第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、映像関連事業を中心に各部門とも営業成績の向上に全力を傾注し、また、資産の有効活用と収益基盤の強化に取り組むとともに、経営の合理化・効率化をはかり、もってグループの安定向上に努力してまいる所存であります。

 

(1) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループの基幹的な事業である劇場映画につきましては、関連する業界各社と連携を保ち強力な企画を立案し、当社グループが主導的な立場で製作を遂行し、配給・興行におきましては、時流に即した娯楽性豊かなラインナップの営業に努めます。
 また、競争激化するシネマコンプレックス事業につきましては、当社グループの㈱ティ・ジョイにおいて、2000年末の「T・ジョイ東広島」開業より都内では「新宿バルト9」「T・ジョイPRINCE品川」など他社との提携を含め、2019年3月末現在、全国で20サイトを展開しております。全サイトで上映システムのデジタル化が完了し、ODSなどオリジナリティ溢れるコンテンツの企画・上映・配信を試み、新たなる興行形態の展開をはかっております。
 テレビ・ビデオ・アニメーションなど各映像作品の製作・営業につきましては、当社グループは業界のトップクラスに位置し、活発な事業展開を行っております。今後も『相棒』『科捜研の女』などのテレビドラマシリーズ、『ワンピース』や『プリキュア』シリーズなどのテレビアニメ、『仮面ライダー』シリーズや『スーパー戦隊』シリーズなどの特撮キャラクター作品といった当社グループの特色を生かした映像作品を製作し、一層の営業拡大に努めてまいります。
 また、映像の多角的な利用としては、近年、各種の海外への販売が活発化しており、特にテレビ映画、アニメーションとその商品化権の輸出が今後の有力な事業となります。国内におきましても多メディア・多チャンネル時代を迎えて、映像娯楽専門チャンネルの「東映チャンネル」、映画ファン向けVODサービスの「シネマプラス」、そして各種の映像配信ビジネスなど当社グループの豊富なソフトを利用した活発な営業活動を実施いたします。
 さらに新たな技術革新に対応すべく、東京撮影所において撮影からポストプロダクション(編集から完成までの仕上工程)までの一貫したワークフローの実現を目的としたデジタルセンターを中心に、京都撮影所においても連携を図るべく再開発に取り組んでおります。また、竣工となった東映アニメーション㈱の大泉新スタジオなどグループ各社との連携も強化し展開をはかっております。
 また、シネマコンプレックスを中心にした東京大泉地区の「オズ スタジオ シティ」や、映像製作及び映像アミューズメントのテーマパークである京都地区の「東映太秦映画村」など、撮影所隣接地を利用した再開発事業も堅実に推進してまいります。
 その他、イベント事業、ホテル業、広告代理業やCM制作業、貿易業、建築内装業、テナント事業など多彩な展開を行い、経営の安定化をはかってまいります。
 他方経営の効率化につきましては、各種経費の節減により業績の改善に努めてまいりましたが、今後とも気を緩めることなく多面的・総合的に進めていく所存です。
 以上の施策、グループ各社の連携強化、及びIR活動をより積極的に進めることで、ステークホルダーとの長期にわたる信頼関係を確立し、ゆるぎない収益基盤を築くこと、また、コンプライアンス・リスクマネジメント規程順守に基礎を置く内部統制体制を整備することにより、「総合映像企業グループ」としての当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の長期安定的な向上に努めていく所存です。

 

(2) 会社の支配に関する基本方針

当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施 行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。

     ①  当社における企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の取組みについて

当社は1951年の創立以来、半世紀を越えて、幅広いファンの皆様に支えられ、映画・テレビ・ビデオ・アニメー ションその他多様な映像の製作と多角的な営業により、質高く健全なエンタテインメントを提供することに努めてまいりました。

2018年4月、「東映グループ企業理念」「東映グループ経営ビジョン2020」を策定・公表いたしました。

「東映グループ企業理念」は映像製作の絶え間ない継続による『全世界で人々に愛されるエンタテインメントの創造発信』を理念としながら、「映像を中心に明日への糧となるエンタテインメントの創造発信」「キャラクターの創出と育成による日常への癒しの提供」「くつろぎと感動をもたらす非日常の場とサービスの提供」を三位一体として企業活動に従事してまいります。

