第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは「愛される『ものがたり』を全世界に」を使命とし、東映を中心とする安定的なグループ経営のもと、映像作品をはじめとする良質なエンターテインメントを全世界に提供し続けて参ります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

 創業以来の組織変更を実施の上、グループの中長期的な成長戦略として「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」を2023年2月に策定し、推進しております。

 

0102010_001.png

 

概要

◆使命:愛される「ものがたり」を全世界に

◆スローガン:

0102010_002.png

 

◆10年後に目指す姿:世界で愛されるコンテンツを数多く創造発信している

◆成長戦略:実写、アニメ映像事業を強化・拡大し、グローバル展開を加速する

◆全体像:

0102010_003.png

重点施策

 当社グループの強みは多様で魅力的な作品群を生み出す源泉となる企画製作力、そしてIPホルダーとして収益最大化を実現するマルチユース展開力と認識しております。その強みを活用した重点施策として、以下に取り組んでおります。

①映像事業収益の最大化

 企画製作力の強化、コンテンツのマルチユース促進、IPライフサイクルの長期化

②コンテンツのグローバル展開へのチャレンジ

 現地企業とのコラボレーション(ローカライズ作品やオリジナル作品の創出)、海外におけるファンの育成、グローバルメジャーと共同開発・世界展開、世界的ネットワークの構築

③映像事業強化のための人的投資の拡大

 企画製作力とマルチユース展開力を高める採用・配置/育成、エンゲージメントを高める評価・報酬/環境整備

④持続的なチャレンジと成長を支える経営基盤強化

 事業基盤強化に向けた投資戦略(製作設備関連投資、不動産関連投資)、コーポレート・ガバナンスの強化、サステナビリティへの取り組み、資本・財務戦略

 

<キャピタルアロケーション>

2033年に向けた東映グループでの成長投資(予定)

▼コンテンツ投資:          2,400億円

▼事業基盤強化に向けた投資:      600億円※

     ※〈内訳〉製作設備関連投資: 360億円

          不動産関連投資:  240億円

 また、株主・投資家をはじめとするあらゆるステークホルダーの皆様に当社をよりご理解いただき、適正に評価していただくため、更なる開示の充実にも取り組みます。引き続き、当社グループの企業価値ひいては全てのステークホルダー共同の利益の長期安定的な向上に努めてまいります。

 

(3)目標とする経営指標

 上記した重点施策の展開により、企画からマルチユース展開のサイクルのグローバル化を推進し、国内外でのトップライン拡大及びベースライン収益の向上を目指してまいります。

・売上構成比率における海外割合が50%

・営業利益 ベースラインとして250億~400億円

・ROE8%以上

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

 地政学リスクの高まりによる資源価格の高騰や物価の上昇等、依然として世界経済の先行き不透明な状況が続いております。当社グループを取り巻く事業環境におきましても、コンテンツ産業は今後も世界的な成長が期待される一方、国内における少子高齢化やそれに伴う人口減少、消費者ニーズや伝達媒体の多様化等、厳しい情勢下にあります。こうした状況のなか、当社グループの経営課題として、以下を認識しております。

 

・オリジナルを中心とした新規IP創出力の増強によるIPポートフォリオの拡充

・IPのグローバル展開の加速と、国内・海外のIPマルチユース促進によるIPあたり収益の最大化

・持続的成長に向けたIPライフサイクルの長期化

 

 これらの経営課題の解決に向けて、「(2)中長期的な会社の経営戦略」に記載の通り、東映グループでは10年後に目指すべき姿を「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」として策定しました。本ビジョンの実現に向け、「愛される『ものがたり』を全世界に」の使命のもと、より積極的な事業展開を図り、総合エンターテインメント企業として成長を続けてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

 当社グループは、「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」にも定めている以下のサステナビリティ基本方針を基に、社会課題の解決に貢献し、社会と当社グループの持続的な成長を目指すため、サステナビリティを経営の重要事項の一つとして取り組んでおります。

 

<サステナビリティ基本方針>

 当社グループは「愛される『ものがたり』を全世界に」を使命と掲げ、持続可能な社会の実現と当社グループの中長期的な企業価値向上を不可分一体の目標と捉え、重要課題(マテリアリティ)を特定し、取り組んでまいります。

 

①ガバナンス

当社グループのサステナビリティ推進体制は次の通りです。

 

<サステナビリティ推進体制図>

0102010_004.png

 

イ.監督体制

当社グループでは、サステナビリティ関連課題を経営の重要事項の一つと捉え、取締役会による監督体制を構築しています。

取締役会は、マテリアリティ(重要課題)の特定をはじめ、「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」及びサステナビリティ基本方針を踏まえたサステナビリティ関連方針や戦略の意思決定、ならびに経営リスク及び機会への対応状況について監視・監督・助言を行っております。

取締役会が報告を受ける頻度は、原則年2回開催のサステナビリティ委員会からの定例報告を基本としつつ、必要に応じて個別の議題を付議・審議する体制とすることで、ガバナンスの強化を図っております。

第103期のサステナビリティ関連課題に関する取締役会の審議状況につきましては、以下の表をご確認ください。

 

 

<第103期 サステナビリティ関連課題に関する取締役会の審議状況>

開催日

機関

サステナビリティに関連する主な議題

2025年6月17日

取締役会

・第103期リスクマネジメント計画の策定

・第6回サステナビリティ委員会の審議内容及び決定事項の報告(次項(ロ.執行体制)審議状況を参照)

・第102期有価証券報告書の提出

2025年11月14日

取締役会

・第103期リスクマネジメント計画の進捗報告

・コンプライアンス委員会からの報告について

2025年12月19日

取締役会

東映グループ統合報告書2025の発行

・第7回サステナビリティ委員会の審議内容及び決定事項の報告(次項(ロ.執行体制)審議状況を参照)

 

また、当社の取締役及び監査等委員である取締役は十分な知見・経験を有していると考えております。以下にてスキルマトリックスを記載しておりますので、ご参照ください。

 

<社内及び社外取締役のスキルマトリックス>

0102010_005.png

 

ロ.執行体制

サステナビリティに関わるグループ全体の管理体系の構築と、サステナビリティ対応力の持続的向上を目的として、環境・社会に関わるサステナビリティ委員会、ガバナンスに関わる内部統制委員会、リスクマネジメント委員会、コンプライアンス委員会、ハラスメント対策委員会の5つの委員会を設置しております。

サステナビリティ委員会の傘下には、具体的な課題解決を目的として「人的資本経営」「DEI推進」「環境課題対応」の3つの分科会を設置し、実効性のある活動を展開しております。同委員会での協議内容は、取締役会における意思決定に直接反映される体制となっております。

 実務執行の専管組織として、代表取締役直轄の経営戦略部内にサステナビリティ推進室を設置し、サステナビリティ委員会の事務局機能を担うとともに、グループ全体の戦略高度化及び施策の推進を統括しております。

加えて、気候変動や人的資本といった重要課題に対し、各分科会を通じて施策進捗の管理等グループ各社との密接な連携体制を構築しております。また年2回開催される東映グループ社長会議や東映グループ担当者連絡会議にて、サステナビリティ委員会での取り組みや決定方針を共有し、各社の取り組み事例の共有を推進することで、グループ一丸となったサステナビリティ戦略の高度化を図っております。

 

<各委員会の役割・構成・開催頻度>

種別

機関

役割

構成

開催頻度

環境・社会

サステナビリティ委員会

持続可能な環境・社会の実現と、当社グループの持続的成長のための環境・社会課題への取り組みについて審議し、取締役会に提言を行う

最高責任者:東映㈱取締役社長

委員長:東映㈱専務取締役

副委員長:東映㈱上席執行役員1名

常任委員:東映㈱上席執行役員2名

担当委員:東映㈱社内取締役2名

東映㈱上席執行役員6名

東映㈱執行役員2名

2回/年

ガバナンス

内部統制委員会

会社法及び金融商品取引法(証券取引法)の求める内部統制環境の構築・維持運営・改善を図る

最高責任者:東映㈱取締役社長

委員長:東映㈱専務取締役

副委員長:東映㈱上席執行役員1名

常任委員:東映㈱上席執行役員2名

担当委員:東映㈱社内取締役2名

東映㈱上席執行役員6名

東映㈱執行役員2名

適宜開催

ガバナンス

リスクマネジメント委員会

サステナビリティ関連課題を含む全てのリスクを監視し可能な限り最適な方法を検討し対処する

最高責任者:東映㈱取締役社長

委員長:東映㈱専務取締役

副委員長:東映㈱上席執行役員1名

常任委員:東映㈱上席執行役員2名

担当委員:東映㈱社内取締役2名

東映㈱上席執行役員6名

東映㈱執行役員2名

2回/年

ガバナンス

コンプライアンス委員会

コンプライアンスに関する教育、研修等の計画の実施、担当委員からの報告の聴取及び検討、法令等違反行為に関する取締役社長への報告を行う

最高責任者:東映㈱取締役社長

委員長:東映㈱専務取締役

副委員長:東映㈱上席執行役員1名

常任委員:東映㈱上席執行役員2名

担当委員:東映㈱社内取締役2名

東映㈱上席執行役員6名

東映㈱執行役員2名

適宜開催

ガバナンス

ハラスメント対策委員会

人権侵害などを含む、各種ハラスメントの相談・調査・判断、被害者の救済、再発防止に努める

最高責任者:東映㈱取締役社長

委員長:東映㈱専務取締役

副委員長:東映㈱上席執行役員1名

委員:東映㈱上席執行役員1名

部門担当部長・マネージャー

3名

適宜開催

 

