国内・海外を問わず、顧客のニーズは従来の広告・コミュニケーション領域を超え、顧客の事業戦略に基づいた統合的な課題解決力や、データを駆使した企画提案・実施力が求められています。それに伴い、コンサルティング業界など広告業界以外の企業と競合するケースが増えつつあり、当社グループを取り巻く競争環境は厳しさを増しています。
この競争環境の下、当社は2020年1月から純粋持株会社「株式会社電通グループ」体制に移行しました。社員ひとりひとりが、グローバルレベルで組織の垣根を越えて多様な視点を持ち寄りオープンかつフラットに繋がることで、イノベーションを活性化すること。さらに、そうした人材が当社グループ内だけでなく、外部の様々なパートナーと柔軟にチームを組むことで、顧客や社会の課題に対して、新しい価値を次々に提供していくこと。純粋持株会社「電通グループ」は、そのような多様性に富んだ自由闊達で能力本位のグループ文化を醸成するために、グループ全体のガバナンス機能を担うに留まらず、価値創造およびイノベーション創発に取り組む全てのグループ内の個社・個人をエンパワーする役割を担う「チーミング・カンパニー」として、グループ全体を下支えします。
「チーミング・カンパニー」としての初年度にあたる2020年は、組織の壁を超えた柔軟なチームづくりを行う環境の整備、事業領域拡張や新規事業立ち上げの機会の提供とサポート体制づくり、イノベーションを生み出すアイデア・エグゼキューション・マネジメントの能力を育む機会の提供、などに重点的に取り組みます。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)2020年までの連結ガイドライン
当社グループが設定した2020年までの連結ガイドラインは下記の通りです。
① 売上総利益のオーガニック成長率3%以上(2020年までの3年間のCAGR)の達成
② オペレーティング・マージンは2018年より改善
③ 株主還元については安定的な配当を堅持しつつ、今後の業績やキャッシュフローの状況を勘案した適切な利益の還元を検討
(2)国内事業
① 労働環境改革の継続的推進
社員ひとりひとりが恒常的に良好なコンディションを維持できる労働環境を整えることは、当社グループが適切に労働法規を遵守する礎となるに留まらず、多様な人材を獲得し、社員のパフォーマンスを活性化および最大化するための前提条件です。株式会社電通において、2019年度は、2017年度および2018年度に実施した労働環境改革の継続的な実行とフォローアップを実施しました。その結果、2018年度に「1,952時間」だった同社の社員1人あたり総労働時間は、2019年度には「1,903時間」に減少しました。当社グループは、社員の労働環境の改善に向けて一層積極的に取り組んでまいります。
② 国内における事業基盤の強化
(ア) デジタル領域におけるケイパビリティの強化
デジタル事業基盤の強化として2018年度に資本業務提携した株式会社セプテーニ・ホールディングス、および株式会社VOYAGE GROUPと株式会社サイバー・コミュニケーションズが統合し新たに設立された株式会社CARTA HOLDINGSを加え、株式会社電通デジタルを軸とした国内グループのデジタル領域は、2019年度に2桁成長を達成しました。両社との協働により従来の電通グループの経営資源と両社の経営資源間の連携・強化を推進でき、国内のデジタル広告領域における業界最高水準のサービス提供に向けて大きな一歩を進めることができました。引き続き、このモメンタムを継続してまいります。
(イ) 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催および成功
2019年度は、世界水泳、世界陸上、ラグビーワールドカップなどの世界的なスポーツイベントに数多く関わりました。特にラグビーワールドカップは世界から大いに注目され、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた機運は大いに高まり、当社グループにとっては、そのアクティベーションに向けた礎を構築できた1年となりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大を受け、2020年3月24日、国際オリンピック委員会と東京2020組織委員会は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を延期し、2021年夏までに開催することで合意した旨の共同声明を発表しました。当社グループは、これまで培ってきたスポーツイベントのアクティベーションやスポーツマーケティングに係る知見を総動員し、東京2020組織委員会をはじめ、関係するスポンサー企業および各種スポーツ競技団体等とも綿密に連携しながら、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催および成功に向け、グループ一丸で取り組んでまいります。
(ウ) 広告・マーケティング周辺領域および広告・マーケティング以外の領域での収益源の確保および拡大
当社グループは従来から広告・マーケティング周辺領域における収益源の拡大、および広告・マーケティング以外の新たな領域での収益源の確保に取り組んでまいりました。この数年は、顧客企業との共同事業への取り組みにも力を入れております。今後も日本社会を活性化しつつ当社の収益源を多様化する新たな領域に積極的に取り組みます。
(3)海外事業
① 事業基盤の整備
当社グループは2013年3月に英国のAegis Group plc(以下、イージス社)を買収して以降、海外事業を電通イージス・ネットワーク社の下で再編し、積極的なM&A活動を行うことでグローバルネットワークを拡充し、また、2016年度には米国のMerkle Group Inc.(以下「マークル社」)の買収によりデータアナリティクス関連の大規模なケイパビリティも獲得し、大きなトップラインの成長を実現してまいりました。
しかし、2019年度は、オーストラリア、中国、ブラジルなど複数の市場で業績が当初計画を下回って推移し、海外事業における売上総利益のオーガニック成長率は△1.9%と厳しい結果に終わりました。しかし、英国、フランス、中国、オーストラリア、ブラジルを除く2019年度の同成長率は2.5%を達成しております。
