第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループでは、私たちが創業より大切にしてきた価値観や事業活動の基礎となる考え方を表すものとして、以下の「創業の精神」「経営理念」を定めております。また、これからどのような姿を目指すのかを明確にするため、「長期ビジョン」を掲げております。

 

創業の精神

「信為萬事本(信を万事の本と為す)」

「信義は全てのものごとの基本である」と捉え、消費者の皆様・お取引先の皆様との

「信用」と「信頼」を第一に考え、事業に取り組む。

 

 

経営理念

「夢のある未来」「豊かな社会」の実現に貢献する

当社の事業を通じ、すべてのステークホルダーにとって

「夢のある未来」「豊かな社会」となるよう尽力する。

 

 

長期ビジョン

「アジアのコンシューマーファイナンスカンパニーとしてトップブランドを確立する」

 

当社グループは、コンシューマーファイナンスを通じて、人々の生活が豊かになるよう、グループの役職員が一体となり、これからも真摯に事業へ取り組んでまいります。

 

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

2025年度よりスタートしました第15次中期3カ年経営計画「Do next!」では、長期ビジョンである「アジアのコンシューマーファイナンスカンパニーとしてトップブランドを確立する」の実現に向け、経営基盤の再構築を図ってまいります。そして、中期経営計画「Do next!」では、「MUFGグループとの連携拡充により変革と再成長に挑む3年間」をテーマとし、「MUFGグループとの連携とM&Aによる成長戦略の加速」「量から質への転換による抜本的な事業構造改革の推進」「ALMの高度化による財務健全性の確保と資本効率の向上」という3つの重点戦略の実行により、当社グループの持続的成長と企業価値の向上を目指してまいります。

 

(3)目標とする経営指標

2025年度を初年度とする中期3カ年経営計画「Do next!」で掲げた目標(2025年3月公表)は、次のとおりであります。

(億円)

連結目標

2025年度

2026年度

2027年度

営業収益

1,915

1,990

2,045

経常利益

200

250

310

親会社株主に帰属する当期純利益

155

180

230

 

(4)優先的に対処すべき課題

2025年度よりスタートしました中期3カ年経営計画「Do next!」では、当社グループの持続的成長と企業価値の向上を目指し、長期ビジョンである「アジアのコンシューマーファイナンスカンパニーとしてトップブランドを確立する」の実現に向け、経営基盤の再構築を図ってまいります。

当社グループにおける対処すべき課題は次のとおりです。

(当社グループにおける優先的に対処すべき課題)

①国内事業

・成長・重点領域への経営資源の再配分

・事業構造・コスト構造改革による生産性向上とコスト削減の実現

 

②海外事業

・高収益商品中心のポートフォリオへの転換による、安定した経営基盤の確立

・デジタル技術を活用したオペレーション改革と業務効率化の実現

 

③グループ全般

・M&Aを活用した積極的な成長領域への投資

・金融環境の変化に適応したアセットコントロール、調達の安定化

・人的資本経営の高度化に向けた取り組み強化

・マテリアリティに沿った環境・社会課題、サステナビリティマネジメントの取り組み強化

 

環境変化や想定される機会・リスクを的確に捉え、これらの諸課題に対処すべく、中期経営計画では「MUFGグループとの連携拡充により変革と再成長に挑む3年間」をテーマとし、3つの重点戦略の取り組みに注力してまいります。

 

(3つの重点戦略)

① MUFGグループとの連携とM&Aによる成長戦略の加速

・MUFGグループの持つ顧客網を最大限活用し、新たな相互送客の枠組みを構築し、収益拡大を図ります。

・三菱UFJ銀行が展開するBaaSへの当社商品の追加や当社が有する加盟店へのBaaS展開など、新たな分野での協業を推進します。

・M&Aを含む成長投資を通じて、国内ではクレジット事業における太陽光発電システムや蓄電池、電気自動車などの脱炭素関連商材、賃貸住宅向けの家賃保証、銀行個人ローン保証の収益拡大を図ります。また、海外では人口増加と経済発展が見込まれるASEAN地域を含む、新たな地域への進出を検討し、利益拡大を図ります。

 

 

 

 

② 「量から質」への転換による抜本的な事業構造改革の推進

・国内では、クレジット事業の選択と集中による営業推進体制の見直しや、営業関連業務の効率化に向けた新たな営業支援ツールの導入等、事業構造改革を推進します。また、ペイメント事業では収益性をより重視したクレジットカード戦略の転換や、事務センター効率化に向けた構造改革を推進します。

・海外では、ベトナムやインドネシアの経営基盤の再構築に向けて、取扱商品の選択と集中や、新スコアリングシステムの構築による、良質債権の取扱高拡大と信用コスト圧縮を図ります。

・MUFGグループベースでのAIを活用した審査モデルの検討やセキュリティ対策の導入・強化による業務効率化を図ります。

 

③ ALMの高度化による財務健全性の確保と資本効率の向上

・MUFGグループとのシナジーによる資金調達の多様化を検討し、財務基盤の強化を図ります。

・金融環境の変化に適応した、アセットコントロールの強化による財務健全性の確保及び資本効率の向上を図ります。

 

 

(5) 統合リスクマネジメント(ERM)への取り組み

①ERMの全体像について

当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るべく、リスクマネジメントを経営上の最重要課題と位置づけ、グループベースでのリスクマネジメントの高度化に取り組んでおります。主要なリスクとして信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクを定量化し、収益・リスク・資本のバランスをコントロールすることで財務の健全性の確保、リスク対比の収益性及び資本効率の向上を目指しております。

ERMを推進するリスクマネジメントの統括部署としてリスク統括部を設置し、オペレーショナルリスクを中心とした定性的評価とリスクの低減を主眼に置いた守りのリスクマネジメントに加え、当社グループを取り巻く社内外のリスク環境の変化を受け、リスクアペタイトなどリスクの定量化を通じ、適切にリスクテイクしていく攻めのリスクマネジメントの体制を整備しております。リスク管理の健全性を担保した当社グループのリスクマネジメントの一元管理を行い、リスクの定量化による自己資本の充実度検証に加え、事業ポートフォリオマネジメントの高度化を目指しております。

 

(収益、リスク、資本の統合的管理イメージ)

 

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(財務健全性の確保)

信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクを定量化し、そのリスク量を自己資本と対比することで自己資本の充実度を検証、モニタリングしております。

自己資本に対してリスク量の変動に備えたリスクバッファを確保したうえで、リスクキャパシティ(許容する最大リスク量)を設定し、リスクキャパシティとリスクアペタイト(進んで引き受けようとするリスクの種類と量)との差を余剰資本とし、成長投資や株主還元など、企業価値向上に向けた戦略的な意思決定に活かしております。

2025年3月末日時点の計測したリスク量は、リスクキャパシティの範囲内に収まっており、現在の事業戦略を遂行する上で充分な財務健全性が確保されております。

 

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②資本政策の方向性について

株主の皆様への安定的かつ継続的な配当を経営の重要課題とし、内部留保の拡充と資本の有効活用によって、競争力の強化と株主価値を向上させることを配当政策の基本方針とします。新中期3カ年経営計画「Do next!」における配当政策は、DOE(株主資本配当率)3.0%、又は連結配当性向40%を目安にいずれか高い方として安定的な利益還元を行ってまいります。また、株式会社三菱UFJ銀行と新たに資本業務提携契約を締結し、第三者割当増資による新株式の発行を行います。これにより業務と資本の両面から提携を深化・拡充していくとともに、第三者割当により調達する資金を国内外への成長投資(M&A)、事業構造改革、システム・DX投資に活用してまいります。

 

③事業ポートフォリオマネジメントについて

当社グループは、取るべきリスクをとり、リスクに見合う収益を確保するため、事業のリスク資産に対する収益性と成長率を軸とした評価及び事業の重点戦略や個別課題に紐づく指標のモニタリングにより資源配分を検討、実行していく事業ポートフォリオマネジメントに取り組んでおります。また、事業ポートフォリオに関する基本方針を制定し、国内及び海外事業セグメントに基づき、クレジット、ペイメント、ファイナンス、海外の4つを主軸とした事業ポートフォリオ戦略を立案、実行しております。さらに、既存事業の成長を促すリソース投入に加え、新事業やM&A等の戦略的投資に際し、適切な成長性や収益性の把握、リスク管理を行うことを目的に投資検討委員会を設置しております。こうした取り組みにより各事業の成長性と資本効率及びリスク対比収益性と成長戦略等を総合的に勘案して評価、モニタリングを行い、グループにおける位置づけや事業運営方針について定期的に経営会議で検討し、取締役会で監督することで適切なリスクテイクを行ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

  当社グループでは、持続可能な社会の実現に向けて、事業を通じて顕在化する環境・社会課題の解決に貢献することが重要であると考えており、サステナビリティに関する基本的な考え方を「サステナビリティ基本方針」として定めております。この方針に基づき、積極的にサステナビリティへの取り組みを行ってまいります。

 

(サステナビリティ基本方針)

  ジャックスグループは、『「夢のある未来」「豊かな社会」の実現に貢献する』という経営理念のもと、ステークホルダーの信用・信頼を得ながら、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献することで持続的な社会の実現と企業価値向上を目指してまいります。

 

(2)サステナビリティに関する取組の状況

 ①ガバナンス

 サステナビリティへの取り組みは、当社グループの経営において重要課題であると認識しており、取締役会の直轄組織として2024年9月にサステナビリティ委員会を設置しました。サステナビリティ委員会は、事業年度内に2回以上開催とし、サステナビリティ全般に関する諸事項及び傘下の環境委員会、人権委員会、DE&I推進委員会、健康経営推進委員会から受けた報告を検討・討議し、取締役会に報告・具申しております。取締役会ではその内容を審議し、監督機能を担っております。

