第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 藤田観光グループでは、「健全な憩いの場と温かいサービスを提供することによって、潤いのある豊かな社会の実現に貢献したいと願っております」を社是とし、これに基づいて具体的な指針となる経営指針および行動指針を定めております。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、中長期的な経営基盤の強化と持続的成長を図るため、2020年から2024年までの「中期経営計画」を策定し、主要戦略に基づき、目標達成に向け準備を進めてまいりました。

 しかしながら、2019年末に発生した新型コロナウィルス感染症拡大の影響は、2020年度単年度の業績にとどまらず、会社存立に重大な影響を及ぼす水準にまで達し、債務超過も危ぶまれるほど当社の経営は逼迫いたしました。また、当社事業の脆弱さ・構造的な課題が顕在化するなど、これまで不十分であった取組みや先送りしていた課題が浮き彫りとなりました。
 現下の厳しい経営環境は、外的要因によるものだけではなく、当社の風土等の内部要因にも起因しているものであると強く認識しております。

 スタートしたばかりの「中期経営計画」については、事業構造等に関する課題認識は変わらないものの、策定時に前提としていた条件や事業環境が大きく変化したことから主要戦略を見直すこととし、再建に向けた「事業計画」を新たに策定いたしました。
 積年の課題と正面から向き合い、長期にわたり従業員の痛みを伴う「自己変革と挑戦」となりますが、必ず会社を再建するという「志」を胸に全従業員一丸となって本事業計画を推し進めてまいります。
 

●事業計画(2021~2025)の主要戦略と骨子

 

主要戦略

骨子

Ⅰ.構造改革の推進

足元の止血を最優先に、コスト削減、不採算事業対策、賃金、雇用に対する対策、人事制度改革等、事業構造の再構築を推進

Ⅱ.事業ポートフォリオの見直し

・短期的には、with/afterコロナにおける、マーケティング・ブランディング強化を推進

・中長期的には、自社保有資産の活用・再開発、WHG事業のビジネスモデル変革等の成長戦略を推進

Ⅲ.経営管理体制の強化

外部環境の変化に耐えうる経営基盤を構築

 

 

 

●事業計画の概要
 Ⅰ.構造改革の推進
①労務費改革:早期希望退職、役員報酬カット、給与・賞与カット、社外出向等以下の人件費削減策を実施します。

 

主要戦略

骨子

早期希望退職

対象:40歳以上且つ勤続10年以上の社員等

役員報酬カット、給与・賞与カット

・役員は業績報酬の不支給に加え25%~55%カット
・従業員は賞与不支給、給与減額で合計13%~31%カット

その他雇用調整

新規採用の無期限停止、社外出向、ヘルプ体制の強化

 

 

②コスト改革:客室清掃・警備・食器洗浄等の外注業務の内製化、新規出店の見直し、賃料減額交渉等を実施します。
③不採算事業所対応:営業縮小、コスト対策を実施してもなお赤字継続が見込まれる事業については、可及的速やかに撤退します。
④人事制度改革:従業員のモチベーション向上と良い人材の確保を目的に、育成・評価等の見直しを含めた新人事制度を導入します。
 

 Ⅱ.事業ポートフォリオの見直し
①短期・足元対策:マーケティング・ブランディングの強化、デジタルマーケティングの確立など、基盤整備を実施します。
②中長期・抜本対策:商品力・事業競争力の強化を目的とした、自社保有の「ホテル椿山荘東京」と「箱根小涌園」への大型投資と、既存WHGホテルにおける収益性向上を目的としたビジネスモデルの再構築を行います。
 

 Ⅲ.経営管理体制の強化
①戦略・プロセスの明確化とモニタリング強化:より迅速に課題を把握し、対策立案と意思決定を行うため、モニタリングの仕組みを再構築するなど管理体制を強化します。
②新規事業開発時の対応強化:事業形態・契約形態等の見直しにより、赤字リスク最小化と収益最大化を図ります。
 

 

Ⅳ.数値計画
①事業計画:数値計画

 事業計画の中核である「事業構造改革」を中心に、すでに会社再建に向けた各施策を推進しておりますが、1月7日に政府より発出された緊急事態宣言およびその延長により、現時点においては、需要回復の時期が見通せず、事業計画初年度である2021年度の業績予想を合理的に試算することが困難であるため、数値目標については、緊急事態宣言の解除後を目途に公表することを検討しております。

