第1【公開買付要項】

1【対象者名】

株式会社パスコ

 

2【買付け等をする株券等の種類】

普通株式

 

3【買付け等の目的】

(1)本公開買付けの概要

 セコムは、本書提出日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している対象者の普通株式(以下「対象者株式」といいます。)を10,316,800株(所有割合(注1):71.66%)所有しており、対象者を連結子会社としております。ISフロンティアパートナーズは、対象者株式を取得及び所有すること等を主たる事業目的として、2024年7月24日に設立された株式会社であり、本書提出日現在、伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」といいます。)がその発行済株式の全てを所有しております。ISフロンティアパートナーズ及び伊藤忠商事は、本書提出日現在、対象者株式を所有しておりません。

(注1) 「所有割合」とは、対象者が2024年8月8日に公表した2025年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「対象者第1四半期決算短信」といいます。)に記載された2024年6月30日現在の発行済株式総数(14,418,025株)から、対象者第1四半期決算短信に記載された同日現在の対象者が所有する自己株式数(22,039株)を控除した株式数(14,395,986株)に対する所有株式数の割合(小数点以下第三位を四捨五入。以下、所有割合の計算において同じです。)をいいます。

 

 セコム及び伊藤忠商事は、2024年9月5日、同日付で共同公開買付契約(以下「本共同公開買付契約」といいます。)を締結し、対象者の株主を公開買付者らのみとし、対象者の非公開化後においてセコム及びISフロンティアパートナーズが有する対象者株式に係る議決権の比率をそれぞれ75%及び25%とするための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、公開買付者らが共同して対象者株式の全て(但し、セコムが所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を対象とした本公開買付けを実施することをそれぞれ決定し、また、ISフロンティアパートナーズは、2024年9月5日、セコムと共同して本公開買付けを実施することを決定いたしました。

 

 公開買付者らは、本公開買付けにおいて対象者株式の全て(但し、セコムが所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得することを企図しているため、本公開買付けにおける買付予定数の上限を設定しておりません。

 また、公開買付者らは、本公開買付けにおいて、買付予定数の下限を設定しておらず、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の全部の買付け等を行います。これは、対象者の株主を公開買付者らのみとするために本株式併合(下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」で定義します。以下同じです。)を実施する際には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされているところ、セコムが本書提出日現在所有する対象者株式10,316,800株(所有割合:71.66%)に係る議決権の数が対象者の総株主の議決権の数の3分の2を超えているため、本公開買付け実施後に本株式併合を確実に実施するという観点から買付予定数の下限を設定する必要性がないことに加え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する対象者の株主の皆様の利益に資さない可能性もあると考えられたためです。

 公開買付者らは、対象者の株主を公開買付者らのみとすることを目的として本公開買付けを実施するため、本公開買付けにより対象者株式の全て(但し、セコムが所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載されている、対象者の株主を公開買付者らのみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)の実施を要請する方針です。さらに、本公開買付けは、セコム及びISフロンティアパートナーズが有する対象者株式に係る議決権の比率をそれぞれ75%及び25%とすることを目的としているため(なお、両者の議決権比率を当該比率とするに至った経緯については、下記「(2)本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」をご参照ください。)、本スクイーズアウト手続によっても、当該議決権比率が達成されなかった場合、セコム及びISフロンティアパートナーズが有する対象者株式に係る議決権比率を調整する予定です。これらの調整手続の概要については、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。

 なお、本スクイーズアウト手続として本株式併合を実施する際には、上記のとおり、会社法第309条第2項に規定する対象者の株主総会における特別決議が要件とされているところ、セコムが本書提出日現在所有する対象者株式10,316,800株(所有割合:71.66%)に係る議決権の数が対象者の総株主の議決権の数の3分の2を超えていることから、本公開買付けを行うことなく、本株式併合に係る手続を実施することも可能ですが、株式併合の場合、取引条件が株式併合比率として示されるため、必ずしも一般株主にとって分かりやすい取引とはいえないのに対し、公開買付けの場合には、取引条件が対象者株式1株当たりの買付価格の形式で示されるため一般株主にとっても分かりやすいという点に加え、対象者に義務付けられる公開買付けに関する対象者の意見表明の内容(賛同及び応募推奨の有無)も踏まえた上で、一般株主に本取引の取引条件の合理性についてご検討をいただく機会を提供することが可能であり、一般株主の利益保護の観点からもより望ましいと考え、本スクイーズアウト手続に先立って、本公開買付けを実施することといたしました。

 

 公開買付者らそれぞれによる応募株券等の買付方法については、①応募株券等の総数のうち、480,941株(所有割合:3.34%)までの応募株券等についてはセコムが買付け等を行い、その残りの応募株券等についてISフロンティアパートナーズが買付け等を行うこと、他方で、②応募株券等の総数が480,941株(所有割合:3.34%)未満の場合には、セコムが応募株券等の全部の買付け等を行うこととします。

 

 なお、対象者株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場しておりますが、下記「(5)上場廃止となる見込み及びその事由」に記載のとおり、本公開買付けの結果次第では、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があり、また、本公開買付けの成立後に、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の各手続を実施することとなった場合には、所定の手続を経て上場廃止となります。

 

 また、対象者が2024年9月5日付で公表した「当社親会社であるセコム株式会社、及び伊藤忠商事株式会社が出資するISフロンティアパートナーズ株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(以下「対象者プレスリリース」といいます。)によれば、対象者は、同日開催の対象者取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議したとのことです。なお、当該対象者取締役会決議の詳細については、対象者プレスリリース及び下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅵ)対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。

 

(2)本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針

① 本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

 セコムは、1962年7月、日本警備保障株式会社(以下「日本警備保障」といいます。)として発足し、1972年12月、株式の額面金額変更のため、株式会社エスピーアラームシステムズとの間で、同社を形式的な存続会社とする吸収合併を行い(注2)、その後、1974年6月に東京証券取引所市場第二部に上場し、1978年5月に東京証券取引所市場第一部に指定され、1983年12月に現在の商号に変更し、1986年6月には旧株式会社大阪証券取引所(以下「旧大阪証券取引所」といいます。)市場第一部に上場いたしました。また、2013年7月に旧大阪証券取引所における現物市場が東京証券取引所に統合されたことにより、セコムは、東京証券取引所市場第一部にのみ上場することとなりました。その後、2022年4月の東京証券取引所における新市場区分への移行に伴い、現在は東京証券取引所プライム市場に上場しております。

(注2) 当該吸収合併は、日本警備保障の額面金額変更のために行われたものであり、実質的な存続会社は日本警備保障となります。

 セコムは、セコム、その連結子会社151社及び持分法適用関連会社17社(2024年3月31日現在)からなる企業グループ(以下「セコムグループ」といいます。)を構成しており、創業以来、「社業を通じて社会に貢献する」という企業理念の下に、社会と暮らしを「安全・安心・快適・便利」にする革新的なサービスやシステムを創造し、それらを統合・融合して新しい社会のシステムとして提供する「社会システム産業」の構築を推進しております。

 セコムグループは、現在、警備請負サービスを中心としたセキュリティサービス事業、総合防災サービスを中心とした防災事業、在宅医療及びシニアレジデンス(注3)の運営を柱にしたメディカルサービス事業、損害保険業を中心とした保険事業、測量・計測事業を中心とした地理空間情報サービス事業(注4)、情報セキュリティや大規模災害対策、データセンター、BPO(注5)業務を中心としたBPO・ICT(注6)事業(注7)等の事業活動を展開しております。

(注3) 「シニアレジデンス」とは、セコムグループが運営する有料老人ホームを総称していいます。

(注4) 地理空間情報サービス事業とは、地理空間情報の収集、加工・処理・解析、ICT技術を活用した高品質な情報サービスを提供する事業を指します。

(注5) BPO(Business Process Outsourcing)とは、企業の業務プロセスの一部を一括して外部に委託すること(企画・設計から実施まで)を指します。

(注6) ICT(Information and Communication Technology)とは、情報通信技術を指します。

(注7) 「BPO・ICT事業」とは、情報セキュリティサービス、大規模災害対策サービス、クラウドサービス、データセンター事業、コンタクトセンター業務及びバックオフィス全般のBPO(Business Process Outsourcing)事業等を総称していいます。

 

 このうち、地理空間情報サービス事業においては、対象者が航空機や車両、人工衛星等を利用した測量や計測で、地理空間情報を集積し、加工・処理・解析した地理空間情報サービスを、国及び地方自治体等の公共機関や民間企業、諸外国政府機関に提供しております。

 なお、セコムは、1999年8月に対象者から51,195,000株(当時の所有割合(注8):67.49%)の第三者割当増資を引受けて以降、対象者を連結子会社としております。また、2001年1月に対象者株式543,000株を、2001年2月に対象者株式1,346,000株をそれぞれ追加取得し、2006年3月、対象者株式1,500,000株を売却した結果、対象者株式51,584,000株(当時の所有割合:69.85%)を所有するに至りました。その後、2018年10月、対象者において、対象者株式5株につき1株の割合とする株式併合が実施されたことにより、本書提出日現在、セコムは対象者株式10,316,800株(所有割合:71.66%)を所有しております。

(注8) 「当時の所有割合」とは、当該時点における対象者の発行済株式総数(自己株式数を含みます。)に対する所有株式数の割合(小数点以下第三位を四捨五入)をいいます。

 

 ISフロンティアパートナーズの完全親会社である伊藤忠商事は、1858年、初代伊藤忠兵衛により、麻布の行商を開始し、繊維分野を中心にビジネスを拡大しました。その後、ビジネスの総合化を推進した伊藤忠商事は、1950年7月に旧大阪証券取引所及び東京証券取引所に株式を上場いたしました。また、2013年7月に旧大阪証券取引所における現物市場が東京証券取引所に統合されたことにより、伊藤忠商事は、東京証券取引所市場第一部にのみ上場することとなりました。2022年4月の東京証券取引所における新市場区分への移行に伴い、現在は東京証券取引所プライム市場に上場しております。

 伊藤忠商事は、伊藤忠商事、その連結子会社189社及び関連会社75社(2024年6月30日現在)からなる企業グループ(以下「伊藤忠グループ」といいます。)を構成しており、国内外のネットワークを通じて、8つのカンパニー(注9)、すなわち、繊維、機械、金属、エネルギー・化学品、食料、住生活、情報・金融、第8(注10)の各カンパニーが人々の暮らしを支える様々な商品やサービスを提供するため、原材料等の川上からコンシューマービジネス等の川下までを包括的に事業領域とし、多角的なビジネスを展開しております。

(注9) カンパニーとは、伊藤忠商事内にある事業部門を、独立性を高めた一つの会社とみなした組織です。それぞれのカンパニーに経営資源と権限を委譲することで、カンパニーが責任をもって迅速かつ柔軟な経営を行い、それぞれの分野のニーズに対応した事業を展開しております。

(注10) 第8カンパニーでは、他7つのカンパニーと協働し、特に生活消費分野に強みを持つ伊藤忠商事の様々なビジネス基盤を最大限活用しながら、異業種融合・カンパニー横断の取組みを加速させ、市場や消費者ニーズに対応した「マーケットインの発想」による新たなビジネスの創出・客先開拓を行っております。

 

 伊藤忠商事は、2016年の組織再編により、「情報・通信部門」及び「金融・保険部門」から構成される情報・金融カンパニーを設立し、ICTやBPO、フィンテック等のサービス分野を核としたビジネスに取組んでおります。「情報・通信部門」では、ITサービス事業、通信・モバイル事業、宇宙・衛星事業、メディア関連事業、BPO事業、ヘルスケア事業等を展開しております。ITサービス事業においては、ITソリューション事業を中心にデータ活用事業、インターネット関連サービス事業やベンチャーキャピタル事業等、様々な分野にまたがり総合的に顧客企業のデジタル化・DX(注11)を支援するDX事業を展開しております。特に、宇宙・衛星事業においては、近年の人工衛星の小型化や打上コスト低減等による技術の発展に伴い、人工衛星から取得可能なデータが多様化していることから、従来の通信衛星サービスを中心とした取組みに加え、地球観測分野への取組みにも注力しております。また、地球観測によって取得される地理空間情報は、顧客の業務効率化やDXにも役立てることが可能であり、DX事業との連携により、データの取得から加工・分析まで一気通貫のサービスを提供することで、伊藤忠商事は更なる収益基盤の拡大を目指しております。

(注11) DX(Digital Transformation)とは、データやデジタル技術を活用し、新たなビジネスモデルの創出や既存ビジネスの変革を行うことを指します。

 

 なお、ISフロンティアパートナーズは、対象者株式を取得及び所有すること等を主たる目的として、2024年7月24日に設立され、伊藤忠商事がその発行済株式の全てを所有する株式会社です。

 

 一方、対象者プレスリリースによれば、対象者は、1953年10月、航空機に搭載された航空測量用カメラを用いた、戦後復興における地図作成に必要となる航空写真の撮影等を主な事業として、対象者の前身であるパシフイック航空測量株式会社として創業した後、1962年8月に、パシフイック航業株式会社に商号を変更、1983年10月に現在の株式会社パスコに商号を変更し、事業を拡大してきたとのことです。また、対象者は、1962年12月には東京証券取引所市場第二部に上場、1974年2月には東京証券取引所市場第一部に測量会社として初めて上場した後、2022年4月に東京証券取引所の市場区分見直しに伴い東京証券取引所スタンダード市場に移行し、現在に至るとのことです。

 本書提出日現在、対象者は、対象者及び対象者の連結子会社8社、持分法適用関連会社1社からなる企業グループ(以下「対象者グループ」といいます。)で構成され、対象者グループは、「国内部門」と「海外部門」からなる地理空間情報サービス事業を単一事業として行っているとのことです。対象者の国内部門のうち、国や地方自治体等を顧客とする「国内公共部門」では、航空写真撮影や地図整備のほか、自治体行政事務の効率化と住民サービスの向上を図るためのソリューション提供を行っているとのことです。また、自治体の財政健全化や地方創生に資する取組みや、人工衛星や航空機の撮影データを活用した災害・環境モニタリング等のサービスを提供しているとのことです。また、国内部門のうち、流通業や製造業、金融業等様々な民間企業を顧客とする「国内民間部門」では、企業経営を支援する商圏分析等のエリアマーケティング分野や、配送計画や移動体の管理等のロジスティクス分野向けにサービスを提供しているほか、災害時の初動対応やBCP(注12)策定の支援サービスを提供しているとのことです。「海外部門」ではASEANや開発途上国、新興国等を中心に、国土基盤図の整備や社会インフラ整備に必要な地図整備、コンサルティングサービスを提供しているとのことです。

(注12) BCP(Business Continuity Plan)とは、事業継続計画を指します。

 

 対象者グループは、「常に世界一の空間情報事業者であるために、革新的な思考と行動により、常に変化を創造し行動する」ことを経営方針に掲げ、「①空間情報事業を通じて、安心で豊かな社会システムの構築に貢献する、②社会的に公正であることを判断基準として、法令遵守、社会倫理を尊重し、常に正しさを追求する、③お客様の信頼を誇りに、最高レベルの空間情報を提供する」という経営理念の下、そして、2017年に設定した対象者グループの経営ビジョン「地球をはかり、未来を創る~人と自然の共生にむけて~」の下、測量・計測技術によって地球上を捉えることだけに留まらず、あらゆる「はかる」を地理空間情報に融合させ、人と自然が共生した未来社会の構築を目指しているとのことです。

 また、対象者は、2023年8月7日に、「パスコグループ中期経営計画2023-2025」(以下、「パスコ中期経営計画」といいます。)を策定し、左記において掲げた経営戦略を遂行することにより、対象者グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しているとのことです。パスコ中期経営計画においては、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」ことを基本方針とし、既存事業の拡大・生産効率や品質の向上を図る「深化」、市場領域の拡大を図るとともに、継続契約型サービス事業の充実を目指す「伸化」、及び、新たな事業構造に向けた活動を継続的に行い、革新的な商品やサービスを創出する「新化」という、以下の「3つの“しんか”」を掲げ、地理空間情報事業の拡大・成長を目指しているとのことです。

 

(ⅰ)「深化」:既存事業の革新・強化

(ア)既存事業(受託事業)に革新的な技術やプロセスを導入し、高い技術力の維持、事業の拡大とともに、生産効率や品質の向上を図る

(イ)具体的には、道路・橋梁管理、固定資産評価、上下水道管理、まちづくり、河川管理、防災・減災、森林保全、農業、港湾、環境調査、風力発電対策、文化財等を通じた行政のDX・デジタル化領域を想定

 

(ⅱ)「伸化」:継続契約型サービスによる持続可能な事業の拡大

(ア)新たに対象者の存在意義を発揮できる市場領域の拡大を図るとともに、継続契約型サービス事業の充実を目指す

(イ)具体的には、行政機関、エリアマーケティング、物流・不動産向けのクラウドサービス、スマート森林(注13)、IoT(注14)遠隔監視(注15)、3次元可視化(注16)、衛星付加価値サービス(注17)等のソリューション提供・地理空間情報コンテンツ販売領域を想定

(注13) スマート森林とは、森林管理を最新のテクノロジーを活用して行う取組みであり、センサーやネットワーク等の技術を活用して森林の健全性や環境への影響をモニタリングし、持続可能な森林経営を実現することを指します。