 2024年度開催のサステナビリティ委員会では、マテリアリティの見直しや人権リスク対応について審議しました。

 

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 ②戦略

 当社グループは、2022年度を初年度とした中期3カ年経営計画「MOVE 70」において、4つの「3年後のあるべき姿」を掲げ、その一つに「ESG経営の推進」を挙げてまいりました。また、当社グループの持続的成長と事業活動を通じた環境・社会課題の解決を図るべく、5つのマテリアリティを特定し、それらに沿った取り組みを推進してまいりました。なお、特定したマテリアリティ及び取り組みについては、後記「④指標及び目標」に記載のとおりであります。

 なお、2025年2月にはマテリアリティの見直しを実施しました。2025年度よりスタートしました中期3カ年経営計画「Do next!」では、重点戦略を支える経営基盤の一つに「サステナビリティ経営」を掲げております。この経営基盤の強化に向け、当社グループを取り巻く環境の変化及びサステナビリティへの取り組みや進捗状況を踏まえ、今後取り組むべきマテリアリティを見直し、改めて明確にすることで、サステナビリティ経営の実効性を高めてまいります。

 

2025年度からのマテリアリティ

「安心・安全、身近で利便性の高いサービス提供」

 ジャックスの本業を表すマテリアリティで従来の表現に「身近」を加えて、組み込み型金融の普及等、スムーズな購買経験に繋がることや、何時でも何処でもお客様に近い金融サービスでありたいことを表現しています。デジタルやAI等の技術も積極的に活用していきます。

 

「人が尊重され、多様な人材が成長し活躍できる経営の実践」

 人が重要であり大事にすることを打ち出しています。加えて、人的資本経営を中期経営計画における経営基盤の一つとして位置づけており、積極的に人への投資を行い、活躍する環境を整えていくことを表現しています。

 

「日本とASEANにおける豊かな地域、コミュニティ形成への貢献」

 経営理念にもある「豊かな社会の実現に貢献」に繋がる取り組みとして、パートナーとともに多種多様なサービスを提供することで、当社グループの事業エリアである日本とASEANの豊かさへ貢献していきます。

 

「持続的な成長に資するガバナンスの強化と実践」

 リスクマネジメントの高度化、取締役会の機能強化などにより、適切な資本・収益・リスクのコントロールを経営判断の原則とし、持続的な成長の支えとなるガバナンスを強化していきます。

 

「環境保全に貢献する取り組みの推進」

 環境問題は企業の責任として取り組むべき重要な課題であり、脱炭素社会の実現に加え、循環型社会や生物多様性への対応など多岐にわたる環境保全への取り組みを加速させていきます。

 

 

 ③リスク管理

 当社グループは、リスクマネジメントの強化を優先課題として捉え、グループを取り巻く重大なリスクを網羅的に把握しております。また、リスクの定量化による管理とリスクマネジメント体制の整備を行うべく「リスクマネジメント基本規程」を制定し、「リスク管理委員会」を設置しております。同委員会では、サステナビリティに係るリスク状況についても、傘下の各委員会や各リスク所管部署で管理されるリスク状況を一元的に管理・審議を行い、取締役会及び経営会議に報告・具申を行います。

 

 ④指標及び目標

 2024年度までの5つのマテリアリティの指標と目標は次のとおりであります。

 なお、マテリアリティの中には、環境や社会に及ぼす影響度についての定量的な測定が困難なものも含まれます。

 

※評価 〇:順調に進捗 △:進捗するも一部課題あり ×:課題あり

 (評価は、KPI目標達成状況のほか、取り組み状況を含めて評価しております。)

マテリアリティ

主な取り組み

指標

2024年度

目標(注)1

実績

評価

安心・安全で利便性の高いサービス提供

お客様、加盟店からの信頼に応えるサービス

応答率

90%

89.0%

審査受付自動化率

82%

72.1%

情報セキュリティの高度化

PCIDSS準拠認定更新

Ver.4.0準拠

認定更新

Ver.4.0準拠

認定更新

カード不正検知率

70%

73.3%

地域社会・生活を支えるインフラとしてのファイナンスサービスの提供

リフォームローン取扱高

1,416億円

1,502億円

教育ローン取扱高

192億円

222億円

メディカルローン取扱高

276億円

280億円

海外事業取扱高

1,031億円

758億円

投資用マンションローン保証残高

30,000億円

30,190億円

キャッシュレス化の推進

ペイメント事業取扱高

29,627億円

29,729億円

環境の保全

環境負荷軽減への対応

コピー用紙購入量

(2021年度比)

△3%

△24.9%

カード明細書Web化比率

50%

55.9%

社用車エコカー比率

54%

51.3%

エネルギー削減量

(2019年度比)

△13%

(注)3

 

気候変動への対応

CO2排出量削減率

(2019年度比)

△18%

(注)3

 

 

 

マテリアリティ

主な取り組み

指標

2024年度

目標(注)1

実績

評価

脱炭素社会実現への貢献

ファイナンスサービスを通じた脱炭素化の推進

太陽光ローン

取扱高

331億円

564億円

蓄電池ローン

取扱高

321億円

198億円

EVローン取扱高

400億円

488億円

ESGファイナンスを活用した

資金調達

300億円

425億円

多様性と人権の尊重

ダイバーシティ&インクルージョンの推進

課長職以上・課長職に次ぐ階層で部下を持つ女性社員割合

35%

41.5%

デジタル人材認定人数

400名

321名

人権の尊重

ビジネスと人権に関する指導原則に沿った体制整備

人権委員会の設置

健康経営の推進

平均超過勤務時間(月間)

12時間未満

12.9時間

社会貢献活動の実践

寄付金額

3,000万円

4,478万円

ガバナンスの高度化

リスクマネジメントの強化

マネジメントサイクルの適確な運用

AML管理態勢整備

コンプライアンスの継続

教育、研修の継続実施

(注)1. 2024年度目標は、2022年度に策定した目標値となります。

    2.目標と実績の取扱高は、元本ベースとなります。

    3. 2024年度実績は、算定完了後、当社ホームページ等で公表いたします。

 

(3)気候変動に関する取り組みの状況

 当社グループでは、環境課題の中でも、とりわけ気候変動については、お客様や加盟店などの取引先及び事業活動への深刻な影響を与える重要な課題の一つとして認識しており、2023年にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明いたしました。

 今後も気候変動による事業への影響分析やリスクへの取り組みと透明性の高い情報開示を行ってまいります。

 

 ①ガバナンス

 当社グループは、気候変動を含む環境・社会課題に係る機会及びリスクへの課題・対応方針・取組状況を事業年度内に2回以上開催されるサステナビリティ委員会で審議しております。また、傘下委員会に環境委員会、人権委員会、DE&I推進委員会、健康経営推進委員会を設置し、環境・社会課題への取り組みについて審議を行い、重要な事項はサステナビリティ委員会へ報告しております。サステナビリティ委員会で審議された内容については、取締役会へ報告、具申することで、取締役会が監督する体制としております。

 

②戦略

 当社グループは、将来の気候変動が当社事業に与える影響を検討するため、シナリオ分析に取り組んでおります。シナリオ分析にあたっては、「1.5℃シナリオ」を含む複数の気候変動シナリオを想定し、リスクと機会の両面から、気候変動に伴う中長期的な社会環境及び当社グループにおける事業環境の変化について分析しております。

 

(リスク)

 当社グループは、気候変動に関する政策・規制強化やカーボンプライシング、市場の脱炭素関連志向拡大、自然災害発生によるファイナンス商品の担保価値毀損等により、業績に影響を受ける可能性があります。なお、移行リスクについては短期・中期(おおむね10年以内)に発現、物理リスクについては長期(おおむね10年以上)に発現する可能性が高いと認識しております。

リスクの種類

リスクの概要

対応策

移行

リスク

政策及び規制

カーボンプライシング導入によるコスト増加

GHG排出量の低減、脱炭素に向けたサプライヤーエンゲージメント

移行

リスク

市場

脱炭素関連商品への未対応や対応遅延による取扱高や営業収益の減少

脱炭素関連商品に対応するファイナンスサービスの拡充

移行

リスク

市場

ガソリン車からEVへの移行に伴う、ガソリン使用の中古車ローン需要低下・市場縮小による取扱高減少

EV普及に対応するファイナンスサービスの拡充

移行

リスク

評判

気候変動問題への取組不足により当社の評判が悪化し、取引先との取引機会減少

気候変動をはじめとしたサステナビリティ関連の取り組み推進

物理

リスク

急性

自然災害により当社ファイナンス商品の担保価値が毀損、与信関連費用が増加

担保評価に自然災害リスクを織り込む

物理

リスク

急性

自然災害により自社・加盟店・提携店等において業務が中断、対策・復旧費用が増加

BCPにおいて洪水など自然災害発生頻度の増加シナリオを反映

 

(機会)

 機会として、脱炭素関連・環境配慮型商品の取り扱い機会拡大が見込まれます。なお、機会については短期・中期(おおむね10年以内)に発現する可能性が高いと認識しております。

機会の種類

機会の概要

対応策

製品及びサービス

脱炭素関連設備や機材、環境配慮型商品の需要拡大(太陽光発電、蓄電池、EV、リフォーム、V2H等)

脱炭素関連商品に対応するファイナンスサービスの拡充

製品及びサービス

EVやその他脱炭素技術を用いた自動車への移行・買い替えによるオートローン関連商品の需要拡大

EV等への移行、買い替えに利用しやすいファイナンスサービス等の開発・提供

 

