文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「優れた技術と豊富な経験を活かし、高品質のサービスを提供することにより社会の発展に貢献するとともに、顧客・株主・社員の期待に応えること」を経営方針とし事業活動を行っております。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び経営指標
当社グループは、2019年7月に、2020年5月期を初年度とする中期経営計画(2019年度~2022年度)を策定しており、実行しております。
同計画では、以下の基本方針の下、様々な事業施策に取り組んでおります。
1.対象期間 2020年5月期~2023年5月期(4ヵ年)
2.基本方針 「目指す将来像」の実現に向けて様々なイノベーションに取り組む4年間
①技術力向上
資格保有者の増大・新技術の活用等により、技術力の更なる向上を図り、建設コンサルタント業務の拡大を目指します。
技術力向上の一つの目安は、技術資格保有者の増大です。技術資格は、業務遂行に必要な技術を有すると共に技術者倫理を備えた技術者に与えられます。当社は、建設コンサルタント業務の拡大と技術者のコンプライアンス意識向上を図るため、職員の技術資格の取得促進に取り組んでまいりました。
昨年度、新たに27名の職員が技術士資格試験に合格し、グループ全体の技術士は195名となりました。
中期経営計画では、創業100周年における有資格者数を500名とすることを目標に、技術資格の取得促進に取り組んでまいります。
②収益機会の拡大
収益機会の拡大を目的とした業務代行・土木管財等コンサルティング業務への取組みを強化し、事業ソリューション業務の成長を目指します。
ハウスメーカーとの共同業務代行をはじめ出口戦略のしっかりとした優良案件が着実に積み上がってきています。
③BPR(業務プロセス革新)とIT戦略投資による生産性改革
BPR(業務プロセス革新)とIT戦略投資による生産性改革を断行します。業務の効率化を図るべく、基幹システムの入替えを実施するとともに、働き方改革や新型コロナウイルス感染症への対応の一環として、リモートワークの導入やウェブ会議の活用等にも積極的に取り組んでおります。首都圏の横浜・大宮では、サテライト・オフィスもスタートいたしました。
以上3つの基本方針に基づき、諸課題に取り組むことにより、外部環境の変化に柔軟に対応できるレジリエント(強靭)な組織を構築し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。
また、株主様をはじめとする多様なステークホルダーの方々と対話・共創することにより、SDGsの目標にさまざまな形で貢献してまいります。
3.定量目標
(単位:百万円)
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2020年5月期 (実績) |
2021年5月期 (計画) |
2023年5月期 (計画) |
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連結売上高 |
15,202 |
15,700 |
17,500 |
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連結営業利益 |
1,144 |
1,200 |
1,400 |
4.具体的施策
①経営施策
・BPR(業務プロセス革新)と働き方改革の一体的推進
・ITと人財への投資
・ICT環境によるワークスタイルの変化への対応
・M&Aの検討
②技術施策
・資格保有技術者の育成や企業とのアライアンスによる技術力の多様化・高度化
・新技術等を活用した高度なサービスの提供
・PPP/PFI分野の技術蓄積とワンストップソリューションの確立
③事業施策
まちづくり業務
・都市の再開発や都市空間の再構築、地方創生や地域活性化、安全・安心で健康や福祉に配慮した地域社会の形成など、社会のニーズに応える多面的なまちづくり業務の拡大
・まちづくりに係る計画策定や事業実施業務の強化と、技術支援や民間連携を求める行政機関に対する支援
業務への取組
・PM/CM技術を活用した国内民間開発事業及び海外投資家による国内開発業務(IR、物流施設、ホテル、ゴルフ場など)の支援強化
社会インフラ整備
・震災復興業務で培った技術を基に、防災・減災、国土強靭化のための社会インフラ整備業務に展開
・点検・診断、長寿命化計画、ストックマネジメントなどの社会インフラ維持管理業務への取り組み強化
・PPP、PFI、コンセッション等、公共施設の建設・維持管理・運営を行う業務について、当社がこれまで民間受託業務等で培ったネットワークやノウハウを活用しながら、最適な事業パートナーとのアライアンスによる対応も含め、取組を強化
・高速・大容量の通信が可能となる次世代規格「5G」への移行に伴い、その基盤となる基地局設置業務への対応を強化
事業ソリューション業務
・土木管財業務・業務代行の実施等、コンサルタント業務を超えて土地区画整理事業等へ参画することにより、事業全体のソリューション(課題解決)と収益の多様化を実現
・2022年生産緑地問題について、区画整理等の手法による秩序ある整備を誘導するためコンサルティングから業務代行参画までをワンストップで対応し、課題解決と同時に新たな収益機会を創出
