第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 藤田観光グループでは、「健全な憩いの場と温かいサービスを提供することによって、潤いのある豊かな社会の実現に貢献したいと願っております」を社是とし、これに基づいて具体的な指針となる経営指針および行動指針を定めております。

 

(2)経営環境及び会社の対処すべき課題

 当社グループは、2015 年から2019 年までの5ヵ年の中期経営計画「FUJITA PREMIUM VALUE CREATION 2015」にて、Ⅰ.多様な顧客ニーズを捉えた既存事業の付加価値向上と拡大、Ⅱ.増加するインバウンドの誘客強化と海外展開、Ⅲ.働きがいがあり多様な人材が活躍できる職場作りを全体戦略として取り組んでまいりました。中間期となる2017年には計画の振り返りを行い、全体戦略については大きな変更はないものの、施策を見直し、計画数値を修正いたしました。しかしながら2018年および2019年は、継続的な婚礼事業の不芳や新規事業所の収益化が遅れたことなどに加えて、自然災害や日韓情勢の影響を受け、2期にわたり業績低迷が続き、十分な成果には至りませんでした。

 今後の経営環境については、東京オリンピック・パラリンピック後の宿泊市場において、地域によっては供給過剰となることが懸念されており、ホテル事業者の優勝劣敗が鮮明になってくるとともに、多様化する消費者のライフスタイルへの適応力がより一層求められてくると考えております。さらに、頻発する異常気象など、より身近なものとなった環境問題に対して企業が問われる責任が増す一方で、そのような外部要因に影響を受けづらい強固な経営基盤を作ることも求められております。

 このような状況をふまえ、10年先を見据えた長期ビジョンおよび2020年から2024年までの5ヵ年の中期経営計画を策定いたしました。

 

●長期ビジョン

「みんなが笑顔になるために、ライフスタイルに寄り添うユニークな事業展開で、成長し続けます。」

 当社グループでは、事業に関わる10年後の未来を想定したうえで、様々なステークホルダーとのエンゲージメントが強く求められる時代背景を考慮し、当社グループの「私たちは、健全な憩いの場と温かいサービスを提供することによって、潤いのある豊かな社会の実現に貢献したいと願っております。」という社是の精神を具現化させるためには、社会のために企業が何を提供するのかについて明確かつ一貫したメッセージを発信する必要があると考えており、以下の3つの思いを込め、今回の長期ビジョンを設定いたしました。

 

① お客さまの人生の様々なシーンに寄り添うことで時代のニーズを汲み取る

② これまで培った歴史・文化・伝統を守りつつ新たな価値を加えることによって、事業をさらに進化・発展させていく

③ 仕事への価値観や働き方の多様化がさらに進む中、すべての従業員が自らの仕事に誇りと自信をもって、会社とともに成長し続けることで、お客さまの満足とすべてのステークホルダーの幸せに繋がる社会を目指していく

 

●中期経営計画 2020~2024 自己変革と挑戦

 本中期経営計画の前半では「基盤強化」の段階と位置づけ投資が先行いたしますが、3年以内に構造改革を完了させ、4年目以降の収益拡大を目指してまいります。そのための主要戦略は以下のとおりです。

 

Ⅰ.販売・マーケティングのリエンジニアリング

 お客さまの利便性を向上させるために、当社グループ顧客会員組織「藤田観光グループ・メンバーズカードWAON」をリニューアルするほか、自社のWEB予約システムの改修を行うことで顧客情報管理体制を再構築し、お客さまとの直接の繋がりを深めます。

 

 

Ⅱ.人材開発および生産性の向上

 継続して取り組んでいる「多様な人材が活躍できる仕組みの構築」を行うとともに、働き方改革の第2ステージとして、働き方の“質” にもこだわってまいります。調理や接客など国内外に通用する高度専門能力の向上に取り組む一方で、会計システム等の刷新により間接部門のスリム化を含め高い生産性を追求し、収益力の抜本的な改善に全力を挙げます。

 

Ⅲ.『椿山荘』ブランド再生による、事業の再建

 この数年間、婚礼の不芳および構造改革の遅れをきたしていた「ホテル椿山荘東京」の再建を本中期経営計画の主要戦略の一つと位置付け、品質向上を最優先に取り組み、ブランド価値を高めることによって、筋肉質な事業構造への変革を目指します。

 

