.0%減の883,034千㎥となった。このうち業務用ガス販売量については、供給先の需要減やスイッチングの影響等により5.1%減の554,876千㎥となり、家庭用ガス販売量も4.4%減の229,088千㎥となった。また、他のガス事業者への卸供給ガス販売量については、卸供給先の需要増加等によって、前期に比べ27.9%増の99,070千㎥となった。

以上のような都市ガス販売量の結果とガス料金単価の下方調整の影響等により、売上高は125,022百万円(前期比2,938百万円 2.3%減)となり、セグメント利益は5,029百万円(前期比804百万円 13.8%減)となった。

 

(2) LPG・その他エネルギー

LPG販売単価の下落によりLPG売上が減少したものの、電力販売件数の増加等により電力売上が増加したことから、売上高は30,507百万円(前期比52百万円 0.2%増)となった。セグメント利益は、販促キャンペーン等諸経費の増加影響等により386百万円(前期比450百万円 53.8%減)となった。

(3) 不動産

新規連結の影響により、売上高は35,940百万円(前期比3,669百万円 11.4%増)となったものの、仕入価格の高騰や販売諸経費増加等の影響から、セグメント利益は2,835百万円(前期比751百万円 20.9%減)となった。

 

(4) その他

その他の事業には、食品販売事業、情報処理事業、飲食店事業等が含まれており、売上高は27,751百万円(前期比474百万円 1.7%増)となったものの、情報処理事業において委託作業費が増加したことなどからセグメント利益は189百万円(前期比409百万円 68.4%減)となった。

 

(注)1.セグメント別売上高及びセグメント利益には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでいる。

2.本報告書では、ガス量はすべて45MJ(メガジュール)/㎥で表記している。

 

セグメント別の売上高及びその構成比は次のとおりである。

 

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

 

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

 

ガス

127,960

58.7

125,022

57.0

 

LPG・

その他エネルギー

30,455

14.0

30,507

13.9

 

不動産

32,271

14.8

35,940

16.4

 

その他

27,277

12.5

27,751

12.7

 

217,964

100.0

219,221

100.0

 

2.財政状態の状況

(1) 資産

当連結会計年度末における資産の残高は375,765百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,342百万円増加した。

固定資産の残高は292,261百万円であり、前連結会計年度末に比べ2,352百万円増加した。これは、固定資産の減価償却進捗等はあったものの、ガス事業における新規導管投資や投資有価証券の取得等があったこと等によるものである。

流動資産の残高は83,503百万円であり、前連結会計年度末に比べ2,990百万円増加した。これは、原油価格の下落に伴うガス売掛金の減少はあったものの、不動産事業において販売用不動産の建設工事が進展したことに伴い仕掛品が増加したこと等によるものである。

 

セグメント別の状況は次のとおりである。

①  ガス

主に、既存固定資産の減価償却が進んだこと等により、資産合計は160,089百万円(前期比6,091百万円 3.7%減)となった。

 

②  LPG・その他エネルギー

LPG販売単価の下落に伴う売掛金の減少に加え、太陽光発電設備等の償却が進んだこと等により、資産合計は32,918百万円(前期比1,011百万円 3.0%減)となった。

 

③  不動産

販売用不動産の建設工事が進展したことに伴い仕掛品等のたな卸不動産が増加したことから、資産合計は106,941百万円(前期比6,699百万円 6.7%増)となった。

 

④  その他

ファンド事業の創設に加え、ホテル事業の開始に伴う設備の取得等により、資産合計は30,305百万円(前期比6,391百万円 26.7%増)となった。

 

(注)セグメント別資産には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでいる。

 

(2) 負債

当連結会計年度末における負債の残高は295,160百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,295百万円増加した。

固定負債の残高は181,608百万円であり、前連結会計年度末に比べ15,900百万円減少した。これは、社債及び長期借入金のうち、1年以内に償還・返済予定のものを流動負債に振り替えたこと等によるものである。

流動負債の残高は113,552百万円であり、前連結会計年度末に比べ23,196百万円増加した。これは、1年以内に期限到来の固定負債が増加したことに加え、短期借入金が増加したこと等によるものである。

なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は255,568百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,463百万円増加した。

 

(3) 純資産

当連結会計年度末における純資産の残高は80,604百万円であり、前連結会計年度末に比べ1,953百万円減少した。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したものの、株価の下落に伴いその他有価証券評価差額金が減少したこと等によるものである。

なお、当連結会計年度末における自己資本比率は、19.9%となり、前連結会計年度末の20.8%から下落した。

 

