第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは、小林一三により設立されて以来、映画・演劇を中心に、幅広い層のお客様に夢や感動、喜びをもたらす数多くのエンタテインメント作品をお届けしてまいりました。

その経営理念は、「健全な娯楽を広く大衆に提供すること」を企業の存在意義(パーパス)とし、「吾々の享くる幸福はお客様の賜ものなり」を大切な価値観(バリュー)とし、「朗らかに、清く正しく美しく」を行動の理念(モットー)としております。

これらの理念に基づき、公明正大な事業活動に取り組むとともに、常にお客様の目線に立ち、時代に即した新鮮な企画を提案し、世の中に最高のエンタテインメントを提供し続ける企業集団でありたいと考えております。

 

(2)「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」について

当社グループは2022年4月に、創立100周年に向けた「長期ビジョン 2032」と、3カ年の具体的な施策である「中期経営計画 2025」とから構成される「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」を策定いたしました。今後とも、本経営戦略に基づく様々な施策を展開して、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて取り組んでまいります。その体系と骨子は、以下の通りです。

 

1.長期ビジョン 2032

(1) コーポレート・スローガン

 


 

(2) 3つの重要ポイント

① 成長に向けた「投資」を促進  ②「人材」の確保・育成に注力  ③ アニメ事業を「第4の柱」に

 

(3) 成長戦略の4つのキーワード

① 企画&IP  ② アニメーション  ③ デジタル  ④ 海外

 

「企画&IP」をあらゆる価値の源泉として、その中でも「アニメーション」を成長ドライバーにし、「デジタル」の力で時間・空間・言語を超え、「海外」での飛躍的成長を実現すべく、果敢に挑戦していく

 


 

(4) 目指す姿(2032年の財務イメージ)

営業利益 750億円~1000億円

ROE    8%~10%程度

 

(5) 事業ポートフォリオの方向性

既存事業の3本柱である映画事業、演劇事業、不動産事業に加え、「アニメ事業」を第4の柱とする

 

2.中期経営計画 2025

 


 

3.人材と組織/サステナビリティの方針

(1) 人材と組織の戦略

基本方針

成長戦略の推進役となる多様で優秀な外部人材の採用を強化するとともに、よりクリエイティブな組織に進化すべく人材育成と働く環境の整備を推進していく

 

具体的施策

キャリア採用の拡大・強化、エキスパート社員制度の拡充

多様なキャリアパスと成長支援、公正な評価と成果に報いる処遇

エンゲージメントを高める以下の環境整備の推進

・朗らか健康経営

・TOHO WORK STYLE

・ダイバーシティ&インクルージョン

・オフィス改革

 

(2) サステナビリティの方針

基本方針

東宝グループは、エンタテインメントの提供を通じて誰もが幸福で心豊かになれる社会の実現に向けて“朗らかに、清く正しく美しく”貢献します

 

4つの重要課題

朗らかに ① 誰もが健康でいきいきと活躍できる職場環境をつくります

清く   ② 地球環境に優しいクリーンな事業活動を推進します

正しく  ③ 人権を尊重し、健全で公正な企業文化を形成します

美しく  ④ 豊かな映画・演劇文化を創造し、次世代への継承に努めます

 

 

(3)経営環境についての認識

当社グループを巡る経営環境は、景気はゆるやかに持ち直しの動きが見られるものの、ウクライナ情勢の長期化や急激な円安によるエネルギー・原材料価格の上昇、慢性的な人手不足など、先行き不透明な状況が続いております。しかしながら、長きにわたり当社グループの事業活動に大きな影響を与えた新型コロナウイルス感染症については、感染症法上の位置づけが本年5月8日より「5類」に引き下げられたことから、人々の動きが活発化し、娯楽・レジャーに関連する消費マインドの改善が大いに期待される状況です。これらのポスト・コロナに向けた世の中の動きは、集客型のエンタテインメントを主軸に展開している当社グループの映画事業、演劇事業にとっては確実に追い風になるものと認識しています。

そのような情勢下で、当社グループの2023年2月期の通期業績は、主力の映画事業において、興行収入140億円を超すメガヒットとなった新海誠監督最新作「すずめの戸締まり」が業績を牽引したほか、洋画でも「トップガン マーヴェリック」が興行収入130億円以上を記録する大ヒットとなるなど、ウィズコロナの中でも好調な成績を収めることができました。また、アニメを中心とした映像事業においては、「SPY×FAMILY」等のTOHO animationレーベルの強力タイトルが人気を博し、国内外の動画配信等の収入が伸長しました。演劇事業では、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響で一部公演の中止を余儀なくされたものの、東宝創立90周年作品として初の舞台化となった「千と千尋の神隠し」等、帝国劇場を中心に全席完売となる公演も多く、根強いファン層に支えられ堅調に推移しました。不動産事業では、コロナ禍の影響が軽減され全国に保有する不動産物件が堅調に稼働したほか、道路事業も非常に好調な成績を収めました。これらにより通期の営業利益は448億円となり、コロナ禍直前の2020年2月期の過去最高益(528億円)と比較し、8割を超える水準まで回復を果たすことができました。

当社グループは、2022年4月に発表した「中期経営計画 2025」において、2023年2月期から2025年2月期の3カ年を「コロナ禍からの回復と次なる飛躍的成長への基盤固めの期間」と位置付けましたが、その初年度である2023年2月期は、グループ各事業それぞれに着実な回復を見せ、概ね計画通り推移したものと考えております。

以下、セグメント別に現在の経営環境等に対する認識について簡潔な説明を記します。

 

[映画事業]

映画業界においては、2022年(自然暦)には、邦画のアニメ作品に興行収入100億円を超える大ヒット作が複数あったことに加え、洋画ハリウッド大作の健闘もあり、年間の全国興行収入は2,131億円(前年比31.6%増)、映画入場者数は1億5,200万人(同32.4%増)となり、過去最高となったコロナ禍直前の2019年には及ばないものの、それ以前の5年間の平均的な興行収入の9割程度まで回復した1年となりました。