Ⅳ.箱根小涌園再開発

 箱根小涌園の再開発計画を始動させ、リゾート事業を当社グループにおける収益の柱の一つに育ててまいります。箱根小涌園全体の魅力をより高めるために2023年に「箱根ホテル小涌園」の跡地に新ホテルを開業することに加え、「箱根小涌園ユネッサン」を段階的に改装することで、「箱根小涌園 天悠」とともに、温泉・自然・食事・文化・体験を楽しめる複合リゾートへと生まれ変わります。

 

Ⅴ.宿泊事業の領域拡大

 当社グループにおける収益力の中核であり、成長戦略を担ってきたWHG事業を中心に継続して新規展開を計画しており、当面はタビノス(TAVINOS)ブランドでの新規出店を主軸として、ワシントンホテルおよびホテルグレイスリーブランドでの展開可能な立地も探索いたします。

 

Ⅵ.SDGs(※)の推進

 SDGsの推進については、取締役会の諮問機関として事業グループおよび本社各部門横断による委員会形式で活動を行ってまいりましたが、新たにCSR推進室の発展形として、社長執行役員直轄のSDGs推進室を設立し、エコ清掃や食品ロスの削減など取り組みを強化いたします。

 

(※)SDGs・・・Sustainable Development Goalsの略。持続可能な開発目標

 

 

(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

 

 本中期経営計画においては、以下のとおり数値目標を設定しております。

 

 

2019年実績

2020年予想

2022年目標

2024年目標

売上高

689億円

710億円

750億円

790億円

営業利益

2億円

6億円

20億円

40億円

営業利益率

0.4%

0.8%

2.7%

5.0%

EBITDA(営業利益+減価償却費)

52億円

57億円

75億円

95億円

経常利益

4億円

6億円

20億円

40億円

ROE(当期純利益/自己資本)

-

2024年度までに9%以上

ROA(経常利益/総資産)

0.4%

2024年度までに4%以上

 

 

設備投資額

38億円

5年間累計で250億円

 

 

フリー・キャッシュフロー

14億円

5年間累計で100億円以上

有利子負債

444億円

2024年度までに360億円以下

DEレシオ(有利子負債/自己資本)

1.7倍

2024年度までに1.2倍以下

 

 

 2年目となる2021年は、WHG事業の新規開業、箱根小涌園再開発、「椿山荘」ブランド再生による事業の再建および既存施設の維持補修に関わる設備投資を重点的に実施することにより費用が先行しますが、最終年度となる2024年には、WHG事業と箱根小涌園の新ホテル開業効果および「ホテル椿山荘東京」の業績向上により、収益拡大を見込みます。

 なお、数値目標は2020年1月末時点において、「新型コロナウイルス肺炎」による中国からの訪日旅行需要の減少が3か月程度続くものと想定し設定しておりますが、今後の状況によっては異なる可能性があります。

 また、本中期経営計画の進捗管理については、毎年の予算設定において、中期的な方向性、各事業課題に対する解決のための施策、達成までのロードマップの設定とその実行に重点をおいたうえで、3年程度先を想定した諸指標をガイドラインとして進捗管理し、事業環境の変化などに応じてローリングしてまいります。

 なお、本中期経営計画につきましては、当社ホームページにて掲載しておりますので、ご覧ください。

 

(2020年度の各事業の重点的な取り組み)

 

WHG事業

 

 国際政治情勢など外部要因による影響を少しでも受けづらい経営体質とするため、ワシントンホテルおよびホテルグレイスリーのビジネスモデルの見直しを行うことによって生産性向上による効率化を図り、さらに顧客管理体制の見直しにより売上高の拡大と収益性を高めます。また、昨年展開をスタートしたタビノス(TAVINOS)では、6月に2号店となる「ホテルタビノス浅草」(278室)を開業するほか、今後も京都・御徒町・東日本橋および浅草橋エリアでの開業を計画しており、ビジネスモデルとして確立させるとともに、上記2つのホテルブランドとあわせて国内外における事業展開を継続して推進いたします。

 

ラグジュアリー&バンケット事業

 

 「ホテル椿山荘東京」では、東京オリンピック・パラリンピックがホテルの知名度・評判を世界に広める絶好の機会と捉えており、そのために品質向上を最優先に取り組んでおります。また、ブランド力の強化を図り、お客さまにわかりやすい商品戦略の展開と主要事業である婚礼・宴会事業の機能強化を進め、確実に利益を生み出していくための基盤づくりに注力いたします。

