第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」を使命として小林一三により設立されて以来、映画・演劇を中心に、幅広い層のお客様に夢や感動、喜びをもたらす数多くのエンタテインメント作品をお届けしてまいりました。
 また、創業者の言葉である「吾々の享くる幸福はお客様の賜ものなり」を大切な価値観とし、「朗らかに、清く正しく美しく」をモットーに置き、事業の三本柱である「映画・演劇・不動産」のすべての事業において、公明正大な事業活動に取り組むと共に、常にお客様の目線に立ち、時代に即した新鮮な企画を提案し、世の中に最高のエンタテインメントを提供し続ける企業集団でありたいと考えております。
 上記の経営理念に基づき、今後ともグループ全体で企業価値の向上に努めてまいります。

(2)目標とする経営指標

当社グループでは、経営の成果として重視する数値を「営業利益」に置いております。収入とコストの両面から、グループ全体でPDCA管理サイクルを回し、着実な営業利益の積み上げを目指してまいります。
 なお、2018年4月に策定した「TOHO VISION 2021 東宝グループ 中期経営戦略」におきましては、対象年度における連結営業利益の水準を400億円超とすると共に、これまでの最高益である2017年2月期の502億円を更新することを目標としてまいりましたが、2020年2月期に過去最高益となる528億円を達成することができました。

(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

当社グループを取り巻く状況は、主力の映画事業において、邦画・洋画の大ヒット作品に恵まれ、2019年の映画興行収入が歴代最高を記録するなど、映画業界は引き続き活況を呈しました。また、演劇事業においてもミュージカルを中心に多様な公演が人気を博し、不動産事業では都心部を中心にオフィス空室率が低く推移するなど、当社グループの主要事業をめぐる環境は、いずれも順調に推移しました。このような環境下において当社グループは、映画、演劇、不動産の各領域で積極果敢に事業を展開した結果、2018年4月に策定した3カ年の中期経営戦略「TOHO VISION 2021」において掲げた「過去最高益の更新」という数値目標を、2年度目にして達成することができました。

しかしながら、本年2月下旬以降の新型コロナウイルスの感染拡大は、一転して当社グループの主要事業にかつてない深刻な影響を与えています。大規模イベントの自粛要請を受け、演劇公演の休演を余儀なくされたほか、映画館も、有力作品が続々と公開延期となったことに加え、緊急事態宣言に基づく休館やお客様の外出自粛によって、極めて大きな打撃を受けることとなりました。今後も、感染収束時期の見通しは不透明であり、エンタテインメントを本業とする当社グループにとっては、業績への直接的な影響が長引くことが懸念されています。加えて、世界規模の感染拡大と実体経済の停滞がもたらす景気や個人消費への影響の深刻化など、当社グループをめぐる経営環境の先行きは、不透明感が一層濃くなっている状況であります。

こうした未曽有の危機的事態に直面し、当社グループとしては、当面の間、感染リスク対策に万全を尽くしながら慎重な事業継続を行うとともに、できる限りのコスト削減や、感染収束後のV字回復に向けた準備を怠りなく実施してまいります。そして全役員・従業員が「健全な娯楽を広く大衆に提供する」という企業使命を肝に銘じ、今後も変わらず、エンタテインメントを通じて人々の心を豊かにし、感動と喜びをお届けし続けることによって、さらなる企業価値の向上を目指してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、文中における将来に関する事項は当社グループが有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。当社グループはこれらの事項を認識したうえで、その発生の回避および発生時の適切な対応に向けて努力してまいります。

 

 ① 映画の公開に係るリスク

当社グループにおける公開予定作品について、製作遅延その他の理由による公開延期等のリスクが存在します。また当社グループは興行網の優位性を基盤に興行力の高い作品の獲得に努めておりますが、作品によっては十分な観客動員を果たせないリスクも存在します。

 ② 演劇公演に係るリスク

当社グループは演劇事業を展開しておりますが、出演俳優の健康上の理由等により出演が不可能になり、結果として公演が中止になるリスクがあります。また、新作公演は演目の幅を広げ新規顧客を開拓するための必要なチャレンジと認識していますが、知名度の点で不利であり、十分な観客動員を果たせないリスクも存在します。

 ③ 知的財産権の侵害に係るリスク

当社グループは様々な知的財産権を保有しておりますが、海賊版や模倣品による権利侵害が現実に発生しております。それらにつきましては適切な対応を図っておりますが、海外やインターネットではその知的財産権の保護を充分に受けられない可能性があります。