映画営業事業においては、東宝㈱において、年間を通じアニメを含めた邦画作品のラインナップを安定的に配給し、そのシェアは2022年において約30%を占め、競合他社との間で圧倒的な競争優位性を維持しています。また、コロナ禍の影響がより深刻であった米国ハリウッドの映画産業にも復調傾向が見られ、2022年には「トップガン マーヴェリック」という洋画の大ヒットも生まれました。その結果、当社グループとして、東宝㈱で邦画、東宝東和㈱等で洋画の興行力のあるコンテンツを、国内で継続的に提供できる体制が確立できていると考えています。

一方で、コロナ禍を経て近年、公開される作品の興行力に大きな差が見られるようになっており、いわゆる作品の“優勝劣敗”を左右するコンテンツ力とマーケティング力の強化が大きな課題となっています。また、コロナ禍において動画配信プラットフォーム各社が急速に会員数を増やしたことは、当社作品の二次利用等の機会創出につながる反面、それら配信プラットフォーマーが日本国内において自ら作品製作に乗り出すことにより、映画等の製作における影響力を強めていく懸念があります。

映画興行事業においては、コロナ禍における休業や営業時間の短縮、座席販売の制限等の影響がなくなり、通常の営業活動が実施できる状況となりました。今後も興行力のある作品の本数拡大や、ファミリー層やシニア層等の幅広い動員の回復によって、興行収入はさらに伸長する可能性があると認識しています。一方で、コロナ禍を経て邦画と洋画の構成比は変化しており、大ヒットする作品とそうでない作品との差も大きくなる傾向が見られるなど、お客様の作品選択に変化が生じていることには注視していく必要があります。そのような状況下にあって、TOHOシネマズ㈱は全国の主要都市の好立地にシネマコンプレックスを展開し、2022年においてスクリーンシェアでは約18%、興行収入のシェアは約26%と業界トップを維持しており、競合他社との競争優位性に揺るぎはありません。ただし、エネルギー価格や人件費等のコスト上昇傾向が映画館の収支構造に与える影響については、留意していく必要があると認識しています。

映像事業においては、当社グループが「映画・演劇・不動産」に加えて「第4の柱」と位置づけているアニメ事業が着実な成長を見せております。当社のアニメーションレーベル「TOHO animation」は10周年の節目を迎え、「僕のヒーローアカデミア」「呪術廻戦」「SPY×FAMILY」といったTOHO animationレーベルのシリーズ作品が大きな話題となり、国内外の動画配信、商品化ライセンス、パッケージ販売等の幅広いビジネスを展開することによって、当社グループの業績全体を大きく押し上げています。また、㈱東宝ステラの運営するECサイト「TOHO animation STORE」では、アニメ関連グッズの売上の伸長が見られています。以上のように、多くの熱心なファン層に支えられ、アニメ関連事業は今後も中・長期的に国内外の市場成長が期待できるものと認識しており、当社グループの成長ドライバーとして経営資源を集中し、多面的・重層的・長期的なビジネス展開に注力していくこととしています。

また、TOHOスタジオ㈱では、映画・映像制作及びスタジオ事業の一体化を図り、外資系動画配信プラットフォームのスタジオ賃貸を誘致するなど、順調に稼働しました。また、㈱東宝映像美術や東宝舞台㈱では、コロナ禍において中断していたテーマパークにおける展示物の製作業務や音楽ライブイベントが復活したことで、美術製作・舞台製作における受注の回復傾向が顕著に見られます。

 

[演劇事業]

演劇事業では、新型コロナウイルス感染症が収束に向かう中にあっても、出演者・スタッフの感染に伴い一部公演を中止せざるを得ないリスクが継続しています。しかしながら、3年にわたるコロナ禍を経て、事業継続体制に関するノウハウの蓄積が進んでおり、公演中止のリスクについては大幅に低減が図られています。一方で当社の提供する演劇公演は熱心なファン層に支えられており、多数の公演において動員の回復傾向が顕著に見られます。さらに「千と千尋の神隠し」「キングダム」等、人気アニメや映画の舞台化などの新作を提供することで、新しい観客層の拡大が可能になるものと考えております。また、コロナ禍において積極的な活用が始まった演劇公演の動画配信については、演劇事業の収益源の多様化につながる機会と認識しています。また、東宝芸能㈱では、所属俳優がCM・TV・映画出演等で順調に稼働しております。

 

[不動産事業]

不動産賃貸事業では、新型コロナウイルス感染症の影響はほぼ脱しておりますが、不動産市況全体では、東京都心地区のオフィス空室率が6%台と高い数値で推移しており、平均賃料についても低下傾向が見られます。一方で、好立地が多い当社グループの賃貸用不動産の空室率は1.0%と低い水準で推移しており、平均賃料も比較的底堅い状況にあります。しかしながら、エネルギー価格や租税公課などの上昇傾向が不動産賃貸事業の利益率に与える影響については、注視していく必要があります。

道路事業においては、老朽化による道路関連のインフラ整備をはじめとする公共投資の受注は引き続き堅調であり、今後も当面は順調に推移すると思われます。スバル興業㈱と同社の連結子会社が積極的な営業活動により新規受注や既存工事の追加受注による業績拡大に努めてまいります。

不動産保守・管理事業においては、連結子会社である東宝ビル管理㈱及び東宝ファシリティーズ㈱がコロナ禍の影響を乗り越え、厳しい競争環境の中でも受注を回復させております。

なお、道路事業、不動産保守・管理事業の両事業においては、人手不足やインフレによる賃金上昇の影響について、注視していく必要があります。

 

[その他事業]

その他事業においては、「東宝調布スポーツパーク」でゴルフ練習場、テニスクラブ等を運営する東宝共榮企業㈱が、コロナ禍にあっても屋外スポーツというメリットを活かし利用者数を伸ばしました。一方、飲食店舗・劇場売店等を運営するTOHOリテール㈱は、外食需要の厳しい落ち込みが長期に渡り、2021年8月をもって直営飲食事業から撤退しましたが、その後、演劇事業のグッズ販売等が好調で業績を回復しております。

 

