第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

帝国ホテルグループは、最も優れたサービスと商品の提供をもって、お客様のゆとりある生活と文化の向上に貢献することを基本理念とし、グループ各社とともに『顧客第一主義』、『現場第一主義』及び『成果第一主義』を行動の統一指針として経営の諸活動に取組んでおります。環境の変化に対して的確に対応し、お客様からの高い評価と厚い信頼を得ることによって、企業価値を高め、継続的な成長と収益を実現できる経営体質の確立を目指します。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、雇用・所得環境の改善等により国内景気は緩やかな回復が続くものと期待されますが、国際間の貿易摩擦問題など、先行きの不透明感が強まることが予想されます。
 ホテル業界におきましては、訪日外国人客数のさらなる増加や企業収益の改善を背景とした法人需要の拡大が期待されますが、競合ホテル間での販売競争が一層激化するなど厳しい経営環境が予想されます。
 このような環境のもと、当社グループといたしましては、市場の動向を見据えた積極的な販売施策と的確な価格政策を継続するとともに、より高品質な商品・サービスの提供に努め、特に外国人富裕層のさらなる利用拡大を図るなど売上げの増進に全力を注いでまいります。加えて、3月の『東京ミッドタウン日比谷』のオープンを契機とし、地域と連動した効果的な広報活動を積極的に展開するなど集客と売上げの拡大に注力してまいります。
 一方、経費面におきましては、今後もサービス向上に向けた人件費、業務委託費等の増加が見込まれますが、業務全般の効率化による諸経費の削減を図り、利益の向上に一層の経営努力を続けてまいります。
 さらに、ダイバーシティの推進や全社的なリスク管理体制の強化とコーポレートガバナンスの充実を図るなど、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した取り組みを推進し、社会的責任を積極的に果たしてまいる所存でございます。

「中期経営計画2016-2018」の最終年として、4つの重点課題である「安全性の追求」、「帝国ホテルブランドの向上」、「顧客満足の追求」、「イノベーションへの挑戦」に鋭意取り組み、常に変化する顧客や社会のニーズを的確に捉えた新たな商品・サービス・社会的価値の創造へグループ一丸となって邁進してまいります。 

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループは事業等のリスクに関し、組織的・体系的に対処することとしておりますが、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。

 

①自然災害、感染症の発生やテロ、戦争の勃発

大規模な地震や台風等の自然災害の発生は、当社グループの所有する建物、施設等に損害を及ぼし、一時的な営業停止による売上減や修復のための費用負担が発生する可能性があります。また、新たな疾病や感染症の発生や蔓延及びテロ行為や戦争の勃発等の世界情勢の変化は、海外渡航の自粛による訪日外国人利用客の減少、レジャーや祝事に対する消費マインドの減退が予想され、当社グループの業績に影響する可能性があります。

 

②食の安全に関わる問題

当社グループは、食に関わる全社横断的な組織として「食の安全と信頼委員会」を設置し、食中毒対策、食品衛生、食品表示、アレルギー対策、防除等に取り組むなど、食の安全管理には磐石な体制を構築しておりますが、ノロウイルス等による食中毒や大規模な食品汚染の発生等食品衛生や食の安全、安心に関する問題が発生した場合、当社グループの業績に影響する可能性があります。

 

③個人情報や営業上の秘密情報の漏洩

顧客の個人情報や営業上の秘密情報の管理は、社内の情報管理、監視部門が中心になり、外部への流出防止を行っておりますが、情報の漏洩が発生した場合、当社グループ全体への信用の失墜とブランドの低下ならびに損害賠償等の費用負担により、当社グループの業績に影響する可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の概要)

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、不安定な国際情勢などの影響が懸念されましたが、企業収益や雇用情勢の改善などを背景に景気は緩やかな回復を続けてまいりました。  

ホテル業界におきましては、訪日外国人客数が過去最高を記録するなど、宿泊を中心に需要の拡大が継続いたしましたが、一方で、新規ホテルの開業等による客室の供給増や競合ホテル間での価格競争の激化など、厳しい経営環境となりました。

このような状況のもと、当社グループにおきましては、市場の動向に対応した営業活動と的確な価格政策に努めるとともに、外国人富裕層の利用拡大に向けた営業活動を強力に推進するなど、売上げの増進に全力を注いでまいりました。
 また、「フランク・ロイド・ライト生誕150周年」を記念した催事や商品販売、提携ホテル『ハレクラニ』や各国大使館と協働した多彩な外国催事の開催など、話題性のある企画と商品開発に積極的に取り組み、集客と売上げの向上に邁進してまいりました。加えて、当社グループが継承する歴史と伝統を国内外に広く発信するべく、本館1階に常設の展示スペース「インペリアル タイムズ」を新設するなど、ブランド力のさらなる強化に努めてまいりました。