(注14) IoTとは「Internet of Things」の略であり、モノのインターネット化のことをいいます。

(注15) IoT遠隔監視とは、インターネットを介して機器やセンサー等のデータをリアルタイムで監視・管理することを指します。

(注16) 3次元可視化とは、物体や空間を立体的に表現する技術であり、コンピューター上でデータを3D形式に変換して可視化することを指します。

(注17) 衛星付加価値サービスとは、衛星から得られる地理空間情報を収集し、分析・解析を行い、社会の課題解決を支援するサービスを指します。

 

(ⅲ)「新化」:多様性による新たな事業創造

(ア)従来発想の範囲にとどまらない多様な人材、組織との融合により、新たな事業創造に向けた活動を継続的に行い、革新的な商品やサービスを創出する

(イ)具体的には、仮想空間(メタバース)(注18)、モビリティ(ドローン・自動運転)、プラットフォームビジネス等をはじめとする新領域を想定

(注18) 仮想空間(メタバース)とは、仮想現実や拡張現実技術を用いて構築されたデジタル空間を指します。

 

 セコムは、対象者がこれまで公共部門に注力することで成長し、技術力を培い、信用力を高めてきた一方で、公共部門は国の政策や予算に左右されることから、今後も持続的かつ政府予算動向に左右されず成長していくにあたっては、公共部門のみならず、マーケットの拡大余地が見込まれる民間部門における需要を取り込むことにより、公共部門と民間部門の両輪で事業規模の拡大・企業価値向上を目指すことが重要になってくるものと考えておりました。

 このような状況の中、伊藤忠商事は、対象者の取扱う地理空間情報は技術発展等に伴い情報が高度化され、今後民間や海外へと拡大可能な分野であり、伊藤忠商事の進めるDX事業や宇宙・衛星事業との連携によるシナジーの追求は有益であると考え、2022年10月上旬、対象者に対して協業検討の打診を行い、対象者との間で業務提携に関する協議を開始いたしました。

 一方、伊藤忠商事は、かかる業務提携が資本関係を前提としないものに留まる場合、対象者と伊藤忠商事の間で業務提携を実施したとしても、それにより対象者の企業価値向上による利益は対象者の株主に帰属するのみとなるため、伊藤忠商事として多くの経営資源を投入する経済合理性を認めづらく、十分な提携が困難となることが予想され、結果として、対象者の企業価値向上という点に照らしても最善の策とはならないものと考えたことから、2023年3月上旬、伊藤忠商事より対象者の親会社であるセコムに対して、対象者への資本参加を提案いたしました。

 これを受けてセコムにおいても検討を進めた結果、2023年11月中旬、従来、対象者とセコムは、事業協力関係の下、経営情報の交換や人事面の交流、財務面の支援等を通じて競争力の強化を図ってきましたが、セコムとしても対象者の企業価値向上の取組みを推進するためには、非公開化を行った上で、民間・消費者への顧客接点を豊富に持ち、海外展開にも強みを持つ伊藤忠商事を交えた連携・取組みを行うことにより一層のシナジーを追求していくことが有益であるとの考えに至りました。一方で、対象者の事業は、セコムグループが構築を推進している「社会システム産業」の中でも重要な役割を担っており、セコムグループの営む他の事業分野においても基盤となり得る事業と位置づけられていることから、セコムが保有することとなる対象者株式に係る議決権保有比率を現在の水準から一定程度引き上げることを前提とし、セコム及び伊藤忠商事における協議の結果、2023年11月中旬に非公開化後の対象者株式に係るセコム及びISフロンティアパートナーズの議決権保有比率をそれぞれ75%及び25%とする方針といたしました。なお、セコム及び伊藤忠商事は、本取引を通じて対象者の事業運営において具体的に以下のシナジーが見込めると考えております。なお、セコム及び伊藤忠商事は、対象者に対するデュー・ディリジェンスを通じ、本取引について、今後の対象者の主要取引先や外注仕入先への影響、ブランド力・与信への影響、資金調達への影響、人材採用や既存の従業員に対する影響、ガバナンス体制への影響等の観点で検討を行ってまいりましたが、結論として本取引により対象者の事業に重大な悪影響を及ぼすようなデメリットを生じさせるものではないと考えております。

 

(ⅰ)既存事業の強化

 伊藤忠商事は、世界61ヶ国に約90の拠点(2024年6月30日時点)を持つ大手総合商社として、繊維、機械、金属、エネルギー・化学品、食料、住生活、情報・金融の各分野において国内、輸出入及び三国間取引を行うほか、国内外における事業投資等、幅広いビジネスを展開しております。中でも、宇宙・衛星事業及びDX事業の取組みを積極的に行っており、災害・環境モニタリングサービス、商圏分析サービス等、対象者の既存事業の拡大に向けて、連携の機会を提供することが可能であり、最適なパートナーに成り得ると考えております。また、繊維、食料、住生活、情報・金融、第8カンパニーを中心とした生活消費関連に強みを持っていることから、対象者所有の商品やサービスを当該生活消費関連事業に提供することで、対象者が伊藤忠商事の消費者接点を活かした事業展開も可能であり、両社提携のシナジーを最大限発揮できると考えております。

 

(ⅱ)新規取組み・ソリューションの開発・販売支援

 伊藤忠商事のDX事業は、大手システムインテグレーターである伊藤忠テクノソリューションズ株式会社をはじめとしたICT分野をリードすると考えられる出資先・協業先との連携や、BPO業界大手の株式会社ベルシステム24による豊富な顧客接点に基づくサービス提供、国内外の有力と考えられるベンチャー企業との協業実績等を有しており、顧客のパートナーとして上流から下流まで幅広いニーズに応えることが強みとなっております。伊藤忠商事のICT分野における開発体制や販売網、並びにサービス提供や協業の実績を活用して、対象者所有の地理空間情報を活用した新規ソリューションの開発支援が行えるものと考えており、当該ソリューションを対象者並びに伊藤忠グループの顧客に提供することが可能と考えております。

 

(ⅲ)利益相反回避による対象者の利益最大化

 対象者は、親会社であるセコムと少数株主との間で構造的な利益相反の問題が存在することから、上場会社としての独立性を保つための慎重な対応が求められ、セコムによる経営資源の積極的な投入や経営基盤の活用にも一定の制約がありましたが、本取引により公開買付者らのみが株主となることで、対象者におけるより機動的で迅速な意思決定が可能となり、セコムによる経営資源の積極的な投入の実施も含めた中長期的な視点での成長戦略の検討及び実行が可能になると考えております。

 

 上記の背景、目的、期待するシナジーの効果を念頭に、2023年11月下旬、セコム及び伊藤忠商事は、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてSMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)を共同で選任し、また、セコムは、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した法務アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した第三者算定機関としてEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(以下「EY」といいます。)を、伊藤忠商事は、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した法務アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業を、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した第三者算定機関として株式会社KPMG FAS(以下「KPMG」といいます。)をそれぞれ選任の上、本取引に関する具体的な検討を開始するとともに、2023年12月8日、対象者に対して、対象者の株主をセコム及び伊藤忠商事又は伊藤忠商事以外の伊藤忠グループの会社のみとしたい旨の共同提案書を提出いたしました。

 これを受け対象者は、2023年12月8日にセコムへ提案書を受領した旨とアドバイザーの選定等必要な手続について検討する旨を伝え、2023年12月下旬に、本公開買付けにおける買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)の公正性その他の本取引の公正性を担保すべく、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した法務アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を、2023年12月下旬に公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)をそれぞれ選任するとともに、野村證券に対して対象者株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。

 また、対象者は、対象者がセコムの連結子会社であり、セコムとセコム以外の対象者の株主との間で構造的な利益相反の問題が存在すること等に鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載のとおり、2023年12月22日に、本取引の提案を検討するための本特別委員会(下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「① 設置等の経緯」で定義します。以下同じです。)を設置したとのことです。

 その後、対象者から、2023年12月22日に、セコム及び伊藤忠商事によるデュー・ディリジェンスを受け入れることとした旨の伝達を受けたことから、セコム及び伊藤忠商事は、本取引の実現可能性の精査のために2024年1月下旬から2024年4月上旬までの期間において、対象者に対してデュー・ディリジェンスを実施するとともに、対象者が2024年5月9日に「2024年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」を公表したことに伴って、2024年5月上旬から同月下旬にかけて追加的なデュー・ディリジェンスを実施し、並行して本取引の意義・目的や、本取引によって見込まれるシナジー等について検討を行いました。

 かかる検討の結果、セコム及び伊藤忠商事は、対象者との連携を深めることで上記のシナジーが実現可能であるとの考えに至ったことから、2024年8月7日、対象者に対して、本公開買付価格を1,900円(提案実施日の前営業日である同月6日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,485円に対して27.95%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,824円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じです。)に対して4.17%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,835円に対して3.54%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,859円に対して2.21%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の価格提案書(以下「第1回目提案書」といいます。)を提出いたしました。これに対して、対象者及び本特別委員会からは、2024年8月8日、第1回目提案書における本公開買付価格は、対象者の企業価値向上による将来的な株価上昇を期待する対象者の少数株主が本取引について納得できる十分な水準ではなく、本源的な価値を反映した価格水準を下回るものであり、対象者として初期的にも応募を推奨できる価格水準ではないとの結論に至ったとの理由で再検討の要請を受けました。これを受けて、セコム及び伊藤忠商事は、2024年8月13日、対象者に対して、本公開買付価格を2,030円(提案実施日の前営業日である同月9日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,631円に対して24.46%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,795円に対して13.09%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,817円に対して11.72%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,853円に対して9.55%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の価格提案書(以下「第2回目提案書」といいます。)を提出いたしました。これに対して、対象者及び本特別委員会からは、2024年8月16日、第2回目提案書における本公開買付価格は、対象者の企業価値向上による将来的な株価上昇を期待する対象者の少数株主が本取引について納得できる十分な水準ではなく、本源的な価値を反映した価格水準を下回るものであり、対象者として依然として応募を推奨できる価格水準ではないとの結論に至ったとの理由で再検討の要請を受けました。さらに、対象者及び本特別委員会からは、2024年8月22日、対象者は従来から決算説明会資料等においてパスコ中期経営計画の遂行によりPBR1.0倍以上を目指すことを株主に対して表明しており、対象者及び本特別委員会としては、PBRの基礎となる純資産としては本取引の完了日に近い当事業年度末の純資産を想定している旨の補足説明がなされました。これを受けて、セコム及び伊藤忠商事は、2024年8月26日、対象者に対して、改めて、本公開買付価格を2,075円(提案実施日の前営業日である同月23日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,613円に対して28.64%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,677円に対して23.73%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,772円に対して17.10%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,835円に対して13.08%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の価格提案書(以下「第3回目提案書」といいます。)を提出いたしました。これに対して、対象者及び本特別委員会からは、2024年8月26日、第3回目提案書における本公開買付価格は、対象者の株価推移及びプレミアム水準、対象者の本源的価値並びに対象者の1株当たり純資産についての対象者及び本特別委員会としての考え(すなわち、PBRの基礎となる純資産としては本取引の完了日に近い当事業年度末の純資産を想定している点)に照らせば、依然として対象者の少数株主に対して応募を推奨できる価格水準にはないとの結論に至ったとの理由で再検討の要請を受け、さらに2024年8月27日には、改めて、対象者及び本特別委員会としては、PBR1.0倍という水準や1株当たり純資産の株価水準についても重視している旨の補足説明がなされました。これを受けて、セコム及び伊藤忠商事は、2024年8月28日、対象者に対して、改めて、本公開買付価格を2,095円(提案実施日の前営業日である同月27日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,671円に対して25.37%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,648円に対して27.12%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,766円に対して18.63%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,831円に対して14.42%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の価格提案書(以下「第4回目提案書」といいます。)を提出いたしましたが、同日、対象者及び本特別委員会より、第4回目提案書における本公開買付価格についても、依然として対象者の少数株主に対して応募を推奨できる価格水準にはないとの結論に至ったとの理由で再検討の要請を受けました。そこで、セコム及び伊藤忠商事は、2024年9月2日、対象者に対して、最終提案として、本公開買付価格を2,140円(提案実施日の前営業日である2024年8月30日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,711円に対し25.07%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,638円に対し30.65%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,759円に対し21.66%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,826円に対し17.20%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の価格提案書(以下「本最終提案書」といいます。)を提出いたしました。その後、対象者及び本特別委員会より、同じく2024年9月2日、本公開買付価格を2,140円とすることに応諾する旨の連絡を受けるとともに、当該本公開買付価格を前提に、対象者として本取引に賛同し、対象者の株主に本取引にかかる公開買付けへの応募を推奨する方向で進めたいとの意向を受けました。

 

 以上のような協議・交渉を経て、セコム及び伊藤忠商事と対象者は、本公開買付価格を2,140円とすることで合意に至りました。そこで、セコム及び伊藤忠商事は、2024年9月5日、同日付で本共同公開買付契約を締結し(本共同公開買付契約の詳細については、下記「(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「① 本共同公開買付契約」をご参照ください。)、本取引の一環として、本公開買付けを実施することをそれぞれ決定し、また、ISフロンティアパートナーズは、2024年9月5日、セコムと共同して本公開買付けを実施することを決定するに至りました。

 

② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

(ⅰ)検討体制の構築の経緯

 対象者プレスリリースによれば、上記「① 本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、対象者は、2023年12月8日に、セコム及び伊藤忠商事から、対象者の株主をセコム及び伊藤忠商事又は伊藤忠商事以外の伊藤忠グループの会社のみとしたい旨の共同提案書を受領したとのことです。これを受け対象者は、2023年12月下旬に、本公開買付価格の公正性その他の本取引の公正性を担保すべく、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した法務アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を、2023年12月下旬に公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券をそれぞれ選任するとともに、野村證券に対して対象者株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。

 また、対象者は、対象者がセコムの連結子会社であり、セコムとセコム以外の対象者の株主との間で構造的な利益相反の問題が存在すること等に鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載のとおり、2023年12月22日に、本取引の提案を検討するための本特別委員会を設置したとのことです。なお、本特別委員会の委員の構成その他具体的な諮問事項等については、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。

 さらに、対象者は、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅴ)対象者における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、公開買付者ら及び伊藤忠商事から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を対象者の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性・公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会の承認を受けたとのことです。

 

(ⅱ)検討・交渉の経緯

 上記「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に記載の検討体制を構築した上で、対象者は、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が対象者に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向等を踏まえ、中村・角田・松本法律事務所、野村證券の助言を受けながら、セコム及び伊藤忠商事との間で複数回に亘る協議・検討を重ねた上で、本取引の妥当性について検討してきたとのことです。なお、以下の協議・検討過程においては、対象者は、随時、本特別委員会に対して報告を行い、本特別委員会により事前に確認された対応方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づき、対応を行っているとのことです。