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、経営目標の達成状況を判断するための指標として「営業利益」を最も重視しております。

創立100周年を迎える2032年をターゲットとした「長期ビジョン 2032」においては、営業利益750億~1000億円の企業集団への成長を目指すとしております。なお、その際のROEのイメージを8%~10%程度とし、利益だけでなく資本効率を意識した経営を行ってまいります。

「中期経営計画 2025」では、営業利益において過去最高益(528億円)の更新に挑戦するとしています。また、本期間においては、コロナ禍からの回復を見極めつつ、次の「成長」を実現すべく「投資」を重視し、成長投資の金額として3カ年合計で1100億円程度を見込むとしております。その他の数値目標では、株主還元として年間40円の配当をベースに配当性向30%以上、かつ機動的な自己株式取得の実施、資本効率の指標としてROE8%以上を掲げております。

 

(5)当社グループが優先的に対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響からようやく脱する可能性を見込める状況にある一方で、新型コロナウイルス感染症がもたらした行動様式の変容、ウクライナ情勢の長期化を受けた世界経済の混乱、世界的なインフレ局面における物価高や人材不足など、様々な影響が懸念され先行きの見通しは不透明感を増しております。

このような不確実性の高い状況下において、当社グループは2022年4月、創立100周年に向けた「長期ビジョン 2032」と、当初3カ年の具体的な施策である「中期経営計画 2025」とから構成される「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」を策定・公表し、これまで以上に長期的な視点に立って、さらなる成長と企業価値向上を目指した一歩を踏み出しております。

「長期ビジョン 2032」においては、「Entertainment for YOU 世界中のお客様に感動を」という新たなコーポレート・スローガンのもと、成長に向けた「投資」を推進すること、「人材」の確保・育成に注力すること、アニメ事業を「第4の柱」とすることを、3つの重要ポイントとし、さらに「企画&IP」「アニメーション」「デジタル」「海外」の4つを成長戦略のキーワードとして掲げております。

長期ビジョンの初年度となる2023年2月期は、エンタテインメント関連各事業のさらなる連携強化を図るべく、映画事業、アニメ事業、演劇事業の各本部制への移行と、それら各本部を統括する「エンタテインメントユニット」を創設、また、成長戦略を担うアニメ事業の強化を目的としてアニメ本部の下に「TOHO animation」を、当社グループ全体のデジタル戦略推進を目的として「TOHO Digital Lab.」をそれぞれ新設するほか、不動産事業の不動産本部への移行、管理本部のコーポレート本部への名称変更もあわせて、コンテンツの企画開発やIP創出、海外やデジタルも意識した多面的展開による収益最大化を目指す体制を整えました。今後はこれらの体制を十分に機能させることで、飛躍的な成長ストーリーを実現するべく、具体的な施策を着実に推進してまいります。

「中期経営計画 2025」においては、2025年までの期間を「コロナ禍からの回復と次なる飛躍的成長への基盤固めの期間」と位置づけ、「成長投資」に注力しつつ、営業利益、株主還元、ROE等の数値目標についても、各事業が個別事業戦略における取り組みを具体的に実行することで実現してまいります。

「人材と組織の戦略」においては、成長の推進役となる多様な人材の採用を強化するとともに、よりクリエイティブな組織に進化すべく人材育成と働く環境の整備を推進しております。「サステナビリティ」においては、「エンタテインメントの提供を通じて誰もが幸福で心豊かになれる社会の実現に向けて“朗らかに、清く正しく美しく”貢献します」を基本方針として、当社グループならではの課題と目標を明確にして取り組んでまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及び事業運営に特に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループでは、「リスクマネジメント基本規程」に基づき、代表取締役社長を議長とする「リスクマネジメント会議」を設置し、グループ全体にわたるリスクの洗い出しと評価、連絡・報告体制の整備、対応策の検討等を実施し、これら主要なリスク発生の回避及び発生時の迅速かつ適切な対応に向け、全社的なリスクマネジメント体制を構築しております。

なお、文中における将来に関する事項は当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 映画、アニメ、演劇公演等に係る事業の不確実性に基づくリスク

当社グループの以下の事業において、作品によっては十分な観客動員を果たせないリスク、作品の製作遅延や公開延期、公演中止等のリスクが存在します。

 映画事業:公開作品によっては興行収入が想定を下回るリスク。また、出演者・スタッフ等のトラブルや撮影時の事故等による公開予定作品の製作遅延や公開延期・中止等のリスク。

 アニメ事業:出資作品によっては興行収入や配信等の二次利用料が想定を下回るリスク。また、声優・スタッフ等のトラブル等により製作遅延や公開延期、放映・配信の中止等のリスク。さらには、作品内容や表現等によって海外での利用に支障が発生し、十分な収入が得られないリスク。

 演劇事業:新作公演等の作品によっては十分な観客動員を果たせないリスク。また、俳優の健康上の理由・トラブル等により出演が不可能になり、公演が中止になるリスク。

これらのリスクが顕在化する可能性は、映画事業、アニメ事業、演劇事業が不確実性を本質的な事業特性とする限り、一定程度、常に存在すると言えます。

これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入、営業利益が減少するとともに、製作投資の回収可能性の低下による棚卸資産の評価減等、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、常に幅広い種類の良質なコンテンツの獲得に努めるとともに、映画事業・演劇事業においては、年間を通じてバランスの取れたラインナップを編成してボラティリティの高い興行リスクを軽減しております。また、アニメ事業も含めて、製作段階におけるトラブルを防止するため作品ごとの管理を徹底するとともに、万が一の場合には、速やかな代替策を実施してまいります。

 

(2) 物価高等のコスト増による収益構造悪化のリスク

当社グループの以下の事業において、物価高とりわけエネルギーコストの高騰、建築資材等も含む各種原材料費の高騰といった要因がもたらす収益構造悪化のリスクが存在します。

