第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「人々の清潔で、快適な生活空間づくりのために、たゆまぬ技術革新と感動を与えるサービスを提供し、社会に貢献する」ことを経営理念としており、個人向けの衣料クリーニングのみならず、家庭向けのハウスクリーニングや、法人向けのリネンサプライ・ユニフォームレンタル等、人々の清潔で快適な生活空間づくりに関連するサービス・事業を総合的に展開しております。1906年の創業から百十余年間、業界のリーディングカンパニーとして、たえず新しいサービスや技術に挑戦し、最先端を走り続けてまいりました。

 2021年度からは、「Together 2023」をテーマとする中期経営計画(3ヵ年)を開始しており、新型コロナウイルス感染拡大の影響で毀損した自己資本を回復し、成長軌道への回帰を果たすべく、不採算店舗の閉鎖や工場の再編等による固定費の削減や、ペーパーレス化の推進による業務効率の改善等、構造改革の更なる加速化に取り組んでおります。さらに、デジタルマーケティングの推進によるクリーニング需要の創造や、事業横断的な地域戦略の推進によるユニフォームレンタルの業容拡大等、経営計画に基づいた事業戦略を進めております。これらに加え、コンプライアンスの更なる徹底とコーポレートガバナンスの強化を通じて中長期的な企業価値の向上を図り、ステークホルダーの皆さまの期待と信頼に応えてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、中期経営計画(2021年度より3ヵ年)において、自己資本比率の20%以上への回復を目標としております。 

 

(3)会社の経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

①経営環境と中期経営計画

 当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限の緩和に伴い市況が回復傾向にある一方、水道光熱費や資材費の高騰、物価高、需要回復に伴う人手不足、国際情勢の悪化等の懸念材料も見られる状況です。

 2021年12月において、当社グループは構造改革の規模の拡大及び一層の加速化を図るべく、中期経営計画「Together 2023」の見直しを行いました。修正後の計画では、コロナ禍によって人々のライフスタイルが変化し、需要が十分に回復しないことが想定される個人向けクリーニング事業を中心に、経営基盤の再構築に向けた取り組みを加速しております。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)を一層推進し、DX人材の計画的育成、デジタルを活用した売上機会の創出、付加価値創造による売上向上、電子化進展に伴う現場事務の本社集約による管理経費の削減等を進めております。

 中期経営計画の最終年度である2023年度においては、これらの構造改革にスパートをかけて計画を完遂し、「成長軌道への回帰」を実現してまいります。

 

②各事業セグメントの市場環境と戦略    

   ユニフォームレンタル事業においては、HACCP(食品衛生管理の世界標準)の義務化等を背景に市況の活性化が見込まれることから、収益事業・成長事業と位置付けた上で、クリーニング事業からの人事異動等を通じて営業体制を強化し、新規取引先の獲得による業容拡大を目指してまいります。

 

   リネンサプライ事業については、新型コロナウイルス感染拡大によって一時的に市況が大きく悪化したものの、ウィズコロナにおいてホテル稼働率やインバウンドの回復傾向が見られ、また国の観光立国化政策を背景としてホテルの新規開設が多く予定されていることから、今後急速な需要拡大が見込まれます。安定供給と収益性の向上を果たすため、グループ各社間での生産拠点・物流拠点の再構築、取引先ごとの収支に基づく適正な価格改定、採算を十分考慮した新規取引ホテルの受注等を進めてまいります。

 

   個人向けのクリーニング事業においては、新型コロナウイルスの感染拡大以降、外出の自粛や在宅勤務の浸透に伴って需要の低下が加速しており、人々のライフスタイルが変化していることから、感染拡大の鎮静化後も需要の回復は限定的になることを前提として、事業戦略を策定しております。