映像部門につきましては、多様化するメディアに柔軟に対応する企画製作体制を構築し、東西両撮影所とデジタルセンターの一体運営や東映アニメーション新スタジオとの連携を強化して、娯楽性豊かなコンテンツの提供を図ってまいります。

さらにアニメーションや特撮ヒーロー作品などから生まれるキャラクター事業は海外展開も視野に、新規創出も検討して拡充してまいります。

また、娯楽発信の拠点としてはティ・ジョイのシネコン事業はもとより京都太秦映画村などのインフラ事業、東映チャンネルや東映特撮ファン倶楽部などの放送メディアや配信アプリ事業などにも力を入れてまいります。

「東映グループ経営ビジョン2020」はグループとして、2020年のその先も質高く健全なエンタテインメントを創造発信していく『総合コンテンツ企業』を確立するために、グループ各人が「創造力」「実現力」「行動力」の三位一体の力を発揮し、結集できる体制の構築を目指します。

①創造力:コンテンツ(映像やイベント企画、キャラクター創出、顧客サービス向上のアイディアなど)を生み出すための源泉となる力

②実現力:グループで培われたノウハウやインフラを最大限に活用して、創造の種を大きく実らせる力

③行動力:生まれたコンテンツをあらゆるシーンで有効活用し、全世界へ発信していく力

3つの力を企画・製作・営業のみならず、あらゆる業務で発揮して、万人に幸福と夢の実現をもたらします。

当社グループは、今後も、上記の「東映グループ企業理念」「東映グループ経営ビジョン2020」に続く将来へ向けた取組みについて検討を重ねてまいります。

また、コーポレート・ガバナンスの充実にも取り組んで、ステークホルダーとの長期にわたる信頼関係を構築し、当社グループの持続的な成長と企業価値ひいては株主共同の利益の長期安定的な向上に努めてまいる所存であります。

②  大規模買付行為(注1)に対する考え方

当社及び当社グループが培ってきたビジネスモデルは、日本の映像文化の中心的役割を果たしてきた劇場映画、テレビ映画、アニメ作品等と、それらの作品から生まれた様々なキャラクターを包含する知的財産権の集積及びそれらを生み出し幅広くビジネスとして展開するための経験や知識、技術等の集積を核とするものであります。これらの知的財産権や経験等の集積は当社グループの企業価値の源泉にほかなりませんが、必ずしもそのすべてが当社グループの資産として会計上認識されている訳ではありません。また、この知的財産権の集積が当社グループの利益に貢献する期間や貢献の度合いは、作品等によって大きく異なりますが、ユーザーへの提供技術の発達や利用形態の多様化とあいまって、十数年あるいはそれ以上の長期間にわたって貢献する作品等も存在しており、通常の商品や資産とは異なる特徴を有しております。これらの点を十分に理解することなく当社グループの企業価値を適切に評価することは極めて困難であると思料されます。

当社取締役会は、大規模買付者(注2)による大規模買付行為に際し、当社株券等を売却するか否かは、最終的には当社株券等を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。従って、当社取締役会は、大規模買付行為を一概に否定するものではありません。しかしながら、昨今の国内・国外の資本市場においては、時として、対象となる会社の経営陣との十分な協議を経ることなく、株主への十分な情報の開示もなされない段階で、大規模買付行為が行われるといった動きも見られます。当社取締役会は、このような状況を踏まえて、上記のような当社グループの知的財産権や経験等の集積と、近年の当社株券等の時価総額・資産状況の推移等を考慮した場合、当社株券等がそのような大規模買付行為の対象となる一定の可能性が存在していることは否定できないと判断しております。

