第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

オリックスグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてオリックスグループが判断したものです。

 

①  ORIX Group Purpose & Culture

  オリックスグループは、「ORIX Group Purpose & Culture」を定め、オリックスグループの社会における存在意義であり、すべての活動の根幹となるものを「Purpose」、また、「Purpose」を実現するために、世界中のオリックスグループ社員が大切にする共通の価値観を「Culture」としています。

 

〔Purpose(存在意義)〕

  変化に挑み、柔軟な発想と知の融合で、未来をひらくインパクトを。

 

〔Culture(価値観)〕

  ・多様性を力に変える。

  ・挑戦をおもしろがる。

  ・変化にチャンスを見出す。

 

②  中長期的な事業戦略「ORIX Group Growth Strategy」

  Purposeを実現するため、以下の3つの戦略的投資領域を定めたうえで、オリックスの強みとして長年培ってきた「事業価値創造」と「顧客課題解決」の2つのビジネスモデルを生かした事業戦略を通じて、社会にインパクトをもたらしてまいります。

 

「テクノロジーの進化」に焦点をあて、未来経済における新たなインパクト創造を目指す“PATHWAYS”

「世界の人口増加・動態変化」に着目し、変化する世界の中で、持続可能な成長をサポートする“GROWTH”

「地球温暖化・限りある資源」をテーマとし、これらの課題に対してポジティブなインパクトを与える“IMPACT”

これらの領域において、各セグメントの強みを掛け合わせ、協業をより一層強化していくことで、規模感のある事業展開を実現してまいります。

 

③  目標とする経営指標

  当社は、純利益成長に加えてROEを最重要の経営指標として位置づけ、TSR(株主総利回り)の向上を図ってまいります。長期ビジョンとして、2035年3月期のROE15%、当期純利益1兆円を定量目標とし、その中間目標として2028年3月期のROE11%を目指します。

  安定的な株主還元として、「配当性向39%もしくは前期実績の高い方」の配当実施を継続するとともに、信用格付A格相当の財務健全性を維持することを前提に、ROE目標を重視し、機動的な自社株買いを実施します。(格付についての詳細は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) 財務戦略の基本的な考え方」をご参照ください)。

  当社株主に帰属する当期純利益とROEの過去3年間の推移は、以下のとおりです。

 

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

当社株主に帰属する当期純利益(百万円)

290,340

346,132

351,630

 ROE(%)

8.5

9.2

8.8

 

 

     ④  経営環境

  当連結会計年度においては、ロシア・ウクライナ紛争の長期化やイスラエル・ハマス紛争など地政学的リスクは依然として高い水準にあるほか、グローバルなインフレ、エネルギーコスト高、欧米の金利高、中国の景気後退など、事業環境は世界的に不安定な状況にありました。一方で、日本国内においては、金融市場の正常化が進むとともに、インバウンド需要を含む経済活動の回復が鮮明となってきています。オリックスグループでは、事業投資・コンセッション、輸送機器等のセグメントで増益、環境エネルギー、アジア・豪州等のセグメントで減益となりました。

  今後も、日本国内では引き続き金融市場の正常化が期待されますが、一方で地政学的リスクの継続、米国の通商政策など、経済環境の不透明感は続いています。与信先・投資先の業況の変化に対して、引き続き注意を払うことが必要な状況です。

 

     ⑤  対処すべき課題

  オリックスグループは、企業の持続的な成長を可能にするために、以下のような取り組みを進めています。

 

  「サステナビリティの推進」:変化を続ける経済や社会、地球環境の中で企業が存続し成長を続けるためには、いかにして「サステナビリティ(持続可能性)」を意識した経営を推進するかが基本的な課題となります。オリックスグループは経済や社会、環境変化がもたらすリスクと機会をグローバルな視野で的確に捉え、ステークホルダーとともに経済的発展や持続的成長に寄与することを目指します。具体的には、2021年11月に設定した「重要課題」をはじめとした社会・環境課題の解決に向けて、各事業部門ではそれぞれの事業活動を通じた社会課題解決に寄与すべく、事業特性に合った様々なサステナビリティ戦略を実践し、また経営管理部門においては、社員への浸透活動、情報開示の拡充、関連ポリシーの制定やアップデートを進めています。

 

  「リスク管理の強化」:経営戦略実現のために必要なリスク管理の方針や基準を策定し、それを実現するための体制づくりおよび内部統制システムの実効性を不断に向上させる仕組みづくりを進めています。また、リスクを適切に特定・評価、コントロール、マネジメントできる体制の整備とその運用強化に継続的に取り組んでいます。

 

  「情報セキュリティの強化とデジタルトランスフォーメーションの推進」:業務のデジタル化を通じた業務改革の推進とデジタル化された経営情報のセキュリティ管理施策を実施しています。また、その次のステップとして、蓄積した膨大な取引データの有効利用に加え、ITを駆使した事業拡大と新規事業の開発を視野に入れています。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) 全体

 創業時よりオリックスグループは、事業活動を通じて新しい価値を提供し、社会に貢献することを基本としてきました。社会に新しい価値を提供し、社会に必要とされる存在となることが、オリックスグループの持続的な成長を可能にすると考えています。

 

 変化を続ける経済や社会、地球環境の中で企業が存続していくためには「サステナビリティ(持続可能性)」を意識して経営に臨むことが企業活動の基本であると考えています。こうした考えのもと、オリックスグループは経済・社会・環境の変化がもたらすリスクと機会を的確に捉え、社会やステークホルダーとともにグローバル社会の経済的発展や持続的成長に寄与し、またそれらを考慮した企業経営を行うことを目指しています。

 

① ガバナンス

 オリックスグループの事業は多様であり、各事業が社会に影響を与える、または各事業が社会から影響を受けるサステナビリティ課題も多岐にわたります。そのため、サステナビリティへの対応は、「コーポレートレベル(全社テーマ)」と「事業部門レベル」の2つに分けて行っています。

 

 コーポレートレベルを担うのはサステナビリティ委員会です。同委員会はサステナビリティを全社横断的に着実に推進するため、必要な実行戦略・KPI・活動手順を明確にし、取締役会に報告して承認を得ています。委員長はグループCEO、メンバーはグループCOO、執行役副社長、コーポレート部門統括役員、そのほかグループCEOが指名する執行役等です。議案の内容に応じてその他の関係者も参加します。委員会の役割は次のとおりです。

(a) 目標の達成に向けた具体策に関する討議

(b) 短期的な利益成長・長期的な成長と付随するコンフリクトに関する討議

(c) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD) において要求される気候変動リスク低減に向けた討議

(d) サステナビリティを取り巻く国内外の情勢に関する情報共有

(e) 取締役会への報告事項に関する討議

 

 事業部門レベルを担うのは、事業部門長です。事業部門長は、部門戦略会議でトップマネジメントを含む社内取締役と定期的にサステナビリティに関する議論を行います。議論の内容はサステナビリティ委員会および取締役会にも報告されます。事業部門では、全社テーマを考慮しながら、それぞれの事業特性に合わせてサステナビリティを推進しています。

 

 2022年3月期からは、執行役(取締役を兼務する者を含む)に対する報酬方針として、ESGへの取り組み状況を年次賞与の定性評価項目に取り入れています。また、2024年3月期から常務以上の執行役について、オリックスグループとしてのESG関連の重要目標の進捗状況を定量評価項目として追加しました。事業部門の取り組みが環境・経済・社会に与える影響を考慮し、中長期的な視点で事業活動を行うことを、役員が率先して推進することを目的としています。

 

 個別の投資、融資に関する案件は投・融資委員会で審議します。委員長はグループCEO、メンバーはグループCEOが指名する執行役等です。オリックスグループではサステナブルな投融資を推進する目的でサステナブル投融資ポリシーを定めています。同委員会に付議する投融資案件はサステナブル投融資ポリシーに基づいてESGの観点からチェック(スクリーニング)を行い、対象案件がもたらす環境、社会面への影響を十分に考慮した上で案件を判断します。審議された案件の内容、重要性等を考慮し、必要に応じて取締役会にも報告しています。

 

 

② 戦略

 持続可能な社会を実現するため、そしてオリックスグループの持続的な成長を実現するため、2021年11月に環境・社会・ガバナンスの各分野で重要課題を設定しました。これらの重要課題を中長期的なミッションとして位置づけ、コーポレートレベルおよび事業部門レベルで取り組んでいます。

 

(a) 気候変動リスク軽減のための重点分野・課題

  ⅰ. GHG排出削減目標を設定する。

  ⅱ. 事業者および投資家として、再生可能エネルギー分野における事業発展に寄与する。

  ⅲ. 気候変動関連リスクの定量化とその削減に努め、TCFDの提言を継続的に順守する。

  ⅳ. 循環型経済の推進と廃棄物削減の適切な処理を継続する。

  ⅴ. 環境リスクの高い事業分野への投融資残高削減を推進するとともに、新規投融資において除外規定を明示

      する。

  ⅵ. 環境への影響を緩和するための商品・サービスの提供により、すべての関係者と共同で環境改善を促進す

      る。

 

(b) 人権問題を含む社会的リスク軽減のための重点分野・課題

  ⅰ. 新たな社会関連リスク発生を排除するため、サステナブル投融資ポリシーと行動指針および管理体制の強

      化を継続する。

  ⅱ. 国連世界人権宣言の支持、労働者の健康と安全・DE&I(多様性、公平性、包括性)・差別排除などの

      基本的人権の尊重をすべての関係者と共有する。

  ⅲ. 社員の多様性を尊重し、柔軟な働き方の推進・キャリア支援、公正な評価報酬制度・健康管理体制の整備

      を通じて、DE&Iを促進し、社員の働きがいを高める。

 

(c) 透明性、遵法性、誠実性を基本とするガバナンス強化のための重点分野・課題

  ⅰ. 取締役会は独立した客観的な立場から、業務執行に対する実効性の高い適切な監督・指導ができるための

      体制を維持する。

  ⅱ. グループCEOは、取締役会の監督下において、当該重要課題の対応を含め、すべての業務執行の責任を

      担う。

  ⅲ. 顧客満足度を重視した持続可能な商品・サービスの提供を継続する。

  ⅳ. すべての事業において、顧客からの信頼構築に努める。

  ⅴ. 適切な納税を含む、すべての法律・規制などコンプライアンスを重視する遵法精神を構築する。

 

③ リスク管理

 オリックスグループでは、外部環境の変化に関する情報や、株主・投資家、地域社会、顧客、社員、サプライヤー・事業パートナー等のステークホルダーとの対話を通じて得られる情報などを広く収集しています。サステナビリティ委員会では重要課題の達成状況のモニタリングや評価を行い、必要に応じて重要課題の見直しを検討します。サステナビリティ委員会での討議内容は取締役会に定期的に報告し承認を得ています。

 

 事業部門では各事業の特性に関連する情報を収集し、サステナビリティのリスクと機会を継続的に分析しています。各事業部門はサステナビリティ推進方針とそれを実行するためのKPIを設定しており、その進捗状況に対するモニタリングと評価を部門戦略会議で行い、必要に応じて事業計画の見直しを検討します。

 

 サステナブル投融資ポリシーにおいて投融資禁止取引を規定し、人権上の問題が懸念される企業との取引や特定のセクター・事業活動にかかる取引を排除しています。個別の投融資案件では、サステナビリティに関連する国際的なガイドラインに基づいて作成した、オリックスグループ独自のチェックリストである「サステナブル投融資チェックリスト」を使用してESGの観点から案件を評価しています。案件実行後も重要なESGリスクは継続してモニタリングしています。

 

 人権については、人権ポリシーを定め人権尊重の取り組みを推進するためのガイドラインとしています。2024年に行った改定により、オリックスグループが尊重する人権の範囲をそれまでの「自社従業員とお取引先」から「サプライヤーや地域社会」まで広げ、教育・研修、救済措置、開示を行う方針を明確にしました。また英国現代奴隷法に関する声明で開示しているように、事業を行っているさまざまなセクターや地域のリスクプロファイルの確認、不当行為等の報告を奨励する通報制度の整備、社員の教育を行っています。

 

 サプライチェーンマネジメントについては、持続可能なサプライチェーンの構築のために、自社とサプライヤーの事業活動を一貫して、労働上の安全衛生や自然環境保護に関する法令遵守を推進しています。2025年3月期はオリックス自動車株式会社、オリックス不動産株式会社、オリックス・レンテック株式会社において「サプライヤーの整理」「リスク分析・評価」「サプライヤー行動指針の制定」に取り組みました。

 

 環境関連については、環境方針を定め環境・エネルギー問題の解決、法令遵守、情報開示等を推進しています。2024年には、環境関連に係る推進状況の進展を踏まえ改定しました。

 

 コンプライアンスや情報セキュリティに関しては、それぞれ全社をカバーする体制と社内規程を整備し、また社員に対しては定期的な研修も実施しています。

 

 社員については、ORIX Group Employee Engagement Surveyを実施し、社員エンゲージメントのトレンドを把握すると同時に、「ORIX Group Purpose & Culture」の組織への浸透状況の把握にも活用しています。また、オリックスグループ各職場における組織マネジメントへの活用のほか、人事施策決定の参考情報や現在実施している人事施策の効果検証に使用しています。

 

④ 指標および目標

 重要課題を具体的なアクションに結びつけるため、2021年11月に重要目標を設定しました。重要目標の内容は、社外取締役比率、女性取締役比率、女性管理職比率、GHG(CO2)排出量削減、GHG(CO2)排出産業*に対する投融資残高削減に関するものです。サステナビリティ関連の重要目標は、各国の法令遵守を前提としています。法令に照らして上記の適用が難しい国・地域においては、その目標が適用されないことがあります。詳細は、統合報告書2024 9ページ、2024年9月時点の進捗状況は同41ページから44ページをご参照ください。

*海外現地法人における化石燃料採掘業やパーム油プランテーション、林業を指します。

 

(2) 気候変動への対応

  オリックスグループでは気候変動による自社および社会のリスクを軽減し、脱炭素社会へと移行するための取り組みを積極的に推進しています。気候変動への対応についても、「コーポレートレベル(全社テーマ)」と「事業部門レベル」の両方で行っています。

 

① ガバナンス

 コーポレートレベル(全社テーマ)で気候変動への対応を担うのはサステナビリティ委員会です。同委員会では、TCFD提言に基づくシナリオ分析の実施結果や、GHG排出量削減に向けた取り組みの進捗、世界的な議論や今後想定される規制強化の流れ、取引先から寄せられる要望などについて討議します。また取締役会に討議内容を報告し、適宜指示を受けています。

 

 事業部門では、事業部門長を責任者として、気候変動リスクに対応しています。具体的には、GHG排出量が一定規模以上の事業に関してはその削減策を計画し、その実現を図ります。また、シナリオ分析の実施によって気候変動リスクが自社に一定規模以上の財務影響を生じさせる可能性が認められる場合には、その対応策を検討します。自ら行う事業を通じた取り組みに限らず、投融資先、その他取引先、サプライチェーンへの働きかけなど、各事業の特性に合わせたさまざまな方法を検討していきます。事業部門の取り組みは部門戦略会議でトップマネジメントを含む社内取締役と議論の上で決定し、その内容はサステナビリティ委員会および取締役会にも報告されます。

 

② 戦略

 気候変動と関連性が高い事業部門についてはシナリオ分析*を行っています。そして想定される影響を分析して、全社戦略および事業部門ごとの戦略に反映しています。リスクと機会から想定される影響は次のとおりです。詳細は、統合報告書2024 46ページから47ページおよび88ページから91ページをご参照ください。

 

(a) 物理的リスク・機会

 運営施設や営業拠点の被災による、事業停止や対策・復旧によるコスト増加、気温上昇による運営コストや建築コストの増加、顧客の被災による与信コスト増加、投資先の被災による資産価値棄損などのリスクがあります。

 

(b) 移行リスク・機会

 規制強化による事業停止・資産価値棄損・座礁資産化、炭素排出に係るコスト増加、顧客業績の悪化による与信コスト増加、GHG高排出投資先の企業価値下落などのリスクがあります。一方、再生可能エネルギーへの需要が高まるなど事業機会も考えられます。

 

*シナリオ分析とは、気候変動やそれに対応するための長期的な政策動向などが経営環境をどのように変化させるかを予想し、そのような変化が自社の経営戦略にどのような影響を与えるかを検討することです。オリックスグループでは4℃シナリオ(今世紀末の平均気温上昇が産業革命以前と比べて4℃程度)および1.5℃シナリオ(今世紀末の平均気温上昇が産業革命以前と比べて1.5℃に抑えられる)の2つを使用しています。前者のシナリオによる影響を「物理的リスク・機会」、後者のシナリオによる影響を「移行リスク・機会」と呼びます。

③ リスク管理

 サステナビリティ委員会では、外部環境の変化や、ステークホルダーとの対話を通じて得られる情報を広く収集し、リスクや機会の見直し、シナリオ分析の前提の見直しなどを行っています。そしてオリックスグループが受ける影響を定期的に分析して、戦略の妥当性を確認しています。サステナビリティ委員会での討議内容は取締役会に報告し承認を得ています。

 

④ 指標および目標

 気候関連のリスク・機会を評価・管理するための重要目標は、統合報告書2024 9 ページをご参照ください。

2024年3月期のGHG(CO2)排出量はスコープ1と2の合計で112.9万トンです。2020年3月期の基準排出量126.6万トンと比較すると13.7万トン(約10.8%)の減少です。2基の石炭・バイオマス混焼発電所による排出量は79.6万トンで、全体の70.6%を占めています。現在はバイオマス燃料を約35%混焼させることで、同等クラスの石炭火力発電所と比べてCO2排出量の低減を図っています。

 

 その他の重要目標を含めた進捗状況の詳細は統合報告書2024 44ページおよび84ページをご参照ください。

 

(3) 人的資本への対応

① 戦略

(a) オリックスグループの人的資本経営

  オリックスグループは、金融事業を軸として隣接分野へ事業を拡大し、現在では多角的な事業ポートフォリオを有するユニークな企業グループに成長しました。今後もさまざまな分野で持続的な事業成長を実現するためには、多様な人材がそれぞれの経験やスキルを持ち寄り、イノベーションの創出につながる「知の融合」を加速させる必要があります。

 

  オリックスグループの人的資本経営とは、「コアバリュー」(独自の価値観から生まれる行動様式)の浸透と、「コアケイパビリティ」(組織的な変革力)の強化、「多様な人材が活躍できる職場づくり」を三位一体で進めることで、新規事業の創出や既存事業の価値向上を図り、持続的な事業成長につなげていく経営のあり方です。

 

  ⅰ.コアバリューの浸透

  「ORIX Group Purpose & Culture」の中で定義される3つの価値観に即した行動様式を実践することで、オリックスグループらしい持続的な事業成長を実現していくことを、人的資本経営におけるコアバリューと定義しています。

 

人的資本経営において実現を目指す3つの価値観に即した行動様式

価値観

行動様式

多様性を力に変える

既存の枠組みにとらわれない柔軟な発想と幅広い知見を生かす知の融合

挑戦をおもしろがる

未知や困難に対する挑戦をおもしろがり、自ら新たな機会に挑む姿勢

変化にチャンスを見出す

世の中の変化や時代の要請をいち早く察知し、新たなビジネスの芽を見出す嗅覚

 

  ⅱ.コアケイパビリティの強化

  コアケイパビリティとは、オリックスグループが事業成長を実現する過程で培ってきた多種多様な事業ノウハウからなる独自の組織的な変革力です。また3つのコアケイパビリティが重なり合うことで生まれる、経営的な目線で事業全体を牽引する力を「マルチケイパビリティ」と定義しています。

 

3つのコアケイパビリティ

ビジネスデザイン

 新たな事業・サービスを創る力

市場や顧客の要請を先取りし、新たなビジネス機会を創出することで、オリックスグループの事業拡大に貢献

バリューエンハンスメント

 事業の価値を向上させる力

サービス・事業のクオリティ向上を通じ、既存事業の価値向上や収益性の向上に貢献

リスクマネジメント

 事業リスクを見極め評価する力

事業のリスクとリターンを正確に見極めることで、事業成長のための適切な意思決定に貢献

 

  ⅲ.多様な人材が活躍できる職場づくり

  オリックスグループでは、多様な人材が集まり、組織の壁を越えて議論を重ねながら、新しい事業価値を次々と創造してきました。持続的な事業成長のためには、コアバリューの浸透とコアケイパビリティの強化を実現する土台として、多様な人材が活躍できる職場づくりが不可欠です。そのために、性別・国籍・年齢等によらない多様なバックグラウンドと価値観を持つ人材を受け入れ、社員が安心して自分らしく働くための環境整備を推進しています。

 

(b) 具体的な取り組みと実績

  ⅰ.DE&I(多様性、公平性、包括性)の推進

  社員の多様性を受容・尊重するために働きやすさと働きがいの両輪で各種施策を推進しています。また多様性の確保として当社では、日本国内での新卒採用に加え、キャリア採用(中途採用)や海外での新卒採用にも注力しています。当期の採用数の57.0%がキャリア採用であり、社員の41.5%はキャリア採用社員、2.0%は海外籍の社員で構成されています。