 

 

リゾート事業

 

 2019年10月に発生した台風19号からの早期の復旧・復興は箱根エリア全体での願いであり、箱根小涌園も地域と一体となって取り組んでおります。さらに箱根小涌園の再開発計画を推進するため、2018年1月に営業を終了した「箱根ホテル小涌園」の解体に着手し、新ホテルの設計を進めてまいります。また「箱根小涌園 天悠」では、強みである温泉や国登録有形文化財の建物を活用したレストランでの食事などを通して、お客さまの満足度を追求するとともに、東京オリンピック・パラリンピックを契機にインバウンドの誘客をさらに強化いたします。「箱根小涌園ユネッサン」では、再開発の一環として貸切風呂を新設するほか、人気アニメコンテンツとのコラボレーションにより、箱根エリア全体の活性化に貢献してまいります。

 

 

 

 

2 【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を下記のとおり記載いたします。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合はその対応に最大限の努力をする所存であります。
  下記事項には、将来に関するものが含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末(2019年12月31日)現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。

 

①株価の変動
  当社グループは、取引先や関連会社を中心に市場性のある株式を184億円保有しており、株価変動のリスクを負っております。当連結会計年度末で市場価格により評価すると含み益となっておりますが、今後の株価の動向次第で業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 

 

②減損損失の計上
  当社グループは、ホテル建物等の有形固定資産を当連結会計年度末で614億円保有しておりますが、今後一定規模を上回る不動産価額の下落や事業収支の悪化が発生した場合、有形固定資産の一部について減損損失が発生する可能性があります。

 

③賃借した不動産の継続利用もしくは中途解約
  ワシントンホテル等ホテル事業においては、ホテル不動産を長期に賃借しているものがあり、不動産の所有者が破綻等の状態に陥り、継続利用が困難となった場合には業績に悪影響が生じる可能性があります。また、長期賃貸借契約の途中で、何らかの事情に基づき当社グループの意図により契約を中途解約することがあった場合、残存期間分の未経過賃料695億円のうちの一部について、賃料の支払もしくは補填の義務が生じる可能性があります。

 

④自然災害および流行性疾患の発生

 大地震、噴火、台風、異常気象等の自然災害や、新型インフルエンザ等の流行性疾患が発生した場合は、営業の一時停止や旅行の取りやめ等が予想され、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑤不動産周辺事業からの撤退損失
  当社グループでは従前、不動産分譲事業を活発に行なっていた時期があり、現在でも道路、水道等インフラや不動産管理等の周辺事業を引き続き行なっていますが、これらの多くのものは低採算または不採算であり、これらの事業からの撤退を決めた場合、相応の額の損失が一時的に発生する可能性があります。

 

 ⑥繰延税金資産
  当社グループは将来減算一時差異等に対し、17億円の繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産は、将来の課税所得等に関する予測に基づき回収可能性を検討し計上していますが、実際の課税所得が予測を大幅に下回った場合などには回収可能性の見直しを行い、回収可能額まで繰延税金資産を取崩すことにより、当社グループの業績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

⑦食中毒等の事故
  安全衛生には十分注意を払っておりますが、万が一食中毒等が発生した場合は、お客さまの信認を損ね、また営業の一時停止などが生じる可能性があります。

 

⑧円金利の変動
  当連結会計年度末における借入金444億円のうち、72億円は変動金利による借入となっており、今後国内景気の回復により円金利が上昇すると、金利負担の増大を招く可能性があります。

 

⑨為替の変動
  当社グループは、海外事業の営業活動により生ずる収益・費用および債権・債務が外貨建てであり、海外連結対象会社の財務諸表を日本円に換算する際、為替変動により影響を受ける可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、訪日旅行市場が概ね堅調に推移した一方、競合他社に加え異業種からの宿泊事業への参入も加速し、当該事業環境における競争は激化しております。また、韓国からの宿泊者が減少したほか、大型台風をはじめとした自然災害も発生いたしました。

 当社グループでは、これらの事業環境の変化や各セグメントにおける施策の進捗状況を確認し、必要に応じて見直しを行いながら、2019年度を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画を推進してまいりました。

