(1) 業績
① 当連結会計年度の概要
当連結会計年度における我が国の経済は、観光需要の増加や雇用環境の改善等、景気回復への期待はあるものの、一方で新興国景気の減速や不安定な金融市場の動きから足元の景況感は横ばいであり、個人の消費マインドの改善につきましても不透明な状況が続いております。当社グループの主要な事業である映画興行界におきましては、ハリウッドの実写大作や邦画アニメ作品等がヒットし、一部に活況を呈したものの、当社のようなミニシアター経営におきましては、引き続きその経営環境は厳しいものとなっております。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、映画事業部門は、多岐にわたる映画ジャンルから個性ある作品を選りすぐって上映し、好評を博したものの、連結子会社における映画配給関連事業に係る営業費用が増加し、セグメント損失を計上することとなりました。不動産事業部門は、主要テナントビルの稼働状況は安定しており、また、自動車教習事業部門も学生の卒業シーズン等の運転免許取得の需要機会を的確に捉え、営業成績の向上につなげました。商事事業部門は、外部に経営委託している飲食店が好稼働し売上高の増加に貢献いたしました。
その結果、全体として売上高は16億6千9百万円(前期比1.7%増)、営業利益は1億1千8百万円(前期比0.9%減)、経常利益は1億3千9百万円(前期比7.0%増)となりましたが、特別利益として本社移転に係る補償金4千1百万円、また特別損失として遊休資産の減損損失3千6百万円の計上もあり、その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1億7百万円(前期比27.1%増)となりました。
② セグメントの状況
(映画事業部門)
「新宿武蔵野館」では『ピエロがお前を嘲笑う』『あん』、「シネマカリテ」では『ナイトクローラー』『ピッチ・パーフェクト』等、映画ファンのニーズに応える個性ある作品を多数上映し好評を博しましたが、一方で、連結子会社において進めている映画配給関連事業に係る営業費用が増加いたしました。また、「新宿武蔵野館」は、入居するテナントビルの耐震工事のため、平成28年1月30日より休館しております(平成28年10月末にリニューアルオープンの予定)。その結果、部門全体の売上高は、新宿武蔵野館の休館の影響もあり5億5千6百万円(前期比11.2%減)、セグメント損失は2千3百万円(前期は1百万円のセグメント利益)となりました。
(不動産事業部門)
主要テナントビルである「大宮ビル」「自由が丘ビル」におきましては稼働状況は安定しており、また当連結会計年度は大きな修繕等の工事もなく、賃貸部門の営業成績は堅調に推移いたしました。販売部門につきましては、前連結会計年度に引き続き、不動産業界の動向に注目しながら営業活動の機会を窺っておりますが、当連結会計年度におきましても具体的な営業成績の計上には至りませんでした。その結果、部門全体の売上高は5億6千2百万円(前期比4.2%増)、セグメント利益は3億6千9百万円(前期比8.7%増)となりました。
(自動車教習事業部門)
大型自動車免許やけん引自動車免許等、資格取得がキャリアアップにつながる運転免許の教習を実施している自動車教習所として、着実に近隣の自動車教習所との差別化をはかり、その認知度の向上に励むと同時に、高校生・大学生の卒業シーズンを中心に、各種教習料割引キャンペーンを実施し、積極的な営業活動を行い顧客の取り込みに注力した結果、部門全体の売上高は3億6千1百万円(前期比5.6%増)、セグメント利益は6千3百万円(前期比42.6%増)となりました。
(商事事業部門)
住宅関連資材の販売におきましては、厳しい経営環境の中、パートナー企業と連携して各種販売キャンペーン等を展開し収益の確保に努めましたが、市場の活性化にはいましばらくの時間が必要であるものと思われます。一方で、東京都目黒区において外部へ経営委託している飲食店は、業態変更が好評を博し営業成績は向上いたしました。その結果、部門全体の売上高は1億6千7百万円(前期比55.3%増)、セグメント利益は7百万円(前期比33.9%増)となりました。
(その他)
主としてマクミラン・アリスの版権料収入や自販機手数料等でありますが、一時的な商品売上もあり、全体として売上高は2千1百万円(前期比12.0%減)、セグメント利益は1千1百万円(前期比56.4%増)となりました。
