第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当事業年度におけるわが国経済は、前半は個人消費の減速と円高による企業業績の悪化で低迷が続きましたが、11月の米国大統領選挙におけるトランプ氏の勝利をきっかけに円安ドル高に転じ、輸出が伸び企業収益の改善が続いてきました。しかしながら、中国経済の減速や英国のEU離脱に揺れる欧州経済、国内では低迷を続ける個人消費と景気の先行きは不透明な状況です。
 このような状況のもと、建替えのため本舘休館中の当社は、本舘および昨年10月に東京銀行協会ビル建替えに伴い閉店した銀行倶楽部のお客様を、既存の営業所へ最大限誘致するとともにケータリングの拡充を図るなど、本舘休館中の収益源となる営業所の営業力・集客力の強化に取り組んでまいりました。

その結果、当事業年度の売上高は、上述の取り組みにより既存営業所で前期比2.9%増加したものの、銀行倶楽部閉店による売上減少が大きく、前期比1.9%減の5,884百万円となりました。

これを部門別にみますと
 宴会部門につきましては、一般宴会は、本舘ならびに銀行倶楽部のお客様を各営業所へ積極的に誘致し、加えて新規開拓に重点を置き、企業や各団体、個人に対するセールス活動やケータリングセールスの強化に努めました。

一方、婚礼については、ブライダルフェアを頻繁に開催するとともに、婚礼情報誌への広告掲載ならびにホームページの刷新など宣伝活動の充実を図り、婚礼組数の獲得に積極的に取り組みましたが、銀行倶楽部閉店や婚礼件数の減少により売上高は前年比減となりました。

以上の結果、一般宴会、婚礼合計の宴会部門売上高は、2,651百万円(既存店前期比4.5%増)となりました。

食堂部門につきましては、昨年に引き続き東京交通会館屋上にビアガーデンを開業したほか、直木賞作家 辻村深月氏の著作「東京會舘とわたし」刊行記念コースをレストラン5店舗で提供するなど特色あるフェアを企画、開催するとともにWEBセールスにも注力し、売上の拡大に努めました。その結果、食堂部門の売上高は2,581百万円(既存店前期比0.2%増)となりました。

売店・その他の営業につきましては、食品部門で、季節限定商品の開発・販売と、宴会関連のギフト商品の売上獲得および百貨店における催事への出店に積極的に努めました。その結果、売店・その他の営業の売上高は651百万円(既存店前期比7.5%増)となりました。

一方、経費面では、社員の同業他社への出向による人件費の圧縮、原価管理の徹底、建替費用を含めた一般経費の削減等によりきめ細かくコスト削減に努めましたが、退職給付費用の増加や本舘休館による売上減少が大きく影響し営業損失1,089百万円、経常損失1,045百万円となりました。しかしながら建替え事業の資金に充当するため、本舘敷地一部売却等により1,381百万円を特別利益に計上した結果、当期純利益は142百万円となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ53百万円増加し、当事業年度末は1,452百万円となりました。
  当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、減少した資金は1,285百万円(前事業年度比5.0%増)となりました。
  これは主に税引前当期純利益194百万円に対して、減価償却費168百万円等の増加要因があったものの、有形固定 資産売却益1,379百万円や長期前払費用の増加額172百万円等の減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、増加した資金は1,373百万円(前事業年度比30.5%減)となりました。
  これは主に有形固定資産の売却による収入1,501百万円や、有形固定資産の取得による支出981百万円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、減少した資金は34百万円(前事業年度比58.9%減)となりました。
  これは主に配当金の支払額33百万円等によるものであります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 仕入実績

当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。

 

仕入高(千円)

前年同期比(%)

料理飲料材料

1,152,848

0.4

洋菓子等製造材料

86,921

5.7

1,239,769

0.8

 

(注) 1 当社の提供する食品及びサービスは、各売上部門間に複雑に関連し、売上部門単位で生産実績を記載することができないので、基礎的な材料の仕入額を記載しております。

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。

 

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

宴会

2,439,317

△14.6

944,880

△18.3

(一般宴会)

(2,029,540)