 具体的には、対象者は、2023年12月8日にセコム及び伊藤忠商事より初期的な提案を受領した後、セコム及び伊藤忠商事からの提案の内容等について確認・検討を行い、セコム及び伊藤忠商事に対しては、2023年12月22日に、セコム及び伊藤忠商事によるデュー・ディリジェンスを受け入れることとした旨を伝達したとのことです。その後、対象者は、2024年1月下旬から2024年4月上旬の期間にかけてセコム及び伊藤忠商事によるデュー・ディリジェンスを受け入れた上で、さらにセコム及び伊藤忠商事との協議・交渉を継続したとのことです。具体的には、対象者は、2024年8月7日に、セコム及び伊藤忠商事から、本公開買付価格を1,900円(提案実施日の前営業日である同月6日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,485円に対して27.95%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,824円に対して4.17%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,835円に対して3.54%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,859円に対して2.21%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の第1回目提案書を受領したとのことです。これに対して、対象者及び本特別委員会からは、2024年8月8日、第1回目提案書における本公開買付価格は、対象者の企業価値向上による将来的な株価上昇を期待する対象者の少数株主が本取引について納得できる十分な水準ではなく、本源的な価値を反映した価格水準を下回るものであり、対象者として初期的にも応募を推奨できる価格水準ではないとの結論に至り、再検討の要請を行ったとのことです。これを受けて、対象者は、2024年8月13日、セコム及び伊藤忠商事より、本公開買付価格を2,030円(提案実施日の前営業日である同月9日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,631円に対して24.46%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,795円に対して13.09%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,817円に対して11.72%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,853円に対して9.55%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の第2回目提案書を受領したとのことです。これに対して、対象者及び本特別委員会からは、2024年8月16日、第2回目提案書における本公開買付価格は、対象者の企業価値向上による将来的な株価上昇を期待する対象者の少数株主が本取引について納得できる十分な水準ではなく、本源的な価値を反映した価格水準を下回るものであり、対象者として依然として応募を推奨できる価格水準ではないとの結論に至り、再検討の要請を行ったとのことです。さらに、対象者及び本特別委員会は、2024年8月22日、対象者は従来から決算説明会資料等においてパスコ中期経営計画の遂行によりPBR1.0倍以上を目指すことを株主に対して表明しており、対象者及び本特別委員会としては、PBRの基礎となる純資産としては本取引の完了日に近い当事業年度末の純資産を想定している旨の補足説明を行ったとのことです。これを受けて、対象者は、2024年8月26日、セコム及び伊藤忠商事より、改めて、本公開買付価格を2,075円(提案実施日の前営業日である同月23日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,613円に対して28.64%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,677円に対して23.73%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,772円に対して17.10%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,835円に対して13.08%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の第3回目提案書を受領したとのことです。これに対して、対象者及び本特別委員会は、2024年8月26日、第3回目提案書における本公開買付価格は、対象者の株価推移及びプレミアム水準、対象者の本源的価値並びに対象者の1株当たり純資産についての対象者及び本特別委員会としての考え(すなわち、PBRの基礎となる純資産としては本取引の完了日に近い当事業年度末の純資産を想定している点)に照らせば、依然として対象者の少数株主に対して応募を推奨できる価格水準にはないとの結論に至ったとの理由で再検討の要請を行い、さらに2024年8月27日には、改めて、対象者及び本特別委員会としては、PBR1.0倍という水準や1株当たり純資産の株価水準についても重視している旨の補足説明を行ったとのことです。これを受けて、対象者は、セコム及び伊藤忠商事より、2024年8月28日、改めて、本公開買付価格を2,095円(提案実施日の前営業日である同月27日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,671円に対して25.37%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,648円に対して27.12%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,766円に対して18.63%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,831円に対して14.42%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の第4回目提案書を受領したものの、同日、対象者及び本特別委員会は、第4回目提案書における本公開買付価格についても、依然として対象者の少数株主に対して応募を推奨できる価格水準にはないとの結論に至ったとの理由で再検討の要請を行ったとのことです。その後、対象者は、セコム及び伊藤忠商事より、2024年9月2日、最終提案として、本公開買付価格を2,140円(提案実施日の前営業日である2024年8月30日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,711円に対し25.07%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,638円に対し30.65%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,759円に対し21.66%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,826円に対し17.20%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の本最終提案書の提出を受けたとのことです。これに対して、対象者及び本特別委員会は、同じく2024年9月2日、セコム及び伊藤忠商事に対して、本公開買付価格を2,140円とすることに応諾する旨の連絡を行うとともに、当該本公開買付価格を前提に、対象者として本取引に賛同し、対象者の株主に本取引にかかる公開買付けへの応募を推奨する方向で進めたいとの意向を伝えたとのことです。以上のような協議・交渉を経て、セコム及び伊藤忠商事と対象者は、本公開買付価格を2,140円とすることで合意に至ったとのことです。なお、対象者及び本特別委員会としては、対象者の少数株主に最大限配慮した価格水準を目指すという交渉上の観点から、PBRの基礎となる純資産としては本取引の完了日に近い当事業年度末の純資産を想定している旨をセコム及び伊藤忠商事に補足説明を行う等しつつ最大限の交渉を行ってきたところ、本最終提案書における本公開買付価格(2,140円)については、対象者の直近四半期末である2024年6月30日時点の1株当たり連結純資産額(2,100円、小数点以下を四捨五入しております。)を上回っていることから、対象者の直近の1株当たり純資産を超える価格水準となり、PBRの観点からも合理性が認められる価格水準であると判断したとのことです。

 

 さらに、対象者は、中村・角田・松本法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む対象者取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2024年9月4日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けたとのことです(本答申書の概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。その上で、対象者は、中村・角田・松本法律事務所から受けた法的助言並びに野村證券から2024年9月5日付で取得した株式価値算定書(以下、野村證券から取得した株式価値算定書を「野村證券株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引を通じて対象者の企業価値を向上させることができるか、本取引は公正な手続を通じて行われることにより少数株主の享受すべき利益が確保されるものとなっているか等の観点から慎重に協議・検討を行ったとのことです。

 

(ⅲ)判断の内容

 以上の経緯の下で、対象者は、2024年9月5日開催の対象者取締役会において、中村・角田・松本法律事務所から受けた法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言並びに2024年9月5日付で野村證券から提出を受けた対象者株式に係る野村證券株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本取引が対象者の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討を行ったとのことです。

 その結果、以下のとおり、対象者としても、公開買付者らによる本取引を通じた対象者の非公開化が対象者の企業価値の向上に資するとの結論に至ったとのことです。

 

 対象者グループは、上記「① 本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の経営方針、経営理念及び経営ビジョンの下、航空測量会社として1953年の創業以来、技術力の向上と最新技術の導入・実用化に努め、常に未来を見据えた技術改革に取り組んできたとのことです。

 そうした中、2018年5月、「対象者の技術で何ができるのか」から「社会の課題解決のために何をすべきなのか」へ発想を転換し、きめ細かな戦略を展開するため、「パスコグループ中期経営計画 2018-2022」を策定、「持続的な企業成長に向けた利益体質への変革」をテーマに、事業戦略の転換、将来への投資を実施することを定め取り組んできたとのことです。その後、2019年12月に最初の感染者が報告された新型コロナウイルス感染症の影響による新たな社会様式への変化、2022年2月に開始されたウクライナ侵攻に端を発する資源価格上昇による物価高騰や円安等を背景とする民間企業や行政機関における業務効率化の必要性の高まり、自然災害の激甚化に伴う防災・減災対策や、公共インフラの老朽化対策のニーズの拡大等を背景として、持続可能な社会のために、民間企業や行政機関等のあらゆる組織においてAI・IoT・ICT等DXを活用した業務の効率化や省力化が推進され、地理空間情報技術が貢献できる事業領域は拡大しているとのことです。かかる中、対象者は、2023年8月7日に公表したパスコ中期経営計画において、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」ことを基本方針とし、既存事業の拡大・生産効率や品質の向上を図る「深化」、市場領域の拡大を図るとともに、継続契約型サービス事業の充実を目指す「伸化」、及び新たな事業構造に向けた活動を継続的に行い、革新的な商品やサービスを創出する「新化」という「3つの“しんか”」を掲げ、地理空間情報事業の拡大・成長を目指しているとのことです。

 対象者の競争優位性としては、①測量事業における業界最高峰のデータ収集能力と処理能力を有していると考えていること、②全国全都道府県に営業支店を配置した地方自治体への営業力、③衛星データの権利保持と衛星管制技術により可能となる技術対応力、さらに、④測量業界における豊富なGIS(注19)システム開発能力と導入実績等が挙げられるとのことです。一方で、対象者が今後更なる成長を目指す上では、(ア)経営環境の変化への対応、(イ)人材の確保・育成の2点が、対応を進めていく必要がある課題であると認識しているとのことです。(ア)については、対象者の事業構造の性格上、国及び地方自治体の施策、法令等の制定・変更、そして公共事業の予算動向により、対象者の経営成績が影響を受ける可能性があるとのことです。また、(イ)については、対象者の事業の継続と成長のためには、技術者を中心とする高度な専門能力や管理能力を有する人材の確保が必要不可欠であるとのことですが、人口減少や成長産業との人材獲得競争等の影響により人材の量的・質的不足が生じる場合、対象者の経営成績が影響を受ける可能性があるとのことです。

(注19) GISとは、地理空間情報システムの略であり、地理的な位置情報を収集、管理、分析、表示するためのシステムや技術を指すとのことです。

 

 対象者は、上記の対象者グループを取り巻く経営環境を踏まえ、本取引を通じて対象者が非公開化し、セコムと対象者の少数株主との間の構造的な利益相反関係を解消し、セコム及び伊藤忠商事による対象者グループへの更なる経営資源の投入を可能とすることで、機動的かつ着実な経営施策の実行を通じて、以下のようなシナジー創出を見込むことができ、対象者の更なる企業価値向上に資するとの結論に至ったとのことです。

 

(ア)「国内公共部門」の強化

 国や地方自治体等を顧客とする「国内公共部門」は、民間・衛星事業を含む対象者事業の基盤となる技術やノウハウが創出・蓄積されるとともに、2024年3月期における連結売上高の約9割を占める重要な部門となっているとのことです。当部門においては、高齢化・人口減少社会における社会インフラの維持管理や脱炭素に向けた取組み等が喫緊の社会的課題となっているとのことですが、対象者と伊藤忠商事が連携し、相互の強みを活かすことで、対象者が単独では実現が困難な、高度かつ広範なサービスを顧客へ提供することが可能となると考えているとのことです。特に、伊藤忠商事が実績を持つ官民連携によるインフラ包括管理事業や再生可能エネルギー関連事業(調査・計画)及び、対象者として実績を持つ森林関連事業等幅広い事業において、強みを発揮することができると考えているとのことです。

 

(イ)「国内民間部門」の拡大

 伊藤忠商事は大手総合商社として、繊維、機械、金属、エネルギー・化学品、食料、住生活、情報・金融の各分野において国内民間企業と幅広いビジネスを展開しております。「国内民間部門」においては、伊藤忠商事の事業開発体制や上記の分野における国内民間企業への販売網を活かした、対象者の民間企業向け主力商品である物流、マーケティング、不動産等の各種ソリューションやプロダクトの強化・拡販が期待できるとのことです。また、昨今、注目と期待が高まる宇宙関連ビジネスにおいては、伊藤忠商事との連携により、衛星データ活用領域の拡大やサービスの高度化等、事業の更なる拡大が考えられるとのことです。なお、衛星事業については、伊藤忠商事との連携により高度化・多様化したサービスを、対象者の顧客である国や地方自治体等へ提供することで、「国内公共部門」の強化にも寄与すると考えているとのことです。

 

(ウ)「海外部門」の発展

 「海外部門」においては、世界61ヶ国・約90の拠点(2024年6月30日時点)を持つ伊藤忠商事の海外ネットワークを通じた、対象者のエリアマーケティングやシステム開発をはじめとする「日系企業向けサービス」、資源探査・地盤変動監視・土地利用把握等の「衛星モニタリングサービス」、「先進運転支援システム(ADAS)事業の展開」等により、ASEANを中心とした販売拡大による事業の発展が想定されるとのことです。

 

(エ)新規事業の創出

 伊藤忠商事では、「ビジネス課題を起点としたDX」を基本思想に掲げ、出資先・協業先と「デジタル事業群」を形成しております。伊藤忠商事及びデジタル事業群の優れたテクノロジーやノウハウ、データ、システム開発体制や販売網、並びにサービス提供や協業の実績を活用し、スマートシティ関連事業や地理空間情報プラットフォーム事業、地理空間情報におけるAI活用等、地理空間情報をさらに高度に活用する新規サービスやプロダクトの創出が行えるものと考えているとのことです。さらに、生活消費関連にも強みを持つ伊藤忠商事の消費者接点を活かし、対象者の地理空間情報技術と組み合わせることで、社会活動や消費行動をより忠実に反映した地理空間情報分析等の新規事業を展開することも可能と考えており、対象者との協働によるシナジーを期待できると考えているとのことです。対象者は、これまでもセコムと新規事業の創出に向けて協働してまいりましたが、本取引後においてはセコムグループの顧客基盤を活用することで伊藤忠商事も含めた新規事業の創出・拡販につなげることができると考えているとのことです。また、伊藤忠商事の持つベンチャーキャピタルネットワークを活用した、新規ソリューション開発や獲得に資するM&A・事業提携の検討によって、インオーガニックな成長(注20)ができるものと考えているとのことです。

(注20) インオーガニックな成長とは、他社との資本・業務提携や他社の買収(M&A)等を通じた非連続な成長を指します。

 

(オ)中長期的な成長戦略の実行及び意思決定の迅速化

 これまで対象者は上場会社として、対象者の少数株主の利益を尊重し、対象者としての独立性の確保に努めてきたとのことです。このため、セコムの経営資源を共通活用することについては、セコムと少数株主との利益相反及び独立性確保の懸念が存在していたとのことです。本取引後においては、そのようなセコムと少数株主の間の利益相反や独立性確保のための制約を回避しつつ、中長期的な成長の観点から必要なセコム及び伊藤忠商事との連携及び経営資源の効率的活用、積極的な投資を迅速かつ円滑に行うことを通じて、対象者を含むセコムグループの中長期的な企業価値向上を図ることができると考えているとのことです。

 

(カ)上場維持コスト及び関連する業務負担軽減

 対象者株式の上場廃止により、コーポレートガバナンス・コード等への対応を含めた近時の上場維持に係る業務負担や、有価証券報告書等の継続的な情報開示、監査、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用に代表される上場維持に要する費用の削減が見込まれるとのことです。また、本取引を通じて、更なる事業成長への経営資源集中を図ることが可能になると考えているとのことです。

 

 なお、対象者が本取引を通じて非公開化されることによるデメリットとして、上場企業としてのブランド力低下に伴う取引先その他のステークホルダーへの影響や従業員のモチベーション低下の可能性が考えられるとのことですが、セコム及び伊藤忠商事は、いずれも上場会社であり高い社会的信用及び認知度を有していることから、対象者が本取引を通じて非公開化されることが、対象者の社会的信用や社員のモチベーションに悪影響を与える可能性は低いと考えているとのことです。また、セコム及び伊藤忠商事としては、対象者の経営体制等については、今後、対象者との間で協議していく方針であること、本公開買付け後において対象者従業員の現行の雇用・処遇を維持する方針であること等を踏まえ、対象者としては、対象者が本取引を通じて非公開化されることは、対象者グループの取引先、従業員、その他のステークホルダーにおいて受け入れられると考えているとのことです。

 また、対象者は、以下の点等から、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は妥当であり、本公開買付けは、対象者の株主の皆様に対して、合理的な対象者株式の売却の機会を提供するものであると判断したとのことです。

 

(ア)本公開買付価格は、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅳ)対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている野村證券による対象者株式に係る株式価値算定結果において、市場株価平均法による算定結果の上限を上回っており、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果の範囲内であること。

 

(イ)本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2024年9月4日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値の1,629円に対して31.37%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,618円に対して32.26%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,752円に対して22.15%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,822円に対して17.45%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であり、当該プレミアム水準は、2021年以降に公表され、かつ、2024年9月4日までに成立した、親会社による国内の上場子会社の非公開化を企図した公開買付けの事例40件(プレミアム水準の平均値は、公表日の前営業日が43.19%、直近1ヶ月間が45.19%、直近3ヶ月間が42.92%、直近6ヶ月間が40.52%であり、プレミアム水準の中央値は、公表日の前営業日が44.28%、直近1ヶ月間が44.01%、直近3ヶ月間が42.79%、直近6ヶ月間が40.91%。)と比較すると、同種案件と比較して若干劣るプレミアム水準と言わざるを得ないものの、プレミアム水準は個別案件の多様な要因によって変動するため、同種案件との単純比較のみに依拠して当否を評価することは適切でないと考えられること。

 

(ウ)下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が講じられており、対象者の少数株主の利益への配慮がなされていると認められること。

 

(エ)当該措置が講じられた上で、対象者並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事から独立した本特別委員会の実質的な関与の下、セコム及び伊藤忠商事との間で真摯かつ継続的に協議・交渉を重ねた結果として提案された価格であること。

 

(オ)対象者における独立した本特別委員会から取得した本答申書において、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本公開買付価格を含む本取引の取引条件の妥当性は確保されていると判断されていること。

 

 加えて、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅶ)本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保」に記載のとおり、対象者は、セコム及び伊藤忠商事が対象者との間で、対象者が公開買付者ら以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」といいます。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が対象者との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととしていること、及び、本公開買付けに係る買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)について、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日としていること等に鑑みれば、本取引に係る本公開買付価格以外の取引条件についても、本公開買付けの公正性の担保に配慮したものであり、妥当なものであると考えているとのことです。

 以上より、対象者は、2024年9月5日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしたとのことです。なお、上記対象者取締役会における決議の方法は、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅵ)対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。

 

③ 本公開買付け後の経営方針

 セコム及び伊藤忠商事は、上記「① 本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のシナジーを着実に発現させるべく、セコムグループ、伊藤忠グループ及び対象者グループの連携を加速させてまいります。

 また、セコム及び伊藤忠商事は、対象者グループの共同運営等に関して、2024年9月5日付で株主間契約(以下「本株主間契約」といいます。)を締結しており、本株主間契約において、本株式併合の効力発生日以降、(ⅰ)対象者の取締役の員数を12名以内とし、セコムが9名、伊藤忠商事が3名、それぞれ指名することができる旨、及び(ⅱ)セコムが代表取締役社長1名を指名することができる旨を合意しておりますが、その具体的な候補者については、本書提出日現在においては未定です。また、セコム及び伊藤忠商事は、本株主間契約において、本取引完了後、(ⅲ)対象者の監査役会を廃止して監査役の員数を3名以内とし、セコムが2名、伊藤忠商事が1名、それぞれ指名することができる旨を合意しております。その他、本公開買付け後の対象者の経営体制については、現時点で決定している事項はなく、今後、セコム及び伊藤忠商事と対象者との間で協議してまいります。なお、セコム及び伊藤忠商事は、現時点において、対象者の商号やブランドを変更する予定や、本取引の実施に伴う対象者グループの従業員の雇用条件の変更を行う予定はございません。

 本株主間契約の概要については、下記「(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 本株主間契約」をご参照ください。

 

(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

 公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者は、対象者が本書提出日現在においてセコムの連結子会社であり、本公開買付けを含む本取引が対象者における支配株主との重要な取引等に該当し、また、セコムとセコム以外の対象者の株主との間に構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在する取引に該当することに鑑み、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けを含む本取引に関する意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。