この結果を踏まえ、今後も着実に収益を拡大しつつオペレーティング・マージンを改善すること、また、急速に変化する当社グループを取り巻く競争環境に柔軟に対応できる事業基盤を整備することを目的として、昨年12月から海外の課題市場(オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、シンガポール、英国)で構造改革に着手しました。この構造改革を着実に実行し、海外事業の強靭な事業基盤を構築してまいります。
② 海外事業を取り巻く競争環境への対応
従来、当社グループの海外事業は広告業界におけるメガエージェンシー・グループと競合関係にありましたが、この数年間で、国内事業と同様に他業種との新たな競争環境が生じています。顧客からの広告・マーケティング活動の効率化・最適化の要求が強まり、消費者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・ソリューションへの要求が高まる中、データアナリティクス領域、ユーザーエクスペリエンス(UX)・カスタマーエクスペリエンス(CX)領域、コンサルティング領域の企業と競合するケースが増えております。
この競争環境の下で当社グループの提供サービスが市場をリードし続けるために、海外事業をクリエーティブ、メディア、CRMの3つの事業ユニット(ライン・オブ・ビジネス)に再編しました。顧客に対して、クリエーティビティとデータ・テクノロジーの活用を組み合わせた統合的ソリューションを提供できるシンプルかつ柔軟な体制を整えることで、今後の顧客ニーズの変化に万全の対応を行ってまいります。
なお、2019年度は、マークル社のオフショアのケイパビリティ強化を目的として、従業員約1,800人を擁するインドのデータアナリティクス会社「Ugam Solutions Private Limited(ウガム社)」を買収するなど、とりわけCRMユニットの強化に注力しました。
最後になりますが、当社グループはグローバルでの社会課題にも引き続き取り組んでいます。
2019年6月にはG20(持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合)が開催され、気候変動、生物多様性の損失、資源効率性、持続可能な消費と生産、などについてのアクションプランが示されました。いまやこうしたグローバルレベルの社会課題の克服なしには、企業の持続的な成長は実現できない状況に至っており、それに伴い企業も社会との新たな関係性を模索する必要に迫られています。
当社グループが事業として手掛けるマーケティング・コミュニケーション領域は、企業と生活者をつなぐ懸け橋の役割を担うものとして、大きな社会的使命を帯びています。生活者に持続可能性のある消費行動を促すとともに、責任あるコミュニケーションを実践するなど、「ESG(環境、社会、ガバナンス)」の観点を重視して企業経営にあたることは必要不可欠であり、また、「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: SDGs)への実現にも貢献できるものと捉えています。
今後も、コミュニケーション領域のグローバル・リーディンググループにふさわしい活動を強化して、企業価値の向上に取り組んでいく方針です。
当社グループの環境負荷低減活動、ダイバーシティ&インクルージョン対応、責任あるコミュニケーション・コンテンツ制作方針、SDGsアクションなど、個別活動の詳細については、「電通統合レポート」(https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/reports/)をご覧ください。
当社グループの業績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 景気変動に伴うリスク
当社グループを含めた広告会社の業績は、景気によって広告支出を増減させる広告主が多いため、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。とりわけ、新型肺炎コロナウイルスの感染拡大は世界規模でマクロ経済に影響を与えており、これに伴い、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の延期をはじめ企業や団体等によるイベントを含む広告コミュニケーション活動にも中止や延期による影響が生じ始めています。それに加えて、国内・海外を問わず、広告支出額の大きい産業部門(自動車業界や飲料業界など)の事業環境の変化が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2) 広告業界内の競争環境に起因するリスク
① 競合社との価格競争のリスク
当社グループは、国内・海外を問わず、同業の広告会社グループやデジタルエージェンシーグループとの厳しい競争にさらされており、顧客企業における営業費削減のニーズが強まる中で、とりわけメディアプランニング・バイイングの領域において、競合社との価格競争に巻き込まれるケースもあります。
当社グループは、従来から、単に顧客の商品・サービスの広告作業や各種マーケティング施策を受託するに留まらず、顧客の抱える課題の本質を見極め、その課題解決に向けた統合的ソリューションをデザインし、提案から実施までワンストップで提供できる体制を整えてまいりました。このような高付加価値のソリューションを引き続き提供することで、競合社との差別化が図られ、価格競争に巻き込まれない強固な顧客との関係性を維持できると考えております。
しかしながら、競合社との価格競争により低マージンで受注せざるを得ないケース、または利益を確保できないために受注を辞退せざるを得ないケースが増加した場合、当社グループの収益の減少やオペレーティングマージンの悪化につながる可能性があります。
② グローバル企業の扱い喪失リスク
