第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1)  業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、米国新政権の政策動向やアジアでの地政学リスク拡大など懸念材料を抱えた一方で、個人消費の持ち直し、企業収益や雇用環境にも改善が見られ、緩やかな回復基調が続きました。
 日本政府観光局(JNTO)によると、2017年度の訪日外客数は前期比19.3%増の2,869万人と過去最高となり、今後も2020年の政府目標4,000万人に向けて、当面は順調に推移することが見込まれております。
 一方で、増加する宿泊需要を背景に競合他社に加え、異業種からの参入もあり、首都圏を中心に新規ホテルの開業が相次ぎました。また、住宅宿泊事業法(民泊新法)の成立により、宿泊事業を取り巻く環境は厳しさが増しております。
 このような事業環境の中、当社グループではアジア諸国を中心に海外からの集客が堅調に推移、インバウンドの宿泊人員は前期比22.5%増の174万人となり、宿泊人員全体の約4割を占めました。また、インバウンドの中でも、団体に比べ客室単価が高く滞在日数も長い個人のお客さま(FIT)の誘客に注力した結果、インバウンドのうち約8割をFITが占めました。
 当社グループでは、2015年を初年度とする5ヵ年の中期経営計画「FUJITA PREMIUM VALUE CREATION 2015」においては、先行投資期から収益の安定化と拡大を目指す回収期に差し掛かりました。同計画の折り返しとなる3年目を迎えたことから、施策の進捗状況や環境変化に合わせて、セグメントごとに施策を見直し、計画数値を修正いたしました。
 

当連結会計年度は、中期経営計画期間で最大の投資となる「箱根小涌園 天悠(てんゆう)」(150室)が4月に開業いたしました。宿泊事業としては、そのほかに「ホテルグレイスリー京都三条 南館」(128室)が5月に開業し、2016年7月に開業した「ホテルグレイスリー京都三条 北館」(97室)とあわせてインバウンドに人気の高いエリアである京都において225室の受客体制が整いました。10月には、WHGホテルズのフランチャイズホテルとして「木更津ワシントンホテル」(146室)が開業いたしました。
 婚礼事業におきましては、今後需要が見込める地域への展開として、5月に北九州市(福岡県)で新たにゲストハウス2施設「マリコレ ウェディングリゾート」、「鞘ヶ谷(さやがたに)ガーデン アグラス」の運営を開始いたしました。また、既存事業においても、「ホテル椿山荘東京」で宴会場の改装や庭園内に独立型神殿を新設するなど品質強化を進めました。
 

これらの結果、当連結会計年度の売上高は、2016年3月に1年間の大規模改修工事を終えた「新宿ワシントンホテル本館」(1,280室)、同年4月に開業した「ホテルグレイスリー那覇」(198室)、同年7月に開業した「ホテルグレイスリー京都三条 北館」が通年稼働したことが寄与し、当社グループ全体では前期比1,835百万円増収の70,624百万円となりました。
 これらの増収を主因として、営業利益は前期比282百万円増益の1,995百万円、経常利益は前期比349百万円増益の2,048百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、「箱根ホテル小涌園」の営業終了(2018年1月10日)決定に伴う特別損失を計上した一方で、固定資産売却益として特別利益を計上した結果、前期比813百万円増益の1,672百万円となりました。
 なお、当社グループが重要指標と位置づけている減価償却費等負担前の営業利益においては、前期比458百万円増益の7,677百万円となりました。
 

 

当連結会計年度の業績の概要およびセグメント別の概況は以下のとおりであります。

 

当連結会計年度の業績の概要                     (金額単位:百万円)     

 

当連結会計年度

前期比

増減率

売上高

70,624

1,835

2.7%

営業利益

1,995

282

16.5%

経常利益

2,048

349

20.6%

親会社株主に帰属
する当期純利益

1,672

813

94.7%

 

 

減価償却費等

負担前営業利益

7,677

458

6.3%

 

