第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1)  業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による成長戦略や金融および経済施策等の効果により、企業収益や雇用・所得環境に改善傾向がみられ、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、海外経済は、中国の景気減速および株式市場の下落に加え、欧州・中東における地政学リスクの高まりもあり、今後の国内経済に与える影響も含め、先行きは不透明な状況となっています。 

観光業界におきましては、空港路線の拡大やビザ発給要件の緩和、円安等を背景に、平成27年度の訪日外国人数は1,973万人とほぼ2,000万人に達し、過去最高だった平成26年度の1,341万人を大きく上回るなど、宿泊をはじめとする外国人による国内消費の著しい増加がみられました。一方、当社リゾート事業の主要施設である箱根ホテル小涌園等が位置する箱根町(神奈川)では、大涌谷の火山活動の活発化に伴い、5月以降、噴火警戒レベルが段階的に引き上げられ、11月には平常時の警戒レベルに戻りましたが、夏場の最盛期を中心に観光客が大幅に減少いたしました。

 

このような事業環境の中、当社グループでは、昨年2月に公表いたしました当期(平成27年度)を初年度とする5ヵ年の中期経営計画「FUJITA PREMIUM VALUE CREATION 2015 ~観光立国のリーディングカンパニーを目指して~」に沿った新規出店や既存事業の品質強化などの施策を着々と進めてまいりました。

まず、1月に広島で2つのゲストハウス運営とオリジナルウェディングのプロデュースを展開している株式会社かわのの全株式を取得したほか、4月には東京の新宿歌舞伎町旧コマ劇場跡地に970室の大規模ホテルとしてホテルグレイスリー新宿を新たに開業いたしました。東宝株式会社とのコラボレーションで等身大の「ゴジラヘッド」を戴く同ホテルは、既に歌舞伎町のシンボル的存在として多くの話題を提供し、お客さまにご好評を頂いており、極めて順調に立ち上がっております。

同じく4月から、当社グループ中最大の1,297室を擁する、新宿西口の新宿ワシントンホテル本館で、大規模改修工事を行なっております。平成28年3月まで1年間をかけて、全客室を順次更新し、さらなる競争力強化を図ります。

また、複数の拠点における客室改装工事の実施のほか、平成28年4月開業予定の「ホテルグレイスリー那覇(沖縄)」、同年7月開業予定の「ホテルグレイスリー京都三条」、平成29年春開業予定の箱根(神奈川)の新宿泊施設「箱根小涌園 天悠(てんゆう)」の準備を進めるなど、将来を見据えた投資を積極的に進めております。

海外拠点展開においては、6月に新たにバンコク(タイ)、ジャカルタ(インドネシア)に駐在員事務所を設置したほか、10月には台北(台湾)に現地法人を設立し、ホテル椿山荘東京プロデュースによる日本料理レストラン「錦水 TAIPEI by HOTEL CHINZANSO TOKYO」(平成28年1月21日開業)の出店準備を行なうなど、訪日外国人の集客を強化するとともに、海外でのレストラン出店も進めてまいりました。

 

当連結会計年度の売上高は、宿泊部門が当社グループの収益を牽引いたしました。ホテルグレイスリー新宿の開業、既存ホテルの客室改装などの投資効果もあり、訪日外国人の利用増や客室利用単価が前期比で1,000円以上上昇するなど好調に推移いたしました。

一方、新宿ワシントンホテルの大規模改修工事に伴う稼働減による減収や、箱根大涌谷の噴火警戒レベル引き上げの影響で、箱根ホテル小涌園や箱根小涌園ユネッサンなどの利用人員が大幅に減少したことに加え、前年で営業を終了した京都国際ホテル等の減収要因もあり、当社グループ全体では、売上高は前期比268百万円減収の63,981百万円となりました。

利益面では、新宿ワシントンホテルの客室改装工事に伴う利益の減少に加え、ホテルグレイスリー新宿の開業準備費用や、株式会社かわのの株式取得に伴う関連費用など新規案件にかかる費用が発生し、営業利益は、前期比1,326百万円減益の39百万円となりました。