・国有財産の土木管財業務及び大学法人の資産管理業務のビジネスモデルを企業不動産(CRE)や公的不動産(PRE)に広く展開
④株主還元方針
株主重視の観点から安定的に配当を行うことを基本方針とした上で、株主還元拡充の観点から総還元性向50%程度を当面の目処とし、その時々の経済情勢や財務状況、業績見通し等を総合的に勘案し各期の還元内容を決定することとしています。
当社は、今後も株主還元方針を大切にし、経営基盤の強化による安定配当を基本的スタンスとしながら、株主還元の積極的な強化および将来成長のための成長投資を両立させることで、継続的な企業価値の向上並びに株主利益の拡大に注力してまいります。
(3)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、建設コンサルタント官庁需要においては、防災・減災、老朽化した社会インフラの維持・管理、国土強靭化への対応など公共投資が堅調に推移しており、コロナウイルス感染症拡大による影響はあるものの受注環境は概ね前年同等を予想しております。
東日本大震災復興関連事業におきましては、発生当初から当社が業務を行っております宮城県石巻・女川地区の基盤整備を主とする震災復興関連業務が完遂に向かうことに伴い、その受注は減少傾向を予想しておりますが、国土強靭化や防災減災関連業務などの官庁需要の増加と、携帯電話基地局設置業務、物流施設開発支援業務などの民間需要の増加などにより、引き続き堅調な受注環境を予想しております。
このような事業環境のもと、当社グループは、中期経営計画(2019年度~2022年度)にて設定した、各施策を実行し、持続的成長と企業価値向上に向けて取り組んでまいります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループの技術力を基盤として、次の3点を当面の課題に掲げ、業績の向上ならびに社業の発展に努めてまいります。
① 技術力の強化
当社グループの持続的・安定的な成長を実現していくためには、技術力の強化が必要です。新卒採用の継続や、専門的知識・経験・資格を有する技術者の採用により、人材を確保するとともに、社員一人ひとりの人材育成に取り組んでまいります。そうした中で、上下水道、河川・砂防、道路、鋼構造、土質及び基礎等はじめ技術者のレベルアップを図り、当社全体の技術力の一層の強化を推進してまいります。
② 収益性の向上
当社グループの強みである区画整理事業での経験・知見や保留地の処分能力を活かして、調査設計業務に加え、優良案件については、当社自ら業務代行者として参画することで、デベロッパー事業や生産緑地対策など「まちづくり業務」の収益性の一層の向上を図ってまいります。
③ 事業領域の拡大
当社グループは、既存事業領域の成長とともに、幅広いニーズに対応するための同業他社等との提携・協業、M&Aの強化や、土木管財業務、個人向けコンサル事業などの高付加価値提案型サービスの展開等により、事業領域の拡大を推進してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
記載内容のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
(1)成果品の瑕疵責任と賠償
成果品のミス・エラー等による瑕疵責任が発生しない様に、成果品のチェック体制には、万全の注意を払っておりますが、現状での建設コンサルタント業における瑕疵担保責任の範囲は、損害賠償の限度がない「公共土木設計業務等標準委託契約約款」に規定されていることから、業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)官公庁受注への依存
主要顧客である国及び地方公共団体の公共事業費予算の縮小などがあった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、東日本大震災に係る復興関連業務や、熊本地震や九州北部豪雨で被災した地域の復興支援、西日本豪雨災害の復興支援にも注力してまいりますが、復興関連業務の受注動向次第では、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)民間取引先の信用リスク
受注額の3~4割程度は民間企業との取引ですが、今後の経済状況の変化に伴い当該企業の破綻等により業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)保有資産の価格変動
当社は、関東・東北を中心として自社ビル・不動産等を保有しております。
今後の不動産市場の動向如何によっては、当社が保有する資産価値が下落し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)自然災害
当社グループの全社員のうち約半数の社員の勤務が東京都に集中しております。そのため、東京都で地震等の自然災害があった場合、業務不能又は、業務能力の低下が発生して、業務が滞る可能性があります。また、東京都に限らず当社グループの支店、営業所等において、自然災害により操業停止等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)人材確保