 

健康的に安心して働くことのできる職場環境づくり

  社員一人一人が状況に合わせて人事制度を組み合わせながら活用できるよう幅広い選択肢を整備する方針で、在宅勤務制度、スーパーフレックスタイム制度(コアタイムのないフレックスタイム制度)や時間単位の年次有給休暇制度、サテライトオフィスおよびモバイル環境の整備などにより、時間と場所に柔軟な働き方を推進しています。

 

女性活躍推進、共働き・共育てを支える環境整備

  当社は、男女雇用機会均等法が施行(1986年)される以前の1982年から、大卒女性の総合職としての採用を始めるなど、いち早く女性の活躍推進に取り組んでいます。性別に関係なくキャリアを構築し、意思決定の場に参画できるよう、課長層向けには、一段高い視座を学び得るために部長層とのメンタリングの実施や異業種勉強会を通じた社外交流のほか、選抜研修では社員の男女比率と同等となるよう機会提供に取り組んでいます。将来の女性リーダーのパイプライン形成に向けては、事業セグメント長と人事部門でパイプラインを可視化し、職責者への登用や本人の意欲や能力に応じた適切な業務アサインにつなげ、キャリア形成を支援しています。

  また、夫婦参加型の両立セミナー、男性育休の推進など、共働き・共育てを支える環境整備を女性活躍推進の一環として取り組んでおり、女性だけでなく多様な人材が活躍する職場づくりの重要性への意識を、全社員が一層高めるよう推進しています。

 

  ⅱ.人材育成、自律的キャリア形成支援

  当社では、事業活動を通じた経験から得る知見、成長を重視し、育成の柱と考えています。これらを支える基盤として、さまざまな研修制度や自己研鑽支援制度を設けており、社員一人当たりの平均研修時間は28.9時間/年、研修費用は129,649円/年です。また、社員のモチベーションを高める公正な評価報酬制度を設け、社員の育成に責任を持って取り組み、また社員との対話を充実させることで、社員の将来に投資しています。

  同時に社員が中長期的なキャリアを描くための実践的な情報提供や、新しい分野におけるスキル習得機会の提供など、自らの意思でキャリアを選択できる機会や環境を整備することで、社員の成長を支援しています。具体的には、「社内インターンシップ制度」(一定期間、希望する部署で違う業務に従事できる制度)や「キャリアチャレンジ制度」(社員が異動を希望する部門へ直接アピールできる制度)といった、社内にいながらさまざまな職場・仕事に出会える制度に加え、社内外の有資格者に相談できるキャリア相談窓口を設け、社員のモチベーション向上、積極的なチャレンジと自律的キャリア形成につなげています。また、本人が望む異動先を直接人事に申告する「自己申告制度」は年に一度、全社員に申告する機会があり、自身のキャリアを考えるきっかけとして活用されています。

 

② 指標および目標

  社員の多様性を尊重し、柔軟な働き方の推進・キャリア支援、公正な評価報酬制度・健康管理体制の整備を通じて、DE&Iを促進し、社員の働きがいを高めることを重要課題としています。

  前記の戦略の実践をふまえ、多様なバックグラウンドを持つ社員に対して「意思決定への参画」や「平等なリーダーシップの機会の提供」のベンチマークの一つとして女性活躍推進を捉えており、重要目標の一つとして女性管理職比率の向上を設定、推進しています。

 

重要目標の設定

  2030年3月期までに、オリックスグループの女性管理職比率を30%以上とする。

  2025年3月末時点のオリックスグループの女性管理職比率は、当社で33.2%、国内グループ9社で28.8%です。

 

※ 国内グループ9社とは、当社、オリックス自動車株式会社、オリックス・レンテック株式会社、オリックス債権回収株式会社、オリックス不動産株式会社、オリックス環境株式会社、オリックス生命保険株式会社、オリックス銀行株式会社、オリックス・システム株式会社を指します。オリックスグループの人事戦略に基づき、当社と人事制度や人事システムの一部を共同で運営しているグループ会社です。

 

(4) 情報・サイバーセキュリティリスクへの対応

① ガバナンス

 オリックスグループでは、ISO、NISTなどの情報セキュリティ統制に関する国際的規格に準拠した情報セキュリティ管理体制、基本方針、管理基準、教育および監査等に関する社内規程を制定しています。オリックスグループの情報セキュリティに関する戦略・方針、サイバーインシデントに関する対応方針は、グループCEO、CFOなどから構成される経営情報化委員会において討議し決定する旨を情報セキュリティ管理規則に規定しています。

 

 サイバーセキュリティインシデントの対応状況については、情報セキュリティ統括部門の管掌役員が監査委員会に報告し適切な情報共有を図っています。また、サイバーインシデントの重大性判断を行い、ディスクロージャー・コミッティに対して適時報告する体制を整備しています。

 

 オリックスグループでは、当社および連結子会社が最低限実施しなければならない全社共通のセキュリティ要求事項を規定し、情報システムの脆弱性管理により各システムが最新の状態を保つことを要求するほか、ネットワーク防御等の技術的施策、外部との物理的および論理的境界に加え内部不正による情報漏えいなども視野に入れたセキュリティログの収集および管理に関する社内規程等を制定しています。

 

② リスク管理

 オリックスグループでは、情報セキュリティ統括部が情報・サイバーセキュリティリスクに関する事項を、経営情報化委員会に報告し、管理しています。

 

 オリックスグループでは、サイバーセキュリティおよび情報セキュリティに関する意識向上教育プログラムを確立しています。当社および連結子会社の全ての従業員、当社のネットワークにアクセスする委託先社員は、少なくとも年に1回のオンライントレーニングの受講を義務付けられています。これらの教育プログラムには、年に数回不定期に実施するフィッシングメールに関するトレーニングも含まれています。また、情報セキュリティインシデント発生時のエスカレーション、対応シミュレーション等の訓練も実施しています。

 

 オリックスグループでは、当社および連結子会社に情報セキュリティ統括責任者を設定し、四半期ごとに、サイバーセキュリティに関する知見、セキュリティ対応に関する対応方針等の共有を行い、グループのサイバーリスク対応の底上げを行っています。また、業務委託、クラウドサービスの利用など、第三者を通じた間接的なサイバーセキュリティリスクに対応するため、取引先、業務委託先に対する定期的なセキュリティに関わるアセスメントを実施しているほか、取引先や業務委託先から提供される情報システム、クラウドサービスの安全性を確認し、情報セキュリティ統括部門がリスク評価する体制を整備しています。

 

 情報・サイバーセキュリティリスクに関する評価と管理は、情報セキュリティ統括部が担っており、特に管理強化が必要な領域や詳細な解析を求める場合は、必要に応じて外部コンサルタントによる支援を受けて対応を行っています。

 

 また、オリックスグループでは、情報セキュリティ統括部門にグループCSIRTを設置する等、情報セキュリティインシデント発生時の対応体制の構築などにより、サイバー攻撃および情報セキュリティの毀損を含むシステム障害や情報漏えいなどのセキュリティ侵害が発生するリスクの軽減を図っています。サイバー攻撃等により情報セキュリティインシデントが発生した場合、業務運営上の影響度と二次被害発生等の可能性のスコアリングによる判定で中程度Medium以上のインシデント発生と判定される場合には、情報セキュリティ統括部門に適時報告を行う体制の整備を行っています。情報セキュリティ統括部門ではインシデントの解析・調査を行う機能を整えるとともに、法務部門およびコンプライアンス部門と連携し、被害の最小化、二次被害防止の対応を図り、重大な事案は都度、経営情報化委員会を通じてグループCEOまで報告を行い、その指示の下、適切な対応を行っています。現情報セキュリティ管掌役員は、オリックス入社以前、10年以上の金融業界での経験を含め、20年以上に亘り様々な外資系企業でシステム開発、プロジェクトマネジメント、セキュリティマネジメントに携わり、その中で培ったITや情報セキュリティに関する豊富な知見を有しています。

 

 なお、当連結会計年度において、経営に重大な影響を与える可能性がある情報セキュリティインシデントは発生していません。

 

3【事業等のリスク】

  当社が発行する有価証券への投資は、リスクを伴います。投資家の皆様は、以下に記載するリスクに限らず、オリックスグループの連結財務諸表およびその注記などあらゆる情報を慎重にご検討ください。オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績、そして当社の有価証券の価格は、以下およびその他の要因によって不利な影響を受ける可能性があります。また、リスクの顕在化により、直接財務上の損失が発生しなかったとしても、オリックスグループの評判に不利な影響が及ぶ可能性があります。本項には、不確定要素を伴う将来の予測に基づく記述もあります。よって、実際の結果は本項または本有価証券報告書の他の部分に記載されている要因のみならず、様々な要因によって予測とは異なることもあり得ます。なお、本項における将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。

  以下に記載するリスクに関する主な管理状況については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 5)全社的リスク管理体制 ② 主なリスク管理」をご参照ください。

 

(1)外部環境に関するリスク

①  世界経済の低迷や政治情勢の混乱などによる影響

  オリックスグループは日本のみならず、米州、欧州、アジア、豪州などで事業活動を展開しています。これらの国や地域およびこれらに影響を与える他の国々における政治情勢および経済状況の悪化、例えば、戦争や暴動の発生、財政および金融政策の変化、商品市況の大幅変動、原材料や建築費等の高騰、消費者需要の落ち込み、貿易摩擦などが生じた場合や、米中間の貿易や技術をめぐる争いなどの影響により、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。米国トランプ第2期政権の政策変更による政治経済上の不確実性の高まりや、ロシア・ウクライナ紛争およびイスラエル・ハマス紛争に関して、現時点で当社業績に大きな影響はないものの、長期的な影響を予測するのは困難な状況です。

  オリックスグループでは、リスク管理手法を不断に改善し、上記のような経済環境からの影響が最小限にとどまるよう努めていますが、今後、世界経済の低迷や政治情勢の混乱などが生じた場合には、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

②  他社との競争による影響

  オリックスグループは、価格設定、取引条件、取引の仕組み、サービスの品質等において、他社との競争にさらされています。

  競合他社は、低い調達コストを通じて、もしくは収益性を度外視することによって、価格やその他の条件について、積極的に競争しようとする可能性があります。また、技術の進歩やイノベーションが起こり、新たな競合が出現した場合、オリックスグループは、より効果的にそれらの競合他社と競いあうため、ビジネスの見直しを迫られる可能性があります。オリックスグループがこのような他社と競り合う場合、マーケットシェアが低下する、または利益が減少する可能性があります。

 

③  風評による影響

  オリックスグループの事業は、顧客や市場関係者からの信頼を基盤としています。オリックスグループの活動や、関連する業界、取引先について否定的な評判が広まった場合、その内容が事実かどうかに関わらず、オリックスグループの評判や事業に対する信頼が低下する可能性があります。その場合、顧客や事業機会を失い、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性や、当社の株価に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

④  気候変動による影響

  気候変動による物理的リスクと移行リスクは、日本および世界において、政治的、社会的および規制上の関心が高まっており、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

  気候変動による主な物理的リスクは、特定の気象災害や環境条件の段階的な悪化に関連し発生する可能性があります。その結果、運営施設や営業拠点の被災による事業停止や対策・復旧によるコスト増加、気温上昇による運営コストや建築コスト増加、顧客の被災による与信コスト増加、投資先の被災による資産価値棄損などの可能性があります。

  気候変動政策の変更、環境規制強化および技術革新などにより主な移行リスクが発生する可能性があります。その結果、規制強化による事業停止・資産価値棄損・座礁資産化、炭素排出に係るコスト増加、顧客業績の悪化による与信コスト増加、温室効果ガス(GHG)高排出投資先の企業価値下落などの可能性があります。

  気候変動が及ぼすリスク・機会の評価やその開示による企業価値の向上を図るため、2020年10月にTCFD提言への賛同を表明し、TCFDが推奨する4つのテーマ(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿って情報開示の拡充に取り組んでいます。また、ESG関連の重要課題ならびに重要目標において、GHGを削減すること、環境リスクの高い事業分野への投融資残高を削減することを既に表明しています。オリックスグループは、ESG関連の重要課題への取組を維持する方針ですが、政治、経済、技術、社会および市場環境の発展やその他の要因は、その多くが当社のコントロールの及ばないものであり、また、大きな不確実性を伴うため、ESG関連の重要目標を計画通りに達成するための当社の戦略または組織能力に影響を与える可能性があり、設定した期限までに目標を達成できない可能性があります。また、これらのリスクや目標達成の失敗が、当社の事業や業績に不利な影響を及ぼし、当社の中長期的な取組に大きな影響を与える可能性があります。

  気候変動に関する影響につきましては、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」もご参照ください。

 

⑤  予測不能な事象の影響

  地震、暴風雨、洪水、津波などの自然災害、異常気象、火災、感染症の大流行などの予測不能な事象が発生した場合、市場価格が想定を超えて変動したり、特定の国や地域の経済状況が予期せず悪化したり、オリックスグループの役職員、事務所、設備、運営施設などに被害が発生する可能性があります。その結果、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

 

(2)信用リスク

  オリックスグループは、主にファイナンス・リースおよび営業貸付金に対して信用損失引当金を計上していますが、この残高が、将来の信用損失を補填するのに十分であるという保証はありません。オリックスグループが事業を行っている国内外の経済環境が悪化した場合、もしくは特定の業界や市況、顧客の業績が悪化した場合、現在の信用損失引当金では不十分となる可能性があります。

  オリックスグループでは、ポートフォリオを管理しリスク分散に努めていますが、景気動向などによっては、信用損失引当金の追加繰入が必要となる可能性があります。

  また、金融、経済情勢の変化によって担保や中古物件の価値が下落した場合や、その他保全措置からの回収見込額が減少した場合に、その他の与信関係費用が増加する可能性があります。

  このような場合、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

(3)ビジネスリスク

  「事業や投資先の投資回収の不確実性、商品市況の価格変動性や、提供する商品・サービスの品質の低下・陳腐化」をビジネスリスクと定義しています。

 

①  事業拡大やM&A、他社との合弁、提携などの不確実性による影響

  オリックスグループは、国内外で積極的に事業を拡大していますが、新たなリスクや複雑化したリスクに直面した場合、これらのリスクに十分に対応できず、予期しない多額の費用が発生する、あるいは損失を被る可能性があります。このような費用や損失は、規制上、技術上またはその他の要因により、買収を通じて事業拡大する際には特に重大な問題となる可能性があります。また、事業や事業機会が想定どおり拡大しない場合や、他社との競争により収益性が損なわれる場合などは、期待した結果を得られない可能性もあります。

  オリックスグループは、事業拡大の一環としてM&Aを実施することがありますが、買収後の収益が、買収時に見込んだ将来の予想収益を大幅に下回る場合や、その他の財務上または経営上の困難に直面した場合には、M&Aに伴い発生したのれん(営業権)等について、多額の減損処理が必要となる可能性があります。

  オリックスグループの投資先の事業は多岐にわたっており、なかには金融サービス事業とは大きく異なるものもあります。これらの事業が失敗すると、財務上の損失を被るだけではなく、将来の事業機会を失う、あるいは、当初想定した時期や価格で売却できない等の可能性があります。また、これら投資先の財政状態が悪化した場合、信用補完や追加投資などの財政支援が必要となる可能性もあります。

  また、オリックスグループは、他社との合弁や提携などによる事業も行っています。これらの成否は、当該パートナーの事業遂行能力、財務の安定性、事業を取り巻く法的環境などに依存しますが、それらが悪化した場合、追加投資が必要となる、損失が発生する、さらには事業を中止せざるを得なくなる可能性があります。

  このような場合、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績および評判に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

 

②  資産価値変動による影響

  オリックスグループは、事業運営に必要な様々な資産を保有するとともに、国内外において、不動産、航空機、船舶などへの投資も行っています。これらの保有資産や投資資産の価格は変動する可能性があり、その価値は将来著しく下落する可能性があります。

  保有資産や投資資産に評価損が生じた場合は、会計基準に準拠してその認識時点における公正価値に基づき計上されますが、流動性需要が突然発生した場合、あるいは顧客のクレジットイベントの対応として、当該資産を売却した場合の損失は、必ずしもこれら評価損の範囲内に収まるとは限りません。

  また、一部のリース取引においては、リース開始時にリース契約終了時の物件の残存価額を見積もります。リース物件の残存価額は、中古市場における時価、物件陳腐化の時期や度合いなどの想定に基づいて算出しますが、物件価格と中古市場のトレンドが想定と異なる場合、その見積額を回収できずに損失を被る、あるいは評価損の計上が必要になる可能性があります。

  そのほか、オリックスグループは、資産運用事業を行っていますが、市場において株式などの資産価格が変動した場合、運用成績に影響が及び、受託資産残高や手数料が減少し、オリックスグループの収益が低下する可能性があります。

  このような場合、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

③  その他のビジネスによる影響

  オリックスグループは、金融サービス事業をはじめとして、国内外で多種多様な事業を展開しています。

  新たな事業へ参入した後の業績には様々な不確実性を伴うため、想定を超えるリスクが発生した場合、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

(4)市場リスク

①  金利および為替相場の変動による影響

  オリックスグループの事業は、国内外の金利や為替相場の変動リスクにさらされています。

オリックスグループでは資産と負債の状況をモニタリングし、統合管理(ALM)を行っていますが、金利水準や為替の変動により影響を受ける可能性があります。

  金利の急激な上昇もしくは上昇懸念時には、調達コストが上昇する一方で、ファイナンス・リースおよび営業貸付金などの新規取引において、市場金利の上昇に見合うリース料や貸付金利の引き上げを実現できない可能性があります。

  貸付金利が変動金利の場合、金利の上昇時には、当該貸付に対する顧客の支払負担が増加し、顧客の支払能力や財政状態に悪影響が及ぶ可能性がある一方、金利の低下時には、営業貸付金の早期弁済等が促進され、オリックスグループの資産が減少する可能性があり、金利水準の変動がオリックスグループの資産の信用状況や資産の構成、収益創出力に影響を与える可能性があります。

  オリックスグループは、外貨建ての営業取引や、海外投資に伴う為替リスクに対してすべての為替リスクをヘッジしているわけではありません。したがって、金利や為替の水準が大きく変動した場合、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

②  デリバティブ取引によるリスク管理が機能しない場合の影響

  オリックスグループは、主に投資資産の価格変動リスク、金利変動リスクおよび為替変動リスクをヘッジするために、デリバティブ取引を利用することがあります。しかしながら、ヘッジ対象資産の評価額の把握やデリバティブ取引の執行が適切に行われないことや、市場環境の急変により継続取引や反対取引が困難になり、意図した経済効果が得られない等、デリバティブ取引によるリスク管理が十分に機能しない可能性があります。また、デリバティブ取引の相手方が契約上の債務を履行できない可能性もあります。一方、当社の信用格付が引き下げられた場合は、既存のデリバティブ契約や、新規のデリバティブ取引に不利な影響が及ぶ可能性があります。

  これらの場合、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

③  株価および債券価格の変動による影響

  オリックスグループは国内外において、上場、非上場の株式および債券への投資を行っています。これらの投資資産の価格は変動するものであり、その価値は将来著しく下落する可能性があります。価格の著しい下落があった場合、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

(5)流動性リスク(資金調達に関するリスク)

  オリックスグループの主な資金調達方法は、銀行およびその他の金融機関からの借入、資本市場からの調達(例えば、社債、ミディアム・ターム・ノート、コマーシャル・ペーパーおよび営業貸付金等の証券化)、ならびに預金などです。その中には、コマーシャル・ペーパーや一部の金融機関からの短期借入等の短期負債、および一年以内に返済予定の長期負債も相当額あります。コミットメントラインには、財務制限条項の遵守などの条件を含むものがあります。

  オリックスグループにとって流動性リスクが増加することは、新規の資金調達や既存の調達資金の期日更新が困難になる、調達コストが上昇するといった可能性が高まることを意味します。流動性の制限や、必要な資金を適正なコストで調達できなくなるなどの事態が発生した場合、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

  また、当社は格付機関から信用格付を取得しています。市場の混乱やオリックスグループの財務内容の悪化などにより、当社の信用格付が引き下げられた場合、オリックスグループの金利負担が増加する可能性があります。コマーシャル・ペーパーや社債の発行コストの上昇、銀行およびその他の金融機関からの借入コストの上昇や借入可能額の減少、エクイティ調達条件の悪化など、資金調達力に不利な影響が及び、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(6)コンプライアンスリスク

  オリックスグループでは、法令や社内規程を遵守するため、適切なコンプライアンス体制を構築し、コンプライアンスプログラムを実施するなど、コンプライアンスの徹底を図っていますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。また、オリックスグループの事業は広範囲に及んでおり、新規事業への進出やM&Aなどによる事業の拡大に伴い、内部統制が効果的に機能しない可能性があります。このような場合、オリックスグループ(役職員を含む)が制裁を受けることがあり、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績および評判に不利な影響が及ぶ可能性があります。