当社グループが重要指標と位置づけております減価償却費等負担前営業利益は前期比853百万円減益の5,141百万円となり、経常損失は前期比1,563百万円悪化の172百万円、当期純利益は前期比498百万円減益の32百万円となりました。

中期経営計画の初年度となる平成27年度は、先行投資期として、一時的な収益の下振れを見込んだ計画としておりましたが、対計画比では、営業利益は1,339百万円、経常利益は1,327百万円の増益となり、当期の各利益の実績は、いずれも計画を上回る結果となりました。

 

 

当連結会計年度の業績の概要の営業概況は以下のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の区分により作成した情報に基づいて記載しております。

(金額単位:百万円)

 

当連結会計年度

前期比

対計画比

 

計画数値
(平成27年2月13日開示)

売上高

63,981

△268

△218

 

64,200

減価償却費等負担前営業利益

5,141

△853

1,141

 

4,000

営業利益

39

△1,326

1,339

 

△1,300

経常損失(△)

△172

△1,563

1,327

 

△1,500

当期純利益

32

△498

532

 

△500

 

 

WHG事業

(旭川、仙台、浦和、秋葉原、新宿、東京ベイ有明、横浜伊勢佐木町、横浜桜木町、関西エアポート、広島、キャナルシティ・福岡、長崎の各ワシントンホテル、札幌、銀座、田町、新宿の各ホテルグレイスリー、福井、奈良の各ホテルフジタ)

 

当社の成長ドライバーとして、積極的な事業展開を加速するとともに、既存施設の競争力の強化を進めております。4月にホテルグレイスリー新宿(970室)を新規開業し、同じく4月には新宿ワシントンホテルにおいて、1年をかけて段階的に行なう本館全室(1,297室)の大規模改修工事に着手し、既にリニューアルの済んだ客室は順次販売しております(全室工事完了は平成28年3月末を予定)。

また、10月には横浜伊勢佐木町ワシントンホテル内に実際のフロントや客室を再現した研修センターを開設いたしました。従来は各ホテルで実施していた研修を、当センターにおいて統一の研修プログラムを実施することにより人材教育の質とスピードを上げ、サービス水準・品質の向上、顧客満足度の向上を図ってまいります。

宿泊部門は、新宿ワシントンホテルの改修工事に伴う減収がありましたが、部門全体ではアジアを中心とした海外からの集客が引き続き好調に推移し、平均客室単価は上昇、客室稼働率も高水準を維持しており、利用人員は前期比149千名増の3,201千名、売上高は同2,896百万円増収の22,344百万円となりました。

これらの結果、当セグメントの売上高は前期比2,111百万円増収の27,979百万円となりましたが、セグメント利益(営業利益)については、ホテルグレイスリー新宿の開業準備費用等、一時的なコストの発生と新宿ワシントンホテルの大規模改修工事に伴う客室稼働減などがあり、同290百万円減益の811百万円となりました。

 

リゾート事業

(箱根ホテル小涌園、箱根小涌園ユネッサン、B&Bパンシオン箱根、伊東小涌園、ホテル鳥羽小涌園、下田海中水族館、由布院 緑涌)

 

 宿泊部門は、主力の箱根ホテル小涌園で1月から4月までは前年同期の売上高を上回る水準で好調に推移しておりましたが、5月以降、箱根大涌谷の噴火警戒レベルが段階的に引き上げられたことに起因して、利用人員が大幅に減少いたしました。11月にようやく平常時の警戒レベルに戻り、足元の業績は戻りつつありますが、夏の最盛期を中心に大きな影響を受けました。平成29年春に開業を予定する新宿泊施設「箱根小涌園 天悠」の建設のため、前年10月に営業を終了した箱根小涌園ユネッサンインの影響などもあり、部門全体では、売上高は前期比550百万円減収の4,587百万円となりました。

 レジャー部門は、箱根小涌園ユネッサンにおいて、宿泊部門同様、大涌谷の噴火警戒レベル引き上げの影響で、ファミリー層を中心に利用人員が大きく減少したことなどにより、売上高は前期比538百万円減収の1,614百万円となりました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は前期比1,098百万円減収の6,494百万円となり、セグメント損失(営業損失)は同678百万円悪化の301百万円となりました。