③リスク管理

 当社グループは、気候変動リスクが当社経営全般に影響を及ぼしうる重要なリスクであり、気候変動リスクが顕在化した場合、信用リスク、オペレーショナルリスクなどを中心に、当社グループにおける各リスク・カテゴリーに波及する可能性があるものと認識しております。

これらの認識のもと、当社グループで設置する「リスク管理委員会」では、気候変動に関する事項についても、一元的に管理・審議を行い、取締役会及び経営会議に報告・具申を行います。

 

④指標及び目標

当社グループは、気候変動への取り組みの進捗を評価するため、温室効果ガス(以下、「GHG」という。)排出量を指標とするとともに、GHG排出量削減目標を設定しております。2019年度を基準年として2030年度までにScope1、2を50%削減、Scope3を30%削減し、2050年度までにはScope1、2、3ネットゼロを掲げております。

 

(ジャックスグループのGHG排出量)

                                                           (単位:tCO2

対象

CO2排出量実績

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

増減率(%)

2019年度比

Scope1

1,731

1,621

1,809

1,809

1,533

△11.4

Scope2

6,012

5,834

5,405

5,062

5,450

△9.3

Scope1、2計

7,743

7,455

7,214

6,871

6,983

△9.8

Scope3

595,540

494,498

393,695

422,831

418,132

△29.8

(注)1.2021年度よりCO2排出量の算定方法における区分変更を行いました。当該算定方法の変更は、過年度分も遡及適用し、2019年度と2020年度は変更後のCO2排出量となっております。

  2.2022年度以前の実績は、算定データに誤りがあり修正しております。これにより、Scope3の実績も修正しております。

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出

Scope2:他社から供給された電力、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出

 

(4)人的資本に関する取り組み

 当社グループは、従業員一人ひとりの成長が会社の成長の源泉であるとの認識のもと、長期ビジョン「アジアのコンシューマーファイナンスカンパニーとしてトップブランドを確立する」の実現に向けて、多様な個性やスキルを持つ人材の採用・登用や育成に取り組んでおります。また、こうした様々な価値観や考え方を持つ人材がビジョンを共有し、個々のスキルやポテンシャルを最大限に発揮できる制度構築や働きやすい環境づくりを行っております。

 2024年度を最終年度とする中期3カ年経営計画「MOVE 70」では、自律性と多様性を備えた集団・組織として、さらなる成長を遂げるため、「働きがい」「成長実感」「連帯感」の向上をテーマに従業員への取り組みを実施してきました。

 なお、2025年度を初年度とする中期3カ年経営計画「Do next!」では、「人的資本経営のブラッシュアップによるウェルビーイングと企業価値の向上」をテーマとした従業員への取り組みを実施してまいります。

 

①戦略

(多様性の発揮)

 変化が激しく不透明な市場環境に適応するため、様々なバックグラウンドを持つ人材の採用・登用を積極的に行いつつ、それぞれの個性やスキルを最大限に引き出すための環境整備や教育に取り組んできました。

(健康経営の推進)

 従業員一人ひとりが心身ともに健康な状態で、安心して活き活きと働き続けることが重要かつ会社の成長につながるものと考え、仕事と生活を両立できる働き方や働きやすい職場環境の実現に取り組んできました。

(変革人材の育成)

 会社の持続的な成長を実現するため、既存のビジネスや固定概念の枠を超えて、多角的な視点でデジタル技術を活用し、ビジネスモデルの再構築と価値創造をリードする変革人材の育成に取り組んできました。

(エンゲージメントの向上)

 エンゲージメントの状態を把握し、「働きがい」や「自己成長」を実感できるための組織開発や人事制度構築に取り組むことによって、従業員と会社が互いに選び合い、高め合う環境づくりに取り組んできました。

 

②指標及び目標

 

 

2023年度実績

2024年度実績

2025年度目標

多様性

管理職に占める女性労働者の割合

(注1)

17.8%

18.4

21

労働者の男女の賃金の差異

(注2)

全労働者

58.7%

62.9

64

うち正規雇用

労働者

55.5%

59.2%

60%

うちパート・有期労働者

75.3%

71.5%

72%

健康経営

男性労働者の育児休業取得率

(注3)(注4)

129.4%

87.1

100

有給休暇60%以上取得者比率

79.3%

79.1

80

二次検診受診率

98.5%

99.0

100

人材育成

認定デジタル人材人数(注5)

219名

321

450

エンゲージメント

エンゲージメントスコア

(注6)

3.0

3.0

-

(注)1.各年度の4月1日時点における課長職以上の女性割合となります。

2.男性の賃金(平均)に対する女性の賃金(平均)の割合となります。

(現時点においては、当社の管理職には男性が多いこと、パート社員には女性が多いこと等により男女間賃金格差が大きくなっていると認識しております。また、女性の管理職登用等、当社における女性活躍推進の取り組みは途上段階にあると認識しており、格差是正に向けた取り組みを積極的に実施してまいります。)

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

4.男性労働者の育児休業取得率の算出方法は、次のとおりであります。

 (1)「年度毎の育児休業等を取得した男性労働者の数」を、その年度の「配偶者が出産した男性労働者の数」で除して算出しております。

 (2)2023年度実績の指標が100%を超過している理由は、2022年度に配偶者が出産し、2023年度に入ってから育児休業等を取得した男性労働者の場合、分子となる2023年度に育児休業等を取得した男性労働者には加算されるものの、分母となる2023年度に配偶者が出産した男性労働者には加算されないことによるものです。

 

2022年度

2023年度

配偶者出産

〇------------------------→

    育児休業等取得

 

5.DXの基礎知識等に関する研修を修了し、かつITパスポート試験に合格した人数となります。

6.全従業員を対象として実施しているエンゲージメント関連の4つの設問(4点満点)の平均点となります。

7.連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)リスクマネジメントの全体像

 ①リスクマネジメントの体制

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るべく、リスクマネジメントを経営上の最重要課題と位置づけ、「リスクマネジメント基本規程」に基づき統合リスクマネジメント(ERM:Enterprise Risk Management)を推進することにより、リスクマネジメントの高度化に取り組んでおります。当社グループを取り巻くリスクを網羅的に把握し、定量、定性双方の視点からの評価を行い、事前に対策を講じることによって損失の回避又は低減を図るとともに、リスク許容度の範囲内で適切なリスクテイクを行うことを基本方針としております。

 

 当社は、代表取締役社長が委員長を務める会議体として、リスク管理委員会及び投資検討委員会を設置しております。リスク管理委員会は、適正な加盟店管理、顧客与信等に関わる信用リスクを統合的に管理する信用リスク管理委員会、金利リスクや流動性リスクを管理するALM運営委員会及び適正な業務執行やインシデントを管理するオペレーショナルリスク管理委員会から報告を受け、グループに影響を及ぼす重要なリスクの抽出と評価、見直し、対策の決定に加え、リスクテイクの適正な水準及び範囲等について検討、討議し、またその履行状況等をモニタリングしております。

 投資検討委員会は、当社グループが更なる成長を目指すために必要な新事業、海外事業やM&A等の投資の意思決定に際し、適切な成長性や収益性の把握及びリスク評価を行っております。各委員会で検討、討議した内容は、必要に応じて経営会議及び取締役会へ報告し、ERMの実効性の確保を図っております。攻めと守りの体制により経営陣は、各種リスク状況を把握したうえで意思決定を行っております。

 

  (リスクマネジメント体制図)

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 当社グループでは、「3つの防衛線」の考え方に基づいたリスク管理体制を構築しております。第1線は、リスクオーナーとしてリスク管理の運用に責任を持ちます。第2線は、第1線が行うリスク管理プロセスのモニタリング、監督を行い、リスクを一元管理しております。第3線は、内部監査部門として業務及び内部統制に加え、リスク管理プロセスの有効性を監査しております。内部監査により抽出されたリスク情報等は、リスク統括部(第2線)に連携され、第1線のリスク管理プロセスの改善に反映しております。

 

(3つの防衛線)

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 ②リスクマネジメントのプロセス

 社内外の経営環境の変化に伴い、当社グループを取り巻くリスクは多様化、複雑化しております。様々な環境の変化に応じてリスク管理を適宜見直し、新たなリスクにも対応していくため、以下に掲げるプロセスに従ってリスクマネジメント業務を実践しております。

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 当社グループでは、毎年、リスクアセスメントによりリスクカテゴリ毎に想定しうるリスクを漏れなく抽出し、リスク事象の影響度・発生頻度に応じた重要性の分析、評価を行うとともに、対応策を策定・実行しております。

 リスクアセスメントにより抽出されたリスクは全社的な観点からリスク評価を行い、優先的に対策を講じるべき重要なリスクをリスクマップとして可視化しております。特に重要度が高いと認識したリスクに対しては、トップリスクとして選定し、PDCAで管理するとともに、各種委員会で定期的なモニタリング及び機動的な対応を行うことでリスクの低減、維持を図っております。

 各リスクへの対応状況は、インシデント管理等によるモニタリングを行い、必要に応じて改善策の検討を行います。

 なお、これら一連のリスクマネジメントのプロセス、対応状況は、定期的にリスク管理委員会へ報告、討議され、必要に応じて経営会議及び取締役会へ報告しております。

 

(2)主要なリスクの詳細

 当社グループは、管理すべきリスクを「経営戦略に関わるリスク」(経営上の戦略的な意思決定に関わるリスク)と「業務執行に関わるリスク」(日常的な業務運営に関わるリスク)に分類し、統合的に管理しております。またリスクアセスメントを基に重要リスクをリスクマップとして可視化し、重要度に応じたリスク対策を実施しております。