そして、そのような状況に鑑み、当社取締役会は、株主の皆様が大規模買付者による大規模買付行為を評価する際、大規模買付者から一方的に提供される情報のみならず、現に当社の経営を担い当社の事業特性を十分に理解している当社取締役会の大規模買付行為に対する意見や代替案等も含めた十分な情報が、適時・適切に株主の皆様へ提供されるとともに、当社取締役会が大規模買付者に対して、当社グループの企業価値についての協議を求めることが可能になることを担保するための手立てをあらかじめ確保しておくこと及び提供された情報や代替案等を踏まえて当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が判断するために必要な時間を確保することが、株主の皆様にとって有益であり、株主共同の利益の確保に資するものであると考えます。

(注1)「大規模買付行為」とは、株券等の保有割合を20%以上とすることを目的とした当社株券等の買付行為、又は結果として株券等の保有割合が20%以上となるような当社株券等の買付行為等(市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。)をいうものとします。なお、あらかじめ当社取締役会が同意したものを除くこととします。

(注2)「大規模買付者」とは、大規模買付行為を行う者及び行おうとする者をいいます。

③  買収防衛策導入の目的と基本的な枠組み

当社取締役会は、大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為に応じるか否かを株主の皆様が判断するに当たり必要かつ十分な情報・時間及び当社取締役会による代替案の提示を受ける機会を確保するために、一定の合理的な仕組みを設けることが必要であると判断しております。当社取締役会は、大規模買付行為が、このような大規模買付行為に関するルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)に従って行われることが、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に資すると考えております。

当社は、2007年に「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」を導入し、その後、3年ごとに6月下旬開催の定時株主総会において内容を一部修正又は変更した上で継続することにつき承認を得ております(以下、2019年の定時株主総会において承認された対応策を「本対応策」といいます。)。

本対応策において、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合や、大規模買付ルールを遵守した場合であっても当該大規模買付行為が当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうおそれがあると当社取締役会により最終的に判断される場合には、当社取締役会は、社外者で構成される特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、対抗措置として新株予約権の無償割当ての実施(以下、「対抗措置」といいます。)を決議することができるものとします。その場合には、大規模買付者及びそのグループによる権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該大規模買付者等以外の者から当社株式と引き換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権を、その時点の全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法(会社法第277条以下に規定されます。)により割当てます。

なお、特別委員会は、勧告を行うに際し、対抗措置の発動に関して、あらかじめ株主の皆様のご意思を確認するための株主総会(以下、「株主意思確認総会」といいます。)を開催するべき旨の勧告を行うことができるものとし、当該勧告がなされた場合には、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、株主意思確認総会の招集を決議することができるものとします。

さらに、上記にかかわらず、当社取締役会が、取締役の善管注意義務に照らし株主の皆様のご意思を確認することが適切であると判断した場合にも、当社取締役会は、株主意思確認総会を招集し、対抗措置の発動又は不発動に関する株主の皆様のご意思を確認することができるものとします。

株主意思確認総会の決議は、出席株主の皆様の議決権の過半数によって決するものとし、株主意思確認総会において対抗措置を発動することが可決された場合には、当社は対抗措置を発動するものとします。他方、株主意思確認総会において対抗措置を発動することが否決された場合には、当社は対抗措置を発動しないものとします。

なお、取締役会は、株主意思確認総会を開催することなく対抗措置を発動することを決議する場合には、特別委員会から、株主の皆様のご意思を確認することなく対抗措置を発動すべき又は発動することが望ましい旨の勧告を取得しなければならないものとします。

④  本対応策の合理性について

イ.株主の合理的意思に依拠したものであること

本対応策の有効期間は、2019年6月27日開催の第96期定時株主総会の終結後から2022年6月開催予定の2022年3月期に関する当社の定時株主総会の終結の時までとなっており、有効期間の満了前であっても、株主総会で選任された取締役で構成される取締役会の決議によって本対応策を廃止できることとされています。

さらに、本対応策は、所定の場合には、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重したうえで、株主総会を招集し、対抗措置の発動又は不発動に関する株主の皆様のご意思を確認することとしております。

また、株主総会の決議を経ることなしに、本対応策の継続や実質的な内容の変更を行うことはありません。(法令の改正・廃止等への対応のための形式的な変更で、実質的な内容の変更を伴わないものを除きます。)