 

 

ラグジュアリー&バンケット事業

(ホテル椿山荘東京、太閤園、アジュール竹芝、ザ サウスハーバーリゾート、ルメルシェ元宇品、マリーエイド、南青山コンヴィヴィオン、カメリアヒルズカントリークラブ、能登カントリークラブ、藤田観光工営㈱、㈱ビジュアライフ)

 

 婚礼部門は、ホテル椿山荘東京の利用件数減による減収がありましたが、1月に株式取得を行なった株式会社かわのによる増収などにより、売上高は前期比481百万円増収の12,384百万円となりました。7月には東京の銀座4丁目に、当社初の外部ウェディングサロンとなる「ホテル椿山荘東京 For wedding GINZA」を新たにオープンいたしました。利便性と機能性を向上させて、お客さまのニーズにお応えしてまいります。

 宿泊部門は、ホテル椿山荘東京において、前年10月より4ヵ年計画で進めている全260室の客室改装のうち、前年に完了した第一期改装に続き、歴史を受け継いだ落ち着きのあるクラシックテイストのプライムクラシックルームを新設し、販売を開始いたしました。こうした客室改装効果などにより利用単価が上昇しましたが、前年12月に営業を終了した京都国際ホテルの影響が大きく、売上高は前期比707百万円減収の2,439百万円となりました。なお、京都国際ホテルの影響を除いた場合の売上高は前期比262百万円の増収となりました。

 レストラン部門は、前述の京都国際ホテル営業終了の影響などにより、売上高は前期比752百万円減収の4,186百万円となりました。

これらの結果、当セグメントの売上高は前期比1,343百万円減収の26,241百万円となり、セグメント利益(営業利益)は、同61百万円減益の107百万円となりました。

 

当連結会計年度のセグメント別の営業概況は以下のとおりであります。

 

セグメント別売上高・営業利益

 

売上高
(百万円)

営業利益
(百万円)

 

実績

前期比

実績

前期比

WHG事業

27,979

2,111

811

△290

リゾート事業

6,494

△1,098

△301

△678

ラグジュアリー&バンケット事業

26,241

△1,343

107

△61

その他(調整額含む)

3,266

62

△577

△296

合計

63,981

△268

39

△1,326

 

調整額は、セグメント間取引消去によるものであります。
 

 

 

 

 

(2)  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、4,063百万円(前連結会計年度末比1,861百万円の減少)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、 415百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度比4,079百万円の収入減)となりました。平成27年度は先行投資期として、一時的な収益の下振れを見込んだ利益計画により172百万円の経常損失(前期比1,563百万円減少)となったこと、また当期は法人税の支払による支出1,739百万円(前期比1,261百万円増加)に加えて、固定資産撤去費用の支出327百万円など、一時的な支出が発生したことが主な要因です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは8,184百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度比10,086百万円の支出増)となりました。これは中期経営計画で掲げたとおり、ホテルグレイスリー新宿をはじめとする将来を見据えた積極的な設備投資支出8,160百万円などによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、6,748百万円のキャッシュ・イン(前連結会計年度比11,419百万円の収入増)となりました。主に借入金の純増7,319百万円と、配当金の支払いによる支出487百万円によるものです。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1)  生産実績

該当事項はありません。

 

 

(2)  受注状況

該当事項はありません。

 

 

(3)  販売実績

当社グループは、WHG事業、リゾート事業およびラグジュアリー&バンケット事業の各事業を主な内容とし、更に各事業に関連するサービス等の事業活動を展開しています。

セグメントごとの販売実績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の区分により作成された情報に基づいて記載しております。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

WHG事業

27,979

8.2

リゾート事業

6,494

△14.5

ラグジュアリー&バンケット事業

26,241

△4.9

その他(調整額含む)

3,266

1.9

合計

63,981

△0.4

 