 なお、上記「(1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、セコムは、本書提出日現在、対象者株式を10,316,800株(所有割合:71.66%)所有しているため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する対象者の少数株主の利益に資さない可能性もあると考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限は設定しておりませんが、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者において、以下の(ⅰ)乃至(ⅶ)の措置を実施していることから、対象者の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えております。また、以下の記載のうち対象者において実施した措置等については、対象者プレスリリース及び対象者から受けた説明に基づくものです。

 

(ⅰ)セコム及び伊藤忠商事における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

(ⅲ)対象者における独立した法律事務所からの助言の取得

(ⅳ)対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

(ⅴ)対象者における独立した検討体制の構築

(ⅵ)対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見

(ⅶ)本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

 

 以上の詳細につきましては、下記「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」をご参照ください。

 

(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

 公開買付者らは、上記「(1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにおいて公開買付者らが対象者株式の全て(但し、セコムが所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付け成立後、以下の方法により、対象者の株主を公開買付者らのみとするための一連の手続を実施することを予定しております。

 公開買付者らは、本公開買付けの決済の完了後速やかに、対象者に対し、会社法第180条に基づき対象者株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を2024年12月中旬を目途に開催することを要請する予定です。また、対象者プレスリリースによれば、本書提出日現在、対象者は、公開買付者らの要請に応じ本臨時株主総会を開催する予定であるとのことです。なお、公開買付者らは、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定です。

 本臨時株主総会において本株式併合の議案について承認された場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、対象者の株主は、本臨時株主総会において承認された本株式併合の割合に応じた数の対象者株式を所有することとなります。本株式併合を実施することにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた対象者の株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する対象者株式を対象者又は公開買付者らに売却すること等によって得られる金銭が交付されることになります。公開買付者らは、当該端数の合計数に相当する対象者株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった対象者の各株主に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた対象者株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを対象者に要請する予定です。本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、対象者の株主の皆様は、対象者に対してその所有する対象者株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して対象者株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められております。当該申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなります。

 なお、本株式併合の併合比率は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者らは、対象者に対して、本株式併合後における対象者の発行済株式総数が4株、本株式併合後におけるセコムの所有する対象者株式の数が3株、また、本株式併合により対象者株式に生じる1株に満たない端数の合計数が1株となるよう併合比率の設定を要請する予定です。かかる併合比率は、セコムを除く全ての対象者の株主の所有する対象者株式の数が本株式併合により1株に満たない端数となること、本株式併合により対象者株式に生じる1株に満たない端数の合計数が1株以上となること、セコムが所有する対象者株式に生じる1株に満たない端数を最小化すること及び本株式併合により生じた端数の合計数はISフロンティアパートナーズに売却することを前提に、当該売却の結果、セコムの所有する対象者株式の数を3株、ISフロンティアパートナーズの所有する対象者株式の数を1株とし、セコム及びISフロンティアパートナーズが有する対象者株式に係る議決権の比率をそれぞれ75%及び25%とすることを意図したものです。但し、本公開買付けにおける応募株券等の総数が480,941株(所有割合:3.34%)未満の場合(この場合、セコムが応募株券等の全部の買付け等を行います。)、本株式併合により生じた端数の合計数は対象者が取得することとし、当該取得後に、対象者株式について株式分割を行った上で、対象者よりセコム及びISフロンティアパートナーズに対して第三者割当増資を行う方法により、セコム及びISフロンティアパートナーズが有する対象者株式に係る議決権の比率がそれぞれ75%及び25%となるように調整する予定です(但し、かかる調整手続の実施時期及びそれらの詳細については本書提出日現在未定です。)。なお、上記はいずれも本書提出日現在における公開買付者らにおける想定であり、実際の併合比率は、本株式併合の具体的な条件を決定する時点における事実関係を踏まえた対象者との協議を経て決定されるため、本書提出日以降の予期せぬ事態の発生等により、上記の想定と異なる併合比率が決定される可能性があります。

 なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における対象者の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、対象者の株主の皆様が自らの責任にて税務専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

 

(5)上場廃止となる見込み及びその事由

 対象者株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場されておりますが、公開買付者らは、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従って、対象者株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けが成立し、その後上記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、対象者の株主を公開買付者らのみとするための一連の手続を実施することを予定しておりますので、その場合、対象者株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、対象者株式が上場廃止となった後は、対象者株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできません。

 

(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項

① 本共同公開買付契約

 セコム及び伊藤忠商事は、上記「(1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、2024年9月5日付で、本取引に関して、大要、以下の内容を含む本共同公開買付契約を締結しております。

(ⅰ)公開買付者らが共同して本公開買付けを実施すること

(ⅱ)本公開買付けを実施し、本公開買付けにおいて対象者株式の全て(但し、セコムが所有する対象者株式及び対象者が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合、本スクイーズアウト手続を実施すること

(ⅲ)本公開買付け実施後にセコムの所有する対象者株式が10,797,741株(所有割合:75.01%)(本書提出日現在においてセコムが所有する10,316,800株に480,941株(所有割合:3.34%)を加えた株式数)未満である場合には、セコム及びISフロンティアパートナーズの議決権保有比率をそれぞれ75%及び25%とすることを目的として、本株式併合後、対象者における株式分割及び第三者割当増資を通じた持分調整手続を行うこと

(ⅳ)(ⅲ)に記載の持分調整手続の完了まで、相手方の承諾なく自らが保有する対象者株式の譲渡等を行わないこと

(ⅴ)(ⅲ)に記載の持分調整手続の完了まで、本共同公開買付契約及び本株主間契約の趣旨乃至本取引の目的に反する行為を行わないこと

 

② 本株主間契約

 セコム及び伊藤忠商事は、上記「(1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、2024年9月5日付で、対象者グループの共同運営等に関して、大要、以下の内容を含む本株主間契約を締結しております。なお、本株主間契約の各条項は、一般条項等の一部条項を除き、本株式併合の効力発生日に効力が生じることとされております。

(ⅰ)機関設計

 本株式併合の効力発生日以降、対象者は、取締役会、監査役及び会計監査人設置会社とする。

(ⅱ)取締役

 本株式併合の効力発生日以降、(ア)対象者の取締役の員数は12名以下とし、セコムが9名、伊藤忠商事が3名、それぞれ指名することができ、また、(イ)セコムが代表取締役社長1名を指名することができる。

(ⅲ)監査役

 本株式併合の効力発生日以降、監査役の員数を3名以内とし、セコムが2名、伊藤忠商事が1名、それぞれ指名することができる。

(ⅳ)事前同意事項

 本株式併合の効力発生日以降、対象者が一定の事項(定款の変更、増資又は減資、社債の発行、事業再編行為全般、事業の全部若しくは一部の譲渡又は譲受け、経営計画の策定、セコム若しくはその子会社又はそれらの役員との取引に係る契約等の締結・変更・終了、対象者株式に係るセコム及びISフロンティアパートナーズの議決権保有比率をそれぞれ75%及び25%から変更させることとなる一切の行為等)を決定し、又は行おうとする場合、セコム及び伊藤忠商事の事前の同意取得を要する。

(ⅴ)対象者株式の取扱い

 本株式併合の効力発生日以降、セコム及び伊藤忠商事は、本株主間契約の締結日から5年が経過する日までの期間において、原則として、その所有する対象者株式(伊藤忠商事についてはISフロンティアパートナーズが所有する対象者株式)の譲渡が禁止されるが、当該期間経過後は、譲渡を希望する対象者株式の買取りに向けた交渉機会を相手方(セコムが譲渡しようとする場合には伊藤忠商事、ISフロンティアパートナーズが譲渡しようとする場合にはセコム)に優先的に付与することを条件に譲渡が可能となる。

 

4【買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数】

(1)【買付け等の期間】

①【届出当初の期間】

買付け等の期間

2024年9月6日(金曜日)から2024年10月22日(火曜日)まで(30営業日)

公告日

2024年9月6日(金曜日)

公告掲載新聞名

電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。

(電子公告アドレス https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/)

 

②【対象者の請求に基づく延長の可能性の有無】

 該当事項はありません。

 

③【期間延長の確認連絡先】

 該当事項はありません。

 

(2)【買付け等の価格】

株券

普通株式1株につき、金2,140円

新株予約権証券

新株予約権付社債券

株券等信託受益証券

(     )

株券等預託証券

(     )

算定の基礎

 セコムは、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した第三者算定機関であるEYに対して、対象者株式の価値算定を依頼いたしました。なお、EYは公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有しておりません。

 

 EYは、複数の株式価値算定手法の中から対象者株式の価値算定にあたり、採用すべき算定手法を検討の上、対象者が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、将来の事業活動の状況を価値算定に反映するためにDCF法を用いて対象者株式の価値算定を行い、セコムは、EYから2024年9月4日付で株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(EY)」といいます。)を取得しました(注1)。なお、セコムは、下記「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載のとおり、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者において本公開買付けの公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、EYから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

 

 本株式価値算定書(EY)によると、採用した算定手法及び当該算定手法に基づいて算定された対象者株式1株当たりの価値の範囲は、それぞれ以下のとおりです。

 

市場株価法:1,618円から1,822円

 

DCF法 :1,982円から2,561円

 

 

 

 市場株価法においては、2024年9月4日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の基準日終値1,629円、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,618円、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,752円及び同過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,822円を基に、対象者株式1株当たりの価値の範囲を1,618円から1,822円と算定しております。

 

 

 

 DCF法では、対象者より提示された2025年3月期から2029年3月期までの事業計画を基礎とし、直近までの業績の動向、公開買付者らが2024年1月下旬から2024年4月上旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果、2024年5月上旬から同月下旬にかけて実施した追加的なデュー・ディリジェンスの結果及び一般に公開された情報等の諸要素を考慮してセコムが修正を加えた対象者の将来の財務予測に基づき、対象者が2025年3月期第2四半期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引くことにより、対象者株式1株当たりの価値の範囲を1,982円から2,561円と算定しております。なお、DCF法で前提とした財務予測においては、大幅な増減益が見込まれている事業年度はありません。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であったため、反映しておりません。

 

 

 

 伊藤忠商事は、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した第三者算定機関であるKPMGに対して、対象者株式の価値算定を依頼いたしました。なお、KPMGは公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有しておりません。

 

 KPMGは、複数の株式価値算定手法の中から対象者株式の価値算定にあたり、採用すべき算定手法を検討の上、対象者が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて対象者株式の価値算定を行い、伊藤忠商事は、KPMGから2024年9月4日付で株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(KPMG)」といいます。)を取得しました(注2)。なお、伊藤忠商事は、下記「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載のとおり、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者において本公開買付けの公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、KPMGから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

 

 本株式価値算定書(KPMG)によると、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された対象者株式1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。

 

市場株価法:1,618円から1,822円

 

DCF法 :2,087円から2,679円

 

 

 

 市場株価法においては、2024年9月4日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の基準日終値1,629円、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,618円、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,752円及び同過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,822円を基に、対象者株式1株当たりの価値の範囲を1,618円から1,822円と算定しております。

 

 DCF法では、対象者より提示された2025年3月期から2029年3月期までの事業計画を基礎とし、直近までの業績の動向、公開買付者らが2024年1月下旬から2024年4月上旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果、2024年5月上旬から同月下旬にかけて実施した追加的なデュー・ディリジェンスの結果及び一般に公開された情報等の諸要素を考慮して伊藤忠商事が修正を加えた対象者の将来の財務予測に基づき、対象者が2025年3月期第2四半期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引くことにより、対象者株式1株当たりの価値の範囲を2,087円から2,679円と算定しております。なお、DCF法で前提とした事業計画においては、大幅な増減益が見込まれている事業年度はありません。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であったため、反映しておりません。

 

 

 

 セコム及び伊藤忠商事は、EY及びKPMGから2024年9月4日にそれぞれ取得した本株式価値算定書(EY)及び本株式価値算定書(KPMG)の算定結果に加え、2024年1月下旬から2024年4月上旬までの期間において対象者に対して実施したデュー・ディリジェンスの結果及び2024年5月上旬から同月下旬にかけて実施した追加的なデュー・ディリジェンスの結果、対象者取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、対象者株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、対象者との協議・交渉の結果等も踏まえ、2024年9月5日付で、本公開買付価格を2,140円とすることを決定いたしました。

 

 

 

 本公開買付価格2,140円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2024年9月4日の対象者株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値1,629円に対して31.37%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,618円に対して32.26%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,752円に対して22.15%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,822円に対して17.45%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となります。また、本公開買付価格2,140円は、本書提出日の前営業日である2024年9月5日の対象者株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値1,657円に対して29.15%のプレミアムを加えた価格となります。

算定の経緯

(本公開買付価格の決定に至る経緯)

 

 上記「3 買付け等の目的」の「(2)本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2023年11月下旬、セコム及び伊藤忠商事は、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザーとしてSMBC日興証券を共同で選任し、また、セコムは、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した法務アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した第三者算定機関としてEYを、伊藤忠商事は、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した法務アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業を、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した第三者算定機関としてKPMGをそれぞれ選任の上、本取引に関する具体的な検討を開始するとともに、2023年12月8日、対象者に対して、対象者の株主をセコム及び伊藤忠商事又は伊藤忠商事以外の伊藤忠グループの会社のみとしたい旨の共同提案書を提出いたしました。

 

 

 

 これを受け対象者は、上記「3 買付け等の目的」の「(2)本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「① 本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2023年12月8日にセコムへ提案書を受領した旨とアドバイザーの選定等必要な手続について検討する旨を伝え、2023年12月下旬に、本公開買付価格の公正性その他の本取引の公正性を担保すべく、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した法務アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を、2023年12月下旬に公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券をそれぞれ選任するとともに、野村證券に対して対象者株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。

 

 

 

 また、対象者は、対象者がセコムの連結子会社であり、セコムとセコム以外の対象者の株主との間で構造的な利益相反の問題が存在すること等に鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、本「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載のとおり、2023年12月22日に、本取引の提案を検討するための本特別委員会を設置したとのことです。

 

 その後、対象者から、2023年12月22日に、セコム及び伊藤忠商事によるデュー・ディリジェンスを受け入れることとした旨の伝達を受けたことから、セコム及び伊藤忠商事は、本取引の実現可能性の精査のために2024年1月下旬から2024年4月上旬までの期間において、対象者に対してデュー・ディリジェンスを実施するとともに、対象者が2024年5月9日に「2024年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」を公表したことに伴って、2024年5月上旬から同月下旬にかけて追加的なデュー・ディリジェンスを実施し、並行して本取引の意義・目的や、本取引によって見込まれるシナジー等について検討を行いました。

 

 

 

 かかる検討の結果、セコム及び伊藤忠商事は、対象者との連携を深めることで上記のシナジーが実現可能であるとの考えに至ったことから、2024年8月7日、対象者に対して、本公開買付価格を1,900円(提案実施日の前営業日である同月6日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,485円に対して27.95%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,824円に対して4.17%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,835円に対して3.54%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,859円に対して2.21%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の第1回目提案書を提出いたしました。これに対して、対象者及び本特別委員会からは、2024年8月8日、第1回目提案書における本公開買付価格は、対象者の企業価値向上による将来的な株価上昇を期待する対象者の少数株主が本取引について納得できる十分な水準ではなく、本源的な価値を反映した価格水準を下回るものであり、対象者として初期的にも応募を推奨できる価格水準ではないとの結論に至ったとの理由で再検討の要請を受けました。これを受けて、セコム及び伊藤忠商事は、2024年8月13日、対象者に対して、本公開買付価格を2,030円(提案実施日の前営業日である同月9日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,631円に対して24.46%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,795円に対して13.09%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,817円に対して11.72%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,853円に対して9.55%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の第2回目提案書を提出いたしました。これに対して、対象者及び本特別委員会からは、2024年8月16日、第2回目提案書における本公開買付価格は、対象者の企業価値向上による将来的な株価上昇を期待する対象者の少数株主が本取引について納得できる十分な水準ではなく、本源的な価値を反映した価格水準を下回るものであり、対象者として依然として応募を推奨できる価格水準ではないとの結論に至ったとの理由で再検討の要請を受けました。さらに、対象者及び本特別委員会からは、2024年8月22日、対象者は従来から決算説明会資料等においてパスコ中期経営計画の遂行によりPBR1.0倍以上を目指すことを株主に対して表明しており、対象者及び本特別委員会としては、PBRの基礎となる純資産としては本取引の完了日に近い当事業年度末の純資産を想定している旨の補足説明がなされました。これを受けて、セコム及び伊藤忠商事は、2024年8月26日、対象者に対して、改めて、本公開買付価格を2,075円(提案実施日の前営業日である同月23日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,613円に対して28.64%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,677円に対して23.73%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,772円に対して17.10%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,835円に対して13.08%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の第3回目提案書を提出いたしました。これに対して、対象者及び本特別委員会からは、2024年8月26日、第3回目提案書における本公開買付価格は、対象者の株価推移及びプレミアム水準、対象者の本源的価値並びに対象者の1株当たり純資産についての対象者及び本特別委員会としての考え(すなわち、PBRの基礎となる純資産としては本取引の完了日に近い当事業年度末の純資産を想定している点)に照らせば、依然として対象者の少数株主に対して応募を推奨できる価格水準にはないとの結論に至ったとの理由で再検討の要請を受け、さらに2024年8月27日には、改めて、対象者及び本特別委員会としては、PBR1.0倍という水準や1株当たり純資産の株価水準についても重視している旨の補足説明がなされました。これを受けて、セコム及び伊藤忠商事は、2024年8月28日、対象者に対して、改めて、本公開買付価格を2,095円(提案実施日の前営業日である同月27日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,671円に対して25.37%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,648円に対して27.12%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,766円に対して18.63%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,831円に対して14.42%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の第4回目提案書を提出いたしましたが、同日、対象者及び本特別委員会より、第4回目提案書における本公開買付価格についても、依然として対象者の少数株主に対して応募を推奨できる価格水準にはないとの結論に至ったとの理由で再検討の要請を受けました。そこで、セコム及び伊藤忠商事は、2024年9月2日、対象者に対して、最終提案として、本公開買付価格を2,140円(提案実施日の前営業日である2024年8月30日の東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の終値1,711円に対し25.07%のプレミアムを加えた金額、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,638円に対し30.65%のプレミアムを加えた金額、過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,759円に対し21.66%のプレミアムを加えた金額、過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,826円に対し17.20%のプレミアムを加えた金額となります。)とする旨の本最終提案書を提出いたしました。その後、対象者及び本特別委員会より、同じく2024年9月2日、本公開買付価格を2,140円とすることに応諾する旨の連絡を受けるとともに、当該本公開買付価格を前提に、対象者として本取引に賛同し、対象者の株主に本取引にかかる公開買付けへの応募を推奨する方向で進めたいとの意向を受けました。

