第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は1920年に、東京都新宿区新宿に於いて映画館「武蔵野館」を開館させて以来、社会に映画を中心とした健全な娯楽を提供することを主要な事業目的・経営の基本方針とし、その後、長期にわたり映画興行事業を中心とした事業展開を行ってまいりました。しかしながら、娯楽の形態も時代の変遷とともに多様な変化を遂げるなか、当社も映画興行事業を会社の主力事業と認識し経営の軸に据えながらも、不動産賃貸事業やフィットネスクラブ運営等のスポーツ・レジャー事業(現在営業中止中)、また連結子会社で展開する自動車教習事業など、複合的な事業展開によって、グループ全体の安定的な経営基盤を構築維持してまいりました。

 2020年6月には「武蔵野館」開館100周年を迎え、今後も、新型コロナウイルス感染症拡大等の経営環境の変化に柔軟に対応していくことのできる経営体質の確立をひとつの目標としながら、複合的な事業からなる経営基盤を安定的に構築維持していくことを礎とし、創業の地・新宿において、映画興行のみならず映画配給も手掛ける包括的な映画事業を長期安定的に手掛ける会社として、健全かつ快適で安全な娯楽空間を提供し、より多くの方々に映画を楽しんでいただくことが、創業以来の会社の経営の基本方針と考えております。

 

(2)当社グループを取り巻く経営環境

 当連結会計年度末における当社グループの経営環境につきましては、当社グループの不動産事業においては、間接的に国内外経済等の影響下にはあるものの、主軸である不動産賃貸事業は、主要な賃貸物件は東京都新宿区や東京都目黒区、また埼玉県さいたま市大宮区等、首都圏の利便性の高い場所に所在しており、比較的安定した顧客の確保を維持しておりますが、一方で建物の老朽化も進んでおり、今後は設備の維持に係るコストも懸念されます。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大がテナントビル経営に及ぼす影響、入居テナントの経営状態に与える影響を的確に把握し、以前にも増して関連業者や顧客との関係性に気を配り、入居テナントの退出や賃料の減少等のリスクに備えるため、今まで以上に入居テナントの動向や不動産市況等の経営環境に細心の注意を払いながらプロパティ・マネジメントを行っていく必要があるものと考えております。

 自動車教習事業は、少子化による運転免許取得資格者の減少や若年層の自動車運転免許離れといった需要が厳しくなる経営環境の中での近隣の自動車教習所との競合に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により新規教習生の獲得が難しくなる中、同感染症の予防対策をしっかりと行ったうえ安全性に配慮した実績を積み上げることで、地域との信頼関係を築き、また、きめ細かい送迎ルートの提供等、サービス面での充実を心がけながら競合する近隣の同業他社との差別化をはかることで、自動車運転免許の取得需要の掘り起こしに注力してまいります。

 そして、当社の主力事業である映画事業を取り巻く経営環境につきましては、2019年においては、シネコンを中心に邦画、洋画ともにヒット作が多く、業界全体として歴代最高の映画興行収入を記録したものの、ミニシアター向けの作品に限ると、ヒット作と呼べるような興行収入を記録した作品は少なく、ミニシアター系劇場の収益は全体的にほぼ横ばいとなりました。ミニシアターは、上映回数や上映期間、劇場のキャパシティ等、上映環境は限定されており、さらには、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により予定していた作品の上映機会喪失や上映回数の減少、座席の隔席販売やインターネット販売の制限といった入場者数の制約も重なり、厳しい経営環境にあります。当社におきましても、シネコンのラインナップとは一線を画したミニシアターならではの作品の魅力を認知していただくため、新型コロナウイルス感染症の予防に努めながら、上映ニーズの高い旧作等の企画上映や劇場内におけるディスプレイ等でのPRに加え、お客様のニーズを的確に反映した番組編成を行い、SNS等を活用した口コミによる情報の広がりにも注意を払うなど、その経営環境に対し臨機応変に対応してまいりますが、現状の経営環境の中で事業を継続していくには、さらなる経費節減や映画関連グッズ販売・売店売上等の充実など、経営環境の変化に応じた事業構造の見直しが必要と考えており、引き続き事業の継続に向けて、経営戦略の見直しを行ってまいります。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは、具体的な目標とする中長期的な経営指標を設定しておりませんが、将来の復配を視野に、営業利益の積み上げによる安定的な内部留保の充実を実現することをひとつの目標としております。なお、2021年3月期(連結)の業績見込につきましては、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、当面は、お客様、従業員、関係者の安全に重点を置きながら、事業を継続し収益を確保していくことが現状の課題であると考えているものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が今後の当社の事業に及ぼす影響を見極めるには、現時点における同感染症拡大の影響も踏まえ、しばらくの時間が必要と考えていることから、現時点で未定とさせていただいております。加えて、今後の経営環境を踏まえると、基幹事業の営業利益による内部留保の積み上げには今しばらくの時間を要するものと考えております。そのため今後も、経営基盤の安定化を目指すため、特に映画事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大による経営環境の変化への対応を念頭に、人件費等の経費節減を行うと同時に、将来のセグメント利益の確保に向けて、映画興行のみならず映画配給も手掛けることで事業コンテンツの多様化・バランスをはかり収益力の向上を目指すなど、引き続き、将来の復配を目標とした前向きな経営施策を講じてまいります。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略

 中長期的な会社の経営戦略として、新型コロナウイルス感染症拡大による経営環境の大きな変化の中、殊にミニシアター経営に係る映画事業を取り巻く経営環境も、販売座席数の制限等もあり入場者数が減少するなど厳しさを増している中で、主軸である映画事業を今後も継続して行くため、映画興行に加え映画配給も手掛ける総合的な映画事業会社として事業構造の見直しを行っていくとともに、映画事業以外でも当社グループの事業資産のポテンシャルをしっかりと引き出し、有効活用していくことが重要であると考えております。

 当社は「社会に健全な娯楽を提供すること」を主要な事業目的としており、その役割を現在担っているのが映画事業であると考えております。しかしながら、映画事業は個人消費の動向や上映作品の持つ集客力、流行、また、今回の新型コロナウイルス感染症拡大により入場者数の減少を余儀なくされるなど、事業の脆弱な側面をあらためて認識したこともあり、経営環境の変化に影響を受けやすく、主力事業として企業イメージに対する数字に表れない貢献はあるものの、収益面で常時安定的に会社の業績向上に寄与できる事業とは言い難い側面があることも否めません。当社の映画館が所在する東京都新宿区におきましても、多くのシネコンが開設されている現状では、当社のようなミニシアターでは上映作品の選定においても厳しい環境にあるといえます。さらに新型コロナウイルス感染症拡大が社会全体に影響を及ぼす経営環境の中にあって、ミニシアターの存在価値をより高めるために、劇場のカラーに見合った作品を自ら選別し発信していく力が必要があると考え、番組編成の強化に加えて、映画の自社買付配給にも力を入れてまいります。当社は映画興行と映画配給は車の両輪であると認識しており、映画配給に関するノウハウを蓄積し、包括的に映画事業を手がける会社として映画事業のポートフォリオ化をはかり経営戦略を練り直してまいります。