当社グループの顧客には、グローバルレベルで事業を展開する企業が多数含まれます。これらの顧客は、広告キャンペーンの統一性を担保する必要性や効率的な運用の観点から、とりわけメディアプランニング・バイイングの領域において、グローバルレベル(あるいはAPAC等の地域レベル)で取り扱い広告会社を選定する入札(グローバルピッチ)を実施することがあります。グローバルピッチは対象となる広告宣伝費の取扱高が多額になる傾向があります。
今後、当社グループの既存顧客が実施するグローバルピッチで当社が敗北した場合、またはこれらのピッチで勝利するために従来よりも低マージンでの受注を余儀なくされた場合、当社グループの収益の減少やオペレーティングマージンの悪化につながる可能性があります。
(3) 広告業界の構造変化に起因するリスク
① メディア環境の構造変化に伴うリスク
生活者を取り巻くメディア環境は、インターネットおよびデジタルデバイスの技術革新を背景に、グローバルレベルで大きくデジタルへとシフトしています。当社グループは、このメディア環境の構造変化を商機と捉え、次世代のメディアにグループのリソースを柔軟に配分・投下し、常に最新の生活者の行動原理に合わせたマーケティングソリューションを顧客企業に提供することで、このメディア環境の構造変化を収益拡大につなげております。
しかしながら、当社グループがこのメディア環境の構造変化に迅速かつ適切に対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、このメディア環境の構造変化は、国・地域ごとに異なる形態および時間軸で進行しており、当社グループが、一部の国・地域において、この潮流に乗り遅れるリスクもあります。とりわけ、国内において、マス四媒体(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)の生活者への浸透度や影響力が今後急速に弱まり、それに伴い広告出稿が減少した場合、国内事業の収益の減少やオペレーティングマージンの悪化につながる可能性があります。
② 他業種との競争の拡大
当社グループは、同業の広告会社グループやデジタルエージェンシーグループとの競争に加え、この数年で他業種との新たな競争にさらされています。顧客からの広告・マーケティング活動の効率化・最適化の要求が強まり、生活者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、データアナリティクス領域、カスタマーエクスペリエンス(CX)領域、コンサルティング領域の企業と競合するケースが増えております。
当社グループは、この業界構造の変化を商機と捉え、国内においては、顧客企業の課題を人(People)基点で捉え直し、必要な人に、必要な場所で、必要なタイミングで情報提供することを目指した統合マーケティング・フレームワークPeople Driven Marketingを軸に据えて、顧客企業のマーケティング戦略の立案から実施まで提供できる体制を整えております。また、海外においては、2016年に米国のマークル社を買収して大規模なデータアナリティクス関連のケイパビリティを獲得する等の施策により、業界構造の変化に対応しつつ大きなトップラインの成長を実現しております。
しかしながら、当社グループの基軸事業である広告マーケティング領域と他領域の間の境界線が今後ますます曖昧になり、他業種との競争が激化した場合、当社グループの収益の一部を他業種の競合社に奪われる可能性があります。
③ 海外におけるインハウス化の潮流
この数年、海外の広告市場、とりわけ米国市場を中心に、顧客企業が従来広告会社に外注してきたマーケティング活動の一部を顧客内部で実施する潮流(インハウス化)が広がっており、旧来型の広告会社の提供サービスへの需要が減るとともに、顧客のインハウス化を支援できるコンサルティング機能への需要が高まっています。
当社グループは、マークル社を中心にこの潮流に対応したコンサルティング機能の強化を図っておりますが、当社グループ傘下の一部の広告会社は、この潮流の影響を受けて収益が減少する可能性があります。
(4) テクノロジーおよびサービスの陳腐化に起因するリスク
当社グループは、顧客企業のマーケティング・コミュニケーション上の課題を解決するソリューションを提供するために、アドテクノロジーやマーケティングテクノロジー等への継続的な投資および独自のデータマーケティングプラットフォームの開発等を行っております。しかしながら、これらの投資や開発が想定通りに進まない可能性または顧客企業の課題解決に最適なソリューションに必ずしもつながらない可能性、当社グループのテクノロジーまたはサービスが技術革新により陳腐化する可能性、競合社が当社グループよりも顧客企業の課題解決に資するテクノロジーまたはサービスを開発する可能性等があります。
(5) コンテンツ事業に係るリスク
当社グループは、国内・海外を問わず、映画への制作出資やスポーツイベントの放送権の仕入販売などのコンテンツ事業を展開しております。これらのコンテンツ事業には、収入を得る前に支払が先行するもの、収支計画が多年度にわたるものが多く含まれております。また、大型のスポーツイベントの協賛権や放送権の獲得などには多額の財務的コミットメントを必要とするものもあります。
当社グループはこれらのコンテンツ事業領域に長く従事しているため一定の精度で収支計画を立てる知見を有しており、また多くのコンテンツ事業案件をポートフォリオとして管理することでコンテンツ事業のリスク分散を図っております。
しかしながら、コンテンツ事業の収入を左右する生活者の反応を確実に予測することは困難であり、案件が収支計画通りに進捗しない場合、また、当社による仕入金額を下回る金額でしか協賛権や放送権を顧客に販売できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 売掛金の未収リスク
顧客企業が倒産等した場合に、広告料金を含む業務受託料等の売掛金の一部が未収となるリスクがあります。これらのケースが増加した場合、当社グループの業績及び資金繰りに悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 海外事業の構造改革に係るリスク
