文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)企業理念
帝国ホテルは、創業の精神を継ぐ日本の代表ホテルであり、国際的ベストホテルを目指す企業として、最も優れたサービスと商品を提供することにより、国際社会の発展と人々の豊かでゆとりのある生活と文化の向上に貢献する。
(2)経営環境及び対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、雇用・所得環境の継続的な改善により、景気は緩やかな回復が続くものと期待されますが、国際間の貿易摩擦による世界経済への影響や消費税増税による個人消費の低迷など、先行きの不透明感がさらに強まると予想されます。
ホテル業界におきましては、様々な国家的行事の開催や訪日外国人客数のさらなる増加に伴い、客室販売を中心に良好な経営環境の継続が期待される一方で、競合ホテル間での販売競争がなお一層激化するなど厳しい状況となることも予想されます。
このような環境のもと、当社グループといたしましては、G20首脳会議や即位の礼、ラグビーワールドカップ等に伴う訪日賓客や観光客を万全な態勢でお迎えするべく、高品質な商品・サービスの提供に全力を尽くしてまいります。また、引き続き外国人富裕層のさらなる利用拡大を図り、効果的な販売施策を強力に推進するなど売上げの最大化に全力を注いでまいります。
さらに、来年の開業130周年を記念した話題性のある催事や商品を企画、販売するとともに、日本の文化的価値を発信する各種イベントを継続的に開催し、集客増とさらなるブランド力向上に注力してまいります。
一方、経費面におきましては、今後もサービス向上に向けた人件費、業務委託費等の増加が見込まれますが、業務全般の効率化による諸経費の削減に努め、収益増に一層の経営努力を続けてまいります。
また、東京オリンピック・パラリンピック開催と開業130周年の節目となる2020年を躍進への好機と捉え、「中期経営計画2016-2018」を継承し、さらなる向上を目指した「中期経営計画2020」を策定いたしました。従来から取り組んでいる4つの重点課題である「安全性の追求」「帝国ホテルブランドの向上」「顧客満足の追求」「イノベーションへの挑戦」をさらに強化し、常に変化する顧客のニーズを的確にとらえた新たな商品・サービスや社会的価値の創造へグループ一丸となって邁進してまいります。働き方改革やESG(環境・社会・ガバナンス)推進にも積極的に取り組み、企業としての社会的責任を果たしてまいる所存でございます。
(3)中期的な経営戦略及び対処すべき経営課題
マーケットや競合環境が大きく変化していくなか、理念をしっかり維持しつつ進歩を遂げていくために、この度、「中期経営計画2020」を策定いたしました。経営環境の変化に対し迅速な対応をすすめてまいります。
重点課題
①安全性の追求
イ ホテルとしての安全性追求
お客様の安全と安心はホテルの生命線であることから、食品衛生、災害時対応、建物・設備の安全性維持などへの取り組みを、引き続き徹底してまいります。
ロ 企業としての健全性追求
コンプライアンス、内部統制、ガバナンスなど、企業としての健全性・透明性を高める取り組みを推進してまいります。
②帝国ホテルブランドの向上
イ さらなるサービス向上への取り組み
日本の迎賓館として誕生し、128年間大切にしてきた「おもてなしの心」「接客・調理技術」を継承し、さらに向上させるため、帝国ホテルグループ全体における基本教育の拡充、スキルとノウハウの体系化に取り組んでまいります。また、国家的行事の開催に際しては、迎賓館として誕生した日本を代表するホテルに相応しい最も上質な商品とサービスを提供してまいります。
ロ 社会的な課題解決への取り組み
企業理念の実践には、事業活動における「持続可能性への配慮」や「ダイバーシティ推進」「消費者課題への対応」「社会貢献活動」などが欠かせないとの認識のもと、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みをさらに発展させてまいります。
③顧客満足の追求
イ マーケティング力の強化と新規顧客の開拓
(a) インバウンド(外国人旅行客、MICE)の受注強化、対応力強化、付帯サービス充実化による関連売上の
最大化
(b) 開業130周年、大阪開業25周年を迎える2020年度に向けた各種営業施策の実施
ロ 顧客満足度の向上
(a) 顧客情報の共有化を進め、よりきめ細やかに、お客様の期待を上回るサービスの提供機会を増やす。
(b) お客様の多様な生活シーン、ライフイベント等を捉えた商品開発・利用提案
④イノベーションへの挑戦
イ 経営基盤の強化
新規事業展開などを含むグループ力強化等
ロ 生産性の向上
業務のスリム化、IT活用、組織再編等
当社グループは事業等のリスクに関し、組織的・体系的に対処することとしておりますが、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。
大規模な地震や台風等の自然災害の発生は、当社グループの所有する建物、施設等に損害を及ぼし、一時的な営業停止による売上減や修復のための費用負担が発生する可能性があります。また、新たな疾病や感染症の発生や蔓延及びテロ行為や戦争の勃発等の世界情勢の変化は、海外渡航の自粛による訪日外国人利用客の減少、レジャーや祝事に対する消費マインドの減退が予想され、当社グループの業績に影響する可能性があります。