 

 

 

 以上のような協議・交渉を経て、セコム及び伊藤忠商事と対象者は、本公開買付価格を2,140円とすることで合意に至りました。そこで、セコム及び伊藤忠商事は、2024年9月5日、同日付で本共同公開買付契約を締結し、本取引の一環として、本公開買付けを実施することをそれぞれ決定し、また、ISフロンティアパートナーズは、2024年9月5日、セコムと共同して本公開買付けを実施することを決定するに至りました。

 

 

 

(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)

 

 公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者は、対象者が本書提出日現在においてセコムの連結子会社であり、本公開買付けを含む本取引が対象者における支配株主との重要な取引等に該当し、また、セコムとセコム以外の対象者の株主との間に構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在する取引に該当することに鑑み、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けを含む本取引に関する意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。

 

 なお、上記「3 買付け等の目的」の「(1)本公開買付けの概要」に記載のとおり、セコムは、本書提出日現在、対象者株式を10,316,800株(所有割合:71.66%)所有しているため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する対象者の少数株主の利益に資さない可能性もあると考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限は設定しておりませんが、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者において、以下の(ⅰ)乃至(ⅶ)の措置を実施していることから、対象者の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えております。

 

 また、以下の記載のうち対象者において実施した措置等については、対象者プレスリリース及び対象者から受けた説明に基づくものです。

 

 

 

(ⅰ)セコム及び伊藤忠商事における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 

 セコムは、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した第三者算定機関であるEYに対象者株式の価値算定を依頼し、2024年9月4日付でEYから本株式価値算定書(EY)を取得いたしました。セコムがEYから取得した対象者株式の価値算定結果に関する本株式価値算定書(EY)の詳細については、上記「算定の基礎」をご参照ください。

 

 伊藤忠商事は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者ら及び伊藤忠商事並びに対象者から独立した第三者算定機関であるKPMGに対象者株式の価値算定を依頼し、2024年9月4日付でKPMGから本株式価値算定書(KPMG)を取得いたしました。伊藤忠商事がKPMGから取得した対象者株式の価値算定結果に関する本株式価値算定書(KPMG)の詳細については、上記「算定の基礎」をご参照ください。

 

 

 

(ⅱ)対象者における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

 

① 設置等の経緯

 

 対象者プレスリリースによれば、対象者は、2023年12月22日、対象者がセコムの連結子会社であり、本取引が支配株主との重要な取引等に該当することを踏まえ、対象者の意思決定に慎重を期し、また、対象者取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保する観点から、対象者並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事からの独立性が高い外部の有識者を含む委員によって構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)(本特別委員会の委員としては、社外有識者の後藤高志氏(弁護士、潮見坂綜合法律事務所)及び対象者の独立社外取締役の高村守氏並びに対象者の独立社外取締役の中里孝之氏を選定しているとのことです。)を設置したとのことです。

 

 

 

 そして、対象者は、本特別委員会に対して、(ア)本取引の目的は正当性・合理性を有するか(本取引が対象者の企業価値向上に資するかを含む。)、(イ)本取引の条件(本公開買付けにおける買付け等の価格を含む。)の公正性・妥当性が確保されているか、(ウ)本取引において、公正な手続を通じた対象者の株主の利益への十分な配慮がなされているか、(エ)上記(ア)から(ウ)までのほか、本取引についての決定(対象者が本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決定することを含む。)が対象者の少数株主にとって不利益なものでないと考えられるか、(オ)対象者取締役会が本公開買付けに賛同し対象者の株主に応募を推奨する旨の意見表明を行うことの是非(総称して、以下「本諮問事項」といいます。)について諮問したとのことです。

 

 また、対象者取締役会は2023年12月22日に、本特別委員会の設置にあたり、(ア)本特別委員会は、諮問事項の検討にあたって、必要に応じ、財務若しくは法務等に関する独自のアドバイザーを選任できるほか(この場合の費用は対象者が負担する。)、対象者の財務若しくは法務等に関するアドバイザーを指名し若しくは承認(事後承認を含む。)することができ、対象者のアドバイザーの独立性及び専門性に問題がないことを確認した場合には、対象者のアドバイザーに対して専門的助言を求めることができること、(イ)本取引に関する対象者取締役会の意思決定は本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとし、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、対象者取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないものとすること、(ウ)本特別委員会に対して、適切な判断を確保するために、対象者の取締役、従業員その他特別委員会が必要と認める者に本特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求める権限を付与すること、(エ)本特別委員会に対して、本取引の取引条件等に関する対象者による交渉について事前に方針を確認し、適時にその状況の報告を受け、意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、本取引の取引条件等に関する交渉過程に実質的に関与するとともに、必要に応じて自ら直接交渉を行う権限を付与すること、(オ)その他、本特別委員会が本取引に関する検討及び判断に際して必要と認める事項について権限を付与することを決議しているとのことです。

 

 

 

② 検討の経緯

 

 対象者プレスリリースによれば、本特別委員会は、2024年1月17日より2024年9月4日まで合計14回開催され、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を行っているとのことです。

 

 具体的には、本特別委員会は、まず、2024年1月17日に、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券、並びに対象者の法務アドバイザーである中村・角田・松本法律事務所について、その独立性及び専門性等に問題がないことを確認しているとのことです。

 

 さらに、本特別委員会は、下記「(ⅴ)対象者における独立した検討体制の構築」に記載のとおり対象者が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びその職務を含むとのことです。)に、独立性及び公正性の観点から問題がないことを確認しているとのことです。

 

 また、本特別委員会は、対象者事業計画について、対象者からその内容、重要な前提条件及び作成経緯等について説明を受けるとともに、これらの事項について合理性を確認し、承認しているとのことです。

 

 本特別委員会は、対象者から、本取引の目的や意義、対象者事業に対する影響等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を実施し、セコム及び伊藤忠商事に対して質問事項を提示し、セコム及び伊藤忠商事に対して、本取引を実施する背景・目的、本取引後の対象者の経営方針・ガバナンス等、本取引の手続・条件等について、本特別委員会においてセコム及び伊藤忠商事から直接説明を受け、質疑応答を行っているとのことです。

 

 

 

③ 判断内容

 

 対象者プレスリリースによれば、本特別委員会は、上記の協議及び検討の内容を踏まえ、本諮問事項について慎重に協議及び検討を行った結果、2024年9月4日付で、対象者取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の本答申書を提出しているとのことです。

 

 

 

(a)答申の内容

 

・本取引は対象者の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は正当性・合理性を有する

 

・本取引の条件(本公開買付価格を含む。)には公正性・妥当性が確保されている。

 

・本取引において、公正な手続を通じて対象者の少数株主の利益への十分な配慮がなされている。

 

・本取引についての決定(対象者が本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主に対し、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決定することを含む。以下同じ。)は対象者の少数株主にとって不利益なものでない。

 

・対象者取締役会が本公開買付けに賛同し対象者の株主に応募を推奨する旨の意見表明を行うことは相当である。

 

 

 

(b)答申の理由

 

ⅰ.本取引の目的は正当性・合理性を有するか(本取引が対象者の企業価値向上に資するかを含む)

 

(対象者の事業環境及び経営課題)

 

・新型コロナウイルス感染症の影響による新たな社会様式への変化、2022年2月に開始されたウクライナ侵攻に端を発する資源価格上昇による物価高騰や円安等を背景とする民間企業や行政機関における業務効率化の必要性の高まり、自然災害の激甚化に伴う防災・減災対策や、公共インフラの老朽化対策のニーズの拡大等を背景として、持続可能な社会のために、民間企業や行政機関等のあらゆる組織においてAI・IoT・ICT等DXを活用した業務の効率化や省力化が推進され、地理空間情報技術が貢献できる事業領域は拡大している。

 

・このような事業環境下において対象者は、2023年8月7日に2024年3月期から2026年3月期の3ヶ年を計画年度とするパスコ中期経営計画を公表した。パスコ中期経営計画では、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」ことを基本方針とし、後記の「3つの“しんか”」を掲げ、地理空間情報事業の拡大・成長を目指している。また対象者は、パスコ中期経営計画の最終年度である2026年3月期の数値目標として、連結売上高600億円以上、連結営業利益率8.0%以上及びROE(自己資本利益率)10.0%以上を掲げた。

 

・パスコ中期経営計画の初年度である2024年3月期の連結売上高及び連結営業利益は、国内民間部門における車両搭載型レーザーによる測量業務等の減少、人員増及び賃上げの影響に伴う人件費の増加に起因して前期対比で減収減益となったものの、前述したパスコ中期経営計画の数値目標は達成している状況にある。このような状況下において対象者は、引き続きパスコ中期経営計画の最終年度における数値目標を維持するとともに、2024年3月期におけるPBRが1.0倍未満であることを踏まえ、パスコ中期経営計画の確実な遂行によりPBR1.0倍以上を目指す旨を公表した。

 

・一方で対象者は、対象者が今後更なる成長を目指す上での経営課題として、(ア)経営環境の変化への対応、(イ)人材の確保・育成の2点を認識している。具体的には、(ア)については、対象者の事業構造の性格上、国及び地方自治体の施策、法令等の制定・変更、そして公共事業の予算動向により、対象者の経営成績が影響を受ける可能性がある。また、(イ)については、対象者の事業の継続と成長のためには、技術者を中心とする高度な専門能力や管理能力を有する人材の確保が必要不可欠であるところ、人口減少や成長産業との人材獲得競争等の影響により人材の量的・質的不足が生じる場合、対象者の経営成績が影響を受ける可能性がある。

 

 

 

・上述した対象者の経営課題については、セコム及び伊藤忠商事も概ね同様の認識を有している。

 

 

 

(本取引のメリット及びデメリット)

 

・国や地方自治体等を顧客とする「国内公共部門」は、民間・衛星事業を含む対象者事業の基盤となる技術やノウハウが創出・蓄積されるとともに、2024年3月期における連結売上高の約9割を占める重要な部門となっている。当部門においては、高齢化・人口減少社会における社会インフラの維持管理や脱炭素に向けた取り組み等が喫緊の社会的課題であるところ、対象者と伊藤忠商事が連携し、相互の強みを活かすことで、対象者が単独では実現が困難な、高度かつ広範なサービスを顧客へ提供することが可能となる。特に、伊藤忠商事が実績を持つ官民連携によるインフラ包括管理事業や再生可能エネルギー関連事業(調査・計画)及び、対象者として実績を持つ森林関連事業等幅広い事業において、強みを発揮することができる。この点、連結売上高の約9割を占める「国内公共部門」の強化は、パスコ中期経営計画において掲げる「既存事業の革新・強化」と「継続契約型サービスによる持続可能な事業の拡大」の中核をなす、対象者の重要な経営課題の一つである。したがって、伊藤忠商事との提携により「国内公共部門」の強化に関するシナジーが創出され、もって対象者の更なる企業価値向上に資するとの対象者の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

 

・伊藤忠商事は大手総合商社として、繊維、機械、金属、エネルギー・化学品、食料、住生活、情報・金融の各分野において国内民間企業と幅広いビジネスを展開している。「国内民間部門」においては、伊藤忠商事の事業開発体制や上記の分野における国内民間企業への販売網を活かした、対象者の民間企業向け主力商品である物流、マーケティング、不動産等の各種ソリューションやプロダクトの強化・拡販が期待できる。また、昨今、注目と期待が高まる宇宙関連ビジネスにおいては、伊藤忠商事との連携により、衛星データ活用領域の拡大やサービスの高度化等、事業の更なる拡大が考えられる。なお、衛星事業については、伊藤忠商事との連携により高度化・多様化したサービスを、対象者の顧客である国や地方自治体等へ提供することで、「国内公共部門」の強化にも寄与する。この点、国内民間部門の収益拡大は、我が国の政策や予算に左右される「国内公共部門」に収益が偏重している対象者の重要な経営課題の一つである。また、当該施策は、対象者がパスコ中期経営計画において掲げた「継続契約型サービスによる持続可能な事業の拡大」に含まれる「新たに対象者の存在意義を発揮できる市場領域の拡大」とも整合的である。したがって、伊藤忠商事との提携により「国内民間部門」の拡大に関するシナジーが創出され、もって対象者の更なる企業価値向上に資するとの対象者の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

 

・「海外部門」においては、世界61ヶ国・約90の拠点(2024年6月30日時点)を持つ伊藤忠商事の海外ネットワークを通じた、対象者のエリアマーケティングやシステム開発をはじめとする「日系企業向けサービス」、資源探査・地盤変動監視・土地利用把握等の「衛星モニタリングサービス」、「先進運転支援システム(ADAS)事業の展開」等により、ASEANを中心とした販売拡大による事業の発展が想定される。この点、海外部門の収益拡大は、我が国の政策や予算に左右される「国内公共部門」に収益が偏重している対象者の重要な経営課題の一つである。また、当該施策は、対象者がパスコ中期経営計画において掲げた「継続契約型サービスによる持続可能な事業の拡大」に含まれる「新たに対象者の存在意義を発揮できる市場領域の拡大」とも整合的である。したがって、伊藤忠商事との提携により「海外部門」の発展に関するシナジーが創出され、もって対象者の更なる企業価値向上に資するとの対象者の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

 

 

 

・伊藤忠商事では、「ビジネス課題を起点としたDX」を基本思想に掲げ、出資先・協業先と「デジタル事業群」を形成している。伊藤忠商事及びデジタル事業群の優れたテクノロジーやノウハウ、データ、開発体制や販売網、並びにサービス提供や協業の実績を活用し、スマートシティ関連事業や地理空間情報プラットフォーム事業、地理空間情報におけるAI活用等、地理空間情報をさらに高度に活用する新規サービスやプロダクトの創出が行える。さらに、生活消費関連にも強みを持つ伊藤忠商事の消費者接点を活かし、対象者の地理空間情報技術と組み合わせることで、社会活動や消費者行動をより忠実に反映した地理的空間情報分析等の新規事業を展開することも可能であり、対象者との協働によるシナジーを期待できる。対象者は、これまでもセコムと新規事業の創出に向けて協働してきたが、本取引後においてはセコムグループの顧客基盤を活用することで伊藤忠商事も含めた新規事業の創出・拡販につなげることができる。また、伊藤忠商事の持つベンチャーキャピタルネットワークを活用した、新規ソリューション開発や獲得に資するM&A・事業提携の検討によって、インオーガニックな成長ができる。この点、パスコ中期経営計画において「多様性による新たな事業創造」を掲げ、革新的な商品やサービスの創出を目指しているとおり、新規事業の創出は対象者の重要な経営課題の一つである。したがって、伊藤忠商事との提携により新規事業の創出に関するシナジーが創出され、もって対象者の更なる企業価値向上に資するとの対象者の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

 

・これまで対象者は上場会社として、対象者の少数株主の利益を尊重し、対象者としての独立性の確保に努めてきた。このため、セコムの経営資源を共通活用することについては、セコムと対象者の少数株主との利益相反及び独立性確保の懸念が存在した。本取引後においては、そのようなセコムと対象者の少数株主の間の利益相反や独立性確保のための制約を回避しつつ、中長期的な成長の観点から必要なセコム及び伊藤忠商事との連携及び経営資源の効率的活用、積極的な投資を迅速かつ円滑に行うことを通じて、対象者を含むセコムグループの中長期的な企業価値向上を図ることができる。この点、セコムとは1999年8月から一定の資本関係があり、事業協力関係の下、経営情報の交換や人事面の交流、財務面の支援等を通じて競争力の強化を図ってきたが、親子上場の状態に起因してセコムによる経営資源の積極的な投入や経営基盤の活用には一定の制約があった。また、一般論としても非公開化によって中長期的な視座から迅速な意思決定が可能となり得る。したがって、本取引を通じて対象者の株主をセコムと伊藤忠商事のみとすることが対象者の企業価値向上に資するとの対象者の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

 