 また、収益的に不確実性が伴う映画事業を継続的に運営していくには、会社の経営基盤の安定が不可欠であり、そのためには、不動産賃貸事業を中心とした不動産事業や自動車教習事業において確実に収益を上げていくことが重要であります。従いまして、映画事業に加えて不動産事業や自動車教習事業も含めたグループ全体の事業資産をより有効に活用し、また今まで以上にコスト削減を徹底することで、確実に収益を生み出せる経営体質を維持継続していくことが経営戦略として重要であると考えております。今後も当社では、主要な事業目的である映画事業を主軸とした「社会に健全な娯楽を提供すること」を安定的に継続していくために、さらなる経営基盤の充実を心がけてまいります。

 

(5)会社が対処すべき課題

 主力事業である映画事業をはじめ、基幹事業による営業利益を長期継続的に確保し、復配を実現することが当社グループの課題であります。当連結会計年度におきましては、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことに加え、年度末の新型コロナウィルス感染症拡大の影響もあり、映画事業をはじめとした基幹事業の収益による安定的な内部留保の積み上げには、時間を要するものと考えております。
 そのため今後も、新型コロナウィルス感染症が事業に与える影響を把握し、経費の節減や資金の確保に充分に配慮しながら、あらためて、営業利益による自己資本の充実と将来の利益配分に向けて、映画の自社買付配給等、映画に関連した新たなビジネス・コンテンツの開発も継続して行うことで映画事業の収益力改善を目指すとともに、不動産事業、自動車教習事業のより一層の安定化を進め、グループの収益力の強化と復配に向け、経営の全力を傾注してまいります。
 具体的には、映画事業におきましては、新型コロナウィルス感染症対策として、従業員の検温やマスクの着用、隔席でのチケット販売や、換気、三密を回避した各種安全対策を行ったうえで、映画館の安全な運営を心掛けてまいります。また、「シネマカリテ」における映画祭「カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション(通称『カリコレ』)」の2020年度の開催は、新型コロナウィルス感染症拡大を受けて中止いたしましたが、2020年6月に「武蔵野館」が100周年を迎えるにあたっての記念上映・記念企画につきましては、開催を延期し、然るべき時期での開催に向けて新たなプランを検討してまいります。それとともに、お客様のニーズを把握するために業界の情報・動向を把握し、当社が所有する東京都新宿地区5スクリーンの連携により、良作・話題作に富んだ魅力的な番組編成を行い、さらには付帯する映画関連グッズの販売もインターネットを活用した販売方法の見直しを行い、業績の回復を目指してまいります。また、映画の自社買付配給につきましては、当連結会計年度は香港映画『淪落の人』を公開し好評を博しました。今後も映画の規模や品質、収益性等のバランスを考慮し、より良い映画を買い付け配給していくことで映画興行との相乗効果をはかってまいります。
  不動産事業におきましては不動産賃貸事業が主軸でありますが、今後は、主要テナントビルの老朽化等による大規模修繕・減価償却費の増加もより顕著になってくることに加え、新型コロナウィルス感染症拡大がテナントビル経営に及ぼす影響、殊に入居テナントの経営状態等を従来以上に的確に把握し、細心の注意を払いながら、安定的な賃貸収入を確保していく必要があると認識しております。そのため、以前にも増して関連業者や顧客との連絡を密にし、経済環境や社会動向、またテナントビルの大規模修繕等に係る資金繰りにも気を配りながらプロパティ・マネジメントを行っていくことで、引き続き安定した収益の確保をはかってまいります。
  自動車教習事業におきましては、新型コロナウィルス感染症の影響による教習生の減少に加え、少子化や若年層の運転免許離れ、また近隣の自動車教習所との競合といった厳しい経営環境が今後の業績に影響を及ぼすものと認識しております。そのような経営環境の中、普通自動車運転免許以外にも、準中型自動車や大型自動車、大型特殊自動車、大型二輪、さらには高齢者教習など、多様な教習メニューを受けられるコンテンツを充実させ、きめ細かな送迎ルートによる通い易い自動車教習所を目指し、また、映画事業と同様に新型コロナウィルス感染症予防対策にも気を配りながら、収益の確保に努めてまいります。
  商事事業におきましては、東京都目黒区にて経営委託している飲食店「ピーターラビット ガーデンカフェ」の営業成績が収益の中心となっておりますが、新型コロナウィルス感染症拡大により、営業時間の縮小や来店者減少等、飲食店経営が大きな影響を受ける中、今後も経営委託先と連携を密に、店舗運営のみならずキャラクターグッズ販売等による収益源の強化をはかり、同感染症予防対策を確実に行い、経営環境の変化に対応できる経営体制を構築してまいります。
 以上のように、各事業部門において経営環境に留意しながら諸施策を実施することにより、対処すべき課題の解消に向けて、全社挙げて全力で取り組んでまいります。

 

2 【事業等のリスク】

投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

①経営環境の変化、特定の取引先等への依存等

 各事業セグメントごとの記載におきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)当社グループを取り巻く経営環境 (4)中長期的な会社の経営戦略 (5)会社が対処すべき課題」等も併せてご参照ください。

 

(映画事業)

映画興行事業は上映する作品の集客力により興行成績が大きく左右されます。快適に映画鑑賞していただける劇場空間を提供することが当社の責務であるとともに、当社の劇場規模や雰囲気に見合い、かつ集客力の高い作品を継続的に上映し続けることが興行成績の安定的な維持には不可欠であります。それだけ作品への依存度は高く、その選択によっては収益の減少につながるリスクが存在しております。

映画ファンの嗜好も多様化している現在、当社のようなミニシアター経営におきましては、シネコンとの差別化をはかりながらの上映作品の選定はより難しさが増しているといえます。そのため、作品のジャンルにとらわれることなく、劇場の立地・特性も考慮し、選択可能な作品の中から、より集客力が見込め、かつ劇場の雰囲気に見合った作品をいかに選択していくかが番組編成の大きなテーマとなっております。

一方、近隣シネコンとの競合やミニシアター向け作品のヒット作不足、設備の維持管理に要するコストの増大も映画館経営における大きなリスクとなっており、また、自然災害の発生により営業継続が困難になるケースや、入居しているテナントビルの諸事情や停電等の影響による営業の休止・自粛、さらには新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ等の流行またはその兆候が顕著となった場合につきましても、事業活動に大きな影響を及ぼします。

また、新たに参入した映画配給事業においては、作品の公開状況や配給成績等が当初の計画と乖離した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクが顕在化する時期等を具体的に把握するのは困難であるものの、その可能性は常に認識しておく必要があり、殊に新型コロナウイルス感染症につきましては、当社映画館は2020年4月、5月の一定期間、同感染症拡大防止のため休業しておりました。そのため、新型コロナウイルス感染症拡大に起因する損失が発生し、2021年3月期の連結業績に影響を与えております。営業再開後は、映画興行事業と映画配給事業に加え、売店や映画関連グッズの販売にも力を入れ、事業ポートフォリオの多様化に取り組み、また、各種災害に対しては、東京都や全国興行生活衛生同業環境組合等の指針に準拠した予防策等を徹底し、リスクの軽減に努めてまいりますが、現時点においても同感染症が収束する兆しは不透明であり、販売座席数の制限等、映画館入場者数の減少もあり、2021年3月期以降の連結業績に影響を与える可能性があります。

 

(不動産事業)