②必要資本の調達および成長戦略

 当社グループでは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による財務状況の悪化をふまえ、毀損した資本を早期に増強し、財務状況の改善および経営基盤の強化を行うことが喫緊の課題であると認識し、様々な資金調達・資本増強の方法について検討を進めてまいりました。資金調達においては、昨年4月に手元資金を厚くすることを目的に、金融機関より緊急的な追加借入を実施いたしました。資本増強につきましては、様々な方法を検討いたしましたが、Go Toトラベルキャンペーンの一時停止や緊急事態宣言の発出等、更なる事業環境の悪化を受け、今後の業績回復の目途が不透明であることなどから、十分な調達額が見込めず、調達を断念いたしました。このような状況の中、当社グループ存続のための選択肢として事業用資産も含めた保有資産の売却を検討せざるを得ない状態となり、その結果、2021年2月12日開示の「固定資産の譲渡及び特別利益の計上に関するお知らせ」のとおり、「太閤園」の土地・建物を売却し、営業を終了することといたしました。

 この売却により、約329億円の特別利益の発生が見込まれ、2021年12月期第1四半期決算において計上する予定です。なお、2021年3月31日の引き渡しを予定しておりますが、「太閤園」は2021年6月30日まで営業を継続いたします。

 売却によって得た資金・資本については、新型コロナウイルス感染症の影響が収束するまでの運転資金、および本事業計画における早期希望退職等の構造改革策を推進する費用、ならびに今後の「ホテル椿山荘東京」「箱根小涌園」への投資やWHG事業の構造改革など、成長のための原資とすることを予定しております。

 

 

 Ⅴ.セグメント別戦略
①WHG事業
 販売力の強化と競合ホテルとの差別化が優先課題であり、より一歩踏み込んだコストの見直しと併せて、以下の取り組みを中心に進めてまいります。

 

主要戦略

主な取り組み

1.付加価値の向上

<商品造成・営業強化による顧客獲得・単価向上>
高付加価値商品造成、デジタルマーケティング・ブランディング、イールドマネジメント(*)強化等

2.コスト優位性の確立

<業務内容や事業運営の抜本的見直しによるコスト削減>
本部・販管業務の集約、現場業務の合理化および内製化、要員配置の見直し、不採算事業対策等

3.ビジネスモデルの見直し

ローコストオペレーションの横展開、出店形態の見直し

 

 (*)需要予測に応じて販売価格・量をコントロールする手法

 

②ラグジュアリー&バンケット事業
 コロナ禍以前より、収益力低下が課題であった「ホテル椿山荘東京」を再建するため、以下の取り組みを中心に進めてまいります。

主要戦略

主な取り組み

1.椿山荘ブランド再生

 <ホテルの付加価値向上、婚礼の品質改善>
庭園プロモーション等への取組み、料理・サービス・付帯商品の品質向上等による婚礼ブランド再構築

2.組織の活性化(運営体制改編)

 <余剰人員の有効活用、業務の内製化>
組織を横断した働き方の実現、外部委託業務内製化の更なる進化

3.資産活用策

 <ブライダル需要の減退に対応した資産の有効活用>

低稼働の宴会場や客室等の有効活用策について検討

 

 

③リゾート事業
 変化する顧客ニーズへ対応し、箱根再開発と併せ以下の取り組みを中心に進めてまいります。

主要戦略

主な取り組み

1.資産活用策(再開発)

 <広範な顧客層を取り込むための再開発>
「箱根ホテル小涌園」「箱根小涌園ユネッサン」の再開発、新たなスキームの検討

2.顧客への訴求力強化

 <マーケティング活動の強化と提供価値の向上>
販売チャネル、近隣とのタイアップ、顧客体験の強化

3.コスト構造改革

間接部門のスリム化、マルチタスク化によるコスト構造の見直し

 

 

④本社・その他・共通事項

 全社共通事項として、販管部門のスリム化、現場運営体制の見直しを行い、生産性を向上します。当該セグメントにおいても、本社のスリム化、所管事業の不採算対策を実施します。
 

 コロナ禍の影響を受け、危機的状況となった会社の再建に向け、不退転の決意をもって事業構造改革に取り組むとともに、持続的成長が可能な事業ポートフォリオの見直しにも着実に取り組んでまいります。
 