当社グループの成長は、技術部門の優秀な技術者や高度な熟練技能者によって支えられており、当社グループが今後も高い競争力を維持していく上でこれらの人材確保はますます重要となっております。また、技術面のみならず、当社グループの成長過程においては、経営管理面の優秀な人材確保も一層重要になっております。一方、こうした人材への需要は大きく、企業間における人材の獲得競争は激しいものとなっております。これらの有能な人材の確保及び雇用の維持が困難な場合には、当社グループの成長に影響を及ぼす可能性があります。
(7)土地区画整理事業業務代行
中期経営計画において収益機会の拡大策と位置付けている土地区画整理事業の業務代行について、ハウスメーカーとの共同業務代行の契約を締結いたしました。今後も出口戦略のしっかりとした優良案件については、当社自ら不動産リスクを見据えた適切なリスクテイクを行い、従来のコンサル業務領域を超えた収益性の向上を企図してまいります。なお、不動産市場の動向如何によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)新規事業への取り組み
当社グループでは、収益基盤をさらに拡大するために、今後も新規事業への取り組みを進めていく方針ですが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されます。このため、当社グループ全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当社グループの目論見どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現在進行中の新規事業のうち、北海道北広島における太陽光発電の売電事業の管理運営は、事業環境の著しい悪化等により計画どおりに推移しなかった場合には、太陽光発電所施設の減損損失が発生する可能性があります。
(9)売上・営業利益の季節的変動
当社グループの売上高は、第4四半期連結会計期間に完成する業務の割合が大きいため、第1、第2、第3四半期連結会計期間までの各四半期連結会計期間の売上に比べ第4四半期連結会計期間の売上が増加する傾向にあり、業績を判断する場合に留意を要します。
なお、最近2連結会計年度における四半期の売上高及び営業損益の推移は下表のとおりであります。
|
|
2019年5月期 |
||||
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
合計 |
|
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売上高(千円) |
1,395,989 |
2,828,941 |
1,740,765 |
9,615,678 |
15,581,374 |
|
構成比(%) |
8.9 |
18.2 |
11.2 |
61.7 |
100.0 |
|
営業損益(千円) |
△294,478 |
△24,211 |
△289,448 |
1,712,542 |
1,104,404 |
|
|
2020年5月期 |
||||
|
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
合計 |
|
|
売上高(千円) |
961,682 |
3,186,786 |
1,709,779 |
9,344,462 |
15,202,709 |
|
構成比(%) |
6.3 |
21.0 |
11.2 |
61.5 |
100.0 |
|
営業損益(千円) |
△395,695 |
156,382 |
△201,049 |
1,584,863 |
1,144,501 |
(10)法的規制
当社グループは事業活動を行う上で、独占禁止法、下請法、個人情報保護法等の様々な法規制の適用を受けております。これからの法規制の遵守を徹底するため、すべての役員及び従業員が、行動規範の基本原則である「法令遵守」の精神を理解し、公正で透明な企業風土の構築に努めております。また、コンプライアンス規程、コンプライアンスマニュアルを定め、運用体制を整備し、当社グループ全体での厳格な運用に努めております。しかしながら、万が一これらの法規制を遵守できなかった場合には、社会的な信用や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、主務官庁から建設コンサルタント登録や測量業登録をはじめとして、様々な登録、許認可を受けて事業を行っていることから、登録、許認可の根拠となる各法令等を遵守し、許認可等の更新に支障が出ないよう、役職員の教育等に努めております。
しかしながら、役員が罰金以上の刑に処されることその他何らかの理由により登録、許認可の取り消しや更新ができない状態が発生した場合及び関連法規の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの事業展開及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。なお、現時点において、当社グループは以下の登録、許認可取り消し事由に抵触しておりません。
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登録の種類 |
保有会社 |
有効期限 |
取消事由 |
|
建設コンサルタント登録 |
当社 |
2024年9月30日 |
建設コンサルタント登録規程 第12条、第13条 |
|
日本都市整備㈱ |
2022年2月23日 |
||
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東北都市整備㈱ |