(注)  1  調整額は、セグメント間取引消去によるものであります。

      2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

2年目を迎える中期経営計画「FUJITA PREMIUM VALUE CREATION 2015」において本年の位置づけは、昨年に引き続き積極的に投資を前倒ししていく先行投資期であるとともに、収益の安定化と拡大を図っていく回収期にも入ってまいります。当社グループを取り巻く平成28年度の事業環境は、足元では訪日外国人の増加が追い風となる一方、中国経済の変調や米国の利上げ、近隣諸国の政治的な緊張やテロに対する警戒感の高まりなど、海外情勢はより予断を許さないものとなっております。

当社グループでは、絶え間なく変化を続ける事業環境下においてもお客さまに支持され続けるため、「健全な憩いの場と温かいサービスを提供することによって、潤いのある豊かな社会の実現に貢献する」という社是の精神に則り、施設・料理・サービスの質をさらに高めていくことが重要課題であると認識し、中期経営計画に掲げた施策を引き続き力強く推進してまいります。

 

Ⅰ.多様な顧客ニーズを捉えた既存事業の付加価値向上と拡大

 

 1)WHG事業

 昨年4月より大規模改修工事を行なっている新宿ワシントンホテル本館が本年4月に全館での営業を再開することに加え、昨年4月開業のホテルグレイスリー新宿が本年より通期営業となることで、新宿地区において約2,600室の体制が整い、当社グループの収益へ本格的に寄与いたします。

 また、本年4月に「ホテルグレイスリー那覇」(198室)、7月には「ホテルグレイスリー京都三条」(97室、平成29年5月 128室増床予定)を開業することでWHG事業のネットワークを拡充してまいります。 

 さらに「ワシントンホテル」と「ホテルグレイスリー」の2つのブランドをつなぐ総称である「WHG」のブランド認知度を高めるために、4月より「WHGホテルズ」の名称を展開してまいります。サービス面では、各ワシントンホテル・ホテルグレイスリーの朝食においては、手作りや対面調理による作りたてのお食事の提供などにより、お客さま満足度の向上を図ってまいります。また、当社グループの共通メンバーズカードである「藤田観光グループ・メンバーズカードWAON」をお客さまのニーズに合わせた、より使い勝手の良い会員プログラムへの変更を行なうとともに、会員優先宿泊予約サービスの導入などを順次進めることで、よりお客さまに支持されるホテルチェーンを目指してまいります。

 

 2)リゾート事業

 箱根大涌谷の火山活動が沈静化したことで、本年は箱根地区を訪れる国内旅行客は徐々に回復してくると思われます。首都圏随一の観光地として国内外で人気の高い同地区においては、平成26年10月より建替え工事に着手した箱根小涌園ユネッサンイン跡地にて、来年春に開業する新宿泊施設「箱根小涌園 天悠」(150室)の開業準備を着実に進めるとともに、おいしいお食事の提供や「自然」・「健康」・「和」・「仲間」などをキーワードにしたソフト面の充実を図ることで、お客さまへ多様な楽しみを提案・提供してまいります。

 また、「自然」・「和」を活かした全室露天風呂付きの高級旅館「緑涌(りょくゆう)」を伊東(静岡)、由布院(大分)で展開しております。本年は、「由布院 緑涌」の開業1周年の特別企画として行なった滞在中の飲食やエステ・マッサージなど、ほぼすべてのサービスがパッケージ料金に含まれる「オールインクルーシブ」パッケージの販売や専門店と共同開発した、施設ごとのオリジナル緑茶の提供を行なうなど、「緑涌」ならではの創意を凝らしたおもてなしを提供してまいります。リゾート事業の品質を牽引する位置付けとして、今後も地場の素材をご堪能いただける料理や心地よいおもてなしなど、お客さまにとって価値ある商品・サービスの提案・提供を行なうとともに「緑涌」の事業拠点拡大を図ってまいります。

 加えて、訪日外国人の増加やシニア世代の国内旅行需要の高まりなど、機会を最大限に取り込むためにもリゾート事業を多様な形態で展開すべく新規開発に力を注いでまいります。

 

 

 3)ラグジュアリー&バンケット事業

 ホテル椿山荘東京は、「古きよきものを後世に受け継ぐ想いを大切に」といった伝統を重んじる姿勢を反映させた4期にわたる客室改装計画の3年目を迎えます。本計画2年目の昨年においては、宿泊需要の高まりに応えるため、婚礼用施設としていたスペースを客室へと転用することで客室数を7室増室し、267室といたしました。

