第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当事業年度のわが国経済は、低金利と安定した円相場を背景に、企業収益や雇用環境の改善が進み緩やかな回復基調で推移いたしましたが、米国政権運営の不安定化や北朝鮮情勢を巡る地政学的リスクに対する不確実性を受け、先行きは不透明な状況が続いております。

ホテル業界におきましては、長雨、台風などの天候不順などの影響もありましたが、格安航空会社の路線拡充や訪日クルーズ船寄港数の増加などを背景に、過去最高のペースで伸びている訪日客数と、円安による国内旅行需要の増加などが後押しし、堅調な状況が続きました。

こうした環境の下、昨年12月に開業90周年という節目の年を迎えた当社は、「受け継ぐ先人の思い。歴史の美学。」をコーポレートスローガンに、社員全員で新たな一歩を着実に踏み出しました。事業継承に向けた体制づくりと安定した利益確保のため、①日本におけるクラシックホテル文化の歴史と伝統の継承、②開港都市横浜の迎賓館として、地域の発展に貢献、③クラシックホテル各社と連携して、日本のクラシックホテル文化を内外に広める、の3つのビジョン(経営の基本方針)を目指すべき企業像に掲げ、中期経営計画をスタートさせました。

日本におけるクラシックホテル文化の歴史と伝統の継承に関する諸施策といたしましては、開業90周年の謝恩企画を中心に、当社史上最高額となる特別宿泊プラン「ニューグランドづくし90」をはじめ、「復刻フルコース」「ウィスキー トディ」の販売など、新たなる着想による積極的商品展開により差別化を図り、併せて、この様なイベント・プロモーションのSNSによる情報発信強化と、公式Facebook、Instagramからホームページへの誘導とデータ解析により、若年層への認知度拡大を図りました。また、組織改革として、社長直轄の組織となるCS推進室を創設して婚礼事業全般の課題を解決すべくウェディング改革プロジェクトを立ち上げ、ブライダルに特化した商品企画・人材育成等を主な業務とするウェディングマーケティング課を新設し、婚礼事業の強化を進めてまいりました。さらには、管理本部を新たに創設し、内部統制・コンプライアンス体制の徹底に努めるとともに、継続的な新卒採用により人材の確保育成にも取り組んでまいりました。

開港都市横浜の迎賓館として、地域の発展に貢献に関しましては、昨年11月、当社は株式会社そごう・西武に対して第三者割当による自己株式の処分を行いました。株式会社そごう・西武は、一昨年に当ホテル本館1階に、テナント「SOGOショップ」をオープンして、当社オリジナル商品等の販売等を行っておりますが、今般のアライアンスにより両社の強みを活かし、当社ブランドのみならず「横浜ブランド」商品の共同開発・販売を行うことで、将来にわたって共に地域の発展に貢献してまいりたく存じます。

クラシックホテル各社と連携して、日本のクラシックホテル文化を内外に広めることにつきましては、クラシックホテルの魅力と存在感を高めるとともに、周辺地域に相次いで新設されるホテル間での競争激化と、2020年の東京オリンピック・パラリンピック閉幕後の需要変動も視野に入れ、昨年11月に日本を代表する9つのクラシックホテルが連携する「日本クラシックホテルの会」を設立し、たいへん大きな反響をいただきました。今後も共同企画・販売や人材交流をすることで相乗効果を上げ、日本独自のホテルブランド向上を図り、長期的な競争優位性と顧客層の拡大に努めてまいります。

以上のような事業を展開してまいりましたが、主力事業である婚礼部門の売上減少や、給排水設備の破損による修繕更新費用の発生が影響し、今期は黒字回復を果たすことができず、課題を残す年となりました。

当事業年度の売上高は5,048,819千円(前事業年度比12.6%増)、営業損失は363,456千円(前事業年度は597,295千円の営業損失)、経常損失は367,914千円(前事業年度は601,532千円の経常損失)、当期純損失につきましては、ホテル事業において、「減損損失」3,384,846千円の計上により特別損失が増加したことから、4,092,892千円(前事業年度は940,397千円の当期純損失)となりました。

 なお、セグメント別の業績は以下のとおりであります。

(ホテル事業)

ホテル事業の当事業年度の業績は、売上高4,991,614千円(前事業年度比12.7%増)、営業損失402,425千円(前事業年度は629,623千円の営業損失)となりました。
 なお、主な部門別の売上高は、宿泊部門1,321,035千円(前事業年度比12.9%増)、食事部門1,462,882千円(前事業年度比29.2%増)、宴会部門1,825,460千円(前事業年度比5.8%増)となりました。
(不動産賃貸事業)