(△11.1)

(804,876)

(△11.4)

(婚礼)

(409,777)

(△28.7)

(140,004)

(△43.7)

売店他

647,109

6.8

6,018

△39.4

3,086,426

△10.9

950,898

△18.5

 

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

前事業年度、当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

前事業年度

当事業年度

 

販売高(千円)

前年同期比(%)

販売高(千円)

前年同期比(%)

宴会

2,803,813

△49.4

2,651,495

△5.4

食堂

2,582,783

△23.3

2,581,989

△0.0

売店他

608,912

△25.0

651,023

6.9

5,995,508

△38.3

5,884,509

△1.9

 

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

当社は、大正11年創業以来、永い歴史と伝統により培われた、わが国を代表する国際社交場として、確かな味とサービス、格調高い施設を提供し、お客様のご要望にお応えするとともに、わが国の食文化の発展に貢献することを企業理念としております。
 このような企業理念のもと、営業力を一層強化するとともに、財務体質の改善、原価管理の徹底と諸経費の削減、組織、業務内容の効率化、合理化を図り、いかなる環境の変化にも対応できる経営体質を構築し、適正な利益を確保することを経営の基本方針としております。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題等

今後の経済見通しにつきましては、政府・日銀による脱デフレ政策と成長戦略の推進により、緩やかな景気回復が図られると思われますが、低調な個人消費の動向に加え、中国・新興国経済の減速、欧州の政情不安定化、米国における保護主義の台頭が懸念される状況にあります。
 このような経済環境にあって、当社におきましては、平成31年1月に予定しております本舘営業再開までは、営業収入源が営業所に限られるため、売上の大幅減少が避けられない状況が続きます。引き続き営業所の営業力強化に全社をあげて取り組み、併せて新規の受託業務獲得にも力を注ぎ、本舘休館に伴う営業損失の圧縮に全力を尽くしてまいります。
 本舘建替え工事の進捗状況につきましては、平成30年10月の竣工に向け、昨年12月に立柱式を行い地上階の本格的な建築工事に入っております。また、本舘開設準備室を中心に、新本舘開業に向けた準備を着実に推し進め、本年12月には、丸の内地区にウエディングサロンをオープンし、婚礼予約の受付を開始する予定です。

東京會舘が長年培ってきた“伝統”を維持しつつ、更なる発展に向けた“新しさ”を兼ね備えた新本舘とすべく創意を凝らすとともに、お客様に従来以上のご満足をいただけますよう全役職員一丸となって新本舘の開業準備を進めてまいります。

当社は、今後とも引き続きコーポレートガバナンスならびにコンプライアンス体制の充実を図るとともに、リスク管理体制の更なる強化など企業としての社会的責任(CSR)を果たす施策を積極的に推進してまいる所存でございます。

 

4 【事業等のリスク】

以下に記載する事項は、当社の事業に関してリスク要因と考えられる事項であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 食品衛生および食品安全に関するリスク

当社では「食品衛生対策委員会」を設置し、万全の食品衛生管理体制をとっておりますが、ノロウイルス等の食中毒の発生が大きなリスクとなっております。万一、食の安全性が問われる問題が発生した場合、お客様の信頼を損ね、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 防火・防災および事故に関するリスク

当社におきましては、店舗による事業展開を行っているため、大規模地震・火災など自然災害・事故等により店舗の営業継続に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 退職給付に関する債務におけるリスク

当社における退職年金資産運用の結果が前提条件と異なる場合、その影響額(数理計算上の差異)はその発生の翌事業年度に1年間で費用処理することとしております。年金資産の運用利回りの悪化や超低金利政策の長期化による割引率の低下等が、当社の翌事業年度の業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

 

(4) 顧客個人情報に関するリスク

当社におきましては、多くの顧客の個人情報を保有しております。この個人情報の管理は社内管理体制を整備して、厳重に行っておりますが、犯罪行為などによる情報漏洩が発生する可能性があり、その場合、当社の社会的信用の失墜による売上高の減少や、損害賠償の発生など業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 東京會舘本舘建替計画に関するリスク