 映画事業:全国各地に保有する映画館に係る水道光熱費等のランニングコスト、商品等の仕入原価及び新規出店に伴う建築コストの増加に伴う収益構造悪化のリスク。

 演劇事業:直営劇場として保有する帝国劇場・シアタークリエに係るランニングコスト増による収益構造悪化のリスク。

 不動産事業:全国各地に保有する不動産物件に係るエネルギーコストの高騰による収益構造悪化のリスク。新規物件の取得費用、再開発物件に係る建築費の高騰によって投資回収期間が長期化するリスク。

これらのリスクは、地政学上のリスク発生も含めた世界経済、社会環境の変化が発生要因であるためにコントロールが難しく、常にリスクとして存在します。これらのリスクに対しては、可能な限り適切な方法で価格転嫁して収入の増加に努めるとともに、映画館・演劇劇場においてはより一層の運営効率化とコスト節減に努めてまいります。また、不動産事業においては建築費高騰の影響も想定し、投資回収計画を慎重に策定すること等によりリスクの低減を図ります。

これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入、営業利益が減少するとともに、設備投資の回収可能性の低下による固定資産の減損等、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。

 

(3) 自然災害及び事故、火災等の発生によるリスク

当社グループの以下の事業において、不特定多数のお客様が来場される事業場における自然災害(大規模な地震・風水害など)や事故、火災等の発生により事業活動の継続に支障をきたすリスクが存在します。

 映画事業:全国各地に保有する映画館に係る自然災害や事故、火災等の発生リスク。

 演劇事業:直営劇場として保有する帝国劇場・シアタークリエに係る自然災害や事故、火災等の発生リスク。

 不動産事業:全国各地に保有する不動産物件に入居する商業テナント等に係る自然災害や事故、火災等の発生リスク。

これらのリスクが顕在化する可能性については、近年の気候変動による風水害の激甚化、度重なる地震の発生等の傾向から見て、顕在化する可能性が高まりつつあると考えられます。また、事故、火災の発生に関しては、長年にわたり各種予防策を徹底してきたことにより、昭和33年の東京宝塚劇場での死者3名を出した火災以降、当社グループの事業場において重大事故の発生に至った事例はありません。

これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入、営業利益が減少するとともに、固定資産の滅失・毀損等、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、防火・防災に対応した施設・設備管理を徹底するとともに、緊急時の連絡報告体制やお客様及び従業員の人命・安全を第一にした各種マニュアルの整備等に努めております。また、火災保険等の加入により経済的損害の発生に備えています。

 

(4) 知的財産権の侵害や不正転売に係るリスク

当社グループの以下の事業において、保有する知的財産権が侵害されるリスクや入場券等の不正転売等によるリスクが存在します。

 映画事業:映画、映像作品の違法動画配信や海賊版パッケージ商品の流通、またキャラクターグッズ等での無許諾商品、模倣品等による知的財産権の侵害リスク。

 アニメ事業:アニメ作品の違法動画配信や海賊版パッケージ商品の流通、またキャラクターグッズ等での無許諾商品、模倣品等による知的財産権の侵害リスク。

 演劇事業:演劇公演の配信作品の違法動画配信などによる知的財産権の侵害や演劇公演の盗撮、劇場の入場券等の不正転売リスク。

これらのリスクが顕在化する可能性は、様々な対策を講じても一定程度発生することが見込まれ、根絶することはなかなか困難と考えられます。

これらのリスクが顕在化した場合は、損益において逸失利益が発生します。特に海外やインターネット上での知的財産権の侵害は、侵害行為の停止措置が困難な場合もあり、被害が拡大する可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、著作権、商標権等の保護に関する各種対策を強化するとともに、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)等の業界団体とも連携し、仮にリスクが顕在化した場合は、法的措置を前提に毅然とした対応をとることを徹底しております。また、入場券等の不正転売に関しては、電子チケットの導入を推進していくとともに、行政機関とも協力して可能な限りの対策を講じてまいります。

 

(5) コンテンツの制作現場に係るリスク

当社グループの映画事業、アニメ事業、演劇事業においては、コンテンツ制作を行う制作現場でのコンプライアンス違反、ハラスメント事案の発生、各取引業者との取引トラブル等のリスクが存在します。

これらのリスクが顕在化する可能性は、映画、アニメ、演劇等のコンテンツを自社で制作していく限り、一定程度、常に存在すると言えます。

これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの信用を毀損するだけでなく、当該コンテンツの上映、上演や各種利用が行えないといった事態が生じる可能性があります。その場合は営業収入や営業利益が減少し、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、当社グループが主導的に製作する実写映画の制作現場においては、一般社団法人日本映画制作適正化機構による審査を受ける等により、また、アニメや演劇においても、それぞれのコンテンツ制作現場の特性を勘案しながら、適正な就業環境や取引環境の実現を図り、持続的なコンテンツ制作が可能となるような体制の整備に努めてまいります。

 

(6) 新型コロナウイルス感染症に係るリスク

新型コロナウイルスの感染状況は収束が見込まれ、過去に実施された政府・自治体からの要請による外出の制限、映画館・演劇劇場等の休業、営業時間の短縮等の大きなリスクが顕在化する恐れはなくなったものの、演劇事業において、出演者が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合の休演のリスクは、引き続き一定程度存在します。

リスクが顕在化した場合には、演劇事業における営業収入、営業利益が減少します。対応策としては、出演者の体調管理に十分に配慮し、罹患者発生時の対応を迅速に行うなどして、休演の発生及び休演回数の低減を図ってまいります。

 

(7) 不動産市況の悪化によるリスク

当社グループは多数の不動産物件を保有しており、物販・飲食店やオフィスなど様々な業態のテナントに賃貸をしております。新型コロナウイルス感染症は収束に向かっているものの、いわゆるコロナ禍を経ての行動様式や働き方の変化をはじめとする社会環境の変化により、これら不動産賃貸を巡る市況が変化していく可能性があります。また、主要テナントの予期せぬ退店等による空室率上昇のリスクは、常に一定程度、存在します。

これらリスクが顕在化した場合は、営業収入、営業利益が減少するとともに、賃貸物件の設備投資の回収可能性の低下による固定資産の減損等、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対しては、不動産市況の変化や各テナントの経営状態等を冷静に分析するとともに、保有物件のテナント構成の適切なポートフォリオを常に検証し、柔軟かつ機動的な対応によりリスクの発生を最小限に止めるように努めてまいります。