   具体的な取り組み事項として、不採算店舗の閉鎖計画の完遂による固定費圧縮と、「CLP(集配スタッフ)」「らくらく宅配便(宅配便を用いたネット宅配クリーニング)」への売上構成シフトを加速することにより、収益性の改善を図ってまいります。また、スマートフォンアプリの機能拡充による顧客接点強化・デジタルマーケティングの推進や、非衣類・非クリーニングのサービス拡充等、市場環境の変化を踏まえた営業戦略をスピーディに遂行してまいります。

 

 ③事業ポートフォリオの基本方針

当社グループは、企業理念に基づきビジネスモデルを明確化し、経営戦略を策定したうえで、事業ポートフォリオを定期的に見直す仕組みを構築し、資本効率の高い事業ポートフォリオへの転換を実現することで、中長期的に企業価値の向上を図ってまいります。

事業ポートフォリオマネジメントを実施するための体制整備として、事業部門から独立した経営企画部を責任部署に定め、取締役会にて年1回以上、事業ポートフォリオに関する審議を行うこととしております。

事業ポートフォリオの見直しにあたっては、当社グループが保有する各事業について、資本収益性と成長性を軸とし、ROIC(投下資本利益率)等の指標を活用した定量的な事業評価とそれに基づく判断を行うことにより、経営資源配分の適正化に加え、事業ポートフォリオの転換、事業の切り出しを含めた事業再編を行ってまいります。

 

 (4)サステナビリティへの取組み

当社グループは、基本精神である「奉仕の徹底」「一人代表」「開拓者精神」のもと、経営理念である「人々の清潔で、快適な生活空間づくりのために、たゆまぬ技術革新と感動を与えるサービスを提供し、社会に貢献します」を実践しています。

経営にあたってはESGを重視し、サステナビリティを巡る課題への対応は重要な経営課題であるという認識のもと、事業と環境や社会とのかかわりに注視し、それらへの影響、それらからの影響を経営戦略に組み込み、規律づけられた企業統治のもとで持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。

 

①マテリアリティの設定

 自社グループおよびステークホルダーにとって重要度の高い課題の中から、特に優先すべき8つのマテリアリティと23の解決に向けた手段を設定し、取組を進めています。

 

マテリアリティ

解決に向けた手段

社会

1.事業収益力の改善

グループ総合力の発揮

事業ポートフォリオの再構築

イノベーションの創出

2.たゆまぬ品質向上

品質管理・品質監査の充実

洗濯科学研究所の機能強化

 

3.働く仲間の成長と活躍

専門能力の向上

若手・中堅社員の育成

ESの向上

4.ダイバーシティ

女性活躍の推進

多様な人材の雇用と育成

 

5.職場の安全と健康

職場の安全対策

健康維持・増進への取組

 

環境

6.気候変動対策と環境負荷低減

CO2排出削減

環境配慮型溶剤への転換

水使用量の削減と排水管理

7.廃棄物削減と使用資源の循環

プラゴミ削減・回収

資材のリユース・リサイクル

 

統治

8.強固な経営基盤の確立

取締役会の実効性向上

リスクマネジメント

コンプライアンス

企業理念の浸透

人権の尊重

地域社会との共生

 

 

 ②サステナビリティ推進体制

白洋舍本社にサステナビリティ委員会、支店・事業所・グループ会社にSDGs委員会を設置し、委員長である代表取締役社長執行役員のもと、全社での取組を推進しています。また、活動状況については定期的に取締役会に報告を行い、取締役会における意見等を活動に反映しています。

 

 ③サステナビリティに関する主な取り組み内容

  イ.人権の尊重に向けた取組

経営理念の実践にあたり、全ての事業活動の基盤となるのが人権の尊重です。2022年度においては、その責任を果たすというコミットメント(約束)を社内外のステークホルダーに向けて明確に表明するため、「白洋舍グループ人権方針」を策定いたしました。また、事業活動を通じて人権を尊重する当社グループの姿勢を取引先、製品・サービスに直接関与する関係者に対して示し、サプライチェーンにおける人権配慮への期待を明確化するため、「サステナブル調達方針」および「サステナブル調達ガイドライン」を策定いたしました。こうした人権尊重への取組の意義について、全従業員を対象とした人権研修などを通じ、社内理解・浸透を図っています。