 

(リスクカテゴリ一覧)

経営戦略に関わるリスク

業務執行に関わるリスク

①事業戦略に関わるリスク

⑨災害・疫病リスク

②経済・競争環境に関わるリスク

⑩サイバーセキュリティリスク

③カントリーリスク

⑪システムリスク

④法令・規制に関わるリスク

⑫情報関連リスク

⑤気候変動リスク

⑬事務リスク

⑥信用リスク

⑭コンプライアンスリスク

⑦市場関連リスク

⑮人的リスク

⑧人権リスク

⑯評判リスク

 

(リスクマップ)

(3)影響が

極めて甚大

①事業戦略に関わるリ

 スク

⑦流動性リスク(*)

⑨災害・疫病リスク

⑫個人情報の漏えい・

 紛失リスク(*)

⑯評判リスク

⑩サイバーセキュリテ

  ィリスク

 

(2)影響が

大きい

③カントリーリスク

④法令・規制に関わる

 リスク

⑦投資有価証券等の

 価格下落リスク(*)

⑧人権リスク

②経済・競争環境に関

 わるリスク

⑥貸倒関連費用の増加

 リスク(*)

⑥加盟店・取引先の不

  正・経営破綻リスク

  (*)

⑦調達金利上昇リスク

 (*)

⑭コンプライアンスリ

  スク

⑮人的リスク

⑪システムリスク

(1)影響が

一定程度有

⑤気候変動リスク

⑦為替変動リスク(*)

⑬事務リスク

 

(1)まれに発生

(2)しばしば発生

(3)頻繁に発生

発生頻度

(注)1.各リスクカテゴリでは、様々なリスクを抽出しております。(*)の項目は、リスクカテゴリで抽出した主なリスクを記載しております。

    2.2025年3月末日時点において認識したものになります。

 

 当社グループは、優先的かつ重点的に管理すべき特に重要なリスクをリスク管理委員会、経営会議、取締役会を通じて経営レベルで議論したうえで、トップリスクとして選定しております。選定したトップリスクに対しては、PDCAで管理するとともに、各種委員会で定期的なモニタリング及び機動的な対応を行うことでリスクの低減、維持を図っております。2025年3月末日時点で認識したトップリスクは以下のとおりです。

 

(トップリスク)

リスク項目

リスクシナリオ

対応策

サイバーセキュリティリスク

外部からの不正アクセスやウイルス感染等による個人情報の流出、システム停止に伴う業務の停止、損害賠償の発生、評判の悪化

多層的な技術的対策、専門組織を中心とした組織的な対応に加え、継続的な社員教育等によりセキュリティ体制を強化

システムリスク

自然災害、サイバーインシデント、停電、機器故障等によるシステム、通信ネットワークの重大な障害発生に伴う業務の停止、お客様や加盟店へのサービス提供の停止、評判の悪化

耐震対策、冗長化、障害対応訓練等によるシステムの安定稼働、セキュリティの維持及びシステム委託先に対する管理体制の強化

調達金利上昇リスク

金融市場の変化、格付けや信用力の低下による借入、社債の金利の上昇により金融費用が増加

ALMによる資産・負債のデュレーション管理及び金利シナリオに応じた調達方法の検討、実施(デリバティブ取引によるヘッジ、金利固定化推進)

貸倒関連費用の増加リスク

個人の信用状況の悪化、与信精度の低下、不正申込の増加、加盟店経営状況や不動産市場の悪化などによる貸倒引当金の積み増し

部門間連携を強化し、与信精度の向上、不正申込の排除、回収強化等による良質債権の確保

(注)上記は認識しているリスクの一部であり、上記以外のリスクによって経営上、特に重大な影響が生じる可能性があります。

 

(経営戦略に関わるリスク)

①事業戦略に関わるリスク

リスク内容

影響

 当社グループは、消費者信用業を主とする当社と関係会社7社で構成されており、長期ビジョンとして「アジアのコンシューマーファイナンスカンパニーとしてトップブランドを確立する」を掲げております。2025年度は新中期3カ年経営計画「Do next!」の初年度となり、長期ビジョンの実現に向けた成長戦略、事業構造改革及び財務戦略を実行してまいりますが、事業環境が激変し、想定外のリスクに晒された場合、当社グループの業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの事業における連単比率は、当社の占める割合が極めて高いものとなっておりますが、関係会社に関連する事業上のリスクが大きく顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応

 各事業戦略の実行においては、リスク・リターンを意識した事業の収益性と成長性を軸とした評価、資源配分を検討、実行していく事業ポートフォリオマネジメントに加え、リスクアペタイトの設定やリスク量に対する自己資本の充実度を検証する財務健全性の確保に取り組んでまいります。その中で規律をもった経営判断を行っていくため、「投資検討委員会」による新事業、海外事業やM&A等に係る収益性や成長性、関連リスクに対する評価を行う体制を整備しております。「投資検討委員会」の評価を経て実行された新規投資は、一定期間経営会議でモニタリングをすることで、継続的な検証を行います。

 また、各事業戦略の阻害要因として、本項に示す各種リスクを重大リスクとして捉え、対策を実施することにより、リスクの低減等を図ってまいります。

 

②経済・競争環境に関わるリスク

 

リスク内容

影響

 

(経済環境の悪化・不確実性の増大)

 当社グループは、経営理念『「夢のある未来」「豊かな社会」の実現に貢献する』ことを掲げ、国内外のクレジット事業、ペイメント事業、ファイナンス事業等を通じて消費者向け金融サービスを展開しておりますが、個人消費の動向が当社グループの業績に大きく影響します。

 今後、世界経済の低迷や物価・金利の上昇等の影響を受けて個人消費が減退することにより、当社グループの業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

(競争環境の激化・悪化)

 当社グループを取り巻く消費者信用の競争環境は、同業他社のみならず、異業種・フィンテック企業の参入等、目まぐるしく変化しております。

 同業他社等との競争激化による収益性の低下やDXの推進による新サービスの開発・提供の遅れ、業務効率の向上が図れないことにより、市場での競争力が低下し、当社グループの業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

対応

 

 こうした経済環境や競争環境の変化を踏まえ、事業ポートフォリオマネジメントによる全社戦略の立案や経営資源の適正配分を通じて、商品・サービスの選択と集中や成長分野への投資、Web化・自動化等による品質と生産性の向上等、新中期3カ年経営計画「Do next!」に掲げる成長戦略や事業構造改革を実行してまいります。

 

 

 

③カントリーリスク

リスク内容

影響

 当社グループは、ベトナム、インドネシア、フィリピン、カンボジアの4カ国において事業を展開し、新たにマレーシアへ進出しました。

 各関係会社では、所在国における戦争、暴動、テロリズムの発生等地政学リスクの影響を含め、政治、経済、文化、宗教、慣習、その他様々な予期し得ないカントリーリスクが存在しております。

 これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応

 事業を展開する国の政治情勢や規制が当社グループの事業へ与える影響について情報収集するとともに、常に現地と情報交換や情報共有を行いながら、駐在員、従業員の安全確保に努め、状況に応じた支援を行ってまいります。

 

 

④法令・規制に関わるリスク

リスク内容

影響

 当社グループは、「割賦販売法」や「貸金業法」をはじめとする法令・規制等の適用を受けております。

 法令・規制等が制定・改正された場合、業務運営や商品・サービス等に影響を及ぼすほか、法令・規制等の制定・改正に対処する費用が増大する可能性があります。また、法令・規制等を遵守できなかった場合には、行政処分や罰則、業務上の制限を受ける可能性があります。

対応

 法令・規制等を遵守して業務を遂行するとともに、適時、法令・規制等の制定、改正動向等の把握に努め、法令遵守体制の強化について継続して取り組んでまいります。

 

⑤気候変動リスク

リスク内容

影響

 当社グループは、気候変動リスクが当社の経営全般に影響を及ぼす可能性がある重要なリスクであり、気候変動リスクが顕在化した場合、信用リスク等を中心に当社グループにおける各リスクに波及する可能性があるものと認識しております。

対応

 リスク管理体制の整備を進めるとともに、リスクを的確に捉え、気候変動シナリオを適宜見直すことにより、適切に対応するよう取り組んでおります。

「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 気候変動への取組」に記載のとおりであります。

 

 

⑥信用リスク

リスク内容

影響

 当社グループは、主に消費者信用業を展開していることから、業績や財務内容に直接的に影響を及ぼす信用リスクを適切に管理することは極めて重要です。信用リスクが業績や財務内容に影響を与える主な事象は、以下のとおりです。

(貸倒関連費用の増加リスク)

 総債権の増加に伴って一定割合で発生する延滞債権に加え、自動与信システムの与信精度や審査担当者における与信スキルの低下、不正申込の増加等により延滞債権が増加する可能性があります。また、景気の動向や個人破産申立の増加、加盟店の経営状況悪化による倒産、加盟店不正行為や不動産市況の変化等により貸倒引当金を積み増すことで貸倒関連費用が増加し、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

(加盟店・取引先の不正・経営破綻リスク)

 加盟店の経営悪化や破綻により、当該加盟店で当社をご利用いただいたお客様に対する継続的役務提供の停止や商品未納等が発生する可能性があり、これらの問題が発生した場合、加盟店管理体制が不適切であるとしてお客様より訴訟を受ける可能性があります。

対応

 信用リスクを全社的に管理するため、信用管理担当役員が委員長を務め、営業、審査、債権管理部門等が構成員となる信用リスク管理委員会を月1回開催し、部門横断的に延滞動向及び加盟店管理状況等を分析、モニタリングし、対策を協議する体制を整備しております。上記に挙げた主なリスクへの対応は、以下のとおりです。