※ スポーツ・レジャー事業は、営業中止中であります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業キャッシュ・フローは目標額を達成できたものの、一方で有利子負債の返済や有形固定資産の取得等により資金が減少し、6億8千万円(前期比10.2%減)となりました。
内訳といたしましては、営業活動において2億4千6百万円の資金を得て、投資活動において9千2百万円の資金を使用し、財務活動において2億3千1百万円の資金を使用した結果、資金残高は前連結会計年度末より7千7百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
〈営業活動によるキャッシュ・フロー〉
営業活動の結果得られた資金は2億4千6百万円(前期比15.0%増)となりました。
主な内訳は税金等調整前当期純利益1億3千6百万円、減価償却費8千5百万円、減損損失3千6百万円等があったことによるものであります。
〈投資活動によるキャッシュ・フロー〉
投資活動の結果使用した資金は9千2百万円(前期に使用した資金は2億8千6百万円)となりました。
これは主に有形固定資産の取得による支出6千1百万円、差入保証金等投資その他の資産の増加額2千8百万円等があったことによるものであります。
〈財務活動によるキャッシュ・フロー〉
財務活動の結果使用した資金は2億3千1百万円(前期に使用した資金は2億2千1百万円)となりました。
これは長期借入金の返済による支出1億9千8百万円、リース債務の返済による支出3千2百万円等があったことによるものであります。
当社はサービス業及び不動産賃貸・販売業を中心に業態を形成しており、受注・生産形式の営業活動は行っておりません。また、販売の状況については、「1 業績等の概要(1)業績」におけるセグメント業績の売上高の記載に示した通りであります。
また、セグメント別に販売の内訳について示すと、下記の通りであります。
項目 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | |||||
(自 平成26年4月1日 | (自 平成27年4月1日 | ||||||
至 平成27年3月31日) | 至 平成28年3月31日) | ||||||
セグメント | 販売の内訳 | 販売高(千円) | 構成比 | セグメ | 販売高(千円) | 構成比 | セグメ |
構成比 | 構成比 | ||||||
| 入場料売上 | 562,993 |
| 89.9 | 480,721 |
| 86.5 |
映画事業 | 売店売上等 | 63,338 |
| 10.1 | 75,298 |
| 13.5 |
| 計 | 626,331 | 38.2 | 100.0 | 556,019 | 33.3 | 100.0 |
| 不動産賃貸等 | 539,986 |
| 100.0 | 562,737 |
| 100.0 |
不動産事業 | 不動産販売売 | ― |
| ― | ― |
| ― |
| 計 | 539,986 | 32.9 | 100.0 | 562,737 | 33.7 | 100.0 |
| 教習指導売上 | 341,723 |
| 99.8 | 360,822 |
| 99.8 |
自動車教習事業 | 自販機売上等 | 594 |
| 0.2 | 601 |
| 0.2 |
| 計 | 342,317 | 20.8 | 100.0 | 361,423 | 21.6 | 100.0 |
| 飲食店舗の委託経営 | 66,076 |
| 61.1 | 121,529 |
| 72.4 |
商事事業 | 住宅資材卸売等 | 42,035 |
| 38.9 | 46,366 |
| 27.6 |
| 計 | 108,111 | 6.6 | 100.0 | 167,895 | 10.1 | 100.0 |
その他 | 版権料収入等 | 24,794 | 1.5 | ― | 21,825 | 1.3 | ― |
| 合計 | 1,641,542 | 100.0 |
| 1,669,901 | 100.0 |
|
※1 不動産賃貸等売上のうち、不動産投資および不動産管理に係る売上は下記の通りであります。
| 不動産投資売上 | 不動産管理売上 |
前連結会計年度 | ― 千円 | 36,796千円 |
当連結会計年度 | ― 千円 | 35,016千円 |
※2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
株式会社高島屋 | 221,592 | 13.5 | 221,592 | 13.3 |