2024年7月16日 |
||
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近畿都市整備㈱ |
2025年2月26日 |
(11)新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症の影響については、不確実性が高く、収束時期が予想しづらい状況にあります。感染症が一層拡大し長期化する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態影響を及ぼす可能性があります。
経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(1)経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、世界経済の緩やかな回復基調の下、日銀の金融緩和や財政政策による景気の下支えにより、雇用・所得環境の改善が進み、緩やかな回復基調が続きましたが、後半においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済環境悪化が懸念される状況となりました。
建設コンサルタント業界においては、防災・減災、老朽化した社会インフラの維持・管理、国土強靭化への対応など、公共投資が堅調に推移する中、受注環境はおおむね好調を維持しました。
このような状況の中、当社グループでは、「まちづくり業務」の豊富な経験と実績を活かし、「まちづくりのソリューション企業」として、国土強靭化や防災・減災など「安全と安心で持続可能なまちづくり」、都市再生・地方創生業務、公共施設マネジメント業務、まちづくり事業をパッケージで支援する事業推進サポート業務などを重点分野と位置づけ、積極的な営業活動を展開してまいりました。
東日本大震災の復興関連業務では、宮城県石巻・女川地区の復興支援の完遂に努めるとともに、福島県の復興支援を行いました。また、発災直後から担当している熊本地震や九州北部豪雨、西日本豪雨で被災した地域(熊本県益城町、福岡県朝倉市、広島県東広島市等)の復興支援に加えて、令和元年台風第19号等による宮城県丸森町等の災害支援に取り組んでいます。
さらに、区画整理事業での当社のコンサルタントとしての経験・知見や保留地の処分能力を活かして、調査設計業務に加え業務代行者としての参画を企図し、デベロッパー業務や生産緑地対策など「まちづくり業務」の収益性の向上を図るとともに、土木管財業務、個人向け相続・不動産コンサル事業、PM(プロジェクトマネジメント)/CM(コンストラクションマネジメント)・PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)事業、システム開発など、「まちづくり業務」の高付加価値提案型サービスの展開により、事業領域を拡大してまいりました。
当連結会計年度の概況は以下のとおりであります。
東日本大震災の復興需要はピークアウトしたものの、福島県・熊本県益城町・福岡県朝倉市・広島県東広島市・宮城県丸森町等の復興需要に応えるとともに、その他の官庁受注及び民間受注の伸張に注力した結果、受注高につきましては15,751百万円(前年同期は15,377百万円)となり、手持受注残高は10,141百万円(前年同期は9,592百万円)を確保することができました。
売上高につきましては、15,202百万円(前年同期は15,581百万円)となりました。
営業利益は1,144百万円(前年同期は1,104百万円)、経常利益は1,176百万円(前年同期は1,151百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、823百万円(前年同期は1,715百万円)となりました。
なお、前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益1,715百万円には、本社・東京支店ビル土地建物(事業用不動産)の譲渡による特別利益(固定資産売却益)1,409百万円が含まれております。
(2)財政状態
前中期経営計画において、技術力の向上や財務体質の強化等により経営基盤の強化に取り組んだ結果、資格保有者数の増大や無借金体質の確立、自己資本比率の向上等を実現することができました。
(資産の部)
資産合計は、現金及び預金の増加329百万円を主な要因として、前期末より647百万円増加し、12,978百万円となりました。
(負債の部)
負債合計は、前期末より253百万円増加し、4,692百万円となりました。借入金については、返済が進み、当期末の有利子負債残高は、前期末より192百万円減少し、120百万円となりました。有利子負債残高120百万円に対し、現金及び預金の期末残高は2,336百万円であり、実質無借金となっています。
(純資産の部)