 当連結会計年度においては、インバウンドの宿泊需要を取り込むべく、7月には観光・レジャーで人気の大阪なんばエリアに「ホテルグレイスリー大阪なんば」(170室)、8月にはWHG事業の新ブランドとして「ホテルタビノス浜松町」(188室)を開業いたしました。2018年に開業した「ホテルグレイスリー浅草」(125室)の通期稼働もあり、当社グループにおけるインバウンドの宿泊人員は前期比1.6%増の約190万人となりました。

 また、7月には福井県に禅の世界を体験することができる宿泊施設「永平寺 親禅の宿 柏樹関(はくじゅかん)」(18室)、11月にはインドネシア・ジャカルタ近郊の工業団地エリアにサービス・アパートメント「ISORAS CIKARANG(イソラス チカラン)」(214室)を開業するなど、宿泊事業領域の拡大も進めてまいりました。

 当社グループでは、これらの多様化する事業の収益性を上げるため、事業間の垣根を越えた横断的な営業支援を目的に3月にマーケティンググループを新設し、営業力強化を行ってまいりました。 

 当連結会計年度の上期においては、2018年に開業した「ホテルグレイスリーソウル」(336室)および「ホテルグレイスリー浅草」が通期稼働したほか、インバウンドの集客が堅調に推移いたしました。

 しかしながら、下期に入り競合ホテルの出店に伴う一部ホテルの客室単価下落や、前述の韓国からの宿泊者の大幅な減少と大型台風の影響に加え、婚礼・宴会部門の継続的な不振もあり、期中に当初の連結業績予想の下方修正を行いました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績における当社グループ全体の売上高は前期比324百万円減収の68,960百万円となりました。また、新規ホテルの開業や新たなブランド展開に伴う先行費用などが発生したこともあり、営業利益は前期比819百万円減益の280百万円、経常利益は前期比704百万円減益の401百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、台風被害に伴う復旧費用を計上したこともあり、前期比842百万円悪化の285百万円となりました。

 

当連結会計年度の業績の概要およびセグメント別の営業概況は以下のとおりです。

 

当連結会計年度の業績の概要                      (単位:百万円)

 

当連結会計年度

前期比

増減率

売上高

68,960

△324

△0.5%

営業利益

280

△819

△74.5%

経常利益

401

△704

△63.7%

親会社株主に帰属
する当期純損失(△)

△285

△842

 

 

セグメント別売上高・営業利益

 

売上高

営業利益

実績

前期比

実績

前期比

WHG事業

37,638

701

1,969

△873

リゾート事業

5,533

△194

△695

201

ラグジュアリー&バンケット事業

22,949

△1,032

△42

△96

その他(調整額含む)

2,838

200

△951

△50

合計

68,960

△324

280

△819

 

注. 調整額は、セグメント間取引消去および各セグメントに配分していない全社費用です。

 

(WHG事業)

 WHG事業では、東アジアや東南アジアに加え、欧米豪からの集客にも注力するとともに、インバウンドの若い世代をターゲットにした新ブランド「タビノス(TAVINOS)」の1号店となる「ホテルタビノス浜松町」を開業したほか、インドネシア・ジャカルタ近郊にサービス・アパートメント「ISORAS CIKARANG」を開業するなど、国内外における宿泊事業領域の拡大を進めてまいりました。

 一方で、国内既存ホテルは、競合ホテルの出店や韓国からの宿泊者に代わるインバウンドの獲得競争が激化いたしました。売上確保のため、弾力的な販売価格の設定と中国や欧米豪などインバウンド市場への営業強化を行い、当セグメント全体における一部屋あたりの客室単価は前年を下回りましたが、客室稼働率は前期比0.5%増となりました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は2018年9月に営業が終了した「藤田観光ワシントンホテル旭川」(260室)による減収要因はあったものの、前述の「ホテルグレイスリー大阪なんば」の開業に加え、2018年に開業した「ホテルグレイスリーソウル」および「ホテルグレイスリー浅草」の通期稼働により、前期比701百万円増収の37,638百万円となりました。しかしながら、新規ホテルの開業費用や新たなブランド展開に伴う先行費用などが発生したこともあり、営業利益(セグメント利益)は、前期比873百万円減益の1,969百万円となりました。

 

(リゾート事業)

 リゾート事業の主力事業所である箱根小涌園では、5月に近隣の大涌谷噴火警戒レベルが2に引き上げられ(10月に従前のレベル1に引き下げ)さらに、9月および10月には大型台風到来による被害が発生するなど自然災害が相次ぎました。

