当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善などを背景に景気は緩やかな回復を続けてまいりましたが、期後半は、中国やアジア新興国等における経済の減速などの影響により、景気の停滞感が高まりました。
ホテル業界におきましては、アジアを中心とした訪日外国人客数の増加や堅調な日本人客の観光需要に支えられ、客室の稼働率が上昇し、単価も増加するなど、良好な経営環境が継続いたしました。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、好調な市場の動きに連動した販売施策と客室料金の見直しなど適確な価格政策を実行するとともに、需要の拡大が見込まれるアジアマーケットに対し、シンガポール営業所を中心とした販売活動や海外メディアに向けた広報活動を強力に展開するなど、売上げの増進に全力を注いで参りました。
また、本社の開業125周年、大阪の開業20周年の多彩な記念催事の開催や各種記念商品の販売を積極的に展開し、恒例の企画に新たな趣向を加えた「インペリアルジャズスペシャル125」や全館を舞台に新しい発想で芸術文化を表現した「帝国ホテル芸術祭」を開催し、好評を博しました。さらに、改修を終了した本社タワー最上階2フロアを「プレミアムタワーフロア」として販売を開始し、より高品質なサービスの提供による顧客満足の追及を図るなど、集客増とさらなるブランド力の強化に向けグループ一丸となって邁進してまりいました。
設備面におきましても、本社タワー客室の改修を継続的に行うなど、競争力の強化を図るべく、諸施設の改善に積極的に取り組んでまいりました。
一方、経費面におきましては、業務全般の効率化による諸経費の削減に注力し、収益の向上に鋭意努力してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は、前期比3.8%増の55,813百万円となり、経常利益は、前期比4.7%増の4,303百万円となり、特別利益は1,199百万円、特別損失455百万円を加えた、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期比30.6%増の3,163百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①ホテル事業
宿泊は、市場の需要に適合したより高品質な商品とサービスを提供すべく、タワー客室の改修を行ったことに加え、客室料金を見直すなどの価格政策も奏功した結果、稼働率は改修の影響により低下いたしましたが、一室単価、売上高ともに前年を上回る結果となりました。
食堂は、来客数の減少はありましたが、各店舗の特性を生かした商品の販売に注力した結果、単価が増加し、売上高は前年を上回りました。
宴会は、一般宴会は、大型宴会の受注が好調であったことに加え、法人需要の回復を見据えた積極的な営業活動の成果もあり、売上増となりました。婚礼は、販売競争激化の影響などもあり、売上減となりました。
以上のことなどから、売上高は、前期比3.9%増の52,122百万円となり、営業利益は前期比4.4%増の4,134百万円となりました。
②不動産賃貸事業
好調なオフィス需要に支えられ、売上高は前期比2.4%増の3,711百万円となり、営業利益は前期比10.1%増の1,969百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、25,909百万円となり、前年同期と比べ29百万円(0.1%)増加いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費などにより増加し、法人税等の支払額などにより減少したことにより、前年同期と比べ1,128百万円(18.6%)増加し、7,189百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、前年同期と比べ4,431百万円(226.4%)増加し、6,388百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、前年同期と比べ58百万円(8.2%)増加し、771百万円の支出となりました。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
金額(百万円) | 金額(百万円) | |
ホテル事業 | 50,150 | 52,122 |
帝国ホテル本社 | 37,416 | 39,088 |
帝国ホテル大阪 | 10,967 | 11,236 |
その他 | 1,766 | 1,798 |
不動産賃貸事業 | 3,604 | 3,691 |
合計 | 53,754 | 55,813 |
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。
項目 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | ||||||
収容能力 | 収容実績 | 利用率 | 一日平均 | 収容能力 | 収容実績 | 利用率 | 一日平均 | |
客室 | 339,815室 | 277,495室 | 81.7% | 760室 | 340,746室 | 261,761室 | 76.8% | 715室 |
食堂 | 451,870名 | 1,446,310名 | 3.2回転 | 3,962名 | 435,906名 | 1,414,065名 | 3.2回転 | 3,864名 |
宴会 | 1,387,000名 | 726,898名 | 0.5回転 | 1,992名 | 1,390,800名 | 689,919名 | 0.5回転 | 1,885名 |
委託食堂 | 198,925名 | 228,794名 | 1.2回転 | 627名 | 199,470名 | 223,585名 | 1.1回転 | 611名 |