 

  ロ.気候変動対策と環境負荷低減・循環型社会に向けた取組

   a.気候変動対策と環境負荷低減に向けた取組

フッ素系溶剤であるHFC365mfc(商品名:ソルカン)は衣類に対する影響が小さく、ソフトに洗浄できる一方、地球温暖化の原因となると言われています。代替溶剤の開発を進め、将来的には全て移行することにより100%削減します。

また、排水中に含まれるテトラクロロエチレン濃度の自社基準を法定基準の1/2に設定しております。研究員による定期的な測定・分析により、法定基準・自社基準を大きく下回る0.0013㎎/ℓ(2022年度平均)を維持しております。

 

   b.循環型社会に向けた取組

2022年4月1日より施行された『プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律』では、クリーニングの衣類用ハンガーおよび衣類用カバーが対象製品となりました。当社グループでは、従前より実施しているハンガーのリユース・リサイクル・回収の呼びかけ、使用量の把握・ 記録等を一層強化するとともに、衣類用カバーについて、薄肉化(より薄くする)とバイオマス配合素材(10%)への変更を進めています。

 

〔ハンガーのリユース・リサイクルの取り組み〕


 

  ハ.人財開発に関する取組と女性活躍の推進

 当社グループは、蓄積された技術・心のこもった接客を通して、お客さまにご満足いただけるトータル品質を提供することを目指し、従業員の人財開発に関してさまざまな取組みを行っています。工場技術者について、仕上げ・洗浄・しみ抜き等の業務ごとに独自の技術者資格制度を設けているほか、店舗スタッフ・集配スタッフについても資格制度があり、厳格に運用することによって、お客さまが安心してお品物をお預けできるクリーニング知識と接客技術の向上に努めています。

また、社内研修・教育制度として「人財育成プログラム」を運用し、社員の成長支援、多様な人材の育成に努めています。特に女性活躍推進に向けたプログラムとしてNext Stage塾を設け、リーダーになるための心構えや役割、スキルを習得させるとともに、参加者同士のネットワーク構築やモチベーション向上を促進しています。2022年には、女性取締役とのオンライン懇談会を開催し、ロールモデルとの対話を通じて、参加者自身が目指すリーダー像の認識を深化させました。

こうした取組みにより、2022年度末の女性管理職比率は、前年の5.2%から5.9%に上昇いたしました。今後も順次登用を進めると共に、更なる女性管理職候補者の確保・拡大に努めてまいります。

 

〔人財育成プログラム〕


 

 

2 【事業等のリスク】

(1)「リスク管理」の枠組み

・基本的な考え方

当社グループでは、「内部統制システムに関する基本方針」「リスク管理規程」を定め、同方針等に基づき、「リスクを知る」「リスクを避ける工夫をする」「非常事態が発生した場合は被害を最小化する」の3点を実践することにより、リスクマネジメントに取り組んでおります。

・リスク管理体制

 当社グループでは、リスク管理における全社的な意思決定を適切に行うため、「リスクマネジメント委員会」を設置しております。また、「白洋舍グループリスク管理表」を作成し、リスク項目ごとの「発生頻度」と「影響度」に基づくリスク評価を行うことにより、重点管理すべきリスク項目とその対応策を洗い出し、リスク回避、被害最小化に向けた取り組みを推進しています。

 

<リスク管理体制図>


 

「リスクマネジメント委員会」

リスク管理の方針の決定、リスク管理規程の整備・運用状況の検証、その他リスク管理全般に関する事項についての審議

 

「グループ内部統制委員会」

当社と子会社とのグループ内でのリスク情報の共有とコンプライアンス遵守を目的に開催

 

(2)主要なリスク(リスク評価に基づき、重点管理すべきリスク項目)