 ④ 不動産賃貸に係るリスク

当社グループは多数の不動産物件を抱えており、物販・飲食店やオフィスなど様々な賃貸によって売上を計上しております。しかしながら主要テナントの予期せぬ退店等により一時的に収益が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 ⑤ 投資等に係るリスク

当社グループは従来より重要な取引先との関係を強固にするため、市場性のある株式を保有しておりますが、将来大幅な株価下落が起きた場合には保有有価証券に減損または評価損が発生する可能性があります。

 ⑥ 当社施設に係るリスク

 当社グループは全国各地に多数の映画館や演劇劇場および商業施設等を保有しており、不特定多数のお客様がご来場されます。これらの施設において自然災害や事故等の発生により事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。

 ⑦ 個人情報等の管理に係るリスク

 当社グループは多数のお客様の個人情報を取り扱っております。これらをはじめとする機密情報の取り扱いについては万全のセキュリティ体制を敷いて管理にあたっておりますが、悪意の第三者によるハッキング等予期せぬ事態により、これらの情報について漏えいするリスクが存在します。

 ⑧ 海外展開におけるリスク

 当社グループは「TOHO VISION 2021 東宝グループ 中期経営戦略」にも掲げている通り、「Global」JAPAN IP(日本の企画)の海外展開を本格化しております。海外展開におきましては、政情不安や経済情勢の不確実性に加え、文化や慣習の違いに起因するビジネスリスク、知的財産権に関するリスク、労使関係、貿易や租税を始めとする各種法的規制の変更、為替リスクなど多岐にわたるリスクが存在します。

 ⑨ 感染症等の流行発生に係るリスク

 当社グループは新型コロナウイルスなどの感染症の流行により、映画の公開作品の製作遅延や公開延期、演劇公演の中止、不特定多数のお客様がご来場される全国各地の映画館や演劇劇場および商業施設の休館、また不動産物件における主要テナントの一時的な賃料減額や予期せぬ退店等により、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに重要な影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております 。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が続くなか、引き続き緩やかに回復してきました。しかしながら、通商問題を巡る緊張等の海外経済の不確実性や、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大が世界経済に大きな影響を与え、景気の先行きは不透明さを増していくことになりました。

映画業界におきましては、2019年の興行収入は2611億8千万円と前年から17.4%増となり、歴代最高を記録しました。

このような情勢下にあって当社グループでは、台風等の天候不順の影響もありましたが、主力の映画事業において新海誠監督作品「天気の子」がメガヒットを記録しロングラン興行となったほか、多数の話題作や定番のアニメーション作品を配給し、演劇事業においても様々な話題作を提供いたしました。この結果、営業収入は2627億6千6百万円(前年度比6.7%増)、営業利益は528億5千7百万円(同17.5%増)、経常利益は550億6千8百万円(同18.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は366億9百万円(同21.2%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。

 

映画事業

映画営業事業のうち製作部門では、東宝㈱において「天気の子」「名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)」「キングダム」「記憶にございません!」等の25本、国際東宝㈱(Toho International, Inc.)において「名探偵ピカチュウ」「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」の共同製作を行い、また、東宝㈱において劇場用映画「思い、思われ、ふり、ふられ」等を制作いたしました。

映画営業事業のうち配給部門では、当連結会計年度の封切作品として、東宝㈱において前記作品の他、「映画ドラえもん のび太の月面探査記」「映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~」を含む29本を、東宝東和㈱等において「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」「ペット2」等の20本を配給いたしました。また、当社グループでは、米国子会社の国際東宝㈱(Toho International, Inc.)を重要性が増したことにより、当連結会計年度より連結の範囲に含めております。これらの結果、映画営業事業の営業収入は48,807百万円(前年度比9.5%増)、営業利益は12,402百万円(同23.4%増)となりました。

なお、東宝㈱における映画営業部門・国際部門を合わせた収入は、内部振替額(4,248百万円、前年度比55.7%増)控除前で54,250百万円(同24.3%増)であり、その内訳は、国内配給収入が41,074百万円(同21.9%増)、製作出資に対する受取配分金収入が2,954百万円(同76.1%増)、輸出収入が4,130百万円(同53.2%増)、テレビ放映収入が1,477百万円(同5.3%減)、ビデオ収入が991百万円(同29.5%減)、その他の収入が3,623百万円(同39.8%増)でした。また、映画企画部門の収入は、内部振替額(1,610百万円、前年度比15.8%減)控除前で3,837百万円(同6.6%増)でした。