不動産賃貸事業の当事業年度の業績は、売上高57,204千円(前事業年度比0.3%減)、営業利益38,968千円(前事業年度比20.5%増)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ22,749千円減少し、596,849千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動による資金の増加は534,416千円(前事業年度は786,924千円の減少)となりました。主な増加要因は、減価償却費488,826千円、減損損失3,384,846千円、未収還付消費税等の減少額241,776千円、未払消費税等の増加額162,036千円であり、主な減少要因は税引前当期純損失3,754,650千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動による資金の減少は108,524千円(前事業年度は2,203,609千円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出110,564千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動による資金の減少は448,641千円(前事業年度は1,270,852千円の増加)となりました。主な増加要因は、短期借入れによる収入300,000千円や、自己株式の処分による収入113,962千円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出620,000千円や自己株式の取得による支出241,886千円であります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前事業年度

(自 平成27年12月1日

    至 平成28年11月30日)

当事業年度

(自 平成28年12月1日

    至 平成29年11月30日)

金額(千円)

金額(千円)

ホテル事業

4,427,192

4,991,614

不動産賃貸事業

57,366

57,204

合計

4,484,558

5,048,819

 

 (注) 上記の金額には消費税及び地方消費税は含まれておりません。

 

(2) 飲食材料需給状況

摘要

期首在庫高
(千円)

当期入手高
(千円)

当期使用高
(千円)

期末在庫高
(千円)

第139期
(平成27年12月1日
~平成28年11月30日)

食料品

19,254

373,188

373,193

19,250

酒飲料品

23,905

63,905

62,232

25,577

第140期
(平成28年12月1日
~平成29年11月30日)

食料品

19,250

420,140

420,177

19,213

酒飲料品

25,577

76,158

76,076

25,659

 

 (注) 上記の金額には消費税及び地方消費税は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

昨年に開業90周年の記念すべき年を迎えた当社は、2017年度~2019年度までの中期経営計画をスタートいたしましたが、当社の第140期の業績は、婚礼の売上高が計画値を大幅に下回る、厳しい滑り出しとなりました。

当社は、基本方針・基本戦略は踏襲しながらも、マイルストーンの修正を図り、新たに2018年度~2020年度を対象とする、新中期経営計画を策定し、持続的な企業価値の向上と黒字転換を目指して、懸命に邁進してまいる所存でございます。

新中期経営計画実現のための基本方針と基本戦略は、以下のとおりでございます。

(1) 基本方針

①スローガン「受け継ぐ先人の思い。歴史の美学。」

②ミッション「明治の文明開化以来、西洋のホテル文化を日本において導入してきた先人たちの足跡を伝える横浜のクラシックホテルとして、歴史と伝統を継承しながら、地域の発展に貢献する。」

③ビジョン(経営の基本方針)

・日本におけるクラシックホテル文化の歴史と伝統の継承(歴史的建造物、クラシック料理など)。

・開港都市横浜の迎賓館として、地域の発展に貢献。

・クラシックホテル各社と連携して、日本のクラシックホテル文化を内外に広める。

(2) 基本戦略

①日本におけるクラシックホテル文化の歴史と伝統の継承

・50年後、100年後を見据えた施設造りを引き継ぎ推進

 (本館大規模改修+耐震改修済証取得、新館改修工事)

・ホテルニューグランドファンの新規開拓強化

 (神奈川県以外からの来訪促進やインバウンド施策を始動)

・ニューグランド伝統の味のスペシャルメニュー化や外販商品強化

・開業90周年(2017年12月1日)企画の推進

②開港都市横浜の迎賓館として、地域の発展に貢献

・山下公園通り会、横浜セントラルタウンフェスティバルの運営など、地域活性化施策への積極的参加

③クラッシクホテル各社(9ホテル)と連携して、日本のクラシックホテル文化を内外に広める

・クラシックホテル各社で「日本クラシックホテルの会」を結成し、勉強会、社員の相互交流、共同宣伝などを企画

 

新中期経営計画の数値目標は、以下のとおりでございます。

 

 

第141期

2018年11月期

(予想)

第142期

2019年11月期

(計画)

第143期

2020年11月期

(計画)