<第103期 サステナビリティ委員会の審議状況>

開催日

機関

主な承認・審議・報告事項

2025年6月11日

第6回サステナビリティ委員会

<承認事項>

・有価証券報告書サステナビリティ関連開示の承認

・気候変動におけるシナリオ分析の実施

・温室効果ガス排出量の中長期削減目標の策定

・第104期温室効果ガス排出量削減施策内容の決定

・人的資本関連指標の策定

<報告事項>

・第102期温室効果ガス排出量データ

・第2回D&Iプロジェクトの活動結果

2025年12月8日

第7回サステナビリティ委員会

<承認事項>

東映グループ統合報告書2025の発行

・パートナーシップ構築宣言の策定

<報告事項>

・第103期上半期の温室効果ガス排出量データ

・第104期温室効果ガス排出量削減施策の進捗

・気候変動におけるシナリオ分析の定性分析結果

・人的資本関連指標の半期モニタリング結果

・第3回D&Iプロジェクトの活動状況の進捗

 

②戦略

 「愛される『ものがたり』を全世界に」という当社グループの使命やサステナビリティ基本方針のもと、「③リスク管理 イ.サステナビリティ関連リスク及び機会の識別・評価の過程について」に記載の特定プロセスを経て、「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」の実現に向けた6つのマテリアリティを特定致しました。マテリアリティごとにリスクと機会を抽出し、関連する事業所と具体的なアプローチを協議、検討しております。

社会課題の解決と企業価値向上の両立を経営の根幹に据え、目指す姿の実現に向けて、マテリアリティに対する重点施策を経営計画等に反映し、取り組みを進めてまいります。

 

<各マテリアリティ(重要課題)における主なリスクと機会>

マテリアリティ(重要課題)

主なリスク

主な機会

1.愛される「ものがたり」をつくり、届け続ける

・製作・配給作品やイベントの製作本数増加に伴う労働時間の増加による、人件費の増加、従業員エンゲージメントの低下 など

・安定した製作・配給作品やイベントの製作本数を維持することによる、

売上高の増加、顧客の獲得、顧客満足度の向上 など

2.クリエイティビティを発揮するための人的投資

・労働環境が改善しないことによる、従業員エンゲージメントの低下

・差別・偏見・ハラスメントなどを放置することによる、企業イメージの毀損、顧客の離反、従業員エンゲージメントの低下

・社内やサプライチェーン上の労働環境・人権問題やコンプライアンス違反による、配給・配信の停止や商品の回収による、社会的評価の低下、売上高の低下

・人材の社外流出や確保困難 など

・対話を行い、適切な労働環境へ改善することによる、従業員エンゲージメントの向上

・人材育成・キャリア開発を行うことによる、生産性の向上

・DE&I推進経営を行うことによる、競争力の向上、イノベーションの促進、企業イメージの向上、リスク管理能力の向上

・多様な人材を受け入れることによる、人材の確保の容易化 など

3.グローバル展開を目指したIP創出力の増強

・撮影所の拡充や新規機材導入等の投資による事業費の増加 など

・DX技術の活用による、撮影費や人件費の減少によるコスト削減

・映像技術の先進企業としてのブランド価値の創出 など

4.国内外のパートナーとの連携強化

・取引先との連携不足による、国内外での配給・配信本数や商品・サービスの販売機会の減少、新たな価値の提供機会の喪失、売上高の低下 など

・国内外の取引先と連携を強化することで、安定した配給・配信網・物流網の確保、商品やサービスの販売機会の拡大、売上高の増加 など

5.知的財産の保護と活用

・知的財産権の侵害による、企業イメージの毀損、売上高の低下、ブランド価値の低下

・映像原版を適切な環境で保管しないことによる、映像資産の喪失

・映像原版をデジタル化することによる、事業費の増加

・マルチユース展開(二次利用・三次利用)の遅れによる、商品やサービスを通じた新たな価値の提供機会の喪失 など

・知的財産権保護教育による、侵害リスクの低下、従業員意識の向上

・映像原版をデジタル化することで、半永久的に映像資産を次世代に残す

・適切なタイミングでマルチユース展開を行うことによる、商品やサービスの販売機会の拡大、売上高の増加 など

6.サステナビリティ経営の高度化

・サイバー攻撃や従業員等の故意・過失による情報漏洩による、企業イメージの毀損、取引先・顧客からの信頼性の低下

・炭素税の導入による事業コストの増加

・CО2削減のための設備投資等支出の増加

・再生可能エネルギーへの転換による電力価格の変動

・気候変動がもたらす自然災害の増加による撮影所・映画館・保有不動産への物理的な損害

・気温上昇に伴う撮影所・映画館・保有不動産での空調使用量の増加

・気候変動がもたらす自然災害の増加による、映画館の休業やイベント休止等に伴う来場者数の減少、売上高の低下 など

・情報セキュリティ強化による、取引先・顧客からの信頼性の向上

・情報セキュリティ教育による、情報漏洩リスクの低下、従業員意識の向上

・省エネや廃棄物削減、リサイクル、エネルギー供給源の見直し(再エネの活用)によるコストの削減

・バーチャルプロダクション・AI等DX技術の活用によるCО2排出量や廃棄物の削減 など

 

③リスク管理

イ.サステナビリティ関連リスク及び機会の識別・評価の過程について

 当社グループに影響を及ぼす可能性のあるサステナビリティ関連課題の識別、評価は、マテリアリティ(重要課題)を特定する過程で実施をしております。国際的なガイドラインを基に、自社の財務に与える影響及び社会や環境に与える影響を鑑みて特定致しました。以下、マテリアリティ(重要課題)の特定プロセスを記載いたします。

 

<マテリアリティ(重要課題)の特定プロセス>

「マテリアリティ(重要課題)」特定プロセス

Step1

サステナビリティ課題の抽出及びロングリストへの絞り込み

SASBスタンダードなどの国際的なガイドラインや環境・社会・経済に対する影響が大きい課題から抽出した数百のテーマを、企業としての実現の是非や重複の調整などの手順で約200の課題(ロングリスト)に絞り込みました。

Step2

ロングリストからショートリストへの絞り込み

情報通信業(エンターテインメント業)の抱える問題や同業他社のマテリアリティ等を参考に、当社グループの業種においてグローバルに求められる評価基準も加味し、35の課題(ショートリスト)に絞り込みました。

Step3

重要性評価による重要課題の特定

ショートリストから、社外取締役を含む取締役にインタビューやアンケートを実施し、その結果から抽出した課題の内、外部の有識者(証券代行系コンサルティング会社)を交えながら社会的な側面及び事業的な側面でインパクトの大きな課題を特定しました。重要性評価に際しては、経営としての意思決定が影響を及ぼせること、「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」とのつながりがあることなども考慮しています。

Step4

経営層による審議・承認

重要性評価を経て特定された重要課題について、サステナビリティ委員会や常務会にて議論が交わされたのち、2025年1月の取締役会にて審議・承認されました。

 

ロ.サステナビリティ関連リスク及び機会の管理体制について

 当社グループでは、企業価値毀損に繋がる、事業の持続性に影響を及ぼす、組織目標の達成を阻害する事象・要因のうち、組織横断的な対応が必要となるものを企業経営に係るリスクと捉え、リスクマネジメント規程を定め、確実に対応するためのマネジメントシステムを構築しております。

 経営管理本部担当取締役が委員長となり、各部門を統括する執行役員以上の役員が委員であるリスクマネジメント委員会では、リスク対応の優先順位づけなど、サステナビリティ関連リスクも全て含んだ全社的リスクマネジメントを実施しております。また、リスクアセスメントの過程でリスクから派生する機会も同時に識別し、評価及び管理しております。識別された機会は、事業戦略策定プロセスにおいて検討され、新たな事業機会の創出や企業価値向上に繋がるよう活用されています。

 詳細な管理体制図及び重要リスクの選別方法については「3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

④指標及び目標

 当社グループは、各マテリアリティ(重要課題)において、「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」と連動する形で、以下の取り組みテーマと定性・定量目標を設定致しました。今後は目標達成のための具体的なアプローチについて対象事業所と検討を進めてまいります。

 なお、気候関連は「(2)気候変動 ④指標及び目標」、人的資本関連は「(3)人的資本 ④指標及び目標」に記載をしておりますのでご参照ください。

 

マテリアリティ(重要課題)