 

セグメント別売上高・営業利益                             (金額単位:百万円)

 

売上高

営業利益

実績

前期比

実績

前期比

WHG事業

35,602

2,647

2,878

834

リゾート事業

7,564

807

△688

△294

ラグジュアリー&バンケット事業

24,743

△1,471

445

△467

その他(調整額含む)

2,713

△148

△639

211

合計

70,624

1,835

1,995

282

 

※ 調整額は、セグメント間取引消去および各セグメントに配分していない全社費用であります。

 

WHG事業

WHG事業では、インバウンドの集客とともにリピーターの獲得を推進し、売上の最大化を図ってまいりました。インバウンドについては、東アジアや東南アジアのほか欧米豪からの集客にも注力した結果、FITの利用が増加しました。また、2017年度は、当社グループ顧客会員組織「藤田観光グループ・メンバーズカードWAON」において約5万人の外国人のお客さまに入会していただくなど、顧客の囲い込みを進めてまいりました。
 お客さまの利便性を向上させる取り組みとしては、各ホテルグレイスリーと「新宿ワシントンホテル」において人工知能(AI)を活用した多言語問い合わせシステム「チャットボット」を導入し、4ヵ国語、24時間体制での問い合わせ対応が可能となり、今後さらに増加する外国人のお客さまに安心して滞在していただくとともに、生産性の向上にも取り組んでまいりました。
 宿泊部門は、「新宿ワシントンホテル本館」、「ホテルグレイスリー那覇」、「ホテルグレイスリー京都三条 北館」が通年稼働したことが業績に寄与いたしました。インバウンドの地方分散化の動きもあり、首都圏のホテルでは客室単価が前期比0.9%増にとどまった一方、地方のホテルでは客室単価が堅調に推移し同6.2%増、全体では同2.6%増となりました。
 これらの結果、当セグメントの売上高は前期比2,647百万円増収の35,602百万円となり、営業利益(セグメント利益)では前期比834百万円増益の2,878百万円となりました。
 

 

リゾート事業

リゾート事業では、箱根エリアの新たな旗艦施設として、「箱根小涌園 天悠」が2017年4月に開業いたしました。箱根エリアにおいては、従来の「箱根ホテル小涌園」にて提供してまいりました団体やファミリーのお客さま向けのサービスから、国内外の個人のお客さまへ付加価値の高い商品とサービスを提供するビジネスモデルへの転換を図っており、「自然と和のおもてなし」をコンセプトとする「箱根小涌園 天悠」は、その中心となる施設であると位置づけております。  
  宿泊部門の売上高は、2016年9月で営業を終了した「ホテル鳥羽小涌園」(三重県)の影響があったものの、「箱根小涌園 天悠」の開業により、前期比895百万円増収の5,594百万円となりました。「箱根ホテル小涌園」では、当初計画では一部のレストランの営業を縮小し、客室稼働も抑える予定でしたが、2018年1月10日の営業終了に向けお客さまからの需要が高まり、当初計画よりも客室稼働を上げて運営いたしました。一方で、「箱根小涌園 天悠」では、客室清掃等における制約や追加工事が発生した影響などに加え、「箱根ホテル小涌園」の需要増の状況も踏まえて、当初計画より客室稼働を抑えて運営いたしました。なお、「箱根小涌園 天悠」の1人当たりの宿泊単価につきましては、当初計画を上回る水準で推移しております。
 レジャー部門の売上高は、「箱根小涌園ユネッサン」の利用人員の減少により前期比64百万円減収の1,640百万円となりました。
 これらの結果、当セグメントの売上高は前期比807百万円増収の7,564百万円となったものの、「箱根小涌園 天悠」に係る費用が増加したことにより、営業損失(セグメント損失)は前期比294百万円悪化の688百万円となりました。
 

