(1) 業績
① 当連結会計年度の概要
当連結会計年度における我が国の経済は、製造業を中心とした景況の緩やかな回復に加え、インバウンド需要や個人の消費マインドにつきましても持ち直しの兆しがみられたものの、先行きにつきましては世界の政治情勢の不安などから、不透明な状況が続いております。当社グループの主要な事業である映画興行界におきましては、邦画アニメ作品等がヒットし全体的に活況を呈したものの、当社のようなミニシアター経営におきましては、依然として厳しい経営環境が続いております。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、映画事業部門は、新宿武蔵野館のリニューアルオープンや自社買付配給作品の上映等で話題を集めたものの、映画配給関連事業に係る営業費用が増加し、セグメント損失を計上することとなりました。不動産事業部門は、主要テナントビルは引き続き安定的に稼働しておりますが、設備の更新に係る修繕費が嵩み、また、自動車教習事業部門も学生の運転免許取得時期のずれ込み等の影響により、営業成績は前年同期を下回りました。商事事業部門は、住宅資材の販売が終了したこともあり、売上高は減少いたしました。その結果、全体として売上高は14億3千2百万円(前年同期比14.2%減)、営業利益は3千8百万円(前年同期比67.3%減)、経常利益は5千万円(前年同期比63.7%減)となりました。加えて、特別利益として新宿武蔵野館休館等に係る補償金1億4千3百万円、特別損失としてフィリピンにおける現地相手先との合弁会社「ROCES MUSASHINO HOLDINGS,INC.」に対する関係会社株式評価損7千万円の計上もあり、その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7千8百万円(前年同期比27.1%減)となりました。
② セグメントの状況
(映画事業部門)
「新宿武蔵野館」は入居テナントビルの耐震補強工事に伴い全面改装を行い、平成28年11月にリニューアルオープンいたしました。オープニング興行作品として、当社連結子会社による自社買付配給作品第一弾の香港映画『小さな園の大きな奇跡』をはじめ、『エブリバディ・ウォンツ・サム!!』『ティファニー NY五番街の秘密』等を上映し、好評を博しました。「シネマカリテ」では『幸せなひとりぼっち』『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』『グリーンルーム』等、多彩な作品を上映し映画ファンの期待に応えてまいりましたが、一方で、新宿武蔵野館改装に係る初期費用や連結子会社における映画配給関連事業に係る営業費用が増加いたしました。その結果、部門全体の売上高は、新宿武蔵野館の休館の影響もあり4億4千4百万円(前期比20.1%減)、セグメント損失は4千6百万円(前期は2千3百万円のセグメント損失)となりました。
(不動産事業部門)
主要テナントビルである「大宮ビル」「自由が丘ビル」におきましては稼働状況は安定しておりますが、「自由が丘ビル」において実施した外壁等に係る修繕工事の影響等で、前年同期に比べ賃貸部門の収益は減少いたしました。販売部門につきましては、市況を窺いながら営業活動の機会を模索しておりますが、当連結会計年度におきましても具体的な営業成績の計上には至りませんでした。その結果、部門全体の売上高は5億3千1百万円(前期比5.5%減)、セグメント利益は3億8百万円(前期比16.6%減)となりました。
(自動車教習事業部門)
普通自動車から大型自動車、特殊自動車、自動二輪まで、多様な運転免許の取得が可能な自動車教習所として近隣の自動車教習所との差別化をはかり、また、高校生・大学生の卒業シーズンに係る運転免許取得需要に合わせ、各種教習料割引キャンペーンや戸別訪問等による積極的な営業活動を行い顧客の取り込みに注力いたしましたが、高校生をはじめとする新規運転免許受験資格者の運転免許取得時期のずれ込みもあり、部門全体の売上高は3億3千6百万円(前期比7.0%減)、セグメント利益は4千万円(前期比35.7%減)となりました。
(商事事業部門)
住宅資材の販売につきましては、パートナー企業より今後の取引の方針について打診を受け、当社においても検討を重ねた結果、平成28年10月末日をもちまして同取引を終了することといたしました。また、東京都目黒区において経営委託している飲食店は、業態変更による好況が一段落したこともあり、収益は前年同期を下回りました。その結果、部門全体の売上高は1億1千1百万円(前期比33.6%減)、セグメント利益は5百万円(前期比30.4%減)となりました。