以上のように、本対応策は、当社株主の合理的意思に依拠したものとなっております。

ロ.独立性の高い社外者の判断の重視

本対応策において、当社取締役会は、大規模買付行為に対する対抗措置の発動・不発動の決議及び株主の皆様のご意思を確認するための株主総会の招集の決議については、当社の業務執行を行う経営陣から独立し、当社及び当社の経営陣との間に特別の利害関係を有していない社外者で構成される特別委員会の勧告を最大限尊重することとしております。

特に、当社取締役会が株主総会の決議を経ることなく対抗措置の発動を決議する場合には、当社取締役会は、特別委員会から、株主の皆様のご意思を確認することなく対抗措置を発動すべき又は発動することが望ましい旨の勧告を取得しなければならないものとしております。(当社取締役会の判断のみで対抗措置を発動できる余地がないものとなっております。)

ハ.買収防衛策に関する指針の要件を充足していること

本対応策は、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。

また、本対応策は、企業価値研究会が2008年6月30日に公表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の趣旨も踏まえた内容となっております。従って、本対応策では、対抗措置として大規模買付者等に割り当てられた新株予約権を当社が取得する場合でも、その対価として金員等の交付を行うことはありません。

ニ.デッドハンド型又はスローハンド型買収防衛策ではないこと

本対応策は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により廃止することができるものとされており、大規模買付者は、自己が指名し、当社株主総会で選任された取締役で構成される取締役会決議により、本対応策を廃止する可能性があります。従って、本対応策は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は、期差任期制を採用しておらず、また、取締役の解任決議要件の加重を行っておりませんので、本対応策は、スローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。

ホ.特別委員会の評価期間の上限を明確にしていること

大規模買付者に対する特別委員会の評価期間は、現金(円貨)による当社株券等の全部買付の場合は最大60日間、それ以外の場合は最大90日間としております。ただし、特別委員会が、その期間内に結論に至らない場合には、30日間を限度として合理的に必要な範囲で評価期間を延長することができることとしております。

なお、特別委員会が大規模買付情報の追加情報を求めた場合の回答期限(当社取締役会が大規模買付情報を受領した後最大60日間)を合わせると、現金(円貨)による当社株券等の全部買付の場合は評価期間を延長した場合で最大150日間、それ以外の場合は評価期間を延長した場合で最大180日間となります。


 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績又は財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして認識している事項には以下のものがあります。なお、これらについては、発生の可能性が必ずしも高くないと考えられるものを含めて記載していること、また、当社グループのリスクのうち主要なものを記載しており、当社グループのすべてのリスクについて網羅的に記載したものではないことにご留意願います。

当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、その発生の回避及び発生時の適切な対応に向けて努力してまいる所存であります。

文中の将来に関する内容については、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであります。

 

(1) 劇場用映画の興行成績が不安定であること

 映像関連事業における劇場用映画の興行成績は、作品による差異が大きく、不安定であり、また、各作品の興行成績を予測することは困難を伴います。仮に、一定の成績に達しない作品が長期にわたり連続した場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 知的財産権の侵害等

 当社グループの保有する知的財産権については、海賊版や模倣品等による権利侵害が現実に発生しております。それらについては、ケースごとに適切な対応をとるよう努めておりますが、海外あるいはインターネット等においては、法規制その他の問題から、知的財産権の保護を充分に受けられない可能性があります。仮に、当社グループが、侵害行為を回避できない場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 一方、当社グループが所有又は利用する知的財産権に関して、第三者から訴訟を提起される等の結果、損害賠償義務を負ったり、知的財産権の利用が差し止められたりする可能性があります。

 

(3) 多数の顧客等を収容可能な施設における災害の発生等の可能性

 興行関連事業における映画劇場(シネマコンプレックスを含みます。)、催事関連事業におけるテーマ・パーク、観光不動産事業におけるホテルなど、当社グループは多数の顧客等を収容可能な施設において事業を行っております。それらの施設において、万一、災害、衛生上の問題など顧客等の安全にかかわる予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 保有資産の価値下落の可能性