・対象者株式の上場廃止により、コーポレートガバナンス・コード等への対応を含めた近時の上場維持に係る業務負担や、有価証券報告書等の継続的な情報開示、監査、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用に代表される上場維持に要する費用の削減が見込まれる。また、本取引を通じて、更なる事業成長への経営資源集中を図ることが可能になる。この点、本特別委員会が確認したところによれば相応の金額の費用削減が見込まれるため、これにより対象者の企業価値向上に資するとの対象者の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

 

・以上のとおり、上記の各施策は、前述した対象者の経営課題を的確に捉えており、パスコ中期経営計画とも整合的である。加えて、セコム及び伊藤忠商事が想定している本取引のシナジー効果(既存事業の強化、新規取組み・ソリューションの開発・販売支援、及び利益相反回避による対象者の利益最大化)の内容とも一致している。また、セコム及び伊藤忠商事の事業内容・経営方針・実績等を踏まえると、これら施策の実現可能性を否定するに足る事情もない。

 

 

 

・以上からすれば、本取引を通じて対象者が非公開化し、セコムと対象者の少数株主との間の構造的な利益相反関係を解消し、セコム及び伊藤忠商事による対象者グループへの更なる経営資源の投入を可能とすることで、機動的かつ着実な経営施策の実行を通じて、既述のシナジー創出を見込むことができ、対象者の更なる企業価値向上に資するとの対象者の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。

 

・上場廃止や資本構成の変更に伴う一般的なデメリットとして、①主要取引先・外注仕入先の離脱、②ブランド力・与信の低下、③公募増資等の資金調達手段の限定、④役職員の離脱やモラール・ダウン、新規採用力・中途採用力の低下、⑤ガバナンス体制の弱体化、⑥許認可や公共入札資格等の取り直し、⑦競争法に基づく制限(問題解消措置等)を想定し得る。もっとも対象者によれば、上記の各デメリットは存在しないか又は僅少であり、本取引によるデメリットは、それを上回るメリットによって十分に補い得るとのことである。前述のデメリットについて現実に相応の具体的な検討がなされており、その検討内容に特段不合理な点は認められない。その検討結果によれば、少なくとも前述したメリットを明らかに上回るデメリットが本取引によって生じるとは認められない。

 

・なお、対象者の企業価値向上の観点において、本取引に優る有効な代替手段が存在すると認めるに足る事情は見当たらない。

 

・以上から、本取引は対象者の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は正当性・合理性を有する。

 

 

 

ⅱ.本取引の条件(本公開買付けにおける買付け等の価格を含む。)の公正性・妥当性が確保されているか

 

(公開買付者らとの取引条件に関する協議・交渉過程)

 

・本取引においては、対象者と公開買付者らの間で本公開買付価格に関する交渉が複数回行われた。

 

・本特別委員会は、本公開買付価格に関する公開買付者らとの交渉が開始される前の委員会において、ファイナンシャル・アドバイザーである野村證券から、価値算定の基本的な考え方と交渉方針を聴取した。本特別委員会は交渉過程においても、対象者及び野村證券から、公開買付者らの提案内容及び論拠、当該提案に対する対象者の評価及び対応方針について報告を受け、各委員会において、委員会としての意見を述べた。

 

・本特別委員会は、以下に詳述する理由から、純資産価額も重視して交渉することを要請した

 

(a)理論的に純資産価額は継続価値を現す金額ではなく、価格の妥当性を検証する際、一義的には本源的価値を現すDCF法の算定レンジに収まることが重要である。

 

(b)対象者株式は市場流動性に乏しく、過去の出来高実績を見ても、対象者の少数株主は簿価純資産相当額をもって市場売却する機会に乏しいとも言える。これは裏を返せば、簿価純資産相当額であっても対象者の少数株主には売却の利益があると評価する余地も皆無ではない。

 

 

 

(c)しかしながら本件では、以下に述べる対象者固有の事情も考慮する必要がある。

 

(ア)対象者は、2024年5月13日付決算説明会資料において、2024年3月期から2026年3月期の3ヶ年を計画年度とするパスコ中期経営計画の確実な遂行によりPBR1.0倍以上を目指す旨を公表した。また対象者は、パスコ中期経営計画を「将来の飛躍に向けた真の価値を再構築する期間」と位置付け、2027年3月期以降の期間を飛躍期とする旨も公表している。更に言えば、計画初年度である2024年3月期実績値を見ると、パスコ中期経営計画の最終年度である2026年3月期の数値目標(連結売上高600億円以上、連結営業利益率8.0%以上)を既に達成している。以上からすれば、野村證券株式価値算定書の前提とされた事業計画の計画年度中(2025年3月期から2029年3月期の5年間)において、PBR1倍以上となり、かつ、2026年3月期までに実施する積極投資の成果が2027年3月期以降の数値に反映される可能性が低いとは言えない。

 

(イ)対象者の事業内容と過去の業績実績からすると、対象者の純資産額は時間の経過とともに堅調に積み上がっていくことが予想される。

 

(ウ)対象者の収益構造は下期偏重であるため、第1四半期実績のみ公表されている足許の対象者株価は対象者のファンダメンタルズを反映していないとの見方もできる。

 

(エ)以上のことからすると、対象者の少数株主の中には「現状のままでも、近い将来に対象者株価は(将来積み上がるであろう)純資産額と同水準まで引き上がるだろう」と期待する者も含まれると想定される。

 

・本件では野村證券による算定の中間報告時点からDCF法のうち永久成長率法のレンジがマルチプル法のレンジを上回る結果となっていた。このため本特別委員会は、野村證券に当該差異が生じる背景等について確認した上で、永久成長率法レンジとインプライドマルチプルの関係や過去のマルチプル推移との相関関係も確認しつつ交渉方針を検討した。

 

・本公開買付価格は大多数の対象者の少数株主に損失を生じさせない金額とすることが望ましく、かつ、対象者株主には長期保有株主が多いと推定されることから、過去長期の最高価格や出来高分析も踏まえて交渉することを要請した。

 

・以上の結果、本公開買付価格は、公開買付者らの当初提案(1,900円)から現に引き上がった。

 

 

 

(野村證券株式価値算定書の算定結果との関係等)

 

・野村證券は、我が国の株式価値評価分野において多数の実績を有する大手事業者であり、対象者並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておらず、独立性が認められる。

 

・野村證券が採用した各算定方法は、いずれも継続企業価値の算定方法として一般に妥当とされている方法である。各種の算定方法はそれぞれ優れた点を持つと同時に様々な問題点も有しており、相互に問題点を補完する関係にあることから、複数の算定方法によって多面的に分析することは有用であると考えられる。従って、上記各方式を併用することにより合理性が高められるものと考える。

 

・野村證券による各算定方法における算定過程(その前提とされた財務予測や前提条件等を含む。)も合理的なものと認められる。特に重要なDCF法の前提とされた事業計画について付言すると、以下のとおりである。

 

(a)対象者株式の評価に際してフリー・キャッシュ・フロー算定に用いられた2025年3月期から2029年3月期までの5ヶ年を対象とする事業計画(以下「本事業計画」といいます。)は、本取引の検討開始後、約1ヶ月の作成期間を費やして作成された。本事業計画は対象者の部門長級役職員によって作成されており、その作成過程に公開買付者ら及び伊藤忠商事の関係者は関与していない。

 

 

 

(b)なお、対象者がパスコ中期経営計画を「将来の飛躍に向けた真の価値を再構築する期間」と位置付け、2027年3月期以降の期間を飛躍期としていることからすると、2027年3月期以降の数値はやや保守的な印象も受ける。もっとも対象者によれば、売上高の9割を占める国内公共部門の礎となっている「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策(令和2年12月11日閣議決定)」が令和7年度(2025年度)をもって終了するため予算が減少する可能性があること、地方自治体の財政状態が厳しいこと等を踏まえ、国内公共部門のオーガニック成長は微減と見込んだ上で、新規事業の収益により挽回するシナリオを想定している。この結果、パスコ中期経営計画の数値目標はパスコ中期経営計画の計画年度中に達成する数値となっており、かつ、2027年3月期以降も堅調に成長する数値となっており、当該シナリオを積極的に否定すべき事情も見当たらない。

 

(c)以上のことからすると、本事業計画は本取引の検討開始後に策定されたものであるものの、①本事業計画を恣意的に悲観的な収益予測としたことを窺わせる事情及び②本事業計画が合理的な根拠を欠く収益予測であってその実現可能性を疑わせるような事情は、いずれも認められない。

 

・本公開買付価格は、野村證券株式価値算定書の算定結果において市場株価平均法レンジの上限を上回り、かつ、類似会社比較法及びDCF法の各レンジに収まる水準となっている。野村證券株式価値算定書における評価レンジ内の特定価格をもって「本取引を行わなくても実現可能な価値」と評価することは困難である。もっとも、野村證券株式価値算定書の算定結果を是とすることは可能であるから、上記の水準である事実は、本公開買付価格に「本取引を行わなくても実現可能な価値」のみならず「想定される本取引による企業価値増加効果」も織り込まれていることを推認させる。

 

 

 

(同種の案件において一般に付与されるプレミアム水準との関係)

 

・2019年6月以降に公表された本取引の類似案件におけるプレミアム水準との比較について見ると、同種案件と比較して若干劣るプレミアム水準と言わざるを得ないが、プレミアムは個別案件の多様な要因によって変動するため、同種案件との単純比較のみに依拠して当否を評価することは適切でない。

 

 

 

(過去の最高価格・出来高分析との関係)

 

・野村證券による過去1年間から10年間における価格帯別売買高分析によれば、本公開買付価格であれば、92%を超える数の対象者株主の理論上の取得価格を上回ると試算されている。また、本公開買付価格は、過去1年間の最高値(2,075円)を上回る金額である。これらの事情は、本公開買付価格が大多数の対象者の少数株主に損失を生じさせない水準であることを推認させる。

 

 

 

(スキームその他の取引条件の妥当性)

 

・金銭は流動性が高く投資回収の方法として妥当であるため、対価を金銭とすること自体が対象者の少数株主の不利益となる理由はない。

 

・また、公開買付者らのうちISフロンティアパートナーズは非上場のSPCであるから、換価不能なSPC株式を対価とすることが対象者の少数株主の利益に沿わないことは論を俟たない。更には、流動性の高いセコム及び/又は伊藤忠商事の上場株式を対価とする方法も一応考え得るが、そもそも2社の上場株式を対価とする組織再編等は実現不能又は困難である。また、対象者事業とセコム及び伊藤忠商事の事業内容は大きく異なるため、対象者に投資している対象者の少数株主にとって、株式対価の組織再編により両社株式の交付が好ましいとも限らない。

 

・なお、本取引では、本公開買付価格と本スクイーズアウト手続の対価額を同額とすることが想定されている。

 

・よって、対象者の少数株主に本公開買付け及び本スクイーズアウト手続により現金を交付する本取引の買収方法及び対価は、対象者の少数株主にとって不利益ではないため、妥当性が認められる。

 

 

 

・以上から、本公開買付価格は対象者の少数株主が享受すべき利益が確保された妥当な価格であるから、本公開買付けは、対象者の株主に対して、適切なプレミアムを付した価格での合理的な株式の売却の機会を提供するものであり、本取引の条件の妥当性が確保されている。

 

 

 

ⅲ.本取引において、公正な手続を通じた対象者の株主の利益への十分な配慮がなされているか

 

(本特別委員会の設置)

 

・独立性及び諮問事項の検討に十分な能力を有する委員により構成される本特別委員会は、本取引の検討当初に設置され、対象者アドバイザーの助言も得つつ、対象者及び対象者アドバイザーから必要に応じて非公開情報を含む重要な情報を適時に入手した上で検討を行い、適時に取引条件の交渉経緯について報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行っており、有効に機能した。

 

・本特別委員会の組成決議において、①本特別委員会が本公開買付けの実施又は取引条件が妥当でないと判断した場合には本公開買付けに賛同しないこと、及び②対象者の取締役会における本取引に関する意思決定は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行うこととする旨が予め決議されている。

 

 

 

(独立した外部専門家からの専門的助言等の取得)

 

・対象者は、本取引の初期段階から、独立性を有する野村證券及び中村・角田・松本法律事務所の専門的助言を取得している。

 

 

 

(他の買収者による買収提案の機会の確保(マーケット・チェック))

 

・本取引に際して、いわゆる積極的なマーケット・チェックは実施されていない。もっとも、支配株主による買収の場合、そもそもマーケット・チェックが公正性担保措置として機能する場面は限定的であり、実施する意義が乏しい場合が多いと考えられている。これに加えて本件では、セコムに対象者株式を売却する意向がないことからすれば、例外的にマーケット・チェックが機能し得るケースに当たると認めるに足る例外的な事情は存在しない。

 

・本公開買付けにおける公開買付期間は、金融商品取引法が定める最短の期間である20営業日を超える30営業日である。更に対象者は、公開買付者ら及び伊藤忠商事との間で、対象者が対抗的買収提案者と接触を禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が対象者との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っていない。

 

・以上を踏まえると、株主に対して本公開買付けへの応募の是非を検討する十分な熟慮期間が付与され、かつ、対抗的な買付の機会は客観的に確保されていると考えられる。

 

 

 

(マジョリティ・オブ・マイノリティ条件)

 

・本公開買付けにおいて、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ条件は設定されない。

 

・しかるに、本取引では充実した他の公正性担保措置が講じられていること、及び同条件を設定した場合には、比較的少数の株式を取得することによって本取引を妨害することが可能となり、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する対象者の少数株主の利益に資さないとも考え得ることからすると、本取引においてマジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定は不要と思料する。

 

 

 

(対象者内における意思決定プロセス)

 

・以上のような複数の公正性担保措置が講じられた上で、対象者内においても、本取引の検討・交渉等は、初期の段階から一定の利害関係を有し得る取締役等を除外して実施された。

 

 

 

・セコムの従業員を兼務している対象者取締役の宮本和久氏及び神山潔氏、セコムの従業員を兼務している対象者監査役の柳内清孝氏及び曽我部貢作氏、並びにセコムの従業員を兼務していた対象者の元監査役である龍口敦氏は、利益相反の疑いを回避するため、本取引に関する取締役会における審議に一切参加しておらず、また、対象者の立場において、本取引に関して、セコム及び伊藤忠商事との協議及び交渉に一切参加していない。

 

 

 

(一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上)

 

・対象者の本取引に関する開示予定文書において、本特別委員会、野村證券株式価値算定書及び本取引の実施に至るプロセスや交渉経緯等について、対象者の少数株主の適切な判断に資する充実した情報が分かり易く開示されているものと思料する。

 

 

 

(強圧性の排除)

 

・本スクイーズアウト手続は株式併合により実行される。当該スキームの実施過程において、株主には会社法第182条の4及び第182条の5の規定により価格決定の申立てを行う権利がそれぞれ認められ、かつ、開示予定文書にその旨が明示的に開示されている。さらに、開示予定文書の該当箇所では、本スクイーズアウト手続は本公開買付け終了後速やかに行われること、本スクイーズアウト手続において対象者の少数株主に対して交付される金銭は本公開買付価格と同一の価格とすることが予定されている旨も開示されている。

 

・以上から、本取引においては、公正な手続を通じて対象者の少数株主の利益への十分な配慮がなされていると認められる。

 

 

 

ⅳ.本取引についての決定が対象者の少数株主にとって不利益なものでないと考えられるか

 

 以上検討したとおり、①本取引は対象者の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的は正当性・合理性を有すること、②本公開買付価格は対象者の少数株主が享受すべき利益が確保された妥当な価格であるから、本公開買付けは、対象者の株主に対して、適切なプレミアムを付した価格での合理的な株式の売却の機会を提供するものであり、本取引の条件の妥当性が確保されていること、③本取引においては、公正な手続を通じて対象者の少数株主の利益への十分な配慮がなされていると認められることから、本取引についての決定が対象者の少数株主にとって不利益なものでないと思料する。

 

 

 

ⅴ.対象者取締役会が本公開買付けに賛同し対象者の株主に応募を推奨する旨の意見表明を行うことの是非

 

 上記ⅳと同様の理由により、対象者の取締役会が、本公開買付けに賛同し、対象者の株主に対して応募を推奨する旨の意見表明を行うことは相当であると思料する。

 

 

 

(ⅲ)対象者における独立した法律事務所からの助言の取得

 

 対象者プレスリリースによれば、対象者は、本公開買付けに係る対象者取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、対象者並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事から独立した法務アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所を選任し、同事務所から、本取引に関する諸手続を含む対象者取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けているとのことです。なお、中村・角田・松本法律事務所は、対象者並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事の関連当事者には該当せず、本取引に関して、記載すべき重要な利害関係を有していないとのことです。中村・角田・松本法律事務所に対する報酬には、本取引の公表や成立を条件に支払われる成功報酬は含まれていないとのことです。また、本特別委員会において、中村・角田・松本法律事務所の独立性に問題がないことが確認されているとのことです。

 

 

 

(ⅳ)対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 

① 算定機関の名称並びに対象者及び公開買付者らとの関係

 

 対象者プレスリリースによれば、対象者は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、対象者並びに公開買付者ら及び伊藤忠商事から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券に対して、対象者株式の株式価値の算定を依頼し、2024年9月5日付で、野村證券から野村證券株式価値算定書を取得したとのことです(注3)。