繰越損失の解消が前連結会計年度から引き続いての当社グループの課題でありますが、着実に業績を積み重ね、当連結会計年度末現在においては利益剰余金のマイナスの解消まであとわずかとなりました。今後も、映画事業、不動産事業、自動車教習事業といった当社グループの大きな柱となる事業部門のさらなる安定化に向けて、より柔軟な経営戦略を立案し、新しいビジネスの可能性も模索しながら、将来の経営環境の変化に耐え得る堅実な経営基盤を構築することが自己資本の充実には欠かせないものと考えており、その結果として早期に復配を実現することが今後の当社グループの課題であると認識しております。
映画事業部門は、平成28年10月末に予定している「新宿武蔵野館」のリニューアルオープンと、連結子会社において準備を進めている自社買付配給による香港映画『小さな園の大きな奇跡』(原題「LITTLE BIG MASTER」)の上映に加え、番組編成においてはシネコンとは一線を画したミニシアターならではの品質重視の作品を邦画洋画問わずラインナップし、今後もバラエティに富んだ番組編成を行ってまいります。また、「シネマカリテ」における映画祭の開催や劇場未公開の作品を紹介する「オトカリテ」等の多様な上映企画や、売店にて取り扱うフードメニューとグッズの充実、手作り感のある館内ディスプレイ等、映画館に足を運ぶことの楽しさを発信してまいります。さらには、「新宿武蔵野館」「シネマカリテ」両館におけるインターネット予約システムのプラットフォームを統一し、利便性の向上をはかってまいります。
不動産事業部門は、賃貸物件の維持管理に努め、必要に応じた修繕や新たな付加価値となる設備の充実にも力を入れ、安定した収益基盤の確保を今後も堅実に行ってまいります。また、仲介・販売業務については、将来の営業活動に向けて業界内でのネットワークを構築し、今後も景況を見極めながら、取引の機会を検討してまいります。
自動車教習事業部門は、普通自動車運転免許のみならず、多種多様な種類の運転免許の取得環境を備えた自動車教習所としての認知度を高め、競合する自動車教習所との差別化をはかり、同時に送迎ルートの充実や教習指導員の教育、サービスの向上にも力を入れ、地域の中で信頼のおける総合自動車教習所としてさらに価値を高めてまいります。
商事事業部門は、外部へ経営委託している軽飲食店については、新たな経営形態が好評をいただいている中、今後も地域の皆様のニーズを把握して店舗作りに生かし、経営委託先と連絡を密にしながら業績の向上に努めてまいります。また、住宅関連資材の販売部門は、景気の動向を読みビジネスの機会をしっかりと把握し、パートナー企業と連携して業績の向上に向けて努力してまいります。
なお、遊休資産となっている旧甲府武蔵野シネマ・ファイブ土地建物の有効活用につきましては、情報の収集を綿密に行い、売却を基本方針に活動を行っております。
以上のように、各事業部門において諸施策を実施することにより、対処すべき課題の解消に向けて、全社挙げて全力で取り組んでまいります。
投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び収益力の課題
当連結会計年度は、映画事業をはじめとした既存事業の収益はほぼ想定の範囲だったものの、本社移転に係る特別利益の計上もあり、1億7百万円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上することが出来、繰越損失の解消に向けて確実に利益を積み上げてまいりました。今後も、株主の皆様の期待に応えるべく、確実に繰越損失を解消し復配を実現することが何よりの経営課題であります。そのため当社では映画配給事業等の新規事業にも積極的に取り組んでおりますが、経営計画の進捗状況によっては、復配を念頭に置いた自己資本の充実に時間を要することも考えられます。今後も早期復配に向けて、今一度経営課題を精査し、あらためて収益力の向上に努めてまいります。
② 経営環境の変化、特定の取引先等への依存等
(映画事業)
映画事業は上映する作品の集客力により興行成績が大きく左右されます。快適に映画鑑賞していただける劇場空間を提供することが当社の責務であるとともに、当社の劇場規模や雰囲気に見合い、かつ集客力の高い作品を継続的に上映し続けることが興行成績の安定的な維持には不可欠であります。それだけ作品への依存度は高く、その選択によっては収益の減少につながるリスクが存在しております。