当社グループは、当期の海外事業の業績の低迷を受けて、オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、シンガポール及び英国の7つの市場を対象として、対象市場全体の約11%の人員削減を含む構造改革に着手しております。この構造改革により、新たな事業モデルの導入を加速してクライアントへより良いサービスを提供し、従業員満足度の向上、収益の拡大およびオペレーティング・マージンの改善を目指します。しかしながら、同構造改革が想定通りに進まなかった場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 中長期の視点での新たなビジネス開発に伴うリスク
当社グループは、国内において、中長期での新たな収益源の確保を企図して、新たな事業の開発やビジネスモデルの構築に向けた様々な取り組みを強化しております。これらには、顧客企業との共同事業への取り組みや、広告・マーケティング領域とは必ずしも関連性のない領域でのビジネス開発も含みます。例えば、2019年度の、株式会社北海道日本ハムファイターズおよび日本ハム株式会社との新球場の運営業務等に係る合弁会社の設立などが挙げられます。
しかしながら、技術革新、消費者動向の読み違い、過度に楽観的な事業計画、共同事業パートナーとの交渉難航など様々な理由で、これらのビジネス開発が中長期的に収益化できず、当社グループの業績に悪影響が出る可能性があります。また、仮に中長期的に収益化できる事業であっても、投下した資本の回収に一定の期間を要する場合、一時的に当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 人材の確保に係るリスク
当社グループの成長力および競争力は、優秀な人材の獲得および退職率の低減に依存します。当社グループは、従業員に対して労働市場で一定の競争力ある待遇を提供すること、および従業員ひとりひとりがやりがいを持つとともに成長を実感できる業務にアサインすること等で、優秀な人材の確保および退職率の低減を図りつつ、従業員ひとりひとりの能力を最大限に活性化するよう努めております。
しかしながら、労働市場の逼迫による人材不足等に起因して、当社グループが必要な人材を十分に確保できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 電通イージス・ネットワーク社に係るのれんおよび無形資産の減損リスク
当社は2013年3月に英国の大手広告会社Aegis Group plcを買収し、当社グループの海外事業の推進をイージス社に一本化して電通イージス・ネットワーク社に再編しました。
当社は、イージス社の買収、およびその後電通イージス・ネットワーク社がグローバルレベルで実施した、マークル社を含む多数の会社の買収に伴い、多額ののれんおよび無形資産を計上しております。
当社は、当期において、オーストラリア・中国等における業績の低迷やAPAC地域のマクロ環境の不透明感を踏まえ、同地域の事業計画を保守的に見直し、同地域を1つの資金生成単位グループとして減損テストを行いました。その結果、同地域に係る将来キャッシュフローの見積もりおよび現在価値を減少させたことで、同地域に係るのれん減損損失約701億円を計上しました。
当社は、APAC地域以外の地域に係るのれんおよび無形資産については、現時点で減損の必要はないと考えております。しかしながら、今後の資金生成単位グループ毎の減損テストの結果、再び減損損失が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 法規制・訴訟等に係るリスク
① 労働法規に違反するリスク
当社グループは、社員ひとりひとりが恒常的に良好なコンディションを維持できる労働環境を整えることを経営の最優先課題の1つとして取り組んでおりますが、同労働環境の整備が不十分なものに留まるまたは遅延する場合、当社グループの社員のモチベーションおよびパフォーマンスの低下、優秀な社員の外部流出、多様性ある人材の獲得の困難化などの事態が発生し、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社の完全子会社である株式会社電通において2017年度から継続的に取り組んでいる労働環境改革により、同社の国内における社員の労働環境は着実に改善され、2016年度に「2,166時間」だった社員1人当たり総労働時間は2019年度には「1,903時間」にまで減少したものの、同社における労務管理上の不祥事が再発した場合、当社グループのレピュテーションが大きく悪化する可能性があります。
② 個人情報等に係るリスク
当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業にとっての既存顧客・潜在顧客の個人情報を受領することがあります。また、顧客企業からの消費者ひとりひとりにカスタマイズしたマーケティング・コミュニケーションへの要求が高まる中、パーソナルデータを利活用した商品・サービスを開発して顧客企業に提供しております。
当社グループは、国内・海外を問わず、個人情報保護法およびEU一般データ保護規則等の法令または諸規制を遵守し、また、これら法令または諸規制の改定に迅速に対応しており、現時点においてこれらの法令または諸規制が当社グループの事業に悪影響を及ぼすことは想定しておりません。
しかしながら、万一個人情報の漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後、これら法令または諸規制が改定され、当社のパーソナルデータの利活用に何らかの制限が課され、当社の商品・サービスの一部を顧客企業に提供できなくなった場合、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 情報セキュリティに係るリスク
当社グループは、その業務遂行の過程で、顧客企業の未公開の商品・サービス情報や事業戦略に係る情報を受領することが頻繁にあります。当社グループでは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期しておりますが、万一情報漏えい等の事故が発生した場合、当社グループの信頼性が損なわれ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 訴訟等に係るリスク