  さらに、オリックスグループは、オリックスグループのコントロールが及ばない提携先企業、投資先企業、合弁事業者等のコンプライアンスリスクの影響を間接的に受けています。

  これらの事業者が法令等に違反した場合には、オリックスグループの事業活動、財政状態、経営成績および評判に不利な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)法的リスク

①  法規制による影響

  オリックスグループは、各国の独占禁止法、個人情報保護法、犯罪収益移転防止法、腐敗行為防止法および日米の企業開示規制など一般に適用される法令のほかに、貸金業、金融商品取引業、建設業、宅地建物取引業、旅館業、保険業、銀行業、信託業など業態ごとに適用される各国の法令の規制や、さらには事業種別に応じて規制当局の監督を受けています。

  また、オリックスグループの事業に関連して提訴された場合や、規制当局などの調査対象となった場合、法令違反の事実の有無に関わらず、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

②  法令や会計基準などの制定や改正、変更による影響

  法令、規則などの制定や改正が行われた場合、オリックスグループの各事業の遂行方法や、商品やサービス、またはオリックスグループの投融資、資金調達活動に制限が加わる等の悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらの制定や改正に対処する費用が増大する可能性があります。昨今では、個人情報保護、犯罪収益移転防止、腐敗行為防止、反競争的行為防止等の分野において、日本国内での事業活動に直接適用されるような諸外国の法令が制定されており、今後もこのような法令が増え続ければ、一つの分野においても複数国の異なる法規制に対処しなければならないために、把握すべき法規制の数が大幅に増えるほか、対処費用が増大する可能性があります。

  会計基準の制定や変更が行われた場合は、オリックスグループの収益性や財務の健全性に変わりはなくても、関連業界、取引先や金融市場にネガティブな影響が及ぶ可能性があります。その結果、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

 

③  契約の不備による影響

  各種取引の際、必要な契約を締結しなかったり、オリックスグループの意図した取組内容が契約条件に反映されない契約を締結した場合、権利侵害等の不法行為や契約違反を理由として契約の相手方や第三者からクレームを受けたり、想定していた権利が得られずに取引に支障を来す等、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

(8)情報・サイバーセキュリティリスクおよびITリスク

①  情報の滅失・盗難・毀損・漏えいの影響

  オリックスグループは、個人情報を含む顧客情報、財務会計情報、人事情報など、様々な情報を保有しています。サイバー攻撃、その他の不正行為により情報の滅失、盗難、毀損あるいは漏えいが生じる場合、オリックスグループが個人情報保護法や欧州一般データ保護規則のような関連法令により政府による調査、訴訟またはその他の手続を受けたり、損害賠償請求を受けたりする可能性があります。

  その結果、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績および評判に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

②  サイバーセキュリティの情報システムへの影響

  オリックスグループは、顧客情報、財務会計情報の管理や事業運営において情報システムを活用しており、また、これらの多様な情報システムを利用するうえで、グループ内組織の他、在宅ワーカーや業務委託先など、社外ネットワークを介した接続を行っています。これらの情報システムや情報ネットワークに対するサイバー攻撃、その他のサイバーテロなどにより、顧客に提供している商品やサービスが中断する、もしくは企業活動そのものが中断する可能性があります。

  また、攻撃を受けた情報システムにとどまらず、ネットワークを介して広範囲に影響を受ける可能性があります。

  サイバーセキュリティリスクは近年著しく高まってきており、サイバー攻撃の頻度やその巧妙さも増してきています。特に、ロシア・ウクライナ紛争、イスラエル・ハマス紛争を含む地政学的な緊張は高まる傾向にあり、国際社会が課した制裁に対する報復としてサイバー攻撃を受ける可能性や地政学的な問題に乗じた他者からのサイバー攻撃のリスクを増大させる可能性があります。加えて、オリックスグループは顧客や金融サービス業界の取引相手など第三者を通じた間接的なサイバーセキュリティリスクにも直面しています。例えば、第三者のシステムの脆弱性が高まると、オリックスグループの情報システムがサイバー攻撃にさらされる可能性があります。

  その結果、事業運営を回復するために多額の費用が発生したり、関連法令に違反して規制当局から制裁を受けたり、損害賠償の判決を受ける可能性があります。

  このような事態が発生した場合、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績および評判に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

③  システム障害等による影響

  情報システムの停止や誤作動または故障、役職員や外部委託先または第三者による誤操作や不正行為、ITツールの誤用による不正確な情報などにより、資金の入出金の遅延や、財務取引活動の混乱、事業の意思決定やリスク管理に利用する情報に誤りが生じ、顧客に提供している商品やサービスが中断する、もしくは企業活動そのものが中断する可能性があります。

  さらに、事業を復旧させるため多額の費用が必要となる可能性があり、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績および評判に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

(9)オペレーショナルリスクおよびその他リスク

①  オペレーショナルリスク

  オリックスグループの多様な業務の遂行には、様々なオペレーショナルリスクが伴います。例えば、不適切な販売行為や顧客クレームへの対応不備、社内での重要情報の共有不足、役職員、代理店、フランチャイジー、取引先、外部委託先および第三者による不正行為、資金決済事務におけるミス、または、労務管理および職場環境での問題発生などのリスクが考えられます。

  また、新たに商品やサービスを提供する際に、業務を適切に処理する体制とオペレーションを遂行する能力が求められますが、体制に不備のある場合またはオペレーションの遂行能力が不足していた場合は、マーケットや顧客からの信頼を損ない、収益の悪化や事業の撤退に繋がる可能性があります。

  オリックスグループの経営陣は、オペレーショナルリスクを管理し、適正と考える水準を維持するように努めていますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。このようなリスクが顕在化した場合には、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績および評判に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

②  リスク管理が十分効果を発揮しないことによる影響

  オリックスグループは、リスク管理の強化に注力していますが、事業が急速に拡大した場合や、外部環境が大きく変化した場合、リスク管理が必ずしも十分な効果を発揮しない可能性があります。その結果、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

  リスク管理体制については、「第4  提出会社の状況  4  コーポレート・ガバナンスの状況等  (1)コーポレート・ガバナンスの概要  5)全社的リスク管理体制」をご参照ください。

 

③  人的資源を確保できないことによる影響

  オリックスグループの事業では、国内外の市場で他社と競争し成功するため、多様な人的資源を安定的に確保する必要があります。オリックスグループが必要な人材を育成または雇用できない場合や、雇用している人材が退職した場合、専門家の雇用に関わるコストが追加発生したり、または商品やサービスの品質が低下したり、安定的な業務運営が継続できなくなるなど、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績に不利な影響が及ぶ可能性があります。

  人材戦略に関する当社の状況につきましては、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

④  財務報告にかかる内部統制に関するリスク

  当社は、法令等の遵守のために、財務報告にかかる内部統制の構築とその評価に注力していますが、予期しない問題が発生した場合等において、財務報告にかかる内部統制の評価手続きの一部を実施できないことや、内部統制の重要な欠陥が存在すること等を報告する可能性があります。このような事態が発生した場合、当社の財務報告に関する投資家の信頼低下などにより、当社の株価が下落し、オリックスグループの事業活動や財政状態、経営成績および評判に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 概要

  以下の財政状態および経営成績の分析は、オリックスグループの財政状態および経営成績に大きな影響を与えた事象や要因を経営陣の立場から説明したものです。一部には将来の財政状態や経営成績に影響を与えうる要因や傾向を記載していますが、それだけに限られるものではありません。また、本有価証券報告書の「第2  事業の状況  3  事業等のリスク」および「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等」などを併せてご覧ください。なお、将来に関する事項の記載は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。以下の記載においては、米国会計基準に基づく数値を用いています。

 

  当連結会計年度の当社株主に帰属する当期純利益は3,516億円となり、前連結会計年度と比較して2%増といった結果となりました。また、ROEは8.8%となりました。

  当連結会計年度のセグメント利益は、「法人営業・メンテナンスリース」「不動産」「事業投資・コンセッション」「保険」「輸送機器」「ORIX USA」「ORIX Europe」が増益となりましたが、「環境エネルギー」「銀行・クレジット」「アジア・豪州」が減益となり、前連結会計年度と比較して3%減の5,447億円となりました。経営成績の主な要因については、「(3)財政状態および経営成績の分析」をご覧ください。

 

(2)重要な会計方針および見積もり

  会計上の見積もりは、財務諸表の作成において必要不可欠であり、経営陣の現在の判断に基づいています。「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  2  重要な会計方針」には、連結財務諸表の作成において利用される重要な会計方針の要約が記載されています。会計上の見積もりは、連結財務諸表における重要性、ならびに見積もりに影響を与える将来の事象が、経営陣の現在の判断から大幅に異なる可能性があることから、特に慎重な判断を要するものです。当社および子会社は、以下の2つの理由から、本項中に説明する会計上の見積もりを極めて重要な項目とみなしています。第1に、見積もりは、会計上の見積もりがなされる時点では非常に不確定である事象について推定を行うことを必要とするためです。第2に、当社および子会社が該当する連結会計年度において合理的に利用し得た他の様々な見積もりや、会計年度が移り変わるにつれて合理的に発生する可能性の高い会計上の見積もりの変更は、当社および子会社の財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があるためです。以下は、当社および子会社の重要な会計方針および見積もりを表すものと考えています。

 

公正価値測定

  公正価値は、測定日に市場参加者間で行われる通常の取引において、資産の売却により受け取る価格または負債を移転するために支払う価格です。公正価値の測定には、重要な判断や前提、見積もりが必要になることがあります。観察可能な市場価額が入手できない場合には、当社および子会社は、割引キャッシュ・フロー法などの自社モデルを開発し、公正価値を測定しています。そのような評価技法を用いる場合、市場参加者が当該資産・負債の評価に用いるであろうと思われる前提条件を見積もる必要があります。評価には重要な判断を伴うため、異なる前提条件や異なる評価技法を用いた場合には、当社および子会社の財政状態や経営成績に重要な影響を与える可能性があります。当社および子会社が公正価値の測定に用いる重要な前提条件は、不動産担保価値依存の営業貸付金にかかる信用損失引当金の見積もり、有価証券の減損額の測定、営業権およびその他の無形資産の減損額の測定、長期性資産の減損額の測定、売却予定の営業貸付金、有価証券およびデリバティブの継続的な測定など、多くの見積もりに広範囲な影響を及ぼす可能性があります。

 

  当社および子会社は、公正価値の測定における評価技法に用いられるインプットを以下の3つに分類し、優先順位をつけています。

 

レベル1-測定日現在において入手できる同一の資産または負債の活発な市場における公表価額(非修正)のインプット

レベル2-直接的または間接的に当該資産または負債について観察可能なレベル1に含まれる公表価額以外のインプット

レベル3-当該資産または負債の観察不能なインプット

 

  また、当社および子会社は、すべての会計期間ごとに「継続的に」公正価値測定が求められる資産および負債と特定の環境下にある場合のみ「非継続的に」公正価値測定が求められる資産および負債とを区別しています。当社および子会社は主に特定の売却予定の営業貸付金、短期売買目的負債証券、売却可能負債証券、特定の持分証券、デリバティブ、その他資産に含まれる特定の再保険貸、保険契約債務および保険契約者勘定に含まれる変額年金保険契約および変額保険契約、特定の未払金について継続的に公正価値を測定しています。なお、一部の子会社は、一部の売却予定の営業貸付金、売却可能負債証券に含まれる一部の海外の国債および海外の社債、持分証券に含まれる一部の投資ファンド、一部の再保険契約、変額年金保険契約および変額保険契約について、公正価値オプションを選択したため、継続的に公正価値を測定しています。

 

  当連結会計年度末現在において、継続的に公正価値測定を行った主な資産および負債の内訳は以下のとおりです。

当連結会計年度末

内容

合計

(百万円)

測定日における公正価値による測定に用いるインプット

同一資産または

負債の活発な市場

における市場価額

(百万円)

その他の重要

な観察可能な

インプット

(百万円)

重要な観察不能な

インプット

(百万円)

レベル1

レベル2

レベル3

資産:

 

 

 

 

売却予定の営業貸付金

97,694

29,900

67,794

売却可能負債証券

2,607,637

12,243

2,377,740

217,654

持分証券

418,690

137,014

119,466

162,210

デリバティブ資産

64,170

361

54,992

8,817

その他資産

2,586

2,586

資産合計

3,190,777

149,618

2,582,098

459,061

負債:

 

 

 

 

デリバティブ負債

56,038

129

55,257

652

保険契約債務および保険契約者勘定

136,257

136,257

未払金

15,259

15,259

負債合計

207,554

129

55,257

152,168

 

  レベル1およびレベル2に分類される資産に比べて、レベル3に分類される金融資産は、連結財務諸表における重要性ならびに測定に影響を与える将来の事象が経営陣の現在の測定から大幅に異なる可能性があることから、特に慎重な判断を要するものです。

 

  当連結会計年度末現在において、継続的な公正価値測定を行いレベル3に分類された金融資産の内訳と総資産に占める割合は以下のとおりです。

当連結会計年度末

資産内容

重要な観察不能なインプット

(百万円)

総資産に占める割合(%)

レベル3

売却予定貸付金

67,794

0

売却可能負債証券:

217,654

1

日本および海外の地方債

10,878

0

社債

4,252

0

米州のCMBS/RMBS

7,082

0

その他資産担保証券等

195,442

1

持分証券:

162,210

1

投資ファンド 等

162,210

1

デリバティブ資産:

8,817

0

オプションの買建/売建、その他

8,817

0

その他資産:

2,586

0

再保険貸

2,586

0

 レベル3金融資産合計

459,061

3

 

 

 

総資産

16,866,251

100

 

  当連結会計年度末現在において、当社および子会社が継続的な公正価値測定を行った金融資産のうち、レベル3に分類された金融資産は459,061百万円で、総資産に占める割合は3%です。

 

  レベル3に分類された金融資産のうち43%を占める195,442百万円がその他資産担保証券等で、35%を占める162,210百万円が投資ファンド等です。

 

  その他資産担保証券等は、発行年度の古いものや投資適格未満とされるものについては、観察可能な取引は不足しており、ブローカーや独立したプライシングサービスからの価格情報に依拠することはできないと判断しています。その結果、それらの負債証券の公正価値を測定するために、割引キャッシュ・フロー法などを用いて(レベル3インプットを含む)自社モデルを開発し、それらをレベル3に分類しています。このモデルの使用にあたって、該当する証券の予想キャッシュ・フローを、市場参加者が想定するであろう信用リスクと流動性リスクを見積もって織り込んだ割引率で割り引いています。また、予想キャッシュ・フローは、デフォルト率や繰上償還率、当該証券への返済の優先順位等の想定に基づき見積もっています。その他資産担保証券等の公正価値は、一般的に割引率とデフォルト率の下落によって上昇し、割引率とデフォルト率の上昇によって下落します。

 

  レベル3に分類された投資ファンド等は、主に投資会社に該当する一部の米州子会社が保有する投資ファンド、および一部の子会社が公正価値オプションを選択している一部の投資ファンドです。投資会社に該当する一部の米州子会社が保有する投資ファンドについては、割引キャッシュ・フロー法およびマルチプル法の組合せならびに第三者の算定する価格に基づき公正価値評価しています。割引キャッシュ・フロー法は、投資先の将来キャッシュ・フローおよび加重平均資本コストなどを使用しています。マルチプル法は、投資先のキャッシュ・フローの実績や予測、類似の企業および類似の買収事例におけるEBITDAマルチプル等を使用しています。一部の子会社が公正価値オプションを選択している一部の投資ファンドについては、市場で観察不能なインプットに基づいた純資産価額をもとに割引計算する方法、第三者の算定する価格ならびに割引キャッシュ・フロー法に基づき公正価値評価しています。

 

  インプットが観察可能かどうかの判断に際しては、最近の取引事例の欠如、取得した価格情報が最近の情報に基づいていない、または時期や値付業者によって当該価格情報が大きく変わる状況、リスク・プレミアムの大幅な上昇を示唆する何らかの状況、売気配と買気配の幅の拡大、新規発行の大幅な減少、相対取引等のため公開情報がまったくないかほとんどないような状況、その他の諸要因を評価し判断しています。

 

  なお、公正価値測定の詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  3  公正価値測定」をご参照ください。

 

企業結合により取得した資産および引き受けた負債の公正価値の見積り

  当社および子会社は、すべての企業結合を取得法により処理しています。取得法では、取得した資産および引き受けた負債を、支配獲得日における公正価値に基づき認識および測定します。また、企業結合により獲得される無形資産が、2つの基準(契約または法的基準および分離可能基準)のうちの1つに該当する場合には、営業権から分離して認識しています。営業権は取得対価および非支配持分の公正価値の合計が、企業結合によって取得した純資産の公正価値に基づく認識額を超過する部分として測定しています。当社および子会社は、取得対価および非支配持分の公正価値の合計額が認識された純資産の公正価値を下回る場合にはバーゲン・パーチェス益を認識しています。

  企業結合により取得した資産および引き受けた負債の公正価値の測定には、重要な判断や前提、見積もりが必要になることがあります。企業結合により獲得される無形資産については、観察可能な市場価額が入手できない場合には、当社および子会社は、超過収益法やロイヤリティ免除法などの評価技法を用いて、公正価値を測定しています。そのような評価技法を用いる場合、将来の売上高成長率や営業利益率、割引率等の前提条件を見積もる必要があります。評価には重要な判断を伴うため、異なる前提条件や異なる評価技法を用いた場合には、当社および子会社の財政状態や経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

  経営陣は、これらの公正価値の算定は合理的なものであると考えていますが、将来の不確実な経済条件の変動により影響を受ける可能性があり、前提条件や評価技法の見直しが必要となった場合には、当社および子会社の財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

信用損失引当金

  当社および子会社は、金融資産の残存期間において将来的に発生すると予測されるすべての信用損失を見積もり、信用損失引当金を計上しています。信用損失引当金の設定は経営陣による多数の見積りと判断に左右されます。信用損失引当金の決定にかかる見積もりは、すべてのセグメントに関して重要な会計上の見積もりです。

  信用損失引当金の計上において、当社および子会社は、多数の要因の中でもとりわけ以下の要因を考慮しています。

 

・債務者の事業特性と財政状態

・過去の貸倒償却実績

・未収状況および過去のトレンド

・債権に対する担保および保証の価値

・経済環境や事業環境の現状ならびに予想される将来の見通し

 

  信用損失引当金の見積もりは、集合評価と個別評価を用いて行っています。また、オフバランスシートの信用エクスポージャーに対して引当金を計上しています。

 

  集合評価

  集合評価は、類似のリスク特性を有している金融資産を1つのプールとして信用損失引当金の見積もりを行います。信用損失引当金の見積もりには過去の貸倒償却実績およびその推移と相関する経済指標の将来予測を反映しています。貸倒償却実績の推移と相関する経済指標は、合理的かつ裏付け可能な方法により予測できる期間にわたって決定しています。経済指標には、GDP成長率や消費者物価指数、失業率、国債金利等があり、選択した経済指標が将来どのように変化するかの将来予測シナリオを考慮しています。当社および子会社は、国や中央銀行が公表している経済レポートや第三者の情報提供機関から、入手可能な直近の経済予測を経済指標に使用しています。

 

  個別評価

  個別評価は、類似のリスク特性を有さないと判断した金融資産に対して、将来キャッシュ・フローの現在価値、観察可能な市場価額または、担保依存のものは担保の公正価値に基づいて個別に信用損失引当金を見積もります。

 

  ノンリコースローンや買取債権においては、その回収可能額が主に不動産担保に依存しているため、原則として担保不動産の公正価値に基づいて回収可能額を評価しています。また、一部のノンリコースローンや買取債権については、その回収可能額を将来キャッシュ・フローの現在価値に基づいて評価しています。

 

  不動産担保の公正価値については、状況に応じて、同種の資産の売却を含む最近の取引事例やその他の評価技法、例えば稼働中の既存資産または開発プロジェクトの完成により生み出されると見積もられる将来キャッシュ・フローを使った割引現在価値法などに基づき、独立した鑑定機関や内部の不動産鑑定士により評価されます。原則、年1回新しい鑑定評価を取得しています。さらに、担保不動産の状況を定期的にモニタリングし、公正価値に重要な影響を及ぼすかもしれない経済的または物理的状態の重要な変化が生じた場合には新しい鑑定評価を取得しています。

 

  当社および子会社は、債務者の財政状態および担保資産の処分状況等から将来の回収可能性がほとんどないと判断した場合には、当該債権を償却しています。

 

  オフバランスシート信用エクスポージャーに対する引当金

  営業貸付金のローン・コミットメントや金融保証契約に関連する信用損失のうち、契約上の義務が無条件にキャンセル可能でない場合は、信用損失引当金の対象になります。

 

  ローン・コミットメントは、当社および子会社が信用を供与する現在の契約上の義務にもとづき、将来実行される可能性を見積もり、予想実行額に対して引当金を計上しています。