さらに、当連結会計年度は各国重要賓客の宿泊が相次ぎ、当社グループが有する「ハードウェア」「ソフトウェア」「ヒューマンウェア」の総力を結集した接遇により、高い評価を得ることができました。
 設備面におきましても、本館のスイートルームおよび鉄板焼レストラン『嘉門』の改修や大阪のカジュアルレストラン『カフェ クベール』の新規開店など、競争力の強化と顧客満足のさらなる向上を目指し、諸施設の改善に取り組んでまいりました。

一方、経費面におきましては、業務全般の効率化による諸経費の削減に努め、利益の向上にグループ一丸となって努めてまいりましたが、サービス向上とさらなる安全・安心の確保に向けた人件費や業務委託費の増加を補うには至りませんでした。

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は、前期比2.2%増の57,236百万円となり、営業利益は前期比4.8%減の4,698百万円、経常利益は前期比4.0%減の4,961百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比7.9%減の3,399百万円となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

①ホテル事業

宿泊は、繁閑に応じた価格政策により、インターネット経由の個人客やインバウンドが好調に推移し、稼働率は前年を上回りましたが、一室単価は前年を下回った結果、売上高は前年並みとなりました。
 食堂は、鉄板焼レストラン『嘉門』や大阪のカジュアルレストラン『カフェ クベール』の改修工事による影響もありましたが、多彩な外国催事や企画商品、バー・ラウンジを中心に顧客ニーズに即したメニューが好評であったことなどから、売上高は前年を上回る結果となりました。
 宴会は、一般宴会は、社長就任披露や周年記念等の大型宴会の受注が好調であり、婚礼も、市場のニーズを捉えた販売施策を積極的に展開した結果、売上増となりました。
 以上のことなどから、売上高は前期比2.2%増の53,431百万円となりましたが、営業費用増もあり、営業利益は前期比1.8%減の4,987百万円となりました。

②不動産賃貸事業

賃料改定の効果もあり、売上高は前期比0.9%増の3,825百万円となりましたが、設備改修などにより、営業利益は前期比3.8%減の2,016百万円となりました。

 

  財政状態の概要は、次のとおりであります。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて4,558百万円増加し79,225百万円となりました。負債は、前連結会計年度に比べて1,708百万円増加し22,648百万円となりました。純資産は、前連結会計年度と比べて2,850百万円増加し56,577百万円となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、28,429百万円となり、前年同期と比べ2,146百万円(8.2%)増加いたしました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費などにより増加し、法人税等の支払いなどにより減少したことにより、前年同期と比べ3,005百万円(60.6%)増加し、7,964百万円の収入となりました。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が前期に比べて増加したことなどにより、前年同期と比べ1,292百万円(35.6%)増加し、4,928百万円の支出となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが前期に比べて減少したことなどにより、前年同期と比べ59百万円(6.3%)減少し、890百万円の支出となりました。 

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1) セグメント売上高

 

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

ホテル事業

52,262

53,431

帝国ホテル本社

39,433

40,463

帝国ホテル大阪

10,994

11,101

その他

1,834

1,866

不動産賃貸事業

3,768

3,804

合計

56,031

57,236

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。

 

(2) 主要な事業所の収容能力及び収容実績

① 帝国ホテル本社

項目

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

収容能力

収容実績

利用率

一日平均

収容能力

収容実績

利用率

一日平均

客室

339,815室

260,421室

76.6%

713室

339,815室

267,628室

78.8%

733室

食堂

434,715名

1,387,988名

3.2回転

3,803名

434,715名

1,411,221名

3.2回転

3,866名

宴会

1,387,000名

674,437名

0.5回転

1,848名

1,387,000名

700,069名

0.5回転

1,918名

委託食堂

198,925名

212,982名

1.1回転

584名

198,925名

216,586名

1.1回転

593名

 

(注) 1 客室の収容能力は客室数により算出しております。

2 食堂及び宴会の収容能力は着席数により算出しております(宴会についてはディナー形式の着席数として
おります)。

 

 

当連結会計年度及び前連結会計年度の宿泊客、食事客及び宴会客の利用割合は次のとおりであります。

項目

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

比率(%)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

比率(%)

利用客数(名)

宿泊

利用客数(名)

宿泊

宿泊客

 

 

 

 

 

 

外人客

187,108

48.3

 

194,761

48.5

 

邦人客

200,176

51.7

 

206,607

51.5

 