 婚礼部門においては、お客さまに人気の高い会場の魅力をさらに引き上げるための改装を実施するとともに、デジタルアート集団「チームラボ」とブライダル業界初の挙式コラボレーションとなる新しいスタイルの人前式「Camellia and Butterflies for Eternity」を提案するなど、多様化するお客さまのニーズにお応えしてまいります。

 「ミシュランガイド2016」においては、最高位であるファイブレッドパビリオンを引き続き獲得しており、今後も料理・サービスの品質を高め、より上質なおもてなしを実現いたします。 

 太閤園においては、強みである和婚をより強化するために、昨年10月に園内の別館バンケットルームを太閤園の大きな魅力である庭園を望む神殿「豊生殿(ほうせいでん)」としてリニューアルいたしました。太閤園における神前式の割合はおよそ4割を占め、多くのお客さまにご支持いただいておりますが、さらにオリジナリティに溢れた和婚の新たな価値を提供してまいります。 

 また、レストラン事業の展開として、本年1月に日本料理レストラン「錦水 TAIPEI by HOTEL CHINZANSO TOKYO」を台北に開業いたしました。ホテル椿山荘東京プロデュースによる本物の日本料理と日本ならではのきめ細かいおもてなしの心をもって、台湾の方々をお迎えいたします。

 

Ⅱ.増加する訪日外国人の誘客強化と海外展開

 

大幅な増加を続けている訪日外国人に対しては、より多くのお客さまに当社グループ施設を選んでいただけるように、本年も引き続き海外の旅行代理店などを招いた現地でのワークショップの開催や「錦水 TAIPEI by HOTEL CHINZANSO TOKYO」の営業などを通じて、当社グループの認知度を高めてまいります。

また、海外展開においては、平成30年のソウル(韓国)でのホテル出店に続く事業拠点を早期に現実のものとするべく、アジアを中心に事業候補の探索に力を入れてまいります。 

 

Ⅲ.多様な人材の育成と働きがいのある職場作り

 

少子高齢化社会の進展、訪日外国人の増加、労働法制の変化に対応しつつ、ますます多様化するお客さまのニーズにお応えするためにも、国籍・性別・年齢などにとらわれず、従業員それぞれが各々の能力を最大限に活かせる制度・職場づくり・教育に力を入れてまいります。

足元の雇用環境では、多くの業種業界において人手不足への対応が事業成長における大きな課題となっておりますが、永く働ける仕組みの構築、新たな雇用形態の策定やICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)・IoT(Internet of Things:モノのインターネット化)の利活用の推進などを行なうことにより、「従業員が働きやすい会社・働きがいのある会社」を実現し、当社グループをご利用いただく皆さまに常に温かいサービスの提供を続けることで、お客さまの支持を高めてまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を下記のとおり記載いたします。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合はその対応に最大限の努力をする所存であります。

  下記事項には、将来に関するものが含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(平成27年12月31日)現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。

 

1  株価の変動

当社グループは、取引先や関連会社を中心に市場性のある株式を202億円保有しており、株価変動のリスクを負っております。当連結会計年度末で市場価格により評価すると含み益となっておりますが、今後の株価の動向次第で業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

2  減損損失の計上

当社グループは、ホテル建物等の有形固定資産を当連結会計年度末で588億円保有しておりますが、今後一定規模を上回る不動産価額の下落や事業収支の悪化が発生した場合、有形固定資産の一部について減損損失が発生する可能性があります。

3  賃借した不動産の継続利用もしくは中途解約

ワシントンホテル等ホテル事業においては、ホテル不動産を長期に賃借しているものがあり、不動産の所有者が破綻等の状態に陥り、継続利用が困難となった場合には業績に悪影響が生じる可能性があります。また、長期賃貸借契約の途中で、何らかの事情に基づき当社グループの意図により契約を中途解約することがあった場合、残存期間分の未経過賃料658億円のうちの一部について、賃料の支払もしくは補填の義務が生じる可能性があります。