純資産合計は、利益剰余金が504百万円増加する一方、株主還元に伴い、控除(マイナス)項目である自己株式が取得・消却等による27百万円減少した結果、前期末より393百万円増加し、8,286百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比較して329百万円増加し2,336百万円(前年同期は2,007百万円)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは1,259百万円の収入(前年同期は1,499百万円の収入)であり、主なものは、税金等調整前当期純利益1,167百万円と減価償却費253百万円の計上、未成業務受入金の増加に伴う収入299百万円、法人税等の支払額442百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは212百万円の支出(前年同期は38百万円の収入)であり、有形固定資産の取得による支出140百万円、無形固定資産の取得による支出121百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは718百万円の支出(前年同期は1,134百万円の支出)であり、長期借入金の返済による支出192百万円、自己株式の取得による支出207百万円及び配当金の支払いによる支出317百万円等によるものであります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グル-プの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって会計上の見積りが必要なものについては期末時点において把握できる最善の方法により会計上の見積を行っております。他の会計上の見積りについては、「第5経理の状況 1.連結財務諸表等注記 3会計方針」に記載のとおりであります。
①固定資産の減損
固定資産の減損については、期末における不動産鑑定評価及び翌期以降の事業計画を基礎とし、内閣府公表の国内総生産等の客観的な企業統計数値により補正して将来キャッシュ・フロ-を見積り、国債の利子率で割引いた価額と期末帳簿価額を比較して減損処理を行っております。なお、当期に減損の兆候は認識しておらず、当期における固定資産の減損損失の計上はございません。
②有価証券の減損
有価証券の減損については、市場価格のあるものについては、四半期末日の時価が、簿価の30%以上下落しているときには、減損処理を行っております(事業年度末まで洗替法)。市場価格の無いものについては、決算期末日までに入手し得る発行会社の財務諸表を基礎に、1株当たり純資産額に所有株式数を乗じた金額を実質価額として評価し、当該実質価額が決算期末日の帳簿価額の50%以上下落しているときには、当該実質価額まで減損処理を行っております(関係会社株式は除く)。
③繰延税金資産(税効果会計)
繰延税金資産の計上については、期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得は無いものの、過去3年及び当期のすべての事業年度において臨時的な原因を除いた課税所得が安定的に発生しているため、翌期以降のタックスプランニングに基づく範囲内で回収可能性があるものと判定して処理しております。
④資産除去債務
資産除去債務の計上については、事業用、賃貸用、福利厚生用にかかわらず物件ごとに外部業者の除去費用見積額を基礎とし、履行時期までの期間に応じた国債の利子率で割引いた金額を原則としております。賃借事務所で敷金を計上しており、当該有形固定資産の除去費用と敷金を相殺できない記載が無く、かつ、除去費用が敷金を上回ることが無いと思われる場合には、過去の除去費用の敷金に対する実績率による金額によっております。
(新型コロナウイルス感染症の影響の考え方)
新型コロナウイルス感染症の拡大は不確実性が高い事象であるものの、会計上の見積りへの影響は限定的であるとの前提の上で行っております。今後、新型コロナウイルス感染症が一層拡大ないし収束が長期化し、国内の建設コンサルタント需要に影響を与える場合には、当社グル-プの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産高実績
当社グループは、単一セグメントであるため、業務の区分別の生産高を記載しております。
|
業務の区分等 |
生産高(千円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
|
建設コンサルタント業務 地理空間情報業務 |
3,475,906 |
22.5 |
119.3 |
|
環境業務 |
554,747 |
3.6 |
70.8 |
|
まちづくり業務 |
5,899,447 |
38.1 |
86.5 |
|
設計業務 |
4,433,200 |
28.7 |
104.9 |
|
事業ソリューション業務 |
1,098,571 |
7.1 |
156.0 |
|
合計 |
15,461,871 |
100.0 |
100.1 |
(注)1.価格の基準は販売価格であります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注高実績
当社グループは、単一セグメントであるため、業務の区分別の受注高を記載しております。
|
業務の区分等 |
受注高(千円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
|
建設コンサルタント業務 地理空間情報業務 |
4,047,667 |
25.7 |
136.7 |
|
環境業務 |
535,080 |
3.4 |
90.3 |
|
まちづくり業務 |
5,757,561 |
36.5 |
89.1 |
|
設計業務 |
4,076,967 |
25.9 |
89.4 |
|
事業ソリューション業務 |
1,334,475 |
