第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
 なお、文中における将来に関する事項については、当事業年度末現在において、入手しうる情報に基づいて当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社は、1922年創業以来、永い歴史と伝統により培われた、わが国を代表する国際社交場として、確かな味とサービス、格調高い施設を提供し、お客様のご要望にお応えするとともに、わが国の食文化の発展に貢献することを企業理念としております。このような企業理念のもと、営業力を一層強化するとともに、財務体質の改善、原価管理の徹底と諸経費の削減、組織、業務内容の効率化、合理化を図り、いかなる環境の変化にも対応できる経営体質を構築し、適正な利益を確保することを経営の基本方針としております。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題等

 今後の経済見通しにつきましては、政府によるワクチン接種の普及により経済活動が回復に向かうと期待される一方、感染症の終息までは予測困難な感染症の波が繰り返されることも危惧されるなど、依然として先行き不透明な状況が続くことが懸念されます。
 このような状況の下、当社は感染症の拡大防止のため、飛沫感染対策・接触感染対策を徹底してお客様が安心してご利用いただける体制を維持強化するとともに、万が一に備えた勤務体制など事業継続対策を徹底して、お客様ならびに従業員の安全を最優先にした事業運営を進めてまいります。2021年度を最終年度とした中期経営計画の業績目標達成については、コロナ禍で法人顧客の需要が著しく減少したことにより非常に厳しい状況となりましたが、経営環境が極めて不透明な現下の状況では新たな中期計画の策定に優先して、需要の減少幅が比較的小さい婚礼・食堂の両事業や東京會舘ブランドを生かした物販などによる売上高の回復および財務の健全性回復を推進し、創業100周年となる2022年度を迎えるための準備を全社一丸となって取り組んでまいります。

 当社は、今後も引き続きコーポレートガバナンスならびにコンプライアンス体制の充実を図るとともに、リスク管理体制の更なる強化など企業としての社会的責任(CSR)を果たす施策を積極的に推進してまいります。

 

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した業績の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 食品衛生および食品安全に関するリスク

当社では「食品衛生対策委員会」を設置し、万全の食品衛生管理体制をとっておりますが、ノロウイルス等の食中毒の発生が大きなリスクとなっております。万一、食の安全性が問われる問題が発生した場合、お客様の信頼を損ね、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社では、食品衛生対策委員会を組織し、当該委員会による講習会の適宜実施や各営業所及び食材購入先への衛生指導に加え、営業所ごとの外部機関による衛生検査の実施等、更なる衛生管理の徹底を図っております。また、義務化となった「HACCP」による衛生管理にも対応済であります。

 

(2) 防火・防災および事故に関するリスク

当社におきましては、店舗による事業展開を行っているため、大規模地震・火災など自然災害・事故等により店舗の営業継続に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社では、防火・防災対策委員会を組織し、当該委員会の指導のもと、各営業所において直下型地震等防災訓練にも積極的に参加するとともに、東京消防庁主催の「普通救命(応急手当)講習会」にも多くの従業員が参加し救命技能認定を受け、「応急手当奨励事業所」に認定されるなど、緊急時におけるお客様への対応に備えております。

 

(3) 退職給付に関する債務におけるリスク

当社における退職年金資産運用の結果が前提条件と異なる場合、その影響額(数理計算上の差異)はその発生の翌事業年度に1年間で費用処理することとしております。年金資産の運用利回りの悪化や超低金利政策の長期化による割引率の低下等が、当社の翌事業年度の業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

このため、当社では、企業年金基金に対して適切な代議員を選出・配置するとともに運営報告を定期的に受けるなど、基金の運営状態をモニターしております。

 

(4) 顧客個人情報に関するリスク

当社におきましては、多くの顧客の個人情報を保有しております。この個人情報の管理は社内管理体制を整備して、厳重に行っておりますが、犯罪行為などによる情報漏洩が発生する可能性があり、その場合、当社の社会的信用の失墜による売上高の減少や、損害賠償の発生など業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社では、情報管理委員会の活動として、顧客情報の取扱いに関し社員研修会での説明や社内イントラネットに注意事項を掲載するなど、従業員への周知・徹底を図っております。

 