 

(8) 海外展開に係るリスク

当社グループの映画事業等において、海外における映画・アニメ等の劇場公開、テレビ放映やインターネット上での配信、商品化権の許諾等については、当該国や地域における戦争、政情不安や経済情勢の不確実性に加え、文化や慣習の違いに起因するビジネスリスク、知的財産権に関するリスク、SNSにおける炎上リスク、労使関係、貿易や租税をはじめとする各種法的規制の変更、海外事業会社のガバナンス、為替の変動による差損等、多岐にわたるリスクが存在します。

これらのリスクが顕在化する可能性は、当社グループが海外展開を積極的に拡大する中で増加しつつあります。

これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入や営業利益が減少するとともに、訴訟コスト等が臨時に発生する可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、事前に経験豊富な専門家にアドバイスを得るなど、可能な限りリスクの低減に努めています。また、知的財産権に関するリスクについては、法的措置を前提に毅然とした対応をとることを徹底しています。

 

(9) 道路事業に係るリスク

当社グループの不動産事業において、スバル興業㈱と同社の連結子会社が道路事業に係わっており、当該事業においては、公共工事への高い依存に伴うリスク、労働人員不足のリスク、労務費及び資機材価格の高騰リスク、自然災害のリスク、建設業法等の規制に関するリスク等、道路事業特有のリスクが存在します。

これらのリスクが顕在化する可能性は、それぞれ一定程度存在します。また、これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入や営業利益が減少する可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、スバル興業㈱を中心に安全管理・品質管理の徹底、優れた技術者の採用・育成・配置等など、影響を最小限にするための具体的な施策を実施しております。

 

(10) 情報セキュリティに係るリスク

当社グループでは、チケット販売やECサイトでの商品販売等で取得したお客様の個人情報や、映像素材のデジタルデータ、その他業務上の重要な情報等において、悪意の第三者からの不正アクセス、コンピュータウィルス侵入等による個人情報・機密情報の漏洩のリスクが存在します。また、財務データを含む電子データが暗号化される等により、事業活動の継続ができなくなる等のリスクも存在します。

これらのリスクが顕在化する可能性は、様々な対策を講じても一定程度存在するものと思われます。また、業務のデジタル化、オンライン化が進むに連れ、顕在化する可能性が増加していくものと思われます。

これらのリスクが顕在化した場合は、営業収入や営業利益が減少するとともに、顧客からの損害賠償請求等が発生する可能性があります。

これらのリスクへの対応策として、「情報セキュリティ基本方針」及び「情報セキュリティ対策規程」に則り情報セキュリティ委員会を設置して当社グループの情報システムに関する運用ルールを整備することにより、当社グループ全体の情報セキュリティマネジメント体制の構築に努めています。また、最新の技術に基づく可能な限りのセキュリティ対策やインシデント対応体制の整備、様々なユーザー教育を実施しているほか、サイバーリスク保険への加入により経済的損害の発生に備えています。

 

(11) 電子商取引(ECサイト等)に係るリスク

当社グループでは、映画館や演劇においてインターネット上でチケットを販売しているほか、複数のECサイトでキャラクターグッズ等の商品を販売しております。これらの事業においては、第三者からの悪意ある攻撃によらずとも、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク等の障害または人為的なミスにより、システムの運用が停止する事態が発生し、一定期間、チケットや商品の販売ができなくなるリスクが存在します。

これらのリスクが顕在化した場合は、逸失利益が発生するとともに、復旧までに相当の時間を要した場合は、お客様からの当社グループ事業に対する信用の失墜につながる可能性があります。

これらのリスクへの対応策としては、過去に発生した障害の分析に基づき、的確な対応策の実施により再発防止に努めるとともに、各ベンダー等との連携を強化し、障害発生時の迅速な復旧対応の体制整備を推進してまいります。

 

(12) 投資有価証券等に係るリスク

当社グループは、重要な取引先との関係を強固にするため、上場株式および非上場株式を複数保有しておりますが、大幅な株式相場の下落や当該企業における企業価値の毀損が生じた場合には、保有有価証券を減損処理する可能性があります。

これらのリスクへの対応策は、有価証券の投資基準・保有意義を明確にするとともに、取締役会への報告を含む定期的なモニタリングを実施することで、リスクの軽減に努めています。

 

(13) 気候変動に係るリスク

近年、気候変動に伴う温室効果ガスの排出抑制の取り組みは世界中で進みつつあり、映画、アニメ、演劇等のエンタテインメントを主業とする当社グループにおいても、企業の社会的責任として脱炭素や循環型社会に向けた取り組みを推進して行かなければ、信用の毀損に伴う収益の減少や株式市場における企業価値向上に支障が生じる可能性があります。

これらのリスクへの対応策として、当社グループはサステナビリティの基本方針の中の重要課題の一つとして「地球環境に優しいクリーンな事業活動を推進します」を掲げ、脱炭素の実現に向け、TCFDに基づく開示の準備を進めるとともに、再生可能エネルギー等を活用したCO2排出量削減、事業活動における環境負荷の少ない素材の活用や廃棄物の削減等を推進してまいります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の概況)

当連結会計年度におけるわが国の経済は、持ち直しの動きがみられるもののウクライナ情勢の長期化などが懸念される中で、物価上昇の影響など先行き不透明な状況が続いております。

映画業界におきましては、2022年の興行収入は2131億1千1百万円と、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年以来3年ぶりの2000億円超えとなり、前年比31.6%の増加となりました。

このような情勢下にあって当社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大防止に努めながら、各事業において柔軟かつ機動的な営業活動をおこない、主力の映画事業においては、定番のアニメーション作品他、話題作を配給しました。これらの結果、営業収入は2442億9千5百万円(前年度は2283億6千7百万円)、営業利益は448億8千万円(前年度は399億4千8百万円)、経常利益は478億1千5百万円(前年度は427億9千万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は334億3千万円(前年度は295億6千8百万円)となりました。また、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う大規模施設に対する協力金等を「助成金収入」として特別利益に計上しております。

なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。そのため、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の金額となっていることから、対前期増減額及び対前期増減率は記載しておりません。

また、創立100周年に向けた「長期ビジョン 2032」と3カ年の具体的な施策である「中期経営計画 2025」とから構成される「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」を2022年4月に策定し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでおります。

セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。

 

映画事業

映画営業事業のうち製作部門では、東宝㈱において「すずめの戸締まり」「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」「キングダム2 遥かなる大地へ」「シン・ウルトラマン」等の19本を共同製作いたしました。

映画営業事業のうち配給部門では、当連結会計年度の封切作品として、東宝㈱において上記作品の他、「ワールドツアー上映『鬼滅の刃』上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」「沈黙のパレード」を含む25本を、東宝東和㈱等において「トップガン マーヴェリック」「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」「ミニオンズ フィーバー」「SING/シング:ネクストステージ」等の18本を配給いたしました。また、収益認識会計基準等の適用により映画配給のうち一部の洋画配給取引で当社グループの役割が代理人に該当する取引については、収益を総額で認識せず、関連する費用を控除した純額を収益として認識することに変更いたしました。これらの結果、映画営業事業の営業収入は40,903百万円(前年度は40,439百万円)、営業利益は13,532百万円(前年度は11,507百万円)となりました。なお、上記営業収入の主な内訳として、映画館への配給が26,815百万円、劇場用映画の国内配信が3,341百万円となりました。

映画興行事業では、TOHOシネマズ㈱等において、上記配給作品のヒットや「ONE PIECE FILM RED」「THE FIRST SLAM DUNK」等の話題作の上映、また前連結会計年度に比べ劇場の休館等の制約期間が短くなったこともあり、当連結会計年度における映画館入場者数は39,263千人と前年度比30.8%の増加となりました。また、収益認識会計基準等の適用により劇場内売店での一部のパンフレット・グッズ販売取引など、当社グループの役割が代理人に該当する取引については、収益を総額で認識せず、関連する費用を控除した純額を収益として認識することに変更いたしました。これらの結果、映画興行事業の営業収入は71,054百万円(前年度は57,673百万円)、営業利益は7,394百万円(前年度は1,678百万円)となりました。なお、当連結会計年度中の劇場の異動につきましては、TOHOシネマズ㈱が4月25日に福岡市博多区「TOHOシネマズ ららぽーと福岡」(9スクリーン)をオープンいたしました。これにより、当企業集団の経営するスクリーン数は全国で9スクリーン増の721スクリーン(共同経営56スクリーンを含む)となっております。

映像事業では、TOHO animationにおいて、「僕のヒーローアカデミア」「SPY×FAMILY」「BLUE GIANT」等に製作出資し、国内外の配信・商品化権収入に加え、製作出資いたしました作品の各種配分金収入がありました。パッケージ事業ではアニメ「劇場版 呪術廻戦 0」が好調なセールスとなりました。出版・商品事業では、劇場用パンフレット、キャラクターグッズにおいて映画「すずめの戸締まり」「シン・ウルトラマン」「劇場版 呪術廻戦 0」「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」をはじめとする当社配給作品や、洋画「トップガン マーヴェリック」の販売が伸長いたしました。ODS事業ではアニメ三部作「特『刀剣乱舞-花丸-』~雪月華~」「BLUE GIANT」等を提供いたしました。TOHOスタジオ㈱では、制作及びスタジオ事業の一体運営を図り、順調に稼働しました。㈱東宝映像美術及び東宝舞台㈱では、映画やTV・CM等での舞台製作・美術製作やテーマパークにおける展示物の製作業務に関して一時期の厳しい状況から改善しつつあります。これらの結果、映像事業の営業収入は46,058百万円(前年度は46,667百万円)、営業利益は8,148百万円(前年度は11,708百万円)となりました。なお、上記営業収入の主な内訳として、アニメコンテンツの利用が17,530百万円、パッケージの販売が5,597百万円、映像作品等に係る美術製作が8,561百万円となりました。

以上の結果、映画事業全体では、営業収入は158,015百万円(前年度は144,781百万円)、営業利益は29,075百万円(前年度は24,894百万円)となりました。

なお、当連結会計年度において、㈱TOHO animation STUDIO及び㈱エイド・ディーシーシーが連結子会社となりました。また、㈱エイド・ディーシーシーを子会社化したことにより発生したのれん1,111百万円を一括償却しております。

 

演劇事業

演劇事業では、東宝創立90周年記念作品として「千と千尋の神隠し」初の舞台化を帝国劇場にて実現し全席完売となりました。その後、全国各地での公演やライブ配信等、様々な取り組みを展開いたしました。帝国劇場におきまして「Endless SHOCK -Eternal-」「ガイズ&ドールズ」「ミス・サイゴン」「DREAM BOYS」「エリザベート」「ABC座 10th ANNIVERSARY ジャニーズ伝説 2022」「JOHNNYS' World Next Stage」「キングダム」を上演し盛況に推移しました。シアタークリエにおきましては「ピアフ」「ネクスト・トゥ・ノーマル」「CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~」「Only 1, NOT No.1」「ダディ・ロング・レッグズ」「モダン・ミリー」「アルキメデスの大戦」「The Fantasticks」「SHOW-ism XI『BERBER RENDEZVOUS』」「海宝直人コンサート『ATTENTION PLEASE!』」「CLUB SEVEN 20th Anniversary」等を上演しました。日生劇場では「四月は君の嘘」「ジャージー・ボーイズ」「ザ・ビューティフル・ゲーム」等を上演しました。東急シアターオーブでは「天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~」等を上演しました。東京建物 Brillia HALLでは「ヘアスプレー」が大入りとなりました。しかしながら前年に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大により一部の作品が公演中止となり業績に影響がありました。東宝芸能㈱では、所属俳優がCM出演等で堅調に推移しました。