8.5 |
166.0 |
|
合計 |
15,751,750 |
100.0 |
102.4 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.前期以前に受注した業務で、契約額の増減があるものについては、変更の行われた期の受注高にその増減額を含んでおります。
(3)完成高実績
当社グループは、単一セグメントであるため、業務の区分別の完成高を記載しております。
|
業務の区分等 |
完成高(千円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
|
建設コンサルタント業務 地理空間情報業務 |
3,138,187 |
20.6 |
108.3 |
|
環境業務 |
657,108 |
4.3 |
86.7 |
|
まちづくり業務 |
5,908,203 |
38.9 |
85.5 |
|
設計業務 |
4,419,740 |
29.1 |
101.2 |
|
事業ソリューション業務 |
1,079,471 |
7.1 |
167.3 |
|
合計 |
15,202,709 |
100.0 |
97.6 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(4)手持受注高
当社グループは、単一セグメントであるため、業務の区分別の手持受注高を記載しております。
|
業務の区分等 |
手持受注高(千円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
|
建設コンサルタント業務 地理空間情報業務 |
2,691,056 |
26.5 |
151.0 |
|
環境業務 |
460,254 |
4.5 |
79.0 |
|
まちづくり業務 |
3,975,322 |
39.2 |
96.3 |
|
設計業務 |
2,075,106 |
20.5 |
85.8 |
|
事業ソリューション業務 |
940,059 |
9.3 |
137.2 |
|
合計 |
10,141,797 |
100.0 |
105.7 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
また、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には不確実性、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
なお、当社グループは、まちづくりのソリューション企業として、地理空間情報業務、環境業務、まちづくり業務、設計業務及び事業ソリューション業務を総合的に営む単一の事業の企業集団であるため、セグメント情報は記載しておりません。
当社グループを取り巻く経営環境は、コロナウイルス感染症拡大による影響はあるものの、建設コンサルタント官庁需要においては、防災・減災、老朽化した社会インフラの維持・管理、国土強靭化への対応など公共投資が堅調に推移し、当連結会計年度の受注高は15,751百万円(前年同期は15,377百万円)となりました。前連結会計年度に比べ374百万円増加いたしました。
(1)経営成績
① 売上高
売上高は15,202百万円(前年同期は15,581百万円)となりました。前連結会計年度に比べ378百万円減少いたしました。
② 売上総利益
売上総利益は4,190百万円(前年同期は4,061百万円)となりました。売上高に対する売上総利益率は27.6%となり、前連結会計年度に比べ、それぞれ129百万円、1.5ポイント増加いたしました。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は3,046百万円(前年同期は2,957百万円)となりました。名古屋支店および大阪支店事務所のリニューアル費用や新基幹システム導入費用等により売上高に対する販売費及び一般管理費率は20.0%となり、前連結会計年度に比べ、それぞれ88百万円、1.0ポイント増加いたしました。
④ 営業利益
営業利益は1,144百万円(前年同期は1,104百万円)を計上し、9期連続の増益となりました。売上高に対する営業利益率は7.5%となり、前連結会計年度に比べ、それぞれ40百万円、0.4ポイント増加いたしました。
⑤ 営業外損益
営業外損益は32百万円の利益(前年同期は46百万円の利益)となり、前連結会計年度に比べ14百万円減少いたしました。営業外収益は59百万円となり、その主な要因は受取配当金によるものであり、前連結会計年度に比べ6百万円減少いたしました。営業外費用は26百万円(前年同期は18百万円)となり、その主な要因は有価証券売却損によるものであり、前連結会計年度に比べ8百万円増加いたしました。
⑥ 経常利益
経常利益は1,176百万円(前年同期は1,151百万円)となりました。売上高に対する経常利益率は7.7%となり、前連結会計年度に比べ、それぞれ25百万円、0.3ポイント増加いたしました。
⑦ 特別損益
特別損益は8百万円の損失(前年同期は1,274百万円の利益)となり、本社・東京支店ビル土地建物の譲渡等による特別利益1,409百万円を計上した前連結会計年度に比べ1,283百万円減少いたしました。その主な要因は固定資産除却損によるものであります。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は823百万円(前年同期は1,715百万円)となり、前連結会計年度に比べ891百万円減少いたしました。