 

 なお、対象者は、本「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」に記載のとおり、対象者及び公開買付者らにおいて本公開買付価格の公正性及び本取引の公正性を担保するための措置等を実施していることを踏まえ、本公開買付価格を含む本取引の公正性が担保されていると考えた結果、野村證券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。

 

 なお、本取引に係る野村證券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれているとのことです。対象者は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に対象者に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により野村證券を対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しているとのことです。

 

 本特別委員会は、第1回の本特別委員会において、野村證券の独立性に問題がないことを確認した上で、対象者のファイナンシャル・アドバイザーとして承認しているとのことです。

 

 

 

② 対象者株式に係る算定の概要

 

 対象者プレスリリースによれば、野村證券は、本公開買付けにおいて、複数の算定手法の中から対象者の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、対象者が継続企業であるとの前提の下、対象者の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、対象者株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから市場株価平均法を、比較可能な類似上場会社が存在し、類似上場会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を算定手法として用いて、対象者の株式価値の算定を行い、対象者は野村證券から2024年9月5日付で野村證券株式価値算定書を取得しているとのことです。

 

 野村證券株式価値算定書において、上記各手法に基づいて算定された対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりとのことです。

 

 

 

市場株価平均法:1,618円から1,822円

 

類似会社比較法:2,077円から2,433円

 

DCF法   :1,770円から3,316円

 

 

 

 市場株価平均法では、2024年9月4日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の基準日の終値1,629円、直近5営業日の終値の単純平均値1,689円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値1,618円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値1,752円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値1,822円を基に、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を1,618円から1,822円と算定しているとのことです。

 

 

 

 類似会社比較法では、対象者と類似性があると判断される類似上場会社として、アジア航測株式会社を選定した上で、企業価値に対する営業利益の倍率、償却前営業利益(以下「EBITDA」といいます。)の倍率(以下「EBITDAマルチプル」といいます。)、時価総額に対する純利益倍率、及び時価総額に対する株主資本倍率を用いて、対象者株式の株式価値算定を行い、対象者株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,077円から2,433円と算定しているとのことです。

 

 

 

 DCF法では、対象者事業計画を基に、2025年3月期から2029年3月期までの5期分の事業見通しにおける収益予測や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、対象者が2025年3月期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて、対象者の企業価値や株式価値を算定し、対象者株式の1株当たり株式価値の範囲を1,770円から3,316円と算定しているとのことです。なお、割引率は7.25%から8.25%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率法及びマルチプル法を採用し、永久成長率は-0.25%から0.25%、EBITDAマルチプルは3.5倍から5.5倍として対象者株式の1株当たり株式価値を算定しているとのことです。

 

 野村證券がDCF法の算定の前提とした対象者事業計画に基づく財務予測は以下のとおりとのことです。当該財務予測においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度はないものの、フリー・キャッシュ・フローの大幅な変動を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。具体的には、2026年3月期において、増収に伴う運転資本の増加や基幹システムの再構築に係る設備投資の増加が見込まれていることにより、フリー・キャッシュ・フローの大幅な減少が見込まれているとのことです。また、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、以下の財務予測には加味していないとのことです。

 

(単位:百万円)

 

 

 

 

2025年

3月期

2026年

3月期

2027年

3月期

2028年

3月期

2029年

3月期

売上高

60,000

60,500

62,000

63,000

64,000

営業利益

4,620

4,818

5,117

5,518

6,019

EBITDA

6,961

7,673

8,189

8,812

9,524

フリー・キャッシュ・フロー

3,599

2,216

2,835

3,581

4,144

 

 

 

 

(ⅴ)対象者における独立した検討体制の構築

 

 対象者プレスリリースによれば、上記「3 買付け等の目的」の「(2)本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、対象者は、公開買付者ら及び伊藤忠商事から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を対象者の社内に構築したとのことです。具体的には、対象者は、2023年12月8日に、セコム及び伊藤忠商事から、本取引について初期的な提案を受けた後、本取引に関する検討(対象者株式の価値算定の基礎となる事業計画の作成を含むとのことです。)並びにセコム及び伊藤忠商事との協議及び交渉を行うプロジェクトチームを設置し、そのメンバーは、セコムグループ(対象者グループを除く。)各社の役職員を兼務していない対象者の役職員のみから構成されるものとし、かかる取扱いを継続しているとのことです。

 

 また、かかる取扱いを含めて、対象者の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する対象者の役職員の範囲及びその職務を含むとのことです。)に独立性・公正性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の確認を得ているとのことです。

 

 

 

(ⅵ)対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見

 

 対象者プレスリリースによれば、対象者は、中村・角田・松本法律事務所から受けた法的助言、野村證券から受けた財務的見地からの助言並びに2024年9月5日付で取得した野村證券株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2024年9月4日付の本答申書において示された判断内容を最大限に尊重しながら、本取引を通じて対象者の企業価値を向上させることができるか、本取引は公正な手続を通じて行われることにより少数株主の享受すべき利益が確保されるものとなっているか等の観点から慎重に協議を行ったとのことです。

 

 

 

 

 その結果、上記「3 買付け等の目的」の「(2)本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「② 対象者が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、対象者取締役会は、2024年9月5日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した対象者の取締役(取締役合計9名のうち、宮本和久氏、神山潔氏を除く7名)の全員一致で、本取引に賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議したとのことです。なお、上記取締役会には、対象者の監査役4名のうち、柳内清孝氏、曽我部貢作氏を除く2名全員が出席し、出席した監査役はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べているとのことです。

 

 上記の対象者取締役会においては、対象者の取締役9名のうち、宮本和久氏及び神山潔氏はセコムの従業員を兼務していることから、利益相反の疑いを回避するため、上記取締役会における審議及び決議に一切参加しておらず、また、対象者の立場において、本取引に関して、セコム及び伊藤忠商事との協議及び交渉に一切参加していないとのことです。また、対象者の監査役4名のうち、柳内清孝氏及び曽我部貢作氏はセコムの従業員を兼務していることから、利益相反の疑いを回避するため、上記取締役会における審議に一切参加しておらず、また、対象者の立場において、本取引に関して、セコム及び伊藤忠商事との協議及び交渉に一切参加していないとのことです。なお、2024年6月21日付けで龍口敦氏(セコムの従業員を兼務していた対象者の元監査役)が、監査役を退任しておりますが、利益相反の疑いを回避するため、対象者の立場において、本取引に関して、セコム及び伊藤忠商事との協議及び交渉に一切参加していないとのことです。

 

 

 

(ⅶ)本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

 

 セコム及び伊藤忠商事と対象者は、対象者が対抗的買収提案者と接触を禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が対象者との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。

 

 また、公開買付者らは、公開買付期間について、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日としております。公開買付者らは、公開買付期間を法令に定められた最短期間と比較して長期間に設定することにより、対象者の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しつつ、公開買付者ら以外にも対象者株式の買付け等を行う機会を確保し、本公開買付価格の公正性を担保することを企図しております。

 (注1) EYは、対象者株式の価値算定に際して、対象者又はセコムから提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、対象者及びその関係会社の資産又は負債(偶発債務を含みます。)について、個別の各資産、各負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておりません。加えて、対象者の財務予測についてはセコムの経営陣による現時点で可能な最善の予測と判断に基づき合理的に検討又は修正されたことを前提としております。EYの価値算定は、2024年9月4日現在までに入手可能な上記情報等と経済条件を前提としたものであります。

 (注2) KPMGは、対象者株式の価値算定に際して、対象者又は伊藤忠商事から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、対象者及びその関係会社の資産又は負債(偶発債務を含みます。)について、個別の各資産、各負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておりません。加えて、対象者の財務予測については伊藤忠商事の経営陣による現時点で可能な最善の予測と判断に基づき合理的に検討又は修正されたことを前提としております。KPMGの価値算定は、2024年9月4日現在までに入手可能な上記情報等と経済条件を前提としたものであります。

 (注3) 野村證券は、対象者株式の株式価値の算定に際して、公開情報及び対象者から提供を受けた一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性についての検証は行っていないとのことです。対象者及びその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っていないとのことです。対象者事業計画については、対象者の経営陣により現時点で得られる最善かつ誠実な予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを前提としているとのことです。野村證券の算定は、2024年9月4日までに野村證券が入手した情報及び経済条件を反映したものとのことです。なお、野村證券の算定は、対象者の取締役会が対象者株式の株式価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としているとのことです。

 

(3)【買付予定の株券等の数】

株券等の種類

買付予定数

買付予定数の下限

買付予定数の上限

普通株式

4,079,186(株)

-(株)

-(株)

合計

4,079,186(株)

-(株)

-(株)

 (注1) 本公開買付けでは、買付予定数の上限及び下限を設定しておりませんので、公開買付者らは、応募株券等の全部の買付け等を行います。

 (注2) 本公開買付けにおいては、買付予定数の上限を設定しておりませんので、買付予定数は本公開買付けにより公開買付者らが取得する対象者株式の最大数である4,079,186株を記載しております。なお、当該最大数は、対象者第1四半期決算短信に記載された2024年6月30日現在の対象者の発行済株式総数(14,418,025株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(22,039株)及び本書提出日現在においてセコムが所有する対象者株式数(10,316,800株)を控除した株式数(4,079,186株)です。

 (注3) 単元未満株式についても、本公開買付けの対象としております。なお、会社法に従って株主による単元未満株式買取請求権が行使された場合には、対象者は法令の手続に従い公開買付期間中に自己の株式を買取ることがあります。

 (注4) 本公開買付けを通じて、対象者が所有する自己株式を取得する予定はありません。

 (注5) 公開買付者らそれぞれによる応募株券等の買付方法については、①応募株券等の総数のうち、480,941株(所有割合:3.34%)までの応募株券等についてはセコムが買付け等を行い、その残りの応募株券等についてISフロンティアパートナーズが買付け等を行うこと、他方で、②応募株券等の総数が480,941株(所有割合:3.34%)未満の場合には、セコムが応募株券等の全部の買付け等を行うこととします。

 

5【買付け等を行った後における株券等所有割合】

区分

議決権の数

買付予定の株券等に係る議決権の数(個)(a)

40,791

aのうち潜在株券等に係る議決権の数(個)(b)

bのうち株券の権利を表示する株券等信託受益証券及び株券等預託証券に係る議決権の数(個)(c)

公開買付者の所有株券等に係る議決権の数(2024年9月6日現在)(個)(d)

103,168

dのうち潜在株券等に係る議決権の数(個)(e)

eのうち株券の権利を表示する株券等信託受益証券及び株券等預託証券に係る議決権の数(個)(f)

特別関係者の所有株券等に係る議決権の数(2024年9月6日現在)(個)(g)

0

gのうち潜在株券等に係る議決権の数(個)(h)

hのうち株券の権利を表示する株券等信託受益証券及び株券等預託証券に係る議決権の数(個)(i)

対象者の総株主等の議決権の数(2024年3月31日現在)(個)(j)

142,913

買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合

(a/j)(%)

28.34

買付け等を行った後における株券等所有割合

((a+d+g)/(j+(b-c)+(e-f)+(h-i))×100)(%)

100.00

 (注1) 「買付予定の株券等に係る議決権の数(個)(a)」は、本公開買付けにおける買付予定数(4,079,186株)に係る議決権の数です。

 (注2) 「特別関係者の所有株券等に係る議決権の数(2024年9月6日現在)(個)(g)」は、各特別関係者(但し、特別関係者のうち法第27条の2第1項各号における株券等所有割合の計算において府令第3条第2項第1号に基づき特別関係者から除外される者及び相互に特別関係者に該当する公開買付者らを除きます。)が所有する株券等に係る議決権の数の合計を記載しております。但し、本公開買付けにおいては、特別関係者の所有する株券等(但し、対象者が所有する自己株式及び相互に特別関係者に該当する公開買付者らが所有する対象者株式を除きます。)についても買付け等の対象としているため、「買付け等を行った後における株券等所有割合」の計算においては、「特別関係者の所有株券等に係る議決権の数(2024年9月6日現在)(個)(g)」を分子に加算しておりません。なお、公開買付者らは、本書提出後に特別関係者の所有する対象者の株券等を確認の上、本書の訂正が必要な場合には、本書に係る訂正届出書を提出する予定です。

 (注3) 「対象者の総株主等の議決権の数(2024年3月31日現在)(個)(j)」は、対象者が2024年6月21日に提出した第76期有価証券報告書に記載された2024年3月31日現在の総株主等の議決権の数です。但し、本公開買付けにおいては単元未満株式についても買付け等の対象としているため、「買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合」及び「買付け等を行った後における株券等所有割合」の計算においては、対象者第1四半期決算短信に記載された2024年6月30日現在の対象者の発行済株式総数(14,418,025株)から、同日現在の対象者が所有する自己株式数(22,039株)を控除した株式数(14,395,986株)に係る議決権の数(143,959個)を分母として計算しております。

 (注4) 「買付予定の株券等に係る議決権の数の総株主等の議決権の数に占める割合」及び「買付け等を行った後における株券等所有割合」については、小数点以下第三位を四捨五入しております。

 

6【株券等の取得に関する許可等】

(1)【株券等の種類】

普通株式

 

(2)【根拠法令】

 ISフロンティアパートナーズは、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。その後の改正を含みます。以下「独占禁止法」といいます。)第10条第2項に基づき、公正取引委員会に対し、本公開買付けによる対象者株式の取得(以下「本株式取得」といいます。)に関する計画をあらかじめ届け出なければならず(以下、当該届出を「事前届出」といいます。)、同条第8項により事前届出受理の日から原則として30日(短縮される場合もあります。)を経過するまでは本株式取得を行うことができません(以下、本株式取得が禁止される当該期間を「取得禁止期間」といいます。)。

 また、独占禁止法第10条第1項は、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる他の会社の株式の取得行為を禁止しており、公正取引委員会はこれに違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができます(同法第17条の2第1項。以下「排除措置命令」といいます。)。上記の事前届出が行われた場合で、公正取引委員会が排除措置命令を発令するときは、公正取引委員会は、当該排除措置命令の名宛人となるべき者について意見聴取を行わなければならず(同法第49条)、意見聴取を行うにあたっては、予定する排除措置命令の内容等を名宛人に通知しなければなりませんが(同法第50条第1項。以下「排除措置命令の事前通知」といいます。)、株式取得に関する排除措置命令の事前通知は、一定の期間(上記事前届出が受理された日から原則30日間ですが、延長又は短縮される場合もあります。以下「措置期間」といいます。)内に行うこととされています(同法第10条第9項)。なお、公正取引委員会は、排除措置命令の事前通知をしないこととした場合、その旨の通知(以下「排除措置命令を行わない旨の通知」といいます。)をするものとされております(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第9条から第16条までの規定による認可の申請、報告及び届出等に関する規則(昭和28年公正取引委員会規則第1号。その後の改正を含みます。)第9条)。

 ISフロンティアパートナーズは、本株式取得に関して、2024年8月1日付で公正取引委員会に対して事前届出を行い、当該事前届出は同日付で受理されております。その後、ISフロンティアパートナーズは、公正取引委員会より取得禁止期間を30日間から28日間に短縮する旨の2024年8月29日付「禁止期間の短縮の通知書」を2024年8月29日に受領したため、2024年8月28日の経過をもって取得禁止期間は終了しております。また、ISフロンティアパートナーズは、公正取引委員会より2024年8月29日付「排除措置命令を行わない旨の通知書」を2024年8月29日に受領したため、措置期間は2024年8月29日をもって終了しております。

 

(3)【許可等の日付及び番号】

許可等の日付 2024年8月29日(排除措置命令を行わない旨の通知を受けたことによる)

許可等の番号 公経企第811号(排除措置命令を行わない旨の通知書の番号)

許可等の日付 2024年8月29日(禁止期間の短縮の通知を受けたことによる)

許可等の番号 公経企第812号(禁止期間の短縮の通知書の番号)

 

7【応募及び契約の解除の方法】

(1)【応募の方法】

① 公開買付代理人

SMBC日興証券株式会社  東京都千代田区丸の内三丁目3番1号

 

② 本公開買付けに係る株券等の買付け等の申込みに対する承諾又は売付け等の申込みをされる方(以下「応募株主等」といいます。)は、公開買付代理人の本店又は国内各営業店において、所定の「公開買付応募申込書」に所要事項を記載する等の方法により、公開買付期間の末日の15時30分までに応募してください(但し、各営業店によって営業時間が異なります。事前にご利用になられる営業店の営業時間等をご確認の上、お手続ください。)。オンライントレード(https://trade.smbcnikko.co.jp/)(以下「日興イージートレード」といいます。)による応募株主等は、日興イージートレードログイン後、画面より「日興イージートレード 公開買付け取引規程」を確認の上、所要事項を入力し、公開買付期間の末日の15時30分までに応募してください。なお、日興イージートレードによる応募の受付には、応募株主等が公開買付代理人に開設した応募株主等名義の口座(以下「応募株主口座」といいます。)における日興イージートレードのご利用申込みが必要です。

 

③ 応募に際しては、応募株主口座に応募株券等が記録されている必要があります。

 

④ 本公開買付けにおいては、公開買付代理人以外の金融商品取引業者等を通じた応募の受付は行われません。

 