 当社グループの経営成績および財務状況等に重要な影響を与える可能性のある主要なリスクには以下のようなものがあります。

 

①新型コロナウイルス等の感染症に関するリスク

 当社グループの事業のうち、レンタル事業においては、大手のホテル・レストラン・コンビニエンスストア等を中心とする大口法人得意の売上占有率が高く、新型コロナウイルス等の感染拡大により、ホテル稼働率の低下や得意先の業績不振、取引内容の変更、契約終了等の事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、個人向けクリーニング事業においても、需要の減少が進んだ場合等には、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

    [対応策]

当社グループにおいては、これまで、支店の統廃合、工場の閉鎖集約、店舗閉鎖、グループ会社の吸収合併、資産売却などを行い、収益構造改革を進めております。また、2021年度から「Together2023-成長軌道への回帰」をテーマとした新中期経営計画(2021年~2023年の3か年計画)をスタートさせており、同計画に基づく構造改革の一層の加速化や新たな成長領域の創出による経営基盤の再構築を推進することにより、新型コロナウイルス感染拡大によって毀損した自己資本の回復を図り、成長軌道への回帰を目指しております。レンタル事業においては、新規顧客の獲得や取引業種の多様化への取り組みを進めており、特定取引先への集中リスクの抑制に努めております。なお、新型コロナウイルス等の感染拡大防止にあたっては、社長を本部長とする緊急対策本部の設置、「新型コロナウイルスによる感染予防及び顧客対応方針」の制定および周知徹底、職場および日常生活における従業員の感染予防対策の実施、在宅勤務や時差出退勤の励行など、お客さまと従業員の安全を最優先に、適切な感染防止策を実施しながら事業活動を展開しております。

 

②自然災害等に関するリスク

 地震・風水害等の自然災害が発生した場合、当社グループ拠点や設備等の損壊、電力・ガス等の供給困難による生産活動やサービス提供への障害、損壊した設備等の復旧費用の発生、あるいは、取引先ホテル等の営業状態への甚大な影響などにより、当社グループの経営成績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。

[対応策]

自然災害を想定した設備対応と安否確認訓練のほか、地震対策本部設置を含む初動対応訓練の実施等により、事業継続計画(BCP)の対応強化を図っております。一方、需要減少への対応力を高めるため、工場での機動的な生産調整等による損益分岐点引き下げや、外部委託先の活用による費用の変動費化に努めております。

 

③中期経営計画の進捗に関するリスク

当社グループは、2021年度を初年度とする3年間の中期経営計画を策定し、新型コロナウイルス感染拡大によって毀損した自己資本の回復を図り、成長軌道への回帰を目指しております。しかしながら、構造改革に向けた取り組みの遅れ等により、中期経営計画の進捗に遅延が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

[対応策]

当社グループは、これまで進めてきた構造改革を加速化し、事業ポートフォリオの最適化による収益力の安定・強化およびリスク分散を実現するとともに、新たな成長領域の創出による企業価値の向上に取り組んでおります。また、中期経営計画の進捗状況については、年2回、取締役会で報告し、フォローアップを行っております。2021年12月には、新型コロナウイルスの感染拡大の影響長期化を踏まえ、中期経営計画の見直しを行っており、営業チャネルシフト計画(店舗部門を縮小し、収益性の高いCLP(集配スタッフ)やネット宅配クリーニングへ売上構成比率をシフトする計画)の完遂予定時期の前倒し等、構造改革の取組について更なる規模の拡大、加速化を図っております。

 

④工場機械・設備に関するリスク

 ドライクリーニング工場には石油系の洗浄・乾燥設備があり、万一火災が発生すれば、人身事故、近隣への延焼、クリーニング品の焼失、工場設備の焼損など多大な損害につながる可能性があります。

[対応策]