以上の結果、演劇事業の営業収入は18,202百万円(前年度は15,157百万円)、営業利益は2,774百万円(前年度は2,472百万円)となりました。

 

 

不動産事業

不動産賃貸事業では、オフィス市況の変化など引き続き厳しい状況下にありましたが、保有物件の有効活用に努めつつ、テナントに対するきめ細かな対応により、賃貸用不動産の空室率は、当連結会計年度末において1.0%となりました。これらの結果、不動産賃貸事業の営業収入は28,022百万円(前年度は27,155百万円)、営業利益は11,554百万円(前年度は11,733百万円)となりました。なお、2023年2月に「東宝日比谷プロムナードビル」が竣工いたしました。

道路事業では、公共投資が堅調に推移しましたが、慢性的な人手不足や受注競争の激化、労務費や資機材・燃料価格の上昇傾向が継続する等、依然として予断を許さない状況が続きました。スバル興業㈱と同社の連結子会社は、継続的な受注確保とともに、業務の効率化やコストの削減に努めました。その結果、道路事業の営業収入は28,907百万円(前年度は28,977百万円)、営業利益は5,092百万円(前年度は4,207百万円)となりました。なお、営業収入の主な内訳は、道路の維持管理・清掃等26,421百万円であり、またその他の収益802百万円が含まれております。

不動産保守・管理事業では、東宝ビル管理㈱及び東宝ファシリティーズ㈱において、新規受注獲得の取り組みに努めました。その結果、営業収入は9,983百万円(前年度は9,699百万円)、営業利益は926百万円(前年度は715百万円)となりました。

以上の結果、不動産事業全体では、営業収入は66,913百万円(前年度は65,832百万円)、営業利益は17,572百万円(前年度は16,657百万円)となりました。

 

その他事業

東宝共榮企業㈱の「東宝調布スポーツパーク」やTOHOリテール㈱の劇場売店等において、様々な営業施策等を展開し、かつ採算性を勘案して営業活動を行いました。なお、TOHOリテール㈱は、2021年8月をもって直営飲食事業から撤退しました。その結果、その他事業の営業収入は1,163百万円(前年度は2,596百万円)、営業利益は130百万円(前年度は90百万円の営業損失)となりました。

 

 

(財政状態の概況)

当連結会計年度末における財政状態は、前連結会計年度末と比較して、総資産は31,564百万円増加し、534,097百万円となりました。これは主に、投資有価証券で13,392百万円の減少がありましたが、現金及び預金で6,508百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が前期末の受取手形及び売掛金と比べ10,069百万円、現先短期貸付金で10,999百万円、建物及び構築物(純額)で5,384百万円、土地で5,036百万円の増加があったこと等によるものです。

負債では前連結会計年度末から17,054百万円増加し、110,405百万円となりました。これは主に、買掛金で11,467百万円、未払金で2,187百万円の増加があったこと等によるものです。

純資産は前連結会計年度末と比較して14,510百万円増加し、423,691百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益33,430百万円の計上及び剰余金の配当8,385百万円等による利益剰余金23,794百万円の増加の他に、自己株式で10,153百万円の増加があったこと等によるものです。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ19,780百万円増加し、112,121百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度における営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益が50,490百万円、減価償却費が9,514百万円、仕入債務の増加が11,421百万円ありましたが、売上債権及び契約資産の増加が9,929百万円、法人税等の支払額が16,620百万円あったこと等により、45,404百万円の資金の増加(前年度比8,055百万円の減少)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度における投資活動による資金は、有価証券の売却による収入が71,200百万円、金銭の信託の解約による収入が4,900百万円ありましたが、有価証券の取得による支出が62,395百万円、有形固定資産の取得による支出が16,922百万円、投資有価証券の取得による支出が6,425百万円あったこと等により、9,175百万円の資金の減少(前年度比26,854百万円の増加)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度における財務活動による資金は、自己株式の取得による支出が10,192百万円、配当金の支払額が8,383百万円あったこと等により、19,125百万円の資金の減少(前年度比6,642百万円の減少)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当企業集団の事業について生産実績を定義することが困難なため「生産の状況」は記載しておりません。

また、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、受注実績及び販売実績の当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の金額となっていることから、前年同期比率は記載しておりません。

 

a. 受注実績

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

映画事業

2,292

299

演劇事業

不動産事業

24,252

4,347

その他事業

合計

26,544

4,646

 

(注) 映画事業に含まれる映像事業の内テーマパーク関連事業及び不動産事業に含まれる道路事業における受注実績

を記載しております。

 

 

b. 販売実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

(百万円)

前年同期比(%)

映画事業

158,015

演劇事業

18,202

不動産事業

66,913

その他事業

1,163

合計

244,295

 

(注) 当企業集団の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、重要性のある

相手先がないため記載を省略しております。

映画事業、演劇事業及びその他事業の販売の相手先は主に不特定の個人であり、不動産事業についても総販売

実績の100分の10以上を占める相手先はありません。

 

 

(2) 経営者の視点による当該経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)  経営成績の分析

当連結会計年度における当社グループの経営成績は、主力の映画事業において、新海誠監督最新作「すずめの戸締まり」や「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」が大ヒット、洋画においても「トップガン マーヴェリック」がロングラン大ヒットを記録するなど配給作品が好調な成績となりました。また、前連結会計年度に比べ劇場の休館等の制約期間が短くなったことに加え、上記作品ほか「ONE PIECE FILM RED」「THE FIRST SLAM DUNK」等、豊富なアニメ話題作が興行を牽引しました。TOHO animationレーベルでは「僕のヒーローアカデミア」「SPY×FAMILY」等の国内外の配信・商品化権収入等が伸長いたしました。演劇事業では、前年に引き続き、新型コロナウイルスの役者やスタッフへの感染により一部の作品が公演中止になりましたが、東宝創立90周年作品として初の舞台化となった「千と千尋の神隠し」が全席完売になったほか、各公演が好評を博しました。不動産事業ではオフィス市況の変化など引き続き厳しい状況下にありましたが、商業施設やホテルへの利用客の回帰に伴い賃料も正常化し、全国に保有する不動産物件は堅調に稼働いたしました。当連結会計年度の営業収入は、前連結会計年度と比べ15,927百万円増収の244,295百万円、営業利益は、前連結会計年度と比べ4,931百万円増益の44,880百万円となり、コロナ禍からの着実な回復が見られる結果となりました。