映画ファンの嗜好も多様化している現在、当社のような単館系の劇場におきましては、シネコンとの差別化をはかりながらの上映作品の選定はより難しさが増しているといえます。そのため、作品のジャンルにとらわれることなく、劇場の立地・特性も考えに入れ、選択可能な作品の中から、より集客力の見込める作品をいかに選択していくかが番組編成の大きなテーマとなっております。
一方、近隣シネコンとの競合やミニシアター向け作品のヒット作不足、設備の維持管理に要するコストの増大も映画館経営に対する大きなリスクとなっており、また、自然災害の発生により営業継続が困難になるケースや、入居しているテナントビルの諸事情、停電等の影響による営業の休止・自粛、さらにはインフルエンザ等の流行またはその兆候が顕著となった場合につきましても、集客が激減する可能性も考えられます。
また、新たに取り組む映画配給事業においては、作品の公開状況や興行成績により、投資に見合う回収をはかれない可能性があります。
(不動産事業)
当社の収益の大きな柱である不動産賃貸部門は、各賃貸物件の借主様が安定的継続的に入居していただけることが収益力持続の前提となっておりますが、その前提条件が困難な状況となった場合、収益力の継続にリスクが生じるおそれがあります。
また、賃貸物件の瑕疵、老朽化による収益力の低下、さらには地震等の自然災害や、予期せぬ事故等により損害が発生することも考えられ、当社の経営に大きな影響を与える可能性があります。
(自動車教習事業)
自動車運転免許の新規取得者は、18歳~20歳代の若年層人口が大半を占めておりますが、今後統計的に若年層人口は減少の傾向にあります。若年層人口の減少は運転免許取得者の減少に直結するため、売上は業界全体として減少の傾向にあります。そのため当社では、大型免許や自動二輪免許、けん引免許など、自動車普通免許のほかにも多様な運転免許を取得できる体制を整えており、また、送迎ルートの充実や高齢者教習にも力を入れ、当該リスクに対処しております。
一方、教習所内外における交通事故に起因する賠償責任をはじめとするあらゆるリスク、景況や中東情勢、自然災害の影響等、社会情勢の変化により原油価格が高騰し燃料費が増加するリスクも常に認識していく必要があります。
③不採算事業からの撤退等の事業再編による影響
将来において当社グループを取り巻く経営環境に変化が生じた場合、不採算事業からの撤退や関係会社の整理をはじめとしたリストラ等、事業再編を行う可能性がありますが、その場合、事業の撤退や事業所の閉鎖、関係会社の整理等に係る特別損失の発生等、係る事業再編が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④新規事業に係る出資・投資額回収のリスク
当社グループでは現在、連結子会社を通じてフィリピンの合弁会社に出資を行っておりますが、当該投資や、今後、当社グループが新規事業等に係る一定の出資または投資を行うにあたり、当該事業の業績・資金の運用状況によっては、出資金額または投資金額の回収に懸念が生じ、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は株式会社リサ・パートナーズ(以下「リサ・パートナーズ」)との間で、平成17年5月27日に開催した取締役会での決議を経て、資本提携について基本合意書を締結しております。具体的な内容については、次の通りです。
1.資本提携の目的
リサ・パートナーズとの関係強化及び相互の発展を主要な目的とするものであります。
2.資本提携先の概要 (平成28年3月31日現在)
名称 | 株式会社リサ・パートナーズ |
本店所在地 | 東京都港区港南二丁目15番3号 |
代表者 | 枩山 聡一郎 |
設立年月日 | 1998年7月2日 |
資本金 | 100百万円 |
事業の内容 | 金融・不動産関連業 |
3.資本提携の概要
当社の連結子会社が所有していた当社株式を、平成17年5月27日付でリサ・パートナーズに譲渡いたしました。
平成28年3月31日現在、リサ・パートナーズは当社株式を526千株保有しております。詳しくは、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (7) 大株主の状況」をご参照ください。
該当事項はありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額を継続的かつ適正に評価するために、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な方法に基づき、また予測し有る偶発事象の影響値等も加味しながら、いくつかの重要な見積りおよび判断・評価を行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。
