第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当事業年度におけるわが国経済は、輸出など一部に弱さがみられるものの、期を通じて雇用情勢、所得環境の改善が進み、個人消費が底堅い動きをみせるなど、概ね緩やかな景気回復基調のうちに推移しました。

 この間、当社におきましては、事業全般に亘って顧客満足度のより高いサービスの提供に努めるとともに、部門別業績管理のさらなる徹底を図り、集客と収入の確保に努めましたところ、売上高は3,357,802千円(前期比2.7%増)となりました。

 一方、費用の面におきましては、収入に対応して営業原価が増加しましたが、諸経費全般に亘って鋭意節減に努めました結果、営業利益は174,581千円(前期比15.6%増)となり、経常利益は178,028千円(前期比8.3%増)、当期純利益は89,715千円(前期比13.8%増)となりました。

 

① シネマ・アミューズメント事業

(A) 概要

シネマ・アミューズメント部門におきましては、映画では“ジュラシック・ワールド”“ミニオンズ”“スター・ウォーズ/フォースの覚醒”“シンデレラ”“バケモノの子”“名探偵コナン”“インサイド・ヘッド”“妖怪ウォッチ”“HERO”“ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション”などの話題作品を上映して観客誘致に努めました。また、「あべのハルカス」の集客効果で増加する阿倍野地区への来訪者を「あべのアポロシネマ」へ誘致するため、ハルカスをはじめ近鉄グループや「あべのキューズモール」などの周辺施設と連携し、積極的な販売促進活動を展開しました。さらに、映画会員制度「アポロシネマメンバーズ」の会員獲得に努め、会員数は25万人近くに達したほか、リピーター顧客の確保にも力を注ぎました。このほか、昨年4月には、計画的に推進中の座席リニューアル工事を「スクリーン5」及び「スクリーン6」において完成したほか、8月以降、館内案内サインリニューアル、「スクリーン1」及び「スクリーン2」における音響機器入替え、上映時間案内表示機変更、館内トイレ改修などの諸工事を相次いで完成し、劇場の機能と快適性、利便性の向上を図りました。この結果、劇場事業では、全国興行収入歴代3位の大ヒット作品“アナと雪の女王”を上映した前期を、入場人員、興行収入とも上回る成績となりました。また、娯楽場事業におきましても、劇場事業と一体となった集客を継続して推進いたしました結果、この部門全体の収入合計は、1,593,988千円(前期比2.7%増)となり、営業原価控除後のセグメント利益は29,203千円(前期比26.8%増)となりました。

 

(B) 営業成績

 

区分

単位

当事業年度

(平成27年2月1日から

平成28年1月31日まで)

前年同期比(%)

劇場入場人員

千人

949

2.2

劇場稼働率

28.6

劇場収入

千円

1,256,037

6.0

娯楽場収入

千円

337,950

△7.9

合計

千円

1,593,988

2.7

 

 

(注) 稼働率=

入場人員

一日の収容能力(定員×興行回数)×興行日数

 

 

 

② 不動産事業

(A) 概要

不動産事業部門におきましては、地下鉄御堂筋線天王寺駅などとアポロビル・ルシアスビルを結ぶ地下連絡通路の照度向上及び美装工事を実施しイメージ向上を図りました。アポロビルにおいては、順次実施しているエスカレーター更新工事を地下1階から3階までの4基について完了し、地下2階、地下1階及びその間の吹抜け部において美装工事を実施したほか、袖看板のLED化により視認性を高め、非常用発電機を更新してビルの安全性を向上させました。また、ルシアスビルにおいても、外気が遮断されていなかった地下1階の開口部に自動扉等を設置し、強風の影響緩和と夏冬の空調効率向上を図ったほか、防犯カメラ設備更新・増設工事を行い、より快適で安全なビルづくりを推進しました。また、劇場事業と連携した誘客活動を進めるとともに、賃貸収入の確保に向けて、空室部分への後継テナント誘致に注力し、期を通じて高いビル入居率を維持しました結果、駐車場収入等ビル付帯事業並びにその他の事業を含めたこの部門全体の収入合計は1,763,814千円(前期比2.7%増)となり、営業原価控除後のセグメント利益は416,303千円(前期比2.5%増)となりました。