(貸倒関連費用の増加リスク)

 営業部門は、審査、債権管理部門より延滞発生動向等の共有を受け、適切な加盟店管理に反映させ、審査部門では、延滞発生動向等を定期的に検証し、自動与信システムに適宜反映させることで与信精度の維持・向上を図るとともに、不正申込を遅滞なく排除する対策を打つことにより延滞発生を抑制するなど、良質債権の確保に努めております。債権管理部門においては、債権回収業務の効率化を図るシステム導入等により初期延滞債権の回収強化に取り組み、延滞期間の長期化に伴う貸倒引当金増加の抑制に努めております。

 なお、利息返還請求(いわゆる過払金返還請求)については、従前より利息制限法以下の融資利率としているため、業績に与える影響は今後も軽微であると考えております。

(加盟店・取引先の不正・経営破綻リスク)

 個別信用購入あっせんにおいては加盟店リスクを数値化させた「加盟店リスクモデル」の継続的見直しにより、経営破綻の兆候を事前に察知することでリスクの低減を図っております。包括信用購入あっせんにおいては、EC加盟店に対し違法販売物等を監視するサイトモニタリングの実施等、適正管理に努めております。

 また、各部門において従業員における業務スキルや専門性の向上を図るため、継続的な研修や関連分野の資格取得を促進するなど人材育成にも取り組み、適正な顧客与信及び加盟店管理を維持する環境を整備しております。

 

 

 

⑦市場関連リスク

リスク内容

影響

 当社グループは、消費者信用業の性質上、多くの資金調達を必要とすることから、業績や財務内容に直接的に影響を及ぼす調達金利の上昇リスク等を適切に管理することは極めて重要です。調達金利の上昇リスク等、業績や財務内容に影響を与える主な事象は、以下のとおりです。

(調達金利上昇リスク)

 調達金利上昇に伴い金融費用が増加しますが、営業債権や貸付金等の新規取扱いにおいて調達金利上昇分を反映させた手数料や貸付利率等の取引条件見直しに時間を要する場合、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの業績が悪化した場合、格付や信用力が低下し、現行より高い金利水準での資金調達を余儀なくされ、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、各国金融当局の金融政策変更や地政学リスクによる市場金利上昇等の影響を受け、当社グループの調達金利が上昇する場合、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

(流動性リスク)

 当社グループは、銀行等金融機関からの借入金、金融市場から社債、コマーシャル・ペーパー、債権流動化により資金調達を行っております。市場の状況や当社グループの財務内容の悪化等により、必要な資金の確保が困難となる、又は資金の確保に通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより、事業活動や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(投資有価証券等の価格下落リスク)

 当社グループは、2025年3月末日現在で335億42百万円の投資有価証券(上場・非上場株式等)及び229億55百万円の有形固定資産(土地・建物等)を保有しておりますが、市場価格の下落や投資先の価値の毀損により評価損を計上する可能性があります。

(為替変動リスク)

当社グループの海外関係会社の財務諸表は、現地通貨で作成され、海外関係会社の資金調達の一部は、現地通貨以外の通貨で行っているため、為替相場の大幅な変動が生じた場合、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。

対応

(調達金利上昇リスク)

 ALM(資産及び負債の総合管理)を実施し、定期的に開催されるALM運営委員会で金利変動に影響を及ぼす金融情勢や資産と負債の状況のモニタリング・分析を行い、リスクの把握と適切な対応について提言を行います。資産の期間や金利感応度に応じた資金調達や金融商品等のヘッジ取引を用いることで調達金利の上昇リスクの低減を行うよう努めております。

 なお、当社は2025年3月末日現在、株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期債A+、コマーシャル・ペーパーa-1、株式会社日本格付研究所(JCR)から長期債A+、コマーシャル・ペーパーJ-1の格付を取得しております。

(流動性リスク)

 定期的に開催されるALM運営委員会でALM(資産及び負債の総合管理)におけるリスクのモニタリング・分析を実施し、リスクの把握と適切な対応について提言を行います。特に金融市場からの資金調達は、金融環境の影響を受けやすいため、リスクへの備えとして調達手法の多様化、流動性補完枠の設定や手元流動性の管理を行うことで、流動性リスクの軽減に努めております。

(投資有価証券等の価格下落リスク)

 投資有価証券については、定期的に保有目的及び効果等、保有の合理性について検証を行い、保有に適さないと判断した場合は、速やかに売却等の処分を行っております。

 株式の保有状況につきましては、「第4 提出会社の状況、4 コーポレート・ガバナンスの状況等、(5)株式の保有状況」に記載のとおりであります。

(為替変動リスク)

 海外関係会社の資金調達の一部は、現地通貨以外の通貨で行っておりますが、運用にあたっては、金融商品等のヘッジ取引を用いることで為替変動リスクの低減に努めております。

 

⑧人権リスク

リスク内容

影響

 近年、企業活動はグローバル化が進展し、さまざまなステークホルダーの人権に負の影響を与えるケースが見受けられます。2011年には、国連が「ビジネスと人権に関する指導原則」を策定し、あらゆる国家及び企業は人権を尊重した対応が求められています。

 当社グループにおいては、国内外の従業員、加盟店、取引先及び業務委託先等がサプライチェーン上の関係者となります。当社グループの事業活動の結果、これら関係者の人権に対して負の影響を生じさせ、これに適切に対処ができなかった場合、当社グループの評判の悪化や人材の流出等により業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応

 人権課題の多様化により、企業活動における人権尊重の重要性が高まっていることを踏まえ、新たに「ジャックスグループ人権方針」を制定し、取締役会の直轄機関として代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会の傘下に人権委員会を設置するなど、サステナビリティ経営を推進する体制を整備しております。本方針に基づき、人権デューデリジェンスを実施し、事業活動に関わる関係者の人権に対する負の影響を特定し、対処してまいります。

 また、人権に負の影響が生じた、又は生じるおそれのある方がアクセスできる相談窓口を設け、救済に向けた取り組みを実施します。さらに、人権に関する取り組みは、経営レベルでの議論や継続的なモニタリングを行い、必要に応じた改善を図るとともに、取締役会に報告を行います。

 

(業務執行に関わるリスク)

⑨災害・疫病リスク

リスク内容

影響

 当社グループは、大規模な自然災害等が発生し、物的資産や人的資産が損害を被った場合、結果的に事業の維持・継続が困難な状況に陥り、当社グループの業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応

 地震や大規模な災害、事故等の突発的な事態に備えて、「災害対応マニュアル」の整備、「緊急対策協議会運営規程」「事業継続計画(BCP)」の策定等、危機管理体制の構築に努めることに加え、従業員の安全確認や現地の状況把握が速やかに行えるよう専用の通信システムを導入し、被害の最小化に努めております。また、甚大な被害が想定される首都直下型地震等に対応するため、近畿エリアを中心に業務代替可能な体制を構築し、業務継続の実効性を確保するため、定期的に訓練を実施しております。

 

⑩サイバーセキュリティリスク

リスク内容

影響

 当社グループの主要な事業は、コンピュータシステムや通信ネットワークを使用し、大量かつ多岐にわたる情報処理を実施しております。また、インターネットを活用したお客様や加盟店へのサービス提供に係るシステムが増加している一方、システムに対するサイバー攻撃手法は、日々高度化・巧妙化しております。さらに、サイバーセキュリティリスクは、より一層深刻化していることから、安心・安全なサービスを滞りなく提供するためには、サイバー攻撃に対するセキュリティ対策を行うことが極めて重要です。

 当社グループのコンピュータシステムは、外部からのサイバー攻撃及びその他の不正アクセスやウイルス感染等により、情報の流出やシステムの機能停止、誤作動が生じる可能性があります。この場合、業務の停止・混乱やそれに伴う損害賠償等の発生により、当社グループの社会的信用の毀損を招き、事業、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応

 サイバーセキュリティ対策として、ファイヤーウォールやIPS、WAF等の導入や外部からの不正なアタックの常時監視、定期的な脆弱性診断や侵入テストによる脆弱性チェック、外部組織(JPCERT/CC:Japan Computer Emergency Response Team / Coordination Center 等)からのセキュリティ情報の収集・調査・対応等を実施しており、日々巧妙かつ変化する攻撃に対してセキュリティ強化を図っております。

 また、経営主導でサイバー攻撃に対するセキュリティ強化をより一層推進するため、サイバーセキュリティ専門組織を設置し、各種サイバーセキュリティ関連規程の見直し等組織的な対応や脆弱性対応の取り組みを進め、セキュリティ体制を強化しております。加えて、サイバーインシデントに対応するためにCSIRT(シーサート:Computer Security Incident Response Team)を組成し、被害拡大防止に向けた適切な対応等を実施する態勢を整備しております。

 さらに役職員の情報セキュリティ意識向上を目的とした定期的な教育、標的型攻撃メール等に対する訓練を実施するとともに、万一の被害に備えて影響を最小限にとどめる対策を講じております。

 

 

⑪システムリスク

リスク内容

影響

 当社グループの主要な事業は、コンピュータシステムや通信ネットワークを使用し、大量かつ多岐にわたる情報処理を実施しているため、システムの安定稼働は極めて重要です。また、これらシステムの開発、運用の多くは委託先を通じて行っております。