(2)財政状態
① 資産、負債及び純資産
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末から647百万円増加して12,978百万円となりました。流動資産は現金及び預金と未成業務支出金の増加を主な要因として596百万円増加し、固定資産はソフトウエア仮勘定の増加と投資有価証券と破産更生債権等の減少を主な要因として50百万円増加いたしました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末から253百万円増加して4,692百万円となりました。流動負債は未成業務受入金の増加、1年内返済予定の長期借入金と未払法人税等の減少を主な要因として451百万円増加し、固定負債は長期借入金と退職給付に係る負債の減少と資産除去債務と繰延税金負債の増加を主な要因として198百万円減少いたしました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末から393百万円増加して8,286百万円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加と剰余金の配当による減少により504百万円増加し、自己株式は取得・消却等により27百万円減少いたしました。
② キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の概要 (3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 資金需要
当社グループは、地理空間情報業務、環境業務、まちづくり業務、設計業務及び事業ソリューション業務を総合的に営む単一事業(建設コンサルタント業)の企業集団であり、当社グループの運転資金需要の主なものは、建設コンサルタント業務の受注業務遂行のための人件費、業務委託費、材料費等その他経費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。営業費用の主なものは給与手当、福利厚生費などの人件費、営業活動に伴う交通費等であります。当社グループの研究開発費用は様々な営業費用として計上されておりますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究費用の主要な部分を占めております。
④ 契約債務
2020年5月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
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区分 |
合計(千円) |
年度別要支払額(千円) |
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1年内 |
1年超2年内 |
2年超3年内 |
3年超4年内 |
4年超5年内 |
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長期借入金(1年内返済予定を含む) |
120,000 |
60,000 |
60,000 |
- |
- |
- |
⑤ 財政政策
当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。資金調達の方針につきましては、運転資金は返済期限が1年以内の短期借入金で調達し、設備投資資金及び事業規模が1年を超える不動産開発業務資金につきましては、原則として固定金利の長期借入金及び社債で調達しております。
2020年5月31日現在、1年内返済予定の長期借入金を除く短期借入金の残高はありません。また、1年内返済予定の長期借入金を含む長期借入金の残高は120百万円であります。
当社グループは、引き続き営業活動によるキャッシュ・フローを借入金の返済に充当し、有利子負債の圧縮に努める所存であります。
(3)中期経営計画の達成状況
中期経営計画(2020年5月期~2023年5月期)の初年度である2020年度5月期の達成状況は以下のとおりです。
東日本大震災復興業務の終息により売上高は計画比797百万円減(5.0%減)となり、営業利益は計画比55百万円減(4.6%減)となりました。
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指標 |
2020年度5月期 (計画) |
2020年度5月期 (実績) |
2020年度5月期 (計画比) |
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売上高 |
16,000百万円 |
15,202百万円 |
△797百万円 (5.0%減) |
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営業利益 |
1,200百万円 |
1,144百万円 |
△55百万円 (4.6%減) |
(4)これまでの10年の振り返りと今後の展望
当社のこれまでの10年を振り返ってみますと、業績は堅調に推移してきており、受注高は10年前の10,916百万円から15,751百万円まで伸長しました。期末の手持受注残高は10,141百万円に達しています。また、営業利益は1,144百万円を計上し、9期連続の増益となりました。安定した業績を背景に営業キャッシュフローは改善し、借入金の返済を進めてきた結果、有利子負債は10年前の4,175百万円から120百万円まで減少しました。