当社の収益の大きな柱である不動産賃貸部門は、各賃貸物件の借主様が安定的継続的に入居していただけることが収益力持続の前提となっておりますが、テナントビルにおいて長期間にわたりテナントが決まらないケース等、その前提条件が困難な状況となった場合、収益力の継続にリスクが生じるおそれがあります。
 また、設備の老朽化等に起因する維持管理費用の増加や新たな設備投資が財務面に与える影響、さらには地震等の自然災害による損害の発生や予期せぬ事故・賃貸物件の瑕疵等による信用力の低下、また、新型コロナウイルス感染症の流行により、入居テナントの経営悪化による撤退や賃料の減少等も考えられ、当社の事業継続に大きな影響を及ぼす可能性があります。

現時点におきましては、商業テナントビルの老朽化に係る設備の更新は随時行っているものの、具体的に収益を圧迫するリスクとして顕在化する具体的な兆候等はありませんが、顕在化した場合、当該セグメントの収益減少に加え、信用力の低下や大規模修繕等による資金繰りへの影響等、グループ全体の業績に大きな影響を与えることが予想されるため、テナントビル等のプロパティ・マネジメントや入居テナントの経営状況に細心の注意を払い、状況に応じた対策を早期に実施してまいります。

(自動車教習事業)

自動車運転免許の新規取得者は、18歳~20歳代の若年層人口が大半を占めておりますが、今後統計的に若年層人口は減少の傾向にあります。若年層人口の減少は運転免許取得者の減少に直結するため、業界全体としても将来の収益の確保において重要な問題と認識しており、併せて昨今では、若年層の自動車運転免許離れという懸念もあるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、教習所内外における交通事故に起因する賠償責任をはじめとするあらゆるリスク、設備の老朽化による維持管理費用の増加や新たな設備投資が財務面に与える影響、また、国内や世界の景況、中東情勢、自然災害の影響等、社会情勢の変化により原油価格が高騰し燃料費が増加するリスクも常に認識していく必要があります。さらには、新型コロナウイルス感染症拡大による事業の休業や教習生の減少も、今後も引き続き予想されます。

新型コロナウイルス感染症につきましては、当自動車教習所は2020年4月、5月の一定期間、同感染症拡大防止のため休業しておりました。現時点においては通常営業に戻ったものの、当該休業による収益減は2021年3月期の連結業績に影響を与えるものと予想されます。また、新型コロナウイルス感染症の終息時期は未だ不透明であり、また現時点で顕在化する兆候が現れていないほかのリスクも含め、それらが顕在化する可能性の程度や時期を予想するのは困難でありますが、顕在化した場合、セグメント損失等の計上に加え、顕在化するリスクによっては信用力の低下により事業の継続にも影響を与えるため、教習メニューの多様化や、交通ルールをはじめとした従業員のコンプライアンス意識の徹底による地域の信用力の向上に努め、報告・連絡・相談を密にすることで、あらゆるリスクに対し柔軟に対応できる経営体制を整えてまいります。

 

 

②不採算事業からの撤退等の事業再編による影響

将来において当社グループを取り巻く経営環境に変化が生じた場合、不採算事業からの撤退や関係会社の整理をはじめとしたリストラ等、事業再編を行う可能性がありますが、その場合、事業の撤退や事業所の閉鎖、関係会社の整理等に係る特別損失の発生等、係る事業再編が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクが顕在化する可能性は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期にわたった場合等、時期の見極めも含め、あらゆる想定が必要であると考えており、これらのリスクに対処するため、各事業部門の予算管理を徹底してまいりますが、事業の撤退が最善という結論に至る場合も含め、専門家等との協議や経営環境の把握に努め、将来の事業の展望を早期に見極めることで、損失の軽減に努めてまいります。

 

③既存の出資先等に関するリスク

当社グループはフィリピンの現地相手先との合弁会社「ROCES MUSASHINO HOLDINGS,INC.」に対し出資を行っておりますが、同社の事業計画は当初と比べその進捗状況に乖離が生じており、そのため、2017年3月期と当連結会見年度に同社株式を減損処理いたしました。有価証券報告書提出日現在、同社に対する出資の額は全額減損処理しておりますが、同社の今後の方針について、引き続き現地相手先と調整・交渉を行っており、今後の同社の方針や財政状態の変化等により、予期せぬ費用の発生等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクについては、出資額に対して全額減損処理していることもあり、顕在化する可能性や当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を与える可能性は低いものと考えておりますが、今後も、当該合弁会社の状況をしっかりと把握し、専門家と協議を重ねることで、早期に当該計画の方向性を定めてまいります。

 

 

④新規事業等に係る出資・投資額回収のリスク

当社グループが新規事業に係る一定の出資または投資等を行うにあたり、当該事業の業績・資金の運用状況によっては、出資金額または投資金額の回収に懸念が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

現時点において、新たな出資・投資等の計画はありませんが、将来、映画事業の拡大等のため、関連投資先に一定の出資等を行った場合、当該リスクが顕在化する可能性も考えられます。そのため、新規事業計画や新たな出資・投資計画を検討するに当たり、その採算性と事業リスクを入念に検討し、参入等の可否を慎重に判断してまいります。

 

⑤新型コロナウイルス感染症拡大によるリスク

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴い、武蔵野館、シネマカリテでは、2020年3月より座席の間隔を空けての販売や各種感染症予防対策に取り組んでおり、その後、政府の緊急事態宣言等を受け、4月4日から5月31日まで休業しておりました。営業再開した6月以降におきましても、全国興行生活衛生同業組合連合会による「映画館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」に則り、座席の隔席による販売や従業員の検温、マスクの着用、入り口の消毒液の設置、座席の上映ごとの消毒等を行っております。また、連結子会社の寄居武蔵野自動車教習所におきましても、埼玉県からの要請を遵守し、4月9日より5月26日までの休業、業務再開後も全日本指定自動車教習所協会連合会による「指定自動車教習所における新型コロナウイルス感染症の感染防止のためのガイドライン」に則り、各種感染症予防対策を実施し営業を行っております。

この結果、2020年3月における当社の映画事業の収益、また2021年3月期におきましても、映画事業、自動車教習事業の大幅な収益減が予想され、また不動産事業においても、入居テナントの経営状態の変化などから不動産賃貸事業の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社では、取締役会や経営会議等においても、映画館や自動車教習所の具体的な入場人員、入所者数に係る報告や入居テナントの経営状態に関する報告がなされ、変化する経営環境の把握に努めておりますが、同感染症拡大の防止が第一と考え、政府や自治体等からの要請の遵守に加え、各種予防対策を講じたうえ、事業を継続していくための経費節減対策等を話し合っております。

新型コロナウイルス感染症に起因する事業活動へのあらゆるリスクの発生と、それらがもたらす経営環境の変化を見通すことは困難であり、新型コロナウイルスの感染拡大を前提とした社会とその価値観の変化にいかに対応し、事業活動を堅持していくか状況を見極めるため、引き続き対策を検討してまいります。まずはお客様と従業員の安全を第一に考え、政府や自治体の要請を踏まえた取り組みを行いながら、各事業セグメントの継続と収益の確保に努めてまいります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