 

 

 

2 【事業等のリスク】

 当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を下記のとおり記載いたします。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合はその対応に最大限の努力をする所存であります。
  下記事項には、将来に関するものが含まれておりますが、当該事項は当連結決算年度末(2020年12月31日)現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。

 

①株価の変動
  当社グループは、取引先や関連会社を中心に市場性のある株式を146億円保有しており、株価変動のリスクを負っております。当連結会計年度末で市場価格により評価すると含み益となっておりますが、今後の株価の動向次第で業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 

 

②減損損失の計上
  当社グループは、ホテル建物等の有形固定資産を当連結会計年度末で584億円保有しておりますが、今後一定規模を上回る不動産価額の下落や事業収支の悪化が発生した場合、有形固定資産の一部について減損損失が発生する可能性があります。

 

③賃借した不動産の継続利用もしくは中途解約
  ワシントンホテル等ホテル事業においては、ホテル不動産を長期に賃借しているものがあり、不動産の所有者が破綻等の状態に陥り、継続利用が困難となった場合には業績に悪影響が生じる可能性があります。また、長期賃貸借契約の途中で、何らかの事情に基づき当社グループの意図により契約を中途解約することがあった場合、残存期間分の未経過賃料802億円のうちの一部について、賃料の支払もしくは補填の義務が生じる可能性があります。

 

④自然災害および流行性疾患の発生

 大地震、噴火、台風、異常気象等の自然災害や、新型コロナウイルス感染症、新型インフルエンザ等の流行疾患が発生した場合は、営業の一時停止や旅行の取りやめ、海外からの入国規制や渡航自粛によるインバウンド需要の減退等により、当社グループの財政状態や業績に悪影響を与える可能性があります。
 

⑤不動産周辺事業からの撤退損失
  当社グループでは従前、不動産分譲事業を活発に行なっていた時期があり、現在でも道路、水道等インフラや不動産管理等の周辺事業を引き続き行なっていますが、これらの多くのものは低採算または不採算であり、これらの事業からの撤退を決めた場合、相応の額の損失が一時的に発生する可能性があります。

 

⑥繰延税金資産
  当社グループは将来減算一時差異等に対し、34億円の繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産は、将来の課税所得等に関する予測に基づき回収可能性を検討し計上していますが、実際の課税所得が予測を大幅に下回った場合などには回収可能性の見直しを行い、回収可能額まで繰延税金資産を取崩すことにより、当社グループの業績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

⑦食中毒等の事故
  安全衛生には十分注意を払っておりますが、万が一食中毒等が発生した場合は、お客さまの信認を損ね、また営業の一時停止などが生じる可能性があります。

 

⑧円金利の変動
  当連結会計年度末における借入金647億円のうち、126億円は変動金利による借入となっており、今後国内景気の回復により円金利が上昇すると、金利負担の増大を招く可能性があります。

 

⑨為替の変動
  当社グループは、海外事業の営業活動により生ずる収益・費用および債権・債務が外貨建てであり、海外連結対象会社の財務諸表を日本円に換算する際、為替変動により影響を受ける可能性があります。

 

 

⑩継続企業の前提に関する重要事象等

  新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、入国制限によるインバウンドの急激な減少や、国内の観光およびビジネス需要の減退、婚礼・宴会の延期やキャンセルが発生しているとともに、政府による緊急事態宣言の発出を受けた営業休止、営業規模縮小などの影響により売上高が著しく減少しており、現時点においては継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在していると考えられます。
 また、今後も感染拡大が収束せず、外出自粛などによる国内及び海外経済の停滞が長期にわたる場合には、当社グループの経営成績にさらなる影響を及ぼす可能性があります。
  このような状況の中、当社グループでは役員報酬や従業員賞与の減額、賃料減額の交渉などのコスト対策を実施するとともに、当該影響が長期化した場合を想定し、投資有価証券や固定資産の売却も含めた資金計画に基づき、事業資金を確保できる体制を構築しています。これらの対応策を継続して実施することにより、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により世界規模で急激な経済停滞に陥りました。日本国内においては入国制限に伴うインバウンドの大幅な減少に加え、政府からイベントの開催や外出の自粛要請が出されるなど、観光業界にとっては極めて厳しい事業環境が続きました。
 当社グループでは、お客さまと従業員の安心・安全を第一優先にした事業運営を行いつつ、未曽有の事態に対応するべく、コスト削減や組織の見直しなどの徹底した合理化を推進するとともに、従業員の雇用調整に伴う助成金制度、Go Toトラベルキャンペーンなど、政府施策に沿った対応も併せて行ってまいりました。
 コスト削減策としては、従業員の一時帰休を実施するとともに休業期間を利用した従業員への教育研修を行い、雇用調整助成金制度を活用したことに加えて、4月以降複数回にわたる役員報酬の減額実施、従業員の給与・賞与の減額や不支給を行うなど人件費の削減にも着手いたしました。さらに従来、外部委託をしていた客室清掃や食器洗浄などの業務の内製化、各ホテル・店舗貸主との賃料減額交渉、計画の再精査による投資の見送りや広告宣伝費の抑制などの施策を進めてまいりました。
 