 工場に防火防爆の安全対策を施すとともに、関係法令に基づく各種マニュアルを定め、チェックリストに基づく日常点検・定期点検、工場部による業務点検や防災訓練を実施しております。また、支店長・事業所長・工場長等を対象とした、石油系設備・溶剤の安全管理に関する知識習得のための学科試験を実施しております。

 

⑤資金調達に関するリスク

 当社グループの事業資金の一部は金融機関からの借入により調達しています。景気の後退、金融収縮等の全般的な市況の悪化や業績悪化による信用力の低下等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達できない可能性があります。また、今後、長期金利や短期金利が上昇した場合、借入コストの増加により当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。また、当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており、財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同ローンの期限前弁済義務が生じた場合には、当社グループの財政状態に悪影響を与える可能性があります。

[対応策]

 金融機関等と十分なコミュニケーションを通じて資金繰りを確保しながら、中期経営計画に基づく収益構造改革による収益力の向上により、中長期的に借入金の圧縮を図りながら、当社グループにおける財務基盤を強化してまいります。

 

⑥環境汚染に関するリスク

 クリーニング施設の廃止等にあたり、土壌汚染対策法で規定された土壌改良等の対応が必要となった場合には、経営成績への一定の悪影響が生じる可能性があります。また、環境関連その他で新たな法令、規制等が強化・導入された場合、業務への支障や対応コストが経営成績や財務状況に悪影響を与える可能性もあります。

[対応策]

 当社グループでは、「白洋舍グループ環境方針」「白洋舍グループ環境保全規程」および各種マニュアルを定め、溶剤使用に係る保守管理点検や従業員への教育訓練を実施しております。また、ドライ洗浄機のオイルパン設置、床面の樹脂被膜による不浸透化や、洗濯科学研究所による土壌調査、排水測定等の土壌汚染防止対策の実施等により事業活動に伴う環境汚染の防止に努めています。

 

⑦クリーニング品質に関するリスク

 当社グループは、お客さまの期待と信頼に応え続けていくために常に品質・サービスの向上に努めております。しかしながら、万一、当社が定めた品質基準や洗浄工程等を守られていない等の不正が発生し、当社グループに対する信用低下や多額の損害賠償責任が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

[対応策]

 当社グループでは、品質検査要項や各種マニュアルを定め、当社基準に従った適正な作業が行われていることを定期的に点検(抜き打ち品質検査等)するとともに、洗浄品質維持のため、全国の工場の洗浄品質を一斉にチェックする試験(洗浄管理試験)を定期的(年2回)に実施しております。また、特に品質不正によるブランド毀損の回避を目的として、本社内に品質管理に関する統括・監査組織(品質管理室・品質監査室)を設置し、内部管理体制の強化を図っております。

 

⑧情報漏えいに関するリスク

 当社グループは、事業を展開するうえで、お客さま及び取引先の個人情報や機密情報、当社グループ内の個人情報や経営情報を保有しております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難等により、これらの情報が漏洩し問題が発生した場合には、社会的信用の低下、損害賠償等の費用の発生など、当社グループの経営成績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。

[対応策]

 当社グループは、すべての役員および従業員に対する行動規範、法令・ガイドライン等に基づくプライバシーポリシー、各種規程(個人情報管理規程、情報システム管理規程等)やマニュアルを定めるとともに、定期的な研修の実施を通じて、個人情報の適正な管理および取り扱いを行っております。また、セキュリティソフトの導入、データの暗号化、サーバへのアクセス管理等による情報管理システムにおける安全対策を実施しております。

 

⑨外部委託先管理に関するリスク

 当社グループは、業務の一部をグループ外部の工場等へ業務委託しています。委託先において法令違反や品質管理等に問題が発生した場合など、委託先における業務に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績に悪影響を与える可能性があります。

[対応策]

 当社グループでは、業務委託に関する問題発生を未然に防止するため、委託先への定期的(年4回)な巡視・指導・点検を行うなど、委託先と綿密な連携をとりながら、関連法規制の遵守、品質管理等の徹底を図っております。