  (5) 感染症発生に関するリスク

新型コロナウイルス感染症を含む感染症の発生および拡大に際しては、顧客・従業員の安全を最優先とした対応をとった上で営業継続を行うことを原則としますが、当社または商圏内全般において当局による規制や自粛要請が行われた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社は、新型コロナウイルス感染予防緊急対策委員会を組織し、お客様と従業員の健康と安全を第一に考え、またお客様に安心してご利用いただけるよう、お客様への検温・消毒依頼、ソーシャルディスタンスの確保、アクリル板およびCO2センサーの設置や従業員の不要不急の外出自粛などの予防対策の徹底を図っており、千代田区からも区内の4営業所がより高度な予防対策を実施している優良施設として認証を受けております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言を機に休業要請や外出自粛要請が本格化したことにより景気が急激に悪化するなかでのスタートとなりました。その後宣言解除により一旦は緩やかに回復基調に向かうも、年度後半に再び緊急事態宣言が発出され行動が制限されるなど、将来の見通しが極めて不透明な状況で推移いたしました。

 このような経済環境のなか当社は、コロナ禍下で営業の大幅な縮小を余儀なくされました。第1四半期においては、政府による緊急事態宣言を受けて、本舘および営業所において4月11日から約50日間の臨時休業を実施するなど、収益の柱である宴会や食堂の営業が大きく制限されました。緊急事態宣言解除後は感染拡大防止対策や新たな勤務体制の導入などの事業継続対策を一段と強化して営業を再開し、売上高は回復基調にありましたが、第4四半期に再び緊急事態宣言が発出され回復基調は勢いに欠けたものとなりました。当事業年度の売上高は、上記の新型コロナウイルス感染症拡大の影響に加え、浜松町東京會舘が世界貿易センタービル建替えに伴い閉鎖したこともあり大幅な減収となり、4,034百万円(前期比64.9%減)となりました。

 

 これを部門別にみますと、
 宴会部門につきましては、一般宴会・婚礼ともに、東京都による自粛要請により多くのキャンセルが発生し、第1回目の緊急事態宣言期間中は臨時休業により宴会の実施を停止する場面がありました。宣言解除後は、婚礼などの個人需要は一定の回復基調にある一方で、一般宴会では法人需要の回復がみられず、新たな宴会スタイルの提案に努めましたが需要の掘り起こしは限定的となりました。また、年度中盤以降の受注活動は勢いを取り戻しましたが、受注した宴会の実施は多くが来年度であり当事業年度の実施件数は少数に留まりました。この結果、一般宴会、婚礼合計の宴会部門売上高は、1,637百万円(前期比76.8%減)となりました。

 食堂部門につきましては、自粛要請により利用が減少し、第1回目の緊急事態宣言発出により約50日間の休業といたしました。宣言解除後は十二分な客席間の距離を確保するなど感染症対策を徹底し営業時間も短縮しつつ店舗営業を再開し、回復傾向が継続しています。また、店舗外の需要にお応えするためキッチンカー営業を開始し、ランチタイムを中心に想定以上のご来店をいただいております。しかしながら、休業の影響は大きく、売上高は1,519百万円(前期比54.6%減)となりました。

 売店・その他の営業につきましては、本舘売店ではレストランの味をご自宅でお楽しみいただける新商品の投入を積極的に行いました。食品部門では個人需要を中心としたオンライン販売が前年を大きく上回る結果となりました。また、緊急事態宣言により予定から遅れましたが、8月には東京駅一番街の「東京ギフトパレット」内に新規出店いたしました。しかしながら、外出自粛により店舗での販売は低調となり、売上高は876百万円(前期比19.6%減)となりました。

 一方、経費につきましては、雇用調整助成金制度を活用し社員の雇用を守ることを基本に人件費負担は維持しつつ、施設管理に係る委託費用の減免や広告宣伝費などの政策的費用の縮減など諸経費の削減を進めました。しかしながら売上高の減少の規模が著しく、営業損失は3,374百万円(前期は営業利益148百万円)、経常損失は2,869百万円(前期は経常利益69百万円)、当期純損失は3,219百万円(前期は当期純利益108百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

 総資産は、前事業年度末に比べて2,141百万円減少し23,249百万円となりました。その主な要因は、投資有価証券が325百万円増加し、有価証券が2,000百万円、有形固定資産が1,012百万円それぞれ減少したことであります。

 負債は、前事業年度末に比べて844百万円増加し16,977百万円となりました。その主な要因は、預り金が754百万円増加したことであります。

 純資産は、当期純損失の計上および期末配当の実施などにより、純額で前事業年度末に比べ2,985百万円減少し6,272百万円となりました。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ676百万円増加し、2,395百万円となりました。