主なコスト削減策

従業員の一時帰休

・社員、契約社員、パートアルバイトなど全従業員約5,500名を対象に、

  月平均6日の一時帰休を実施

・雇用調整助成金約31億円を特別利益として計上

役員報酬の減額

・4月より月額報酬を減額

・9月以降は代表取締役の50%削減をはじめ、さらなる減額を実施

従業員の処遇変更

・夏季賞与を3分の2減額、冬季賞与支給なし

・11月以降、管理職の基本給5%減額

・時間外、深夜等の各種割り増し手当の規定見直し

委託業務内製化と

契約見直し

・客室清掃や食器洗浄などの外注業務の内製化

・稼働状況に合わせた契約内容の見直しにより、労務費を削減

賃料の減額

・WHG事業他、すべての賃貸事業所において賃料減額を交渉

投資計画の見送り

・計画の再精査により不急の投資案件を見送り

その他費用の削減

・広告宣伝費などの抑制

 

 

 

 営業面においては、お客さまと従業員の感染リスク回避のため、各事業所に専門の教育を受けた「環境スーパーバイザー」を配置し、環境衛生対策を徹底する体制を整えた上で、施設ごとの特長を活かした付加価値の高い商品を前面に展開し、収益の最大化に努めてまいりました。リゾート事業を中心にこれらの施策が奏功し、7月に開始されたGo Toトラベルキャンペーンにより喚起された国内観光需要を着実に取り込み、東京発着の旅行がキャンペーン対象に追加されてからはさらに回復基調となりました。しかしながら、インバウンド需要の消失や、政府による緊急事態宣言の発出を受けて実施した営業休止や営業規模縮小の影響は大きく、この数年来、収益の柱として堅調に推移してきたWHG事業を中心とする宿泊事業が、特に大きな打撃を受けました。また、婚礼・宴会事業においても延期やキャンセルが多数発生し、業績への影響は過去に例がないほど厳しいものとなりました。
 これらの結果、当連結会計年度の当社グループ全体の売上高は前期比42,311百万円減収の26,648百万円となりました。また、徹底したコスト削減により営業費用を前期比で約214億円削減したものの、営業損失は前期比20,891百万円悪化の20,611百万円、経常損失は前期比21,331百万円悪化の20,930百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失につきましては営業休止中に事業所で発生した固定費(人件費・減価償却費など)を特別損失で計上した一方で、雇用調整助成金などを特別利益で計上した結果、前期比22,141百万円悪化の22,427百万円となりました。
 

 

 

当連結会計年度の業績の概要およびセグメント別の営業概況は以下のとおりです。

 

 

当連結会計年度の業績の概要                      (単位:百万円)

 

当連結会計年度

前期比

増減率

売上高

 26,648

△42,311

△ 61.4%

営業損失(△)

△20,611

△20,891

経常損失(△)

△20,930

△21,331

親会社株主に帰属
する当期純損失(△)

△22,427

△22,141

(参考)

 

 

 

EBITDA

△16,198

△21,409

 

 

セグメント別売上高・営業利益

 

売上高

営業損失(△)

実績

前期比

実績

前期比

WHG事業

10,355

△27,274

△13,669

△15,923

ラグジュアリー&バンケット事業

9,897

△12,491

△4,716

△4,651

リゾート事業

4,220

△1,569

△769

169

その他(調整額含む)

2,175

△976

△1,455

△485

合計

26,648

△42,311

△20,611

△20,891

 