 

⑩人財の確保に関するリスク

 当社グループの事業は、同業他社との差別化において、従業員の接客技術や作業技術の重要性が高く、優秀な人財の確保が不可欠であります。しかしながら、労働人口の減少や高齢化等を背景として人財の確保や技術の継承が難航し、店舗や工場の運営に支障をきたした場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

[対応策]

 当社グループでは、各種研修制度や社内資格制度の整備により、業務に関する従業員の技術・知識向上を支援するとともに、スキルアップが従業員に還元される体制を構築しております。また、業務効率化を進めるためのシステム・機械設備への投資や、人員計画に基づいた採用活動、事業間の人財シフト等を計画的に実施し、各職場における人員の過不足や育成状況等を鑑み適切なコントロールを行っております。

 

⑪その他のリスク

・減損会計適用の影響

 当社グループは、事業用の不動産をはじめとする固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなると減損処理が必要となる場合があり、当社グループの経営成績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。

・繰延税金資産等

 当社グループでは、将来の課税所得等に関する予測に基づき回収可能性を慎重に検討した上で繰延税金資産等を計上しております。しかし、今後の業績動向等により、一部ないし全部について回収可能性が低いと判断された場合、繰延税金資産等の計上額が修正され、当社グループの経営成績および財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (経営成績等の状況の概要)

(1)財政状態及び経営成績の状況

当社グループは、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首より適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年比(%)を記載せずに説明しております。

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限の緩和に伴い、社会経済活動が正常化されつつある一方、国際情勢の悪化や円安を背景とする物価上昇やエネルギー価格高騰等の影響を受け、先行き不透明な状況が続きました。

こうした状況下、当社グループにおいては、需要の回復が十分に見込めないクリーニング事業を中心に、不採算店舗の閉鎖による固定費の削減や、集配やネット宅配といった収益性の高い営業チャネルへの売上構成比率のシフト等、構造改革への取組みを加速化してまいりました。

当社グループの業績は、2022年4月からのクリーニング料金改定に伴う増収効果が見られたことや、得意先ホテルの稼働率が回復したこと等により、売上高は391億8千万円(前年は売上高351億3千1百万円)となり、光熱費上昇の影響は受けたものの、不採算店舗閉鎖等構造改革による効果もあり、営業利益は6億6千5百万円(前年は営業損失29億7百万円)、雇用調整助成金や為替差益の計上等により、経常利益は13億5千7百万円(前年は経常損失21億7千9百万円)、不動産売却による特別利益の計上等により、親会社株主に帰属する当期純利益は16億8千8百万円(前年は親会社株主に帰属する当期純損失12億4千9百万円)と黒字に転換いたしました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

   当連結会計年度より、当社の連結子会社である白洋舍北海道リネンサプライ株式会社(旧北海道リネンサプライ株式会社)が、同じく当社の連結子会社であった札幌白洋舍株式会社を吸収合併したことにより、管理区分の見直しを行っております。これに伴い、従来「クリーニング」として区分しておりました旧札幌白洋舍株式会社の合併前の財務情報は「レンタル」に含めております。なお、前連結会計年度の業績についても、変更後の区分に基づき当連結会計年度の業績との比較を行っております。

 

<クリーニング>
 個人向けのクリーニング事業は、服装のカジュアル化等を背景に、中長期的に需要が低下する傾向にあり、特に新型コロナウイルスの感染拡大以降は、外出の自粛や、在宅勤務の普及等の影響により、ビジネスウェアやおしゃれ着のクリーニング需要の減少に一層拍車が掛かっております。こうした状況を受け、当社グループでは、不採算店舗を閉鎖するとともに、集配やネット宅配といった収益性の高い営業チャネルへの売上構成比率のシフトを進める等、構造改革を加速化しております。また、2022年4月には、光熱費の高騰等を背景とする製造原価の上昇を踏まえ、3年10か月ぶりとなるクリーニング料金の改定を実施いたしました。