ここでは当社グループの重要な会計方針のうち、判断、見積もりによる評価が重要と認識される項目について説明をいたします。
①繰延税金資産
将来減算一時差異の回収可能性を検討し、回収可能性が低いと判断されるものについては評価性引当金を計上して、適正な計上額を見積っております。当連結会計年度におきましては、提出会社および連結子会社の㈱寄居武蔵野自動車教習所において、翌期の課税所得発生が見込まれるため、その見込額に応じた繰延税金資産を回収可能であるものと判断し、計上しております。
②貸倒引当金
過年度(3ヶ年)の貸倒実績に基づき、一般債権の貸倒引当率を連結1.375%としております。また、一部の債権については個別評価によっており、相手先の財政状態等、回収可能性を充分に検討したうえで、引当額の見積りを行っております。
③土地
a.再評価に係る繰延税金負債及び土地再評価差額金
当社が保有する土地は、全般的に取得時より相当の年月が経過しているものが多く、時価との乖離が重要な金額であったことから、時価と照らし合わせて適正な価格で評価をし直すことが望ましいものと考え、平成12年3月期に土地の再評価をいたしました。再評価の方法につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」をご参照ください。なお、当連結会計年度におきましては、法人税等の税率の変更による繰延税金資産および繰延税金負債の金額の修正を行っております。詳しくは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」をご参照ください。
b.減損損失
各資産のグルーピングに基づいた減損の兆候を確認し、兆候有りと判断したものについては、将来キャッシュ・フローの見積もり等の方法により、減損損失の認識(判定)、減損損失の測定を行っております。当連結会計年度におきましては、山梨県甲府市の遊休資産につき、減損損失を計上しております。、詳しくは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」をご参照ください。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
①連結貸借対照表関係
(流動資産の部)
現金及び預金が7千7百万円減少しております。これは主に、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローの減少額(主として、有形固定資産及び提出会社本社事務所の移転に係る保証金の差入による支出、長期借入金の返済による減少)が営業キャッシュ・フローによる資金の増加額を上回ったためであります。流動資産全体としては、9千3百万円減少(前期比10.7%減)しております。
(固定資産の部)
有形固定資産につきましては、建物及び構築物の減少6千8百万円、土地の減少1千2百万円、リース資産の減少2千3百万円等により、7千9百万円減少(前期比1.8%減)しております。主な増減の理由は、不動産事業部門におけるテナントビル設備の更新や自動車教習事業部門における教習車両の購入等による有形固定資産の増加8千4百万円があったものの、一方で減損損失の計上による土地建物の減少3千6百万円、また減価償却による減少8千2百万円等があったことによるものであります。無形固定資産につきましては、大きな増減はありません。投資その他の資産につきましては、提出会社の本社事務所賃借に係る差入保証金2千2百万円、また、営業外収益において、持分法による投資利益の計上があったことによる投資有価証券の増加2千4百万円等により、5千4百万円増加(前期比9.8%増)しております。以上のことから固定資産全体としては、2千6百万円減少(前期比0.5%減)しております。
(流動負債の部)
未払法人税等の増加1千3百万円、一年以内返済予定長期借入金の減少による短期借入金の減少8千2百万円、また前受金や未払消費税等の減少による「その他」の減少3千3百万円等があったことにより、流動負債全体としては、1億1千万円減少(前期比22.0%減)しております。
(固定負債の部)
約定返済による長期借入金の減少1億1千6百万円、リース債務の減少1千7百万円、長期預り敷金の増加1千9百万円、法人税等の税率の変更による再評価に係る繰延税金負債の減少6千万円等により、固定負債全体としては、1億6千7百万円減少(前期比7.6%減)しております。
(純資産の部)