(その他)
主としてマクミラン・アリスの版権料収入や自販機手数料等でありますが、全体として売上高は9百万円(前期比58.0%減)、セグメント利益は7百万円(前期比39.4%減)となりました。
※ スポーツ・レジャー事業部門は営業中止中であります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、主に新宿武蔵野の改装による有形固定資産取得等により資金が減少し、5億7千2百万円(前年同期比16.0%減)となりました。
内訳といたしましては、営業活動において1億8千万円の資金を得て、投資活動において3億3千9百万円の資金を使用し、財務活動において5千万円の資金を得た結果、資金残高は前連結会計年度末より1億8百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
〈営業活動によるキャッシュ・フロー〉
営業活動の結果得られた資金は1億8千万円(前期比26.8%減)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益1億2千4百万円、減価償却費9千2百万円、関係会社株式評価損7千万円があったことによるものであります。
〈投資活動によるキャッシュ・フロー〉
投資活動の結果使用した資金は3億3千9百万円(前期に使用した資金は9千2百万円)となりました。
これは主に有形固定資産の取得による支出3億3千7百万円、無形固定資産の取得による支出2百万円等があったことによるものであります。
〈財務活動によるキャッシュ・フロー〉
財務活動の結果得られた資金は5千万円(前期に使用した資金は2億3千1百万円)となりました。
これは長期借入れによる収入2億円があった一方で、長期借入金の返済による支出1億3千万円、リース債務の返済による支出1千8百万円等があったことによるものであります。
当社はサービス業及び不動産賃貸・販売業を中心に業態を形成しており、受注・生産形式の営業活動は行っておりません。また、販売の状況については、「1 業績等の概要(1)業績」におけるセグメント業績の売上高の記載に示した通りであります。
また、セグメント別に販売の内訳について示すと、下記の通りであります。
|
項目 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|||||
|
(自 平成27年4月1日 |
(自 平成28年4月1日 |
||||||
|
至 平成28年3月31日) |
至 平成29年3月31日) |
||||||
|
セグメント |
販売の内訳 |
販売高(千円) |
構成比 |
セグメ |
販売高(千円) |
構成比 |
セグメ |
|
構成比 |
構成比 |
||||||
|
|
入場料売上 |
480,721 |
|
86.5 |
378,359 |
|
85.2 |
|
|
配給収入等 |
12,449 |
|
2.2 |
6,546 |
|
1.5 |
|
映画事業 |
売店売上等 |
62,849 |
|
11.3 |
59,341 |
|
13.3 |
|
|
計 |
556,019 |
33.3 |
100.0 |
444,247 |
31.0 |
100.0 |
|
|
不動産賃貸等 |
562,737 |
|
100.0 |
531,719 |
|
100.0 |
|
不動産事業 |
不動産販売売 |
― |
|
― |
― |
|
― |
|
|
計 |
562,737 |
33.7 |
100.0 |
531,719 |
37.1 |
100.0 |
|
|
教習指導売上 |
360,822 |
|
99.8 |
335,379 |
|
99.8 |
|
自動車教習事業 |
自販機売上等 |
601 |
|
0.2 |
640 |
|
0.2 |
|
|
計 |
361,423 |
21.6 |
100.0 |
336,020 |
23.5 |
100.0 |
|
|
飲食店舗の委託経営 |
121,529 |
|
72.4 |
89,528 |
|
80.3 |
|
商事事業 |
住宅資材卸売等 |
46,366 |
|
27.6 |