 

  金融保証契約は、偶発債務に含まれる信用エクスポージャーに対して、引当金を計上しています。

 

  これらのオフバランスシート信用エクスポージャーに対する引当金は、過去の貸倒償却実績、経済環境や事業環境の現状ならびに合理的かつ裏付け可能な方法による将来の見通しなどを含む定量的および定性的要因を考慮し、営業貸付金およびリース純投資の信用損失引当金と同様に様々な算定方法を使用して、引当金を見積もっています。

 

  このようなオフバランスシート信用エクスポージャーに対する引当金は、連結貸借対照表上、その他負債に計上しています。

 

  経営陣は現在入手可能な情報に基づき信用損失引当金は十分であると考えていますが、将来の不確実な事象により追加で信用損失引当金が必要になる可能性があります。

 

有価証券の減損

  当社および子会社は、短期売買目的保有以外の負債証券および代替的測定法を選択した持分証券に対して、以下のように減損の判断をしています。

 

  売却可能負債証券の減損については、公正価値が償却原価を下回った場合、その証券は減損しており、償却原価を下回る公正価値の下落が信用損失またはその他の要素のいずれから生じているかを個別の証券ごとに決定します。信用損失に伴う減損は信用損失引当金を通じて期間損益に計上しています。その他の要素から生じた減損は、税効果控除後の金額でその他の包括利益(損失)に計上しています。信用損失の見積もりにおいて、回収見込キャッシュ・フローの現在価値が償却原価ベースを下回る場合には、信用損失が存在するとみなしています。信用損失引当金を計上している負債証券を売却する意図がある場合、または当該証券の公正価値が償却原価まで回復する前に売却しなければならない可能性が50%超となった場合は、信用損失引当金を直接償却し、追加減損を期間損益に計上したうえで償却原価を公正価値まで減損しています。なお、公正価値が償却原価を下回った時点において売却可能負債証券の売却が見込まれる場合、信用損失引当金を通さずに公正価値と償却原価の差額の金額を直接減額する方法により評価損として期間損益に計上しています。

 

  売却可能負債証券の減損の判断において、当社および子会社は、これらに限定されるものではありませんが、以下の要因を含む、負債証券の回収可能性に関するすべての利用可能な情報を検討しています。

 

・公正価値が償却原価を下回っている下落の程度

・担保資産、担保の年数、ビジネス環境、経済環境および地域特性の継続的分析

・延滞や償却の傾向

・負債証券の支払構造や劣後する状況

・格付機関による証券の格付変更

 

  代替的測定法を選択した持分証券については、定性的な評価の結果、減損していると判断された場合には、公正価値により測定し、帳簿価額がこの公正価値を上回る金額を評価損として期間損益に計上します。

 

  代替的測定法を選択した持分証券の減損の判断において、当社および子会社は、これらに限定されるものではありませんが、以下の要因を含む、減損の兆候を検討して定性的評価を行っています。

 

・投資先の業績、信用格付け、資産の質、または事業見通しの著しい悪化

・投資先に関連する法令、経済または、技術的な環境における著しく不利な変化

・投資先が活動している地域または産業の一般的な市場状況の著しく不利な変化

・同じまたは類似の投資について、その投資の帳簿価額以下の金額での、購入の誠意ある申し込み、投資先による売却の申し出、または競売手続の完了

・マイナスの営業キャッシュ・フロー、運転資本不足、法令の資本要求または負債の契約条項の違反などの投資先の継続企業として存続する能力に重大な疑義をもたらす要素

 

  減損の判断には、非常に不確定な将来予想に基づいた見積もりが含まれています。経営陣は、主に客観的要因に基づいて評価損を計上すべき事実が存在するかを判断しています。

  投資先の財務状況が悪化した場合や業績予想を達成できない場合、あるいは実際の市況が経営陣の予測より悪化した場合において、当社および子会社は有価証券の追加損失を計上する可能性があります。

 

  有価証券の減損に関する会計上の見積もりは、すべてのセグメントに影響する可能性があります。

 

営業権およびその他の無形資産の減損

  当社および子会社は、営業権および耐用年数を確定できない無形資産は償却を行わず、少なくとも年1回の減損テストを行っています。また、減損の可能性を示す事象または状況の変化が起きた場合、発生した時点において減損テストを行っています。

 

  営業権の減損は、定量的な減損テストを実施する前に、報告単位の公正価値が営業権を含むその帳簿価額を下回っている可能性が50%超であるか否かについての定性的評価を行うことが認められています。当社および子会社は、一部の営業権については定性的評価を行っていますが、その他の営業権については定性的評価を行わずに直接定量的な減損テストを行っています。定性的評価を行っている一部の営業権について、事象や状況を総合的に評価した結果、報告単位の公正価値が帳簿価額を下回っている可能性が50%超でないと判断した場合は、その報告単位については定量的な減損テストを行っていません。一方、報告単位の公正価値が帳簿価額を下回っている可能性が50%超であると判断された営業権および定性的評価を行わない営業権については、定量的な減損テストを行っています。定量的な減損テストは、特定された報告単位の公正価値と帳簿価額を比較し、公正価値が帳簿価額を下回っている場合は、公正価値まで減額し、評価損を期間損益として認識しています。当社および子会社は、それぞれの事業セグメントまたはそれよりひとつ下のレベルの報告単位で、営業権の減損テストを行っています。

 

  耐用年数を確定できない無形資産の減損は、定量的な減損テストを実施する前に、耐用年数を確定できない無形資産が減損している可能性が50%超であるか否かについての定性的評価を行うことが認められています。当社および子会社は、一部の耐用年数を確定できない無形資産については定性的評価を行っていますが、その他の耐用年数を確定できない無形資産については定性的評価を行わずに直接定量的な減損テストを行っています。定性的評価を行っている一部の耐用年数を確定できない無形資産について、事象や状況を総合的に評価した結果、減損している可能性が50%超でないと判断した場合には、定量的な減損テストを行っていません。一方、減損している可能性が50%超であると判断された耐用年数を確定できない無形資産および定性的評価を行っていない耐用年数を確定できない無形資産については、当該無形資産の公正価値を算定して定量的な減損テストを行っています。耐用年数を確定できない無形資産の公正価値と帳簿価額を比較し、公正価値が帳簿価額を下回っている場合は、公正価値まで減額し、評価損を期間損益として認識しています。

 

  確定した耐用年数を持つ無形資産は、その耐用年数にわたって償却を行い、減損テストを行います。当社および子会社は、当該資産の減損の兆候を示唆する状況や環境の変化が生じた場合、回収可能性の判定を実施しています。当該資産から生じる割引前見積将来キャッシュ・フローが帳簿価額より低い場合は回収が困難であるとみなし、公正価値が帳簿価額を下回っている場合は、公正価値まで減額し、評価損を期間損益として認識しています。

 

  営業権の減損判定における公正価値の決定は、経営陣の将来予測に基づいた見積もりや独自に定めた前提を使用しています。同様に、見積もりや前提は無形資産の公正価値の決定にも使用しています。公正価値の決定は、割引キャッシュ・フロー法により社内で評価していますが、必要な場合は第三者による評価を参考にしています。またこの決定には、報告単位の将来の見積もりキャッシュ・フロー、固有のリスクを反映した割引率、成長率など多くの見積もりや前提を使用しています。例えば無形資産に含まれるアセットマネジメント契約の公正価値の決定においては、アセットマネジメントサービスを提供する投資ファンドにかかる資金流出入額を含む見積運用資産残高、加重平均資本コストに関わる見積もりや前提が含まれます。経営陣は、減損判定に使用した公正価値の見積もりに用いられた前提は合理的であると考えていますが、経済情勢や報告単位独自のリスクにより、実際の将来キャッシュ・フローや公正価値に影響を与える各項目が経営陣の予測よりも悪化した場合、当社および子会社は追加で減損を計上する可能性があります。

 

  営業権および無形資産の減損に関する会計上の見積もりは、すべてのセグメントに影響する可能性があります。

 

長期性資産の減損

  当社および子会社は、オフィスビル、賃貸マンション、航空機、船舶、メガソーラーや運営施設などをはじめとした使用目的で保有している有形固定資産や償却対象となる無形資産および不動産開発プロジェクトを含む長期性資産について、定期的に減損判定を実施しています。以下のような減損の兆候を示唆する状況や環境の変化が生じた場合、回収可能性の判定を行います。

 

・市場価値の著しい低下

・使用状況や方法、物理的状態の著しい悪化

・規制当局による不利な行為または査定を含む、法的規制や経営環境の著しい悪化

・取得や建設コストの大幅な見積超過

・継続的な営業損失、キャッシュ・フロー損失の発生あるいは発生見込み

・将来売却の予定であるが、その際に売却損が計上される見込み

 

  上記のケースに該当するか、その他の要因により減損している可能性があると判断される場合、当該資産から生じる将来キャッシュ・フローを見積もります。例えば航空機においては、主にオペレーティング・リース契約および独立した鑑定機関から取得した評価額を基礎として将来キャッシュ・フローを見積もります。将来キャッシュ・フローの見積もりは、将来の市況および営業状況の最善の見積もりを反映して調整された過去の実績の傾向を斟酌して行います。さらに見積もりには、将来キャッシュ・フローを見積もる期間を含んでいます。回収可能性テストの結果、当該資産から生じると予想される割引前見積将来キャッシュ・フローの総額が当該資産の帳簿価額を下回り、かつ当該資産の公正価値が帳簿価額を下回る場合には、当該資産の公正価値をもとに減損額を決定します。

 

  減損していると判断された場合、減損額は帳簿価額と公正価値の差額となります。公正価値については、状況に応じて、同種の資産の売却を含む最近の取引事例やその他の評価技法に基づき、独立した鑑定機関や内部の不動産鑑定士等によって評価されます。経営陣は、見積将来キャッシュ・フローおよび公正価値の算定は合理的なものであると考えていますが、実際の市況および使用状況が経営陣の予測より悪化した場合には、見積将来キャッシュ・フローの下方修正あるいはキャッシュ・フロー見積期間の短縮をもたらし、減損の追加計上が必要となる可能性があります。さらに、前提としたビジネスや営業状況の想定外の変化により、公正価値の下方修正を招くような見積もりの変更が生じ、長期性資産の評価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

  長期性資産の減損に関する会計上の見積もりは、すべてのセグメントに影響する可能性があります。

 

ファイナンス・リースおよびオペレーティング・リースの無保証残存価額

  当社および子会社は、ファイナンス・リースにおいてリース期間にわたり収益として認識される未実現リース益を計算する際、また、高い陳腐化リスクおよび再販リスクを持つオペレーティング・リースの減価償却額を計算する際において、リース物件(自動車、OA機器など)の無保証残存価額を見積もっています。無保証残存価額は、中古物件の市場価額、陳腐化する時期、程度についての見積もりおよび類似する中古資産におけるこれまでの回収実績を勘案して決定されます。中古物件にかかる実際の再リース需要や実際の市場状況が経営陣の予測を下回る場合、無保証残存価額の評価損が必要とされる可能性があります。

 

  ファイナンス・リースおよびオペレーティング・リースに対する無保証残存価額の会計上の見積もりは、主に法人営業・メンテナンスリースセグメントおよびアジア・豪州セグメントに影響します。

 

保険契約債務および繰延募集費用

  一部の子会社はお客様と生命保険契約を締結しています。

 

  保険契約は長期契約に分類され、主に終身保険、定期保険、養老保険、医療保険および個人年金保険契約等から構成されています。一時払終身保険および個人年金保険以外の保険契約において必要とされる将来保険給付債務は、将来の予想される保険契約給付金に基づく平準純保険料方式によって、契約年度、通貨、払方(全期払、短期払)および商品区分ごとにグルーピングして算出しています。将来支払う保険給付金や一定の関連費用の現在価値から、将来収受する予定純保険料の現在価値を控除した額を、保険料収入の認識時に負債計上しています。短期払契約について、受け取った営業保険料が純保険料を超過する額を繰延利益負債として計上しています。

 

  将来保険給付債務は、死亡率、罹患率、解約率、事業費率、割引率などの前提条件を用いて見積もっています。これらの前提条件は、過去の実績や業界データおよびその他の要因を勘案した上で決定しています。事業費率の前提を除き、連結会計年度ごとに少なくとも年に一度将来キャッシュ・フローの前提条件を見直しています。事業費率の前提については契約時に直近の実績に基づく事業費率を定めたうえで、その後見直しを行わない前提としています。また、四半期毎に過去の実績キャッシュ・フローを反映したうえでグループごとに将来保険給付債務の計算に使用する純保険料率を更新しています。当該純保険料率を用いて、再評価を実施した会計期間の期首時点の将来保険給付債務を計算し、純保険料率を更新する前の同日現在の負債の帳簿価額と比較し、その変動額を再測定による利益または損失として計上しています。なお、再評価後の期間については、更新後の純保険料率を使用して将来保険給付債務を測定しています。純保険料が営業保険料を上回った場合は、将来保険給付債務が増額され、超過金額は直ちに期間損益として認識されます。

 

  将来保険給付債務と同様のデュレーションを有する投資適格中程度の社債利回りとして、A格の確定利付金融商品の利回りを基礎とするイールドカーブを採用しています。A格の確定利付金融商品の利回りについては情報ベンダーの提供するインデックスを参照しています。割引率の前提は四半期ごとに更新した上で、報告日の負債の再測定に使用していますが、その結果生じる変動は税効果控除後の金額でその他の包括利益(損失)に計上されています。参照しているインデックスの観察可能な期間を超える期間については、スミス・ウィルソン法により終局フォワードレートを補間したイールドカーブを割引率の前提としています。

 

  一部の子会社は、変額年金保険契約および変額保険契約について、公正価値オプションを選択し、公正価値の変動を期間損益として認識しています。変額年金保険および変額保険契約の公正価値は、これらの契約者のために運用する投資有価証券等の公正価値の変動に連動しています。さらに、一部の子会社は、変額年金保険契約および変額保険契約に関して最低保証を行っており、契約上定められた最低給付額を保険契約者に履行するリスクを有しています。そのため、変額年金保険契約および変額保険契約全体の公正価値は、裏付けとなる投資の公正価値に最低保証リスクの公正価値を調整して測定しています。最低保証リスクの公正価値は、割引率、死亡率、解約率、年金開始率およびその他の要素に基づく割引キャッシュ・フロー法に基づいて算定しています。

 

  一部の子会社は、当該最低保証リスクを回避するため、変額年金保険契約および変額保険契約にかかる最低保証部分の一部を再保険会社に出再し、当該再保険契約について、公正価値オプションを選択しています。また、再保険でカバーされていないリスクについては、経済的ヘッジを行っています。再保険によって、保険契約者への契約上の義務が消滅または第一次債務者の地位から免責されるものではなく、再保険会社の債務不履行により、損失が発生する可能性があります。

 

  一時払終身保険契約および定額年金保険契約については、払込保険料に予定利回りに基づく利息額を加え、契約者の引出額、費用およびその他手数料を差し引くことで保険契約債務および保険契約者勘定を算出しています。

 

  新規保険契約の獲得もしくは保険契約の更新に直接的に関連する費用を繰り延べています。繰延募集費用は、主に保険契約維持費を除く代理店手数料および保険引受費用から構成されます。繰延募集費用の償却の基礎とする保険契約は、関連する将来保険給付債務の見積もりに用いられたグループと同様に、契約年度、通貨、払方(全期払、短期払)および商品区分によりグルーピングしています。将来保険給付債務の算出を行わない保険契約については、契約年度、通貨、商品区分によりグルーピングしています。繰延募集費用は、グループごとの予想保険期間にわたり一定水準となる方法で償却しています。

 

  すべてのグルーピングされた契約について、保険事業における経験、業界のデータおよびその他の要因に基づき、将来保険給付債務に使用される前提条件と整合的な死亡率および解約率を用いて保有契約数を予測しています。なお、死亡率および解約率の予測を変更した場合の繰延募集費用の償却に係る影響は、更新後の死亡率および解約率に基づいた保有契約数に実績を考慮する形で、当期および予測される残存契約期間にわたり認識されます。

 

  なお、新規保険契約の獲得もしくは保険契約の更新に直接的に関連する費用に対応する一部の再保険手数料(収益)が発生する場合、米国会計基準では繰り延べ、予想保険期間にわたり一定水準で償却し、再保険契約の対象となる契約にかかる繰延募集費用の未償却残高から控除しています。

 

  保険契約債務および繰延募集費用に関する会計上の見積もりは、保険セグメントに影響します。

 

  経営陣は、これらの保険契約債務および繰延募集費用の算定は合理的なものと考えていますが、将来の不確実な経済条件等の変動により影響を受ける可能性があり、前提条件の見直しを実施した場合は、当社および子会社の財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

ヘッジ取引の有効性評価

  当社および子会社は、ヘッジ目的で通貨スワップ、金利スワップおよび為替予約を利用し、公正価値ヘッジ、キャッシュ・フロー・ヘッジ、純投資ヘッジの適用にあたり、公正価値の変動を測定し会計処理しています。

 

  ヘッジ会計を適用するために、リスク管理の目的、ヘッジの方針、ヘッジ対象、ヘッジされる特定のリスク、利用するデリバティブ商品、および有効性の評価方法を含めたヘッジ関係の詳細を、ヘッジ取引開始時に正式に文書化しています。ヘッジ目的で利用されるデリバティブは、ヘッジされたリスクおよび取引開始時に定めた有効性の要件に対して、適切に公正価値もしくはキャッシュ・フローの変動を相殺することに高度に有効でなければなりません。

 

  ヘッジの有効性は実績および将来予測に基づき四半期ごとに評価されます。ヘッジ取引の開始時または四半期ごとの評価において、有効性の前提となる特定の条件が満たされない場合、ヘッジ会計は中止されます。ヘッジ取引の有効性の評価を行うために、回帰分析および比率分析等の手法を用いています。

 

  ヘッジ取引の有効性の評価に関する会計上の見積もりは、主に保険セグメントおよびアジア・豪州セグメントに影響する可能性があります。

 

年金制度

  年金制度における予測給付債務および年金費用の見積もりは、主に従業員数、年金数理計算上の基礎率、年金資産長期期待収益率および割引率によって決定します。

  年金費用は、制度の対象となる従業員数の影響を直接的に受けます。企業内部の成長または買収に伴う雇用の拡大によって、年金費用が増加する可能性があります。

  予測給付債務の見積もりにおいて、年金数理計算の基礎率として死亡率、制度脱退率、退職率および昇給率を用いています。計算数値と実際の結果が異なる場合、その差異は累積され将来期間にわたって償却されるため、測定の結果は将来期間に認識される年金費用に影響を与えます。

  年金資産長期期待収益率については、年金資産のポートフォリオの内容およびこれらのポートフォリオから生じる長期期待収益率に基づいて毎期決定しています。長期期待収益率は、従業員が勤務の結果として生じる給付を受けるまでの期間に、実際に年金資産から生じる長期の収益率に近似するように設定されます。その設定にあたっては、年金資産のポートフォリオから生じた過去の実際の収益や様々な資産から生じる個々の独立した予定利率を含む、多くの要素を用いています。

 

  すべての重要な年金制度の年金資産および予測給付債務の測定日は、3月31日です。割引率や他の基礎率を一定として、長期期待収益率が1%上昇または低下した場合、年金費用は2,895百万円減少または増加すると想定されます。

  割引率は、将来の年金債務の現在価値を決定するために用いています。割引率は、満期が将来の確定給付の支払時期に近似している安全性の高い長期の固定利付債券の利率を考慮しています。割引率は、毎年測定日に決定しています。

  長期期待収益率および他の基礎率を一定として、割引率が1%上昇した場合、年金費用は1,022百万円減少すると想定されます。また、長期期待収益率および他の基礎率を一定として、割引率が1%低下した場合、年金費用は1,117百万円増加すると想定されます。

 

  当社および子会社は、年金計算に用いる見積もりおよび基礎率は適切であると考えていますが、実際の結果との差異やこれらの基礎率あるいは見積もりの変更は、当社および子会社の年金債務および将来の費用に不利な影響を及ぼす可能性があります。

 

法人税等

  当社および子会社は、連結財務諸表作成に際し、事業活動を行っている税管轄地ごとに法人税等の見積もりを行っています。その過程においては、税務申告上と財務報告上とで処理が異なるために生じる一時差異を算定するとともに、実際の連結会計年度の法人税等を見積もります。この一時差異は、連結貸借対照表に繰延税金資産および負債として計上しています。当社および子会社は、繰延税金資産が将来の課税所得により回収される可能性を評価し、回収が見込めない場合には評価性引当金を計上しています。当社および子会社が評価性引当金を計上、または連結会計年度中に評価性引当金を増加させるとき、連結損益計算書において法人税等の費用を計上しています。