 万一、当社あるいは委託先において自然災害、サイバーインシデント、コンピュータウイルス感染、停電、機器等の故障や不具合等により、コンピュータシステムや通信ネットワークに重大な障害が発生した場合、業務が停止する可能性があり、お客様や加盟店へのサービスに重大な影響を与えるとともに、当社グループの事業、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。また、コンピュータシステムには、お客様や加盟店のデータを保有しているため、データの流出、改ざん、破壊が発生した場合、当社グループの信用力の低下を招き、事業、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応

 不測の事態に備え、情報処理センターは耐震構造化されており、電源系統の二重化や自家発電装置の整備、システムやネットワークの冗長化により可用性を維持し、障害発生時には迅速な復旧が図れるよう、障害対応の訓練や障害対応体制の強化を行うなど障害発生時の影響を極小化する取り組みにも努めております。また、24時間365日のシステム常時監視や定期的なデータバックアップ実施、システム及びデータへのアクセス厳格化等の対策を講じており、日々システムの安定稼働、セキュリティ維持向上のための活動を継続して実施しております。

 委託先の管理においては、管理基準及び方法の見直しに加え、管理担当者への教育を行うなど委託先を含めたシステム管理体制の強化を図っております。

 

 

 

⑫情報関連リスク

リスク内容

影響

 当社グループは、事業の性質上、大量の個人情報を取得・保有・利用しております。個人情報の取扱いは厳格に行っておりますが、万一、当社グループ又は業務委託先等から個人情報の漏えいや紛失、毀損又は不正利用等が発生した場合、当社グループの信用力の低下、損害賠償発生により、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。また、個人情報取扱事業者として法令に違反した場合、罰則や勧告、命令等の行政処分を受ける可能性があります。

 また、営業スタイルの変化に伴う社外への情報端末の持ち出し機会の増加等、情報を取り扱う環境の変化が加速していることにより、情報漏えいリスクが高まっております。

対応

 個人情報保護を経営上の重要課題の一つと認識し、「個人情報保護基本規程」「個人情報保護管理規程」等に基づき適正な取扱い及び安全管理等の維持に努めております。具体的には、代表取締役社長が委員長を務める個人情報保護委員会を半期に1回開催し、リスクベースに応じた委託先管理も含めた個人情報保護マネジメントの計画や進捗について経営陣へ諮り、適正な管理・監督を実施しております。また、当社及び国内関係会社3社は、一般財団法人日本情報経済社会推進協会より、個人情報の保護レベルを評価するプライバシーマークの認証を取得し、実効性の確保に努めております。さらに、情報端末の持ち出しに対するセキュリティ対策の強化としてVPN接続や生体認証、情報出力制限等の対策に加え、従業員への教育を継続的に実施する等、情報セキュリティリスクの低減を図っております。

 

 

⑬事務リスク

リスク内容

影響

 当社グループは、業務遂行に際して多種大量な事務処理を行っております。誤指示や誤対応、業務効率の低下による処理の大幅な遅延等、適正な事務処理を怠ったことで、個人情報漏えいやお客様への誤請求、加盟店への誤精算及び精算遅延等の事故や不正が発生した場合、その内容や規模によってはお客様からの信用や加盟店の事業に影響を与え、損害賠償責任や信用力の低下を招き、当社グループの業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応

 各部署が基本ルールに則して事務処理を行うとともに、規程・マニュアル等の継続的な見直しや、各部署及び業務委託先に対する臨店やモニタリング等による不正や不備を検知できる体制を整備すること及び業務のシステム化・RPA化により人的作業の抑制を図ることで、事務処理の精度向上や誤対応・不正の防止、効率性の向上を図っております。

 

⑭コンプライアンスリスク

リスク内容

影響

 当社グループは、法令により監督官庁に登録又は許可が必要な事業(貸金業、包括・個別信用購入あっせん業及びクレジットカード番号等取扱契約締結業、資金決済業、債権管理回収業等)を行っております。

 当社グループの事業は、割賦販売法・特定商取引法・貸金業法・資金決済法・犯罪収益移転防止法・独占禁止法・下請法等の関連法令等の適用を受けるため、関連法令等を遵守した業務運営を確保しなければなりません。万一、関連法令等に抵触する行為があった場合には、監督官庁から法令に基づく処分(業務改善命令、業務の一部又は全部の停止命令、登録の取消等)を受け、業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応

 法令遵守体制の確立、維持、継続のための部門として、事業ごとに内部管理部門を定めて、所管する業務の規程及びマニュアルの策定、整備を行うとともに、それらに則り業務が適正に運営されているかを検証しております。問題が明らかになった場合には、改善策の策定を行い、又は規程等を改定し、周知徹底を図っております。

 役員を対象とした研修を1年に1回以上開催するとともに、当社グループの全役職員を対象として継続的に教育を実施し、コンプライアンス意識の向上を図っております。また、不正等の早期発見、是正につなげるための体制として内部通報制度を整備、運用し、通報しやすい環境づくりや制度の理解浸透に努めております。

 当社グループのコンプライアンス体制推進の中核となるべきコンプライアンス委員会を、代表取締役社長が委員長を務めて定期的に開催し、法令及び社内規程に重大な違反又はその懸念がある事象について協議し、組織的な対応を行う体制を整備しております。

 

 

⑮人的リスク

リスク内容

影響

 当社グループは、多岐にわたる業務を行っていることから、有能な人材を継続的に確保し、育成していくことが必要不可欠ですが、万一、当社グループにおいて有能な人材の確保及び雇用の維持が困難になった場合には、当社グループの業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応

 従業員一人ひとりの成長が会社の成長の源泉であるとの認識のもと、多様な人材の採用・育成に重点的に取り組むとともに、個々のスキルが最大限に発揮されるよう人事制度の構築や働きやすい環境づくりに取り組んでおります。

 また、取締役会直轄の機関として代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会傘下にDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)推進委員会及び健康経営推進委員会を設置する等、組織的に取り組む体制を整備し、経営戦略に連動した人的資本経営を推進しております。

 主な取り組みは、以下のとおりです。

(エンゲージメント向上)

 継続的なエンゲージメントサーベイの実施結果を踏まえて、会社と従業員が双方の成長に貢献しあえる関係構築に取り組んでおります。

(健康経営推進)

 従業員の健康保持・増進に戦略的に取り組み、仕事と生活を両立できる働き方と職場環境の実現を目指しております。

(女性活躍推進)

 持続的な発展やイノベーションのために、管理職に占める女性社員割合の目標を定め、教育及び積極的な登用を行うなど女性活躍を推進しております。

 

 

 

⑯評判リスク

リスク内容

影響

 当社グループの評判は、お客様、加盟店及び投資家等、社会との関係を維持するうえで極めて重要です。社会的責任への懸念が生じる取引や法令等違反、従業員の不正行為、システム障害等を防止できなかった場合、又はこれらに適切に対処することができなかった場合には、当社グループは、現在又は将来のお客様、加盟店及び投資家等を失うこととなり、当社グループの業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応

 これらの被害を低減するため、全役職員を対象とした教育を継続的に実施するとともに、不測の事態に備え、日頃より当社グループに対する情報のモニタリングを実施する等、対応体制の整備に努めております。

 

 なお、これらの「事業等のリスク」は、本有価証券報告書の提出日現在において、当社グループで把握している情報に基づいて、事業上リスクとなる可能性があると考えられる主要な事項を記載しております。しかしながら、リスクの全てを網羅しているものではなく、将来の経済情勢や業界を取り巻く環境の変化等、様々な不確定要因により新たなリスクが発生する可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、物価上昇の影響などから個人消費に力強さを欠く一方で、雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、長期化する国際情勢や金融資本市場の変動など、依然として先行き不透明な状況が続いています。

 このような中、当社グループは中期3カ年経営計画「MOVE 70」の最終年度を迎え、4つの「3年後のあるべき姿」の実現に向けて、経営体質の強化に取り組んできました。

 ・強みを活かした国内事業の収益基盤拡充

 ・将来の成長をけん引する海外事業の収益基盤確立

 ・国内・海外の成長を加速する経営基盤の強化

 ・ESG経営の推進

 

 しかしながら、金利上昇による金融環境の変化やDXの進展など、当社グループを取り巻く環境は急激に変化しました。これらの環境変化に対応するため、当社は2025年3月に株式会社三菱UFJ銀行(以下、「三菱UFJ銀行」という。)との間で新たに資本業務提携契約を締結し、三菱UFJ銀行を割当予定先とする第三者割当増資を行うことを決定しました。

 

 当連結会計年度の経営成績は、国内事業では外部環境の変化を踏まえ、事業構造改革を行い、各事業戦略に基づいた施策を実施しました。クレジット事業では、収益基盤強化に向けた利上げの実施によりシェアが低下し、クレジット申し込みが減速したことで取扱高が減少しました。ペイメント事業及びファイナンス事業においては、施策の実施により取扱高が堅調に推移しました。海外事業では、ベトナムにおける二輪シェアの回復や、カンボジア及びフィリピンにおける営業人員の強化と営業エリアの拡大に取り組みましたが、インドネシアの低迷が響き取扱高が減少しました。

 この結果、連結取扱高は5兆7,010億77百万円(前年同期比2.6%減)となりました。

 連結営業収益は、債権流動化による金融収益が減少したものの、割賦利益繰延残高の戻し入れ及び信用保証残高の積み上げにより1,909億78百万円(前年同期比3.4%増)となりました。

連結営業費用は、営業債権残高の増加を主因とした貸倒関連費用や、調達金利の上昇に伴い金融費用などが増加し、1,652億46百万円(前年同期比9.0%増)となりました。

以上の結果、連結経常利益は257億65百万円(前年同期比22.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は186億20百万円(前年同期比21.7%減)となりました。

 