 これらの結果、クリーニング事業の売上高は、クリーニング料金の改定による増収効果が見られたこと等から、179億7千8百万円(前年は売上高165億5千5百万円)となり、セグメント利益(営業利益)は、増収に加え、構造改革の進捗に伴い、人件費や賃借料等の経費が減少したこと等から、11億6千7百万円(前年はセグメント損失(営業損失)4億4百万円)となりました。

 

<レンタル>

レンタル事業は、主にホテル・レストラン等のリネン品を取り扱うリネンサプライ部門と、コンビニエンスストアや外食産業、食品工場等のユニフォームを取り扱うユニフォームレンタル部門との、2つの部門からなる法人向け事業です。

当事業は、新型コロナウイルス感染拡大に伴って事業環境が悪化したものの、政府の観光立国化政策やHACCP(食品衛生管理の世界標準)の義務化等を背景に、需要の再拡大が見込まれる成長領域であることを踏まえ、営業体制・生産体制の整備を推進しております。

リネンサプライ部門において、観光需要喚起策や水際対策緩和等もあり、得意先ホテルの稼働率が回復したこと、また、ユニフォームレンタル部門においても、得意先ナショナルチェーンやテーマパーク等において需要の回復が見られたこと等から、両部門において売上が増加いたしました。

これらの結果、レンタル事業の売上高は202億8千2百万円(前年は売上高164億3千4百万円)となり、セグメント利益(営業利益)は、光熱費上昇の影響は受けたものの、10億2千4百万円(前年はセグメント損失(営業損失)10億1千8百万円)となりました。

 

<不動産>
 不動産事業では、不動産の賃貸および管理を行っております。
 不動産事業の売上高は4億8千3百万円(前年は売上高4億9千3百万円)、セグメント利益(営業利益)は4億円(前年はセグメント利益(営業利益) 4億1千6百万円)となりました。

 

<物品販売>

 物品販売事業では、クリーニング業務用の機械・資材や、ユニフォーム等の販売を行っております。

物品販売事業の売上高は4億3千5百万円(前年は売上高4億4千8百万円)、セグメント利益(営業利益)は5千3百万円(前年はセグメント利益(営業利益) 9千1百万円)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フロー収入13億1千3百万円、投資活動によるキャッシュ・フロー収入8億1千5百万円、財務活動によるキャッシュ・フロー支出21億1千9百万円などにより6千2百万円増加いたしました。その結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前年比6%増の11億6百万円となりました。

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益23億1千万円、減価償却費13億9千6百万円などにより13億1千3百万円の収入(前年は2千9百万円の支出)となりました。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入11億1千7百万円などにより、8億1千5百万円の収入(前年比53.7%減)となりました。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入れによる収入190億9百万円、長短借入金の返済による支出206億4千万円、リース債務の返済による支出4億8千7百万円などにより、21億1千9百万円の支出(前年比19.6%増)となりました。

 

 (3) 生産、受注及び販売の状況

 ① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります

セグメントの名称

当連結会計年度
自 2022年1月1日
至 2022年12月31日
(百万円)

前年同期比(%)

クリーニング

17,978

8.6

レンタル

20,282

23.4

不動産

483

△1.8

物品販売

435

△3.0

合計

39,180

11.5

 

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 ② 受注実績

当グループは見込み生産を行っていないため、該当事項はありません。

 ③ 販売実績

販売実績は、生産実績と同一であるため記載しておりません。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

(2)当連結会計年度末の財政状態の状況に関する分析・検討内容

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産合計は、100億1千2百万円となり、前連結会計年度末の93億6百万円と比較して7億5百万円の増加となりました。主に、売掛金の増加6億4千万円によるものです。

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産合計は、213億5千7百万円となり、前連結会計年度末の221億5百万円と比較して7億4千8百万円の減少となりました。主に、建物及び構築物(純額)の減少4億8百万円、差入保証金の減少1億7千9百万円によるものです。