取り組みテーマ

定性・定量目標

1.愛される「ものがたり」をつくり、届け続ける

・質の高い作品の制作・提供を通して、社会に貢献する

・安定的な劇場公開本数の維持と、計画的な拡充

・イベント開催本数の拡充

2.クリエイティビティを発揮するための人的投資

・人権の尊重

・戦略的な採用と配置

・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)推進と職場環境の整備

・「個」の強化

「(3)人的資本 ④指標及び目標」を参照ください。

3.グローバル展開を目指したIP創出力の増強

・東京撮影所・京都撮影所・アニメーション製作スタジオ等の拡充

・先端映像テクノロジー、撮影設備技術への投資

・海外スタジオとの連携強化

・国内外を含む制作会社に向けて各撮影所への誘致を積極的に推進

・先端技術等の研究・開発

4.国内外のパートナーとの連携強化

・海外ネットワークの構築

・イベント、マーチャンダイジングへの展開促進

・データドリブン/マーケティングの強化

・サイマル放送エリアの拡大

・海外イベントの積極的な開催

・仮面ライダーストアなど直販店舗の拡大

5.知的財産の保護と活用

・著作権、商標権の保護に関する取り組みの強化

・従業員に対する知的財産保護教育の徹底

・映像原版の保全

・国内外のIPマルチユース(二次利用・三次利用)の促進

・新入社員や知財業務に携わる若手社員を中心とした著作権セミナーの定期的な実施

・映像素材の4Kデジタルスキャン数:年間200本以上を維持(劇場用映画、テレビ映画の合計値)

・フィルム劣化が懸念される1960年代までの旧作映像原版のデジタル化について2030年度までに完了を目指す

6.サステナビリティ経営の高度化

・情報漏洩を防ぐためのセキュリティの強化

・脱炭素に向けた省エネ・再エネを活用したCO2削減

・プラスチック製品等の廃棄物削減

・節水など水資源の保全への取り組みの強化

・標的型攻撃メール誤操作率:10%以下を維持

・セキュリティ教育受講率:85%以上(eラーニングを含む)

・最新セキュリティ事例を交えた、ITリテラシー向上のための定期配信:月次・年12回

・気候関連:「(2)気候変動 ④指標及び目標」をご参照ください。

 

 

(2)気候変動

 当社グループは、マテリアリティである「6.サステナビリティの高度化」のサブマテリアリティの一つに「気候変動への適応」を掲げています。映画·アニメ製作、スタジオ運営、劇場興行といった当社グループの事業において、気候はお客さまの行動や従業員の健康を左右する重要な環境要因であり、本テーマは重要な経営課題の一つと位置づけています。

 その認識のもと、国際的な開示フレームワークであるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿い情報開示を進めています。気候変動に関するリスクと機会の特定及び影響度合いを評価し、その結果を踏まえた戦略検討と情報開示を通じて、当社グループだけでなく、バリューチェーン全体での脱炭素化及び気候変動に対してレジリエントな経営を目指し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

 

①ガバナンス

 「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

 当社グループは、映画館·スタジオ·不動産·催事などを運営しており、エネルギーとして主に電力を消費する事業構造を有しています。その特性から、将来的なエネルギーコストの上昇や規制、社会的要請が、財務やブランド価値に影響します。加えて、「愛される『ものがたり』を全世界に」という使命を継続して実現するためには、こうした将来の不確実性を見据えることが重要と考えています。

 このような認識のもと、当社グループではTCFDが推奨するシナリオ分析の手法に倣い、備えるべき重要課題の特定と優先度評価並びに対策検討を定期的に行っています。2025年度中に実施したシナリオ分析では、地球温暖化が深刻化することを想定した「4℃シナリオ」、脱炭素化に向けた移行が進む「1.5℃シナリオ」の、二つの温度帯シナリオを設定し、当社グループの全事業種を対象に想定されるリスク及び機会の全社的なスクリーニングと対応優先度の検討を目的として実施しています。参考文献等の設定シナリオと、シナリオ分析の定量結果、現在識別している気候変動リスク及び機会については、それぞれ下記表にて一覧化しております。

 シナリオ分析の結果、現時点においては財務に重大な影響を及ぼすリスクは限定的であると認識しています。一方で、将来的な不確実性も踏まえ、各リスクの低減に向けた対応を着実に進めるとともに、気候変動への対応を通じた機会の獲得を目指し、引き続き取り組みを推進してまいります。

 

<シナリオ分析 設定シナリオ>

4℃

シナリオ

2100年までに世界の平均気温が産業革命前と比べて最大4℃上昇する成り行きのシナリオ。
国内外での規制や政策の強化は限定的である一方、地球温暖化は深刻化し、物理的リスクの深刻化が懸念される。

[参照シナリオ]
IEA 『WEO2024』 STEPSシナリオ
IPCC 『第5次報告書』RCP8.5シナリオ

1.5℃
シナリオ

2100年までに世界の平均気温上昇が産業革命前と比べて1.5℃以内に抑えることを目指す野心的なシナリオ。カーボンニュートラル社会の実現に向け、脱炭素化に関する政策や規制が強化され、低炭素製品やサービスの需要が高まる。

[参照シナリオ]
IEA 『WEO2024』NZEシナリオ,APSシナリオ
IEA 『WEO2019』SDSシナリオ
IPCC 『第5次報告書』RCP2.6シナリオ

 

 

<シナリオ分析によるリスク及び機会の特定結果>

区分

分類

要因と事象

時間軸

関連事業

財務
影響度

予測

映像関連

興行関連

催事関連

観光

不動産

内装

物理

急性

異常気象の激甚化(台風、豪雨等)

リスク

異常気象による施設の直接被害に伴う修繕費の発生、事業中断による損失

中期~

長期

★★

慢性

平均気温の上昇などの気象パターン変化

リスク

降雨日数増加による製作遅延に伴う対応コストの増加

中期~

長期

猛暑に伴う観光地·イベント関連収益の減少

熱中症リスク増加による撮影スケジュール遅延·対応コストの増加

冷房使用などのエネルギー使用量·設備コストの増加

機会

猛暑による動画配信·映画館など屋内·在宅娯楽の需要拡大

★★

バーチャルプロダクションの需要増加による新たな価値提供

移行

政策


規制

カーボンプライシング制度の導入

リスク

事業活動に伴うCО2排出量に炭素税が課されることによる操業コストの増加

中期~

長期

プラスチック規制

リスク

プラスチック製のカトラリー類·梱包材·アメニティ類等の仕入れコストの増加

長期

リサイクル規制

リスク

多様な廃棄物の処理規制強化による対応コストの増加

中期~

長期

森林保護に関する政策

リスク

認証木材由来製品の使用要請強化に伴う紙製品の調達コストの増加

短期~

長期

技術

低炭素技術の進展

機会

発電効率の高い技術活用を用いた設備導入による不動産価値の向上

中期~

長期

次世代技術の進展

機会

バーチャルプロダクション技術の活用による、ロケ移動やセット解体に伴うコストの削減

長期

市場

電力価格の高騰

リスク

社会全体の電力再エネ化に伴う電力単価の高騰によるコストの増加

中期~

長期

原材料コストの変化

リスク

建築資材価格の高騰

長期

評判

顧客や投資家の評判変化

リスク

気候変動問題に対する取り組みが不十分であるとみなされた際の、取引先やお客さまからのレピュテーションの低下

中期~

長期

※時間軸は、短期を既に顕在化している事象、中期を今後5か年以内に顕在化することを想定している事象、長期をそれ以降に想定する事業として整理しています。

※財務影響度予測は、★★★:財務に大きな影響が見込まれるリスク/機会(営業利益の10%以上)、★★:財務に中程度の影響が見込まれるリスク/機会(営業利益の1%以上)、★:財務に軽微な影響が見込まれるリスク/機会(営業利益の1%未満)として整理しています。

※将来予測情報が不足している項目については、 合理的な前提に基づく財務への影響度の算定が困難であるため「-」としています。

 

③リスク管理

 気候変動関連リスクについては、サステナビリティ委員会及び環境課題対応分科会(旧TCFD対応分科会)にて環境省等が推奨するシナリオ分析を用いて識別・評価をしており、リスクマネジメント委員会と情報を共有しながら、リスクを評価・管理しております。サステナビリティ委員会における評価の結果、重要と考えられるリスク項目はリスクマネジメント委員会に報告され、全社的なそのほかの性質の事業リスクと統合し、定量的かつ定性的に事業に及ぼす影響度と発生可能性を評価した後、既存の対応状況を評価したうえで、対応優先度を決定しています。

 気候変動関連のリスク評価にあたっては、GRIスタンダードの考え方に則り、そのリスク影響の深刻度と発生可能性の2軸で評価する体制を整えています。深刻度については財務影響の大きさ、発生可能性についてはシナリオ分析において想定したリスクの顕在化が想定されるシナリオパターンと外部情報を参考に想定されている発生時期をもとに勘案しています。

 気候変動関連リスクを含む詳細なリスクマネジメント体制については、「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」をご参照ください。

 