3.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,863百万円増の19,751百万円となった。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。

 

(1) 営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度に営業活動により得られた資金は、17,956百万円となり、前連結会計年度に比べ1,064百万円の減少となった。これは、都市ガス事業におけるガス販売量の減少やガス料金単価の下方調整によりガス売上収入が減少したこと等によるものである。

 

(2) 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度に投資活動により使用した資金は、25,489百万円となり、前連結会計年度に比べ2,543百万円の増加となった。これは、有形固定資産の売却による収入はあったものの、投資有価証券の取得による支出が増加したこと等によるものである。

 

(3) 財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度に財務活動により調達した資金は、10,263百万円となり、前連結会計年度に比べ3,777百万円の増加となった。これは、短期借入金による調達が増加したこと等によるものである。

 

4.生産、受注及び販売の実績

当社グループにおいては、ガスセグメントが生産及び販売活動の中心となっており、外部顧客に対する売上高及び営業費用の大半を占めている。また、当該セグメント以外のセグメントが生産及び販売する製品・サービスは広範囲かつ多種多様であり、受注形態をとらないものも多い。

このため、以下は、ガスセグメントにおける生産、受注及び販売の実績について記載している。

 

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績は次のとおりである。

  品名

  数量(千m3

 

  前期比(%)

 ガス

897,395

△2.0

 

(2) 受注実績

  ガスについては、その性質上受注生産は行っていない。

 

(3) 販売実績

ガス販売実績

     当連結会計年度におけるガスの販売実績は次のとおりである。

項目

数量(千m3

 

金額(百万円)

 

前期比(%)

前期比(%)

 家庭用

229,088

△4.4

49,773

△5.2

 業務用

554,876

△5.1

43,896

△4.8

 卸供給

99,070

27.9

5,900

14.6

 計

883,034

△2.0

99,570

△4.0

 期末ガスお客さま数(千戸)

1,135.8

0.0

 

 

    (注)「期末ガスお客さま数」は、年度末の都市ガスメーター取付個数である。

 

5.経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の主要な原材料であるLNGは、海外から輸入しているため為替や原油価格の変動により大きな影響を受ける。そのリスクをヘッジする手段として為替予約や原料価格に関するスワップ等を検討している。また、都市ガス事業においては、原料価格の変動は原料費調整により、タイムラグは生じるもののガス販売価格に反映して対応することが可能である。

また、当社グループの売上高の大半を占めているガスによる売上高は、気温・水温等の変動により、大きな影響を受ける。このため、当社は、金融機関等との天候デリバティブ契約の締結等、そのリスクの軽減を検討している。

さらに、都市ガス事業は、需要拡大や安定供給のためにガス導管の敷設等の多大な設備投資が必要であるため、社債や借入金等の残高が多く、金利変動の影響が大きい。このため、金利の固定化及び金利スワップ等の活用により、そのリスクをヘッジしている。

 

6.資本の財源及び資金の流動性

(1) 資金需要

当社グループの運転資金需要の主なものは、ガス事業における原料LNG購入費用のほか、製造費、供給販売費及び一般管理費等の営業費用である。また、投資を目的とした資金需要は、ガス事業における供給設備(導管等)投資及び不動産事業や国際エネルギー事業など成長を見込める分野への投資等によるものである。

なお、新型コロナウイルスの感染症予防対策等の影響により、当社グループ内で運転資金が不足する子会社については、融資等による支援を計画している。

 

(2) 財務政策

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資及びグループ事業拡大に向けた投資資金については、金融機関からの長期借入と社債の発行による調達を基本としている。

また、当社グループの資金管理子会社であるSGキャピタル㈱により当社グループ内でキャッシュ・マネジメント・サービスを実施しており、資金調達の一元化、余剰資金の活用等により、当社グループ全体の有利子負債の削減に努めている。

なお、金融機関には十分な借入枠を有しているため、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、設備投資資金の調達は、今後も可能であると考えており、グループ中期経営計画「スクラム2022」の期間中(2020~2022年度)に不動産事業や国際エネルギー事業などへ最大500億円の成長投資を実施し、定常投資と合わせ最大1,000億円の投資を行う計画である。

 

7.会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されている。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載している。この連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っているが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合がある。

なお、新型コロナウイルスの影響については、緊急事態宣言の解除以降の当社グループを取り巻く経済環境が徐々に回復へ向かうとの見通しを前提に、会計上の見積りに与える影響は軽微であると判断している。

 

