第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動等、又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間の世界経済は、米国の関税政策の引き上げなどの通商政策や不安定な国際情勢の長期化など先行き不透明な状況が続いています。

こうした環境下、当中間連結期間における当社グループの業績は、下表のとおりです。売上総利益のオーガニック成長率は△0.2%でしたが、為替の影響などにより、売上総利益は前年同期比3.4%減となりました。調整後営業利益は、販管費抑制などにより同7.2%増、オペレーティング・マージンは同100bps増となったものの、親会社の所有者に帰属する調整後中間利益は同1.4%減となりました。また、減損損失の計上などにより、営業損失は365億45百万円(前年同期は営業利益257億30百万円)、親会社の所有者に帰属する中間損失は736億47百万円(前年同期は中間利益55億64百万円)となりました。

 

調整後営業利益は、営業利益から、買収行為に関連する損益及び一時的要因を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標であります。

買収行為に関連する損益:買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、完全子会社化に伴い発行した株式報酬費用

一時的要因の例示   :構造改革費用、減損、固定資産の売却損益、割増退職金など

親会社の所有者に帰属する調整後中間利益は、中間利益から、営業利益に係る調整項目、条件付対価に係る公正価値変動額(アーンアウト債務再評価損益)・株式買取債務に係る再測定額(買収関連プットオプション再評価損益)、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標であります。

 

当中間連結会計期間の業績(金額の単位は百万円、△はマイナス)

科目

前中間連結会計期間

当中間連結会計期間

前年同期比増減

収益

680,937

683,904

0.4%

売上総利益

581,596

561,994

△3.4%

営業利益(△は損失)

25,730

△36,545

親会社の所有者に帰属する中間利益(△は損失)

5,564

△73,647

 

 

当中間連結会計期間の主要な利益指標(金額の単位は百万円、△はマイナス)

科目

前中間連結会計期間

当中間連結会計期間

前年同期比増減

調整後営業利益

63,006

67,526

7.2%

オペレーティング・マージン

11.0%

12.0%

100bps

調整後中間利益(親会社の所有者に帰属)

32,902

32,442

△1.4%

 

※ なお、ロシア事業については2024年7月に譲渡取引が完了していますが、譲渡が完了するまでの期間に発生したロシア事業に係る営業損益は、一時的要因として調整後営業利益には含めておりません。

 

 

 

当中間連結会計期間における報告セグメントの業績は、次のとおりです。

 

a.日本

インターネット広告をはじめとするマーケティング事業、ビジネス・トランスフォーメーション(BX)、デジタル・トランスフォーメーション(DX)、スポーツ&エンターテインメント(SP&E)が成長し、売上総利益のオーガニック成長率は5.3%、売上総利益は2,367億8百万円(前年同期比5.3%増)となりました。人員増強による人件費の増加はあったものの、トップラインの伸長などにより、調整後営業利益は583億28百万(同18.8%増)、オペレーティング・マージンは24.6%(前年同期は21.8%)となりました。

 

b.Americas(米州)

Americasにおける売上総利益のオーガニック成長率は△3.4%となりました。主要マーケット別にみると、米国、カナダは厳しい状況となっています。

為替レートが円高となっていること及び一部子会社の売却により、Americasの売上総利益は1,538億47百万円(前年同期比7.9%減)でしたが、販管費抑制により、調整後営業利益は333億42百万円(同1.4%減)、オペレーティング・マージンは21.7%(前年同期は20.2%)となりました。

 

c.EMEA(ロシアを除くヨーロッパ、中東及びアフリカ)

EMEAにおける売上総利益のオーガニック成長率は、△2.4%となりました。主要マーケット別にみると、イギリス、オランダ、フランス、デンマークなどは厳しい状況となっていますが、スペイン、ポーランドなどは堅調でした。

EMEAの売上総利益は1,212億99百万円(前年同期比3.2%減)となり、調整後営業利益は56億97百万円(前年同期比36.3%減)、オペレーティング・マージンは4.7%(前年同期は7.1%)でした。

 

d.APAC(日本を除くアジア太平洋)

APACにおける売上総利益のオーガニック成長率は△8.9%となりました。主要マーケット別にみると、中国、オーストラリアなどは厳しい状況となっておりますが、台湾、タイは好調でした。

売上総利益は471億71百万円(前年同期比11.9%減)となり、調整後営業損失は41億91百万円(前年同期は調整後営業損失25億27百万円)、オペレーティング・マージンは△8.9%(前年同期は△4.7%)でした。

 

当中間連結会計期間末の財政状態については、前連結会計年度末と比べ、「営業債権及びその他の債権」及び「のれん」が減少したことなどにより、資産合計で3,581億23百万円の減少となりました。一方、負債については、「営業債務及びその他の債務」及び「その他の流動負債」が減少したことなどにより、負債合計で2,391億66百万円の減少となりました。また、主に当期損失などの計上により「利益剰余金」が減少したことなどから、資本合計は1,189億57百万円の減少となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は3,692億44百万円となりました。財務活動による支出等により、前連結会計年度末に比べ27億45百万円の減少となりました。それぞれの活動におけるキャッシュ・フローは、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果により得た資金は、前中間連結会計期間に比べ1,085億40百万円増加し、369億81百万円となりました。主に営業債権及びその他の債権の減少等による運転資本の増減によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得た資金は、前中間連結会計期間に比べ399億98百万円増加し、111億47百万円となりました。主に子会社の取得による支出の減少や有価証券の売却による収入の増加によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、前中間連結会計期間に比べ197億19百万円増加し、292億14百万円となりました。主に短期借入金の純増減額及び長期借入れによる収入の減少によるものであります。

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

(4) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した内容に、重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間における研究開発活動の金額は、11億19百万円であり、日本におけるものであります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6) 従業員数

当中間連結会計期間において、当社グループの従業員数に著しい増減はありません。

 

(7) 生産、受注及び販売の実績

当中間連結会計期間において、著しい変動はありません。

 

(8) 主要な設備

当中間連結会計期間において、著しい変動はありません。

 

(9) 経営成績に重要な影響を与える要因

当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した経営成績に重要な影響を与える要因に、重要な変更はありません。

 

 

(10) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 資金需要の主な内容

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施のための媒体料金及び制作費の支払等並びに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。

 

② 資金調達及び流動性の状況

当社グループは、内部資金、金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパー、又は債権流動化等の多様な手段の中から、その時々の市場環境や長期資金の年度別償還額も考慮した上で、有利な手段を機動的に選択し、資金調達を行っております。なお、長期資金については、原則として、当社で一元的に調達しております。

また、緊急時の流動性を確保するため、当社はシンジケーション方式による極度額1,000億円のコミットメントラインを設定しております。加えて、急速な外部環境変化等に万全を期すため、引き続き金融機関との間で追加の銀行融資枠を設定しております。

さらに、グループ内の資金調達の一元化・資金効率の向上・流動性の確保の観点から、資金余剰状態にある子会社から当社が資金を借り入れ、資金需要が発生している子会社に貸出を行うキャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。

当社グループは、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題と認識しており、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期格付AA-、短期格付a-1+を取得しております。また、主要な内外金融機関との間で長期に亘り築き上げた幅広く良好な関係に基づき、当社グループの事業の維持拡大に向けた必要な運転資金の確保、成長投資資金の調達を問題なく実施可能であると認識しております。

 

3 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。