4  自然災害および流行性疾患の発生

大地震、噴火、台風、異常気象等の自然災害や、新型インフルエンザ等の流行性疾患が発生した場合は、営業の一時停止や旅行の取りやめ等が予想され、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

5  不動産周辺事業からの撤退損失

当社グループでは従前、不動産分譲事業を活発に行っていた時期があり、現在でも道路、水道等インフラや不動産管理等の周辺事業を引き続き行っていますが、これらの多くのものは低採算もしくは不採算であり、これらの事業からの撤退を決めた場合、相応の額の損失が一時的に発生する可能性があります。

6  繰延税金資産

当社グループは将来減算一時差異等に対し、23億円の繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産は、将来の課税所得等に関する予測に基づき回収可能性を検討し計上していますが、実際の課税所得が予測を大幅に下回った場合等には回収可能性の見直しを行い、回収可能額まで繰延税金資産を取崩すことにより、当社グループの業績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。

7  食中毒等の事故

安全衛生には十分注意を払っておりますが、万が一食中毒等が発生した場合は、お客さまの信認を損ね、また営業の一時停止等が生じる可能性があります。

8 円金利の変動

当連結会計年度末における借入金448億円のうち、52億円は変動金利による借入となっており、今後国内景気の回復により円金利が上昇すると、金利負担の増大を招く可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っております。

 

(2)  当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の売上高は63,981百万円(前連結会計年度64,250百万円)となり、268百万円(0.4%)の減収となりました。ホテルグレイスリー新宿の開業、既存ホテルの客室改装などの投資効果があった一方、新宿ワシントンホテルの大規模改修や箱根大涌谷の噴火警戒レベル引き上げの影響による箱根ホテル小涌園、箱根小涌園ユネッサンなどの利用人員減もあり、当社グループ全体では前期比減収となりました。

 

②売上原価および売上総利益

当連結会計年度の売上原価は59,534百万円(前連結会計年度58,674百万円)となり、860百万円(1.5%)の増加となりました。ホテルグレイスリー新宿の開業費用や、新宿ワシントンホテル改装費用の発生などにより、当連結会計年度の売上総利益は4,446百万円(前連結会計年度5,576百万円)となり、1,129百万円(20.3%)の減益となりました。

 

③販売費及び一般管理費ならびに営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4,407百万円(前連結会計年度4,210百万円)となり、197百万円(4.7%)増加しました。株式会社かわのの株式取得に伴う関連費用の発生などによるもので、これらの結果、当連結会計年度の営業利益は39百万円(前連結会計年度1,365百万円)となり、1,326百万円(97.1%)の減益となりました。

 

④営業外損益および経常損益

当連結会計年度の営業外損益は211百万円の損失(前連結会計年度24百万円の利益)となりました。シンジケートローン手数料の発生が主な要因となっております。この結果、当連結会計年度の経常損失は172百万円(前連結会計年度は1,390百万円の利益)と、1,563百万円の減益となりました

 

⑤特別損益

当連結会計年度の特別利益は919百万円(前連結会計年度1,794百万円)となり、875百万円減少しました。特別利益の内訳は主に、投資有価証券の売却によるものです。
  また、特別損失は237百万円(前連結会計年度1,715百万円)となり、1,478百万円減少しました。主に、水道事業の譲渡等に伴う事業撤退損失引当金の追加計上によるものです。

 

⑥法人税等、少数株主利益および当期純利益

当連結会計年度の法人税等は450百万円(前連結会計年度911百万円)となりました。これに少数株主利益26百万円を減じた結果、当連結会計年度の当期純利益は32百万円(前連結会計年度531百万円)となり、498百万円の減益となりました。

 

 

⑦財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は11,722百万円(前連結会計年度末12,051百万円)となり、328百万円(2.7%)減少しました。主に株式会社かわのの全株式取得を控え、期首に多めに持っていた現金及び預金が減少したことによるものです。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は93,010百万円(前連結会計年度末88,829百万円)となり、4,180百万円(4.7%)増加しました。主に、ホテルグレイスリー新宿の新規開業や新宿ワシントンホテルの大規模改修など設備投資に伴い取得した資産が増加したことによるものです。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は21,356百万円(前連結会計年度末22,288百万円)となり、932百万円(4.2%)減少しました。法人税等支払いにより未払法人税等、未払消費税等が減少したことが主な要因となっております。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は56,363百万円(前連結会計年度末50,817百万円)となり、5,545百万円(10.9%)増加しました。長期借入金が6,015百万円増加したことが主な要因となっております。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は27,012百万円(前連結会計年度末27,774百万円)となり、762百万円(2.7%)減少しました。