 セグメント別営業実績は、以下のとおりであります。

 なお、(カード・ペイメント事業)の名称を(ペイメント事業)に変更しております。

 

「国内事業」

(クレジット事業)

 ショッピングクレジットは、営業体制を強化し、金利変動型商品の推進を行った住宅リフォームの取扱高が増加しました。しかしながら、収益性の低い一部商品の取り扱い中止や利上げの実施などにより、取扱高及び営業収益が減少しました。

 

 オートローンは、車両価格の高騰などにより輸入車の新車販売台数が厳しい状況で推移する中、各インポーターの販売戦略と連動した施策を継続しました。また、需要が底堅く推移する中古車市場においては、地域の中古車販売店への施策に注力しました。しかしながら、利上げの影響などにより取扱高が減少しました。営業収益は、割賦利益繰延残高の戻し入れにより増加しました。

 この結果、当事業の取扱高は減少しましたが、営業収益が増加しました。

 

 

(ペイメント事業)

 カードショッピングは、大型提携先や新規提携先での利用やインバウンドの拡大に伴うコード決済が堅調に推移し、取扱高が増加しました。営業収益は、取扱高の増加に加え、リボショッピングの手数料率引き上げなどにより増加しました。

 カードキャッシングは、会員数の拡大によりローンカードの取扱高が増加しましたが、プロパーカードの利用会員数低迷により取扱高及び営業収益が減少しました。

 家賃保証は、新規提携先の拡大や主要提携先を中心とした安定的な取引により、取扱高及び営業収益が増加しました。

 集金代行は、既存提携先の新規申込の増加に加え、インサイドセールスの強化による新規提携先の拡大や、一部既存商品を集金代行へ切り替えたことにより、取扱高及び営業収益が増加しました。

 この結果、当事業の取扱高及び営業収益が増加しました。

 

(ファイナンス事業)

 投資用マンション向け住宅ローン保証は、市場が堅調に推移する中、提携金融機関と連携した施策を継続し、取扱高及び営業収益が増加しました。

 銀行個人ローン保証は、三菱UFJ銀行を中心とした提携金融機関でマイカーローンや教育ローンの利用がけん引し、取扱高及び営業収益が増加しました。

 この結果、当事業の取扱高及び営業収益が増加しました。

 

(その他の事業)

 オートリースは、市場が拡大傾向にある中、サポート体制や推進体制を強化し、保有台数を拡大したことにより、取扱高及び営業収益が増加しました。

 事業資金融資は、資金需要の低迷により取扱高は減少しましたが、営業債権残高の積み上げにより営業収益が増加しました。

 この結果、当事業の取扱高は減少しましたが、営業収益が増加しました。

 

 以上の結果、国内事業におけるセグメント取扱高は5兆6,215億26百万円(前年同期比2.5%減)、セグメント営業収益は1,650億45百万円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益は291億76百万円(前年同期比12.5%減)となりました。

 

「海外事業」

(クレジット事業)

 ベトナムでは、二輪販売の回復を受け施策の展開が奏功し、取扱高が増加しました。営業収益は、営業債権残高の積み上げ不足により減少しました。

 インドネシアでは、二輪の取扱高が堅調に推移しましたが、事業構造改革の一環で、未収債権が高止まりにある四輪の取り扱いを中止したことにより、取扱高及び営業収益が減少しました。

 フィリピンやカンボジアでは、支店開設による営業エリアの拡大、営業人員の強化及び加盟店開拓に注力したことにより、取扱高及び営業収益が増加しました。

 この結果、当事業の取扱高は減少しましたが、営業収益が増加しました。

(ペイメント事業)

 ベトナムで展開するクレジットカードは、事業構造改革の一環で新規受付の中止や未稼働会員の整理に加え、既存会員の利用を停止しました。

 この結果、当事業の取扱高及び営業収益は減少しました。

 

(その他の事業)

 ベトナムやカンボジアで展開する個人向け無担保ローンは、未収債権の抑制を図るため審査基準の見直しを行ったことにより、ベトナムでは取扱高及び営業収益が減少しました。カンボジアでは取扱高は減少しましたが、営業債権残高の積み上げにより営業収益が増加しました。

 インドネシアで展開するリースは、事業構造改革の一環で新規受付を中止しており、取扱高及び営業収益が減少しました。

 この結果、当事業の取扱高及び営業収益が減少しました。

 

 以上の結果、海外事業におけるセグメント取扱高は795億50百万円(前年同期比10.9%減)、セグメント営業収益は257億3百万円(前年同期比1.2%減)、セグメント損失は36億30百万円(前年同期は1億92百万円の利益)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ129億92百万円減少し、1,744億99百万円となりました。

 

 各事業活動におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は451億70百万円(前連結会計年度は980億24百万円の使用)となりました。

 収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益264億55百万円であり、支出の主な内訳は、仕入債務の減少額473億81百万円、売上債権の増加額246億73百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は74億48百万円(前連結会計年度は62億58百万円の使用)となりました。

 収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入16億23百万円であり、支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出90億15百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は397億38百万円(前連結会計年度は1,290億21百万円の獲得)となりました。

 収入の主な内訳は、債権流動化借入れによる収入3,906億56百万円、長期借入れによる収入2,135億65百万円であり、支出の主な内訳は、債権流動化借入金の返済による支出3,024億45百万円、長期借入金の返済による支出2,231億48百万円、社債の償還による支出467億96百万円であります。

 

③ 営業実績

 当社グループにおけるセグメント別営業実績は、次頁のとおりであります。

 

連結セグメント別取扱高

セグメントの

名称

(内訳)

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

前年同期比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

国内

クレジット

1,644,358

28.5

1,370,913

24.4

△16.6

ペイメント

2,867,575

49.7

2,980,667

53.0

3.9

ファイナンス

742,046

12.9

847,208

15.1

14.2

その他

510,607

8.9

422,736

7.5

△17.2

国内計

5,764,588

100.0

5,621,526

100.0

△2.5

海外

クレジット

75,729

84.8

72,862

91.6

△3.8

ペイメント

1,397

1.6

965

1.2

△30.9

その他

12,118

13.6

5,722

7.2

△52.8

海外計

89,245

100.0

79,550

100.0

△10.9

合計

5,853,833

5,701,077

△2.6

 

連結セグメント別営業収益

セグメントの

名称

(内訳)

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

前年同期比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

国内

クレジット

63,348

39.9

66,298

40.2

4.7

ペイメント

43,183

27.2

44,564

27.0

3.2

ファイナンス

35,430

22.3

38,207

23.1

7.8

その他

13,505

8.5

14,177

8.6

5.0

事業収益計

155,469

97.9

163,249

98.9

5.0

金融収益

3,332

2.1

1,796

1.1

△46.1

国内計

158,802

100.0

165,045

100.0

3.9

海外

クレジット

18,859

72.5

20,048

78.0

6.3

ペイメント

248

0.9

229

0.9

△7.8

その他

6,728

25.9

5,319

20.7

△20.9

事業収益計

25,836

99.3

25,597

99.6

△0.9

金融収益

179

0.7

105

0.4

△41.1

海外計

26,016

100.0

25,703

100.0

△1.2

国内・海外事業収益計

181,305

98.1

188,847

99.0

4.2

国内・海外金融収益計

3,512

1.9

1,901

1.0

△45.8

合計

184,818

100.0

190,748

100.0

3.2

(注)セグメント間の内部営業収益又は振替高は記載しておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析

 「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

ロ.財政状態

連結貸借対照表の概要

 

2024年3月期末

(百万円)

2025年3月期末

(百万円)

増減

(百万円)

増減率

(%)

流動資産

3,678,758

3,701,379

22,620

0.6

固定資産

98,836

105,406

6,569

6.6

資産計

3,777,595

3,806,786

29,190

0.8

流動負債

1,930,855

1,949,545

18,689

1.0

固定負債

1,608,299

1,601,431

△6,868

△0.4

負債計

3,539,155

3,550,976

11,821

0.3

(内、有利子負債)

(2,893,030)

(2,946,259)

(53,229)

(1.8)

純資産

238,440

255,809

17,369

7.3

(内、自己資本)

(230,422)

(248,273)

(17,850)

(7.7)

(注)上表の(内、有利子負債)には、リース債務は含めておりません。

 

(流動資産)

 当連結会計年度の流動資産は、前連結会計年度に比べ226億20百万円増加し、3兆7,013億79百万円となりました。

 これは、現金及び預金、リース投資資産は減少したものの、割賦売掛金が増加したこと等によるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度の固定資産は、前連結会計年度に比べ65億69百万円増加し、1,054億6百万円となりました。

 これは、投資有価証券、退職給付に係る資産の増加等によるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度の流動負債は、前連結会計年度に比べ186億89百万円増加し、1兆9,495億45百万円となりました。

 これは、支払手形及び買掛金は減少したものの、1年内返済予定の債権流動化借入金等有利子負債、割賦利益繰延が増加したこと等によるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度の固定負債は、前連結会計年度に比べ68億68百万円減少し、1兆6,014億31百万円となりました。

 これは繰延税金負債は増加したものの、社債等有利子負債が減少したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度の純資産は、前連結会計年度に比べ173億69百万円増加し、2,558億9百万円となりました。

 これは、利益剰余金、その他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定の増加等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ.キャッシュ・フローの状況

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

ロ.資金需要

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、当社グループのクレジット事業、ペイメント事業における取扱いに伴う提携先への立替金やお客様への融資業務及び各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては、情報処理のための基幹システムに対する無形固定資産投資等があります。

 

ハ.財務政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、メインバンクを中心とした金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパーの発行、債権流動化により幅広く資金調達を行っております。資金調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入先・社債等の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段について資金計画を作成し、状況を適宜判断して実施しております。