④指標と目標

 当社グループにおいて、温室効果ガスの排出量削減は、脱炭素社会の実現に向けた責務であると認識しております。連結子会社までを対象として2022年度より温室効果ガスの排出量の年1回の調査を実施し、2025年度からはモニタリング体制を強化し、調査頻度を年2回へと拡充することで進捗管理を強化しております。

 また、削減活動の推進を行い、2030年度に2022年度実績対比で温室効果ガス排出量(Scope1、2)46%の削減を目標に掲げています。その達成に向けた具体的施策として、2026年4月より当社グループ28事業所おいて再生可能エネルギーを使用した電力への一斉切り替えを実施しております。

 今後は、Scope1、2におけるデータの信頼性向上のための第三者保証の取得、及びScope3の算定に向けた検討を進めるとともに、2050年度のカーボンニュートラル達成を目指し、グループ一丸となって気候変動対策に取り組んでまいります。

 

<CO2排出量の推移>                                  ※単位:t-CO2

CO2排出量

2022年度実績
(第100期)

2023年度実績
(第101期)

2024年度実績
(第102期)

2025年度実績
(第103期)

2030年度目標
(第108期)

2050年度目標
(第128期)

Scope1

3,344

3,483

3,521

3,399

0

Scope2

18,275

17,326

17,168

17,765

0

合計値

21,620

20,810

20,689

21,164

11,674

0

第100期比

△3.74%

△4.30%

△2.10%

△46.0%

△100%

※連結対象会社の実績合計値です。

※マーケット基準にて算定をしております。

※当社グループの事業年度(4月1日~翌年3月末)を基準に計測を実施しております。

※使用電力量等の一部には、建物オーナー側において購入・契約している電力に再生可能エネルギー由来の電力等が含まれる可能性がございますが、十分なエビデンスが得られない場合は化石燃料由来の電力として算定をしております。

※当社グループは、前年度まで国内基準に基づき算定しておりましたが、グローバルな事業展開を加速させる中で、国際的な投資指標への対応及びステークホルダーとの対話を深めるため、当連結会計年度より国際的なガイドラインであるGHGプロトコルを参考にした算定を実施しております。これに伴い、経年比較を可能とするため、2022年度(第100期)から2024年度(第102期)の連結会計年度についても、同ガイドラインに基づき再計算した値を記載しております。

 

<Scope1及びScope2の算定プロセス>

 Scope1は直接排出(ガソリン、灯油、重油、ガス)、Scope2は間接排出(電気・蒸気)であり、それぞれの使用量に対して最も適切と考えられる排出原単位を乗じて算定しています。

 排出原単位は、環境省が公表している「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」ならびに「電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)」を利用しています。

 

(3)人的資本

 当社グループは、映画・アニメ・TV番組の製作・配給及び知的財産ビジネスを中心としたエンターテインメント企業として、人材の育成と多様な人材が活躍できる環境の整備が、持続的成長の鍵であると認識しております。

 マテリアリティ(重要課題)「2.クリエイティビティを発揮するための人的投資」を設定した上で、人的資本への投資を強化するとともに、従業員の能力開発・働きがいの向上・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進し、クリエイティブ産業としての社会的責任を果たしてまいります。

 

①ガバナンス

 「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

 コンテンツ産業のグローバル化や消費者ニーズの多様化に対応し、当社グループは2033年に海外売上構成比率50%の達成を目指しております。この目標達成に向け、グローバル展開を見据えたIP(知的財産)の企画製作力及びマルチユース展開力の強化を図るべく、その源泉である「人」への投資を経営戦略の重点施策に位置付けております。経営戦略と連動した人材戦略として、「グローバルで活躍できる高度な専門性と多様な視点を持つクリエイティブ人材とマルチユース展開できる人材」の確保・育成を推進するため、2023年10月に、当社グループにおける「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を以下の通り策定いたしました。

 

<人材育成方針>

 メディア環境やニーズの変化へ柔軟に対応し、価値あるコンテンツを創り続けると同時に世界に届けるために個の成長を促す能力開発プログラムの拡充と独創的な挑戦機会の提供に努めてまいります。

 

<社内環境整備方針>

 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進することにより当社グループで働くすべての人が最大限に能力を発揮できる環境を整え、ワークライフバランスの実現やハラスメント防止に努め、安心・安全な職場環境を構築することで、人材が集まり、独創的な挑戦を支えるグループ基盤の構築を目指します。

 

 上記方針に基づいて、当社グループは、以下の4つの重点領域を定め、人的資本経営を推進し、従業員一人一人のエンゲージメント向上を図ることが企業の成長につながると認識しております。

 

イ.人権の尊重

 当社グループでは「心理的安全性」の高い組織基盤が「人」の価値最大化につながり、持続的な成長を支える上で不可欠であると考えております。従業員へのハラスメント防止への意識向上を図るだけでなく、外部からの不当な就業環境の阻害要因を排除することも極めて重要であるという認識のもと、以下の取り組みを実施しております。

 

・ハラスメント防止規程の強化(匿名相談窓口の設置、社外監査の活用)

・ハラスメント防止のための研修の実施

 

 また、映像産業における持続可能な制作環境を構築するため、クリエイターや制作スタッフの労働環境の適正化とハラスメントの防止は、当社グループの最優先課題であると捉えております。

これまでに、「東映グループ人権方針」「東映グループ取引方針」「東映コンプライアンス指針」を策定し、制作現場を含めた全従業員及び協力会社に対して以下の取り組みを実施しております。これらの取り組みを通じて、制作現場の安全性と透明性を確保し、すべてのクリエイターが能力を発揮できる環境を整備するとともに、経営リスクを低減し、信頼される企業ブランドの確立に努めてまいります。

 

・制作現場におけるリスペクトトレーニングの実施

・日本映画制作適正化機構のガイドラインへの対応

・制作現場における労働環境の適正化(過重労働防止のための勤務時間管理システムの導入)

・外部制作会社との契約基準の見直し(適正な契約内容の整備、公正な報酬体系の確立)

 

ロ.戦略的な採用と配置

 当社グループでは、社員参加型の人材プラットフォームの活用等を通じて、現在配置されている個々の人材の能力や意欲、キャリア志向を把握し計画的な異動を実施するとともに、定期的な新卒採用や外部の知見が必要な事業所おいては適切なキャリア採用を実施することで、人材のパフォーマンスを最大限化させ、企業価値の向上につなげております。

 

・新卒採用や通年採用等、採用の多チャンネル化による人材確保

・グローバル市場への展開を見据えた人材やプロデューサー等、プロフェッショナル人材採用の強化

・新人事制度の運用による、年次に関わらない登用・抜擢

・報酬・評価制度の見直し(成果主義の適正な運用と透明性の確保)

・グループ間人材交流促進による、グループ全体での戦略的配置

・部署間/事業所間の異動の促進による多様なキャリア経験蓄積

 

ハ.「個」の強化

 当社グループは、多様な人材が自律的に能力を高め、最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。従業員一人ひとりが主体的に学び、キャリアを切り拓くことで、個々の創造力や推進力を高めていく文化を醸成してまいります。

 

・能力開発支援の拡充

研修

新入社員研修・

フォローアップ研修

入社前及び入社後に、会社の業務内容、組織の理解、基本的な業務スキルを習得させるための研修

e ラーニング

ビジネスに必要な知識を習得するため、会社がテーマを定め、課題の受講を命じる研修

職位別・等級別研修

各職位及び等級に応じて、会社が期待する知識の習得を目的として実施する研修

自己学習支援

通信教育補助金

会社が指定する通信教育を修了し、優秀な成績を収めた場合に受講料を支給

自己学習補助金

適用対象者が各種学校やセミナー等の受講を希望し、会社の選考を経て承認された場合、受講料の一部を会社が支給

資格取得支援

奨励金

指定資格を取得し、会社に申請した場合、一時金として支給

検定料補助

該当部署の適用対象者が指示を受けて受験した場合の検定料を支給

資格手当

指定資格を取得した場合、毎月の給与に加算して支給

 

・主体的なキャリア形成を支援する「Toei Career Action Program」の導入

制度名称

内容

東映マルチプレイヤー制度

所属する部署に籍を置きながら、他部署の業務に携わることを認める

キャリアチャレンジ制度(社内公募制度)

自己実現に向けて挑戦する機会を創出する

キャリアデザインシート

キャリアプラン設計やキャリア形成力を育成する

 

・社外の講師による講演を主軸とした「東映塾」の開催及び、社内の講師による講座を主軸とした「東映塾Create」の新設

・VIPO(映像産業振興機構)が運営するプロデューサー向け海外トレーニング研修の受講

 

ニ.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)推進と職場環境の整備

 クリエイターにとどまらず、多様な価値観やバックグラウンドを持つ人材が活躍できる組織づくりを目指し、DE&I推進を経営戦略の中核に据え、さらに、長く活躍するための個人の健康づくりを支援するため、以下の取り組みを実施しております。

 これらの取り組みにより、当社で働くすべての人が最大限に能力発揮できる環境を整え、ワークライフバランスを実現し、働きやすい職場環境を構築することで従業員のエンゲージメントを向上させ、長期的な企業価値の向上を図ります。