当社グループは、食に関わる全社横断的な組織として「食の安全と信頼委員会」を設置し、食中毒対策、食品衛生、食品表示、アレルギー対策、防除等に取り組むなど、食の安全管理には磐石な体制を構築しておりますが、ノロウイルス等による食中毒や大規模な食品汚染の発生等食品衛生や食の安全、安心に関する問題が発生した場合、当社グループの業績に影響する可能性があります。
顧客の個人情報や営業上の秘密情報の管理は、社内の情報管理、監視部門が中心になり、外部への流出防止を行っておりますが、情報の漏洩が発生した場合、当社グループ全体への信用の失墜とブランドの低下ならびに損害賠償等の費用負担により、当社グループの業績に影響する可能性があります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や個人消費の持ち直し等により、景気は緩やかな回復を続けてまいりましたが、期後半には、企業の生産活動の鈍化など、景気の停滞感が見られました。
ホテル業界におきましては、競合ホテル間の販売競争が一層激化するなか、西日本などで相次いだ自然災害の影響もありましたが、訪日外国人客数のさらなる増加に伴い宿泊需要が拡大し、企業収益の改善による法人利用が堅調に推移するなど、概ね良好な経営環境となりました。
このような状況のもと当社グループにおきましては、市場の動向を見据えた販売施策を継続し、特に外国人富裕層への訴求力を強化すべく、海外メディア向け各種広報活動を積極的に展開するなど売上増に全力を注いでまいりました。
また『インペリアルバイキング サール』開業60周年記念企画や『東京ミッドタウン日比谷』の開業にあわせた話題性のある多彩なイベントに加え、各国フードフェアなどの外国催事を開催し、集客増とブランド力の一層の向上に注力してまいりました。
さらに、顧客会員組織「インペリアルクラブ」に向けた多様な施策を積極的に推進するとともに、インターネットを利用した情報提供サービスを拡充するなど、さらなる顧客基盤の強化に向けグループ一丸となって邁進してまいりました。
設備面におきましても、本館のスイートルームの改修など競争力強化を図るべく諸施設の改善と充実に取り組んでまいりました。
一方、経費面におきましては、業務全般の効率化による諸経費の削減に努め、収益増に鋭意努力してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は、前期比2.1%増の58,426百万円、営業利益は、前期比7.2%増の5,036百万円、経常利益は、前期比7.1%増の5,314百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比8.4%増の3,686百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①ホテル事業
イ 帝国ホテル本社
宿泊は、アジアを中心とした外国人客が好調で、また、繁閑に応じた販売政策により団体客の利用も増加し、稼働率は前期比3.3ポイント増の82.1%となり、一室単価も36,045円と前年を上回ったことから売上高は前期比5.0%増の10,058百万円となりました。
食堂は、『インペリアルバイキング サール』開業60周年記念企画を始めとした各種催事が好評で、宿泊客数増加に伴う朝食利用も好調だったことなどから、売上高は前期比6.2%増の6,789百万円となりました。
宴会は、一般宴会は、社長就任披露や大型国際会議等の大型宴会の受注が好調であったことから、売上増となりました。婚礼も、市場のニーズを捉えた新商品の販売が好調で、件数、単価ともに増加し、売上増となりました。その結果、売上高は前期比1.6%増の13,868百万円となりました
ロ 帝国ホテル大阪
宿泊は、西日本で相次いだ自然災害の影響で外国人を中心に利用が減少し、一室単価は前期並みの19,032円を維持できましたが、稼働率は前期比3.1ポイント減の83.7%となり、売上高は前期比4.1%減の2,215百万円となりました。
食堂は、宿泊客や外来客数減少の影響がありましたが、新たに開店したカジュアルレストラン『カフェ クベール』も好調に推移し、売上高は前期比1.3%増の1,571百万円となりました。
宴会は、一般宴会は、周年記念等の大型宴会や国際会議利用も堅調であったことから売上増となりました。婚礼は、市場が縮小するなか、各種販売促進活動を推進し、件数は増加したものの、人数、単価が減少し、売上減となりました。その結果、売上高は前期並みの5,266百万円となりました。
以上のことなどから、ホテル事業の売上高は前期比2.3%増の54,650百万円となり、営業利益は前期比10.3%増の5,501百万円となりました。
②不動産賃貸事業
大型テナント退去の影響もあり、売上高は前期比0.8%減の3,796百万円となり、営業利益は前期比2.1%減の1,973百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、32,768百万円となり、前年同期と比べ4,338百万円(15.3%)増加いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益などが前期に比べて増加しましたが、法人税等の支払いが前期に比べて増加し、また、その他に含まれる未払費用などが前期に比べて減少したことなどにより、前年同期と比べ1,891百万円(23.7%)減少し、6,073百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得が前期に比べて減少したことなどにより、使用した資金が前年同期と比べ4,083百万円(82.9%)減少し、844百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いにより、889百万円の支出となりました。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。