A. 当連結会計年度の経営成績の状況

当連結会計年度の我が国の経済は、自然災害による国内経済の停滞や海外経済の減速に加え、2020年以降の新型コロナウィルス感染症の世界的感染拡大が、我が国はもとより世界経済へ大きな影響を及ぼしたまま年度末を迎えることとなりました。このような経済環境のもと、当社グループの主要な事業である映画興行界におきましても、営業の自粛等により先行きの見通しは大変厳しく、困難な経営環境となっております。
 このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、映画事業部門は良質なミニシアター向け作品を多く取り揃え、自社買付配給作品の香港映画『淪落の人』の上映も行い、また、「武蔵野館」100周年記念事業として月ごとにテーマを設けて特集上映を行うなど、話題を提供してまいりましたが、年度末の新型コロナウィルス感染症拡大の影響もあり、映画興行収入は伸び悩み、セグメント損失を計上することとなりました。不動産事業部門は、テナントビルの入居状況等に大きな変化はなかったものの、主要テナントビルの設備の更新に係る減価償却費の増加が営業成績に影響を与えました。また、自動車教習事業部門は、売上高は微増であったものの、販売費及び一般管理費の減少もあり前連結会計年度に比べセグメント利益は増加いたしました。商事事業部門は、外部に経営委託している飲食店の業績の伸び悩みもあり、前連結会計年度に比べセグメント利益は減少いたしました。
 その結果、全体として売上高は15億1千2百万円(前期比10.4%減)、営業利益は5百万円(前期比95.8%減)、経常利益は3千9百万円(前期比75.5%減)、また、関係会社株式評価損や、新型コロナウィルス感染症拡大により、将来の業績見通しが不透明になったことから繰延税金資産の取崩し等を行った結果、親会社株主に帰属する当期純損失は5千1百万円(前期は1億2千2百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。 なお、2019年3月期は不動産投資に係る一時的な収入を売上高に計上したことを大きな理由とし、対前期比はいずれも減少しております。当連結会計年度のセグメント情報ごとの業績の状況は以下の通りであります

 

B.  セグメントの状況

(映画事業部門)
 「武蔵野館」では、『家族を想うとき』『音楽』、そして自社買付配給作品の香港映画『淪落の人』等、「シネマカリテ」では、『ビューティフル・ボーイ』『サマー・オブ・84』等、話題作の上映に加え、「武蔵野館」100周年記念事業として、無声映画の活弁上映や月ごとにテーマを設けた特集上映を行ってまいりましたが、全体的に映画興行収入は伸び悩みました。加えて2020年3月には、新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、一部営業の自粛や隔席でのチケット販売、ネット販売における前売券の販売中止等を行い、業績への影響は非常に大きなものとなりました。

その結果、部門全体の売上高は5億4千3百万円(前期比3.7%減)、セグメント損失は6千2百万円(前期は6千万円のセグメント損失)となりました。
 (不動産事業部門)
 賃貸部門におきましては、不動産管理業務および主要テナントビルの賃貸状況に大きな変化はありませんでしたが、一部主要テナントビルにおける設備更新工事に伴う減価償却費の増加があり、営業成績は前期を下回りました。販売部門は、景気の動向に注意を払いながら取引の機会を窺っておりますが、具体的な営業成績の計上には至りませんでした。

その結果、部門全体の売上高は5億7千4百万円(前期比20.7%減)、セグメント利益は3億4千8百万円(前期比27.1%減)となりました。 なお、2019年3月期は不動産投資に係る一時的な収入を売上高に計上したことを大きな理由とし、対前期比は、売上高、セグメント利益のいずれも減少しております。
 (自動車教習事業部門)
 卒業シーズンを控えた高校生・大学生を中心に、各種割引キャンペーン等の実施や、教習生のニーズを考慮したきめ細かな送迎バスのルートをPRするなど、新規教習生の確保に向けた営業活動を展開いたしました。

加えて、販売費及び一般管理費の減少もあり、その結果、部門全体の売上高は3億1千4百万円(前期比0.8%増)、セグメント利益は5千5百万円(前期比53.5%増)となりました。

(商事事業部門)
 東京都目黒区において経営委託している飲食店「ピーターラビット ガーデンカフェ」は、季節感を先取りする新メニューの開発や新しいキャラクターグッズの販売等により集客をはかりましたが、不安定な天候の影響に加え、年度末には新型コロナウィルス感染症拡大の影響もあり、営業成績は前期を下回りました。

その結果、部門全体の売上高は7千3百万円(前期比9.6%減)、セグメント利益は7百万円(前期比3.4%減)となりました。

(その他)
 主としてマクミラン・アリスの版権料収入や自販機手数料でありますが、その他の売上高は全体で7百万円(前期比1.6%減)、セグメント利益は2百万円(前期比7.4%増)となりました。

 

翌連結会計年度以降の我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、引き続き先行き不透明な経済環境が続くものと推測されます。2020年4月以降、当社グループにおきましても、映画事業や自動車教習事業において、映画館や自動車教習所の営業休止を実施しており、翌連結会計年度以降の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすことが予想されます。

このような状況の中で、当社グループは、経営基盤である不動産事業の収益を確保し、新型コロナウイルス感染症の影響を受けやすい映画事業、自動車教習事業において、同感染症の予防対策をしっかりと実施したうえで、映画興行、映画配給、また自動車教習メニュー等の充実をはかり、経費の節減を行いながら、各事業セグメントの継続と成長に取り組んでまいります。

なお、中長期的な経営戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を、経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 
※ スポーツ・レジャー事業部門は営業中止中であります。

 

C. 当連結会計年度の財政状態の状況

 総資産につきましては、過年度のテナントビル設備更新工事に伴う未払金の支払等により現金及び預金の減少6千2百万円があったことに加え、減価償却費の計上に係る有形固定資産の減少1億2千3百万円等があったことから、前連結会計年度末から2億1千9百万円の減少となりました。負債につきましては、未払金や未払法人税等の減少による流動負債の減少1億3千4百万円があったことに加え、有利子負債の返済に係る長期借入金やリース債務の減少による固定負債の減少3千2百万円があったことなどから、前連結会計年度末に比べ1億6千6百万円の減少となりました。純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純損失の計上5千1百万円等により、前連結会計年度末から5千2百万円の減少となりました。
 以上のことから、当連結会計年度末残高は総資産62億4千7百万円、負債25億4千6百万円、純資産37億1百万円となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、過年度のテナントビル設備更新工事等の未払金の支払等に加え、有利子負債の約定返済を進めたことなどから、6億7千7百万円(前期比8.5%減)となりました。
 内訳といたしましては、営業活動において9千5百万円の資金を得て、投資活動において1億2千2百万円の資金を使用し、財務活動において3千5百万円の資金を使用した結果、資金残高は前連結会計年度末より6千2百万円減少いたしました。
  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります

〈営業活動によるキャッシュ・フロー〉

営業活動の結果得られた資金は9千5百万円(前期比55.5%減)となりました。
 主な内訳は減価償却費1億1千1百万円、関係会社株式評価損3千5百万円、売上債権の減少額1千万円等があった一方、持分法による投資利益2千8百万円、法人税等の支払額4千9百万円等があったことによるものであります。

〈投資活動によるキャッシュ・フロー〉

投資活動の結果使用した資金は1億2千2百万円(前期に使用した資金は3千8百万円)となりました。
 これは主に有形固定資産の取得による支出1億2千1百万円等があったことによるものであります。