ラグジュアリー&バンケット事業

ラグジュアリー&バンケット事業では、2017年3月で運営受託契約が終了した「アジュール竹芝」の影響があり、各部門において、前期比で減収減益となりました。
 婚礼部門は、「太閤園」(大阪府)の神前式場「豊生殿(ほうせいでん)」の集客が引き続き堅調に推移したほか、5月には北九州市で新たにゲストハウス2施設「マリコレ ウェディング リゾート」、「鞘ヶ谷ガーデン アグラス」の運営を開始いたしました。一方で、「アジュール竹芝」の運営受託契約終了の影響に加え、「ホテル椿山荘東京」において、宴会場の改装による売り止めや庭園内独立型神殿の竣工が遅れたこともあり、利用件数および人員が減少いたしました。部門全体の売上高は、前期比398百万円減収の11,441百万円となりました。
 宿泊部門は、「ホテル椿山荘東京」において、国内外からの個人のお客さまを中心に集客を図り、客室稼働および客室単価は前年を上回りましたが、「アジュール竹芝」の運営受託契約終了の影響により、売上高は前期比213百万円減収の2,293百万円となりました。
 これらの結果、ゴルフ部門などを含めた当セグメントの売上高は、前期比1,471百万円減収の24,743百万円となり、営業利益(セグメント利益)は前期比467百万円減益の445百万円となりました。
 

(2)  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、4,304百万円(前連結会計年度末比400百万円の減少)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、5,538百万円のキャッシュ・インとなりました。営業利益が282百万円増加した一方で、消費税納付額が増加するなど、前期比では707百万円の収入減となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、6,667百万円のキャッシュ・アウトとなりました。「箱根小涌園 天悠」や「ホテルグレイスリー京都三条 南館」の建設など、有形および無形固定資産の取得による支出が8,589百万円あった一方で、固定資産の売却1,815百万円などにより、前期比では663百万円の支出増となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、736百万円のキャッシュ・インとなりました。主に借入金の収入1,266百万円、配当金の支払いによる支出485百万円により、前期比では321百万円の収入増となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1)  生産実績

該当事項はありません。

 

 

(2)  受注状況

該当事項はありません。

 

 

(3)  販売実績

当社グループは、WHG事業、リゾート事業およびラグジュアリー&バンケット事業の各事業を主な内容とし、更に各事業に関連するサービス等の事業活動を展開しています。

セグメントごとの販売実績は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

WHG事業

35,602

8.0

リゾート事業

7,564

12.0

ラグジュアリー&バンケット事業

24,743

△5.6

その他(調整額含む)

2,713

△5.2

合計

70,624

2.7

 

(注)  1  調整額は、セグメント間取引消去および各セグメントに配分していない全社費用であります。

      2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 藤田観光グループでは、「健全な憩いの場と温かいサービスを提供することによって、潤いのある豊かな社会の実現に貢献したいと願っております」を社是とし、これに基づいて具体的な指針となる経営指針および行動指針を定めております。
 

(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指針

 当社グループは、2019年までの5ヵ年を中期経営計画「FUJITA PREMIUM VALUE CREATION 2015」と位置づけております。全体戦略につきましては、「(3)経営環境及び会社の対処すべき課題」をご参照下さい。なお、定量目標につきましては、一部修正を行い2019年に経常利益27億円、ROA2.5%以上、ROE6%以上を目指します。また、当社グループは事業強化を目的とする様々な投資を積極的に実行していくため、実態的な収益を示す減価償却費等負担前の営業利益を重要な経営指標としており、同2019年90億円を目標としております。
 

(3)経営環境及び会社の対処すべき課題

2018年度は、訪日外客数の継続した増加が期待される一方で、国際政治などにおける懸念材料の解消はいまだ見通しが立たない状況にあります。このような時代においてこそ、当社では、引き続き「健全な憩いの場と温かいサービスを提供することによって、潤いのある豊かな社会の実現に貢献する」という当社の社是に則り、より質の高いサービス・料理・施設を提供し、経営体質を強化してまいります。