 「箱根小涌園 天悠」では、自然災害の影響により宿泊予約のキャンセルが一時的に発生したものの、平日のインバウンド誘客強化により、客室稼働率は前年並みの水準を確保いたしました。スタッフのマルチタスク化による生産性の向上に加え、朝食をブッフェスタイルに変更するなど、お客さま満足度と品質の向上を優先して取り組んだことも奏功し、宿泊単価は前期比3.1%増となりました。

 宿泊部門は「箱根小涌園 天悠」が前期から増収した一方で、自然災害の影響もあり、当部門全体の売上高は、前期比245百万円減収の3,701百万円となりました。

 一方、日帰り・レジャー部門では、「箱根小涌園ユネッサン」において、メディアへの露出強化と併せてレストランの直営化や入場料金の見直しなどの施策を実施した結果、「下田海中水族館」を加えた当部門全体の売上高は前期比32百万円増収の1,475百万円となりました。
 これらの結果、当セグメントの売上高は前期比194百万円減収の5,533百万円、営業損失(セグメント損失)は、前期比201百万円改善の695百万円となりました。

 

(ラグジュアリー&バンケット事業)

 ラグジュアリー&バンケット事業の婚礼部門においては、「太閤園」での開業60周年プランの販売やチャペルリニューアルの告知強化が奏功したものの、「ホテル椿山荘東京」における婚礼件数および人員の減少トレンドが継続し、当部門全体の売上高は前期比683百万円減収の10,320百万円となりました。

 宴会部門では「ホテル椿山荘東京」において組織の見直しと営業体制の強化を継続的に進めてまいりましたが、利用人員の減少により、当部門全体の売上高は前期比176百万円減収の4,904百万円となりました。

 宿泊部門では「ホテル椿山荘東京」において個人を中心に国内外からの誘客を強化するとともに品質の向上に注力した結果、客室稼働率は前年並みの水準を確保しつつ、客室単価を前期比7.2%増に引き上げることができ、売上高は前期比75百万円増収の2,279百万円となりました。

 これらの結果、ゴルフ部門等を加えた当セグメントの売上高は前期比1,032百万円減収の22,949百万円、営業損失(セグメント損失)は、前期比96百万円悪化の42百万円となりました。

 

 

 ②財政状態の状況

 当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末と比較して1,225百万円増加の103,271百万円となりました。流動資産は399百万円減少しましたが、固定資産は有形固定資産が1,354百万円減少した一方、主に投資有価証券の時価の上昇により投資その他の資産が2,877百万円増加いたしました。

 また負債は、前連結会計年度末と比較して488百万円減少の76,832百万円となりました。これは災害損失に係る引当金などの計上があった一方、借入金が904百万円減少したことが要因であります。なお、当連結会計年度末の借入金残高は44,469百万円となりました。
  純資産は、前連結会計年度末と比較して1,713百万円増加の26,438百万円となりました。利益剰余金が764百万円減少した一方、その他有価証券評価差額金が2,419百万円増加いたしました。

 

 ③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金および現金同等物は3,348百万円となり、前連結会計年度末から39百万円減少しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは、4,946百万円のキャッシュ・イン(前年同期比481百万円の収入減)となりました。税金等調整前当期純損失の計上が521百万円であったものの、減価償却費4,934百万円と当期でのキャッシュ・アウトが発生しない引当金計上があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローは、3,496百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比827百万円の支出減)となりました。「ISORAS CIKARANG」などの新規開業に伴う投資のほか、既存施設の客室や宴会場の改装などの品質向上を目的とした投資を行った結果、有形および無形固定資産の取得による支出3,846百万円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,467百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比413百万円の支出減)となりました。主に借入金の返済885百万円、配当金の支払いによる支出482百万円によるものです。

 

 ④生産、受注及び販売実績

(ア)  生産実績

該当事項はありません。

 

(イ)  受注状況

該当事項はありません。

 

(ウ)  販売実績

当社グループは、WHG事業、リゾート事業およびラグジュアリー&バンケット事業の各事業を主な内容とし、更に各事業に関連するサービス等の事業活動を展開しています。

セグメントごとの販売実績は次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

WHG事業

37,638

1.9

リゾート事業

5,533

△3.4

ラグジュアリー&バンケット事業

22,949

△4.3

その他(調整額含む)