  法人税等、未払法人税等(当期分)、繰延税金資産・負債および繰延税金資産に対する評価性引当金の決定においては、経営陣の重要な判断が求められます。当社および子会社は、日本および海外各国で税務申告を行い、申告上で採用するあるいは将来採用するであろうタックス・ポジションについて、税法上の技術的な解釈に基づき、申し立てや訴訟等による決定を含む税務調査において認められる可能性が認められない可能性よりも高い場合に、その影響を財務諸表で認識し、税務当局との解決において実現する可能性が50%を超える最大の金額で当該認識基準を満たすタックス・ポジションを測定しています。このタックス・ポジションの評価の過程においては、日本および海外各国の複雑な税法の適用についての解釈を含む経営陣の判断が求められており、この判断が実際の結果と異なる可能性があります。また、当社および子会社は、主に税務上の繰越欠損金にかかる一部の繰延税金資産について、期限が切れる前に使用できることが不確実なため、評価性引当金を計上しています。評価性引当金は、主として税務上の繰越欠損金を有する連結子会社の繰延税金資産に対するもので、繰延税金資産の実現可能性の評価において、繰延税金資産の一部または全部が実現しない見込みが実現する見込みより大きいかどうかを考慮しています。繰延税金資産の最終的な実現可能性は、それらの一時差異が控除可能であり繰越欠損金が利用可能な期間中に将来の課税所得を発生させることができるかによります。この評価には、繰延税金負債の実現スケジュール、将来の予想課税所得および租税計画が考慮されます。過去の課税所得水準および繰延税金資産の控除可能期間における将来予想課税所得に基づいて、経営陣は、評価性引当金控除後のすべての繰延税金資産について実現する可能性は実現しない可能性よりも高いと考えています。評価性引当金の計上は、当社および子会社が事業活動を行う税管轄地ごとの課税所得および繰延税金資産が回収される期間の見積もりに基づいています。実際の結果がこれらの見積もりと異なる場合、または当社および子会社が将来の期間におけるこれらの見積もりを変更した場合、当社および子会社の財政状態および経営成績に重大な影響を及ぼす評価性引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

監査委員会との討議および同委員会による検証

  当社の経営陣は、特に重要度の高い会計上の見積もりを含んだ重要な会計方針について、その策定と選択を監査委員会と討議しています。

 

(3)財政状態および経営成績の分析

①  連結業績総括

経営成績の状況

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

金額

率(%)

営業収益                    (百万円)

2,814,361

2,874,821

60,460

2

営業費用                    (百万円)

2,453,648

2,542,995

89,347

4

税引前当期純利益            (百万円)

469,975

480,463

10,488

2

当社株主に帰属する当期純利益(百万円)

346,132

351,630

5,498

2

1株当たり当社株主に帰属する

当期純利益(基本的)        (円)

298.55

307.74

9.19

3

          (希薄化後)      (円)

298.05

307.16

9.11

3

ROE(株主資本・当社株主に帰属する

        当期純利益率)      (%)

9.2

8.8

△0.4

ROA(総資本・当社株主に帰属する

        当期純利益率)      (%)

2.19

2.12

△0.07

(注)  ROEは、米国会計基準に基づき、当社株主資本合計を用いて算出しています。

 

  当連結会計年度の営業収益は、金融収益や有価証券売却・評価損益および受取配当金、生命保険料収入および運用益等が減少したものの、オペレーティング・リース収益およびサービス収入が増加したため、前連結会計年度に比べて2%増の2,874,821百万円になりました。

 

  営業費用は、支払利息や生命保険費用等が減少したものの、オペレーティング・リース原価やサービス費用、その他の損益、長期性資産評価損等が増加したため、前連結会計年度に比べて4%増の2,542,995百万円になりました。

 

  また、持分法投資損益は前連結会計年度に比べて55%増の57,182百万円、子会社・持分法投資売却損益および清算損は前連結会計年度に比べて21%増の87,705百万円になりました。

 

  以上により、当連結会計年度の税引前当期純利益は、前連結会計年度に比べて2%増の480,463百万円、当社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて2%増の351,630百万円になりました。

 

財政状態の状況

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減

金額

率(%)

総資産

              (百万円)

16,322,100

16,866,251

544,151

3

 

(うち、セグメント資産)

16,022,129

16,456,627

434,498

3

負債合計

              (百万円)

12,297,490

12,691,036

393,546

3

 

(うち、長短借入債務)

6,200,471

6,282,798

82,327

1

 

(うち、預金)

2,245,835

2,449,812

203,977

9

株主資本                (百万円)

3,941,466

4,089,782

148,316

4

1株当たり株主資本      (円)

3,422.94

3,599.24

176.30

5

(注)1  株主資本は米国会計基準に基づき、当社株主資本合計を記載しています。

2  1株当たり株主資本は、当社株主資本合計を用いて算出しています。

3  2024年4月1日より、セグメント資産の対象に現金および現金等価物や受取手形、売掛金および未収入金等を含める方法に変更しています。これに伴い、前連結会計年度末のセグメント資産を組替再表示しています。

 

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

株主資本比率           (%)

24.1

24.2

D/E比率(長短借入債務(預金除く)/

            株主資本) (倍)

1.6

1.5

(注)  株主資本比率およびD/E比率は、当社株主資本合計を用いて算出しています。

 

  総資産は、使途制限付現金や社用資産等が減少したものの、現金および現金等価物や営業貸付金、その他資産(主に再保険貸)等が増加したため、前連結会計年度末に比べて3%増の16,866,251百万円になりました。また、セグメント資産は、前連結会計年度末に比べて3%増の16,456,627百万円になりました。

 

  負債については、預金や長期借入債務等が増加したため、前連結会計年度末に比べて3%増の12,691,036百万円になりました。

 

  株主資本は、前連結会計年度末から4%増の4,089,782百万円になりました。

 

②  連結業績概要

  セグメント情報および連結損益計算書中の諸科目、連結貸借対照表中の投資資産ならびにその他財務情報の詳細は以下のとおりです。

 

セグメント情報

  当社の経営上の最高意思決定者が経営資源の配分や業績の評価に使用しているセグメントは、主要な商品・サービスの性格、顧客属性、規制、営業地域などによって区分けしている経営管理上の組織に基づいて、「法人営業・メンテナンスリース」、「不動産」、「事業投資・コンセッション」、「環境エネルギー」、「保険」、「銀行・クレジット」、「輸送機器」、「ORIX USA」、「ORIX Europe」、「アジア・豪州」の10個で構成されています。

 

  報告されているセグメントの財務情報は、そのセグメントの財務情報が入手可能なもので、かつ経営上の最高意思決定者による業績の評価および経営資源の配分の決定に定期的に使用されているものです。当社株主に帰属する税引前当期純利益に相当する額で業績を評価しているため、非支配持分または償還可能非支配持分に帰属する当期純利益および税金費用はセグメント損益に含んでいません。

 

  2024年4月1日より、各セグメントへ配賦していた支払利息の一部について、セグメント利益と連結財務諸表との調整額(本社部門の損益)に含める方法に変更しています。これに伴い、前連結会計年度のセグメント数値を組替再表示しています。

 

  2024年4月1日より、セグメント資産の対象に現金および現金等価物や受取手形、売掛金および未収入金等を含める方法に変更しています。これに伴い、前連結会計年度末のセグメント数値を組替再表示しています。

 

  さらに詳しいセグメント情報、セグメント情報作成方法およびセグメント合計と連結財務諸表上の金額との調整については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 34 セグメント情報」をご参照ください。

 

 

セグメント収益

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

法人営業・メンテナンスリース

444,959

460,699

15,740

4

不動産

471,692

497,780

26,088

6

事業投資・コンセッション

379,168

377,931

△1,237

△0

環境エネルギー

165,598

186,021

20,423

12

保険

563,869

518,363

△45,506

△8

銀行・クレジット

88,574

63,304

△25,270

△29

輸送機器

65,191

119,592

54,401

83

ORIX USA

173,426

154,228

△19,198

△11

ORIX Europe

227,151

257,267

30,116

13

アジア・豪州

225,293

236,220

10,927

5

セグメント合計

2,804,921

2,871,405

66,484

2

連結財務諸表との調整

9,440

3,416

△6,024

△64

連結財務諸表上の営業収益

2,814,361

2,874,821

60,460

2

 

セグメント利益

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

法人営業・メンテナンスリース

83,244

90,329

7,085

9

不動産

67,055

70,541

3,486

5

事業投資・コンセッション

43,967

98,872

54,905

125

環境エネルギー

38,072

△4,923

△42,995

保険

70,826

74,399

3,573

5

銀行・クレジット

97,353

29,291

△68,062

△70

輸送機器

44,366

67,420

23,054

52

ORIX USA

27,931

39,915

11,984

43

ORIX Europe

41,638

44,373

2,735

7

アジア・豪州

47,069

34,451

△12,618

△27

セグメント合計

561,521

544,668

△16,853

△3

連結財務諸表との調整

△91,546

△64,205

27,341

連結財務諸表上の税引前当期純利益

469,975

480,463

10,488

2

 

 

セグメント資産

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

法人営業・メンテナンスリース

1,777,320

1,884,565

107,245

6

不動産

1,110,087

1,158,293

48,206

4

事業投資・コンセッション

1,066,647

1,022,944

△43,703

△4

環境エネルギー

976,434

1,016,175

39,741

4

保険

2,921,927

3,009,234

87,307

3

銀行・クレジット

2,934,217

3,144,571

210,354

7

輸送機器

1,169,641

1,231,973

62,332

5

ORIX USA

1,694,484

1,593,939

△100,545

△6

ORIX Europe

662,139

669,306

7,167

1

アジア・豪州

1,709,233

1,725,627

16,394

1

セグメント合計

16,022,129

16,456,627

434,498

3

連結財務諸表との調整

299,971

409,624

109,653

37

連結財務諸表上の総資産

16,322,100

16,866,251

544,151

3

 

(a)法人営業・メンテナンスリース:金融・各種手数料ビジネス、自動車および電子計測器・ICT関連機器などのリースおよびレンタル

 

  法人営業では、収益性を重視したファイナンス事業や、国内の中小企業に対して生命保険や不動産仲介などの商品・サービスを幅広く提供する手数料ビジネスに取り組むほか、事業承継支援やM&A仲介にも注力しています。メンテナンスリースでは、自動車関連事業において、業界トップクラスの車両管理台数を有し、自動車に関するあらゆるサービスをワンストップで提供しています。オリックス・レンテック株式会社が行うレンタル事業においては、電子測定器やICT関連機器に加え、ロボットや3Dプリンターなどの新たなサービスを拡大しています。

 

  セグメント利益は、子会社・持分法投資売却損益が増加したこと、およびオペレーティング・リース収益が増加したことにより、前年同期に比べて9%増の90,329百万円になりました。

 

  セグメント資産は、営業貸付金やオペレーティング・リース投資が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて6%増の1,884,565百万円になりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

金融収益

61,428

63,271

1,843

3

有価証券売却・評価損益および受取配当金

2,626

2,647

21

1

オペレーティング・リース収益

266,871

282,433

15,562

6

商品および不動産売上高

3,934

4,202

268

7

サービス収入

110,100

108,146

△1,954

△2

セグメント収益(合計)

444,959

460,699

15,740

4

支払利息

5,418

7,306

1,888

35

オペレーティング・リース原価

192,850

201,286

8,436

4

商品および不動産売上原価

3,234

3,335

101

3

サービス費用

58,896

57,372

△1,524

△3

その他の損益

14,896

18,305

3,409

23

販売費および一般管理費

88,621

89,599

978

1

信用損失費用、長期性資産評価損、

有価証券評価損

960

2,199

1,239

129

セグメント費用(合計)

364,875

379,402

14,527

4

持分法投資損益等

3,160

9,032

5,872

186

セグメント利益

83,244

90,329

7,085

9

 

 

 

前連結会計

年度末

(百万円)

当連結会計

年度末

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

リース純投資

567,735

569,380

1,645

0

営業貸付金

346,840

424,370

77,530

22

オペレーティング・リース投資

535,655

557,625

21,970

4

投資有価証券

36,683

29,690

△6,993

△19

事業用資産

17,404

43,857

26,453

152

棚卸資産

928

433

△495

△53

賃貸資産前渡金

3,400

6,177

2,777

82

持分法投資

14,984

16,375

1,391

9

事業用資産前渡金

143

143

営業権、企業結合で取得した無形資産

28,693

25,268

△3,425

△12

その他の資産

224,998

211,247

△13,751

△6

セグメント資産

1,777,320

1,884,565

107,245

6

(b)不動産:不動産開発・賃貸・管理、施設運営、不動産のアセットマネジメント

 

  堅調な市場環境を捉えて資産ポートフォリオの入れ替えを進めているほか、建築費の高騰など外部環境の変化を踏まえて収益性やリスクを慎重に見極めた不動産投資に取り組んでいます。収益基盤の安定化のため、不動産市況の影響を受けにくいアセットマネジメントや、分譲マンションを中心とした住宅関連事業、ホテル・旅館等の施設運営を展開しています。事業運営面では、DXの活用を含む業務効率化やサービス品質の向上を通じて、バリューチェーン全体の強化を図っています。

 

  セグメント利益は、持分法投資損益が減少したものの、オペレーティング・リース収益が増加したことにより、前年同期に比べて5%増の70,541百万円になりました。

 

  セグメント資産は、持分法投資や受取手形、売掛金および未収入金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて4%増の1,158,293百万円になりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

金融収益

6,134

4,860

△1,274

△21

有価証券売却・評価損益および受取配当金

857

1,282

425

50

オペレーティング・リース収益

50,205

61,321

11,116

22

商品および不動産売上高

111,013

107,859

△3,154

△3

サービス収入

303,483

322,458

18,975

6

セグメント収益(合計)

471,692

497,780

26,088

6

支払利息

3,016

2,616

△400

△13

オペレーティング・リース原価

24,972

24,167

△805

△3

商品および不動産売上原価

90,931

89,593

△1,338

△1

サービス費用

248,195

264,952

16,757

7

その他の損益

722

1,664

942

130

販売費および一般管理費

41,542

43,405

1,863

4

信用損失費用、長期性資産評価損、

有価証券評価損

1,285

3,098

1,813

141

セグメント費用(合計)

410,663

429,495

18,832

5

持分法投資損益等

6,026

2,256

△3,770

△63

セグメント利益

67,055

70,541

3,486

5

 

 

前連結会計

年度末

(百万円)

当連結会計

年度末

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

リース純投資

51,978

45,810

△6,168

△12

営業貸付金

52

30

△22

△42

オペレーティング・リース投資

278,191

311,377

33,186

12

投資有価証券

4,036

6,209

2,173

54

事業用資産

165,387

175,153

9,766

6

棚卸資産

174,990

182,652

7,662

4

賃貸資産前渡金

114,649

78,044

△36,605

△32

持分法投資

143,751

177,956

34,205

24

事業用資産前渡金

8,183

7,401

△782

△10

営業権、企業結合で取得した無形資産

52,898

50,801

△2,097

△4

その他の資産

115,972

122,860

6,888

6

セグメント資産

1,110,087

1,158,293

48,206

4

 

(c)事業投資・コンセッション:企業投資、コンセッション

 

  企業投資では、投資先の企業価値向上と、ポートフォリオの入れ替えによる継続的なキャピタルゲインの獲得を目指しています。注力業種への投資拡大を進め、既存投資先を起点とするロールアップに加え、後継者不在による事業承継およびカーブアウトや株式非公開化などの事業再編を投資機会として捉えていきます。さらに投資手法の多様化も模索します。コンセッションでは、関西3空港(関西国際空港、大阪国際空港、神戸空港)の運営体制を強化するほか、空港以外の公共インフラの運営へも積極的に取り組んでいきます。

 

  セグメント利益は、持分法投資損益が増加したこと、および投資先の売却による子会社・持分法投資売却損益が増加したことにより、前年同期に比べて125%増の98,872百万円になりました。

 

  セグメント資産は、持分法投資が増加したものの、投資有価証券や営業権、企業結合で取得した無形資産が減少したことにより、前連結会計年度末に比べて4%減の1,022,944百万円になりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

金融収益

6,679

12,140

5,461

82

有価証券売却・評価損益および受取配当金

1,207

851

△356

△29

オペレーティング・リース収益

41,529

42,698

1,169

3

商品および不動産売上高

249,085

252,969

3,884

2

サービス収入

80,668

69,273

△11,395

△14

セグメント収益(合計)

379,168

377,931

△1,237

△0

支払利息

2,978

3,833

855

29

オペレーティング・リース原価

26,244

26,389

145

1

商品および不動産売上原価

168,404

173,652

5,248

3

サービス費用

58,677

48,890

△9,787

△17

その他の損益

△2,330

10,622

12,952

販売費および一般管理費

89,864

88,370

△1,494

△2

信用損失費用、長期性資産評価損、

有価証券評価損

366

1,743

1,377

376

セグメント費用(合計)

344,203

353,499

9,296

3

持分法投資損益等

9,002

74,440

65,438

727

セグメント利益

43,967

98,872

54,905

125

 

 

前連結会計

年度末

(百万円)

当連結会計

年度末

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

リース純投資

1,238

1,640

402

32

営業貸付金

115,629

124,411

8,782

8

オペレーティング・リース投資

56,286

46,796

△9,490

△17

投資有価証券

36,729

6,117

△30,612

△83

事業用資産

41,416

53,832

12,416

30

棚卸資産

47,553

41,021

△6,532

△14

賃貸資産前渡金

5

3

△2

△40

持分法投資

118,310

148,274

29,964

25

事業用資産前渡金

4,466

728

△3,738

△84

営業権、企業結合で取得した無形資産

351,202

331,003

△20,199

△6

その他の資産

293,813

269,119

△24,694

△8

セグメント資産

1,066,647

1,022,944

△43,703

△4

 

(d)環境エネルギー:国内外再生可能エネルギー、電力小売、省エネルギーサービス、ソーラーパネル販売、廃棄物処理、資源リサイクル

 

  総合エネルギー事業者として再生可能エネルギー事業や電力小売事業を推進することで、サービス収入の拡大を目指しています。太陽光発電では、国内最大級の合計出力規模の発電所を保有、運営しています。国内での経験を活かし、再生可能エネルギー事業の海外展開を加速していきます。廃棄物処理では、さらなる事業拡大を目指し設備の新規投資を進めます。また、キャピタルリサイクリングを実施し、事業ポートフォリオの入れ替えを進めていきます。

 

  セグメント利益は、子会社・持分法投資売却損益が増加したものの、長期性資産評価損が増加したこと、持分法投資損益が減少したこと、およびサービス費用が増加したことにより、前年同期に比べて42,995百万円減の4,923百万円の損失になりました。

 

  セグメント資産は、持分法投資が減少したものの、事業用資産や事業用資産前渡金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて4%増の1,016,175百万円になりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

金融収益

1,478

1,402

△76

△5

有価証券売却・評価損益および受取配当金

1,784

3,128

1,344

75

オペレーティング・リース収益

79

79

商品および不動産売上高

3,771

3,307

△464

△12

サービス収入

158,486

178,105

19,619

12

セグメント収益(合計)

165,598

186,021

20,423

12

支払利息

11,093

13,170

2,077

19

オペレーティング・リース原価

18

18

商品および不動産売上原価

2,236

1,786

△450

△20

サービス費用

110,106

136,118

26,012

24

その他の損益

△4,633

446

5,079

販売費および一般管理費

18,670

22,582

3,912

21

信用損失費用、長期性資産評価損、

有価証券評価損

151

20,573

20,422

セグメント費用(合計)

137,641

194,693

57,052

41

持分法投資損益等

10,115

3,749

△6,366

△63

セグメント利益

38,072

△4,923

△42,995

 

 

前連結会計

年度末

(百万円)

当連結会計

年度末

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

リース純投資

3,104

2,092

△1,012

△33

営業貸付金

2,255

3,609

1,354

60

オペレーティング・リース投資

250

237

△13

△5

投資有価証券

571

32,032

31,461

事業用資産

453,252

487,241

33,989

7

棚卸資産

2,463

2,551

88

4

持分法投資

219,018

170,946

△48,072

△22

事業用資産前渡金

44,962

70,081

25,119

56

営業権、企業結合で取得した無形資産

121,174

120,743

△431

△0

その他の資産

129,385

126,643

△2,742

△2

セグメント資産

976,434

1,016,175

39,741

4

 

(e)保険:生命保険

 

  生命保険事業は、代理店による販売、銀行などの金融機関による販売、自社でコンサルティング提案を行う対面販売、通信販売を通じて生命保険を販売しています。変化する顧客の多様なニーズに応える商品をタイムリーに提供することを商品開発の基本方針とし、常に商品ラインナップの充実を図り、企業価値の向上を目指しています。また、オルタナティブ資産をはじめとした収益性の高い資産への投資拡大や機動的なポートフォリオの入れ替えなどを通じて、運用資産の利回りを高めています。

 

  セグメント利益は、生命保険事業の損益が増加したことにより、前年同期に比べて5%増の74,399百万円になりました。

 

  セグメント資産は、再保険貸が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて3%増の3,009,234百万円になりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