 

(B) 営業成績

 

区分

単位

当事業年度

(平成27年2月1日から

平成28年1月31日まで)

前年同期比(%)

不動産賃貸収入

千円

1,509,783

3.2

不動産付帯収入

千円

227,849

△0.5

その他事業収入

千円

26,180

4.4

合計

千円

1,763,814

2.7

不動産賃貸
稼働率

アポロビル

98.9

あべのルシアス

93.1

合計

95.0

 

 

(注) 不動産賃貸稼働率=

賃貸面積

賃貸可能面積

 

 

(2) キャッシュ・フロー

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による収入が投資活動及び財務活動による支出を上回ったため、前事業年度末に比較して37,419千円(42.4%)増加し、当事業年度末は125,590千円となりました。

また、当期中における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動で得られた資金は、税引前当期純利益の計上及び減価償却費により533,611千円となりました。前事業年度と比較しますと、運転資金の増加等により、90,407千円(20.4%)収入額が増加しております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動で使用した資金は、固定資産の取得等により242,880千円となりました。前事業年度と比較しますと、有形固定資産の取得額の増加等により66,864千円(38.0%)支出額が増加しております。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動で使用した資金は、長期借入金の減少等により253,310千円となりました。前事業年度と比較しますと、借入金の減少額が微減となったため3,858千円(1.5%)支出額が減少しております。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社は、受注生産形態をとる事業を行っていないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額及び数量で示す記載をしておりません。

このため、販売の状況については、「1 業績等の概要」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

3 【対処すべき課題】

 今後につきましては、昨年10月に天王寺公園エントランスエリア「てんしば」がリニューアルオープンし、阿倍野地区への来客もさらに増加することが見込まれます。シネマ・アミューズメント事業部門では、阿倍野地区唯一の映画館である「あべのアポロシネマ」への一層の誘客を目指し、「あべのハルカス」「あべのキューズモール」など周辺施設との共同販売促進策を推進いたします。映画会員制度「アポロシネマメンバーズ」については、新規会員のさらなる獲得に加え、様々な機会と手法による会員向けのきめ細かな作品情報を提供して誘客に努め、興行収入の一層の増加を図ります。さらに、計画に従って座席リニューアル、音響機器入替えの両工事を順次実施するなど、顧客サービスの充実に力を注いでまいります。

 また、不動産事業部門におきましては、テナント入居率の維持向上による賃貸収入の確保に努めるのはもとより、アポロビルにおいてエスカレーター更新工事や美装工事を計画的に進めるとともに、中央監視盤、空調機等の機器更新を実施し、ルシアスビルにおいても防犯カメラ設備更新・増設工事を継続するなど、引き続き両ビルの機能向上を図り、快適で安全な環境づくりに努めてまいります。加えて、劇場事業と一体となった周辺施設との連携を推進し、アポロ、ルシアス両ビルへのなお一層の集客に注力するなど、安定した経営基盤の確立に格段の努力を傾けてまいる所存であります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 映画興行の成績

映画興行の成績は、作品による差異が大きく、各作品の興行成績を予想することは常に困難を伴います。仮に一定の成績に達しない作品が長期にわたり連続した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、作品だけでなく、同業他社の出店等次第で、観客獲得競争が一層激化する恐れがあります。

(2) 賃貸ビルの稼働状況等

賃貸ビル市場は、経済変動等により、既存賃貸ビルの賃料低下や空室率の上昇といった問題が生じ、賃料収入が減少する可能性があります。

(3) 顧客の安全に係わる事態の発生

当社は、多数の顧客を収容できる施設において営業を行っておりますが、それらの施設において、災害、衛生上の問題など顧客の安全に係わる予期せぬ事態が発生しないという絶対的な保証は存在しません。万一、そのような事態が発生した場合には、その規模等によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 固定資産の減損会計適用の影響

今後、当社保有資産において、賃料等の収益や地価の大幅な下落、使用目的の変更等により減損損失が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 個人情報の管理