 

(a) 営業収入

当連結会計年度の営業収入は、前連結会計年度と比べ15,927百万円増収の244,295百万円となりました。

(b) 営業原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の営業原価は、前連結会計年度と比べ2,142百万円増加の135,669百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ8,853百万円増加の63,745百万円となりました。これは広告宣伝費が1,803百万円、借地借家料が1,124百万円、人件費が980百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

(c) 営業利益

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ4,931百万円増加の44,880百万円となりました。その内訳は、「映画事業」で前連結会計年度と比べ4,181百万円増益の29,075百万円、「演劇事業」で前連結会計年度と比べ302百万円増益の2,774百万円、「不動産事業」で前連結会計年度と比べ915百万円増益の17,572百万円、「その他事業」では前連結会計年度と比べ221百万円増益の130百万円でした。

 

なお、上記事項を含む報告セグメントごとの詳細については、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

(d) 営業外収益、営業外費用及び経常利益

当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度と比べ45百万円増加の2,957百万円となりました。これは主として、為替差益が前連結会計年度に比べ436百万円減少しましたが、前連結会計年度と比べ受取配当金が239百万円、持分法による投資利益が150百万円、受取利息が107百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

また、営業外費用は、前連結会計年度と比べ47百万円減少の22百万円となりました。これは主として、前連結会計年度と比べ自己株式取得費用が22百万円、支払利息が16百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。

この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度と比べ5,024百万円増加の47,815百万円となりました。

 

(e) 特別利益、特別損失

当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度と比べて1,121百万円増加の4,997百万円となりました。これは主として、助成金収入が前連結会計年度と比べ1,140百万円減少しましたが、当連結会計年度に投資有価証券売却益を1,745百万円計上したこと等によるものであります。

特別損失は、前連結会計年度と比べ137百万円増加の2,322百万円となりました。これは主として、固定資産解体費用が前連結会計年度と比べ916百万円減少しましたが、当連結会計年度に割増退職金を812百万円計上したことや、減損損失が前連結会計年度と比べ785百万円増加したこと等によるものであります。

 

(f) 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税16,556百万円、法人税等調整額△935百万円、非支配株主に帰属する当期純利益1,438百万円を計上し、前連結会計年度と比べ3,862百万円増加の33,430百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の167.24円から190.37円に増加しました。

 
2)  財政状態の分析
(a) 資産

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ31,564百万円増加して534,097百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比べ36,841百万円増加して224,708百万円となりました。このうち、前連結会計年度末と比べ現先短期貸付金は10,999百万円増加し64,999百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が前期末の受取手形及び売掛金と比べ10,069百万円増加し32,921百万円となりました。

有形固定資産は、前連結会計年度末と比べ7,585百万円増加の177,451百万円となりました。このうち、前連結会計年度末と比べ、建物及び構築物(純額)は5,384百万円増加し85,434百万円、土地が5,036百万円増加し80,475百万円となりました。

無形固定資産は、前連結会計年度末と比べ433百万円減少の4,953百万円となりました。

投資その他の資産は、前連結会計年度末と比べ12,429百万円減少し126,984百万円となりました。これは主に、投資有価証券が前連結会計年度末と比べ13,392百万円減少し108,499百万円となったこと等によるものであります。

(b) 負債

当連結会計年度末の流動負債及び固定負債合計額は、前連結会計年度末と比ベ17,054百万円増加の110,405百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比べ18,231百万円増加の65,762百万円となりました。このうち、前連結会計年度末と比べて、買掛金が11,467百万円増加して30,773百万円、未払金が2,187百万円増加して5,311百万円となりました。

固定負債は、前連結会計年度末と比べて1,176百万円減少して44,643百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が1,205百万円減少して10,428百万円となったこと等によるものであります。

(c) 純資産

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて14,510百万円増加し、423,691百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益33,430百万円の計上及び剰余金の配当8,385百万円等により前連結会計年度末と比べて利益剰余金が23,794百万円増加、取締役会決議に基づく自己株式の取得等によって自己株式が10,153百万円増加したこと等によるものであります。なお、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末と比べ2.1ポイント減少し、76.6%となりました。

 

 

キャッシュ・フローの状況の分析・資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりであります。

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を進めるにあたり、事業運営上必要な運転資金、設備投資等の資金は、自己資金を原則としており、不確実性が高い事業を運営するため、十分な手許資金が必要であると考えております。そのためグループ内の資金効率を向上させるべく、当社は、資金余剰が生じている子会社から借り入れる一方、資金需要のある子会社に対しては、貸付を行うことがあります。当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高112,121百万円に対し、有利子負債(リース債務含む)残高は2,558百万円と、自己資金での投資余力を高いレベルで維持しております。

(資金需要の内容及び経営資源の配分)

当社グループの資金需要は、2022年に策定した「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」内の「中期経営計画2025」にて成長投資を掲げており、主な内容はコンテンツ関連投資(映画・アニメ・演劇製作・新規IP創出・人材獲得)として500億円、不動産関連投資(保有物件再開発・新規物件取得)として500億円、新規シネコン出店として50億円、海外展開・DX関連ほかに50億円の計1,100億円程度の投資額を2025年までの3カ年で見込んでおります(大型M&Aに要する投資は別枠)。また、年間40円の配当をベースに配当性向30%以上かつ機動的な自己株式取得の実施により株主還元の充実に努めることとしております。

(資金調達)

短期的・中長期的な投資資金については、自己資金で賄うことを前提としており、大型M&Aに要する資金、中長期的な投資資金については、事業機会に即した資金調達の安定性向上に努めており、財務健全性や資金調達手段の多様化を考慮し、高い信用格付の維持向上を目指して、㈱格付投資情報センターより「AA-」の格付を取得しております。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

経営成績に重要な影響を与える要因

「第2[事業の状況]2[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。