21,972 |
|
19.7 |
|
|
計 |
167,895 |
10.1 |
100.0 |
111,500 |
7.8 |
100.0 |
|
その他 |
版権料収入等 |
21,825 |
1.3 |
― |
9,156 |
0.6 |
― |
|
|
合計 |
1,669,901 |
100.0 |
|
1,432,644 |
100.0 |
|
※1 不動産賃貸等売上のうち、不動産投資および不動産管理に係る売上は下記の通りであります。
|
|
不動産投資売上 |
不動産管理売上 |
|
前連結会計年度 |
― 千円 |
35,016千円 |
|
当連結会計年度 |
― 千円 |
32,063千円 |
※2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社高島屋 |
221,592 |
13.3 |
221,592 |
15.5 |
|
株式会社野和ビル |
155,028 |
9.3 |
155,028 |
10.8 |
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は大正9年に、東京都新宿区新宿に於いて映画館「武蔵野館」(現「新宿武蔵野館」)を開館させて以来、社会に映画を中心とした健全な娯楽を提供することを主要な事業目的・経営の基本方針とし、その後、長期にわたり映画興行事業を中心とした事業展開を行ってまいりました。しかしながら、娯楽の形態も時代の変遷とともに多様な変化を遂げるなか、当社も映画興行事業を会社の看板事業と認識し経営の主軸に据えながらも、不動産賃貸事業やフィットネスクラブ運営等のスポーツ・レジャー事業(現在営業中止中)、また連結子会社で展開する自動車教習事業など、複合的な事業展開によって、グループ全体の安定的な経営基盤を構築維持してまいりました。
今後とも、安定的な経営基盤を構築維持していくことを礎とし、創業の地・新宿において映画事業を長期安定的に営み、健全かつ快適で安全な娯楽空間を提供し、より多くの方々に映画の楽しさを味わっていただくことが、創業以来の会社の経営の基本方針と考えております。
(2)当社グループを取り巻く経営環境
当連結会計年度末における当社グループの経営環境につきましては、当社グループの不動産事業においては、間接的に国内外経済等の影響下にはあるものの、主軸である不動産賃貸事業は、主要な賃貸物件は首都圏の利便性の高い場所に所在しているといった状況の中、安定した顧客の確保を維持しております。また自動車教習事業は、少子化による運転免許取得資格者の減少や近隣の自動車教習所との競合による厳しい経営環境の中、地域との信頼関係とサービスの充実を心がけ自動車運転免許の取得需要の確保に注力しております。一方で当社主幹事業である映画事業を取り巻く経営環境につきましては、2016年においては邦画のアニメーション作品をはじめとした大作のヒットが続き、業界全体の入場人員、興行成績はともに前年度の記録を更新したしました。しかしながら、それらメジャー作品とシネコンを中心とした映画興行が活況を見せる一方で、インディペンデント系の作品は上映機会の確保が難しく、また単館系映画館の閉館もあったように当社のようなミニシアターの経営環境は依然として厳しい状況にあり、映画興行界は二極化の傾向にあるといえます。当社におきましては、シネコンのラインナップとは一線を画したミニシアターならではの良質な作品を中心に、幅広く多様なジャンルの映画が鑑賞できる劇場として、シネコンとの差別化をはかりながら、その経営環境に対応しております。
(3)目標とする経営指標
平成30年3月期におきましては、連結ベースにおいては、親会社株主に帰属する当期純利益5千5百万円の確保による利益剰余金の積み上げを、単体ベースにおいては、当事業年度末現在1千2百万円となっている繰越損失の解消を目指しております。
(4)中長期的な会社の経営戦略
中長期的な会社の経営戦略として、厳しい経営環境の中、主軸である映画事業を今後も継続して行くにあたり、映画興行に限らない総合的な映画事業の展開に加え、映画事業以外でも当社グループの事業資産のポテンシャルをしっかりと引き出し、有効活用していくことが重要であると考えております。