〈財務活動によるキャッシュ・フロー〉

財務活動の結果使用した資金は3千5百万円(前期に使用した資金は8千8百万円)となりました。
 これは、長期借入れによる収入5千万円があった一方、長期借入金の返済による支出6千8百万円、リース債務の返済による支出1千7百万円等があったことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当社はサービス業及び不動産賃貸・販売業を中心に業態を形成しており、受注・生産形式の営業活動は行っておりません。また、販売の状況については、「①財政状態及び経営成績の状況 B.セグメントの状況」におけるセグメント業績の売上高の記載に示した通りであります。

なお、セグメント別に販売の内訳について示すと、下記の通りであります。

 

項目

前連結会計年度

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

(自 2019年4月1日

至 2019年3月31日

至 2020年3月31日

セグメント

販売の内訳

販売高(千円)

構成比
(%)

セグメ
ント内

販売高(千円)

構成比
(%)

セグメ
ント内

構成比
(%)

構成比
(%)

 

入場料売上

501,179

 

88.8

481,377

 

88.6

 

配給収入等

339

 

0.1

830

 

0.2

映画事業

売店売上等

62,442

 

11.1

60,927

 

11.2

 

563,961

33.4

100.0

543,135

35.9

100.0

 

不動産賃貸等売上(※)

686,907

 

94.9

536,791

 

93.5

不動産事業

不動産管理売上

37,225

 

5.1

37,443

 

6.5

 

724,133

42.9

100.0

574,235

38.0

100.0

 

教習指導売上

310,933

 

99.8

313,485

 

99.8

自動車教習事業

自販機売上等

544

 

0.2

542

 

0.2

 

311,477

18.4

100.0

314,028

20.7

100.0

 

飲食店舗の委託経営

81,223

 

99.9

73,428

 

99.9

商事事業

住宅資材卸売等

76

 

0.1

69

 

0.1

 

81,299

4.8

100.0

73,498

4.9

100.0

その他

版権料収入等

7,948

0.5

7,818

0.5

 

合計

1,688,818

100.0

 

1,512,716

100.0

 

 

 

※ 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社高島屋

221,592

13.1

221,592

14.6

株式会社野和ビル

155,028

9.2

155,028

10.2

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額を継続的かつ適正に評価するために、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な方法に基づき、また予測し有る偶発事象の影響値等も加味しながら、いくつかの重要な見積りおよび仮定を用いております。しかしながら、見積りや仮定に特有の不確実性があるため、実際の結果がこれらの見積りおよび仮定と異なる場合があります。

ここでは当社グループの重要な会計方針のうち、見積りおよび仮定による評価が重要と認識される項目について説明をいたします。なお、これらは連結財務諸表の作成にあたって用いた見積りおよび仮定のすべてを包括的に記載するものではなく、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載した事項を補足するものであります。

 

A.繰延税金資産

  将来減算一時差異の回収可能性を検討し、回収可能性が低いと判断されるものについては評価性引当額を計上して、適正と想定される計上額を見積っております。当連結会計年度におきましては、連結子会社の㈱寄居武蔵野自動車教習所、自由ヶ丘土地興業㈱において、当連結会計年度末における各社の将来の課税所得見込額に応じた繰延税金資産を計上した一方で、提出会社につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大が映画事業をはじめとした各事業セグメントに影響を与えることを鑑み、将来の課税所得の見積りに不確実性を与えることとなったため、その全額を取り崩しております。なお、繰延税金資産の回収可能性については、将来の課税所得の見積りに依存するため、当該見積りの前提となる仮定が、将来の経営環境の変化等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産および法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。現時点におきましては、2022年3月期以降は当該状況が緩やかに正常化していくとの仮定を置き、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。「第5 経理の状況 1.連結財務諸表 注記事項 (追加情報)(税効果関係)」も併せてご参照ください。

 

  B.貸倒引当金

  過年度(3ヶ年)の貸倒実績に基づき、一般債権の貸倒引当率を連結上、0.805%としております。また、一部の債権については個別評価によっており、相手先の財政状態等、回収可能性を充分に検討したうえで、引当額の見積りを行っております。なお、取引先の財政状態が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等、経営環境の変化により当該見積りの範囲を超えて著しく悪化した場合、追加引当の検討を要する場合があります。

 

 

C.土地

  (再評価に係る繰延税金負債及び土地再評価差額金)

  当社が保有する土地は、全般的に取得時より相当の年月が経過しているものが多く、時価との乖離が重要な金額であったことから、時価と照らし合わせて適正な価格で評価をし直すことが望ましいものと考え、2000年3月期に土地の再評価をいたしました。再評価の方法につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」をご参照ください。

  (減損損失)

  各資産のグルーピングに基づいた減損の兆候を確認し、兆候有りと判断したものについては、将来キャッシュ・フローの見積もり等の方法や遊休資産においては不動産鑑定評価額等により、減損損失の認識(判定)、減損損失の測定を行っております。

   固定資産の回収可能価額について、新型コロナウイルス感染症の拡大が映画事業等の将来キャッシュ・フローの見積りに影響を与える場合等、経営環境の変化により、当初見込んでいた見積りや仮定に変化が生じた場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性がありますが、現時点におきましては、2022年3月期以降は当該状況が緩やかに正常化していくとの仮定を置き、固定資産の減損会計における将来キャッシュ・フローや繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。しかしながら、それらの仮定には不確実性が伴うため、将来において固定資産の減損会計に係る見積りに変更が生じる可能性があります。「第5 経理の状況 1.連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」も併せてご参照ください。

 

 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

  A.連結貸借対照表関係

(流動資産の部)

 「現金及び預金」が6千2百万円減少しております。これは主に、主要テナントビルの設備更新工事に係る未払金の支払いを行ったためであります。一方で流動資産全体としては、5千6百万円減少(前期比6.8%減)しております。

  (固定資産の部)

  有形固定資産につきましては、全体で1億2千3百万円減少(前期比2.5%減)しております。主な減少の理由は、減価償却による減少であります。無形固定資産につきましては、大きな増減はありません。投資その他の資産につきましては、提出会社の将来課税所得の見積りが新型コロナウイルス感染症拡大の影響により不透明となったことから、「繰延税金資産」の減少を主な理由とし、3千8百万円減少(前期比5.9%減)しております。以上のことから固定資産全体としては、1億6千2百万円減少(前期比2.9%減)しております。

  (流動負債の部)

   主として、テナントビルの設備更新工事に係る未払金の減少等による「その他」の減少1億1千4百万円等があったことにより、流動負債全体としては、1億3千4百万円減少(前期比18.5%減)しております。

  (固定負債の部)

   約定返済による「長期借入金」の減少2千3百万円、「リース債務」の減少1千5百万円等により、固定負債全体としては、3千2百万円減少(前期比1.6%減)しております。

  (純資産の部)

   親会社株主に帰属する当期純損失5千1百万円の計上により利益剰余金が減少し、純資産全体としては、5千2百万円減少(前期比1.4%減)しております。

 

 

  B.連結損益計算書関係

 (売上高及び営業利益)

当連結会計年度におきましては、映画事業は、年度末の新型コロナウイルス感染症拡大による座席数の縮小等の影響により、前連結会計年度と比べ減益となり、また連結子会社において取り組んでいる映画の自社買付配給や「武蔵野館」100周年記念事業に係る費用の発生により、映画事業は全体としてセグメント損失の計上となりました。一方、不動産事業部門においては主要な商業テナントビルの営業成績は堅調に推移したものの、前連結会計年度に計上した不動産投資に係る一時的な収入がなかったこともあり、セグメント利益は前連結会計年度に比べ減少いたしました。自動車教習事業部門は少子化や若年層の運転免許離れ等の厳しい経営環境の中、営業費用の減少もあり、セグメント利益は前連結会計年度を上回りました。