2,838

7.6

合計

68,960

△0.5

 

(注)  1  調整額は、セグメント間取引消去および各セグメントに配分していない全社費用であります。

      2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
  

 ①重要な会計方針及び見積り
 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っております。
 
 ②経営成績の分析
 (売上高)
 当連結会計年度の売上高は68,960百万円(前連結会計年度69,285百万円)となり、324百万円(0.5%)の減収となりました。「ホテルグレイスリー浅草」、「ホテルグレイスリーソウル」の通期稼働があった一方、「藤田観光ワシントンホテル旭川」の営業終了や韓国からの宿泊者の減少、自然災害の発生などを主因に減収となりました。
 
 (売上原価および売上総利益)
 当連結会計年度の売上原価は64,226百万円(前連結会計年度63,540百万円)となり、686百万円(1.1%)の増加となりました。主に新規ホテル開業や新規事業に伴う費用が発生した結果、当連結会計年度の売上総利益は4,733百万円(前連結会計年度5,744百万円)となり、1,011百万円(17.6%)の減益となりました。
 
 (販売費及び一般管理費ならびに営業利益)
  当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4,452百万円(前連結会計年度4,645百万円)となり、192百万円(4.1%)の減少となりました。当連結会計年度の営業利益は280百万円(前連結会計年度1,099百万円)と前期比819百万円(74.5%)の減益となりました。
 
 (営業外損益および経常利益)
 当連結会計年度の営業外損益は120百万円の利益(前連結会計年度6百万円の利益)となりました。この結果、当連結会計年度の経常利益は401百万円(前連結会計年度1,105百万円)と、704百万円(63.7%)の減益となりました。
 
 (特別損益)
 当連結会計年度の特別利益は285百万円(前連結会計年度418百万円)となり、133百万円減少しました。
  また、特別損失は1,207百万円(前連結会計年度231百万円)となり、975百万円増加しました。当連結会計年度は固定資産撤去費用引当金繰入額や台風被害に伴う復旧費用が発生したことによるものです。
 
 (法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益および親会社株主に帰属する当期純損失)
 当連結会計年度の法人税等は△241百万円(前連結会計年度725百万円)となりました。これに非支配株主に帰属する当期純利益5百万円を減じた結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は285百万円(前連結会計年度は556百万円の利益)となり、842百万円の悪化となりました。

 

 

 ③財政状態の分析

 (流動資産)
 当連結会計年度末における流動資産の残高は11,272百万円(前連結会計年度末11,671百万円)となり、399百万円(3.4%)減少しました。主にその他(法人税還付金)が減少したことによるものです。
 
 (固定資産)
 当連結会計年度末における固定資産の残高は91,999百万円(前連結会計年度末90,374百万円)となり、1,624百万円(1.8%)増加しました。主に投資有価証券の時価上昇による投資その他の資産が2,877百万円増加したことによるものです。
 
 (流動負債)
 当連結会計年度末における流動負債の残高は20,768百万円(前連結会計年度末22,326百万円)となり、1,557百万円(7.0%)減少しました。借入金が2,359百万円減少した一方で、固定資産撤去費用引当金473百万円を計上したことが主な要因となっております。
 
 (固定負債)
 当連結会計年度末における固定負債の残高は56,063百万円(前連結会計年度末54,995百万円)となり、1,068百万円(1.9%)増加しました。主に長期借入金が1,454百万円増加したことによるものです。
 
 (純資産)
 当連結会計年度末における純資産の残高は26,438百万円(前連結会計年度末24,724百万円)となり、1,713百万円(6.9%)増加しました。主にその他有価証券評価差額金が2,419百万円増加したことによるものです。

 

 ④資本の財源及び資金の流動性についての分析

 (ア)キャッシュ・フローの分析
 キャッシュ・フローの分析につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 (イ)資金調達と流動性
 当社グループは、事業活動のための資金確保、流動性の維持ならびに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの確保に努めております。その施策の一つとして、キャッシュマネジメントシステムの導入によるグループ各社の余剰資金の一元管理を行い、資金効率の向上を図っております。また、複数の金融機関と総額で220億円の当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結することにより、資金調達リスクに対する補完措置がなされております。
  また安定的な資金調達の一環として長期借入金の比率を高めており、当連結会計年度末の借入金残高は44,469百万円、その内訳として、短期借入金の残高は3,230百万円、長期借入金(一年以内に返済期限の到来する長期借入金を含む)の残高は41,238百万円となっております。