 

・管理職における女性比率の向上

・障がい者雇用の促進(職場環境の整備、新卒採用におけるチャレンジ枠の設定、サテライトオフィスの導入)

・ユニバーサルマナー検定の実施

・仕事と育児・介護・治療等の両立支援の推進

・労働時間の短縮に向けた取り組み

・フレックスタイム制・リモートワーク制度の拡充

・健康経営の推進(メンタルヘルスサポート、福利厚生の充実、「TOEI Walking Week」等イベントの開催)

 

<健康経営推進体制図>

0102010_006.png

 

③リスク管理

 当社グループは、人権侵害及び人的資本に関連するリスクを重要な経営課題と捉え、これらを適切に識別・対処・回避するため、ガバナンス体制の整備と具体的な施策の推進に取り組んでおります。

 

イ.人材システムによるリスク把握とモニタリング体制の構築

 当社グループでは、社員参加型の人材プラットフォームを通じた面談や、定期的なエンゲージメントサーベイを実施しています。これにより、人材に関わる潜在的・顕在的なリスクや課題を定性的・定量的に把握しています。

得られたデータに基づき、人的資本経営分科会でのKPI(重要業績評価指標)の設定や継続的なモニタリングを行い、職場環境の具体的な改善策へ反映させるなど、実効性の高いリスク管理体制を構築しています。

 

ロ.人権尊重及びコンプライアンスに関する各種方針の策定

 当社グループでは、全役職員がステークホルダーの人権尊重を正しく理解し、リスクの識別や回避を行うための指針として「東映グループ人権方針」「東映グループ取引方針」「東映コンプライアンス指針」を策定しております。

 これに加え、2025年4月に㈱ティ・ジョイ、2026年3月に㈱東映太秦映画村が従業員保護を目的とした「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定し、2024年12月に東映アニメーション㈱、2025年12月に当社が、大企業と中小企業の共存共栄を目指す「パートナーシップ構築宣言」を公開いたしました。

 これらを通じて、サプライチェーン全体での付加価値向上と人権保護をより強固なものとしてまいります。

 

ハ.人権侵害リスク発生時の通報体制の構築

 人権侵害リスクへの迅速な対応にあたり、当社グループでは通報窓口として「東映グループホットライン」を設置しております。本窓口は、当社グループで働く全ての役職員(嘱託、契約、アルバイト等を含む)、派遣社員、及びフリーランスを含む取引先の皆様が、法令・規程違反や反倫理的行為(またはその恐れのある行為)を認識した際に利用できます。

 透明性を確保するため、窓口業務は外部の専門会社が担当し、相談内容は当社の担当役員やコンプライアンス委員会事務局へ報告されます(ハラスメント事案はハラスメント対策委員会へ転送)。報告後は厳正な事実調査を行い、問題が確認された場合には速やかに是正措置を講じます。

人権侵害リスク・人的資本関連リスクを含む詳細なリスクマネジメント体制については、「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」をご参照ください。

 

④指標及び目標

 当社グループでは、「(3)人的資本 ②戦略」に記載の4つの重点領域に紐づく以下の各種環境指標や目標を設定し、継続したモニタリングを実施しております。人的資本投資を通じて、「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」の実現に向けた強固な組織基盤を構築し、持続的成長を支える企業文化を醸成してまいります。

 また一部を除き、当社、東映アニメーション㈱、㈱ティ・ジョイの3社での連結数値となります。その他グループ会社については、現在社内環境整備を行っており、順次開示に向けて準備を進めてまいります。

 

<人的資本経営に関わる指標及び目標>

指標

2023年度実績
(第101期)

2024年度実績
(第102期)

2025年度実績
(第103期)

2026年度目標

中長期目標

1.人権の尊重

ハラスメント研修受講率*1

75.3%

76.9%

85.6%

90%

2028年度:100%

映適認定本数比率*2

100%

100%

100%

100%

申請作品は

100%認定

2.戦略的な採用と配置

全労働者における

キャリア採用者比率

※グローバル人材含む

49.6%

44.7%

55.5%

50%程度を維持

50%程度を維持

グループ間交流人数

42名

55名

51

3.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)推進と職場環境の整備

管理的地位にある労働者に

占める女性労働者の割合

20.8%

21.4%

21.2%*3

23.0%

2033年度:30%

労働者の男女の

賃金の額の差異

85.8%

87.0%

83.6%

男性育児休業取得率

50%

43.7%

58.6%*4

65.0%

2030年度:85%

4.「個」の強化

人材開発・研修の費用

※語学研修含む

46,080,260円

62,367,909円

55,737,605

エンゲージメントスコア*5

63.4

63.5

63.6

65.0

・年6回実施

・回答率80%以上

・2033年度:

 スコア69

※実績値は東映㈱、東映アニメーション㈱単体、㈱ティ・ジョイ単体3社連結数値
※㈱ティ・ジョイは、2026年4月1日に東映ジョイ・エンタテインメント㈱に商号変更しております。

*1 モニタリング体制を強化することに伴い、今期より指標を「受講人数」から「受講率」に変更

*2 実写映画対象につき当社(単体)数値

*3 グループ連結数値(東映アニメーション㈱の海外子会社除く)

*4 グループ連結数値

*5 当社(単体)数値

 

<指標及び目標の算定基準>

指標

算定基準

ハラスメント研修受講率

対象年度の受講対象者のうち、実際に受講した人の比率

映適認定本数比率

対象年度の申請作品に対し、認定された作品の比率

全労働者におけるキャリア採用者比率

対象年度末時点の全労働者数(契約社員、アルバイト、派遣社員も含む)における比率

グループ間交流人数

対象会社3社を起点とした対象年度末時点での出向者数及び出向受け入れ者数の合計値

管理的地位にある労働者に

占める女性労働者の割合

対象年度末時点の管理職(等級M以上)における比率(グループ会社についてはM相当の等級)

労働者の男女の賃金の額の差異

対象年度末時点の全労働者(契約社員、アルバイト、派遣社員も含む)における格差

男性育児休業取得率

対象年度に子が誕生した従業員数における育児休業取得者数の比率

人材開発・研修の費用

能力開発支援の研修(東映塾、ハラスメント研修、海外展開トレーニングを含む)に要した費用

エンゲージメントスコア

社員が組織や仕事に対して自発的な貢献意欲を持ち、主体的に取り組める状態を数値化したもの(満点=100点)

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績又は財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして認識している事項には以下のようなものがあります。なお、当社グループのリスクのうち主なものを記載しており、現時点では予見できないまたは重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

 当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載する方法などにより、その発生の回避及び発生時の適切な対応に向けて努力してまいる所存であります。

 文中の将来に関する内容については、当有価証券報告書提出日現在における判断に基づくものであります。

 

(1)リスクマネジメント推進体制

 当社グループでは、リスクマネジメントを企業価値の最大化と持続可能な事業運営における重要な経営テーマとして責任を持って取り組むこと、及びグループ全体のリスク管理状況の把握と向上を目的としたリスクマネジメントの統括機関である「リスクマネジメント委員会」を設置しております。

 当該委員会は代表取締役社長を最高責任者とし、リスクマネジメント担当役員及び各事業部門の責任者を委員としております。リスクマネジメント委員会は、当社グループを取り巻くリスクに関する情報の収集分析、リスクの対応方針及び目標の決定、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価、定期的なリスク対応状況に関するモニタリングを行っております。

当社グループのリスクマネジメント体制図

0102010_007.png

 

(2)リスクマネジメントプロセス

 当社グループでは、リスクマネジメントの管理体制が適切かつ健全な役割を果たすために、リスクマネジメントの管理体制及び方針のレビュー・見直しを毎年行っております。当社グループの事業に関するリスクの評価を行い、リスクの性質に基づいて「ハザードリスク」、「事業戦略リスク」、「ガバナンスリスク」の3つに区分した上で、優先的に対応すべきリスクを特定しております。各リスク項目における関係部署においてリスクの対応策を検討し、実施しております。

 なお、リスク統括部署はリスクへの対応支援及びモニタリングを実施し、定期的に実施状況や確認結果をリスクマネジメント委員会に報告します。リスクマネジメント委員会は報告に基づいて、体制の強化または改善等が必要な項目に対して審議し、意見交換を通じて取り組みを最善な方向性に調整しております。加えて、当社グループの経営に影響する可能性がある事項を適時に最高責任者の代表取締役社長及び取締役会に報告しております。

 

当社グループのリスクマネジメントプロセス

0102010_008.png

 

(3)リスクの特定

 リスクの特定においては、以下のとおりに実施しております。

・リスクの識別

当社グループの事業戦略を分析すると共にそれぞれの事業部門と管理部門の責任者に対してインタビューを実施することによって、トップダウン・ボトムアップ両方のアプローチで当社グループにおける各リスクを識別。