売上高

5,360百万円

5,574百万円

5,918百万円

営業利益

3百万円

15百万円

269百万円

来館人数

58万人

57万人

60万人

インバウンド比率

20%

25%

30%

修正キャッシュ・フロー

570百万円

780百万円

790百万円

 

    ※第141期及び第142期は、新館全客室の大規模改装工事を予定しております。

    ※「修正キャッシュ・フロー」=営業キャッシュ・フロー + 修繕費

 

当社の本館建物は建造より90年が経過した今でも、創業当時の容姿を変えることなく現在に至っております。本館建物は横浜市より「歴史的建造物」に、経済産業省より「近代化産業遺産」に認定されております。また世界中の独立系の歴史的なホテルが加盟する組織「ヒストリック・ホテルズ・ワールドワイド」が毎年選ぶベスト・ヒストリック・ホテル賞(アジア/パシフィック地域)を2016年度に受賞いたしました。

本館建物をこの先さらに50年、100年ホテルの営業施設として維持していくことが最重要な経営目標と考え、損益の状況に拘らず必要な設備投資を実施いたします。

このため「修正キャッシュ・フロー」という独自の概念を数値目標としております。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)自然災害や感染症の発生

大規模地震や台風などの自然災害の発生は、当社の所有する建物、設備等に損害を及ぼし、一時的な営業停止による売上減や修復のための費用負担が発生する可能性があります。また、新型インフルエンザなどの感染症の発生や蔓延は、遠距離移動や団体行動の制限が予想され、当社の業績に影響する可能性があります。

(2)食の安全に関わる問題

当社は、平素より食に対する安全確保を使命とした「食品安全衛生対策会議」を毎月開催するなど、食品衛生管理には磐石な体制を構築しておりますが、ノロウイルスによる食中毒やBSEの発生等、食品衛生や食の安全、安心に関する問題が発生した場合、当社の業績に影響する可能性があります。

(3)個人情報の漏洩

顧客の個人情報の管理は、社内の情報管理担当が中心となり、外部への流出防止を行っておりますが、情報の漏洩が発生した場合、当社全体への信用の失墜や損害賠償等の費用負担により、当社の業績に影響する可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

当事業年度末における資産の部の残高は8,109,379千円(前事業年度末12,499,263千円)となり、4,389,884千円減少しました。うち流動資産は1,021,551千円(同1,423,254千円)と401,702千円減少し、固定資産は7,087,827千円(同11,076,009千円)と3,988,181千円減少しました。
 流動資産減少の主な要因は、繰延税金資産や未収還付消費税等の減少によるものであり、固定資産減少の主な要因は、減損損失計上であります。
 当事業年度末における負債の部の残高は5,273,412千円(前事業年度末5,451,609千円)となり、178,196千円減少しました。うち流動負債は2,098,579千円(同1,672,550千円)と426,028千円増加し、固定負債は3,174,832千円(同3,779,058千円)と604,225千円減少しました。
 流動負債増加の主な要因は、短期借入金や未払消費税等の増加によるものであり、固定負債減少の主な要因は、長期借入金の減少によるものであります。
 当事業年度末における純資産の部の残高は2,835,966千円(同7,047,654千円)となり、4,211,687千円減少しました。
 純資産減少の主な要因は、当期純損失の計上によるものであります。

(2)経営成績の分析

当事業年度の売上高は5,048,819千円(前事業年度比12.6%増)、営業損失は363,456千円(前事業年度は597,295千円の営業損失)、経常損失は367,914千円(前事業年度は601,532千円の経常損失)、当期純損失は4,092,892千円(前事業年度は940,397千円の当期純損失)となりました。

売上高につきましては、宿泊部門については、前事業年度に改修工事に伴う客室の販売休止があったことや、当事業年度において客室単価が上昇したことにより増収となりました。食事部門におきましても、前事業年度に改修工事に伴う店舗の営業休止があったことにより、当事業年度は増収となりました。宴会部門におきましても、前事業年度に改修工事に伴う宴会場の営業休止があったことにより、当事業年度は増収となりました。

経費面におきましては、ホテルの給排水設備の一部が破損したことによる修繕更新費用が発生しました。その他、ホテル事業において営業活動から生じる損益が継続してマイナスであることから、帳簿価額を全額回収できる可能性が低いと判断した資産グループについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失(3,384,846千円)として特別損失に計上したことにより、当期純損失を計上することとなりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

前掲の「1 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。