8.目標とする経営指標の実績

当社グループは、2020年3月期を最終年度とするグループ中期経営計画「スクラム2019」において、「経常利益」、「ROA」、「ROE」、「自己資本比率」及び「有利子負債残高」を、目標とする経営指標と定めた。

当連結会計年度における当該指標は次のとおりである。

「経常利益」は7,529百万円(前期9,760百万円)となった。

「ROA」は1.3%(前期1.5%)となった。

「ROE」は6.2%(前期7.2%)となった。

「自己資本比率」は19.9%(前期20.8%)となった。

「有利子負債残高」は255,568百万円(前期240,105百万円)となった。

なお、グループ中期経営計画「スクラム2019」における目標は次のとおりである。

項 目

目 標(2019年度)

経常利益(3年合計)

   320億円 (※)

ROA

 2%

ROE

 8%

自己資本比率

 24%

有利子負債残高

                    2,200億円

   (※)2017年度~2019年度 計画合計

 

4【経営上の重要な契約等】

当社は、2020年5月18日開催の取締役会において、会社分割の方法により純粋持株会社体制に移行するため、当社のガス事業等を当社の100%子会社である「西部瓦斯分割準備株式会社」、「西部瓦斯熊本株式会社」、「西部瓦斯長崎株式会社」及び「西部瓦斯佐世保株式会社」に承継させることを決議し、同日、各承継会社との間で2021年4月1日を効力発生日とする吸収分割契約を締結した。

詳細については、「第5  経理の状況  2 財務諸表等  (1)財務諸表  注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりである

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、都市ガス事業の基盤技術強化や都市ガスの高度利用に係わる研究開発、水素や電力等の新たなエネルギー分野に関連する技術の調査研究を進めており、他ガス事業者や大学等との共同研究にも積極的に取り組んでいる。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は288百万円であり、「ガス」セグメントに関する研究開発がその大半を占めている。今年度は、「研究開発を通した、お客さまをはじめとするステークホルダーへの価値あるソリューションの提供」という基本方針のもと、以下の4つを重点課題とし、研究開発を推進した。

 

1.研究開発の重点課題

(1) エネルギーシェアの拡大に資する技術開発と調査研究の推進

お客さまの快適で豊かな暮らしの実現や、環境負荷低減による企業ブランド価値の向上に繋がる各種技術に関する技術開発や調査研究を推進する。エネファーム等を活用した天然ガスの高度利用や、ガス消費機器の利便性・快適性の追求、電気・熱の融通によるエネルギーマネジメントなど、総合エネルギーサービス企業としてお客さまとの関係維持、強化に繋がる技術開発、調査研究に取り組んでいる。

 

(2) 保安対策の高度化、安定供給の維持に資する技術開発と調査研究の推進

お客さまに安心してガスエネルギーをご使用いただくため、当社の保安水準の更なる高度化に繋がる、供給・設備・生産技術分野における技術開発や調査研究の実施、及び新技術等の情報収集に取り組んでいる。

 

(3) 強靭な事業基盤構築に資する技術の確立と展開

エネルギー自由化時代に対応するため、近年発達が目覚ましいICTとIOT関連技術や、省エネ・省CO2診断など解析・分析技術に関する技術者の育成、技術の拡充に取り組む。また、これらのリソースを積極的に活用し、業務の効率化や接点機会における提案力強化をサポートし、事業基盤の強化や経営効率化を図る。

 

(4) 新たなエネルギー利用技術に関する調査研究の推進

将来的なエネルギーの低炭素化に対する社会からの要望の高まりに備え、水素や再生可能エネルギーなど、新たなエネルギーの利用技術に関する調査や情報収集を推進し、将来の事業展開に活用する。

 

2.2019年度の具体的な取組み

(1) エネルギーシェアの拡大に向け、家庭用では分散型電源の付加価値向上に資する調査研究、業務用では分析・解析技術に基づいた営業支援や業務用SOFCのモニター試験を実施した。

 

(2) 保安水準の高度化や安定供給の維持に向け、中圧PE管の工法拡充に向けた取り組みを推進し、ものづくりを通した現場作業の更なる効率化、また、施工における不具合の原因究明などに取り組んだ。

 

(3) 近年発達の目覚ましいICT関連技術に関する取り組みとして、スマートメーター利活用実証試験や、技能継承や業務効率化を視野に、VR技術やIOTの導入に向けた開発・調査を実施した。

 

(4) 新たなエネルギー利用技術に関する調査研究については、西部ガス供給エリア内における市場動向の調査等を実施した。

 

2020年度は、今年度に策定した西部ガスグループ中期経営計画「スクラム2022」の基本方針の下、研究開発を推進する。