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債合計は、116億3千6百万円となり、前連結会計年度末の112億4百万円と比較して4億3千1百万円の増加となりました。主に、支払手形及び買掛金の増加1億2千2百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加3億3千7百万円によるものです。

 (固定負債)

当連結会計年度末の固定負債合計は、135億8千6百万円となり、前連結会計年度末の158億3千万円と比較して22億4千4百万円の減少となりました。主に、長期借入金の減少17億7千2百万円によるものです。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、61億4千6百万円となり、前連結会計年度末の43億7千6百万円と比較して、17億7千万円の増加となりました。主に、利益剰余金の増加14億6千1百万円によるものです。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度の概況につきましては、「第一部企業情報 第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。具体的な経営成績の状況の分析につきましては以下のとおりであります。

①売上高

 当連結会計年度の売上高は391億8千万円となり、前連結会計年度の売上高351億3千1百万円と比較して40億4千8百万円の増加となりました。セグメント別の業績及び主な理由につきましては、「第一部企業情報 第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

②売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価は341億1千万円となり、前連結会計年度の売上原価329億5千8百万円と比較して11億5千2百万円の増加となりました。販売費及び一般管理費は44億4百万円となり、前連結会計年度の販売費及び一般管理費50億8千万円と比較して6億7千6百万円の減少となりました。

③営業利益

 上記の①売上高及び②売上原価、販売費及び一般管理費に記載しました理由により、当連結会計年度の営業利益は6億6千5百万円となり、前連結会計年度の営業損失29億7百万円と比較し35億7千2百万円の増加となりました。

④営業外損益

 当連結会計年度の営業外収益は9億8百万円となり、前連結会計年度の営業外収益10億3千1百万円と比較して1億2千2百万円の減少となりました。当連結会計年度の営業外費用は2億1千6百万円となり、前連結会計年度の営業外費用3億3百万円と比較して8千6百万円の減少となりました。

 

⑤経常利益

 上記の④営業外損益に記載しました理由により、当連結会計年度の経常利益は13億5千7百万円となり前連結会計年度の経常損失21億7千9百万円と比較して35億3千6百万円の増加となりました。

⑥特別損益

 当連結会計年度の特別利益は固定資産売却益11億8百万円等により11億2千3百万円となり、前連結会計年度の特別利益20億5千2百万円と比較して9億2千9百万円の減少となりました。

 当連結会計年度の特別損失は減損損失8千万円等により1億7千万円となり、前連結会計年度の特別損失8億1百万円と比較して6億3千1百万円の減少となりました。

⑦税金等調整前当期純利益

 上記の⑥特別損益に記載しました理由により、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は23億1千万円となり、前連結会計年度の税金等調整前当期純損失9億2千7百万円と比較して32億3千8百万円の増加となりました。

⑧親会社株主に帰属する当期純利益

 法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の合計金額6億9千8百万円が、前連結会計年度4億3千4百万円と比較して2億6千4百万円の増加となりました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は16億8千8百万円となり、前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失12億4千9百万円と比較して、29億3千8百万円の増加となりました。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、新中期経営計画(2021年度より3ヵ年)において、自己資本比率の20%以上確保を目標としております。

当連結会計年度においては、自己資本比率は19.4%となり新中期経営計画 (2021年度より3ヵ年)の目標値は未達となっております。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、資金計画に基づき、必要な運転資金や設備資金は、長期の銀行借入及び社債により調達しております。資金の流動性については、充分な当座借越枠を設定することにより、手元流動性を確保しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。 

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、研究部門(全社(共通))において、東京都大田区下丸子に洗濯科学研究所をもっており、研究内容は主として洗濯溶剤の管理・事故品の経過追及等の業務であります。

当連結会計年度の研究開発費51百万円(セグメント上は配賦不能営業費用)となっております。