 

 

 ⑤戦略的現状と見通し

 当社は、5ヵ年の中期経営計画を策定し、2020年度からスタートいたします。「自己変革と挑戦」をスローガンに掲げ、前半は「基盤強化」の段階であり投資が先行しますが、3年以内に構造改革を完了させ、4年目以降に収益拡大を目指してまいります。

 中期経営計画の初年度となる2020年度は、東京オリンピック、パラリンピックを契機とした観光需要の高まりが期待できる一方、宿泊事業では、供給過剰となるエリアにおいて価格競争の激化が想定されます。また、異常気象を起因とする自然災害リスクが増大しており、足元では新型コロナウイルス肺炎の影響もあり、先行きは極めて不透明な状況と認識しております。

 このような状況下において、当社グループでは、WHG事業は、2019年に開業した「ホテルグレイスリー大阪なんば」、「ホテルタビノス浜松町」の通期稼働効果に加え、販売手法の強化や新システムの導入等により生産性を上げ、収益の最大化を図ります。ラグジュアリー&バンケット事業は、「ホテル椿山荘東京」の品質向上を最優先に取り組み、お客さまにわかりやすい商品戦略の展開と主要事業である婚礼・宴会事業の機能強化をいたします。リゾート事業は、2023年開業予定の箱根小涌園新ホテルの開業準備を進めるとともに、既存施設(天悠、ユネッサン)のさらなるお客さま満足度の向上、生産性向上を図り、箱根の事業基盤を構築してまいります。

 以上の結果、2020年度の業績予想は下記のとおりで、今般発生した新型コロナウイルス肺炎影響を含めて算出しており、その影響額は、連結全体で売上高は12億円の減収、営業利益は10億円の減益を見込んでおります(セグメント別では、WHG事業は、売上高9.8億円の減収、営業利益8.5億円の減益、ラグジュアリー&バンケット事業は、売上高0.7億円の減収、営業利益0.5億円の減益、リゾート事業は、売上高1.5億円の減収、営業利益1億円の減益を見込んでおります)。なお、新型コロナウイルス肺炎による影響は、中国からの訪日旅行需要の減少が3か月程度続くものと想定し設定しておりますが、今後の状況によっては異なる可能性があります。

 

連結およびセグメント別の業績予想は下表のとおりです。

 

2020年12月期の連結業績予想(2020年1月1日~2020年12月31日)

(単位:百万円)

 

第2四半期(累計)

通期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

 

当初計画

33,200

△ 1,300

△ 1,300

△ 900

72,200

1,600

1,600

1,100

連結合計

※(影響額)

(△ 1,200)

(△ 1,000)

(△ 1,000)

(△ 700)

(△ 1,200)

(△ 1,000)

(△ 1,000)

(△ 700)

 

今回予想

32,000

△ 2,300

△ 2,300

△ 1,600

71,000

600

600

400

 

 

※今般発生した新型コロナウイルス肺炎影響額を見込んでおり、その影響額を当初計画していた予想数値から差し引いて、今回予想としております。なお、新型コロナウイルス肺炎による影響は、中国からの訪日旅行需要の減少が3か月程度続くものと想定し設定しておりますが、今後の状況によっては異なる可能性があります。

 

セグメント別業績予想

(注)2020年度より組織変更に伴い、営業施設等の属するセグメントを一部変更しており、以下のセグメント別業績予想は変更後の区分により作成しております。

(単位:百万円)

 

第2四半期(累計)

通期

売上高

営業利益

売上高

営業利益

今回予想

前期比

今回予想

前期比

今回予想

前期比

今回予想

前期比

WHG事業

17,300

1,094

550

1,597

38,850

1,220

2,450

195

ラグジュアリー&バンケット事業

10,600

414

400

185

22,600

211

50

15

リゾート事業

2,500

181

750

115

5,800

9

750

189

30,400

1,690

1,700

1,898

67,250

1,441

1,650

399

その他

2,900

33

550

223

6,350

446

950

91

調整額(※)

1,300

51

50

23

2,600

151

100

11

連結合計

32,000

1,605

2,300

2,146

71,000

2,039

600

319

 

※ 調整額・・・セグメント間取引消去および各報告セグメントに配分しない全社費用であります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。 

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。