当社は現在、東京會舘本舘を建替え中であります。
当社の主たる営業所である東京會舘本舘の建替えにつきましては、今後の経済・金融情勢、建築環境等の変動により計画どおりに進捗しない場合には、当社の経営成績および財政状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 当社は、平成24年11月15日に当社と三菱地所株式会社および東京商工会議所の三者間で、本舘建替え計画を含

  む三者が共同して行う不動産開発事業に関する基本的な合意事項を取り決めた基本協定を締結しております。

   また、平成26年12月26日に当該事業を互いに協調・協力して推進することを目的として、事業協定を締結し

 ております。

 

(2)当社は平成29年2月22日開催の取締役会において、次のとおり固定資産の譲渡を決議し、平成29年2月28日付

 で契約を締結し、同日引き渡しを完了しております。

 ① 譲渡の理由

   本舘建替え事業資金の一部に充当するため。

   

 ② 譲渡資産の内容

     資産の内容及び所在地

    譲渡価格(百万円)

    帳簿価格(百万円)

東京都千代田区丸の内三丁目 土地66.79㎡

            1,502

    123

 

 

  ③ 譲渡の相手先

    名 称 三菱地所株式会社

    所在地 東京都千代田区大手町一丁目6番1号

        当該会社は当社株式を131千株(3.79%)所有する株主であります。

        なお、当該会社と当社との間には、記載すべき人的関係・取引関係および関連当事者として特記

        すべき事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の分析

当事業年度の売上高は5,884百万円(前事業年度比110百万円、1.9%減)となりました。
 銀行倶楽部閉店による売上減少が大きく影響し、前事業年度に比べ減収となりました。

営業費用(売上原価、販売費及び一般管理費)は、銀行倶楽部閉鎖による売上原価の減少に加え、継続的な原価管理と業務全般の効率化による諸経費削減の効果があったものの、退職給付費用の増加もあり、6,974百万円(前事業年度比50百万円増加)となりました。

この結果、営業損失は1,089百万円、経常損失は1,045百万円となりました。
 特別利益については旧東京會舘ビル敷地の一部売却による固定資産売却益1,379百万円、投資有価証券売却益1百万円を、特別損失については減損損失15百万円、解体撤去費用126百万円を、それぞれ計上しました。
 これらの結果、当期純利益は142百万円(前事業年度比16百万円減少)となりました。
 

 

(2) 財政状態の分析

当事業年度末の総資産は、184百万円(1.8%)増加して、10,596百万円となりました。流動資産は842百万円(25.4%)減少の2,471百万円、固定資産は1,026百万円(14.5%)増加の8,125百万円となりました。

流動資産減少の主な要因は、現金及び預金が53百万円増加し、有価証券が900百万円減少したことなどによるものであります。

固定資産のうち有形固定資産は、678百万円増加の4,911百万円となり、その主な要因は本舘建替設計監理業務及び工事、千石工場菓子生産設備改修などで986百万円増加し、旧東京會舘ビル敷地の一部売却や減価償却の実施等により307百万円減少したことなどによるものであります。

投資その他の資産は、348百万円増加の3,211百万円となり、その主な要因は投資有価証券が171百万円、長期前払費用が170百万円それぞれ増加し、繰延税金資産が41百万円減少したことなどによるものであります。

当事業年度末の負債の合計は、65百万円(1.9%)減少の3,396百万円となりました。流動負債は53百万円(5.0%)減少の1,026百万円、固定負債は11百万円(0.5%)減少の2,369百万円となりました。

流動負債減少の主な要因は、未払金が32百万円、未払消費税等が24百万円減少したことなどによるものであります。

固定負債減少の主な要因は、退職給付引当金が49百万円減少し、長期未払金が30百万円増加したことなどによるものであります。

当事業年度末の純資産合計は、250百万円(3.6%)増加して7,200百万円となりました。その主な要因は当期純利益142百万円と剰余金の配当33百万円による利益剰余金の純増加108百万円や、その他有価証券評価差額金の増加143百万円などによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

「第2[事業の状況]1[業績等の概要](2)キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。