中期経営計画においては、3年目となる2017年に計画の振り返りを行い、戦略については以下の3点から大きな変更はないものの、施策の進捗状況や環境変化に合わせて、セグメントごとに施策を見直し、計画数値を修正いたしました。
 なお、修正後の計画数値につきましては、平成30年2月13日付で発表しております「中期経営計画の数値目標の修正に関するお知らせ」をご参照ください。
 

 

当社グループでは、以下の全体戦略に基づき、各施策を推進してまいります。

Ⅰ.多様な顧客ニーズを捉えた既存事業の付加価値向上と拡大

Ⅱ.増加するインバウンドの誘客強化と海外展開

Ⅲ.働きがいがあり多様な人材が活躍できる職場作り

 

Ⅰ 多様な顧客ニーズを捉えた既存事業の付加価値向上と拡大

 当中期経営計画の各セグメントの基本方針と、現在の取り組み状況は以下のとおりです。

 WHG事業

[基本方針]

  収益力の中核と位置づけ、国内外での事業展開を加速いたします。

[取り組み状況]

事業展開としては、2017年5月に南館を増床開業し、全225室となった「ホテルグレイスリー京都三条」、フランチャイズホテルとして同年10月に開業した「木更津ワシントンホテル」(146室)が2018年より通年稼働することで業績に寄与いたします。同年秋には「ホテルグレイスリー浅草」(125室)、2019年夏には「ホテルグレイスリー大阪なんば」(170室)の開業を予定しております。また、海外において2018年夏には「ホテルグレイスリーソウル」(韓国)(335室)、2019年秋には、ジャカルタ(インドネシア)にてサービス・アパートメント(214室)、2021年には「ホテルグレイスリー台北」(台湾)(248室)の計画も進めており、国内外ともに引き続き事業の展開と拡大を図ってまいります。

サービス面においては、引き続きFITの集客、国内外のリピーターの獲得を推進してまいります。
 

 

 リゾート事業

[基本方針]

箱根小涌園の再開発について優先的に対応するとともに、アッパーミドルからハイエンド層のお客さまの個々のニーズに応える質の高い事業を構築いたします。

[取り組み状況]

箱根小涌園の新たな旗艦施設と位置づけ、2017年4月に開業した「箱根小涌園 天悠」が、2018年より通年稼働することで業績に寄与いたします。付加価値の高い事業モデルを確立させ、ご利用いただいたお客さまから高い評価を獲得できるよう、オペレーションの強化やさらなるサービスの向上に努めてまいります。
 また、「箱根小涌園ユネッサン」においては、従来の温浴施設に加え、飲食や物販、アクティビティを充実させることにより、ファミリー層の需要が高い夏期だけでなく、春や秋の行楽期に箱根を訪れるシニア層やインバウンド等のお客さまも取り込み、年間を通じて集客の拡大を図ってまいります。
 一方で、1959年の開業以来、60年間の長きにわたり多くの皆さまに愛されてまいりました「箱根ホテル小涌園」を2018年1月10日に閉館いたしました。今後、同地の活用を検討していくとともに、隣接する蓬莱園における高級宿泊施設の開業など箱根小涌園の再開発を推進してまいります。
 

 ラグジュアリー&バンケット事業

[基本方針]

「ホテル椿山荘東京」ブランドを高品質の象徴と位置づけ、施設や料理・サービスの品質向上に注力いたします。

[取り組み状況]

サービス面では、「ホテル椿山荘東京」において2017年7月に加盟した世界最大の独立系ホテルブランドのネットワーク プリファード ホテルズ&リゾーツのほか、フォーブス・トラべルガイドやミシュランガイド等の世界基準でのホテル格付でより高い評価を得られるよう、引き続きサービスの品質を向上させてまいります。