・リスクの評価

識別されたリスクに対して、定量的かつ定性的に事業に及ぼす影響度と発生可能性を評価した後、既存の対応状況を評価。

・リスクヒートマップによる対応優先度の特定

上記2段階のリスク評価結果に基づいて、リスクヒートマップを作成し、特定されたリスクを「低」・「中」・「高」の3つのレベルに分け、「高」または「中」になるリスクを優先的に対応すべきリスクとして特定。

 最新のリスク評価の実施結果において、当社グループは40項目のリスクを識別し、「(4)当社グループにおける優先的に対応すべきリスク」に示す11個のリスク項目に分類し、対応策の検討及び実施を行っております。また、刻々と変化する事業環境に対応するため、モニタリングの結果や新たなリスクを識別した際には、リスク評価の見直しを行い、必要に応じて優先的に対応すべきリスクを更新しております。

 

(4)当社グループにおける優先的に対応すべきリスク

 当事業年度において優先的に対応すべきリスクと位置付けたもののうち、主なものを記載しておりますが、その他のリスクについても、それぞれ対応を進めております。

 また、下記のリスクは有価証券報告書提出日現在における当社グループが判断したもので、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。

分類

リスク項目

対策優先度

ハザードリスク

① 災害リスク

② 感染症リスク

事業戦略リスク

③ 取引先管理に関するリスク

④ 風評リスク

⑤ 労働・安全衛生に関するリスク

⑥ 人材確保に係るリスク

⑦ 事業環境に関するリスク

ガバナンスリスク

⑧ 個人情報等の機密情報の取り扱いに関するリスク

⑨ 情報セキュリティリスク

⑩ 著作権等の知的財産権に関するリスク

⑪ コンプライアンス違反リスク

 

 

<ハザードリスク>

 

① 災害リスク

対応優先度

 

リスクシナリオ

当社グループは映画劇場、テーマパーク、ホテル等多数の顧客等を収容可能な商業施設及び撮影所を含めた重要な作業施設において事業を行っております。地震、台風及び津波等の自然災害、火災や停電あるいは予期せぬ事故等が発生した場合は、顧客または当社グループの従業員の人的被害、施設及び設備の損壊等により、当社グループのサービス提供、事業運営に影響が生じ、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループは自然災害または人為的な災害の発生による被害を軽減するために、重要な事業の継続を図る体制及び計画を整備しております。また、顧客及び従業員の安全を確保するために、安否確認システムの導入、災害対応手順の文書化・周知及び定期的な訓練の実施、備蓄品の整備等の対策を講じています。

 

② 感染症リスク

対応優先度

 

リスクシナリオ

感染症等の蔓延により、政府や地方自治体からの行動制限の要請、消費者行動の変容やビジネスモデルの変化の結果として、以下のような事象が発生し、当社グループの事業活動及び収益に影響を及ぼす可能性があります。

・感染の拡大や景気の後退等による商業施設の利用減少

・物価の高騰や撮影関係者の感染等による制作費用の増加

・不動産市況の低迷による不動産価値の低下

・従業員の感染による業務停滞の発生

 

対応策

当社グループは感染症等の拡大を防ぐために、業種別ガイドライン等に基づく適切な感染防止対策を徹底し、検温・消毒等による従業員・施設の衛生管理、リモートワークの導入等様々な感染拡大防止策を積極的に推進しております。

 

<事業戦略リスク>

 

③ 取引先管理に関するリスク

対応優先度

 

リスクシナリオ

当社グループは個人事業主または中小事業者に映像制作等の関連業務を委託しております。それらの業務委託先が自社の財務状況等による運営が停止された場合は、当社グループの業務継続に支障が生じる可能性があります。加えて、それらの業務委託先との契約に不備があった場合、当社が提供するサービスや制作する作品の品質レベルが維持できなくなり、当社グループの社会的信用あるいはブランドイメージが毀損される可能性があります。

また、当社グループは国内外において多様な企業と取引を行っております。適切な契約条件での契約締結ができない場合は、当社グループにとって不利益な状況に陥り、事業活動及び収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループは、公正な取引の実現と健全なパートナーシップの構築を築くため、業務委託先を含む取引先との関係において、選定管理体制の強化および契約内容の適正化に継続して取り組んでまいりました。また、これらの取り組みをより一層実効性のあるものとし、グループ全体で一貫した高い水準の管理体制を確立するため、「東映グループ取引方針」を策定しております。本方針に基づき、サプライチェーン全体のリスク低減と相互の持続的なパートナーシップの深化に努めてまいります。

 

 

 

④ 風評リスク

対応優先度

 

リスクシナリオ

当社グループが事業展開を行う各種事業のサービス及び映像作品に関して、各種のソーシャルメディアを通じて、宣伝や交流等を目的とした積極的な情報発信をしております。当社グループの従業員による不適切な内容が投稿された場合は、当社グループの社会的信用及びブランドイメージが毀損される可能性があります。また、当社グループの映像作品等の社外関係者による不祥事、または第三者による誹謗中傷が発生した場合は、当社グループまたは映像作品等が風評被害を受け、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。ソーシャルメディアの普及に伴う情報拡散力や、不祥事・誹謗中傷がブランド価値へ与える影響の深刻度を再評価し、対策優先度を「高」に引き上げております。

 

対応策

ソーシャルメディアにおける情報発信に関し、その内容を事前に確認・承認する管理体制を構築し、その実効性ある運用を徹底しております。また、専用ツール等を活用した多角的なSNS監視体制の強化や、運用するSNSアカウント及びECサイトの網羅的な状況把握を進めております。風評被害の発生可能性を低減することを目的として、定期的な社内セミナーの開催に加え、各種ガイドラインのリマインド、具体的なケーススタディの定期発信を実施しております。さらに、社内報やポスター等を通じて全従業員のソーシャルメディア・リテラシー及びコンプライアンス意識の向上、並びに万一の際における迅速な報告経路の周知徹底を推進しております。加えて、迅速かつ的確な対応を実行し事業への影響を最小限に抑制できるよう、他社事例の収集や具体的な対応策の検証を行い、社内における包括的な危機管理体制の構築および強化にも注力しております。

 

⑤ 労働・安全衛生に関するリスク

対応優先度

 

リスクシナリオ

従業員の長時間労働は、健康障害や心身の不調につながる恐れがあり円滑な業務の遂行に支障をきたす可能性があるだけでなく、これに起因して労働災害等重篤な事故が発生すると、損害賠償等経済的な損失や、社会的信用の失墜を招く可能性があります。

 

対応策

当社グループは従業員の心身健康を守るために、長時間労働を抑制する働き方改革を推進しており、各部署における労務管理を徹底すると共にリモートワークの推進や休暇取得の奨励等の働きやすい職場環境を構築する対応策を積極的に講じています。加えて、定期的にエンゲージメントサーベイを実施し、長時間労働の発生状況等をモニタリングしております。また、労働安全衛生に関するリスクへの対応を強化することを一つの目的として、「東映グループ人権方針」を策定しております。本方針に基づき、従業員の人権尊重及び安全衛生水準の向上に取り組み、当該リスクの低減を図ってまいります。

 

⑥ 人材確保に係るリスク

対応優先度

 

リスクシナリオ

少子高齢化の加速による労働人口の減少、あるいは当社グループが人材の多様性等を確保した良好な職場環境やリモートワーク等の従業員にとって柔軟な職場環境を整備できない場合は、人材獲得における競争上の優位性の確保できず、従業員の採用及び維持が難しくなり、採用コストを含めた人件費が増加し、または人員不足による業務停滞が発生する等、事業の継続に影響を与える可能性があります。

 

対応策

従業員の能力開発においては、専門人材の継続的な育成に注力しております。また、定期的にエンゲージメントサーベイを実施し、その結果を職場環境の具体的な改善策に反映させることで、従業員一人ひとりが働きがいを感じられる環境づくりを推進しています。これらに加え、従業員の自律的なキャリア形成を支援するため、各種制度の充実化も図っております。採用面では、ダイバーシティを重要な戦略と位置づけ、多様な視点や価値観を持つ人材を積極的に採用しております。さらに、事業戦略の実現に不可欠な人材を安定的に確保するため、採用チャネルの多様化を戦略的に進めております。

 

 

 

⑦ 事業環境に関するリスク

対応優先度

 

リスクシナリオ

当社グループが事業展開を行う事業において、競争環境や事業環境の変化によって、以下のような事象が発生し、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

・関連する技術の研究や開発による費用の増加

・技術革新に対する対応や導入の遅れによる競争上の優位性の低下

・既存IPにおける原作終了や新たなIPの原作利用権の喪失による収益の低下

・劇場用映画の興行成績の予測が困難であることによる収益の低下

 

対応策

当社グループは2010年に映像制作におけるデジタル技術の実践を中心に研究を行うツークン研究所を立上げ、当社グループが制作した作品に映像技術の活用を継続的に取り組んできました。加えて、バーチャルプロダクション技術を多様な作品に活用する取り組みを推進しております。