(注) 1 客室の収容能力は客室数により算出しております。
2 食堂及び宴会の収容能力は着席数により算出しております(宴会についてはディナー形式の着席数として
おります)。
当連結会計年度及び前連結会計年度の宿泊客、食事客及び宴会客の利用割合は次のとおりであります。
項目 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 比率(%) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 比率(%) | ||
利用客数(名) | 宿泊 | 計 | 利用客数(名) | 宿泊 | 計 | |
宿泊客 |
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|
外人客 | 170,162 | 40.2 |
| 171,043 | 42.9 |
|
邦人客 | 252,759 | 59.8 |
| 228,036 | 57.1 |
|
小計 | 422,921 | 100.0 | 16.3 | 399,079 | 100.0 | 15.9 |
食事客 | 1,446,310 |
| 55.7 | 1,414,065 |
| 56.5 |
宴会客 | 726,898 |
| 28.0 | 689,919 |
| 27.6 |
合計 | 2,596,129 | ― | 100.0 | 2,503,063 | ― | 100.0 |
項目 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | ||||||
収容能力 | 収容実績 | 利用率 | 一日平均 | 収容能力 | 収容実績 | 利用率 | 一日平均 | |
客室 | 139,065室 | 115,986室 | 83.4% | 318室 | 139,446室 | 118,090室 | 84.7% | 323室 |
食堂 | 213,160名 | 373,998名 | 1.8回転 | 1,025名 | 213,744名 | 375,606名 | 1.8回転 | 1,026名 |
宴会 | 963,600名 | 383,729名 | 0.4回転 | 1,051名 | 966,240名 | 364,306名 | 0.4回転 | 995名 |
委託食堂 | 38,325名 | 57,955名 | 1.5回転 | 159名 | 38,430名 | 58,794名 | 1.5回転 | 161名 |
(注) 1 客室の収容能力は客室数により算出しております。
2 食堂及び宴会の収容能力は着席数により算出しております(宴会についてはディナー形式の着席数として
おります)。
当連結会計年度及び前連結会計年度の宿泊客、食事客及び宴会客の利用割合は次のとおりであります。
項目 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 比率(%) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 比率(%) | ||
利用客数(名) | 宿泊 | 計 | 利用客数(名) | 宿泊 | 計 | |
宿泊客 |
|
|
|
|
|
|
外人客 | 65,726 | 36.6 |
| 87,801 | 47.5 |
|
邦人客 | 113,771 | 63.4 |
| 97,124 | 52.5 |
|
小計 | 179,497 | 100.0 | 19.2 | 184,925 | 100.0 | 20.0 |
食事客 | 373,998 |
| 39.9 | 375,606 |
| 40.6 |
宴会客 | 383,729 |
| 40.9 | 364,306 |
| 39.4 |
合計 | 937,224 | ― | 100.0 | 924,837 | ― | 100.0 |
今後の見通しにつきましては、政府の経済・金融政策に支えられ、景気は緩やかな回復基調が続くものと期待されますが、アジアを中心とした新興国等の経済の減速や不安定な国際情勢などにより、景気の先行きへの不透明感が強まっております。
ホテル業界におきましては、販売競争の一層の激化が予想されますが、政府の観光立国推進に向けた諸施策等によるさらなる訪日外国人の増加を背景に、客室販売を中心に良好な経営環境の継続が期待されます。
このような環境のもと、当社グループといたしましては、引き続き積極的な販売活動と適確な価格政策に注力するとともに、商品・サービスの付加価値の向上を図り、売上げの最大化に努めてまいります。さらに、海外関連催事や日本の文化的価値を発信する各種イベントの積極的な開催や効果的な広報活動を展開し、集客増とブランド力向上に全力を注いでまいります。
一方、経費面におきましては、業務全般の効率化による諸経費の削減に努め、収益の向上に一層の経営努力を続けてまいります。
また、当社グループは、来る2020年のオリンピックイヤーを見据え、日本を代表するホテルとしての使命を果たすべく、『信頼の絆を結び、ともに未来へ』をビジョンに掲げ、「中期経営計画2016-2018」を策定いたしました。重点課題として①安全性の追求、②帝国ホテルブランドの向上、③顧客満足の追求、④イノベーションへの挑戦の4つを設定し、顧客や社会との信頼関係のさらなる向上を目指すとともに、常に変化するニーズを的確に捉え、新たな商品・サービスや社会的価値の創造へグループ一丸となって邁進してまいります。
さらに、昨年新設した「ダイバーシティ推進室」を中心に、「働きやすい企業、人が集まる企業、選ばれ続ける魅力ある企業」を目指し、ダイバーシティへの取り組みを積極的に推進し、全社的なリスク管理体制の強化とコーポレートガバナンスならびにコンプライアンス体制の充実を図り、企業としての社会的責任(CSR)を積極的に果たしてまいる所存でございます。