当社は「社会に健全な娯楽を提供すること」を主要な事業目的としており、その役割を現在担っているのが映画事業であります。しかしながら、映画事業は個人消費の動向や上映作品の持つ集客力、流行等に大きな影響を受ける事業であるため、看板事業としての数字に表れない貢献はあるものの、収益面で常時安定的に会社の業績向上に寄与できる事業とは言い難い側面があることも否めません。また、多くのシネコンが開設されている現状では、当社のようなミニシアターは作品の選定においても厳しい環境にあるといえます。当社は映画興行と映画配給は車の両輪であると認識しており、今後、映画興行事業の安定化のためにも、映画配給に関するノウハウを蓄積し、総合的に映画事業を手がける会社として経営戦略を練り直してまいります。
また、不確実性のある映画事業を継続的に運営していくには、会社の経営基盤の安定が不可欠であり、そのためには、不動産賃貸事業を中心とする不動産事業や自動車教習事業においても確実に収益を上げていくことも重要であります。従いまして、不動産事業や自動車教習事業で培った経験や信頼等、グループ全体の事業資産をより有効に活用し、確実に収益を生み出せる経営体質を維持継続していくことが経営戦略として重要であると考えております。
今後も当社では、主要な事業目的である映画事業を主軸とした「社会に健全な娯楽を提供すること」を安定的に継続していくために、さらなる経営基盤の充実を心がけてまいります。
(5)会社が対処すべき課題
当社単体における繰越損失の解消と早期復配が当社グループの課題であります。当連結会計年度におきましては連結ベースにおける繰越損失の解消がなされたものの、当事業年度においては、当社単体にて連結子会社に対する貸倒引当金繰入額の計上もあり、未だ繰越損失の解消には至っておりません。今後も、当社グループ全力を挙げて、映画事業、不動産事業、自動車教習事業といった主要事業部門のさらなる充実と、映画事業におきましては、映画の自社買付配給にも取り組み、総合的に映画事業を手がける会社として、より前向きな経営施策を講じてまいります。
具体的には、映画事業部門は、映画興行事業においては平成28年11月に全面改装した「新宿武蔵野館」のPRに加え、番組編成についてもシネコンとはひと味違ったミニシアターならではの個性溢れる作品のラインナップに引き続き注力してまいります。さらには、本年で4回目を迎える「シネマカリテ」における映画祭「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション(通称『カリコレ』)」の開催や、売店にて取り扱うフードメニューとグッズの充実、手作り感のある館内ディスプレイ等、映画館で映画を観ることの楽しさを感じていただけるような劇場作りを目指してまいります。映画配給事業においては自社買付配給作品第一弾の香港映画『小さな園の大きな奇跡』に続く配給作品の準備に取り掛かってまいります。
不動産事業部門は、主要テナントビルの維持管理や設備の更新を継続し、必要に応じた修繕や新たな付加価値となる設備投資も前向きに検討し、収益基盤の確保に繋がる資産管理を今後もしっかりと行ってまいります。また、仲介・販売業務については、今後も景況を見極めながら、取引の機会を検討してまいります。
自動車教習事業部門は、広々としたコースと、多種多様な種類の運転免許の取得が可能な自動車教習所としての認知度を高め、競合する自動車教習所との差別化をはかり、また、送迎ルートの充実や教習指導員の教育、地域との繋がりを重視し、信頼のおける自動車教習所としての評価を高めてまいります。
商事事業部門は、外部へ経営委託している軽飲食店については、今後も地域の皆様のニーズを把握してお店作りに生かし、経営委託先と連絡を密にしながら業績の向上に努めてまいります。
なお、遊休資産となっている旧甲府武蔵野シネマ・ファイブ土地建物の有効活用につきましては、売却を基本方針に情報の収集をさらに綿密に行ってまいります。
以上のように、各事業部門において経営環境に留意しながら諸施策を実施することにより、対処すべき課題の解消に向けて、全社挙げて全力で取り組んでまいります。
投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①経営環境の変化、特定の取引先等への依存等
(映画事業)
映画興行事業は上映する作品の集客力により興行成績が大きく左右されます。快適に映画鑑賞していただける劇場空間を提供することが当社の責務であるとともに、当社の劇場規模や雰囲気に見合い、かつ集客力の高い作品を継続的に上映し続けることが興行成績の安定的な維持には不可欠であります。それだけ作品への依存度は高く、その選択によっては収益の減少につながるリスクが存在しております。