また、同ホテルでは、2014年より日本の和と伝統を重んじる姿勢を反映させた客室の改装や宴会場の改装等を進めております。今後、新しくなった客室とともに、2017年に改装した同ホテル最大の宴会場 オリオンや庭園内に新設した独立型神殿を活用することでMICE案件の獲得や新しい和式婚礼の提案を通じ、顧客の拡大に努めてまいります。

当社グループ全体の婚礼事業としては、2017年5月に北九州市でゲストハウス2施設「マリコレ ウェディングリゾート」、「鞘ヶ谷ガーデン アグラス」の運営を開始いたしました。既存施設のさらなる品質向上とあわせ、今後もゲストハウス事業を展開してまいります。

 

以上の既存事業に加え、2018年よりグランピング(*1)事業を新たにスタートいたします。当社オリジナルとなる「藤乃」ブランドの第一弾として、同年4月に静岡県御殿場市に「藤乃煌(ふじのきらめき) 富士御殿場」(20棟)を開業するほか、デンマークのテントメーカーであるノルディスク社と業務提携を行い、2017年にイタリアで開業した「ノルディスクヴィレッジ」を今後、当社が日本国内で展開してまいります。

また、2019年秋には宿坊(*2)関連事業として、大本山永平寺、福井県および福井県永平寺町の三者が協力、連携して推進している「永平寺門前の再構築プロジェクト」に参画し、「旅館と宿坊の中間に位置する施設」をコンセプトに、永平寺門前に全18室の宿泊施設の開業を予定しております。

さらには、今後も拡大が期待されるミレニアル世代のインバウンドをターゲットとして、「手軽な価格とサービスでアクティブに旅を楽しみたい」という需要に応えるため、新しい宿泊特化型のホテルを開発し、マルチブランド展開をしてまいります。

 また、新たな顧客の獲得やリピーター化の促進に結び付けていくため、当社グループではデジタルマーケティング等を統括する組織を2018年より新設いたします。さらに、当社グループの顧客会員組織である「藤田観光グループ・メンバーズカードWAON」をより魅力的なものになるよう検討を加え、当社グループのファンの拡大を図ってまいります。

 

(*1)「グラマラス(Glamorous)」と「キャンピング(Camping)」を掛け合わせた造語で、ホテル並みの設備やサービスを利用しながら、自然の中で快適・贅沢に過ごすキャンプ

(*2) 仏教寺院などにおける僧侶や参拝者のための宿泊施設

 

Ⅱ 増加するインバウンドの誘客強化と海外展開

 インバウンドの誘客強化として、「ホテル椿山荘東京」では、2017年に加盟したプリファード ホテルズ&リゾーツのネットワークを活用してグローバルでのブランド認知を高めてまいります。そのほか、顧客サービスの充実のため2017年9月に導入した無料スマートフォンレンタルサービスによって、情報提供の充実と安心で快適な滞在のサポートを実現してまいります。

 また、WHGホテルズで先行導入していた人工知能(AI)を活用した多言語問い合わせシステム「チャットボット」を「箱根小涌園 天悠」など他の当社グループ施設へ本格導入してまいります。さらに、タブレットを用いた通訳サービスに加えて、デジタル経済化への対応として、アリペイおよびウィーチャットペイなど、モバイル決済サービスを順次導入していく予定です。

 海外展開としては、計画されている「ホテルグレイスリーソウル」(韓国)、「ホテルグレイスリー台北」(台湾)に加え、新規事業として、2019年秋にジャカルタ(インドネシア)でサービス・アパートメントの開業を予定しております。こちらは、長期滞在型の宿泊施設として主に日系進出企業の駐在員・出張者を対象としており、今後、日系企業の海外進出の一助となる事業の展開を目指して、検討を進めてまいります。

 