現在、当社グループは、その業績に重大な影響を及ぼし得る訴訟等を抱えておりません。しかしながら、当社グループが広範な領域にわたり遂行している事業は、国内・海外を問わず、常に顧客・媒体社・協力会社等から訴訟を提起されるリスクを内包しております。
(12) 災害、事故等に関わるリスク
当社グループが事業を遂行又は展開する地域において、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が起こった場合に
は、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に悪影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(経営成績等の状況の概要)
2019年の日本経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が続く中、緩やかな回復基調が継続しているものの、輸出や生産に弱さが見られ先行きの不透明感が高まりました。一方、世界経済は、米中貿易摩擦、イギリスのEU離脱問題など不安定な国際情勢などから、先行き不透明な状況が続きました。
電通イージス・ネットワークが2020年1月に発表した2019年の世界の広告費成長率予測は2.6%、地域別では、日本が1.2%、ヨーロッパ、中東およびアフリカ(以下「EMEA」)が1.7%、米州(以下「Americas」)が3.4%、アジア太平洋(日本を除く。以下「APAC」)が2.7%となっています。
こうした環境下、当期(2019年1月1日~2019年12月31日)における当社グループの業績は、収益は1兆478億81百万円(前期比2.9%増)、売上総利益は9,393億85百万円(同0.7%増)、売上総利益のオーガニック成長率は△1.0%となりました。オーガニック成長の伸び悩みなどにより、調整後営業利益は1,407億51百万円(同8.1%減)、オペレーティング・マージン(調整後営業利益÷売上総利益)は15.0%(前期は16.4%)、親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は761億20百万円(前期比21.9%減)となりました。APAC地域におけるのれん減損損失および海外事業における構造改革の実施に伴う費用等の計上により、営業損失は33億58百万円(前期は営業利益1,116億38百万円)、前期に計上した関連会社株式売却益の反動減やアーンアウト債務・買収関連プットオプション再評価損の増加などにより、親会社の所有者に帰属する当期損失は808億93百万円(前期は当期利益903億16百万円)となりました。
調整後営業利益は、営業利益から、買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、被買収会社に帰属する株式報酬費用ならびに減損、固定資産の売却損益などの一時的要因を排除した恒常的な事業の業績を測る利益指標であります。
親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は、当期利益から、営業利益に係る調整項目、アーンアウト債務・買収関連プットオプション再評価損益、関連会社株式売却損益、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当を排除した、親会社の所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標であります。
報告セグメントの収益実績
国内事業の業務区分別売上高では、インターネット(前期比26.6%増)は、旧株式会社VOYAGE GROUP(現株式会社CARTA HOLDINGS)と株式会社サイバー・コミュニケーションズの経営統合、ならびに株式会社セプテーニ・ホールディングスとの資本業務提携の効果もあり、大幅に伸張しました。一方で、テレビ(同4.0%減)、クリエーティブ(同3.5%減)、新聞(同6.3%減)などは前期を下回りました。この結果、国内事業の売上総利益は3,803億66百万円(同3.0%増)、売上総利益のオーガニック成長率は0.4%、オーガニック成長の伸び悩みと将来の成長に向けた費用投下などにより、調整後営業利益は724億88百万円(同9.7%減)、オペレーティング・マージンは19.1%(前期は21.7%)となりました。
海外事業の売上総利益のオーガニック成長率は、地域別では、EMEAが△0.7%、Americasが2.4%、APACが△12.3%となり、全体では△1.9%となりました。主要国別にみると、スイス、スペイン、ロシア、イタリア、米国、インドなどは堅調でしたが、イギリス、フランス、ブラジル、中国、オーストラリアなどは厳しい状況となっています。M&Aの貢献もあり海外事業の売上総利益は、5,597億72百万円(前期比0.7%減)となりましたが、オーガニック成長の伸び悩みなどにより、調整後営業利益は683億61百万円(同6.3%減)、オペレーティング・マージンは12.2%(前期は12.9%)となりました。
2020年までの連結ガイドラインの進捗状況
ガイドラインで掲げた3つの項目のうち、上述の通り当期のオーガニック成長率は△1.0%(前期は+3.4%)となり、オペレーティング・マージンについては、前期を下回る結果となりました。しかしながら、株主還元については、1株当たり配当金を前期の90円から当期は95円に増配するとともに、300億円を上限とする自己株式取得を決議し、積極的な株主還元に努めました。