映画ファンの嗜好も多様化している現在、当社のような単館系の劇場におきましては、シネコンとの差別化をはかりながらの上映作品の選定はより難しさが増しているといえます。そのため、作品のジャンルにとらわれることなく、劇場の立地・特性も考えに入れ、選択可能な作品の中から、より集客力の見込める作品をいかに選択していくかが番組編成の大きなテーマとなっております。
一方、近隣シネコンとの競合やミニシアター向け作品のヒット作不足、設備の維持管理に要するコストの増大も映画館経営に対する大きなリスクとなっており、また、自然災害の発生により営業継続が困難になるケースや、入居しているテナントビルの諸事情、停電等の影響による営業の休止・自粛、さらにはインフルエンザ等の流行またはその兆候が顕著となった場合につきましても、集客が激減する可能性も考えられます。
また、新たに参入した映画配給事業においては、作品の公開状況や配給成績等が当初の計画と乖離が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(不動産事業)
当社の収益の大きな柱である不動産賃貸部門は、各賃貸物件の借主様が安定的継続的に入居していただけることが収益力持続の前提となっておりますが、その前提条件が困難な状況となった場合、収益力の継続にリスクが生じるおそれがあります。
また、賃貸物件の瑕疵、設備の老朽化による維持管理費用の増加や収益力の低下、さらには地震等の自然災害や、予期せぬ事故等により損害が発生することも考えられ、当社の経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(自動車教習事業)
自動車運転免許の新規取得者は、18歳~20歳代の若年層人口が大半を占めておりますが、今後統計的に若年層人口は減少の傾向にあります。若年層人口の減少は運転免許取得者の減少に直結するため、業界全体としても将来の収益の確保において重要な問題と認識しており、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、教習所内外における交通事故に起因する賠償責任をはじめとするあらゆるリスク、景況や中東情勢、自然災害の影響等、社会情勢の変化により原油価格が高騰し燃料費が増加するリスクも常に認識していく必要があります。
②不採算事業からの撤退等の事業再編による影響
将来において当社グループを取り巻く経営環境に変化が生じた場合、不採算事業からの撤退や関係会社の整理をはじめとしたリストラ等、事業再編を行う可能性がありますが、その場合、事業の撤退や事業所の閉鎖、関係会社の整理等に係る特別損失の発生等、係る事業再編が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③既存の出資先等に関するリスク
当社グループはフィリピンの現地相手先との合弁会社「ROCES MUSASHINO HOLDINGS,INC.」に対し出資を行っておりますが、同社の事業計画は当初と比べその進捗状況に乖離が生じており、そのため、当連結会計年度に同社株式に対し関係会社株式評価損を特別損失に計上いたしました。有価証券報告書提出日現在、同社の今後の方針について現地相手先と調整・交渉を行っておりますが、今後の同社の方針や財政状態の変化等により、当社グループの経営成績及び財政状態にさらなる影響を及ぼす可能性があります。
④新規事業等に係る出資・投資額回収のリスク
当社グループが新規事業に係る一定の出資または投資等を行うにあたり、当該事業の業績・資金の運用状況によっては、出資金額または投資金額の回収に懸念が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は株式会社リサ・パートナーズ(以下「リサ・パートナーズ」)との間で、平成17年5月27日に開催した取締役会での決議を経て、資本提携について基本合意書を締結しております。具体的な内容については、次の通りです。
1.資本提携の目的
リサ・パートナーズとの関係強化及び相互の発展を主要な目的とするものであります。
2.資本提携先の概要 (平成29年3月31日現在)
|
名称 |
株式会社リサ・パートナーズ |
|
本店所在地 |
東京都港区港南二丁目15番3号 |