当社では、会員情報、顧客情報、株主情報等多くの個人情報を保有しており、これらの情報の取扱いについては、取得、利用、保管等について社内ルールを設け、適正な管理を行い、個人情報漏洩防止に努めております。しかしながら、システム上のトラブルによる情報流出や犯罪行為による情報漏洩が起こる可能性が皆無とは断言できず、万一、この種の事故が発生した場合には、被害者に対する損害賠償や企業イメージ悪化に伴う売上高の減少等が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 建築法規の変更

建築基準法、消防法、その他の法規の改正により、追加的な改修工事や設備投資を余儀なくされる可能性があります。

(7) 東南海・南海地震等の発生

当社の所在する地域において、東南海・南海地震、上町断層地震のリスクが予測されております。当社の事業拠点は大阪市阿倍野区1ヵ所に集中していることから、大規模な地震等の災害が発生した場合、その規模と被災状況によっては、当社の業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、大阪市が「あべのルシアス」内に所有する保留床(28,600㎡)を一括賃借し、賃貸・運営管理業務を行うため、大阪市との間で「保留床一括賃貸借契約」(賃貸借期間:平成10年12月2日から満20ヵ年 以降3年ごとの自動更新)を締結しております。

 

6 【研究開発活動】

特記事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度の財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

(2) 当事業年度の経営成績の分析

売上高は、シネマ・アミューズメント事業において、“ジュラシック・ワールド”、“ミニオンズ”、“スターウォーズ/フォースの覚醒”といったヒット作に恵まれたこと及び、あべのハルカス開業以降の阿倍野地区の集客力の増加が、予てより取組んでまいりました映画会員制度「アポロシネマメンバーズ」の充実等による増収策により効果的に結びつきましたため、シネマ・アミューズメント事業部門の業績は大ヒット作“アナと雪の女王”を上映した前事業年度を上回り、また、不動産事業部門におきましても、賃料収入確保に向けて、空室部分への後継テナント誘致に注力し、期を通じて高いビル入居率を維持したことにより、全社の売上高合計は前事業年度に比較して2.7%増の3,357,802千円となりました。

費用面では、劇場収入の増加に伴う支払フイルム料の増加、アポロビル美装工事等に伴う修繕費や除却費の増加はあったものの、部門別業績管理の徹底を図り、諸経費全般に亘って鋭意削減に努めました結果、営業利益は、174,581千円(前期比15.6%増)、経常利益は178,028千円(前期比8.3%増)となり、当期純利益は89,715千円(前期比13.8%増)となりました。

なお、セグメント別の分析は、「1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

映画興行界では、デジタル技術の特性を活かした3D作品等の新しい技術を取り入れた多様な作品が上映されるなどの事業環境の変化により、劇場間・地域間の顧客獲得競争は激化の一途をたどっております。

また、不動産賃貸においても、今後、大阪市内に大型テナントビルの新築が相次いだ場合に、オフィスの過剰供給による賃料水準の低迷や空室率の上昇が予想されます。

(4) 戦略的現状と見通し

当社としては、こうした現状を踏まえ、今後ともお客様の視点に立った品質の高いサービスの提供、安全・快適な環境の整備を推進するとともに、シネマ・アミューズメント事業と不動産賃貸事業の有機的な連携による販売促進活動を展開、集客力の強化と収益の向上に努めてまいります。

なお、中長期的な経営戦略について、「3 対処すべき課題」に記載しております。

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

資産は、短期貸付金の増加等により、前事業年度末に比較して53,877千円増加し、5,035,312千円となりました。負債は、借入金の減少等により、前事業年度末に比較して6,936千円減少し、3,276,442千円となり、純資産は当期純利益の計上額が支払配当額を上回ったため、前事業年度末に比較して60,813千円増加し、1,758,870千円となりました。

また、営業活動によるキャッシュ・フローによる財務体質の改善を進めており、当期の営業活動により得られた533,611千円の一部により、借入金の残高を前事業年度末に比較して224,420千円減らしております。

なお、キャッシュ・フローの状況は、「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。