当連結会計年度末の財政状態については、前連結会計年度末と比べ、主に有形固定資産が増加したことから、資産合計で1,572億40百万円の増加となりました。一方、主にその他の金融負債が増加したことから、負債合計で2,154億56百万円の増加となりました。また、主に利益剰余金が減少したことから、資本合計は582億15百万円の減少となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、4,140億55百万円(前連結会計年度末4,166億68百万円)となりました。主に営業活動による支出などにより、前連結会計年度末に比べ26億12百万円の減少となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果により得た資金は、前連結会計年度に比べ530億92百万円減少し、799億57百万円となりました。主に運転資本が増加したことおよび法人所得税の支払額が増加したことなどにより資金が減少しました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ146億68百万円増加し、760億51百万円となりました。主に、有価証券の取得による支出が減少した一方で、有価証券の売却による収入も減少したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果支出した資金は、前連結会計年度に比べ653億25百万円増加し、78億3百万円となりました。主に長期借入れによる収入により資金が増加した一方で、社債の発行による収入が当連結会計年度は生じなかったことおよびリース債務の返済による支出が増加したことなどにより資金が減少したことによるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度におけるセグメントの販売実績(売上高)は次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 売上高は当社グループが顧客に対して行った請求額および顧客に対する請求可能額の総額(割引および消費税等の関連する税金を除く)であり、IFRSに準拠した開示ではありません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社の連結財務諸表は、国際会計基準審議会により公表されたIFRSに基づき作成されております。
また、当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値および偶発債務等オフバランス取引の開示、報告期間における財政状態および経営成績について影響を与える見積りを行わなければなりません。経営陣は、例えば、投資、企業結合、退職金、法人税等、偶発事象や訴訟等に関する見通しや判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行い、その結果は、資産・負債の簿価、収益・費用の報告数字についての根拠となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針について、当社グループの財政状態および経営成績に特に影響を与える、あるいは、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りにより、大きな影響を受けると考えております。
「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (15)収益」をご参照下さい。
当社グループは決算日において、棚卸資産および繰延税金資産を除く非金融資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを判定し、減損の兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額に基づき減損テストを実施しております。のれんは償却を行わず、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、または減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。資産の回収可能価額は資産または資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産または資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、当該資産は回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。使用価値の算定に際しては、資産の耐用年数や将来キャッシュ・フロー、成長率、割引率等について一定の仮定を用いております。
これらの仮定は過去の実績や当社経営陣により承認された事業計画等に基づく最善の見積りと判断により決定しておりますが、事業戦略の変更や市場環境の変化等により影響を受ける可能性があり、仮定の変更が必要となった場合、認識される減損損失の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは有価証券やデリバティブ等の金融資産を保有しており、当該金融資産の評価に当たり一定の仮定を用いております。公正価値は、市場価格の他、マーケット・アプローチ等の算出手順に基づき決定しております。具体的には、株式およびその他の金融資産のうち活発な市場が存在する銘柄の公正価値は市場価格に基づいて算定し、活発な市場が存在しない銘柄の公正価値は観察可能な市場データを用いて算定した金額若しくは観察不能なインプットを用いて主としてマーケット・アプローチで算定した金額で評価しております。
企業結合の結果生じる条件付対価および株式買取債務の公正価値等は、観察不能なインプットを用いて割引キャッシュ・フロー法で算定した価額で評価しております。
当社経営陣は金融商品の公正価値等の評価は合理的であると判断しておりますが、予測不能な前提条件の変化等により見積りの変更が必要となった場合、認識される公正価値等の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
確定給付制度債務および退職給付費用は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率等が含まれます。