金融収益

300

280

△20

△7

生命保険料収入および運用益

561,533

518,084

△43,449

△8

サービス収入

2,036

△1

△2,037

セグメント収益(合計)

563,869

518,363

△45,506

△8

支払利息

14

256

242

生命保険費用

433,827

384,910

△48,917

△11

その他の損益

98

△110

△208

販売費および一般管理費

59,309

58,904

△405

△1

信用損失費用、長期性資産評価損、

有価証券評価損

△2

4

6

セグメント費用(合計)

493,246

443,964

△49,282

△10

持分法投資損益等

203

△0

△203

セグメント利益

70,826

74,399

3,573

5

 

 

前連結会計

年度末

(百万円)

当連結会計

年度末

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

営業貸付金

11,792

12,805

1,013

9

オペレーティング・リース投資

26,876

26,167

△709

△3

投資有価証券

2,236,495

2,234,453

△2,042

△0

持分法投資

29,742

35,865

6,123

21

営業権、企業結合で取得した無形資産

4,452

4,452

その他の資産

612,570

695,492

82,922

14

セグメント資産

2,921,927

3,009,234

87,307

3

 

(f)銀行・クレジット:銀行、消費性ローン

 

  銀行事業では、収益の主軸である投資用不動産ローンに加えマーチャントバンク事業の領域拡大により、収益性の向上を図っています。消費性ローン事業では、強固な顧客基盤および事業基盤を有する企業との共同事業化により、個人向け金融サービスの拡充を目指しています。

 

  セグメント利益は、前第4四半期連結会計期間にオリックス・クレジット株式会社の一部株式譲渡を行い、子会社・持分法投資売却損益が計上されたことによる反動で減少したこと、および同社が持分法適用会社となったことにより、金融収益が減少したことで、前年同期に比べて70%減の29,291百万円になりました。

 

  セグメント資産は、営業貸付金や現金および現金等価物が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて7%増の3,144,571百万円になりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

金融収益

80,653

60,290

△20,363

△25

有価証券売却・評価損益および受取配当金

600

100

△500

△83

サービス収入

7,321

2,914

△4,407

△60

セグメント収益(合計)

88,574

63,304

△25,270

△29

支払利息

5,302

7,184

1,882

35

サービス費用

6,254

7,590

1,336

21

その他の損益

△306

40

346

販売費および一般管理費

32,886

20,822

△12,064

△37

信用損失費用、長期性資産評価損、

有価証券評価損

4,064

△176

△4,240

セグメント費用(合計)

48,200

35,460

△12,740

△26

持分法投資損益等

56,979

1,447

△55,532

△97

セグメント利益

97,353

29,291

△68,062

△70

 

 

前連結会計

年度末

(百万円)

当連結会計

年度末

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

営業貸付金

2,378,183

2,511,736

133,553

6

投資有価証券

311,237

305,441

△5,796

△2

持分法投資

43,601

43,934

333

1

その他の資産

201,196

283,460

82,264

41

セグメント資産

2,934,217

3,144,571

210,354

7

 

(g)輸送機器:航空機投資・管理、船舶関連投融資・管理・仲介

 

  航空機関連事業では、自社保有機のオペレーティング・リース、投資家への機体売却、国内外の投資家が保有する航空機のアセットマネジメントサービス等、幅広い収益機会の獲得に注力しています。また、Avolon Holdings Limitedとの相互補完等により、世界の航空機リース市場におけるプレゼンス向上と中長期的な成長を目指しています。船舶関連事業では、マーケット環境を見極めた資産の入れ替え、国内法人投資家向けの投資アレンジによる手数料収入の拡大、さらに、戦略的な買収を通じた事業規模と領域の拡大を進めています。

 

  セグメント利益は、前第4四半期連結会計期間に新規に子会社を取得した影響でオペレーティング・リース収益が増加したことにより、前年同期に比べて52%増の67,420百万円になりました。

 

  セグメント資産は、営業貸付金が減少したものの、オペレーティング・リース投資や営業権、企業結合で取得した無形資産、および賃貸資産前渡金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて5%増の1,231,973百万円になりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

金融収益

7,769

5,769

△2,000

△26

有価証券売却・評価損益および受取配当金

△130

△24

106

オペレーティング・リース収益

48,074

96,856

48,782

101

商品および不動産売上高

97

852

755

778

サービス収入

9,381

16,139

6,758

72

セグメント収益(合計)

65,191

119,592

54,401

83

支払利息

11,596

20,159

8,563

74

オペレーティング・リース原価

18,853

40,986

22,133

117

商品および不動産売上原価

96

864

768

800

サービス費用

1,783

6,724

4,941

277

その他の損益

△3,600

68

3,668

販売費および一般管理費

10,345

11,967

1,622

16

信用損失費用、長期性資産評価損、

有価証券評価損

3

3

セグメント費用(合計)

39,076

80,771

41,695

107

持分法投資損益等

18,251

28,599

10,348

57

セグメント利益

44,366

67,420

23,054

52

 

 

前連結会計

年度末

(百万円)

当連結会計

年度末

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

営業貸付金

60,468

36,119

△24,349

△40

オペレーティング・リース投資

557,867

599,813

41,946

8

投資有価証券

11,960

9,387

△2,573

△22

事業用資産

28

28

棚卸資産

733

1,588

855

117

賃貸資産前渡金

9,232

27,816

18,584

201

持分法投資

399,061

402,567

3,506

1

営業権、企業結合で取得した無形資産

19,114

43,024

23,910

125

その他の資産

111,206

111,631

425

0

セグメント資産

1,169,641

1,231,973

62,332

5

 

(h)ORIX USA:米州における金融、投資、アセットマネジメント

 

  戦略的に事業領域を拡大し、法人向けファイナンス、債券投資、不動産ファイナンス、プライベートエクイティ投資など多様なビジネスラインを展開しています。加えて、バランスシートを使用しない第三者資産の運用を通じて、資産規模の適切なコントロールと安定的な手数料収入の確保に取り組み、資本効率の向上と持続的な利益成長を目指しています。

 

  セグメント利益は、販売費および一般管理費が増加したこと、および有価証券売却・評価損益および受取配当金が減少したものの、子会社・持分法投資売却損益が増加したことにより、前年同期に比べて43%増の39,915百万円になりました。

 

  セグメント資産は、営業貸付金や使途制限付現金が減少したこと、および全般的に為替影響で減少したことにより、前連結会計年度末に比べて6%減の1,593,939百万円になりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

金融収益

112,545

102,627

△9,918

△9

有価証券売却・評価損益および受取配当金

6,446

119

△6,327

△98

オペレーティング・リース収益

1,225

861

△364

△30

商品および不動産売上高

602

543

△59

△10

サービス収入

52,608

50,078

△2,530

△5

セグメント収益(合計)

173,426

154,228

△19,198

△11

支払利息

47,466

40,016

△7,450

△16

オペレーティング・リース原価

547

1,496

949

173

商品および不動産売上原価

310

307

△3

△1

サービス費用

4,331

2,823

△1,508

△35

その他の損益

△2,078

△3,382

△1,304

販売費および一般管理費

85,483

95,406

9,923

12

信用損失費用、長期性資産評価損、

有価証券評価損

7,937

7,669

△268

△3

セグメント費用(合計)

143,996

144,335

339

0

持分法投資損益等

△1,499

30,022

31,521

セグメント利益

27,931

39,915

11,984

43

 

 

前連結会計

年度末

(百万円)

当連結会計

年度末

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

リース純投資

505

451

△54

△11

営業貸付金

699,384

652,805

△46,579

△7

オペレーティング・リース投資

9,858

21,260

11,402

116

投資有価証券

509,172

487,022

△22,150

△4

事業用資産・サービス資産

79,747

76,469

△3,278

△4

棚卸資産

159

137

△22

△14

持分法投資

61,415

54,817

△6,598

△11

営業権、企業結合で取得した無形資産

176,785

171,884

△4,901

△3

その他の資産

157,459

129,094

△28,365

△18

セグメント資産

1,694,484

1,593,939

△100,545

△6

 

(i)ORIX Europe:グローバル株式・債券のアセットマネジメント

 

  顧客から受託した資金を株式、債券等に投資するアセットマネジメント事業を行っています。サステナブル投資の先駆者としての知見を活かした既存事業の伸長に加えて、運用資産伸長や収益性向上のため、アクティブETFのラインナップ拡充やホワイトレーベル商品の提供などに取り組んでいます。また、欧州におけるオリックスグループの戦略的事業拠点として、M&Aをはじめとする幅広いビジネス機会の獲得に取り組んでいます。

 

  セグメント利益は、サービス収入が増加したことにより、前年同期に比べて7%増の44,373百万円になりました。

 

  セグメント資産は、営業権、企業結合で取得した無形資産が減少したものの、現金および現金等価物や投資有価証券が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて1%増の669,306百万円になりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

金融収益

2,409

4,077

1,668

69

有価証券売却・評価損益および受取配当金

10,711

4,408

△6,303

△59

サービス収入

214,031

248,782

34,751

16

セグメント収益(合計)

227,151

257,267

30,116

13

支払利息

289

665

376

130

サービス費用

54,224

66,446

12,222

23

その他の損益

2,666

4,231

1,565

59

販売費および一般管理費

130,496

138,859

8,363

6

信用損失費用、長期性資産評価損、

有価証券評価損

217

115

△102

△47

セグメント費用(合計)

187,892

210,316

22,424

12

持分法投資損益等

2,379

△2,578

△4,957

セグメント利益

41,638

44,373

2,735

7

 

 

前連結会計

年度末

(百万円)

当連結会計

年度末

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

投資有価証券

82,568

86,008

3,440

4

持分法投資

11,907

8,578

△3,329

△28

営業権、企業結合で取得した無形資産

364,773

354,801

△9,972

△3

その他の資産

202,891

219,919

17,028

8

セグメント資産

662,139

669,306

7,167

1

 

(j)アジア・豪州:アジア・豪州における金融、投資

 

  現地法人は、アジア各国および豪州においてリースや貸付などの金融サービス事業を展開しているほか、中華圏を中心としたアジア各国向けの企業投資も行っています。今後は、現地法人における機能のさらなる拡充と、注力市場へのさらなる投資により、収益性を重視した事業の拡大を推進します。

 

  セグメント利益は、中華圏において、有価証券売却・評価損益および受取配当金が減少したこと、および持分法投資損益が減少したことにより、前年同期に比べて27%減の34,451百万円になりました。

 

  セグメント資産は、全般的に為替影響で減少したものの、リース純投資や現金および現金等価物が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて1%増の1,725,627百万円になりました。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

金融収益

70,836

74,961

4,125

6

有価証券売却・評価損益および受取配当金

7,885

1,933

△5,952

△75

オペレーティング・リース収益

122,624

135,169

12,545

10

商品および不動産売上高

425

751

326

77

サービス収入

23,523

23,406

△117

△0

セグメント収益(合計)

225,293

236,220

10,927

5

支払利息

35,737

41,761

6,024

17

オペレーティング・リース原価

90,336

97,249

6,913

8

商品および不動産売上原価

400

684

284

71

サービス費用

15,039

14,710

△329

△2

その他の損益

△1,490

△5,654

△4,164

販売費および一般管理費

41,558

44,342

2,784

7

信用損失費用、長期性資産評価損、

有価証券評価損

8,027

9,983

1,956

24

セグメント費用(合計)

189,607

203,075

13,468

7

持分法投資損益等

11,383

1,306

△10,077

△89

セグメント利益

47,069

34,451

△12,618

△27

 

 

前連結会計

年度末

(百万円)

当連結会計

年度末

(百万円)

増減

 

金額

(百万円)

(%)

リース純投資

530,426

547,966

17,540

3

営業貸付金

343,936

315,128

△28,808

△8

オペレーティング・リース投資

395,573

394,764

△809

△0

投資有価証券

33,520

37,768

4,248

13

事業用資産

1,849

1,844

△5

△0

棚卸資産

224

615

391

175

賃貸資産前渡金

3,017

4,833

1,816

60

持分法投資

271,682

260,395

△11,287

△4

事業用資産前渡金

51

51

営業権、企業結合で取得した無形資産

7,313

6,986

△327

△4

その他の資産

121,693

155,277

33,584

28

セグメント資産

1,709,233

1,725,627

16,394

1

 

金融収益

金融収益の状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

金融収益

348,001

328,356

△19,645

△6

 

  金融収益は、主に前第4四半期連結会計期間に行ったオリックス・クレジット株式会社の一部株式譲渡に伴い、同社が持分法適用会社となった影響により、前連結会計年度比6%減の328,356百万円となりました。

 

リース純投資

リース純投資の状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

リース純投資新規実行高

(購入金額ベース)

535,985

522,223

△13,762

△3

国内

212,462

210,189

△2,273

△1

海外

323,523

312,034

△11,489

△4

リース純投資残高

1,155,023

1,167,380

12,357

1

 

  リース純投資の新規実行高(購入金額ベース)は、前連結会計年度比3%減の522,223百万円となりました。国内では前連結会計年度と比べ1%減少しました。海外ではアジア地域で減少し、前連結会計年度と比べ4%減少しました。

  リース純投資残高は、主に海外の資産の増加により、前連結会計年度末比1%増の1,167,380百万円となりました。

  なお、当連結会計年度末現在においてリース純投資残高の1%を単独で超える顧客はありません。当連結会計年度末現在のリース純投資の53%は国内の顧客、47%は海外の顧客との取引です。海外では、リース純投資残高の9%は中国、8%はそれぞれ韓国とマレーシア、5%はオーストラリアが占めており、その他の各国の資産残高で5%を超えるものはありません。

 

機種別リース純投資残高

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

輸送機器

521,006

550,810

29,804

6

産業工作機械

231,867

213,939

△17,928

△8

電気機器

98,313

97,461

△852

△1

情報関連機器・事務機器

118,784

123,092

4,308

4

商業・サービス業用機械設備

66,377

68,995

2,618

4

その他

118,676

113,083

△5,593

△5

合計

1,155,023

1,167,380

12,357

1

 

  リース純投資についての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  7  リース取引」をご参照ください。

 

営業貸付金

営業貸付金の状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

営業貸付金新規実行高

1,433,243

1,510,598

77,355

5

国内

1,064,986

1,165,864

100,878

9

海外

368,257

344,734

△23,523

△6

営業貸付金残高

3,958,814

4,081,019

122,205

3

(注)生命保険事業に関連する貸付金は、営業貸付金残高に含めていますが、これより生じる損益は連結損益計算書上、生命保険料収入および運用益に計上しています。

 

  新規実行高は、前連結会計年度比5%増の1,510,598百万円となりました。国内では新規実行が増加し、前連結会計年度比9%増の1,165,864百万円となり、海外では主にアジア地域で新規実行が減少し、前連結会計年度比6%減の344,734百万円となりました。

  営業貸付金残高は、海外における新規実行の減少の一方で、国内では新規実行を積み上げた結果、前連結会計年度末比3%増の4,081,019百万円となりました。

 

営業貸付金残高

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

国内個人向け:

 

 

 

 

不動産ローン

1,851,214

1,901,794

50,580

3

カードローン

72,353

67,874

△4,479

△6

その他

5,680

7,259

1,579

28

 小計

1,929,247

1,976,927

47,680

2

国内法人向け:

 

 

 

 

不動産業

334,506

415,666

81,160

24

ノンリコースローン

145,286

301,477

156,191

108

商工業およびその他

187,824

233,270

45,446

24

 小計

667,616

950,413

282,797

42

海外個人向け:

 

 

 

 

不動産ローン

96,247

55,022

△41,225

△43

その他

47,415

39,172

△8,243

△17

 小計

143,662

94,194

△49,468

△34

海外法人向け:

 

 

 

 

不動産業

190,630

228,793

38,163

20

ノンリコースローン

50,263

86,724

36,461

73

商工業およびその他

705,494

591,103

△114,391

△16

 小計

946,387

906,620

△39,767

△4

持分法適用会社

251,929

131,476

△120,453

△48

買取債権 ※

19,973

21,389

1,416

7

 合計

3,958,814

4,081,019

122,205

3

  ※  買取債権とは、当初契約実行時より債務者の信用リスクが悪化し、取得時において契約上要求されている支払額の全額は回収できないと想定される債権です。

 

  当連結会計年度末現在、国内の個人および法人向け営業貸付金の0.4%を占める12,806百万円は、生命保険事業に関連するものです。これらの貸付金からの収益は、連結損益計算書上、生命保険料収入および運用益に含めています。

  当連結会計年度末現在において、営業貸付金残高の16%の644,459百万円は国内および海外の不動産業向けです。

  当連結会計年度末現在、国内個人向け貸付金残高は主に新規実行の増加により、前連結会計年度末比2%増の1,976,927百万円となり、国内法人向け貸付金残高は、主に銀行事業における新規実行の増加により、前連結会計年度末比42%増の950,413百万円となりました。海外個人向け貸付金残高は、主にアジア地域の営業貸付金残高が減少したため、前連結会計年度末比34%減の94,194百万円となり、海外法人向け貸付金残高は、主に米州の営業貸付金残高が減少したため、前連結会計年度末比4%減の906,620百万円となりました。持分法適用会社向け貸付金残高は、貸付金の回収により、前連結会計年度末比48%減の131,476百万円となりました。

  営業貸付金についての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  8  営業貸付金」をご参照ください。

 

アセットクオリティ

リース純投資

リース純投資の不良債権額および信用損失引当金内訳

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

不良債権額

20,805

21,820

リース純投資残高に占める不良債権額割合

1.80%

1.87%

リース純投資平均残高に占める信用損失引当繰入率 ※

0.27%

0.42%

信用損失引当金残高

16,780

18,122

リース純投資残高に占める信用損失引当金の割合

1.45%

1.55%

リース純投資平均残高に占める貸倒償却額の割合 ※

0.23%

0.29%

  ※  平均残高は期首残高および四半期末残高により算出しています。

 

  当連結会計年度末において、リース純投資残高に占める不良債権額は、前連結会計年度末に比べて1,015百万円増加し21,820百万円となりました。当連結会計年度末においてリース純投資残高に占める不良債権額割合は前連結会計年度末に比べて0.07%増加し、1.87%となりました。

  当連結会計年度末におけるリース純投資残高に占める信用損失引当金の割合は下記事由により妥当であると判断しています。

・リース債権は全体として小口分散しており、1契約の損失額は比較的少額の発生で済む可能性が高いこと

・すべてのリース契約はリース物件を担保としており、当該リース物件を売却することで、リース債権の少なくとも一部を回収できると考えられること

 

個別評価対象外貸付金

個別評価対象外貸付金の不良債権額および信用損失引当金内訳

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

個別評価対象外不良債権額

34,154

79,069

個別評価対象外貸付金残高に占める個別評価対象外貸付金の不良債権額の割合

0.87%

1.97%

個別評価対象外貸付金平均残高に占める信用損失引当繰入率 ※

0.17%

0.03%

個別評価対象外貸付金に対する信用損失引当金残高

25,975

21,355

個別評価対象外貸付金残高に占める信用損失引当金の割合

0.67%

0.53%

個別評価対象外貸付金平均残高に占める貸倒償却額の割合 ※

0.20%

0.07%

  ※  平均残高は期首残高および四半期末残高により算出しています。

 

  個別評価対象外貸付金平均残高に占める信用損失引当繰入率は、前連結会計年度の子会社売却の影響により、繰入額が減少したため、前連結会計年度に比べて0.14%減少しました。

  当連結会計年度末において、未収貸付金のうち、類似のリスク特性を有している貸付金を1つのグループとして信用損失の見積もりを行っている個別評価対象外貸付金の不良債権額は、前連結会計年度末に比べて44,915百万円増加し79,069百万円となりました。

 

 

個別評価対象外貸付金の不良債権額内訳

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

国内個人向け:

 

 

不動産ローン

861

987

 小計

861

987

国内法人向け:

 

 

不動産業

75

8

商工業およびその他

165

178

 小計

240

186

海外個人向け:

 

 

不動産ローン

340

308

その他

658

452

 小計

998

760

海外法人向け:

 

 

不動産業

17,057

49,503

ノンリコースローン

2,057

2,183

商工業およびその他

12,711

25,450

 小計

31,825

77,136

持分法適用会社向け貸付金

230

 合計

34,154

79,069

 

  個人向け不動産ローンおよびその他個人向け貸付金についてはその担保価値、過去の貸倒償却実績および債務不履行率に影響を及ぼすおそれがあると判断される経済状況を慎重に検討して信用損失引当金を計上しています。その他についての信用損失引当金は、過去の貸倒償却実績、その推移と相関する経済指標の将来予測および現在のポートフォリオ構成を勘案して決定しています。

 

個別評価対象貸付金

個別評価対象不良債権額および信用損失引当金残高

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

個別評価対象不良債権額

54,422

62,433

信用損失引当金残高 ※

14,335

16,393

  ※  信用損失引当金は将来キャッシュ・フローの現在価値、債権の観察可能な市場価額または、貸付金の回収が担保に依存している場合は、担保の公正価値に基づき個別に評価されます。