小計

387,284

100.0

15.8

401,368

100.0

16.0

食事客

1,387,988

 

56.7

1,411,221

 

56.1

宴会客

674,437

 

27.5

700,069

 

27.9

合計

2,449,709

100.0

2,512,658

100.0

 

 

② 帝国ホテル大阪

項目

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

収容能力

収容実績

利用率

一日平均

収容能力

収容実績

利用率

一日平均

客室

139,065室

114,789室

82.5%

314室

139,065室

120,777室

86.8%

331室

食堂

213,160名

348,024名

1.6回転

953名

213,160名

349,658名

1.6回転

958名

宴会

963,600名

359,823名

0.4回転

986名

963,600名

346,303名

0.4回転

949名

委託食堂

38,325名

51,484名

1.3回転

141名

38,325名

52,101名

1.4回転

143名

 

(注) 1 客室の収容能力は客室数により算出しております。

2 食堂及び宴会の収容能力は着席数により算出しております(宴会についてはディナー形式の着席数として
おります)。

 

当連結会計年度及び前連結会計年度の宿泊客、食事客及び宴会客の利用割合は次のとおりであります。

項目

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

比率(%)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

比率(%)

利用客数(名)

宿泊

利用客数(名)

宿泊

宿泊客

 

 

 

 

 

 

外人客

88,579

49.3

 

89,365

47.3

 

邦人客

91,153

50.7

 

99,505

52.7

 

小計

179,732

100.0

20.3

188,870

100.0

21.4

食事客

348,024

 

39.2

349,658

 

39.5

宴会客

359,823

 

40.5

346,303

 

39.1

合計

887,579

100.0

884,831

100.0

 

 

 

(経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。

(1) 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における資産の合計は79,225百万円(前連結会計年度末74,667百万円)となり、4,558百万円増加いたしました。
 うち流動資産は40,618百万円(同36,869百万円)と、3,748百万円増加いたしました。これは現金及び預金が増加したことなどによるものであります。

固定資産は38,607百万円(同37,797百万円)と、809百万円増加いたしました。これは投資有価証券が増加したことなどによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債の合計は22,648百万円(同20,940百万円)となり、1,708百万円増加いたしました。
 うち流動負債は、9,845百万円(同7,895百万円)と、1,949百万円増加いたしました。これは未払費用や未払法人税等の増加などによるものであります。
 固定負債は12,802百万円(同13,044百万円)と、241百万円減少いたしました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の合計は56,577百万円(同53,727百万円)と、2,850百万円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上などによるものであります。この結果、自己資本比率は71.4%となりました。

 

(2) 経営成績の分析

当連結会計年度における売上高は57,236百万円(前年同期比2.2%増)、材料費・販売費及び一般管理費の合計額は52,537百万円(同2.8%増)、営業利益は4,698百万円(同4.8%減)、経常利益は4,961百万円(同4.0%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は3,399百万円(同7.9%減)となりました。

売上高の主な増加要因は、宴会が好調に推移したことなどによるものであります。販売費及び一般管理費の主な増加要因は、業務全般の効率化による諸経費の削減に努めてまいりましたが、サービス向上とさらなる安全・安心の確保に向けた人件費や業務委託費の増加を補うには至らなかったことなどによるものであります。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の減少要因は、上記要因によるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの分析

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は、前年同期と比べ3,005百万円(60.6%)増加し、7,964百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,959百万円、減価償却費2,797百万円などの計上、法人税等の支払額832百万円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は、前年同期と比べ1,292百万円(35.6%)増加し、4,928百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,025百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は、前年同期と比べ59百万円(6.3%)減少し、890百万円となりました。これは、配当金の支払額890百万円によるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は28,429百万円となり、前連結会計年度末より2,146百万円増加いたしました。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

提出会社

① 帝国ホテル本社の土地のうち12,807㎡は国有地であり、賃借期間は平成9年12月1日から平成39年11月30日までの30年間であります。

② 財団法人東京国際交流財団(現 ㈱東京国際フォーラム)が運営する東京国際フォーラムのケータリングサービス事業を受託しております。契約期間は平成28年4月1日から平成34年3月31日までの6年間であります。

③ 帝国ホテル大阪の建物を所有者(三菱マテリアル㈱・三菱地所㈱)から賃借しております。賃借期間は平成28年2月1日から平成38年1月31日までの10年間であります。

④ ザ・クレストホテル柏の建物を所有者(三菱UFJ信託銀行㈱)から賃借し、その運営を㈱帝国ホテルエンタープライズに委託しております。いずれも契約期間は平成12年10月1日から平成32年9月30日までの20年間であります。

 

5 【研究開発活動】

特記事項はありません。