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,264百万円の純支出(前事業年度は1,914百万円の純収入となりました。これは主に税引前当期純損失3,120百万円に、減価償却費789百万円等の非資金取引による増減や、その他の流動負債の増加額1,071百万円等の運転資本の増減によるものであります。

 当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,227百万円の純収入(前事業年度は807百万円の純収入)となりました。これは主に有価証券の償還による収入2,000百万円によるものであります。

 当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、286百万円の純支出(前事業年度は2,458百万円の純支出)となりました。これは主にリース債務の返済よる支出202百万円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

イ 仕入実績

 当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。

 

仕入高(千円)

前期比(%)

料理飲料材料

546,411

△69.4

洋菓子等製造材料

74,163

△19.4

620,574

△66.9

 

(注) 1 当社の提供する食品及びサービスは、各売上部門間に複雑に関連し、売上部門単位で生産実績を記載することができないので、基礎的な材料の仕入額を記載しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

ロ 受注実績

 当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。

 

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

宴会

1,275,765

△80.1

3,578,960

△9.2

(一般宴会)

(   73,092)

(△97.8)

(1,258,417)

(△30.1)

(婚礼)

(1,202,673)

(△61.9)

(2,320,543)

(   8.4)

売店他

562,215

△27.7

28,960

△32.0

1,837,980

△74.5

3,607,920

△9.4

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 2 当事業年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは主に新型コロナウイルス感染症拡大の影

  響に加え、浜松町東京會舘の世界貿易センタービル建替えに伴う閉鎖によるものであります。

 

ハ 販売実績

 前事業年度、当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

前事業年度

当事業年度

 

販売高(千円)

前期比(%)

販売高(千円)

前期比(%)

宴会

7,067,040

102.4

1,637,955

△76.8

食堂

3,347,059

19.2

1,519,460

△54.6

売店他

1,090,007

42.9

876,864

△19.6

11,504,107

62.9

4,034,280

△64.9

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 2 当事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは主に新型コロナウイルス感染症拡大の影

  響に加え、浜松町東京會舘の世界貿易センタービル建替えに伴う閉鎖によるものであります。

 

(2)経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①当事業年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に加え、浜松町東京會舘の世界貿易センタービル建替えに伴う閉鎖により大幅な減収となり、前事業年度に比べ64.9%減少の4,034百万円となりました。

前事業年度は148百万円の営業利益を計上しましたが、売上高の著しい減少により、当事業年度は3,374百万円の営業損失となりました。営業損失の計上は、施設管理に係る委託費用等の固定的費用や広告宣伝費等の政策的費用の縮減など諸経費全般にわたる削減を進めたものの、それを上回る水準の売上高の減少に直面したためと認識しております。経常損失については、従業員の休業手当に対する雇用調整助成金を「助成金収入」として営業外収益に613百万円計上したことなどにより2,869百万円となりました。上記のほか、投資有価証券売却益や減損損失などの特別損益および税金費用を計上した結果、当期純損失は3,219百万円となりました。

総資産は前事業年度末に比べて2,141百万円減少し23,249百万円となりました。これは、現金及び預金や有価証券の償還により得た資金をコロナ禍のなかでの運転資金として費消したためであります。また、負債は短期の支払債務を中心に前事業年度末に比べて844百万円増加し16,977百万円となりました。純資産は当期純損失の計上により利益剰余金が減少したことが主因で前事業年度末に比べ2,985百万円減少し、6,272百万円となりました。これらの結果、自己資本比率は前事業年度末に比べて9.5ポイント減少して27.0%となりました。また、固定比率・固定長期適合率も前事業年度を大きく上回る結果となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、雇用調整助成金収入や支払債務の増加などにより営業損失(3,374百万円)を下回る1,264百万円の純支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度末に保有していた有価証券の満期償還を主因として2,227百万円の純収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の返済などにより286百万円の純支出となりました。これらの結果、当事業年度末の現金及び現金同等物は2,395百万円となりました。

当社は営業活動から生じるキャッシュ・フローを主たる資金の源泉としており、この内部生成資金が通常の事業活動、設備投資、法人税や配当の支払いなどをまかなうに足りると考えております。加えて、金融機関との間にコミットメントライン等を設定することで、急な資金需要や不測の事態にも備えております。コミットメントライン等の状況については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (貸借対照表関係)」に記載のとおりです。

コロナ禍により先行き不透明ななか、当事業年度末の現金及び現金同等物は一定の残高があるものの、資金調達が必要となった場合には、財務状況や市場動向など経営環境を総合的に判断して最適な方法で実施します。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。