長期借入金は、期末残高120百万円となり、2022年5月期に完済予定です。
短期借入金は、期末残高0(ゼロ)で、期中のつなぎ運転資金のみであり、ここ数期、期末残高は0で推移しています。
以上のとおり、実質的に借入はなく、自己資本比率も向上しており、財務基盤は着実に強化されています。
業績面においては、震災復興関連業務がピークアウトした後も、国土強靭化や無電柱化等を背景とした官公庁業務や、当社の強みである民間業務の伸長により、堅調に推移しており、当面は、このトレンドを維持していくことができるものと、現状、判断しております。
この先、コロナウイルスの長期化や、不動産市場の動向如何によっては不安材料もありますが、現在の受注レベルを維持し、営業キャッシュフローの確保により、経営基盤の更なる強化を図っていく計画です。
こうした取り組みが、当社の持続的成長と企業価値向上を実現していく最善の方法であると考えております。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、社会動向や業界動向を見据え最新技術に関する研究開発を技術本部・東京支店システム開発部を中核として実施しており、また各事業所では地域ニーズを俯瞰的に捉えた中で既存技術の更なる高度化など全店的に研究開発に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度の研究開発費総額は
東日本大震災発災から9年が経過し復興事業が完了しつつある中、「まちづくりのソリューション企業」として復興関連事業の経験・知見を醸成させ、CM(コンストラクション・マネジメント)、PM(プロジェクト・マネジメント)技術を推進しております。また、近年、集中豪雨や台風による災害が頻発しており、今後想定される大規模な災害への備えとして防災・減災に資する技術の研究開発を推進しております。
まちづくり分野では、急速に進む高齢化と人口減少を背景として持続可能な都市経営が課題となっており、これらに対しては蓄積・保有している「まちづくりのノウハウ」を活用しコンパクトシティ形成に係る研究開発及び技術提案を推進しております。
また、国土交通省では建設現場の生産性革命として、i-Construction(アイ-コンストラクション)を推進しており、当社においても関連するICT(インフォーメイション・コミュニケーション・テクノロジー:情報技術)の研究開発を行っております。
なお、個別の研究開発活動は、以下の通りです。
・近い将来発生が予想される南海トラフ巨大地震や首都直下型地震などの大規模災害に対し、「復興事前準備」に関する研究開発を進め、関連する自治体を中心に技術提案を行っております。
また、東日本大震災の被災地では、移転跡地について「土地の利活用」が大きな課題となっており、これらの課題を解決するため、これまで区画整理・事業コンサル等で培った技術・知見を生かし研究開発を推進し、関連自治体に土地の有効活用に資する提案を行っております。
・当社が得意とするまちづくり分野では、従来のまちづくり技術に加え「立地適正化計画」の策定を契機として都市のスポンジ化対策等の研究開発を進め、今後まちづくりの潮流となるコンパクトシティへの取組みを地域の実情を踏まえ技術提案を行っております。
また、公共施設の維持管理への取組み並びにPFI(プライベート・フィナンシャル・イニシアティブ:民間資金活用による施設整備)事業への参入も視野に研究開発を進めております。
・近年、防災・減災、国土強靭化は重要な政策テーマとなっており、インフラの維持補修設計を含めた長寿命化技術並びにそれらの効率的な調査が課題となっております。こうした中、当社では橋梁・上下水道・公園などの長寿命化計画の内、主に施設管理を当社独自開発であるGIS(地理情報システム:C-MAPT)と連動した研究開発を推進し、技術提案を行なっております。
また、調査手法においては、MMS(モービル・マッピング・システム:移動計測装置)・3Dレーザースキャナーなど点群データの利活用、更にUAV(ドローン)による高所作業調査などの研究開発により効率的・効果的な提案を行っております。
・国土交通省が推進するi-Constructionについては、当社はi-Construction対応であるCIM(コンストラクション・インフォーション・モデリング)技術を習得すべく第83期から主に若手技術者を対象に研修を行い、現在60名余りのCIM技術者を養成しております。
また、CIM技術の活用促進のためCIMマネージャー、CIMコーディネーターといった上位技術の習得にも取組み、将来的にはi-Constructionの普及に繋がるよう研究開発を継続しております。
・システム開発事業部では、当社独自開発であるGIS技術(CMAPT-4)について、3D対応・クラウド化・描画速度の高速化などを実現したCMAPT-5並びに新規アプリケーションの研究開発を終了しており、既存システムを導入している自治体を中心に営業展開を図っております。
当社グループは、常に時代の先端を走り続けるために時代の要請、社会環境の変化に応じた研究開発活動を行うと共に、これまで培ってきた技術を深化発展させ、「まちづくりのソリューション企業」としてこれからも社会に貢献してまいります。