Ⅲ 働きがいがあり多様な人材が活躍できる職場作り

 現在、日本の持続的な経済成長のための課題として、少子高齢化社会の進行や人手不足への対応が求められています。当社グループでは、国籍・性別・年齢などの違いにとらわれない職場風土作りや永く働ける仕組みの構築を行うことで、個々の従業員が多様な能力を発揮できるよう働きやすい職場環境を整備してまいります。また、従業員にとって働きがいのある会社を実現させるために、「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」と「働き方改革」を車の両輪と位置づけてともに進めてまいります。

 さらには、2017年11月に東京都産業労働局の「TOKYO働き方改革宣言企業」に加盟し、働き方改革の具体的な目標も公表いたしました。東京都内にある本社や各施設のみならず、全社でこの目標を共有し、働く従業員が「仕事」と「生活・家庭」を両立して心身ともに充実して働ける職場環境作りの実現に取り組んでまいります。

 

 株主の皆さまの変らぬご支援に感謝申しあげますとともに、今後ともより一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を下記のとおり記載いたします。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合はその対応に最大限の努力をする所存であります。

  下記事項には、将来に関するものが含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(平成29年12月31日)現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。

 

1  株価の変動

当社グループは、取引先や関連会社を中心に市場性のある株式を191億円保有しており、株価変動のリスクを負っております。当連結会計年度末で市場価格により評価すると含み益となっておりますが、今後の株価の動向次第で業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

2  減損損失の計上

当社グループは、ホテル建物等の有形固定資産を当連結会計年度末で640億円保有しておりますが、今後一定規模を上回る不動産価額の下落や事業収支の悪化が発生した場合、有形固定資産の一部について減損損失が発生する可能性があります。

3  賃借した不動産の継続利用もしくは中途解約

ワシントンホテル等ホテル事業においては、ホテル不動産を長期に賃借しているものがあり、不動産の所有者が破綻等の状態に陥り、継続利用が困難となった場合には業績に悪影響が生じる可能性があります。また、長期賃貸借契約の途中で、何らかの事情に基づき当社グループの意図により契約を中途解約することがあった場合、残存期間分の未経過賃料599億円のうちの一部について、賃料の支払もしくは補填の義務が生じる可能性があります。

4  自然災害および流行性疾患の発生

大地震、噴火、台風、異常気象等の自然災害や、新型インフルエンザ等の流行性疾患が発生した場合は、営業の一時停止や旅行の取りやめ等が予想され、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

5  不動産周辺事業からの撤退損失

当社グループでは従前、不動産分譲事業を活発に行っていた時期があり、現在でも道路、水道等インフラや不動産管理等の周辺事業を引き続き行っていますが、これらの多くのものは低採算もしくは不採算であり、これらの事業からの撤退を決めた場合、相応の額の損失が一時的に発生する可能性があります。

6  繰延税金資産

当社グループは将来減算一時差異等に対し、15億円の繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産は、将来の課税所得等に関する予測に基づき回収可能性を検討し計上していますが、実際の課税所得が予測を大幅に下回った場合等には回収可能性の見直しを行い、回収可能額まで繰延税金資産を取崩すことにより、当社グループの業績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。

7  食中毒等の事故

安全衛生には十分注意を払っておりますが、万が一食中毒等が発生した場合は、お客さまの信認を損ね、また営業の一時停止等が生じる可能性があります。

8 円金利の変動

当連結会計年度末における借入金466億円のうち、78億円は変動金利による借入となっており、今後国内景気の回復により円金利が上昇すると、金利負担の増大を招く可能性があります。

 9 為替の変動

当社グループは、海外事業の営業活動により生ずる収益・費用および債権・債務が外貨建てであり、海外連結対象会社の財務諸表を日本円に換算する際、為替変動により影響を受ける可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っております。

 

(2)  当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の売上高は70,624百万円(前連結会計年度68,789百万円)となり、1,835百万円(2.7%)の増収となりました。「新宿ワシントンホテル本館」の改修工事の終了、「ホテルグレイスリー那覇」、「ホテルグレイスリー京都三条 北館」の通年稼働に加え、その他の宿泊施設も客室単価が好調に推移したことが増収に寄与しました。