 当社グループの主要な事業資産である割賦売掛金の回収期間に応じて、有利子負債の調達を行っており、当期末の有利子負債残高は、2兆9,462億59百万円となりました。

 また、資金調達コストの増加抑制に努めながら、過度の金利変動リスクに晒されないよう、資金調達の7割程度を固定金利で調達しております。将来の金利変動の対応として、金利変動型商品導入や事業資産の状況に合わせた最適な資金調達構成の構築等、ALMの高度化による財務健全性の確保に取り組んでおります。

 当社グループは、本報告書提出時点において、株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期債はA+、コマーシャル・ペーパーはa-1、株式会社日本格付研究所(JCR)から長期債はA+、コマーシャル・ペーパーはJ-1の格付けを取得しております。また、国内金融機関において合計1,300億円のコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。

 海外子会社につきましては、運転資金、設備資金ともに現地銀行、邦銀現地法人、親子ローン等より調達を行っております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(3)特定金融会社等の開示に関する内閣府令(平成11年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく貸付金の状況

 当社の貸付金の状況は次のとおりであります。

① 貸付金の種別残高内訳

2025年3月31日現在

 

貸付種別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

平均約定金利

(%)

消費者向

 

 

 

 

 

無担保(住宅向を除く)

161,738

98.09

40,766

16.50

16.00

有担保(住宅向を除く)

2,447

1.48

25,324

10.25

1.92

住宅向

164,185

99.57

66,090

26.75

10.29

事業者向

 

 

 

 

 

709

0.43

181,004

73.25

1.25

合計

164,894

100.00

247,095

100.00

3.39

 

② 資金調達内訳

2025年3月31日現在

 

借入先等

残高(百万円)

平均調達金利(%)

金融機関等からの借入

2,227,700

0.50

その他

626,500

0.55

 

社債・CP

626,500

0.55

合計

2,854,200

0.51

自己資本

262,673

 

資本金・出資額

16,138

(注)1.「自己資本」は、資産の合計額より負債の合計額並びに配当金の予定額を控除し、引当金(特別法上の引当金を含む)の合計額を加えた額を記載しております。

2.「平均調達金利」は、当事業年度末の借入金残高に対する加重平均利率を記載しております。

 

③ 業種別貸付金残高内訳

2025年3月31日現在

 

業種別

先数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

製造業

建設業

電気・ガス・熱供給・水道業

運輸・通信業

卸売・小売業、飲食店

17

0.01

924

0.37

金融・保険業

3

0.00

159,532

64.56

不動産業

37

0.03

20,547

8.32

サービス業

個人

157,612

99.96

66,090

26.75

その他

合計

157,669

100.00

247,095

100.00

 

④ 担保別貸付金残高内訳

2025年3月31日現在

 

受入担保の種類

残高(百万円)

構成割合(%)

有価証券

 

うち株式

債権

 

うち預金

商品

924

0.37

不動産

45,872

18.57

財団

その他

46,796

18.94

保証

無担保

200,298

81.06

合計

247,095

100.00

 

⑤ 期間別貸付金残高内訳

2025年3月31日現在

 

期間別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

1年以下

143,831

87.23

60,575

24.52

1年超 5年以下

10,682

6.48

161,188

65.23

5年超 10年以下

8,227

4.99

2,429

0.98

10年超 15年以下

43

0.02

72

0.03

15年超 20年以下

17

0.01

81

0.03

20年超 25年以下

33

0.02

185

0.08

25年超

2,061

1.25

22,563

9.13

合計

164,894

100.00

247,095

100.00

一件当たり平均期間

 

 

1.89年

(注)期間は、約定期間によっております。

 

5【重要な契約等】

(1)資本業務提携契約

 当社は、2025年3月14日開催の取締役会において、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、「MUFG」という。)の連結子会社である株式会社三菱UFJ銀行(以下、「三菱UFJ銀行」という。)と資本業務提携契約を締結し、三菱UFJ銀行を割当予定先とする第三者割当による新株式の発行を行うことを決議しました。

① 資本業務提携契約の目的、意思決定に至る過程及び企業統治に及ぼす影響

 当社は、2008年2月に株式会社三菱UFJ東京銀行(現 三菱UFJ銀行)と資本提携を行い、これまでグループ協働に取り組んでまいりました。しかしながら、金融環境の変化やDXの進展など、当社グループを取り巻く経営環境は急激に変化しております。このような状況下、当社グループでは事業構造改革を進め、さまざまな対応策を実施してまいりました。これらの取り組みは、一定の成果をあげているものの、2025年度を初年度とする中期3カ年経営計画において安定的な利益成長を目指すには、MUFGグループとのさらなる連携が不可欠であると判断しました。また、新たな成長ステージに移行するためには、積極的なM&Aによる投資が必要であると考えております。こうした考えのもと、2025年3月14日開催の取締役会において、三菱UFJ銀行との間で資本業務提携契約を締結し、第三者割当の方法により三菱UFJ銀行に対して総額約390億円の普通株式を発行することを決議いたしました。本資本業務提携契約を通じて、三菱UFJ銀行及びMUFGグループとのさらなる連携を深め、付加価値の高いサービスの提供を行うことが当社グループの中長期的な企業価値向上に繋がり、そして三菱UFJ銀行による当社経営への寄与により、ガバナンス体制の向上が図れるものと考えております。

 

② 資本業務提携の内容

 当社と三菱UFJ銀行は、両社及びMUFGグループの有する顧客基盤と金融ソリューション力を相互に提供・活用したグループ協働を一層強化してまいります。

イ.成長戦略

 ・三菱UFJ銀行のみならずMUFGグループの持つ顧客網を最大限活用し、新たな相互送客の枠組を構築

 ・三菱UFJ銀行が展開するBaaSへの当社商品の追加や当社が有する加盟店へのBaaS展開等、新たな分野での協業を模索

 

 ・当社において、MUFGグループの有するデジタル金融ネットワークを活用した投資、M&Aを拡大

 ・MUFGグループのグローバルネットワークを活用した当社の海外事業における営業・財務基盤の強化、新たな進出及び新規投資を推進

ロ.効率化・DX推進

 ・MUFGグループのグローバルネットワークを活用した当社の海外事業における営業・財務基盤の強化、新たな進出及び新規投資を推進

 ・MUFGグループベースでのAIを活用した審査モデルの検討やセキュリティ対策の導入・強化による当社の業務効率化

 

③ 第三者割当による新株式の発行及びその算定根拠

イ.募集の概要

(イ)発行新株式数

普通株式 9,980,831株

(ロ)発行価額

発行価額     1株につき 3,916円

発行価額の総額  39,084,934,196円

(ハ)募集又は割当方法

第三者割当の方法による

(ニ)割当先

三菱UFJ銀行

ロ.払込金額の算定根拠及びその具体的な内容

 払込金額は、2025年3月14日開催の取締役会の決議日(以下、「本取締役会決議日」という。)の直前営業日である2025年3月13日から遡る1カ月間(2025年2月14日から2025年3月13日まで)の東京証券取引所における当社株式の終値平均値である3,916円(単位未満四捨五入。本項において以下、同じです。)といたしました。

 払込金額の決定に際し、本取締役会決議日の直前営業日から遡る1カ月間(2025年2月14日から2025年3月13日まで)の東京証券取引所における当社株式の終値の単純平均値としたのは、特定の一時点を基準にするより、一定期間の平均株価という平準化された値を採用する方が、一時的な株価変動等の特殊要因を排除でき、算定根拠として客観性が高く合理的であると判断したためです。

 なお、当該払込金額は、本取締役会決議日の直前営業日(2025年3月13日)の終値3,965円に対し1.24%(小数点以下第三位を四捨五入。本項において以下、同じです。)のディスカウント、本取締役会決議日の直前営業日までの3カ月間(2024年12月16日から2025年3月13日)の終値平均値3,823円に対し2.43%のプレミアム、同6カ月間(2024年9月17日から2025年3月13日)の終値平均値3,826円に対し2.35%のプレミアムとなります。

 上記払込金額は、日本証券業協会の定める「第三者割当増資の取扱いに関する指針」に準拠したものであり、当社は、割当予定先に特に有利な金額には該当しないと判断しております。

 

④ ガバナンスに関する事項

イ.業務提携の円滑な実行を図るため、三菱UFJ銀行が指名する2名を当社の取締役候補者とすることと定めております。

ロ.三菱UFJ銀行の議決権比率は、第三者割当増資後の議決権比率を下回らないよう合理的な範囲で最大限努力し、三菱UFJ銀行と相互に協力することと定めております。

ハ.当社は、三菱UFJ銀行の事前承諾がない限り、当社への資本参加を伴う提携に関する協議をその他金融機関等と行わないことと定めております。

ニ.三菱UFJ銀行は、当社が上場会社として独立して経営することを最大限尊重することと定めております。

 

⑤ 保有株式の処分・買増し等に関する事項

イ.三菱UFJ銀行が当社の株式等を譲渡等する場合や追加取得する場合は、原則として事前に当社の承諾を得ることと定めております。

ロ.三菱UFJ銀行は、当社の事前承諾を得た場合を除き、当社の株式等の取得を行わないことを定めております。

ハ.三菱UFJ銀行は、当社が株式等の発行、処分又は付与を行う場合、三菱UFJ銀行の議決権比率を維持するために必要な当社の株式等の割当を受ける権利を有しております。

 

(2)財務上の特約が付された金銭消費貸借契約

 2024年4月1日前に締結された借入契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。

 

6【研究開発活動】

  特記事項はありません。