また、各作品の興行成績の予測には困難を伴いますが、可能な限りの厳密な興収予測を立て、動員力と完成度を重視した企画選定を徹底しております。加えて、幅広いチャンネルでの多様かつ良質なコンテンツの企画及び制作に努め、年間を通じてバランスの取れた興行収入を得られるような取り組みを推進しております。

 

<ガバナンスリスク>

 

⑧ 個人情報等の機密情報の取り扱いに関するリスク

対応優先度

 

リスクシナリオ

当社グループでは、顧客等から得た個人情報を数多く保有しております。当社グループの従業員あるいは外部の業務委託先が保有する個人情報を適切に取り扱わず、個人情報の外部流出、あるいは不正利用が生じた場合は、当局から業務停止命令、罰金その他の処分を受ける可能性、顧客または関係企業から訴訟を提起される可能性や当社グループの社会的信用及びブランドイメージが毀損される可能性があります。

 

対応策

当社グループは保有する個人情報を適切に管理するために、個人情報の取り扱いに関するルール及びガイドラインの策定と運用の徹底に努めております。また、当社グループの従業員に対して、定期に個人情報の取り扱いに関する教育の実施と社内管理体制の整備を行い、細心の注意を払っております。

 

⑨ 情報セキュリティリスク

対応優先度

 

リスクシナリオ

当社グループが事業展開を行う各種事業のサービス提供や業務遂行にあたって、様々な情報システム及びネットワークを活用しております。災害、事故または大規模なシステム障害によるシステムの停止、遅延、あるいは第三者によるサイバー攻撃または不正アクセス等が発生した場合は、当社グループが提供するサービスや業務の遂行が停止すると共に、当社グループが保有する個人情報や映像コンテンツ等を含めた重要データが漏洩、改ざん、あるいは不正利用され、当社グループの事業活動、社会的信用及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

対応策

当社グループでは、情報セキュリティ事故を未然に防止するため、情報セキュリティの推進体制整備と従業員への啓発、社内ネットワークに関する監視機能の強化や情報へのアクセスの制限等を実施しております。また、当該リスクが発生した場合は、適切な対応を即時実施の上、原因解析や影響範囲の調査を行い、再発防止並びに防御の最適化を図る体制をとっております。

 

 

 

⑩ 著作権等の知的財産権に関するリスク

対応優先度

 

リスクシナリオ

当社グループの保有する知的財産権については、海賊版や模倣品等による権利侵害が現実に発生しております。それらについては、ケースごとに適切な対応をとるよう努めておりますが、海外あるいはインターネット等においては、法規制その他の問題から、知的財産権の保護を充分に受けられない可能性があります。仮に、当社グループが、侵害行為を回避できない場合は、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

一方、当社グループが所有または利用する知的財産権に関して、第三者から訴訟を提起される等の結果、損害賠償義務を負ったり、知的財産権の利用が差し止められたりする可能性があります。

 

対応策

当社グループは著作権、商標権等の保護に関する各種対策の強化に努めております。なお、第三者による侵害が発生した場合、当社グループは毅然とした対応で、法的措置を取る等の対策を徹底しております。

また、従業員による第三者が保有する知的財産の侵害を防ぐために、当社グループは知的財産の取り扱いに関する周知等を定期的に行っております。

 

⑪ コンプライアンス違反リスク

対応優先度

 

リスクシナリオ

当社グループの役員または従業員によるハラスメントや不正行為、当社グループの雇用環境に関する従業員等からの当社グループへの訴訟の提起等が発生した場合は、当社グループの社会的信用及びブランドイメージが毀損される可能性があります。

 

対応策

当社グループでは「コンプライアンス委員会」を設置しており、「東映コンプライアンス指針」を周知徹底し、コンプライアンス全般に関する啓発・研修体制の充実に取り組み、適正なコンプライアンス体制の構築及び運用を行っております。加えて、「東映グループホットライン規程」を定めており、通報窓口を活用し、不正・不祥事に関する情報収集及び即時に必要な対応を実施しており、予防・再発防止のための情報展開等に取り組んでおります。また、コンプライアンス違反リスクへの対応を強化することを一つの目的として、「東映グループ人権方針」を策定しております。本方針に基づき、事業活動における人権尊重を徹底し、法令遵守及び企業倫理の浸透を図ることで、当該リスクの低減に努めてまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に個人消費の持ち直しが見られたものの、地政学リスクやコスト高、為替変動によるインフレ圧力などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況下で当社グループは、映像関連事業を中心により一層のコンテンツ事業の強化及び保有IPの効率的な活用を図り、堅実な営業施策に努めました。

 その結果、売上高は1,853億3千3百万円、営業利益は360億9千6百万円、経常利益は435億4千3百万円となり、また、特別利益として固定資産売却益等を、特別損失として解体撤去費用等を計上いたしまして、親会社株主に帰属する当期純利益は233億2千万円となりました。

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

1株当たり

当期純利益

(円)

当連結会計年度

185,333

36,096

43,543

23,320

374.29

前連結会計年度

179,922

35,155

39,992

15,722

253.96

増減率(%)

3.0

2.7

8.9

48.3

47.4

 

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末における財政状態の状況については、次のとおりです。

 

資産合計

(百万円)

負債合計

(百万円)

純資産合計

(百万円)

自己資本比率

(%)

1株当たり

純資産額

(円)

当連結会計年度末

499,129

113,412

385,717

58.3

4,657.03

前連結会計年度末

463,639

109,315

354,323

57.1

4,274.51

増減率(%)

7.7

3.7

8.9

9.0

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、次のとおりです。

 

営業活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

投資活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

財務活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

当連結会計年度

26,716

△4,660

△1,887

109,995

前連結会計年度

33,646

△17,466

△4,620

88,987

増減額(百万円)

△6,930

12,806

2,733

21,007

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとるものも少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため、生産、受注及び販売の実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①経営成績の分析」における各セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 経営成績の分析

 当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 

売上高

営業利益

前連結会計

年度

(百万円)

当連結会計

年度

(百万円)

増減率

(%)

前連結会計

年度

(百万円)

当連結会計

年度

(百万円)

増減率

(%)

映像関連事業

134,024

127,941

△4.5

33,655

32,448

△3.6

興行関連事業

18,966

25,226

33.0

782

2,403

207.0

催事関連事業

11,203

13,006

16.1

1,269

1,616

27.4

観光不動産事業

6,838

6,920

1.2

2,542

2,757

8.5

建築内装事業

8,890

12,238

37.7

496

1,390

179.9

全社・消去

△3,591

△4,519

連結計

179,922

185,333

3.0

35,155

36,096

2.7

 

〔映像関連事業〕

 映画事業では、提携製作作品等41本を配給しました。このうち、『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』がヒットし、『花まんま』、『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』、『映画「仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者」映画「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー 復活のテガソード」』、『宝島』、『木挽町のあだ討ち』が好稼働いたしました。また、『ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス』、『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』、『楓』、『港のひかり』が堅調に稼働いたしました。ドラマ事業では、『相棒season24』、『仮面ライダーガヴ』、『仮面ライダーゼッツ』、『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』、『大追跡 ~警視庁SSBC強行犯係~』、『仮面の忍者 赤影』、『キミとアイドルプリキュア♪』等を製作して作品内容の充実と高視聴率の獲得、製作本数の確保に努めました。また、特撮キャラクターの国内商品化権営業は、玩具等に関する消費者の嗜好が多様化するなか、特に旧作の周年記念施策、ゲームアプリ、大人向け商材等への版権許諾が好調に推移しました。コンテンツ事業では、新作旧作を含む劇場用映画・テレビ映画等の地上波・BS・CS放映権販売、配信事業者向けの配信権販売及びビデオ化権等の販売を行い、『室町無頼』、『35年目のラブレター』、『花まんま』、『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』、『港のひかり』、『あぶない刑事』シリーズ、『ワンピース』等の配信権販売が堅調に推移しました。海外においては、新作旧作を含む劇場用映画・テレビ映画並びに催事等の海外販売を行い、『十一人の賊軍』、『室町無頼』、『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』、『推しの子-The Final Act-』、『バトル・ロワイアル』、『犬鳴村』、『THE仮面ライダー展』等が堅調に稼働いたしました。また、海外における商品化権営業及びゲーム等への版権許諾は、アジア及び北南米・欧州の一部にてサイマル配信を開始した『仮面ライダーゼッツ』をはじめ、『仮面ライダーガヴ』、『ワンピース』、『パワーレンジャー』シリーズ、『デジモン』シリーズが好調に稼働しました。加えて、リメイク権の販売においては、中国向けの『百円の恋』が好調でした。その他、撮影所事業では、劇場用映画・テレビ映画等の受注製作、部分請負等を行いました。

 以上により、当セグメントの売上高は1,279億4千1百万円(前年度比4.5%減)、営業利益は324億4千8百万円(前年度比3.6%減)となりました。

 

(注)『推しの子-The Final Act-』は「推しの子」部分のみを墨付括弧で囲んだものが正式タイトルです。

 