映画興行事業では、TOHOシネマズ㈱等において、前記配給作品の他に、「アラジン」「アナと雪の女王2」「トイ・ストーリー4」等、邦洋画の話題作を上映いたしました。当連結会計年度における映画館入場者数は、49,970千人と前年度比4.4%増となりました。その結果、映画興行事業の営業収入は91,258百万円(前年度比8.6%増)、営業利益は14,948百万円(同18.7%増)となりました。

なお、当連結会計年度中の劇場の異動ですが、TOHOシネマズ㈱が、9月14日に熊本県熊本市中央区に「TOHOシネマズ 熊本サクラマチ」(9スクリーン)をオープンしました。また、東京都千代田区の「有楽町スバル座」(1スクリーン)は10月20日をもって閉館いたしました。これにより、当企業集団の経営するスクリーン数は、全国で8スクリーン増の695スクリーン(共同経営56スクリーンを含む)となっております。

 

映像事業では、東宝㈱のパッケージ事業において、DVD、Blu-rayにて「映画刀剣乱舞-継承-」「舞台『刀剣乱舞』慈伝 日日の葉よ散るらむ」「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」等を提供いたしました。出版・商品事業は劇場用パンフレット、キャラクターグッズにおいて、「名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)」「天気の子」をはじめとする当社配給作品及び「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」「アベンジャーズ/エンドゲーム」「トイ・ストーリー4」等の洋画作品が順調に稼働いたしました。アニメ製作事業では、映画「名探偵コナン 紺青の拳」「天気の子」や、TVアニメ「僕のヒーローアカデミア」「BEASTARS」「Dr.STONE」等に製作出資いたしました。また、アニメ製作事業・実写製作事業では、ゴジラを中心とした「東宝怪獣キャラクター」等の商品化権収入に加え、製作出資いたしました作品の各種配分金収入がありました。ODS事業ではアニメ「プロメア」「海獣の子供」や、「ARASHI Anniversary Tour 5×20」のライブビューイング等を提供いたしました。㈱東宝映像美術及び東宝舞台㈱では、人材の確保に努めつつ、原価管理を徹底し、映画やTV・CM等での舞台製作・美術製作、テーマパークにおける展示物の製作業務、メンテナンス業務、及び大規模改修工事等を受注いたしました。これらの結果、映像事業の営業収入は32,895百万円(前年度比7.3%増)、営業利益は6,639百万円(同26.2%増)となりました。

なお、東宝㈱における映像事業部門の収入は、内部振替額(4,530百万円、前年度比34.9%増)控除前で27,556百万円(同7.9%増)であり、その内訳は、パッケージ事業収入が7,183百万円(同22.8%減)、出版・商品事業収入が5,344百万円(同26.9%増)、アニメ製作事業収入が10,175百万円(同15.0%増)、実写製作事業収入が1,927百万円(同41.1%増)、ODS事業収入が2,920百万円(同61.1%増)等でした。

以上の結果、映画事業全体では、営業収入は172,961百万円(前年度比8.6%増)、営業利益は33,989百万円(同21.8%増)となりました。

 

演劇事業

演劇事業では、東宝㈱の帝国劇場におきまして、3月「Endless SHOCK」が全席完売、4、5月「レ・ミゼラブル」、6~8月「エリザベート」がともに連日満席、9月「DREAM BOYS」が全席完売、10月は「ラ・マンチャの男」を上演し、11月「ダンス オブ ヴァンパイア」は満席、12、1月「JOHNNYS'IsLAND」、2月「Endless SHOCK」は全席完売となりました。シアタークリエにおきましては、「VOICARION Ⅳ Mr.Prisoner」が大入り、「ジャニーズ銀座2019 Tokyo Experience」は完売、「CLUB SEVEN ZEROⅡ」は満席、「SHOW BOY」は全席完売、「ブラッケン・ムーア ~荒地の亡霊~」「シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ」は満席となり、「グッドバイ」「VOICARION Ⅶ」が大入りとなりました。日生劇場では3月「プリシラ」、4月「笑う男 The Eternal Love -永遠の愛-」、10月「ジャニーズ伝説2019」、1月「フランケンシュタイン」、2月「天保十二年のシェイクスピア」を上演し、その他全国へと社外公演を展開いたしました。なお、帝国劇場、シアタークリエ、日生劇場の各2月公演「Endless SHOCK」、「VOICARION Ⅶ ~女王がいた客室~」、「天保十二年のシェイクスピア」は、新型コロナウイルス感染症の拡大状況と政府の感染症対策本部の方針に鑑み、2月28日からの公演を中止いたしました。東宝芸能㈱では所属俳優がCM・TV・映画等で順調に稼働いたしました。以上の結果、前期と演目等の違いはございますが、演劇事業の営業収入は17,547百万円(前年度比3.2%増)、営業利益は4,082百万円(同28.1%増)となりました。