 その結果、当連結会計年度の売上高は15億1千2百万円(前期比10.4%減)、営業利益は5百万円(前期比95.8%減)となりました。

 当社は、中期事業計画の練り直しに時間を要していることもあり、中長期的な経営方針・経営戦略等または経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等は設定しておりませんが、セグメント損失を計上した映画事業部門の現状や不動産事業部門、自動車教習事業部門の将来の経営環境をしっかりと捉え、また、新型コロナウイルス感染症の影響下における当社事業のあり方についても検討を重ね、会社の経営課題である復配に向けて、営業利益による利益剰余金の積み上げをはかるため、下記のセグメント別の状況に対応した営業施策の実施と検討、見直しを行いながら、安定的な内部留保の充実を目指してまいります。(「第4 提出会社の状況 3 配当政策」も併せてご参照ください。)

 

 

 セグメント別の状況については次のとおりであります。

 「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」における各項目や、「2.事業等のリスク ①経営環境の変化、特定の取引先等への依存等 ⑤新型コロナウイルス感染症拡大によるリスク」「第5 経理の状況 1.連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」等も併せてご参照ください。

 

・映画事業 

映画興行界全体といたしましては、2019年度は、シネコンで上映された大規模な作品を中心に邦画・洋画ともにヒット作に恵まれ、好況を呈しました。しかしながら、中規模以下の作品で大ヒットと呼べる作品は決して多くはなく、特に当社のようなミニシアターにおきましては、上映作品の公開規模や広告宣伝、また劇場のキャパシティにおいても限られた側面があり、依然として厳しい経営環境となりました。当連結会計年度におきましては、「武蔵野館」「シネマカリテ」ともに、一部に人気を博した話題作の上映もありましたが、全体的に、番組編成力や映画館自らの情報発信力の不足もあり、それらが営業成績に影響したものと認識・分析しております。さらには、年度末の新型コロナウイルス感染症の拡大により、3月には販売座席数を隔席にするなど予防対策を行ったうえでの上映となり、営業成績に影響を及ぼしました。また、連結子会社において取り組んでいる映画の自社買付配給におきましては、当連結会計年度においては、香港映画『淪落の人』を公開し好評を博したものの、広告宣伝費等の配給費用の計上もあり、営業損失を計上いたしました。その結果、部門全体の売上高は、5億4千3百万円(前期比3.7%減)、セグメント損失は6千2百万円(前期は6千万円のセグメント損失)となりました。

以上のことから、当連結会計年度は部門全体としてセグメント損失の計上となりましたが、映画興行事業におきましては、東京都新宿地区において「武蔵野館」「シネマカリテ」2館5スクリーンの連携を高め、集客力の高い作品の上映回数を増やすなど、より柔軟性・機動性に富んだ魅力的な番組編成を行い、小さなシネコンのような相乗効果を高めていくことで、安定的な来場者の確保・増加を目指し、今後につなげてまいります。また、過去の営業成績の検証も行い、お客様のニーズを把握するために業界の情報・動向を把握・分析し、部門の収益力強化に取り組んでまいります。新型コロナウイルス感染症予防対策につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による経営環境への影響は、2020年4月と5月の一定期間、映画館を休業し、営業再開後も座席数を隔席にするなど収益面での減少要因があり、2021年3月期の連結業績に影響を与えております。2022年3月期以降は、緩やかに回復する見込も想定はしているものの、その影響は一定期間に及ぶものと考え、今後は経営環境の変化の把握に努め、新たな映画館の経営のあり方を模索しながら、従業員の検温や消毒、換気等の対策を確実に行い、より安全な環境で映画をご覧いただけるよう充分に配慮いたします。なお、2020年6月には「武蔵野館」が開館100周年を迎え、記念上映・記念企画を検討してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下にある経営環境を考慮し、然るべき時期での開催に向けて、新たなプランを検討しております。映画の自社買付配給等につきましては、当社は映画興行と映画配給は車の両輪のようなものであるとの考えから、自ら映画を選び配給する力を育成することで、将来、当社の映画事業の主軸である映画興行事業にも必ずや好影響をもたらすものと考えており、映画の規模や品質、収益性等のバランスを熟考し、より多くのお客様に満足いただける作品を買い付け配給してまいります。

 

・不動産事業

不動産事業につきましては、主要な賃貸物件は首都圏の利便性の高い場所に所在し、またそのプロパティ・マネジメントにも細心の注意をはらうことにより、引き続き安定した顧客の確保を維持出来ているものと認識しております。当連結会計年度におきましても、主要な商業テナントビルは安定的に稼働し、収益の確保に貢献いたしました。また、当連結会計年度は、所有テナントビルの老朽化に係る設備更新工事による修繕費等の発生があり、今後も所有賃貸等不動産の老朽化による大規模修繕や減価償却費等の費用の増加が懸念されることから、今まで以上に関連業者や顧客との連携・連絡に気を配り、しっかりとしたプロパティ・マネジメントを行っていくことで、引き続き収益の確保をはかってまいります。なお、前連結会計年度は、東京都新宿区の「武蔵野ビル」において不動産投資に係る一時的な収入があったため、対前期比は売上高をはじめいずれの項目も減少しております。不動産販売につきましては、当連結会計年度も具体的な営業活動の成果はなく業界の動向を窺うに止まりましたが、今後も関連業者との連絡を密にし、取引の機会を検討してまいります。その結果、部門全体の売上高は5億7千4百万円(前期比20.7%減)、セグメント利益は3億4千8百万円(前期比27.1%減)となりました。

以上のことから、当連結会計年度における不動産事業は賃貸部門を中心に堅調な営業成績となりましたが、引き続き、現状の収益水準を維持していくために、また、新型コロナウイルス感染症の拡大による経営環境に与える影響は、2022年3月期以降緩やかに回復する見込も想定しているものの、一定期間に及ぶものと考え、入居テナントの経営状態に及ぼす影響にも常に注意を払い、所有賃貸等不動産の管理状況をしっかりと把握し、関連業者やテナントとの連携・連絡を緊密に行うことで、今後もプロパティ・マネジメントの強化をはかってまいります。なお、現時点において、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する当該セグメントの収益減少等の影響はありません。

 

・自動車教習事業

自動車教習事業は、少子化や若年層人口の運転免許離れといった厳しい経営環境のなか、売上高は概ね前連結会計年度並みとなったものの、一方で人件費等の営業費用の減少があり、セグメント利益は前連結会計年度に比べ増加いたしました。その結果、部門全体の売上高は3億1千4百万円(前期比0.8%増)、セグメント利益は5千5百万円(前期比53.5%増)となりました。