 

  前連結会計年度および当連結会計年度における個別評価対象貸付金の信用損失引当金繰入額はそれぞれ10,806百万円および6,962百万円の繰入であり、償却額はそれぞれ4,295百万円および4,718百万円です。個別評価対象貸付金の信用損失引当金繰入額は、前連結会計年度に比べて3,844百万円減少しました。主に米州において個別評価対象貸付金の信用損失費用が減少しました。償却額は、前連結会計年度に比べて423百万円増加しました。

  個別評価対象貸付金の国内、海外および種類別の内訳は以下のとおりです。国内個人向け貸付金は、主に契約条件の緩和により回収条件が変更されたため個別に回収可能性の評価を行った同種小口の貸付金です。

 

個別評価対象貸付金内訳

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

国内個人向け:

 

 

不動産ローン

11,210

10,353

その他

96

86

 小計

11,306

10,439

国内法人向け:

 

 

不動産業

1,401

549

商工業およびその他

392

598

 小計

1,793

1,147

海外個人向け:

 

 

不動産ローン

767

5,368

その他

1,702

1,884

 小計

2,469

7,252

海外法人向け:

 

 

不動産業

1,125

2,769

ノンリコースローン

1,058

1,648

商工業およびその他

34,092

36,569

 小計

36,275

40,986

持分法適用会社向け貸付金

1,699

1,345

買取債権

880

1,264

 合計

54,422

62,433

 

  アセットクオリティについての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  9  金融資産の信用の質および信用損失引当金」をご参照ください。

 

信用損失引当金

  当社および子会社はリース純投資および営業貸付金に対し信用損失引当金を設定しています。

 

信用損失引当金の増減内訳

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

期首残高

64,540

57,090

△7,450

△12

リース純投資

15,719

16,780

1,061

7

個別評価対象外貸付金

39,460

25,975

△13,485

△34

個別評価対象貸付金

9,361

14,335

4,974

53

繰入額 ※1

20,652

13,074

△7,578

△37

リース純投資

3,064

4,934

1,870

61

個別評価対象外貸付金

6,782

1,178

△5,604

△83

個別評価対象貸付金

10,806

6,962

△3,844

△36

取崩額(純額)

△14,633

△10,823

3,810

△26

リース純投資

△2,609

△3,414

△805

31

個別評価対象外貸付金

△7,729

△2,691

5,038

△65

個別評価対象貸付金

△4,295

△4,718

△423

10

その他 ※2

△13,469

△3,471

9,998

△74

リース純投資

606

△178

△784

個別評価対象外貸付金

△12,538

△3,107

9,431

△75

個別評価対象貸付金

△1,537

△186

1,351

△88

期末残高

57,090

55,870

△1,220

△2

リース純投資

16,780

18,122

1,342

8

個別評価対象外貸付金

25,975

21,355

△4,620

△18

個別評価対象貸付金

14,335

16,393

2,058

14

  ※1  連結損益計算書上の「信用損失費用」は、前連結会計年度および当連結会計年度において、それぞれ20,968百万円および18,723百万円であり、リース純投資および営業貸付金以外に対する信用損失費用が含まれています。

  ※2  その他には、主に為替相場の変動および子会社の連結・非連結化に伴う信用損失引当金の増減が含まれています。

 

信用損失費用内訳

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

信用損失費用:

 

 

 

 

リース純投資

3,064

4,934

1,870

61

個別評価対象外貸付金

6,782

1,178

△5,604

△83

個別評価対象貸付金

10,806

6,962

△3,844

△36

小計

20,652

13,074

△7,578

△37

オフバランスシート

信用エクスポージャー

△440

5,297

5,737

売却可能負債証券

445

173

△272

△61

償却原価で測定するその他の

金融資産

311

179

△132

△42

合計

20,968

18,723

△2,245

△11

 

  前連結会計年度および当連結会計年度における個別評価対象外貸付金の信用損失費用はそれぞれ6,782百万円および1,178百万円の繰入です。前連結会計年度の子会社売却の影響により、繰入額が減少したため、個別評価対象外貸付金の信用損失費用は減少しました。

  前連結会計年度および当連結会計年度における個別評価対象貸付金の信用損失費用はそれぞれ10,806百万円および6,962百万円の繰入です。主に米州において個別評価対象貸付金の信用損失費用が減少しました。

 

  前連結会計年度におけるオフバランスシート信用エクスポージャーに対する信用損失費用は、主に国内において貸倒償却実績、経済環境や事業環境の現状や将来の見通しを見直した結果、440百万円の戻入となりました。当連結会計年度におけるオフバランスシート信用エクスポージャーに対する信用損失費用は、主に米州の一部の市況悪化の影響により、5,297百万円の繰入となりました。

 

  信用損失引当金についての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  9  金融資産の信用の質および信用損失引当金」をご参照ください。また、オフバランスシート信用エクスポージャーに対する引当金の詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  33  契約債務、保証債務および偶発債務」、および売却可能負債証券に対する信用損失引当金の詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  10  投資有価証券」をご参照ください。

 

 

投資有価証券

投資有価証券の状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

投資有価証券新規実行高

628,060

777,170

149,110

24

国内

521,835

621,839

100,004

19

海外

106,225

155,331

49,106

46

投資有価証券残高

3,263,079

3,234,547

△28,532

△1

(注)生命保険事業に関連する投資有価証券は、投資有価証券残高に含めていますが、これより生じる損益は連結損益計算書上、生命保険料収入および運用益に計上しています。

 

  当連結会計年度における投資有価証券の新規実行高は、前連結会計年度と比べて24%増の777,170百万円となりました。国内における新規実行高は、主に国債および社債への投資が増加したことにより、前連結会計年度と比べ19%増加しました。海外における新規実行高は、主に投資ファンドおよびその他資産担保証券等への投資が増加したことにより、前連結会計年度と比べ46%増加しました。

  当連結会計年度末の投資有価証券残高は、前連結会計年度末比1%減の3,234,547百万円となりました。

 

投資有価証券内訳

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

持分証券

597,601

626,910

29,309

5

売却可能負債証券

2,665,478

2,607,637

△57,841

△2

合計

3,263,079

3,234,547

△28,532

△1

 

  当連結会計年度末における持分証券残高は、短期売買目的持分証券の売却による減少はあったものの、持分法適用会社の一部売却による持分証券への振替および投資ファンドへの投資により、前連結会計年度末比5%増の626,910百万円となりました。売却可能負債証券は国債および社債への投資による増加はあったものの、国債の未実現評価損失の増加および社債ならびにその他資産担保証券の償還等により、前連結会計年度末比2%減の2,607,637百万円となりました。

  投資有価証券についての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  10  投資有価証券」をご参照ください。

 

有価証券売却・評価損益および受取配当金

有価証券売却・評価損益および受取配当金の状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

有価証券売却・評価損益(純額)

30,731

11,825

△18,906

△62

受取配当金

2,292

2,499

207

9

合計

33,023

14,324

△18,699

△57

(注)1  生命保険事業に関連する有価証券より生じるすべての損益は、連結損益計算書上、生命保険料収入および運用益に計上しています。

2 「有価証券売却・評価損益(純額)」には、持分証券にかかる未実現の公正価値変動額が含まれます。

 

  有価証券売却・評価損益は、有価証券の売却益および投資ファンドの評価損益が減少したことにより、前連結会計年度比62%減の11,825百万円となりました。受取配当金は、前連結会計年度比9%増の2,499百万円となりました。上記により、有価証券売却・評価損益および受取配当金は、前連結会計年度比57%減の14,324百万円となりました。

  生命保険事業保有分を含む売却可能負債証券の未実現評価益は、前連結会計年度末および当連結会計年度末においてそれぞれ41,989百万円および25,470百万円となり、未実現評価損は、前連結会計年度末および当連結会計年度末においてそれぞれ391,817百万円および591,199百万円となりました。

 

オペレーティング・リース

オペレーティング・リースの状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

オペレーティング・リース収益

535,490

624,444

88,954

17

オペレーティング・リース原価

356,760

394,821

38,061

11

オペレーティング・リース新規実行高

572,084

758,837

186,753

33

国内

240,889

316,726

75,837

31

海外

331,195

442,111

110,916

33

オペレーティング・リース投資残高

1,868,574

1,967,178

98,604

5

 

  オペレーティング・リース収益は、主に航空機リース事業および船舶リース事業におけるリース収益の増加により、前連結会計年度比17%増の624,444百万円となりました。オペレーティング・リース資産の売却益は、前連結会計年度および当連結会計年度においてそれぞれ53,441百万円、76,633百万円を計上しています。

  オペレーティング・リース原価は、主に航空機リース事業および船舶リース事業における投資が増加したことに伴う減価償却費の増加により、前連結会計年度比11%増の394,821百万円となりました。

  オペレーティング・リース新規実行高は、主に航空機リース事業および船舶リース事業、不動産賃貸事業における投資が増加したことにより、前連結会計年度比33%増の758,837百万円となりました。

  オペレーティング・リース投資残高は、主に測定・分析機器、情報関連機器のレンタル事業および不動産賃貸事業における投資が増加したことにより、前連結会計年度末比5%増の1,967,178百万円となりました。

 

機種別オペレーティング・リース投資残高

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

輸送機器

1,264,332

1,292,630

28,298

2

測定・分析機器、情報関連機器

154,794

194,798

40,004

26

不動産

261,706

309,810

48,104

18

その他

49,286

51,667

2,381

5

使用権資産

87,359

73,518

△13,841

△16

未収レンタル料

54,230

46,248

△7,982

△15

貸倒引当金

△3,133

△1,493

1,640

合計

1,868,574

1,967,178

98,604

5

 

  輸送機器のオペレーティング・リース投資残高は、主に航空機リース事業および船舶リース事業における投資が増加したことにより、前連結会計年度末比2%増の1,292,630百万円となりました。測定・分析機器、情報関連機器のオペレーティング・リース投資残高は、主にレンタル事業におけるオペレーティング・リース投資が増加したことにより、前連結会計年度末比26%増の194,798百万円となりました。不動産のオペレーティング・リース投資残高は、主に国内で賃貸不動産の投資が増加したことにより、前連結会計年度末比18%増の309,810百万円となりました。その他のオペレーティング・リース投資残高は、主にレンタル事業におけるオペレーティング・リース投資が増加したことにより、前連結会計年度末比5%増の51,667百万円となりました。

  オペレーティング・リースについての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  7  リース取引」をご参照ください。

 

生命保険

  生命保険事業に関連して保有している有価証券およびその他パートナーシップ等投資、営業貸付金、賃貸不動産およびその他投資からの損益(信用損失費用は除く)をすべて、連結損益計算書上、「生命保険料収入および運用益」に計上しています。

 

 

生命保険料収入および運用益、生命保険費用の状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

生命保険料収入および運用益

558,923

515,259

△43,664

△8

生命保険料収入

459,655

481,432

21,777

5

生命保険事業にかかる運用益

99,268

33,827

△65,441

△66

生命保険費用

433,863

384,753

△49,110

△11

 

生命保険事業にかかる運用益の状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

有価証券およびその他パートナーシップ等投資による収益

(売却益および評価損益含む)

95,219

30,574

△64,645

△68

デリバティブ損益

△2,896

△3,263

△367

貸付金利息および賃貸不動産収益等

6,945

6,516

△429

△6

合計

99,268

33,827

△65,441

△66

 

  生命保険料収入および運用益は、前連結会計年度比8%減の515,259百万円となりました。

  生命保険料収入は、新契約年換算保険料の増加等により、前連結会計年度比5%増の481,432百万円となりました。

  生命保険事業にかかる運用益は、前連結会計年度比66%減の33,827百万円となりました。有価証券およびその他パートナーシップ等投資による収益は、主に変額年金保険契約および変額保険契約の資産運用益が減少しました。

  生命保険費用は、変額年金保険契約および変額保険契約にかかる責任準備金の繰入が減少したことにより、前連結会計年度比11%減の384,753百万円となりました。

 

生命保険事業の投資状況

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

持分証券およびその他パートナーシップ等投資

305,256

314,049

8,793

3

売却可能負債証券

1,960,981

1,956,269

△4,712

△0

小計

2,266,237

2,270,318

4,081

0

貸付金および賃貸不動産等

38,667

38,971

304

1

合計

2,304,904

2,309,289

4,385

0

 

  当連結会計年度末における運用資産残高は、2,270,318百万円となりました。

  生命保険についての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  25  生命保険事業に関する損益」および「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  26  生命保険事業に関する長期保険契約」をご参照ください。

 

商品および不動産売上高

商品および不動産売上高、棚卸資産の状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

商品および不動産売上高

373,914

373,155

△759

△0

商品および不動産売上原価

268,627

271,833

3,206

1

販売用不動産新規実行高

148,878

89,632

△59,246

△40

棚卸資産残高

227,359

229,229

1,870

1

 

  商品および不動産売上高は、商品売上高が増加したものの、不動産売上高が減少したことにより、前連結会計年度に比べて横ばいの373,155百万円となりました。

  商品および不動産売上原価は、主に商品売上原価の増加により、前連結会計年度比1%増の271,833百万円となりました。なお、商品および不動産売上原価には、広告宣伝費やモデルルーム費用などの先行費用を含んでいます。

  当連結会計年度における販売用不動産の新規実行高は、前連結会計年度比40%減の89,632百万円となりました。

  当連結会計年度末の棚卸資産残高は、主に販売用不動産の新規実行高が販売による減少額を上回った影響により、販売用不動産が増加したことで、前連結会計年度末比1%増の229,229百万円となりました。

  商品および不動産売上高についての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  5  顧客との契約から生じる収益」をご参照ください。

 

サービス

サービス収入/費用、事業用資産の状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

サービス収入

965,010

1,019,283

54,273

6

サービス費用

560,101

604,145

44,044

8

事業用資産新規実行高

120,258

44,236

△76,022

△63

国内

18,887

38,202

19,315

102

海外

101,371

6,034

△95,337

△94

事業用資産残高

689,573

771,851

82,278

12

 

  サービス収入は、主にアセットマネジメント事業にかかる収入の増加により、前連結会計年度比6%増の1,019,283百万円となりました。

  サービス費用は、主に環境エネルギー事業にかかる費用の増加により、前連結会計年度比8%増の604,145百万円となりました。

  事業用資産新規実行高は、主に海外子会社の発電事業への投資の減少により、前連結会計年度比63%減の44,236百万円となりました。

  事業用資産は、主に海外における発電事業へ投資および国内における施設運営事業資産が竣工したことにより、前連結会計年度末比12%増の771,851百万円となりました。

  サービスについての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  5  顧客との契約から生じる収益」をご参照ください。

 

支払利息

  支払利息は、前連結会計年度の188,328百万円に比べて10%減の169,051百万円となりました。また、短期および長期借入債務ならびに預金の残高は、前連結会計年度末の8,446,306百万円に比べて3%増の8,732,610百万円となりました。

  毎月末残高による円貨の短期および長期借入債務ならびに預金の平均利率は、前連結会計年度の0.4%に比べて0.1%増の0.5%になりました。また、毎月末残高による外貨の短期および長期借入債務ならびに預金の平均利率は、前連結会計年度の5.2%に比べて0.1%減の5.1%になりました。金利の変動リスクについては「第2  事業の状況  3  事業等のリスク  (4)市場リスク  ①  金利および為替相場の変動による影響」を、借入債務については「第2  事業の状況  4  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (6)資金調達および流動性  ④  短期、長期借入債務および預金」をご参照ください。

 

その他の損益

  その他の損益は、前連結会計年度の4,671百万円の収益から当連結会計年度は27,128百万円の損失となりました。その他の損益に含まれる為替差損益は、前連結会計年度の1,126百万円の損失から当連結会計年度は3,518百万円の損失となりました。また、その他の損益に含まれる営業権およびその他の無形資産の減損は、前連結会計年度の0百万円から当連結会計年度は14,295百万円となりました。営業権およびその他の無形資産については「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  14  営業権およびその他の無形資産」をご参照ください。

 

販売費および一般管理費

  販売費および一般管理費は、前連結会計年度の627,633百万円に比べて3%増の646,054百万円となりました。

  当連結会計年度における販売費および一般管理費の57%が従業員給与およびその他の人件費であり、残りはシステム関連費、広告宣伝費等の販売費およびその他の一般管理費です。

長期性資産評価損

  当連結会計年度の長期性資産評価損は、オフィスビル、商業施設、賃貸マンション、ホテル、開発中および未開発の土地など国内外の長期性資産について減損判定を行った結果、前連結会計年度の1,724百万円に比べて24,209百万円増の25,933百万円となりました。売却予定または割引前見積将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回っている賃貸マンション20物件およびその他の長期性資産に対して、それぞれ31百万円、および25,902百万円の評価損を計上しました。長期性資産評価損についての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  27  長期性資産評価損」をご参照ください。

 

有価証券評価損

  当連結会計年度の有価証券評価損は、市場性のない株式に対して計上しています。当連結会計年度の有価証券評価損は、前連結会計年度の315百万円から554百万円となりました。有価証券の減損の詳細については「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  10  投資有価証券」をご参照ください。

 

 

持分法投資損益

  持分法投資損益は、海外の投資先の持分法損益が減少した一方、国内の投資先の持分法損益が増加したため、前連結会計年度の36,774百万円から当連結会計年度は57,182百万円に増加しました。持分法投資についての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  13  持分法投資」をご参照ください。

 

子会社・持分法投資売却損益および清算損

  子会社・持分法投資売却損益および清算損は、国内および米州における子会社および持分法投資の売却等が好調だったことにより、前連結会計年度の72,488百万円から当連結会計年度は87,705百万円に増加しました。事業売却についての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  4  買収および事業売却」をご参照ください。

 

バーゲン・パーチェス益

  前連結会計年度において、バーゲン・パーチェス益の計上はありません。当連結会計年度において、当連結会計年度に行った買収のうち1件に関連して、3,750百万円のバーゲン・パーチェス益を計上しました。バーゲン・パーチェス益についての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  4  買収および事業売却」をご参照ください。

 

法人税等

  法人税等は主に税率が法定実効税率より低い子会社の影響によって実効税率が低下したことにより、前連結会計年度の131,388百万円から当連結会計年度は128,828百万円に減少しました。法人税等についての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  18  法人税等」をご参照ください。

 

非支配持分に帰属する当期純利益(損失)

  非支配持分に帰属する当期純利益(損失)には、子会社の非支配持分にかかる損益を計上しています。非支配持分に帰属する当期純損失は、前連結会計年度の7,682百万円から当連結会計年度は389百万円となりました。

 

償還可能非支配持分に帰属する当期純利益

  償還可能非支配持分に帰属する当期純利益には、償還可能な持分を発行している子会社の非支配持分にかかる損益を計上しています。償還可能非支配持分に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の137百万円から当連結会計年度は394百万円となりました。償還可能非支配持分についての詳細は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  20  償還可能非支配持分」をご参照ください。

 

(4) 財務戦略の基本的な考え方

  資金調達に関しては、調達手段や調達先の多様化とバランスを意識し、高い長期調達比率の維持と償還時期の分散を図っています。手元流動性については、ストレステストなどを通じて、適切な水準の確保に努めています。株主資本については、すべての資産について、内包するリスクに対する必要資本(リスクキャピタル)を独自の方法で計測し、新規投資のための機動性と健全性のバランスを考慮した上で、株主資本使用率(株主資本に占めるリスクキャピタルの割合)が適切な水準にあることをモニタリングしています。

  信用格付については、資本の充足性や資金調達状況、資産の質などについて当社社内で計測・評価をするとともに、格付機関からの評価を定期的に確認しています。

  本有価証券報告書提出日現在、オリックスグループが格付機関から取得している発行体格付(もしくはカウンターパーティ格付)は、S&P グローバル・レーティング・ジャパンで「BBB+」、ムーディーズ・インベスターズ・サービスで「A3」、フィッチ・レーティングス・ジャパンで「A-」、格付投資情報センター(R&I)で「AA」、日本格付研究所(JCR)で「AA」です。

 

(5) 資金需要の主な内容

  オリックスグループの資金需要には、主に営業活動における、事務機器・自動車・ICT機器・測定機器・不動産・航空機などのリース資産の購入、営業貸付金の実行、投資有価証券の購入、事業用資産の購入のほか、企業への投資などがあります。

 

(6)資金調達および流動性

①  資金調達方針

  オリックスグループでは「調達の安定性維持・向上」と「流動性リスク低減」を主たる資金調達方針としています。「調達の安定性維持・向上」のため、金融機関借入、社債発行等による資本市場調達ならびにアセットファイナンスの活用など、調達手段の多様化と調達する国や投資家層などの調達先の分散を図っています。また「流動性リスク低減」のため、調達期間の長期化による償還期日の分散と、現預金の保有およびコミットメントラインの設定による手元流動性の確保を行っています。手元流動性の確保にあたっては、調達の安定性と資金効率の両面からストレステストを行い、その必要水準を適宜見直しています。また、オリックスグループでは、調達コスト低減も重要な課題であると考えています。そのため、格付機関による格付を重視し、一定水準の格付を維持するよう努めています。さらに、格付の維持は調達コストの面のみならず、不安定な金融環境下で資本市場調達を行う際にも有効であると考えています。