当社経営陣はこれらの前提条件は合理的であると判断しておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、認識される費用および計上される債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、過去の事象の結果として現在の法的または推定的債務を有しており、債務の決済を要求される可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼性のある見積りが可能である場合に引当金を認識しております。貨幣の時間価値の影響が重要である場合、引当金は当該負債に特有のリスクを反映させた割引率を用いた現在価値により測定しております。
これらの引当金は、決算日における不確実性を考慮した最善の見積りにより算定しておりますが、予測不能な事象の発生や状況の変化等により影響を受ける可能性があり、実際の結果が見積りと異なる場合、計上される債務の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除および将来減算一時差異のうち、将来の課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は毎決算日に見直し、税務便益の実現が見込めないと判断される部分について減額しております。
当社グループは、将来の課税所得および慎重かつ実現性の高い継続的なタックス・プランニングの検討に基づき繰延税金資産を計上しており、回収可能性の評価に当たり行っている見積りは合理的であると判断しておりますが、見積りは予測不能な事象の発生や状況の変化等により影響を受ける可能性があり、実際の結果が見積りと異なる場合、認識される費用および計上される資産に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの収益は1兆478億81百万円(前連結会計年度比2.9%増)、売上総利益は9,393億85百万円(同0.7%増)となりました。
売上総利益のうち、国内事業は、3,803億66百万円(同3.0%増)と前連結会計年度を上回りました。
海外事業の売上総利益は5,597億72百万円(同0.7%減)となりました。また、海外事業の売上総利益のオーガニック成長率は△1.9%となりました。地域別では、EMEAが△0.7%、Americasが2.4%、APACが△12.3%となりました。
当連結会計年度における当社グループの販売費及び一般管理費は、8,351億95百万円(前連結会計年度比1.8%増)となりました。
また、貸倒引当金繰入額は48億29百万円(前連結会計年度は貸倒引当金戻入額126百万円)、事業構造改革費用は196億82百万円、減損損失は736億70百万円(前連結会計年度は減損損失27百万円)、その他の収益は78億14百万円(同30.0%減)、その他の費用は171億80百万円(同41.7%増)となりました。
これらの結果、当連結会計年度における営業損失は33億58百万円(前連結会計年度は営業利益1,116億38百万円)となりました。
当連結会計年度の持分法投資利益は5億17百万円(前連結会計年度比80.8%減)、段階取得に係る再測定による利益は21億75百万円、金融収益から金融費用を減じた金融損失は421億3百万円(前連結会計年度比137.7%増)となり、この結果、税引前損失は427億69百万円(前連結会計年度は税引前利益1,487億51百万円)となりました。
税引前損失から法人所得税費用を控除した当期損失のうち、親会社の所有者に帰属する当期損失は808億93百万円(前連結会計年度は親会社の所有者に帰属する当期利益903億16百万円)となりました。
「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施のための媒体料金および制作費の支払等ならびに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。
また、近年においては既存事業の拡大、新規事業の発掘および開発のため、海外事業やデジタルテクノロジー領域をはじめとした様々な領域への投資に係る資金需要が生じております。
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、社債、コマーシャル・ペーパーまたは短期借入金により調達することとしております。また、債権の流動化も実施しております。流動資産から流動負債を控除した運転資本については、当社グループでは流動資産が上回っています。前連結会計年度および当連結会計年度における当社グループの運転資本は、それぞれ1,499億円および744億円の超過となっております。
当社は、資金の短期流動性を確保するため、シンジケーション方式による極度額500億円の銀行融資枠を設定しています。また、電通イージス・ネットワーク社においては、緊急時対応として、5億ポンド(約717億円)の銀行融資枠を設定しています。さらに、グループ内の資金効率の向上を図るべく、資金余剰状態にある子会社から親会社が資金を借り入れ、資金需要が発生している子会社に貸出を行うキャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。
2019年度において当社グループは、電通イージス・ネットワークにおける企業買収に係る支払資金および既存負債の償還に充てるべく、2019年11月までに6.6億ポンド(約947億円)および1.96億ドル(約215億円)を、金融機関からの借入により調達いたしました。
なお、当社は、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期格付AA-、短期格付a-1+を取得しております。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
(1) のれんの償却
日本基準の下ではのれんをその効果が発現すると合理的に見積もられる期間にわたり規則的に償却しておりましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が前連結会計年度は411億93百万円減少、当連結会計年度は400億56百万円減少しております。また、当連結会計年度は、IFRSでは日本基準に比べて減損損失が477億5百万円増加しております。
(2) 資本性金融商品の処分に係る利得又は損失