|
代表者 |
成影 善生 |
|
設立年月日 |
1998年7月2日 |
|
資本金 |
100百万円 |
|
事業の内容 |
金融・不動産関連業 |
3.資本提携の概要
当社の連結子会社が所有していた当社株式を、平成17年5月27日付でリサ・パートナーズに譲渡いたしました。
平成29年3月31日現在、リサ・パートナーズは当社株式を526千株保有しております。詳しくは、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (7) 大株主の状況」をご参照ください。
該当事項はありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額を継続的かつ適正に評価するために、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な方法に基づき、また予測し有る偶発事象の影響値等も加味しながら、いくつかの重要な見積りおよび判断・評価を行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。
ここでは当社グループの重要な会計方針のうち、判断、見積もりによる評価が重要と認識される項目について説明をいたします。
①繰延税金資産
将来減算一時差異の回収可能性を検討し、回収可能性が低いと判断されるものについては評価性引当金を計上して、適正な計上額を見積っております。当連結会計年度におきましては、提出会社および連結子会社の㈱寄居武蔵野自動車教習所および自由ヶ丘土地興業㈱において、各社の将来の課税所得見込額に応じた繰延税金資産を計上しております。
②貸倒引当金
過年度(3ヶ年)の貸倒実績に基づき、一般債権の貸倒引当率を連結1.422%としております。また、一部の債権については個別評価によっており、相手先の財政状態等、回収可能性を充分に検討したうえで、引当額の見積りを行っております。
③土地
a.再評価に係る繰延税金負債及び土地再評価差額金
当社が保有する土地は、全般的に取得時より相当の年月が経過しているものが多く、時価との乖離が重要な金額であったことから、時価と照らし合わせて適正な価格で評価をし直すことが望ましいものと考え、平成12年3月期に土地の再評価をいたしました。再評価の方法につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」をご参照ください。
b.減損損失
各資産のグルーピングに基づいた減損の兆候を確認し、兆候有りと判断したものについては、将来キャッシュ・フローの見積もり等の方法や遊休資産においては不動産鑑定評価額等により、減損損失の認識(判定)、減損損失の測定を行っております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
①連結貸借対照表関係
(流動資産の部)
現金及び預金が1億8百万円減少しております。これは主に、投資活動によるキャッシュ・フローの減少額(主として、「新宿武蔵野館」改装に係る有形固定資産の取得による支出)が営業キャッシュ・フローによる資金の増加額を上回ったためであります。流動資産全体としては、5千8百万円減少(前期比7.5%減)しております。
(固定資産の部)
有形固定資産につきましては、建物及び構築物の増加3億4千1百万円等により、4億6百万円増加(前期比9.1%増)しております。主な増加の理由は、映画事業部門における「新宿武蔵野館」の改装及び不動産事業部門における「大宮ビル」設備更新に係るものであります。無形固定資産につきましては、大きな増減はありません。投資その他の資産につきましては、フィリピンにおいて当社連結子会社である武蔵野エンタテインメント㈱が出資する「ROCES MUSASHINO HOLDINGS,INC.」株式の評価損を主な理由とした投資有価証券の減少4千2百万円等により、3千万円減少(前期比5.0%減)しております。以上のことから固定資産全体としては、3億7千6百万円増加(前期比7.3%増)しております。
(流動負債の部)
一年以内返済予定長期借入金の増加による短期借入金の増加1千7百万円、リース債務の増加1千3百万円、未払法人税等の増加2千3百万円、また有形固定資産の取得等に係る未払金の増加等による「その他」の増加8千2百万円等があったことにより、流動負債全体としては、1億5千7百万円増加(前期比37.1%増)しております。