(注)1.調整額は、セグメント間取引消去および各セグメントに配分していない全社費用です。

   2.当連結会計年度より、組織変更に伴い、営業施設の属するセグメントを一部変更しております。このため、

 前連結会計年度のセグメント情報は、変更後のセグメント区分に組替えて比較しております。

 

(WHG事業)

 WHG事業では、先述のとおり厳しい事業環境であるため、客室清掃などの外部委託業務の内製化を進めるとともに各ホテル建物貸主との賃料減額交渉を行い、合理化とコストの削減を行ってまいりました。また9月より神奈川県からの要請を受け、新型コロナウイルス感染症軽症者の受け入れ施設として「横浜伊勢佐木町ワシントンホテル」を提供(一棟有償借上げ)することで、逼迫する地域医療の負担軽減に努めてまいりました。また、政府による入国規制緩和の動きを見据え、レジデンストラック(入国・帰国後の14日間の自宅等待機が求められる)などでのインバウンド宿泊受け入れ態勢の強化のほか、7月15日には「ホテルタビノス浅草」(278室)を開業するなどコロナ収束後に向けた先々の集客に繋がる施策も併せて進めてまいりました。
 邦人利用比率の高い「仙台ワシントンホテル」などは6月の国内移動制限解除後から回復を見せておりましたが、Go Toトラベルキャンペーンにより国内の観光需要が喚起されたこともあり、7月以降は観光需要の高い地方事業所においても回復傾向が見られ、10月以降はビジネス需要のある都内事業所の稼働率も徐々に改善してまいりました。
 しかしながら、大幅な宿泊需要減退に伴う客室稼働率の低下が継続した結果、当セグメントの売上高は、前期比27,274百万円減収の10,355百万円、営業損失(セグメント損失)は、前期比15,923百万円悪化の13,669百万円となりました。

 

(ラグジュアリー&バンケット事業)

ラグジュアリー&バンケット事業の婚礼部門においては、3密回避などの政府からの自粛要請以降、「ホテル椿山荘東京」や「太閤園」において式の延期やキャンセルが相次ぐとともに、新規予約についても見合わせる動きが顕著となりました。そのような状況のなか、当社を含めたウエディング業界18社が発起人となり、一丸でwithコロナ時代の祝福の場の実現を目指す「New Normal for HAPPY WEDDING宣言」を策定し、オンライン打合わせの導入など新たな取り組みを実施しました。しかしながら延期やキャンセルの影響が大きく、売上高は前期比6,268百万円減収の4,052百万円となりました。
 宴会部門においても同様の影響により法人を中心に需要が減退し、売上高は前期比3,524百万円減収の1,380百万円となりました。
 一方で、宿泊部門においては、国内外の宿泊需要減退の影響を受けたものの、「ホテル椿山荘東京」の開業70周年(2022年)に向けた庭園プロジェクト「東京雲海」のメディア露出増に加え、1都3県を中心にした近隣顧客取り込み施策の実施や、東京発着旅行がGo Toトラベルキャンペーンの対象に追加されたことを機に客室稼働率は好調に推移し、宿泊客の増加に伴い料飲部門も回復傾向に転じました。
 これらの結果、ゴルフ部門等を加えた当セグメント全体の売上高は前期比12,491百万円減収の9,897百万円、営業損失(セグメント損失)は、前期比4,651百万円悪化の4,716百万円となりました。

 

(リゾート事業)