 

(3)  資本の財源及び資金の流動性についての分析

 

①キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の5,925百万円から1,861百万円減少し、4,063百万円となりました。各活動区分別の状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より4,079百万円の収入減となる、415百万円のキャッシュ・アウトとなりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より10,086百万円の支出増となる、8,184百万円のキャッシュ・アウトとなりました。中期経営計画で掲げたとおり、ホテルグレイスリー新宿をはじめとする将来を見据えた積極的な設備投資支出8,160百万円などによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、6,748百万円のキャッシュ・イン(前連結会計年度は4,671百万円のキャッシュ・アウト)となりました。主に借入金の純増7,319百万円と配当金の支払による支出487百万円によるものです。

 

 

②資金調達と流動性

当社グループは、事業活動のための資金確保、流動性の維持ならびに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの確保に努めております。その施策の一つとして、キャッシュマネジメントシステムの導入によるグループ各社の余剰資金の一元管理を行い、資金効率の向上を図っております。また、複数の金融機関と総額で218億円の当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結することにより、資金調達リスクに対する補完措置がなされております。
  また安定的な資金調達の一環として長期借入金の比率を高めており、当連結会計年度末の有利子負債残高は44,813百万円、その内訳として、短期借入金の残高は4,725百万円、長期借入金(一年以内に返済期限の到来する長期借入金を含む)の残高は40,088百万円となっております。

 

(4)  戦略的現状と見通し

中期経営計画「FUJITA PREMIUM VALUE CREATION 2015」は2年目を迎え、前期に引き続き積極的に投資を前倒ししていく先行投資期であるとともに、収益の安定化と拡大を図っていく回収期にも入ってまいります。
 本年は、前期(平成27年)4月に開業したホテルグレイスリー新宿が通年稼働となるほか、同時期にスタートした新宿ワシントンホテル本館の大規模改修工事も3月末をもって完了する予定で、新たな装いでフル稼働いたします。「ホテルグレイスリー那覇(平成28年4月開業予定)」、「ホテルグレイスリー京都三条(平成28年7月開業予定)」など新規出店も予定しており、また、前期に影響を受けた箱根大涌谷の火山活動が沈静化したことにより、箱根地区の利用客も徐々に回復してくると想定しております。
 以上のことから、当社グループの次期の見通しは、売上高は前期比約1割増となる60億円増収の700億円を見込んでおりますが、利益面では新宿ワシントンホテルの改装による稼働減の影響が3月末まで続くことや、新規ホテル開業費用の発生などがあることから、営業利益は10億円、経常利益は8億円と、前期比10億円程度の増益に留まる見込みです。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税率引下げに伴う繰延税金資産の取崩し約2億円の発生などにより、3億円を見込んでおります。
 なお、当社が重要指標と位置づけております減価償却費等負担前営業利益は前期比18億円増益の70億円となる見込みです。

 

連結およびセグメント別の業績予想は以下のとおりであります。

 

                                           (金額単位:百万円)

 

 

 

第2四半期(累計)

通期

 

 

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する四半期純利益

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

連結合計

32,500

△1,200

△1,200

△ 1,000

70,000

1,000

800

300

 

WHG事業

15,000

△ 300

32,800

1,450

 

リゾート事業

3,000

△ 500

7,200

△ 50

 

L&B事業(※1)

13,000

0

26,800

300

 

 

31,000

△ 800

66,800

1,700

 

その他

 

2,850

△ 400

5,900

△ 700

 

調整額(※2)

△ 1,350

0

△ 2,700

0

 

※1 L&B事業…ラグジュアリー&バンケット事業

※2 調整額…セグメント間取引消去によるものであります