 

  地政学的リスクの高まりや各国中央銀行の金融政策の行方など不透明な状況は継続しています。今後の状況次第では、調達コストの上昇を含む流動性リスクの増加が想定されます。具体的には、金融機関借入において新規借入や既存借入の期日更新が困難になること、また、資本市場調達において社債、ミディアム・ターム・ノート、コマーシャル・ペーパーによる調達が困難になる、あるいはそのコストが上昇することなどが想定されます。オリックスグループでは、上記方針のとおり、調達の安定性維持と流動性リスク低減に努めており、また、コストの上昇についても高格付を維持することや、既存資金の期日更新時に合理的な金利水準での調達を実現できるようマーケットとの良好なコミュニケーションに努めています。

 

  国内外の子会社の中には調達方針を含むリスク管理に関して規制を受ける子会社があり、主要な子会社はオリックス銀行およびオリックス生命保険です。規制を受ける子会社は各社において調達方針を含む社内規程を定め、当社ならびに他のグループ会社とは切り離した流動性リスク管理を行っています。

 

  なお、流動性リスク管理については「第4  提出会社の状況  4  コーポレート・ガバナンスの状況等  (1)コーポレート・ガバナンスの概要  5)全社的リスク管理体制  ②  主なリスク管理  (e)流動性リスク管理(資金調達に関するリスク管理)」をご参照ください。

 

②  資金管理の状況

  オリックスグループの資金調達においては、当社が主導的な役割を担い、国内外の子会社への資金配分を管理しています。主な国内子会社(オリックス銀行やオリックス生命保険などの金融当局による規制を受ける子会社を除く)とは、キャッシュマネジメントシステムを活用して資金の供給および吸収を行い、効率的な資金管理を行っています。海外子会社に関しては、主に金融機関からの借入や社債発行などの現地での調達を推進する一方、親子ローンも活用しています。また、当社は、海外子会社が単独で利用可能なコミットメントライン枠の設定や、当社のコミットメントライン枠を海外子会社にも利用可能にすることで、海外子会社の資金調達を支援しています。

 

  オリックス銀行は、預金を通じて主要な事業資金を調達しており、営業活動として貸付業務を行っていますが、銀行法などの規制においてオリックスグループへの貸付には上限が課されており、この上限を超えた貸付は禁止されています。オリックス生命保険は保険を引受け、保険契約者から受け取った保険料などを投融資活動で運用しておりますが、保険業法などの規制によってオリックスグループへの貸付は規制の対象となっています。このため、オリックスグループではこれらの子会社からの資金提供に依存しない流動性管理を行っています。

 

③  流動性の源泉

(a)金融機関からの借入

  オリックスグループの借入先は多岐にわたり、大手銀行、地方銀行、外資系銀行、生命保険会社、損害保険会社、農林系金融機関等となっています。これら取引金融機関は当連結会計年度末現在約200社にのぼり、その多くは当社財務部や海外子会社と直接の取引関係にあり、十分なコミュニケーションと強い信頼関係を構築しています。借入残高の大半は日系金融機関からの借入となっています。なお、前連結会計年度末および当連結会計年度末現在における金融機関からの短期借入債務はそれぞれ436,822百万円および461,466百万円、長期借入債務はそれぞれ3,987,754百万円および4,031,105百万円です。今後も調達のバランスを考慮しながら、財務の安定化を図っていきます。

 

(b)コミットメントライン

  オリックスグループは流動性の確保手段として、金融機関との間でシンジケート方式を含むコミットメントライン契約を数多く締結しています。コミットメントラインは、契約の更新時期が一時期に重ならないように、その分散を図っています。前連結会計年度末および当連結会計年度末現在におけるオリックスグループのコミットメントライン設定額総額は、それぞれ758,667百万円および795,634百万円です。このうち前連結会計年度末および当連結会計年度末現在における利用可能となっている金額(未使用額)はそれぞれ559,322百万円および598,079百万円です。これらのコミットメントラインの一部は当社および海外子会社が外貨で利用することが可能となっています。当社ではコマーシャル・ペーパー等の償還や現金および現金等価物の残高などを考慮しつつ、コミットメントライン契約を締結しています。

 

(c)資本市場からの調達

  株式発行を除く資本市場からの調達には、社債、ミディアム・ターム・ノート、コマーシャル・ペーパーおよび営業貸付金等の証券化が含まれます。当連結会計年度は2020年3月期に発行し5年経過以降に繰上償還可能となった利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)(ハイブリッド債)60,000百万円について繰上償還を実行しており、同額の調達として利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)(ハイブリッド債)60,000百万円を発行しました。

 

 

社債およびミディアム・ターム・ノート

  社債およびミディアム・ターム・ノートについては、当社の基本方針である「調達の安定性維持・向上」と「流動性リスク低減」を達成するため、今後も国内外の機関投資家、個人投資家からバランスよく調達していきます。

 

  オリックスグループは国内外で無担保普通社債、利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)(ハイブリッド債)、ミディアム・ターム・ノートを発行し、長期資金の確保と投資家の分散を図っています。

  オリックスグループの社債およびミディアム・ターム・ノートの残高は、前連結会計年度末および当連結会計年度末現在において、それぞれ1,481,858百万円および1,638,436百万円です。このうち海外子会社での残高は、前連結会計年度末および当連結会計年度末現在において、それぞれ70,818百万円および87,879百万円です。

  当社の国内における機関投資家向け社債の残高は、前連結会計年度末および当連結会計年度末現在において、それぞれ498,923百万円および458,928百万円であり、個人向けはそれぞれ144,551百万円および114,665百万円です。当社の海外で発行された社債およびミディアム・ターム・ノートの残高は、前連結会計年度末および当連結会計年度末現在において、それぞれ726,908百万円および891,591百万円です。

 

コマーシャル・ペーパー

  当社は投資家に直接発行するコマーシャル・ペーパーを発行し、その投資家層は、金融機関、投資信託および事業法人等と多岐に分散されています。また、コマーシャル・ペーパーの発行に際しては、手元流動性の水準を考慮するとともに、なるべく期日が重ならないように発行日や期間を分散するようにしています。前連結会計年度末および当連結会計年度末現在におけるオリックスグループのコマーシャル・ペーパーの残高は、それぞれ13,849百万円および7,588百万円です。

 

証券化

  オリックスグループは、営業貸付金等の証券化を行っています。これら証券化について、会計上必要な場合には、証券化に伴う支払債務を負債として認識しています。前連結会計年度末および当連結会計年度末現在において、証券化に伴う支払債務はそれぞれ160,072百万円および63,577百万円です。

 

(d)預金

  オリックスグループではオリックス銀行およびORIX Asia Limitedが預金の受け入れを行っています。これらの預金を受け入れている子会社は金融当局および関連法令により規制を受け、オリックスグループへの貸付には制限があります。

  預金の多くを受け入れているオリックス銀行は、個人向け預金を中心とした受け入れを行い、預金は安定的に推移しています。前連結会計年度末および当連結会計年度末現在におけるオリックス銀行の預金は、それぞれ2,236,432百万円および2,443,577百万円です。

 

④  短期、長期借入債務および預金

(a)短期借入債務

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

金融機関からの借入

436,822

461,466

24,644

6

有価証券貸借取引にかかる担保付借入

120,116

80,626

△39,490

△33

社債

1,122

△1,122

△100

コマーシャル・ペーパー

13,849

7,588

△6,261

△45

営業貸付金の証券化等に伴う支払債務

2,186

△2,186

△100

合計

574,095

549,680

△24,415

△4

  (注)前連結会計年度末におけるVIEの短期借入債務のうち、債権者または受益権者が当社または子会社の他の資産に対する請求権をもたないものは2,186百万円です。当連結会計年度末においてVIEの短期借入債務はありません。

 

  当連結会計年度末現在における短期借入債務は549,680百万円であり、借入債務の総額に占める割合(預金を除く)は前連結会計年度末9%、当連結会計年度末現在9%となっています。当連結会計年度末現在における短期借入債務の84%は金融機関からの借入となっています。

 

(b)長期借入債務

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

金融機関等からの借入

3,987,754

4,031,105

43,351

1

社債

1,208,672

1,251,120

42,448

4

ミディアム・ターム・ノート

272,064

387,316

115,252

42

営業貸付金の証券化等に伴う支払債務

157,886

63,577

△94,309

△60

合計

5,626,376

5,733,118

106,742

2

  (注)前連結会計年度末および当連結会計年度末現在におけるVIEの長期借入債務のうち、債権者または受益権者が当社または子会社の他の資産に対する請求権をもたないものはそれぞれ339,143百万円および199,360百万円です。

 

  当連結会計年度末現在における長期借入債務は5,733,118百万円であり、借入債務の総額に占める割合(預金を除く)は前連結会計年度末91%、当連結会計年度末現在91%となっています。当連結会計年度末現在における長期借入債務の70%は金融機関からの借入となっています。

  当連結会計年度末現在における長期借入債務の利払いのうち49%は固定金利で、残りが変動金利となっています。長期借入債務の償還スケジュールや長短借入債務の金利の詳細については、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  15  短期および長期借入債務」をご参照ください。

 

  当社は借入金の金利変動リスク管理の目的で金利スワップ等のデリバティブ契約を結んでいますが、詳細については、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  29  デリバティブとヘッジ活動」をご参照ください。

 

(c)預金

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

増減

金額(百万円)

率(%)

預金

2,245,835

2,449,812

203,977

9

  (注)前連結会計年度末および当連結会計年度末現在においてVIEにおける預金はありません。

 

  預金の詳細については、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  16  預金」をご参照ください。

 

⑤  キャッシュ・フロー

  当社のキャッシュ・フローは、主に以下の資金流出および資金流入からもたらされます。

 

・営業キャッシュ・フローに区分される、リース純投資の回収、生命保険関連収益および費用、棚卸資産の仕入および売上や、サービス収入および費用等に伴う資金の流出入

・投資キャッシュ・フローに区分される、リース資産の購入および売却、有価証券の購入および売却や、営業貸付金の実行および元本返済等に伴う資金の流出入

・財務キャッシュ・フローに区分される、長短借入債務の調達および返済や、預金の受入等に伴う資金の流出入

 

  必要資金は、営業資産の新規実行高に大きく左右されます。リース資産や貸付金などの新規実行高が増加する

と、需要に応じて必要資金も増加し、反対に、減少するとそれに伴い必要資金も減少し、債務返済額が増加します。

 

  支払利息および税金に関するキャッシュ・フローの情報については、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  6  キャッシュ・フローに関する情報」をご参照ください。

 

キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度末現在の現金、現金等価物および使途制限付現金(以下、「資金」)は、前連結会計年度末より136,676百万円増加し、1,321,983百万円になりました。

  営業活動によるキャッシュ・フローは、主に保険契約債務および保険契約者勘定が増加したことや棚卸資産の増加額が減少したことなどにより、前連結会計年度の1,243,402百万円から当連結会計年度は1,300,193百万円へ資金流入が増加しました。

  投資活動によるキャッシュ・フローは、主にリース資産や売却可能負債証券の購入が増加した一方で、売却可能負債証券の売却および償還が増加したことなどにより、前連結会計年度の1,372,803百万円から当連結会計年度は1,309,695百万円へ資金流出が減少しました。

  財務活動によるキャッシュ・フローは、主に満期日が3ヶ月超の借入債務の調達が返済を上回ったことおよび預金の受入が減少から増加に転じたことなどにより、前連結会計年度の85,477百万円の資金流出から当連結会計年度は149,322百万円の資金流入となりました。

 

⑥  リース契約関連の購入義務

  当連結会計年度末現在におけるリース契約関連の購入義務は11,491百万円です。

  その他詳細については「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  33  契約債務、保証債務および偶発債務」をご参照ください。

 

⑦  オフバランスシート・アレンジメント

(a)SPEの利用

  当社および子会社は、リース債権、営業貸付金といった金融資産を定期的に証券化しています。証券化によって、資本市場へのアクセスを可能にし、資金調達手段・投資家層の多様化が図られると同時に信用リスク・金利変動リスクの低減化にも一部寄与しています。

 

  証券化では、証券化の対象となる資産をSPEに譲渡し、その資産を担保とした証券を投資家に発行します。

 

  当社および子会社は、資産の証券化を行うにあたり、SPEを継続的に使用する予定です。資産の証券化に関する詳細については、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  11  金融資産の譲渡」をご参照ください。

 

投資商品

  当社および子会社は、SPEに類似した形態である組合方式を利用した投資商品を提供し、この商品の販売および組成を行っています。投資家は、航空機、船舶やその他の大型物件を購入してリースするために必要な資金の一部を組合に投資し、残りの資金は組合がノンリコースローンの形態で金融機関から調達します。この投資に関するリスクおよび便益はすべて投資家(および組合への資金の貸し手)に帰属しており、リース事業から生じる損益は投資家が計上します。組成と販売、一部サービサーや組合管理者としての責任が当社および子会社の責任範囲です。組成や管理からの手数料は連結財務諸表に計上しています。当社および子会社は、一部の組合・SPEを除き、組合または関係するSPEに対して保証を行っておらず、貸付のコミットメントもしくは貸付残高もありません。

 

その他金融取引

  航空機、船舶および不動産に関連するファイナンス取引、投資ファンドに関する取引および不動産の取得や開発プロジェクト等において、SPEに対しローン供与および出資をしている場合があります。SPE形態を利用した取引についてはすべて、当社および子会社がSPEの主たる受益者となるような変動持分を保有しているかどうかを判定します。当社および子会社がSPEの主たる受益者であると結論付けられた場合は当該SPEを連結し、それ以外の場合については、貸付金および出資等として、連結貸借対照表に計上しています。

 

  SPEを利用した取引に関する詳細は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  12  変動持分事業体」をご参照ください。

 

(b)コミットメント

  当連結会計年度末現在における保証残高、貸付金およびその他のコミットメント契約の返済スケジュールは以下のとおりです。

 

合計

(百万円)

1年以内

(百万円)

1年超〜

3年以内

(百万円)

3年超〜

5年以内

(百万円)

5年超

(百万円)

保証残高

903,728

205,569

131,902

152,908

413,349

貸付金およびその他の

コミットメント契約

850,784

312,827

302,874

37,547

197,536

合計

1,754,512

518,396

434,776

190,455

610,885

 

  米国の子会社は、米連邦住宅抵当公庫(以下、「ファニーメイ」)のDelegated Underwriting and Servicingプログラムおよび米連邦住宅抵当貸付公社(以下、「フレディマック」)のDelegated Underwriting Initiativeプログラムに基づいて、事前にファニーメイおよびフレディマックの承認を得ることなしに、集合住宅や高齢者向け住宅ローン債権の引受け、実行、資金提供およびサービシングを行う権限を有しています。これらのプログラムにおいてファニーメイおよびフレディマックは債権購入のコミットメントを提供しています。

  これらのプログラムでは、当該子会社は、ファニーメイおよびフレディマックに譲渡した一部の債権のパフォーマンスを保証し、それらの債権から損失が発生した場合に、その損失の一部を負担する保証の履行リスクを有しています。当連結会計年度末において、上表に含まれる当該保証にかかる残高は、543,453百万円です。

 

  また、ファニーメイおよびフレディマックに対する債権の売却に関連して、当該子会社は、表明・保証条項を提供しています。表明・保証条項の対象は、住宅ローンがファニーメイおよびフレディマックの要求を満たすものであること、財産における抵当権の有効性、文書が有効かつ強制力があること、財産における権原保険などです。表明・保証条項に違反した場合、当該子会社は関連する債権を買い戻すか、ファニーメイおよびフレディマックにかかる損失を補償し、債権に損失が及ばないようにする必要があります。当連結会計年度において、子会社はそのような買戻し要求を受けていません。

 

  コミットメント契約、保証債務および偶発債務の詳細については「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  33  契約債務、保証債務および偶発債務」をご参照ください。

 

(c)契約上の義務の開示

  当連結会計年度末現在における契約債務の返済スケジュールは以下のとおりです。

 

合計

(百万円)

1年以内

(百万円)

1年超〜

3年以内

(百万円)

3年超〜

5年以内

(百万円)

5年超

(百万円)

預金

2,449,812

1,819,970

294,006

259,532

76,304

長期借入債務

5,733,118

867,767

1,658,147

1,583,032

1,624,172

リース契約関連の購入義務

11,491

104

9,217

338

1,832

借手のリース取引に関するリース負債

296,151

53,118

69,127

50,464

123,442

解約不能なシステム委託料の

支払予定額

13,469

5,809

7,502

157

1

金利スワップ:

 

 

 

 

 

想定元本

(変動から固定)

678,027

92,348

159,691

126,650

299,338

想定元本

(固定から変動)

141

141

 合計

9,182,209

2,839,116

2,197,690

2,020,173

2,125,230

 

  上表に含まれないその他の科目には短期借入債務、支払手形、買掛金および未払金、保険契約債務および保険契約者勘定があります。当連結会計年度末におけるこれらの残高はそれぞれ549,680百万円、339,787百万円、1,948,047百万円です。

 

  年金制度およびデリバティブの詳細については「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  19  年金制度」および「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  29  デリバティブとヘッジ活動」をご参照ください。コミットメントおよび契約債務のための資金については、金額、満期までの期間およびその他特性に応じて、当社および子会社の有する多様な資金調達源のいずれか、もしくはそのすべてから調達する予定です。

 

  借入債務および預金の詳細については「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  15  短期および長期借入債務」および「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  16  預金」をご参照ください。

 

  リース負債の詳細については「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表注記  7  リース取引」をご参照ください。

 

  オリックスグループでは、既知の契約上の義務について勘案した現預金の保有およびコミットメントラインの設定による手元流動性の確保を行っています。

 

(7)特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく営業貸付金の状況

  「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、提出会社個別における営業貸付金の状況は以下のとおりです。

  本項目における数値は、日本会計基準により作成しており、貸金業法の規定に該当しない債権2,044,050百万円を含めて表示しています。

 

①  貸付金の種別残高内訳

2025年3月31日現在

 

貸付種別

件数

(件)

構成割合

(%)

残高

(百万円)

構成割合

(%)

平均約定金利

(%)

消費者向

無担保

(住宅向を除く)

有担保

(住宅向を除く)

住宅向

696

16.93

5,102

0.20

1.76

696

16.93

5,102

0.20

1.76

事業者向

3,414

83.07

2,526,286

99.80

2.50

合計

4,110

100

2,531,388

100

2.50

 

②  資金調達内訳

2025年3月31日現在

 

借入先等

残高(百万円)

平均調達金利(%)

金融機関等からの借入

2,699,552

2.01

その他

1,493,899

2.76

(社債・CP)

(1,476,868)

(2.78)

合計

4,193,452

2.29

自己資本

1,130,985

(資本金・出資額)

(221,111)

(-)

(注)当事業年度における貸付金譲渡金額は、7,100百万円です。

 

③  業種別貸付金残高内訳

2025年3月31日現在

 

業種別

先数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

製造業

161

5.71

9,118

0.36

建設業

298

10.57

22,078

0.87

電気・ガス・熱供給・水道業

52

1.85

36,246

1.43

運輸・通信業

74

2.63

34,598

1.37

卸売・小売業、飲食店

506

17.96

28,647

1.13

金融・保険業

56

1.99

1,563,514

61.77

不動産業

518

18.37

719,806

28.44

サービス業

504

17.89

106,353

4.20

個人

610

21.65

5,102

0.20

その他

39

1.38

5,926

0.23

合計

2,818

100

2,531,388

100

(注)不動産業には、特別目的会社を債務者とするノンリコースローンを含めて表示しています。

 

④  担保別貸付金残高内訳

2025年3月31日現在

 

受入担保の種類

残高(百万円)

構成割合(%)

有価証券

437

0.02

(うち株式)

(437)

(0.02)

債権

58,069

2.29

(うち預金)

(2,797)

(0.11)

商品

0

0

不動産

180,169

7.12

財団

0

0

その他

18,700

0.74

257,375

10.17

保証

232,461

9.18

無担保

2,041,552

80.65

合計

2,531,388

100

(注)無担保には、関係会社に対する貸付金2,033,138百万円が含まれています。

 

⑤  期間別貸付金残高内訳

2025年3月31日現在

 

期間別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

1年以下

1,849

44.99

133,340

5.27

1年超  5年以下

1,396

33.96

2,017,451

79.70

5年超  10年以下

415

10.10

358,544

14.16

10年超  15年以下

8

0.19

3,052

0.12

15年超  20年以下

53

1.29

4,100

0.16

20年超  25年以下

150

3.65

753

0.03

25年超

239

5.82

14,148

0.56

合計

4,110

100

2,531,388

100

一件あたり平均期間

4.27年

(注)期間は、約定期間によっています。

 

5【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

  特記事項はありません。