 上記(3)の施設のうち当社グループの保有にかかるものについて、地価が下落した場合、天災その他の予期せぬ原因により施設の価値が損なわれた場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、株式市場における株価の著しい下落その他の原因により、当社グループの保有する有価証券の価値が下落した場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 取引先の経営成績、財政状態等が悪化する可能性

 市場環境の変化や経済全般の悪化等により、当社グループの取引先の経営成績、財政状態等が悪化し、当社グループに対する債務の一部もしくは全部の履行が不能となるか、又は債務の履行が著しく遅延する可能性があります。当社グループは、取引先の過去の支払実績、信用情報等に基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、それを上回る実際の貸倒れや貸倒引当金の積み増しの必要が生じた場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 資金調達環境の変化の可能性

 市場金利が現在の水準から大きく上昇するなど、当社グループの資金調達環境が変化した場合には、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 法的規制、企業会計基準の変更等

 当社グループの事業の遂行は、様々な法令等(証券取引所の定める上場規則その他法令以外のルールで、当社が遵守すべきものを含みます。)の規制を受けております。今後、法令等の制定や改正、又は法令に関する解釈の変更等により、当社グループの事業の遂行に制限が加わる可能性や当社グループの事業の遂行に伴う負担が増大する可能性、あるいは、法令等の規制に対して適切な対応をとらなかったことにより当社グループにペナルティが課される可能性や当社グループの信用が失墜する可能性があり、それが、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、今後、新たな会計基準が適用されたり、従来の会計基準が変更されたりする可能性があり、それが、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、各種政策の効果等により、企業収益が改善傾向に向かい、設備投資が増加するなど、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、金融資本市場の変動の影響等、依然として先行き不透明な状況が続いており、当社を取り巻く事業環境におきましても、個人消費の多様化や節約志向などにより、厳しい情勢下にありました。

このような状況のなかで当社グループは、映像関連事業におきましては、映像4部門(映画事業・ビデオ事業・テレビ事業・コンテンツ事業)の連携強化や興行関連事業・催事関連事業の積極展開等によって収益の拡大をはかるとともに、観光不動産事業・建築内装事業の各部門におきましても堅実な営業施策の遂行に努めました。その結果、売上高は1,370億3千8百万円(前年度比10.2%増)、営業利益は229億7千万円(前年度比31.5%増)、経常利益は259億8千3百万円(前年度比21.5%増)となり、また、特別利益として投資有価証券売却益を、特別損失として災害による損失等を計上いたしまして、親会社株主に帰属する当期純利益は108億1千6百万円(前年度比1.0%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 〔映像関連事業〕

映画事業は、劇場用映画の提携製作配給と他社作品の受託配給等を行い、「ドラゴンボール超 ブロリー」「翔んで埼玉」が大ヒットし、「孤狼の血」「終わった人」「仮面ライダービルド Be The One/快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film」「劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人」「映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」「映画プリキュアミラクルユニバース」等がヒットしました。

ビデオ事業は、セル市場・レンタル市場ともに厳しい状況が続いておりますが、劇場用映画のDVD・ブルーレイディスク作品を主力として販売促進に努め、当連結会計年度はDVD、ブルーレイディスク合わせて373作品を発売いたしました。その結果、劇場用映画「探偵はBARにいる3」や、「仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング」をはじめとした「仮面ライダー」シリーズのDVD・ブルーレイディスク販売が売上に寄与しました。
 テレビ事業は、各局間の激しい視聴率競争により番組編成の多様化が進むなか、受注市場は厳しい状況にありましたが、作品内容の充実と受注本数の確保に努め、当連結会計年度は60分もの「相棒」「科捜研の女」など83本、30分もの「仮面ライダービルド」「ワンピース」「HUGっと!プリキュア」など293本、ワイド・スペシャルもの「日曜プライム 西村京太郎トラベルミステリー」など40本の計416本を製作して高率のシェアを維持し、また「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」「仮面ライダービルド」「仮面ライダージオウ」などキャラクターの商品化権営業も順調でした。
 コンテンツ事業は、劇場用映画・テレビ映画等の地上波・BS・CS放映権及びビデオ化権の販売に加え、スマートフォンやタブレット端末向け配信サービスに映像ソフトの供給を行い、その結果、旧作テレビ時代劇や「探偵はBARにいる3」等の放映権販売、Amazonプライム・ビデオをはじめとしたVOD(ビデオ・オン・デマンド)事業者向けのコンテンツ販売が順調でした。さらに、アニメ関連では、中国向け大口映像配信権の販売本数が増加したことや、北米向け映像配信権の販売が好調だったのに加えて、国内外で「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権販売が好稼働いたしました。
 そのほか、国際事業は、劇場用映画・テレビ映画・キャラクターショー等の海外販売、「宇宙戦隊キュウレンジャー」などテレビ映画の海外向け商品化権営業とともに、「96時間」など外国映画のテレビ放映権の輸入販売を行い、順調に推移しました。教育映像事業は、教育映像の製作配給・受注製作等を行い、2018年教育映像祭において「切り裂かれた未来-飲酒運転の代償-」など計8作品が優秀作品賞を受賞しました。撮影所関連営業及びデジタルセンターは、劇場用映画・テレビ映画等の受注製作、部分請負等を行いました。