親会社株主に帰属する当期純利益1億7百万円の計上により利益剰余金のマイナスが減少し、また、法人税等の税率の変更による土地再評価差額金の増加6千万円等があったことから、純資産全体としては、1億6千7百万円増加(前期比5.1%増)しております。
②連結損益計算書関係
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度におきましては、当社のようなミニシアター経営にとって個人消費マインドの不安定感等からなる厳しい経営環境の中、映画事業部門は、シネコン等大規模な映画館の上映作品との差別化をはかり、映画ファンの皆様のご期待に応える個性豊かな作品を多数上映いたしましたが、連結子会社において準備している映画の自社買付配給等新たな映画関連ビジネス・コンテンツに係る営業費用が増加し、また「新宿武蔵野館」における休館の影響もあり、営業損失の計上となりました。不動産事業部門においては、賃貸部門は一時的な家賃収入の増加等、主要テナントビルが安定的に稼働し、営業成績は堅調に推移いたしました。自動車教習事業部門は、バラエティに富んだ教習メニューが近隣に認知されたことや、学生の運転免許解禁の時期が早まったこと等により、安定した営業成績を収めることができました。
その結果、当連結会計年度の売上高は16億6千9百万円(前期比1.7%増)、営業利益は1億1千8百万円(前期比0.9%減)となりました。
(経常利益)
営業外収益として、持分法による投資利益2千5百万円等があった一方、営業外費用として支払利息7百万円等があり、経常利益は1億3千9百万円(前期比7.0%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益として本社事務所の移転に係る補償金4千1百万円、特別損失として山梨県甲府市の遊休資産の減損損失3千6百万円を計上し、税金等調整前当期純利益は1億3千6百万円となり、「法人税等調整額」を含めた法人税等合計が2千8百万円となったことにより、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1億7百万円(前期比27.1%増)となりました。
③連結キャッシュ・フロー計算書関係
「営業活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、税金等調整前当期純利益の計上に加えて、減価償却費や減損損失等により、2億4千6百万円(前期比15.0%増)となりました。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、自動車教習事業部門における教習車両の購入等有形固定資産の取得による支出や、本社事務所の移転に係る差入保証金等により、マイナス9千2百万円(前期はマイナス2億8千6百万円)となり、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は長期借入金の返済による支出等によりマイナス2億3千1百万円(前期はマイナス2億2千1百万円)となりました。
その結果、「現金及び現金同等物の期末残高」は6億8千万円(前年同期比10.2%減)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
映画事業は、話題性・集客力のある作品を数多く世に送り出して行くことが経営成績の安定には不可欠であり、そのためには、映画興行・映画配給の双方面から、個々の作品の持つ魅力をいかにPRしていくかが、経営成績に重要な影響を与えるひとつの要因となります。映画制作者や配給会社、興行主である映画館、またマスコミといった映画業界全体が協力して映画の楽しさを発信し、一人でも多くの人に映画館に足を運んでいただき評価されていくことで経営成績により良い影響を及ぼしていけるよう、今後も努力してまいります。
不動産事業につきましては、経常的に安定した収益が見込める不動産賃貸業を柱としており、グループ全体の事業基盤を下支えするうえで重要な役割を担っております。引き続き安定した経営基盤を維持していくためには、所有賃貸不動産の状況を常に把握し、設備の更新や入居テナントの経営環境に気を配りながら所有不動産の資産価値の維持向上が不可欠であると考えております。