当社グループは事業等のリスクに関し、組織的・体系的に対処することとしておりますが、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。
大規模な地震や台風等の自然災害の発生は、当社グループの所有する建物、施設等に損害を及ぼし、一時的な営業停止による売上減や修復のための費用負担が発生する可能性があります。また、新型インフルエンザやSARS等新たな感染症の発生や蔓延は、遠距離移動や団体行動の制限が予想され、当社グループの業績に影響する可能性があります。
テロ行為や国際的な戦争の勃発等の世界情勢の変化は、海外渡航の自粛による外国人利用客の減少、レジャーや祝事に対する消費マインドの減退が予想され、当社グループの業績に影響する可能性があります。
当社グループは、平素より食に対する安全確保を使命とした「食の安全と信頼委員会」を設置し、さらに同委員会の事務局業務ならびに食の安全全般に関わる管理監督をする専任部署として「食品安全推進課」を設置するなど、食品衛生管理には磐石な体制を構築しておりますが、ノロウイルスによる食中毒やBSEの発生等食品衛生や食の安全、安心に関する問題が発生した場合、当社グループの業績に影響する可能性があります。
顧客の個人情報や営業上の秘密情報の管理は、社内の情報管理、監視部門が中心になり、外部への流出防止を行っておりますが、情報の漏洩が発生した場合、当社グループ全体への信用の失墜とブランドの低下ならびに損害賠償等の費用負担により、当社グループの業績に影響する可能性があります。
① 帝国ホテル本社の土地のうち12,807㎡は国有地であり、賃借期間は平成9年12月1日から平成39年11月30日までの30年間であります。
② 財団法人東京国際交流財団(現 ㈱東京国際フォーラム)が運営する東京国際フォーラムのケータリングサービス事業を受託しております。契約期間は平成26年4月1日から平成28年3月31日まででありましたが、平成28年4月に更新し、更新後の契約期間は平成28年4月1日から平成34年3月31日までの6年間であります。
③ 帝国ホテル大阪の建物を所有者(三菱マテリアル㈱・三菱地所㈱)から賃借しております。賃借期間は平成28年2月1日から平成38年1月31日までの10年間であります。
④ ザ・クレストホテル柏の建物を所有者(三菱UFJ信託銀行㈱)から賃借し、その運営を㈱帝国ホテルエンタープライズに委託しております。いずれも契約期間は平成12年10月1日から平成32年9月30日までであります。
特記事項はありません。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産の合計は73,460百万円(前連結会計年度末70,214百万円)となり、3,246百万円増加いたしました。
うち流動資産は36,554百万円(同36,810百万円)と、255百万円減少いたしました。これはその他流動資産の減少などによるものであります。
固定資産は36,906百万円(同33,404百万円)と、3,502百万円増加いたしました。これは投資その他の資産が増加したことなどによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の合計は22,671百万円(同21,727百万円)となり、943百万円増加いたしました。
うち流動負債は、9,905百万円(同9,245百万円)と、659百万円増加いたしました。これは未払法人税等の増加などによるものであります。
固定負債は12,765百万円(同12,481百万円)と、283百万円増加いたしました。これは建物解体費用引当金の計上などによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の合計は50,789百万円(同48,487百万円)と、2,302百万円増加いたしました。これは利益剰余金の増加などによるものであります。この結果、自己資本比率は69.1%となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は、前年同期と比べ1,128百万円(18.6%)増加し、7,189百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益5,047百万円、減価償却費2,463百万円などにより増加し、法人税等の支払額1,359百万円などにより減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、前年同期と比べ4,431百万円(226.4%)増加し、6,388百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,142百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、前年同期と比べ58百万円(8.2%)増加し、771百万円となりました。これは主に、配当金の支払額771百万円によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は25,909百万円となり、前連結会計年度末より29百万円増加いたしました。
当連結会計年度における売上高は55,813百万円(前年同期比3.8%増)、材料費・販売費及び一般管理費の合計額は51,741百万円(同3.8%増)、営業利益は4,072百万円(同4.4%増)、経常利益は4,303百万円(同4.7%増)となり、特別利益1,199百万円、特別損失455百万円を加えた、親会社株主に帰属する当期純利益は3,163百万円(同30.6%増)となりました。
売上高の主な増加要因は、宿泊が好調に推移したことなどによるものであります。材料費と販売費及び一般管理費の主な増加要因は、売上高の増加に伴う変動費の増加によるものであります。親会社株主に帰属する当期純利益の増加要因は、上記要因によるものであります。