なお、東宝㈱における演劇事業部門の収入は、内部振替額(165百万円、前年度比6.8%減)控除前で15,585百万円(同2.0%増)であり、その内訳は、興行収入が12,629百万円(同2.6%増)、外部公演収入が2,748百万円(同2.7%減)、その他の収入が207百万円(同32.9%増)でした。

 

不動産事業

不動産賃貸事業では、東宝㈱の「天神東宝ビル」が3月に開業、その他全国に所有する不動産が堅調に稼働し、事業収益に寄与いたしました。東宝ツインタワービルは12月末に閉館し、再開発のため解体工事に着手いたしました。東宝㈱の東宝スタジオでは、ステージレンタル事業におきまして、映画・TV・CMともに順調に稼働いたしました。これらの結果、不動産賃貸事業の営業収入は29,665百万円(前年度比1.3%増)、営業利益は13,611百万円(同0.8%増)となりました。企業集団の保有する賃貸用不動産の空室率につきましては、1月以降0.1%台で推移しております。企業集団の固定資産の含み益については、2019年1月1日の固定資産課税台帳の固定資産税評価額を市場価額として、税効果を考慮した後の評価差額のうちの東宝の持分は約2874億円となっております。(当該含み益の開示は、「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」に基づくものではなく、当会計基準とは別に、開示情報の充実性の観点から従来より引き続き自主的に行うものです。)

なお、東宝㈱における土地建物賃貸部門の収入は、内部振替額(865百万円、前年度比2.5%減)控除前で32,210百万円(同1.4%増)でした。

道路事業では、受注競争の激化や建設技能者の慢性的な不足等があり、依然として予断を許さない状況が続きました。スバル興業㈱と同社の連結子会社は、積算精度の向上や入札における総合評価方式への対応強化を図るとともに、受注増に繋げるべく積極的な技術提案を行いました。また、原価管理の徹底によるコストの削減や業務の効率化による収益の向上に努めました。その結果、道路事業の営業収入は27,211百万円(前年度比8.1%増)、営業利益は4,090百万円(同34.2%増)となりました。

不動産保守・管理事業では、東宝ビル管理㈱及び東宝ファシリティーズ㈱が、労務費や資材価格の高騰、人員不足の常態化等により厳しい経営環境が続くなか、新規受注に取り組むとともにコスト削減努力を重ねました。その結果、営業収入は10,836百万円(前年度比2.0%減)、営業利益は969百万円(同2.2%減)となりました。

以上の結果、不動産事業全体では、営業収入は67,713百万円(前年度比3.4%増)、営業利益は18,670百万円(同6.5%増)となっております。

 

その他事業

娯楽事業及び物販・飲食事業は、東宝共榮企業㈱の「東宝調布スポーツパーク」、㈱東宝エンタープライズの「東宝ダンスホール」、TOHOリテール㈱の飲食店舗・劇場売店等で、お客様ニーズを捉えた充実したサービスの提供に努力いたしました。その結果、その他事業の営業収入は4,543百万円(前年度比0.2%増)、営業利益は78百万円(同9.9%減)となりました。なお、11月に「東宝ダンスホール」の運営を終了しました㈱東宝エンタープライズは、1月31日をもちまして解散いたしました。

 

当連結会計年度末における財政状態は、前連結会計年度末と比較して、総資産は30,636百万円増加し、490,283百万円となりました。これは有価証券で4,217百万円、投資有価証券で8,425百万円の減少がありましたが、現金及び預金で13,053百万円、受取手形及び売掛金で3,461百万円、現先短期貸付金で26,499百万円増加したこと等によるものです。