(固定負債の部)
新宿武蔵野館改装に係る資金調達等による長期借入金の増加5千2百万円、リース債務の増加4千6百万円等により、固定負債全体としては、8千1百万円増加(前期比4.0%増)しております。
(純資産の部)
親会社株主に帰属する当期純利益7千8百万円の計上により繰越損失が解消し、純資産全体としては、7千8百万円増加(前期比2.3%増)しております。
②連結損益計算書関係
(売上高及び営業利益)
当連結会計年度におきましては、映画興行界全体といたしましては邦画アニメーション作品のヒットもありましたが、当社のようなミニシアター経営におきましては、個人消費マインドの持ち直しにかかわらず依然厳しい経営環境が続いております。そういった経営環境の中、映画事業部門は、入居テナントビルの耐震補強工事に係る休館期間を経て、平成28年11月に「新宿武蔵野館」がリニューアルオープンし、椅子や音響設備のグレードアップ、また自動券売機の導入により、より快適に映画を観ることのできる環境を整え好評を博したものの、連結子会社において取り組んでいる映画の自社買付配給等新たな映画関連ビジネス・コンテンツに係る営業費用が増加し、営業損失の計上となりました。不動産事業部門においては賃貸部門において主要テナントビルの設備更新工事が続き修繕費が嵩んだことにより、自動車教習事業部門は高校卒業見込者等の新規自動車運転免許取得資格者の入所時期のずれ込みの影響等により、ともに売上高、営業利益は前期を下回りました。
その結果、当連結会計年度の売上高は14億3千2百万円(前期比14.2%減)、営業利益は3千8百万円(前期比67.3%減)となりました。
(経常利益)
営業外収益として、持分法による投資利益2千7百万円等があった一方、営業外費用として旧甲府シネマ・ファイブ土地建物に係る遊休資産維持管理費用1千2百万円等があり、経常利益は5千万円(前期比63.7%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益として「新宿武蔵野館」休館等に係る補償金1億4千3百万円、特別損失としてフィリピンにおける現地相手先との合弁会社「ROCES MUSASHINO HOLDINGS,INC.」株式評価損7千万円を計上し、税金等調整前当期純利益は1億2千4百万円となり、「法人税等調整額」を含めた法人税等合計が4千5百万円となったことにより、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は7千8百万円(前期比27.1%減)となりました。
③連結キャッシュ・フロー計算書関係
「営業活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、税金等調整前当期純利益の計上に加えて、減価償却費や関係会社株式評価損、受取補償金等により、1億8千万円(前期比26.8%減)となりました。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、映画事業部門における「新宿武蔵野館」改装に係る建物附属設備等有形固定資産の取得による支出等により、マイナス3億3千9百万円(前期はマイナス9千2百万円)となり、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出等により5千万円(前期はマイナス2億3千1百万円)となりました。
その結果、「現金及び現金同等物の期末残高」は5億7千2百万円(前期比16.0%減)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
映画事業は、話題性・集客力のある作品を数多く世に送り出して行くことが経営成績の安定には不可欠であり、そのためには、映画興行・映画配給の双方面から、個々の作品の持つ魅力をいかにPRしていくかが、経営成績に重要な影響を与えるひとつの要因となります。当社は映画興行のみならず映画配給も手がけることにより、映画の楽しさをより重層的に発信し、一人でも多くの人に映画館に足を運んでいただき評価されていくことで経営成績により良い影響を及ぼしていけるよう、今後も努力してまいります。