自動車教習事業におきましては、若年層の人口減少や自動車への関心の低下、また地域内の教習所の競合といった要因による収益への影響が今後も予想されるため、大型特殊車や高齢者教習など、近隣の自動車教習所との差別化をはかるべく、多様な教習メニューの提供と送迎バスルートの充実、教習指導員の教育、また地域との信頼関係を深める努力を怠らず、収益の維持に努めてまいります。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社は「社会に健全な娯楽を提供すること」を主要な事業目的としており、その役割を現在担っているのが映画事業であると考えております。しかしながら、映画事業は個人の消費活動の動向や、上映作品の持つ集客力、流行等に大きな影響を受ける事業であるため、看板事業としての数字には表れない貢献はあるものの、収益面で常時安定的に会社の業績向上に寄与できる事業とは言い難い側面があることも否めません。今後はそういった映画事業の不確定要素を個性ある番組編成やサービス・設備等の充実、また映画配給等の新たな試みで補いながら、経営の安定に向けて常時経営戦略を練り直していくのはもちろんですが、こうした事業を継続的に運営していくには、会社の経営基盤の安定が不可欠であり、そのためには、所有不動産等の有効活用、すなわち不動産賃貸事業を中心とした不動産事業で確実に収益を生み出せる経営体質を維持継続していくことが最重要と考えております。
今後も当社では、不動産を中心とした資産の有効活用を最重要経営戦略と位置づけ、主要な事業目的である映画事業を主軸とした「社会に健全な娯楽を提供すること」を安定的に継続していくために、堅実な資産活用による経営基盤の充実を心がけてまいります。
また、時代の変化に対応し収益力の向上をはかるため、新しいビジネスへの関わりを積極的に推し進めていくことも重要であると認識しております。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①流動性の管理方針
映画興行や不動産賃貸が事業の主軸である当社は、現金または銀行振込による売上入金の比率が高いため、売上債権の回収については概ね効率が良いものと考えております。したがって毎日の入金管理に重点を置くことはもちろん、売掛債権等が発生する場合においては、その相手先の状態に気を配り、また信用調査を行うなど、営業部門と経理部門双方からのリスク管理を徹底しております。
②短期的な債務の状況
当社グループの総資産のうち、流動負債の構成比は7.2%となりました。前年度の9.0%に比べ、減少の傾向にあります。また、流動比率は183.6%(前年度は160.4%)となっております。今後も財務基盤の安定性を保つために、短期的な債務の管理には細心の注意をはらってまいります。
③ファイナンス及び資本の財源
資本市場における資金の調達は平成元年以降行っておりません。現在は主に金融機関からの借入金により資金調達を行っております。また当社は繰越損失の解消と復配の早期実現を経営課題としており、キャッシュ・フロー経営を徹底させることにより自己資本の増強に努めることが第一と考えております。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
繰越損失の解消が前連結会計年度から引き続いての当社グループの課題であり、また早期に復配を実現することが当社グループの経営課題であると認識しております。繰越損失の解消につきましては、当連結会計年度末現在、1億7百万円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことで、利益剰余金のマイナスの解消まであとわずかとなりました。今後は復配の時期を視野に入れながら、既存事業のさらなる充実に加え、現在連結子会社において取り組んでいる自社買付による映画配給等の新しいビジネスの可能性も模索しながら将来の経営環境の変化に耐え得る堅実な経営基盤を構築してまいります。
具体的には、映画事業においては、「新宿武蔵野館」「シネマカリテ」両館のインターネット予約システムを統一し、利便性を高めると同時に、多くの良質な作品を上映するため、より機動的で柔軟性のある番組編成を行ってまいります。また、新宿武蔵野館は、入居テナントビルの耐震工事を機に全面改装を行っており、映画を楽しんでいただくためのより快適な劇場としてリニューアルいたします。さらには、連結子会社にて新たに取り組む映画配給事業につきましても、この秋、自社買付配給第一弾の香港映画『小さな園の大きな奇跡』(原題「LITTLE BIG MASTER」)の公開を予定しております。なお、当連結会計年度において減損損失を計上した遊休資産である旧甲府武蔵野シネマ・ファイブ土地建物の有効活用につきましては、情報の収集を綿密に行い、売却を基本方針に活動を行っております。