 

②売上原価および売上総利益

当連結会計年度の売上原価は63,973百万円(前連結会計年度62,593百万円)となり、1,379百万円(2.2%)の増加となりました。主に「新宿ワシントンホテル本館」の改修工事の終了、「ホテルグレイスリー那覇」、「ホテルグレイスリー京都三条 北館」の通年稼働などによる地代家賃の増加や、新規開業などに伴う減価償却費の増加がありましたが、前述の増収により当連結会計年度の売上総利益は6,651百万円(前連結会計年度6,195百万円)となり、455百万円(7.4%)の増益となりました。

 

③販売費及び一般管理費ならびに営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4,655百万円(前連結会計年度4,483百万円)となり、172百万円(3.9%)増加しました。法人事業税にかかる外形標準課税が、税率引き上げに伴い増加したことなどによるもので、これらの結果、当連結会計年度の営業利益は1,995百万円(前連結会計年度1,712百万円)となり、282百万円(16.5%)の増益となりました。

 

④営業外損益および経常損益

当連結会計年度の営業外損益は52百万円の利益(前連結会計年度14百万円の損失)となりました。この結果、当連結会計年度の経常利益は2,048百万円(前連結会計年度1,698百万円)と、349百万円(20.6%)の増益となりました

 

⑤特別損益

当連結会計年度の特別利益は2,531百万円(前連結会計年度2,165百万円)となり、366百万円増加しました。特別利益の内訳は主に、固定資産売却益によるものです。
  また、特別損失は1,408百万円(前連結会計年度1,712百万円)となり、303百万円減少しました。主に、「箱根ホテル小涌園」(神奈川県)の営業終了決定に伴う損失の発生などによるものです。

 

⑥法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益および親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の法人税等は1,483百万円(前連結会計年度1,271百万円)となりました。これに非支配株主に帰属する当期純利益16百万円を減じた結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,672百万円(前連結会計年度858百万円)となり、813百万円(94.7%)の増益となりました。

 

 

⑦財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は12,678百万円(前連結会計年度末12,235百万円)となり、442百万円(3.6%)増加しました。主に増収により売掛債権が増加したことによるものです。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は94,684百万円(前連結会計年度末93,599百万円)となり、1,085百万円(1.2%)増加しました。「箱根小涌園 天悠」、「ホテルグレイスリー京都三条 南館」の新規開業などに伴い取得した有形固定資産が1,265百万円増加したことによるものです。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は21,988百万円(前連結会計年度末19,429百万円)となり、2,558百万円(13.2%)増加しました。借入金が2,058百万円増加したことが主な要因となっております。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は57,736百万円(前連結会計年度末59,878百万円)となり、2,141百万円(3.6%)減少しました。連結除外により会員預り金が1,443百万円減少、および長期借入金が1,117百万円減少したことが主な要因となっております。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は27,637百万円(前連結会計年度末26,526百万円)となり、1,110百万円(4.2%)増加しました。利益剰余金が1,192百万円増加したことによるものです。

 

(3)  資本の財源及び資金の流動性についての分析

 

①キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の4,704百万円から400百万円減少し、4,304百万円となりました。各活動区分別の状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より707百万円の収入減となる、5,538百万円のキャッシュ・イン(前連結会計年度は6,246百万円のキャッシュ・イン)となりました。営業利益が282百万円増加した一方で、消費税納付額などが増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より663百万円の支出増となる、6,667百万円のキャッシュ・アウト(前連結会計年度は6,004百万円のキャッシュ・アウト)となりました。「箱根小涌園 天悠」や「ホテルグレイスリー京都三条 南館」の建設など有形および無形固定資産の取得による支出が8,589百万円あった一方で、固定資産の売却による収入1,815百万円などがあったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、736百万円のキャッシュ・イン(前連結会計年度は414百万円のキャッシュ・イン)となりました。主に借入金の収入1,266百万円、配当金の支払による支出485百万円によるものです。