日本基準の下では資本性金融商品の処分に係る利得または損失は収益または費用として計上しておりましたが、IFRSではその他の包括利益として認識しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、前連結会計年度は金融収益が44億77百万円減少、金融費用が43億69百万円減少、当連結会計年度は金融収益が260億70百万円減少、金融費用が76億14百万円減少しております。
(3) 使用権資産およびリース債務の計上
日本基準の下では借手として、従来、リースをオペレーティング・リースとファイナンス・リースに分類し、ファイナンス・リースに関してのみリース資産とリース債務を認識しておりましたが、当連結会計年度より、IFRS第16号を適用し、ほとんどのリースについて使用権資産とリース債務を認識しております。IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度は使用権資産が1,165億10百万円増加、リース債務が1,293億28百万円増加しております。
当社は、2019年2月19日開催の取締役会において、当社が営む一切の事業(ただし、株式を保有する会社の事業活動に対する支配または管理およびグループ運営に関する事業を除く。以下、「本件事業」という。)を会社分割(以下、「本件吸収分割」という。)により当社の100%子会社である株式会社電通承継準備会社(2019年2月12日設立。2020年1月1日付で「株式会社電通」に商号変更。以下、「承継会社」という。)に承継させることを決議し、同日、承継会社との間で、2020年1月1日を効力発生日とする吸収分割契約を締結いたしました。
本件吸収分割ならびに定款変更(商号および事業目的の変更)については、2019年3月28日開催の第170回定時株主総会において関連議案が承認可決されました。
本件吸収分割後の当社は、2020年1月1日付で、株式会社電通グループに商号変更するとともに、その事業目的を持株会社制移行後の事業に合わせた変更を行っております。
(1)本件吸収分割の目的
当社および当社グループを巡る事業・経営環境は急激に変化しており、今後も、一連の変化に適切かつ迅速に対応し、当社グループの持続的な成長を達成するためには、グループ&グローバルの観点から社内外の経営資源の獲得と配分を適時に実現し、多様性に富んだ人材のマネジメントと開かれた組織文化の醸成を一層促進するとともに、最適なグループ・ガバナンスを実現する体制の確立が急務となっています。
こうした課題認識に基づき、日本市場における事業変革の推進、および海外本社「電通イージス・ネットワーク」を中核とするグループ海外事業の成長モメンタムの維持と一層の発展、そしてこれらを包含する当社グループ総体としての持続的成長を図る上で、純粋持株会社体制に移行することといたしました。
(2)本件吸収分割の要旨
① 本件吸収分割の日程
吸収分割契約承認取締役会決議日 2019年2月19日
吸収分割契約締結日 2019年2月19日
吸収分割承認株主総会 2019年3月28日
吸収分割効力発生日 2020年1月1日
② 本件吸収分割の方式
当社を分割会社とし、当社の100%子会社である株式会社電通承継準備会社(2020年1月1日付で「株式会社電通」に商号変更。)を承継会社とする分社型吸収分割により行いました。
③ 本件吸収分割に係る割当ての内容
本件吸収分割に際し、承継会社は普通株式248,000株を発行し、その総数を当社に対して割当て交付しました。
④ 分割会社の新株予約権および新株予約権付社債に関する取扱い
当社は新株予約権および新株予約権付社債を発行しておりません。
⑤ 本件吸収分割により減少する資本金等
当社の資本金に変更はありません。
⑥ 承継会社が承継する権利義務
本件吸収分割により、承継会社は、効力発生日において当社に属する本件事業に関する資産、債務、雇用契約その他の権利義務につき、吸収分割契約書に定める範囲において承継しました。なお、承継会社が承継する債務については、当社による重畳的債務引受けの方法によるものとしました。
⑦ 債務履行の見込み
当社および承継会社ともに、現在のところ、本件吸収分割後に負担する債務の履行に支障を及ぼす事態の発生は想定されていないことから、本件吸収分割後における当社および承継会社の債務の履行の見込みについては、問題ないと判断しております。
(3)分割当事会社の概要
(4)分割する事業部門の概要
① 分割した部門の事業内容
広告および広告関連事業
② 2019年12月期における経営成績(日本基準)
③ 分割した資産・負債の項目及び金額(2019年12月31日現在)(日本基準)
(5)吸収分割効力発生日後の状況(2020年1月1日現在)
当連結会計年度における研究開発費の金額は、国内事業における情報サービス業の
国内事業である株式会社電通国際情報サービスを中心とする情報サービス業では、同社グループの中期経営計画の基本方針「主力事業の進化」「新規事業の創出」「事業基盤の革新」を推進するため、各種技術研究に加え、独自ソリューションの開発・強化を実施しました。主な研究開発活動の概要は以下のとおりです。
金融ソリューションの研究開発活動の金額は205百万円です。
主な活動内容は、金融機関および一般事業会社に対する新規ソリューションの技術調査・研究であります。
ビジネスソリューションの研究開発活動の金額は671百万円です。
主な活動内容は、次世代開発基盤「aiuola」および会計ソリューション「Ci*X」の開発に関する技術調査・研究であります。
製造ソリューションの研究開発活動の金額は200百万円です。
主な活動内容は、スマートファクトリー領域のソリューションおよびAIによる要因分析サービス「CALC」に関する技術調査・研究であります。
コミュニケーションITの研究開発活動の金額は60百万円です。
主な活動内容は、ソーシャルメディアアナリティクスおよびスポーツ・テックのビジネス適用に関する調査・研究であります。
上記に属さない研究開発活動の金額は406百万円です。
主な活動内容は、スマート農業データ流通基盤「SMAGt」の開発に関する技術調査・研究、ブロックチェーン、AI・機械学習技術を活用したソリューションなどの研究・実証実験などであります。