 リゾート事業の宿泊部門においては国内外の宿泊需要の減退により、客室稼働率が大きく低迷しましたがGo Toトラベルキャンペーン開始以降、政府による補助額(通常料金からの割引額)が大きく、かつ高付加価値で3密を回避できるプライベート感を有した「箱根小涌園 天悠」と「藤乃煌 富士御殿場」の稼働率が急激に回復いたしました。さらに、ワーケーションなどコロナ禍における新たな需要に対応したプランを展開し、8月には両施設とも開業以来最高の稼働率を記録するなど好調に推移いたしました。また箱根小涌園に隣接する明治16年創業の老舗旅館「三河屋」を取得し、「箱根小涌園 三河屋旅館」(25室)として10月2日に開業し、当該事業の核を担う箱根の再開発も着実に進めてまいりました。3月1日に営業を終了した「由布院 緑涌」(10室)を含めた当部門全体の売上高は、前期比951百万円減収の2,750百万円となりました。
 日帰り・レジャー部門では、「箱根小涌園ユネッサン」において、年初より人気アニメ「エヴァンゲリオン」とのコラボレーションにより入場人員の獲得を図るとともに、入場を完全予約制にするなど感染予防対策にも努めてまいりました。3月から暫くの間は外出自粛等により入場人員が大幅に減少しましたが、7月以降は回復傾向に転じ、「下田海中水族館」を加えた当部門全体の売上高は前期比600百万円減収の875百万円となりました。
 これらの結果、当セグメントの売上高は前期比1,569百万円減収の4,220百万円、営業損失(セグメント損失)は、前期比169百万円改善し769百万円となりました。第4四半期(10月~12月)における売上高は前年を上回っており、全セグメントのなかで当事業が最も早い回復を見せております。

 

 ②財政状態の状況

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して6,675百万円減少の96,595百万円となりました。流動資産は売掛債権等の減少により1,122百万円減少、固定資産は主に投資有価証券の売却や時価下落により5,553百万円減少いたしました。
 また負債は、前連結会計年度末と比較して18,415百万円増加の95,248百万円となりました。新型コロナウイルス感染症による業績影響を鑑み、手元資金を厚くすることを目的に借入を行った結果、借入金が20,328百万円増加したことが主な要因であります。なお、当連結会計年度末の借入金残高は64,797百万円となりました。
 純資産は、前連結会計年度末と比較して25,091百万円減少の1,347百万円となりました。利益剰余金が22,787百万円減少したことが主な要因であります。
 

 ③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金および現金同等物は3,697百万円となり、前連結会計年度末から348百万円増加いたしました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは、17,069百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比22,016百万円の支出増)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純損失23,173百万円を計上したことなどによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローは、2,412百万円のキャッシュ・アウト(前年同期比1,083百万円の支出減)となりました。「ホテルタビノス浅草」「箱根小涌園 三河屋旅館」などの新規開業に伴う投資を行った結果、有形及び無形固定資産の取得による支出が4,079百万円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは、19,831百万円のキャッシュ・イン(前年同期比21,299百万円の収入増)となりました。借入金の調達による20,326百万円の収入増加が主な要因です。
 

 ④生産、受注及び販売実績

(ア)  生産実績

該当事項はありません。

 

(イ)  受注状況

該当事項はありません。

 

(ウ)  販売実績

当社グループは、WHG事業、ラグジュアリー&バンケット事業およびリゾート事業の各事業を主な内容とし、更に各事業に関連するサービス等の事業活動を展開しています。

セグメントごとの販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

WHG事業

10,355

△72.5

ラグジュアリー&バンケット事業

9,897

△55.8

リゾート事業

4,220

△27.1

その他(調整額含む)

2,175

△31.0

合計

26,648

△61.4

 

(注)  1 調整額は、セグメント間取引消去および各セグメントに配分していない全社費用であります。

   2 当連結会計年度における販売実績の著しい変動は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う国内外の観光需要

     の大幅な減退により、市場環境が悪化したことによるものです。

      3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
  

 ①重要な会計方針及び見積り
 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っておりますが、この見積りは不確実性が伴うため実際の結果と異なる場合があり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
 
 ②経営成績の分析
 (売上高)
 当連結会計年度の売上高は26,648百万円(前連結会計年度68,960百万円)となり、42,311百万円(61.4%)の減収となりました。新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンドの減少、4月の緊急事態宣言発出を受けた営業休止や営業規模縮小を主因に減収となりました。
 
 (売上原価および売上総損失)
 当連結会計年度の売上原価は44,091百万円(前連結会計年度64,226百万円)となり、20,135百万円(31.4%)の減少となりました。営業休止中に発生した固定費(人件費、減価償却費)を営業休止損失として特別損失に計上した他、コスト削減により変動費が減少した結果、当連結会計年度の売上総損失は17,443百万円(前連結会計年度4,733百万円の利益)となり、22,176百万円の悪化となりました。
 
 (販売費及び一般管理費ならびに営業損失)
  当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,168百万円(前連結会計年度4,452百万円)となり、1,284百万円(28.8%)の減少となりました。当連結会計年度の営業損失は20,611百万円(前連結会計年度280百万円の利益)と前期比20,891百万円の悪化となりました。
 