負債では前連結会計年度末から8,328百万円増加し、102,070百万円となりました。これは主に、未払法人税等で4,717百万円増加したことによるものです。

純資産は前連結会計年度末と比較して22,308百万円増加し、388,212百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益36,609百万円の計上及び剰余金の配当8,099百万円等による利益剰余金22,829百万円の増加の他に、その他有価証券評価差額金が7,039百万円減少したこと等によるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ39,948百万円増加し、118,445百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益が55,694百万円、減価償却費が10,069百万円ありましたが、売上債権の増加が3,323百万円、法人税等の支払額が13,625百万円あったこと等により、55,892百万円の資金の増加(前年度比18,288百万円の増加)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金は、有価証券の売却による収入が85,400百万円ありましたが、有価証券の取得による支出が62,331百万円、有形固定資産の取得による支出が10,689百万円、投資有価証券の取得による支出が20,620百万円あったこと等により、7,353百万円の資金の減少(前年度比3,996百万円の増加)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金は、自己株式の取得による支出が17百万円、配当金の支払額が8,100百万円あったこと等により、8,407百万円の資金の減少(前年度比1,911百万円の増加)となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当企業集団の事業について生産実績を定義することが困難なため「生産の状況」は記載しておりません。

a. 受注実績

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

映画事業

5,400

51.3

582

160.4

演劇事業

不動産事業

21,940

4.2

4,834

△29.2

その他事業

合計

27,341

11.0

5,416

△23.2

 

(注) 1 当企業集団では映画事業に含まれる映像事業の内テーマパーク関連事業及び不動産事業に含まれる道路事業以外は、受注生産を行っておりません。

2 上記金額には消費税及び地方消費税は含まれておりません。

 

b. 販売実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年3月1日

至 2020年2月29日)

(百万円)

前年同期比(%)

映画事業

172,961

8.6

演劇事業

17,547

3.2

不動産事業

67,713

3.4

その他事業

4,543

0.2

合計

262,766

6.7

 

(注) 1 上記金額には消費税及び地方消費税は含まれておりません。

2 当企業集団の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、重要性のある相手先がないため記載を省略しております。

  映画事業、演劇事業及びその他事業の販売の相手先は主に不特定の個人であり、不動産事業についても総販売実績の100分の10以上を占める相手先はありません。

 

(2) 経営者の視点による当該経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える会計方針についていくつかの重要な判断や見積りを行っております。たな卸資産の評価基準、貸倒引当金の計上基準、退職給付に係る会計基準、固定資産の減損に係る会計基準、資産除去債務に関する会計基準等の重要な会計方針及び見積りについては、後述の注記事項に記載しておりますが、これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいて行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1) 経営成績の分析
(a)  営業収入
当連結会計年度の営業収入は、前連結会計年度と比べ16,492百万円(6.7%)増収の262,766百万円となりました。
(b)  営業原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の営業原価は、前連結会計年度と比べ7,549百万円(5.3%)増加の149,335百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ1,068百万円(1.8%)増加の60,573百万円となりました。これは広告宣伝費が983百万円減少した半面、人件費が1,144百万円、借地借家料が408百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(c)  営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ7,874百万円(17.5%)増加の52,857百万円となりました。その内訳は、「映画事業」で前連結会計年度と比べ6,089百万円(21.8%)増益の33,989百万円、「演劇事業」で前連結会計年度と比べ894百万円(28.1%)増益の4,082百万円、「不動産事業」で前連結会計年度と比べ1,135百万円(6.5%)増益の18,670百万円、「その他事業」では前連結会計年度と比べ8百万円(9.9%)減益の78百万円でした。当社グループでは、2018年4月に「TOHO VISION 2021 東宝グループ 中期経営戦略」を策定し、主軸戦略である「コンテンツ戦略」「プラットフォーム戦略」「不動産戦略」を推進した結果、目標数値を上回る業績を収めました。

 

なお、上記事項を含む報告セグメントごとの詳細については、「第2[事業の状況] 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