不動産事業につきましては、経常的に安定した収益が見込める不動産賃貸業を柱としており、グループ全体の事業基盤を下支えするうえで重要な役割を担っております。引き続き安定した経営基盤を維持していくためには、所有賃貸不動産の状況を常に把握し、設備の更新や入居テナントの経営環境に気を配りながら所有不動産の資産価値の維持向上が不可欠であると考えております。
自動車教習事業におきましては、若年層の人口減少や自動車への関心の低下、また地域内の教習所の競合といった要因による収益への影響が今後も予想されるため、大型特殊車や高齢者教習など、近隣の自動車教習所との差別化をはかるべく、多様な教習メニューの提供と送迎バスルートの充実、教習指導員の教育、また地域との信頼関係を深める努力を怠らず、収益の維持に努めてまいります。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社は映画事業を通じて「社会に健全な娯楽を提供すること」を主要な事業目的としております。しかしながら、映画事業は上映作品の持つ集客力、流行等に大きな影響を受ける事業であり、看板事業としての数字でははかれない会社への貢献はあるものの、収益面において常時安定的に会社の業績向上に寄与できる事業とは言い難く、不確実な側面があることも否めません。映画事業においては、今後も引き続き、番組編成やサービス・設備の充実等、映画館に足を運んでいただく営業努力を継続していくことはもちろんですが、不動産事業、自動車教習事業においてもその事業資産を有効に活用することで、グループ全体として確実に収益を生み出せる経営体質を維持継続し、経営基盤を安定化させていくことが重要と考えております。
さらに映画事業においては、従来の映画興行事業に加え、当連結会計年度より参入した映画配給事業等、新たな事業展開も視野に入れ、将来のミニシアターを取り巻く経営環境を考慮しながら、総合的な映画事業を手がける会社を目指してまいります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①流動性の管理方針
映画興行や不動産賃貸が事業の主軸である当社は、現金または銀行振込による売上入金の比率が高いため、売上債権の回収については概ね効率が良いものと考えております。したがって毎日の入金管理に重点を置くことはもちろん、売掛債権等が発生する場合においては、その相手先の状態に気を配り、また信用調査を行うなど、営業部門と経理部門双方からのリスク管理を徹底しております。
②短期的な債務の状況
当社グループの総資産のうち、流動負債の構成比は9.4%となりました。前年度の7.2%に比べ、増加の傾向にあります。また、流動比率は123.9%(前年度は183.6%)となっております。今後も財務基盤の安定性を保つために、短期的な債務の管理には細心の注意をはらってまいります。
③ファイナンス及び資本の財源
資本市場における資金の調達は平成元年以降行っておりません。現在は主に金融機関からの借入金により資金調達を行っております。また当社は単体における繰越損失の解消と復配の早期実現を経営課題としており、キャッシュ・フロー経営を徹底させることにより自己資本の増強に努めることが第一と考えております。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
単体における繰越損失の解消と早期に復配を実現することが当社グループの経営課題であると認識しております。単体の繰越損失につきましては、当事業年度末現在、連結子会社への貸付金に対する貸倒引当金を計上したことで、利益剰余金のマイナスは1千2百万円となっております。今後は復配を実現するために、既存事業のさらなる充実に加え、自社買付による映画配給等の新しいビジネスの可能性も模索しながら将来の経営環境の変化に耐え得る堅実な経営基盤の構築を目指してまいります。
具体的には、映画事業においては、「新宿武蔵野館」のリニューアルオープンに係る映画館設備の更新により、より快適に映画を鑑賞できる映画館へと生まれ変わり、集客へ結びつけることができるものと考えております。また、連結子会社にて新たに取り組んでいる映画配給事業につきましても、平成28年11月に公開した自社配給作品第一弾の香港映画『小さな園の大きな奇跡』に続く作品をしっかりと見定め、収益面での可能性も考慮しながら、より多くの映画ファンに楽しんでいただける作品を検討してまいります。なお、遊休資産である旧甲府武蔵野シネマ・ファイブ土地建物の有効活用につきましては、情報の収集を綿密に行い、売却を基本方針に活動を行っております。