以上により、当セグメントの売上高は938億5百万円(前年度比14.5%増)、営業利益は192億9千8百万円(前年度比38.8%増)となりました。

 〔興行関連事業〕

映画興行業は、㈱ティ・ジョイ運営のシネコンが好調に稼働し、東映㈱直営劇場4スクリーンを含む205スクリーン体制で展開しております。

以上により、当セグメントの売上高は214億3千万円(前年度比4.4%増)、営業利益は18億7千6百万円(前年度比1.4%減)となりました。

 〔催事関連事業〕

当連結会計年度は、文化催事の「長くつ下のピッピの世界展」をはじめとして、様々なジャンルの展示型イベント、人気キャラクターショーなど各種イベントの提供を行うとともに、映画関連商品の販売など積極的な営業活動を展開いたしました。また、東映太秦映画村は引き続き堅調に推移しました。

以上により、当セグメントの売上高は81億6千6百万円(前年度比4.2%減)、営業利益は11億7千9百万円(前年度比3.9%増)となりました。

 〔観光不動産事業〕

不動産賃貸業は、賃料水準が上昇線を描く状況には至らず、商業施設の賃貸業においては、全体的に厳しい市場環境が続いております。当連結会計年度は、引き続き「プラッツ大泉」「オズ スタジオ シティ」「渋谷東映プラザ」「新宿三丁目イーストビル」「広島東映プラザ」等の賃貸施設が稼働いたしました。ホテル業においては、インバウンド需要の拡大に伴い、業界環境は空前の建設ラッシュに沸き、マーケットは好調を維持する一方で民泊の解禁など新規参入による競争激化が続いております。当連結会計年度は、福岡東映ホテル本館のリニューアルを実施するなど、収益の確保に向けて積極的な営業活動を展開いたしました。

以上により、当セグメントの売上高は65億1千7百万円(前年度比1.2%増)、営業利益は29億円(前年度比1.7%増)となりました。

 〔建築内装事業〕

建築内装事業では、公共投資は弱含みではあるものの高水準を維持しており、設備投資も増加していることなどから、受注環境は良好な状況で推移することが予想されます。しかしながら、技術労働者の不足や建築資材価格の高止まりなど、予断を許さない経営環境が続いており、楽観は出来ない状況です。このような状況でありますが、従来の顧客の確保および新規顧客の獲得に懸命の営業活動をいたしました。

以上により、当セグメントの売上高は71億1千9百万円(前年度比3.7%増)、営業利益は3億1千3百万円(前年度比20.5%増)となりました。

 

当連結会計年度末における資産合計は、2,962億9千2百万円となり、前期末に比べ229億9千7百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が97億3千1百万円、受取手形及び売掛金が64億3百万円、仕掛品が24億4千2百万円、投資有価証券が48億2千7百万円増加し、繰延税金資産が10億2千2百万円減少したことによるものであります。