〔興行関連事業〕

 興行関連事業では、2025年7月27日に当社最後の直営館である「丸の内TOEI」(2スクリーン)が閉館しましたが、連結子会社・㈱ティ・ジョイ(2025年7月 簡易株式交換により完全子会社化、2026年4月1日付「東映ジョイ・エンタテインメント株式会社」へ商号変更)によるシネマコンプレックス(23サイト230スクリーン。共同経営・共同運営含む)の運営が事業の中心となっており、『名探偵コナン 隻眼の残像』、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』、『国宝』、『マインクラフト/ザ・ムービー』、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』、『チェンソーマン レゼ編』、『ズートピア2』、『超かぐや姫!』等の大ヒットが業績を牽引し、好調に推移しました。また、前年度にオープンしたT・ジョイ エミテラス所沢が引き続き好調に稼働し、前年度に比して増収増益となりました。

 以上により、当セグメントの売上高は252億2千6百万円(前年度比33.0%増)、営業利益は24億3百万円(前年比207.0%増)となりました。

 

〔催事関連事業〕

 催事事業では、『ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト』、『シルバニアファミリー展 40th』、『超クウガ展』、『爆上戦隊ブンブンジャーファイナルライブツアー2025』、『全スーパー戦隊展』、『舞台 「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」』、『超英雄祭2026』、『仮面ライダーガヴ ファイナルステージ』、『キミとアイドルプリキュア♪』関連催事や人気キャラクターショー等の各種催事が好調に稼働し、催事関連商品の製作・販売並びに仮面ライダーストア及び東映オンラインストアでの販売が好調に推移いたしました。太秦映画村においては、リニューアル工事による営業エリア及び営業日の制限が動員数に影響し売上高が伸び悩むなか、『怪々YOKAI祭』等の施策を展開し、収益の確保に努めました。

 以上により、当セグメントの売上高は130億6百万円(前年度比16.1%増)、営業利益は16億1千6百万円(前年比27.4%増)となりました。

 

〔観光不動産事業〕

 観光不動産事業を取り巻く環境は、建築費や人件費の高騰が賃貸・売買・再開発の各事業に影を落とし、需要と供給のバランスに変化が生じています。こうしたなか、不動産賃貸事業では、全国に所有する「東映プラザ(渋谷・福岡・広島・仙台)」「新宿三丁目イーストビル」等の複合商業施設及びマンション等において、市場実勢に合わせた賃料の適正化を進めた結果、賃貸運営が好調に推移いたしました。ホテル事業においては、インバウンド需要等の回復により稼働率が向上した一方、引き続き国内団体利用の減少及び光熱費等の物価高の影響を受けております。このような状況のなか、独自の物販や、需要に応じた弾力的な価格設定、徹底した経費削減を推し進めた結果、湯沢東映ホテル・福岡東映ホテルにおいて、収入・利益ともに、過去最高の実績となりました。

 以上により、当セグメントの売上高は69億2千万円(前年度比1.2%増)、営業利益は27億5千7百万円(前年度比8.5%増)となりました。

 

〔建築内装事業〕

 建築内装事業では、建設資材費等の高止まりや労務費の上昇等による影響があり、厳しい経営環境が続きましたが、既存顧客の維持及び新規顧客の獲得を目指して積極的な営業活動を行いました。このような状況のなか、商業施設及びシネコン関係、マンション、障がい者施設、老健施設等の大型工事の受注数が増加したことに加え、適切な工事価格の維持と利益確保に努め、前年度に比して増収増益となりました。

 以上により、当セグメントの売上高は122億3千8百万円(前年度比37.7%増)、営業利益は13億9千万円(前年度比179.9%増)となりました。

 

 当社グループの主幹事業である映像関連事業におきましては、その中核を成す劇場用映画がヒットするか否かの予測が困難であり、その好不調がドラマ事業、コンテンツ事業等の映像関連事業全般に広く影響を及ぼすことから、収益の安定化が命題となっております。そのため、より一層の営業努力に邁進し、業界各社との強力な連携を図り、収益力を見極めた企画の選定に注力する一方で、不動産賃貸業にて保有する賃貸資産の有効活用等に努めることで、安定した収益確保に努めて参ります。

 このような状況のなかで当社グループとしては、映像関連事業を中心に、より一層のコンテンツ事業の強化及び保有IPの効率的な活用に傾注し、また資産の有効活用に努めるとともに、不採算部門の見直し等により、今後も収益基盤の強化に取り組んでまいります。

 なお、中長期的な経営戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

② 財政状態の分析

〔資産〕

 当連結会計年度末における資産合計は、4,991億2千9百万円となり、前期末に比べ354億9千万円増加しました。これは主に、現金及び預金が211億6千4百万円、仕掛品が44億2百万円、建物及び構築物が90億4千1百万円、退職給付に係る資産が19億7百万円増加し、受取手形、売掛金及び契約資産が14億5千9百万円、建設仮勘定が27億8千2百万円減少したことによるものであります。

 

〔負債〕

 負債合計は、1,134億1千2百万円となり、前期末に比べ40億9千6百万円増加しました。これは主に、短期借入金が46億8千2百万円、長期借入金が56億1千2百万円増加し、支払手形及び買掛金が25億2千1百万円、1年内返済予定の長期借入金が44億8千4百万円減少したことによるものであります。

 

〔純資産〕

 純資産合計は、3,857億1千7百万円となり、前期末に比べ313億9千4百万円増加しました。これは主に、資本剰余金が28億6千2百万円、利益剰余金が196億8千9百万円、土地再評価差額金が41億7千6百万円、退職給付に係る調整累計額が18億7千7百万円、非支配株主持分が50億3千1百万円増加し、その他有価証券評価差額金が29億1千6百万円減少したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが267億1千6百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが46億6千万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが18億8千7百万円減少した結果、1,099億9千5百万円(前年同期は889億8千7百万円)となりました。

 

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

 営業活動により得た資金は、267億1千6百万円(前年同期は336億4千6百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益511億2千7百万円、減価償却費44億4千4百万円、利息及び配当金の受取額37億6千1百万円による増加と、受取利息及び受取配当金22億8千2百万円、持分法による投資損益42億8千8百万円、固定資産売却損益74億1千3百万円、仕入債務の増減額28億3千8百万円、棚卸資産の増減額39億8千3百万円、法人税等の支払額121億8百万円による減少があったことによります。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

 投資活動により支出した資金は、46億6千万円(前年同期は174億6千6百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入395億1千2百万円、有形固定資産の売却による収入79億6千1百万円による増加と、定期預金の預入による支出399億4百万円、有形固定資産の取得による支出108億7千2百万円による減少があったことによります。

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

 財務活動により支出した資金は、18億8千7百万円(前年同期は46億2千万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額46億8千2百万円、長期借入れによる収入98億円による増加と、長期借入金の返済による支出86億7千1百万円、配当金の支払額11億6千3百万円、非支配株主への配当金の支払額47億3千2百万円、子会社の自己株式の取得による支出13億1千8百万円による減少があったことによります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ 財務戦略の基本的な考え方

 当社グループは、財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことにより、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能であると考えております。なお、映像製作設備や不動産賃貸設備に対する大型投資案件等については、内部資金に加え、必要に応じて金融機関等からの借入等により資金調達することとしております。

 また、資産の有効活用と収益基盤の強化をはかりつつ、適正な手許資金の水準について検証を実施し、企業価値向上のため、重点施策を中心とした成長投資へ優先的にフリーキャッシュ・フローを配分することを財務戦略としており、これによりROE(自己資本利益率)の向上及び長期安定的な株主還元を実現することが重要であると考えております。

 

ロ 資金調達の方法及び状況

 当社グループは、運転資金及び設備資金、大型投資案件等の資金は、内部資金又は金融機関等からの借入により資金を調達しております。また、財務基盤をより堅固なものとするべく、グループ内の資金の一元管理等を含め、資金調達コストの低減をはかり、グループ全体の有利子負債の削減に努めております。

 なお、当連結会計年度末における金融機関等からの借入金については、次のとおりです。

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増減額

(百万円)

短期借入金

200

4,882

4,682

1年内返済予定の長期借入金

7,282

2,798

△4,484

長期借入金

9,928

15,540

5,612

合計

17,410

23,221

5,810

 

ハ 資金需要の主な内容

 当社グループは、2023年2月に策定した中長期的な経営戦略「東映グループ中長期VISION TOEI NEW WAVE 2033」において成長投資を掲げており、2033年に向けた資金需要の主な内容として、コンテンツ投資2,400億円、事業基盤強化に向けた投資600億円(製作設備関連投資360億円、不動産関連投資240億円)を見込んでおります。

 上記のほか、運転資金需要の主な内容としましては、営業活動に係る資金支出における、劇場用映画やテレビ映画等の製作費、DVD・ブルーレイディスクの製作費、配給収入やコンテンツ事業収入に係る配分金、シネマコンプレックスの運営に関わる地代家賃、劇場用映画等の広告宣伝費、人件費等の販売費及び一般管理費があります。また、投資活動に係る資金支出においては、撮影所やシネマコンプレックス等の設備改修等があります。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。