自動車教習事業では、若年層人口の減少等の厳しい経営環境や現状を踏まえ、さらには新型コロナウイルス感染症拡大の影響が2022年3月期以降緩やかに回復する見込も想定しているものの、一定期間に及ぶものと考え、経営環境の変化に対応すべく、今後も大型自動車・大型自動二輪や大型特殊自動車・けん引自動車、さらには高齢者講習など、普通自動車運転免許以外にも多様な運転免許を取得できる自動車教習所として地域での認知度をより高め、幅広い教習生の獲得に努めるとともに、効率のよい教習指導員の配置にも工夫を凝らし、また、よりきめ細かな送迎バスのルートの開拓により教習生の皆様が教習所に通い易い環境を整備すること等が業績の安定化につながるものと分析し、新型コロナウイルス感染症の予防対策もしっかりと行ったうえ、経営環境の変化に向けた対策を今後も講じてまいります。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、政府の緊急事態宣言や埼玉県の要請により2020年4月と5月の一定期間、自動車教習所を休業しており、また現時点においても、同感染症の収束時期を見通すことは困難であり、当該セグメントの収益減少等、2021年3月期の連結業績に影響を与えることが予想されます。

 

・商事事業

商事事業におきましては、当連結会計年度は目黒区自由が丘にて経営委託している飲食店の営業成績が収益の中心となっております。当該店舗「ピーターラビット ガーデンカフェ」は、イメージ・キャラクターの魅力を生かした店舗作りが好評をいただいており、当連結会計年度もイメージ・キャラクターをモチーフにしたメニュー・グッズの開発やイベントの開催等を行いましたが、現在の業態に変更してから相応の年数が経過したこともあり、また、年度末の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、売上高は前連結会計年度と比べ減少いたしました。その結果、部門全体の売上高は7千3百万円(前期比9.6%減)、セグメント利益は7百万円(前期比3.4%減)となりました。

今後も収益力の維持・改善に向けて、地域における経営環境の分析とともにイメージ・キャラクターの魅力がより伝わるような店作りと、さらには新型コロナウイルス感染症の影響が2022年3月期以降緩やかに回復する見込も想定しているものの、一定期間に及ぶものと考え、引き続き同感染症予防対策を的確に講じた店舗運営を前提に、店舗経営委託先との連絡をより密にし、地域のお客様のニーズを捉え、オリジナルメニューやグッズの開発など、店舗のブランド力のさらなる強化をはかってまいります。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、政府の緊急事態宣言や東京都の要請により2020年4月と5月の一定期間、当該店舗を休業しており、また現時点においても、同感染症の収束時期を見通すことは困難であり、当該セグメントの収益減少等、2021年3月期の連結業績に影響を与えることが予想されます。

 

・その他

主としてマクミラン・アリスの版権料収入や自販機手数料を「その他」の事業としており、全体として売上高は7百万円(前期比1.6%減)、セグメント利益は2百万円(前期比7.4%増)となりました。マクミラン・アリスの版権事業につきましては、版権提供先の状況に気を配り収益の確保につながるような管理をしっかりと行ってまいります。また、自販機手数料につきましては、季節や天候の変動、またドリンクのラインナップや自販機のバージョンアップ等にも気を配ってまいります。

 

 

 (経常利益)

   営業外収益として、受取利息及び配当金1百万円、持分法による投資利益2千8百万円、還付消費税等7百万円等があった一方、営業外費用として支払利息1百万円、「その他」の営業外費用2百万円があり、経常利益は3千9百万円(前期比75.5%減)となりました。

 

 (親会社株主に帰属する当期純利益)

特別損失として、関係会社株式評価損3千5百万円の計上がありました。これは、当社連結子会社がフィリピンにおいて設立した合弁会社「ROCES MUSASHINO HOLDINGS, INC.」に対して行っている出資額を減損処理したものであります。当該株式評価損につきましては、併せて「2 事業等のリスク ③既存の出資先等に関するリスク」をご参照ください。また、投資有価証券評価損4百万円につきましては、かつて山梨県甲府市に映画館を経営した関係で出資していた甲府市の「甲府中央まちづくり株式会社」の清算結了に伴い、出資額を全額減損処理したものであります。

法人税等につきましては、法人税、住民税及び事業税2千5百万円に対し、主として提出会社の将来課税所得の見積りを行った結果、新型コロナウイルス感染症拡大により将来のタックス・プランニングが不透明になったことから、繰延税金資産の全額を取り崩し、法人税等調整額に計上いたしました。この結果、法人税等合計は5千1百万円となりました。よって、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は5千1百万円(前期は1億2千2百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。「第5 経理の状況 1.連結財務諸表 注記事項(税効果関係)」も併せてご参照ください。

 

  C.連結キャッシュ・フロー計算書関係

   「営業活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、減価償却費や関係会社株式評価損があった一方、持分法による投資利益の計上等があり、9千5百万円の資金の増加(前期比55.5%減)となりました。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、「シネマカリテ」におけるロビーの改修工事や自動車教習事業部門における教習車両の取得等による支出があり、また、大宮ビルにおける建物附属設備の取得に係る未払金の支払等があったことなどから、1億2千2百万円の資金の減少(前期は3千8百万円の資金の減少)となり、「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、金融機関よりの長期借入金の約定返済やリース債務の返済が進んだことにより3千5百万円の資金の減少(前期は8千8百万円の資金の減少)となりました。
 その結果、「現金及び現金同等物の期末残高」は6億7千7百万円(前期比8.5%減)となりました。

 

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

   映画事業は、話題性・集客力のある作品を数多く世に送り出して行くことが経営成績の安定には不可欠であり、そのためには、映画興行・映画配給の双方向から、映画の魅力をいかにPRしていくかが、経営成績に重要な影響を与えるひとつの要因と考えております。当社は映画興行のみならず映画配給も手がけることによって、映画の魅力をより重層的に発信していくことができるものと考えており、その効果として、一人でも多くのお客様が映画館に足を運んで映画の魅力に触れていただき、経営成績に良い影響を及ぼし、より良い結果に結びつけていけるよう、今後も努力してまいります。

   不動産事業につきましては、経常的に安定した収益が見込める不動産賃貸業を柱としており、当社グループ全体の事業基盤を下支えするうえで重要な役割を担っております。引き続き安定した経営基盤を維持していくためには、所有賃貸等不動産の状況を常に把握し、設備の更新や入居テナントの経営環境等にも気を配りながら、所有不動産の資産価値の維持向上に務めていくことが不可欠であると考えております。

   自動車教習事業におきましては、若年層の人口減少や自動車運転免許への関心の低下、さらには地域内における自動車教習所の競合といった要因による収益への影響が引き続き今後も予想されるため、大型特殊自動車等の普通自動車以外の車種や高齢者教習など、近隣の自動車教習所との差別化をはかるべく、多様な教習メニューの提供と送迎バスルートの拡充、教習指導員の教育や効率のよい配置、また地域との信頼関係を深める努力を怠らず、収益の維持に努めてまいります。

   商事事業といたしましては、経営委託先の飲食店にて採用するキャラクターのイメージが重要な経営成績につながるファクターであると認識しており、経営委託先と連携し、キャラクターの魅力がより伝わるような新しい飲食メニューやグッズ等の開発により、店舗のブランド力を高め、収益の向上に繋げてまいります。

   加えて、翌連結会計年度以降の我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、引き続き先行き不透明な経済環境が続くものと思われます。新型コロナウイルス感染症の収束時期を見極めるのは困難であり、その影響は一定期間に及ぶものと考えております。2020年4月以降、当社グループにおきましても、映画事業や自動車教習事業において、映画館や自動車教習所の営業休止を実施しており、翌連結会計年度以降の連結業績に影響を及ぼすことが予想されます。このような経営環境の変化の中で、当社グループは、経営基盤である不動産事業、殊に不動産賃貸事業のプロパティ・マネジメントに細心の注意をはらうことで収益を確保し、新型コロナウイルス感染症の影響を受けやすい映画事業、自動車教習事業において、同感染症の予防対策を確実に実施したうえで、経費の節減を行いながら、さらなる事業コンテンツの充実をはかり、各事業セグメントの継続と成長に取り組んでまいります。