 

 

②資金調達と流動性

当社グループは、事業活動のための資金確保、流動性の維持ならびに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの確保に努めております。その施策の一つとして、キャッシュマネジメントシステムの導入によるグループ各社の余剰資金の一元管理を行い、資金効率の向上を図っております。また、複数の金融機関と総額で219億円の当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結することにより、資金調達リスクに対する補完措置がなされております。
  また安定的な資金調達の一環として長期借入金の比率を高めており、当連結会計年度末の借入金残高は46,698百万円、その内訳として、短期借入金の残高は2,985百万円、長期借入金(一年以内に返済期限の到来する長期借入金を含む)の残高は43,713百万円となっております。

 

(4)  戦略的現状と見通し

WHG事業は、2017年5月に南館が増床開業した「ホテルグレイスリー京都三条」、フランチャイズホテルとして同年10月に開業した「木更津ワシントンホテル」が本年より通年稼働となります。また、夏に「ホテルグレイスリーソウル」(韓国)(335室)、秋には「ホテルグレイスリー浅草」(125室)の開業も予定しており、事業の展開と拡大を図るとともに、国内外のリピーターの獲得を推進してまいります。
 リゾート事業は、2017年4月に開業した「箱根小涌園 天悠」が本年より通年稼働となります。2018年におきましては、お客さまから高い評価を獲得できるよう、オペレーションの強化やさらなるサービスの向上に向けて取り組みを進めてまいります。また、「箱根小涌園ユネッサン」においては、従来の温浴施設に加え、飲食や物販、アクティビティを充実させることにより、ファミリー層の需要が高い夏期だけでなく、春や秋の行楽期に箱根を訪れるシニア層やインバウンド等のお客さまも取り込み、年間を通じて集客の拡大を図ってまいります。
 ラグジュアリー&バンケット事業は、「ホテル椿山荘東京」において、2014年からの客室改装を引き続き実施するとともに、2017年に改装した同ホテル最大の宴会場「オリオン」や庭園内に新設した独立型神殿を活用することでMICE案件の獲得や新しい和式婚礼の提案を通じ、顧客および収益を拡大してまいります。
 また、既存事業に加えて、2018年4月にグランピング(*)事業を新たにスタートし、静岡県御殿場市に「藤乃煌(ふじのきらめき)富士御殿場」(20棟)を開業いたします。
 以上のことから、当社グループの次期の見通しは、売上高は箱根ホテル小涌園の営業終了の影響はあるものの、前期比13億円増収の720億円を見込んでおります。営業利益および経常利益はともに23億円と、前期比3億円程度の増益となる見込みです。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比3億円減益の13億円を見込んでおります。
 

前述のとおり、2015年を初年度とする5ヵ年の中期経営計画「FUJITA PREMIUM VALUE CREATION 2015」におきましては、2017年が同計画の折り返しとなる3年目を迎えたことから、施策の進捗状況や環境変化に合わせて、セグメントごとに施策を見直し、計画数値を修正いたしました。
  なお、修正後の計画数値につきましては、平成30年2月13日付で発表しております「中期経営計画の数値目標の修正に関するお知らせ」をご参照ください。
 

 

連結およびセグメント別の業績予想は以下のとおりであります。

                                           (金額単位:百万円)

 

 

 

第2四半期(累計)

通期

 

 

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する四半期純利益

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

連結合計

34,100

△200

△200

△200

72,000

2,300

2,300

1,300

 

WHG事業

17,450

670

36,940

2,530

 

リゾート事業

2,810

△630

6,360

△370

 

ラグジュアリー&
バンケット事業

12,530

220

25,830

920

 

 

32,790

260

69,130

3,080

 

その他

 

2,730

△410

5,720

△680

 

調整額(※)

△1,420

△50

△2,850

△100

 

※ 調整額…セグメント間取引消去および各報告セグメントに配分しない全社費用であります。