(注) 1 客室の収容能力は客室数により算出しております。
2 食堂及び宴会の収容能力は着席数により算出しております(宴会についてはディナー形式の着席数として
おります)。
当連結会計年度及び前連結会計年度の宿泊客、食事客及び宴会客の利用割合は次のとおりであります。
(注) 1 客室の収容能力は客室数により算出しております。
2 食堂及び宴会の収容能力は着席数により算出しております(宴会についてはディナー形式の着席数として
おります)。
当連結会計年度及び前連結会計年度の宿泊客、食事客及び宴会客の利用割合は次のとおりであります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産の合計は81,067百万円(前連結会計年度末79,225百万円)となり、1,841百万円増加いたしました。
うち流動資産は42,788百万円(同39,907百万円)と、2,880百万円増加いたしました。これは有価証券が増加したことなどによるものであります。
固定資産は38,278百万円(同39,318百万円)と、1,039百万円減少いたしました。これは有形固定資産が減少したことなどによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の合計は21,731百万円(同22,648百万円)となり、916百万円減少いたしました。
うち流動負債は、9,029百万円(同9,845百万円)と、815百万円減少いたしました。これは未払費用の減少などによるものであります。
固定負債は12,701百万円(同12,802百万円)と、101百万円減少いたしました。これは退職給付に係る負債の減少などによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の合計は59,335百万円(同56,577百万円)と、2,757百万円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上などによるものであります。この結果、自己資本比率は73.2%となりました。
当連結会計年度における売上高は58,426百万円(前年同期比2.1%増)、材料費・販売費及び一般管理費の合計額は53,389百万円(同1.6%増)、営業利益は5,036百万円(同7.2%増)、経常利益は5,314百万円(同7.1%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は3,686百万円(同8.4%増)となりました。
売上高の主な増加要因は、宿泊、食堂、宴会が好調に推移したことなどであります。販売費及び一般管理費の主な増加要因は、売上連動に加えて、サービス向上とさらなる安全・安心の確保に向けた業務委託費等の増加や賃借料等の固定費の増加などであります。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の増加は、上記要因によるものであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は、前年同期と比べ1,891百万円(23.7%)減少し、6,073百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益5,315百万円、減価償却費2,672百万円などの計上、法人税等の支払額1,791百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、前年同期と比べ4,083百万円(82.9%)減少し、844百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,246百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、889百万円となりました。これは、配当金の支払いによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は32,768百万円となり、前連結会計年度末より4,338百万円増加いたしました。
当社グループの資金需要のうち主なものは、材料費、販売費及び一般管理費などの運転資金及び設備投資資金であり、全て自己資金を充当しております。なお、資金調達につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(金融商品関係)1.金融商品の状況に関する事項 (1)金融商品に対する取組方針」に記載の通り、必要に応じて金融機関からの借入をする方針であります。
① 帝国ホテル本社の土地のうち12,807㎡は国有地であり、賃借期間は1997年12月1日から2027年11月30日までの30年間であります。
② 財団法人東京国際交流財団(現 ㈱東京国際フォーラム)が運営する東京国際フォーラムのケータリングサービス事業を受託しております。契約期間は2016年4月1日から2022年3月31日までの6年間であります。
③ 帝国ホテル大阪の建物を所有者(三菱マテリアル㈱・三菱地所㈱)から賃借しております。賃借期間は2016年2月1日から2026年1月31日までの10年間であります。
④ ザ・クレストホテル柏の建物を所有者(三菱UFJ信託銀行㈱)から賃借し、その運営を㈱帝国ホテルエンタープライズに委託しております。いずれも契約期間は2000年10月1日から2020年9月30日までの20年間であります。
特記事項はありません。