   各事業セグメントにおける新型コロナウイルス感染症拡大による影響等につきましては、「② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 B.連結損益計算書関係(売上高及び営業利益)」におけるセグメント別の状況をご参照ください。

   各事業セグメントのリスクに関する要因につきましては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク ①経営環境の変化、特定の取引先等への依存等」をご参照ください。

 

 

④ 経営戦略の現状と見通し

当社は映画事業を通じて「社会に健全な娯楽を提供すること」を主要な事業目的としております。しかしながら、映画事業は上映作品の持つ集客力、流行等、さらには新型コロナウイルス感染症の拡大といった経営環境の変化に大きな影響を受ける事業であり、主力事業としての数字でははかれない会社への貢献はあるものの、収益面においては、現時点において、常時安定的に会社の業績向上に寄与できているとは言い難く、セグメント損失を計上している現状から考えても、不確実な側面があることは否めません。映画事業においては、今後も引き続き、番組編成やサービスの質の向上・設備の充実等、映画館に足を運んでいただく営業努力を継続していくことでセグメント収益の改善に向けて取り組んでいくことはもちろんですが、不動産事業、自動車教習事業においてもその事業資産を有効に活用することで、グループ全体として確実に収益を生み出せる経営体質の強化に努め、さらなる経営基盤の安定化に向けて努力していくことが重要と考えております。

映画事業においては、従来の映画興行事業に加え、映画配給事業等、新たに取り組み始めた事業の拡充も視野に入れ、さらには、延期となっている「武蔵野館」100周年記念事業による企画上映等のイベントも然るべき時期に実施することも視野に入れ、ミニシアターの存在価値をPRし、また将来のミニシアターを取り巻く経営環境にも配慮しながら、包括的に映画事業を手がける会社を目指してまいります。

「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」における各項目も併せてご参照ください。

 

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

  A. 流動性の管理方針

映画興行や不動産賃貸が事業の主軸である当社は、現金または銀行振込による売上入金の比率が高いため、売上債権の回収については概ね効率が良いものと考えております。したがって毎日の入金管理に重点を置くことはもちろん、売掛債権等が発生する場合においては、その相手先の状態に気を配り、また信用調査を行うなど、営業部門と経理部門双方からのリスク管理を徹底しております。

 

  B. 短期的な債務の状況

当社グループの総資産のうち、流動負債の構成比は9.4%となりました。前年度の11.2%に比べ減少しておりますが、テナントビルの設備更新工事に係る未払金を一部支払ったことにより、流動負債の「その他」が減少したことがその要因であります。また、流動比率は131.1%(前年度は114.6%)となっております。今後も財務基盤の安定性を保つために、短期的な債務の管理には細心の注意をはらってまいります。

 

C. ファイナンス及び資本の財源

資本市場における資金の調達は1989年以降行っておりません。現在は主に金融機関からの借入金により資金調達を行っております。また当社は安定的な営業利益の積み上げによる復配の実現を経営課題としており、キャッシュ・フロー経営を徹底させることにより自己資本の増強に努めることが第一と考えております。

当社の資金需要は、主として運転資金需要と設備資金需要となっており、運転資金需要は映画館や自動車教習所の運営費、またテナントビルの維持管理費等、設備資金需要は映画館、自動車教習所、テナントビルにおける設備や固定資産の更新等に係る設備投資需要であります。運転資金および設備資金につきましては、自己資金および金融機関よりの借入によっております。資金の振り分けにつきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による経営環境の変化に対応するため、当面は手許資金の充実を重視し、必要な設備投資も出来る範囲で継続して行い、継続的な営業利益の確保による自己資本の積み上げをもって、株主還元を実現することを経営課題としております。

当連結会計年度において、当社は、テナントビルの設備更新工事に係る未払金の支払を含む有形固定資産の取得による支出は1億2千1百万円となりましたが、当該支出に係る資金につきましては手許資金で賄っております。一方で、年度末に、新型コロナウイルス対策資金として、必要に応じて各事業セグメントの運転資金に充てるため、5千万円を金融機関より調達しております。

 

 

 ⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

主力事業である映画事業をはじめ、基幹事業による営業利益を長期継続的に確保し、復配を実現することが当社グループの課題であると認識しております。当連結会計年度におきましては、「武蔵野館」100周年記念企画による支出や年度末の新型コロナウイルス感染症拡大による影響もあり、映画事業でセグメント損失を計上したことに加え、関係会社株式評価損等の特別損失や繰延税金資産の取崩による法人税等調整額を計上したことなどから、連結損益計算書における親会社株主に帰属する当期純損失は5千1百万円となり、利益剰余金は2億5千2百万円となりました。セグメント損失を計上した映画事業は当社の主力事業であり、会社を代表する事業セグメントとして数字には表れない貢献はあるものの、一方でセグメント損失の計上は当社の財務面に重要な影響を及ぼしており、早急に改善すべき経営課題であると考えております。そのため当社では映画事業を今後も継続していくために、新型コロナウイルス感染症拡大により将来の見通しが困難な経営環境下にあるものの、しっかりと予防対策を行ったうえ、その収益力の向上に向けての映画配給事業への取り組みや、また、映画の素晴らしさ、映画館で映画を観る楽しさをより多くの方々に再認識していただき、当社映画館のファンの裾野を拡げることを企画の趣旨とした「武蔵野館」100周年記念事業の開催など、映画事業に関する新たな経営戦略を打ち出しておりますが、その収益力の改善にはいましばらくの時間と投資が必要であり、復配の原資となる営業利益の積み上げによる安定的な内部留保の確保には、現段階においては至っていないものと考えております。そのため今後も、すべての事業において安定的に営業利益を積み重ねていけるよう、経営基盤のさらなる強化を目指し、特に映画事業におきましては、映画配給関連事業の育成に注力し、映画興行のみならず映画配給も手掛ける会社として、また映画関連グッズの販売等にも力を入れ、事業コンテンツの充実をはかるなど、復配に向けた、より前向きな経営施策を講じてまいります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社は株式会社リサ・パートナーズ(以下「リサ・パートナーズ」)との間で、2005年5月27日に開催した取締役会での決議を経て、資本提携について基本合意書を締結しております。具体的な内容については、次の通りです。

 

1.資本提携の目的

リサ・パートナーズとの関係強化及び相互の発展を主要な目的とするものであります。

 

  2.資本提携先の概要  (2020年3月31日現在)

名称

株式会社リサ・パートナーズ

本店所在地

東京都港区港南二丁目15番3号

代表者

成影 善生

設立年月日

1998年7月2日

資本金

100百万円

事業の内容

金融・不動産関連業

 

 

3.資本提携の概要

当社の連結子会社が所有していた当社株式を、2005年5月27日付でリサ・パートナーズに譲渡いたしました。

2020年3月31日現在、リサ・パートナーズは当社株式を100,562株保有しております。詳しくは、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (6) 大株主の状況」をご参照ください。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。