(d)  営業外収益、営業外費用及び経常利益
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度と比べ435百万円(23.2%)増加の2,312百万円となりました。これは主として、前連結会計年度に計上がなかった持分法による投資利益を当連結会計年度に436百万円計上したこと等によるものであります。
また、営業外費用は、前連結会計年度と比べ189百万円(65.0%)減少の101百万円となりました。これは主として、前連結会計年度に計上がなかった為替差損を27百万円計上したものの、貸倒引当金繰入額が199百万円減少し、持分法による投資損失は当連結会計年度の計上がなく22百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度と比べ8,500百万円(18.3%)増加の55,068百万円となりました。
(e)  特別利益、特別損失
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度と比べて523百万円(174.5%)増加の822百万円となりました。これは、前連結会計年度と比べ固定資産売却益が417百万円、投資有価証券売却益が105百万円、それぞれ増加したことによるものであります。
特別損失は、前連結会計年度と比べ1,061百万円(84.4%)減少の 196百万円となりました。これは主に、前連結会計年度と比べ投資有価証券評価損が243百万円減少したほか、前連結会計年度に計上した固定資産解体費用、立退補償金が当連結会計年度に計上がなかったこと等によるものであります。
(f)  親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税18,142百万円、法人税等調整額△567百万円、非支配株主に帰属する当期純利益1,509百万円を計上し、前連結会計年度と比べ6,411百万円(21.2%)増加の36,609百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の167.92円から203.77円に増加しました。
 

 

2)  財政状態の分析
(a) 資産

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ30,636百万円(6.7%)増加して490,283百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比べ39,100百万円(21.6%)増加して219,870百万円となりました。このうち、現金及び預金は前連結会計年度末と比べ13,053百万円(80.0%)増加し29,365百万円、受取手形及び売掛金が3,461百万円(16.0%)増加し25,143百万円、現先短期貸付金が26,499百万円(43.4%)増加し87,499百万円、有価証券は前連結会計年度末と比べ4,217百万円(9.6%)減少し39,920百万円となりました。

有形固定資産は、前連結会計年度末と比べ722百万円(0.5%)増加の151,722百万円となりました。このうち、前連結会計年度末と比べ、建物及び構築物は竣工と減損損失計上及び減価償却額の差額等で1,157百万円(1.4%)減少し81,999百万円、機械装置及び運搬具は189百万円(3.3%)減少し5,548百万円、工具、器具及び備品が311百万円(13.0%)増加し2,713百万円、リース資産が4百万円(49.3%)減少し4百万円、土地は取得と売却の差額等により1,535百万円(2.7%)増加し58,993百万円、建設仮勘定が226百万円(10.1%)増加し2,462百万円となりました。

無形固定資産は、前連結会計年度末と比べ868百万円(11.4%)減少の6,759百万円となりました。

投資その他の資産は、前連結会計年度末と比べ8,317百万円(6.9%)減少し111,929百万円となりました。これは主に、投資有価証券が前連結会計年度末と比べ8,425百万円(8.3%)減少し93,492百万円となったこと等によるものであります。

(b) 負債

当連結会計年度末の流動負債及び固定負債合計額は、前連結会計年度末と比ベ8,328百万円(8.9%)増加の102,070百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比べ11,705百万円(26.1%)増加の56,631百万円となりました。このうち、前連結会計年度末と比べて、買掛金が1,705百万円(8.8%)増加して21,076百万円、未払法人税等が4,717百万円(72.1%)増加して11,263百万円、未払費用が1,356百万円(26.6%)増加して6,463百万円となりました。

固定負債は、前連結会計年度末と比べて3,377百万円(6.9%)減少して45,439百万円となりました。このうち、前連結会計年度末と比べて、繰延税金負債が3,521百万円(25.2%)減少して10,461百万円となりました。

(c) 純資産

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて22,308百万円(6.1%)増加し、388,212百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益36,609百万円の計上及び剰余金の配当8,099百万円等により前連結会計年度末と比べて利益剰余金が22,829百万円(6.9%)増加、自己株式の消却等によって自己株式が6,329百万円(27.2%)減少したこと、また、その他有価証券評価差額金が7,039百万円(29.5%)減少したこと等によるものであります。なお、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末と比べ0.5ポイント減少し、76.7%となりました。

 

3) キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2[事業の状況] 3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりであります。

 

4) 経営成績に重要な影響を与える要因

「第2[事業の状況] 2[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。

 

 

5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を進めるにあたり、事業運営上必要な資金は、自己資金を原則としております。そのためグループ内の資金効率を向上させるべく、当社は、資金余剰が生じている子会社から借り入れる一方、資金需要のある子会社に対しては、貸付を行うことがあります。当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高118,445百万円に対し、有利子負債(リース債務含む)残高は3,522百万円と、高い自己資金での投資余力を維持しておりますが、不測の事態に備えて、取引銀行との良好な関係の維持に努めております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。