当連結会計年度末における負債合計は、820億8千4百万円となり、前期末に比べ48億2千9百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金が36億8千9百万円、未払法人税等が15億3千万円、流動負債のその他が34億7千3百万円増加し、1年内返済予定の長期借入金が15億4千9百万円、長期借入金が17億5千2百万円減少したことによるものであります。

当連結会計年度末における純資産合計は、2,142億8百万円となり、前期末に比べ181億6千8百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が99億1千7百万円、その他有価証券評価差額金が21億4千2百万円、非支配株主持分が59億2千5百万円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが200億4千9百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが62億1千5百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが56億1千9百万円減少した結果、497億3千9百万円(前年同期は417億5千2百万円)となりました。

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

営業活動により得た資金は、200億4千9百万円(前年同期は157億9千9百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益251億6千5百万円、仕入債務の増減額39億3千7百万円、利息及び配当金の受取額18億6百万円による増加と、売上債権の増減額65億1千1百万円による減少があったことによります。

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

投資活動により支出した資金は、62億1千5百万円(前年同期は117億1百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入71億3千6百万円による増加と、定期預金の預入による支出103億8千万円、有形固定資産の取得による支出24億7千4百万円による減少があったことによります。

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

財務活動により支出した資金は、56億1千9百万円(前年同期は37億9千3百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出41億1百万円、配当金の支払額9億2百万円、非支配株主への配当金の支払額11億6千1百万円による減少があったことによります。

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとるものも少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため、生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、退職給付に係る負債及び法人税等であり、継続して評価を行っております。
 なお、見積り及び判断・評価につきましては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態の状況の分析)

当連結会計年度末における資産合計は、2,962億9千2百万円(前年度比8.4%増)となりました。これは主に、映像関連事業の資産が174億7千9百万円、建築内装事業の資産が22億1千7百万円増加したことによります。

 

(経営成績の状況の分析)

イ.売上高

当連結会計年度における売上高は、1,370億3千8百万円(前年度比10.2%増)となりました。これは主に、映像関連事業の売上が118億4千9百万円、興行関連事業の売上が8億9千6百万円増加したことによります。

ロ.売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、510億6千3百万円(前年度比14.4%増)となりました。

ハ.販売費及び一般管理費

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、280億9千2百万円(前年度比3.4%増)となりました。これは主に、人件費が3億2千5百万円、広告宣伝費が9千2百万円、減価償却費が2億5千5百万円増加したことによります。

ニ.営業利益

当連結会計年度における営業利益は、229億7千万円(前年度比31.5%増)となりました。これは主に、映像関連事業の営業利益が53億9千9百万円増加したことによります。

ホ.経常利益

当連結会計年度における営業外収益は、持分法による投資利益等により31億3千万円(前年度比26.8%減)、営業外費用は、支払利息等により1億1千8百万円(前年度比67.7%減)となりました。その結果、営業外損益計上後の経常利益は259億8千3百万円(前年度比21.5%増)となりました。

ヘ.特別損益

当連結会計年度における特別利益は、投資有価証券売却益により2千9百万円、特別損失は、災害による損失等により8億4千7百万円を計上しております。

ト.親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度は非支配株主に帰属する当期純利益が19億7千1百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は108億1千6百万円となり、前連結会計年度に比較して1億5百万円、1.0%の増益となりました。

 

当社グループとしては、映像関連事業を中心に、より一層のコンテンツ事業の強化及び効率的な活用に傾注し、また資産の有効活用に努めるとともに、不採算部門の見直し等により、今後も収益基盤の強化に取り組んでまいります。
 なお、中長期的な経営戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。

 

(キャッシュ・フローの状況の分析)

キャッシュフローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループは、運転資金及び通常の設備改修資金などは、内部資金または借入金により調達しております。

当連結会計年度末の借入金の合計残高は125億6千2百万円であり、前連結会計年度末残高に比較して33億1百万円減少しております。引き続きグループ内の資金の一元管理等を含め、資金調達コストの低減を図り、グループ全体の有利子負債の削減に努めてまいります。

当社グループは、財務の健全性を保ち、営業活動のキャッシュ・フローを生み出すことにより、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能であると考えております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。