 (営業外損益および経常損失)
 当連結会計年度の営業外損益は318百万円の損失(前連結会計年度120百万円の利益)となりました。この結果、当連結会計年度の経常損失は20,930百万円(前連結会計年度401百万円の利益)と、21,331百万円の悪化となりました。
 
 (特別損益)
 当連結会計年度の特別利益は助成金収入等の計上により3,824百万円(前連結会計年度285百万円)となり、3,539百万円増加しました。
  また、特別損失は営業休止損失等の計上により6,067百万円(前連結会計年度1,207百万円)となり、4,860百万円増加しました

 
 (法人税等、非支配株主に帰属する当期純損失および親会社株主に帰属する当期純損失)

 当連結会計年度の法人税等は△740百万円(前連結会計年度△241百万円)となりました。これに非支配株主に帰属する当期純損失5百万円を加えた結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は22,427百万円(前連結会計年度は285百万円の損失)となり、22,141百万円の悪化となりました。

 

 

 ③財政状態の分析

 (流動資産)
 当連結会計年度末における流動資産の残高は10,149百万円(前連結会計年度末11,272百万円)となり、1,122百万円(10.0%)減少しました。主に受取手形及び売掛金が減少したことによるものです。
 
 (固定資産)
 当連結会計年度末における固定資産の残高は86,446百万円(前連結会計年度末91,999百万円)となり、5,553百万円(6.0%)減少しました。主に投資有価証券の売却や時価下落により投資その他の資産が2,681百万円減少したことによるものです。
 
 (流動負債)
 当連結会計年度末における流動負債の残高は25,197百万円(前連結会計年度末20,768百万円)となり、4,428百万円(21.3%)増加しました。借入金が6,256百万円増加したことが主な要因です。
 
 (固定負債)
 当連結会計年度末における固定負債の残高は70,051百万円(前連結会計年度末56,063百万円)となり、13,987百万円(25.0%)増加しました。主に長期借入金が14,071百万円増加したことによるものです。
 
 (純資産)
 当連結会計年度末における純資産の残高は1,347百万円(前連結会計年度末26,438百万円)となり、25,091百万円(94.9%)減少しました。利益剰余金が22,787百万円減少したことが主な要因です。

 

 ④資本の財源及び資金の流動性についての分析

 (ア)キャッシュ・フローの分析
 キャッシュ・フローの分析につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 (イ)資金調達と流動性
 当社グループは、事業活動のための資金確保、流動性の維持ならびに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの確保に努めております。その施策の一つとして、キャッシュマネジメントシステムの導入によるグループ各社の余剰資金の一元管理を行い、資金効率の向上を図っております。また、複数の金融機関と総額で258億円の当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結することにより、資金調達リスクに対する補完措置がなされております。
  また安定的な資金調達の一環として長期借入金の比率を高めており、当連結会計年度末の借入金残高は64,797百万円、その内訳として、短期借入金の残高は8,985百万円、長期借入金(一年以内に返済期限の到来する長期借入金を含む)の残高は55,812百万円となっております。

 

 

 ⑤戦略的現状と見通し

 昨年度から中期経営計画(2020年~2024年)を推進してまいりましたが、前提としていた足元の事業環境が計画策定時から大きく変化し、新型コロナウイルス感染症の業績への影響が会社の存立にかかわるほどの深刻なものであり、その回復には相当な期間を要すると認識しております。そのため、会社再建のための抜本策として、構造改革の推進、事業ポートフォリオの見直し、経営管理体制の強化を柱とした事業計画を新たに策定し、中核である「事業構造改革」を中心に、既に各施策を推進しております。数値目標については、1月7日に発出された緊急事態宣言およびその延長により、現時点においては、需要回復の時期が見通せず、事業計画初年度である2021年の業績予想を合理的に試算することが困難であるため、緊急事態宣言の解除後を目途に公表することを検討しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社は、2021年2月12日開催の取締役会において、固定資産の譲渡を決議し、同日付で譲渡契約を締結いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

譲渡資産の概要

資産の内容および所在地

面積

(所在地)大阪府大阪市都島区網島町9-10

(施設)宴会場、レストラン、ゲストハウス(桜苑)

土地:25,746.18㎡
建物:19,242.57㎡

 

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。