⑤ 公開買付代理人に口座を開設していない場合には、新規に口座を開設していただく必要があります(注1)。口座を開設される場合には、本人確認書類の提出及び個人番号(マイナンバー)又は法人番号の告知(注2)を行っていただく必要があります。

 

⑥ 外国の居住者である株主等(法人株主等を含みます。以下「外国人株主等」といいます。)の場合、日本国内の常任代理人(以下「常任代理人」といいます。)を通じて応募してください。また、本人確認書類(注2)をご提出いただく必要があります。なお、日興イージートレードにおいては、外国人株主等からの応募の受付を行いません。

 

⑦ 日本の居住者である個人株主の場合、買付けられた株券等に係る売却代金と取得費等との差額は、原則として株式等の譲渡所得等に関する申告分離課税(注3)の適用対象となります。

 

⑧ 公開買付代理人以外の金融商品取引業者等に開設された口座に記録されている株券等(対象者の特別口座の口座管理機関である三菱UFJ信託銀行株式会社に開設された特別口座に記録されている株券等を含みます。)については、当該応募株券等につき公開買付代理人の応募株主口座への振替手続を行う必要があります。公開買付代理人が、当該応募株券等につき、公開買付代理人の応募株主口座への振替手続が完了して公開買付代理人の応募株主口座に記録されていることを確認してからの受付となります。なお、振替手続には一定の日数を要する場合がありますのでご注意ください。また、一度特別口座から応募株主口座へ振替られた応募株券等については再度特別口座へ記録することはできません。

 

(注1) 口座開設に際し、個人株主は原則としてご印鑑が不要です。未成年、成年後見人制度をご利用の個人株主や、法人株主等が口座を開設される場合はご印鑑が必要です。また、既に開設されている応募株主口座のご登録内容の変更をされる場合等には、ご印鑑が必要となる場合があります。

 

(注2) 本人確認書類の提出及び個人番号(マイナンバー)又は法人番号の告知について

公開買付代理人に新規に口座を開設して応募される場合、又は外国人株主等が新規に口座を開設し常任代理人を通じて応募される場合には、次の本人確認書類及び番号確認書類等が必要になります。有効期限の定めのあるものはその期限内のものを、定めのないもの(通知カードは除く。)は6ヶ月以内に作成されたものをご用意ください。本人確認書類及び番号確認書類等の詳細につきましては、公開買付代理人にお尋ねください。

 

<個人>

A.番号確認書類

(いずれか1点)

個人番号カード(両面)(※1)

通知カード

住民票の写し(個人番号あり)(※2)

B.本人確認書類

(写真あり1点又は写真なし2点)

写真あり

運転免許証(運転経歴証明書)(※3)

在留カード

特別永住者証明書

パスポート(※4)

各種福祉手帳

写真なし

各種健康保険証(※3)

公務員共済組合の組合員証(※3)

国民年金手帳

印鑑証明書

住民票の写し(※2)

 

<法人>

A.本人確認書類

(いずれか1点)

履歴事項全部証明書

現在事項全部証明書

B.番号確認書類

(いずれか1点)

法人番号指定通知書

法人番号情報(※5)

C.口座開設取引担当者(代表者等)個人の本人確認書類

(いずれか1点)

運転免許証(※3)

個人番号カード(表)

各種健康保険証(※3)

公務員共済組合の組合員証(※3)

パスポート(※6)

 (※1) 番号確認書類として個人番号カードをご用意いただく場合、別途本人確認書類のご用意は不要です。

 (※2) 発行者の印、発行日が記載されているページまで必要となります。

 (※3) 裏面に住所が記載されている場合は、裏面まで必要となります。

 (※4) 住所、氏名、生年月日の確認ができる各ページが必要となります。なお、2020年2月4日以降発行のパスポートはご住所欄が無いため、ご利用できません。

 (※5) 法人番号情報は、国税庁HPの「法人番号公表サイト」より法人番号が表示される画面を印刷してください。

 (※6) 2020年2月4日以降発行のパスポートはご住所欄が無いため、別途、現住所が記載されている「本人確認書類1点」又は「納税証明書等の補完書類1点」の写しをご提出いただく必要があります。

 

<外国人株主等>

常任代理人に係る上記書類に加えて、常任代理人との間の委任契約に係る委任状又は契約書(当該外国人株主等の氏名又は名称、代表者の氏名及び国外の所在地の記載のあるものに限ります。)の写し、並びに常任代理人が金融機関以外の場合には日本国政府が承認した外国政府又は権限ある国際機関の発行した書類その他これに類するもので、居住者の本人確認書類に準じるもの

 

(注3) 株式等の譲渡所得等に関する申告分離課税について(日本の居住者である個人株主の場合)

個人株主の方につきましては、株式等の譲渡所得は原則として申告分離課税の適用対象となります。税務上の具体的なご質問等は税理士等の専門家に各自ご相談いただき、ご自身でご判断いただきますようお願い申し上げます。

 

(2)【契約の解除の方法】

 応募株主等は、公開買付期間中、いつでも本公開買付けに係る契約を解除することができます。

 契約の解除をする場合は、公開買付期間の末日の15時30分までに、下記に指定する者に本公開買付けに係る契約の解除を行う旨の書面(以下「解除書面」といいます。)を交付又は送付する等の方法によりお手続ください(但し、各営業店によって営業時間が異なります。事前にご利用になられる営業店の営業時間等をご確認の上、お手続ください。)。但し、送付の場合は、解除書面が公開買付期間の末日の15時30分までに、下記に指定する者に到達することを条件とします(但し、各営業店によって営業時間が異なります。事前にご利用になられる営業店の営業時間等をご確認の上、お手続ください。)。

 なお、日興イージートレードにおいて応募された契約の解除は、日興イージートレードログイン後、画面に記載される方法に従い、公開買付期間の末日の15時30分までに解除手続を行ってください。

 

解除書面を受領する権限を有する者

SMBC日興証券株式会社  東京都千代田区丸の内三丁目3番1号

(その他のSMBC日興証券株式会社国内各営業店)

 

(3)【株券等の返還方法】

 応募株主等が上記「(2)契約の解除の方法」に記載の方法により本公開買付けに係る契約の解除をした場合には、解除手続終了後速やかに、下記「10 決済の方法」の「(4)株券等の返還方法」に記載の方法により応募株券等を返還します。

 

(4)【株券等の保管及び返還を行う金融商品取引業者・銀行等の名称及び本店の所在地】

SMBC日興証券株式会社  東京都千代田区丸の内三丁目3番1号

 

8【買付け等に要する資金】

(1)【買付け等に要する資金等】

買付代金(円)(a)

8,729,458,040

金銭以外の対価の種類

金銭以外の対価の総額

買付手数料(円)(b)

110,000,000

その他(円)(c)

9,700,000

合計(円)(a)+(b)+(c)

8,849,158,040

 (注1) 「買付代金(円)(a)」欄は、本公開買付けにおける買付予定数(4,079,186株)に、1株当たりの買付価格(2,140円)を乗じた金額です。

 (注2) 「買付手数料(円)(b)」欄は、公開買付代理人に支払う手数料の見積額です。

 (注3) 「その他(円)(c)」欄は、本公開買付けに関する公開買付開始公告についてのお知らせ掲載費及び公開買付説明書その他必要書類の印刷費等の諸費用につき、その見積額です。

 (注4) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 (注5) その他公開買付代理人に支払われる諸経費及び弁護士報酬等がありますが、その額は本公開買付け終了後まで未定です。

 (注6) 本公開買付けは、セコム及びISフロンティアパートナーズが有する対象者株式に係る議決権の比率をそれぞれ75%及び25%とすることを目的としているため、買付予定数を4,079,186株(所有割合:28.34%)としつつ、応募株券等の総数のうち、480,941株(所有割合:3.34%)までの応募株券等についてはセコムが買付け等を行い、その残りの応募株券等についてISフロンティアパートナーズが買付け等を行う(但し、応募株券等の総数が480,941株(所有割合:3.34%)未満の場合には、セコムが応募株券等の全部の買付け等を行う)こととしております。そのため、買付け等に要する資金等の「合計(a)+(b)+(c)」は、公開買付者らそれぞれが、以下のとおり充当する予定です。

公開買付者名         充当予定金額

セコム            1,042,038,740円

ISフロンティアパートナーズ  7,807,119,300円

 

(2)【買付け等に要する資金に充当しうる預金又は借入金等】

①【届出日の前々日又は前日現在の預金】

(セコム)

種類

金額(千円)

普通預金

3,261,940

計(a)

3,261,940

 

(ISフロンティアパートナーズ)

種類

金額(千円)

計(a)

 

②【届出日前の借入金】
イ【金融機関】

(セコム)

 

借入先の業種

借入先の名称等

借入契約の内容

金額(千円)

 

(ISフロンティアパートナーズ)

 

借入先の業種

借入先の名称等

借入契約の内容

金額(千円)

 

ロ【金融機関以外】

(セコム)

借入先の業種

借入先の名称等

借入契約の内容

金額(千円)

 

(ISフロンティアパートナーズ)

借入先の業種

借入先の名称等

借入契約の内容

金額(千円)

 

③【届出日以後に借入れを予定している資金】
イ【金融機関】

(セコム)

 

借入先の業種

借入先の名称等

借入契約の内容

金額(千円)

計(b)

 

(ISフロンティアパートナーズ)

 

借入先の業種

借入先の名称等

借入契約の内容

金額(千円)

計(b)

 

ロ【金融機関以外】

(セコム)

借入先の業種

借入先の名称等

借入契約の内容

金額(千円)

計(c)

 

(ISフロンティアパートナーズ)

借入先の業種

借入先の名称等

借入契約の内容

金額(千円)

金融業

伊藤忠トレジャリー株式会社

(東京都港区北青山二丁目5番1号)

買付け等に要する資金に充当するための借入れ(注)

弁済期:未定

金利 :未定

担保 :未定

7,700,000

計(c)

7,700,000

 (注) 伊藤忠トレジャリー株式会社は、伊藤忠商事が議決権の100%を所有する同社の子会社です。ISフロンティアパートナーズは上記金額の裏付けとして、伊藤忠トレジャリー株式会社から7,700,000千円を限度として融資を行う用意がある旨の融資証明書(本書の添付書類)を2024年9月4日付で取得しております。なお、当該融資の貸付実行のための前提条件として、本公開買付けの成立のみが定められております。ISフロンティアパートナーズは、伊藤忠トレジャリー株式会社の2024年3月末時点の貸借対照表及び同社の親会社である伊藤忠商事が2024年6月21日に提出した第100期有価証券報告書に記載された連結財務諸表の連結財政状態計算書を確認する方法により、伊藤忠トレジャリー株式会社に当該融資を行う資金が十分であることを確認しております。

 

④【その他資金調達方法】

(セコム)

内容

金額(千円)

計(d)

 

(ISフロンティアパートナーズ)

内容

金額(千円)

伊藤忠商事による出資(注)

(東京都港区北青山二丁目5番1号)

400,000

計(d)

400,000

 (注) ISフロンティアパートナーズは、上記金額の出資の裏付けとして、ISフロンティアパートナーズの完全親会社である伊藤忠商事から400,000千円を限度として出資を行う用意がある旨の出資証明書(本書の添付書類)を2024年9月4日付で取得しております。なお、当該出資の実行のための前提条件として、本公開買付けの成立のみが定められております。ISフロンティアパートナーズは、伊藤忠商事が2024年6月21日に提出した第100期有価証券報告書に記載された連結財務諸表の連結財政状態計算書を確認する方法により、伊藤忠商事が上記出資を行う資力が十分であることを確認しております。

 

⑤【買付け等に要する資金に充当しうる預金又は借入金等の合計】

11,361,940千円((a)+(b)+(c)+(d))

 

(3)【買付け等の対価とする有価証券の発行者と公開買付者との関係等】

 該当事項はありません。

 

9【買付け等の対価とする有価証券の発行者の状況】

 該当事項はありません。

 

10【決済の方法】

(1)【買付け等の決済をする金融商品取引業者・銀行等の名称及び本店の所在地】

SMBC日興証券株式会社  東京都千代田区丸の内三丁目3番1号

 

(2)【決済の開始日】

2024年10月28日(月曜日)

 

(3)【決済の方法】

 公開買付期間終了後遅滞なく、本公開買付けによる買付け等の通知書を応募株主等(外国人株主等の場合にはその常任代理人)の住所又は所在地宛に郵送します。なお、日興イージートレードからの応募については、電磁的方法により交付します。

 買付けは、現金にて行います。買付けられた株券等に係る売却代金は、応募株主等(外国人株主等の場合にはその常任代理人)の指示により、決済の開始日以後遅滞なく、公開買付代理人から応募株主等(外国人株主等の場合にはその常任代理人)の指定した場所へ送金します。

 

(4)【株券等の返還方法】

 下記「11 その他買付け等の条件及び方法」の「(1)法第27条の13第4項各号に掲げる条件の有無及び内容」又は「(2)公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法」に記載の条件に基づき応募株券等の全部を買付けないこととなった場合には、公開買付代理人は、返還することが必要な株券等を、公開買付期間の末日の翌々営業日(本公開買付けの撤回等を行った場合は撤回等を行った日)に、公開買付代理人の応募株主口座上で、応募が行われた時の状態(応募が行われた時の状態とは、本公開買付けへの応募注文の執行が解除された状態を意味します。)に戻します。

 

11【その他買付け等の条件及び方法】

(1)【法第27条の13第4項各号に掲げる条件の有無及び内容】

 公開買付者らは、買付予定数の上限及び下限を設定しておりません。従って、公開買付者らは、応募株券等の全部の買付け等を行います。

 

(2)【公開買付けの撤回等の条件の有無、その内容及び撤回等の開示の方法】

 令第14条第1項第1号イ乃至ヌ及びワ乃至ツ、第3号イ乃至チ及びヌ、並びに同条第2項第3号乃至第6号に定める事項のいずれかが生じた場合は、本公開買付けの撤回等を行うことがあります。なお、令第14条第1項第3号ヌに定める「イからリまでに掲げる事実に準ずる事実」とは、①対象者が過去に提出した法定開示書類について、重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項の記載が欠けていることが判明した場合であって、公開買付者らが当該虚偽記載等があることを知らず、かつ、相当の注意を用いたにもかかわらず知ることができなかった場合、及び②対象者の重要な子会社に同号イ乃至トまでに掲げる事実が発生した場合をいいます。

 撤回等を行おうとする場合は、電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。但し、公開買付期間の末日までに公告を行うことが困難な場合は、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。

 

(3)【買付け等の価格の引下げの条件の有無、その内容及び引下げの開示の方法】

 法第27条の6第1項第1号の規定により、対象者が公開買付期間中に令第13条第1項に定める行為を行った場合は、府令第19条第1項の規定に定める基準に従い、買付け等の価格の引下げを行うことがあります。

 買付け等の価格の引下げを行おうとする場合は、電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。但し、公開買付期間の末日までに公告を行うことが困難な場合は、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。

 買付け等の価格の引下げがなされた場合、当該公告が行われた日以前の応募株券等についても、引下げ後の買付け等の価格により買付け等を行います。

 

(4)【応募株主等の契約の解除権についての事項】

 応募株主等は、公開買付期間中、いつでも本公開買付けに係る契約を解除することができます。解除の方法については、上記「7 応募及び契約の解除の方法」の「(2)契約の解除の方法」に記載の方法によるものとします。

 なお、公開買付者らは、応募株主等による契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払いを応募株主等に請求することはありません。また、応募株券等の返還に要する費用も公開買付者らの負担とします。解除を申し出られた場合には、応募株券等は当該解除の申出に係る手続終了後速やかに上記「10 決済の方法」の「(4)株券等の返還方法」に記載の方法により返還します。

 

(5)【買付条件等の変更をした場合の開示の方法】

 公開買付者らは、公開買付期間中、法第27条の6第1項及び令第13条により禁止される場合を除き、買付条件等の変更を行うことがあります。

 買付条件等の変更を行おうとする場合は、その変更等の内容につき電子公告を行い、その旨を日本経済新聞に掲載します。但し、公開買付期間の末日までに公告を行うことが困難な場合は、府令第20条に規定する方法により公表し、その後直ちに公告を行います。

 買付条件等の変更がなされた場合、当該公告が行われた日以前の応募株券等についても、変更後の買付条件等により買付け等を行います。

 

(6)【訂正届出書を提出した場合の開示の方法】

 訂正届出書を関東財務局長に提出した場合(但し、法第27条の8第11項但書に規定する場合を除きます。)は、直ちに、訂正届出書に記載した内容のうち、公開買付開始公告に記載した内容に係るものを、府令第20条に規定する方法により公表します。また、直ちに公開買付説明書を訂正し、かつ、既に公開買付説明書を交付している応募株主等に対しては、訂正した公開買付説明書を交付して訂正します。但し、訂正の範囲が小範囲に止まる場合には、訂正の理由、訂正した事項及び訂正後の内容を記載した書面を作成し、その書面を応募株主等に交付することにより訂正します。

 

(7)【公開買付けの結果の開示の方法】

 本公開買付けの結果については、公開買付期間の末日の翌日に、令第9条の4及び府令第30条の2に規定する方法により公表します。

 

(8)【その他】

 本公開買付けは、直接間接を問わず、米国内において若しくは米国に向けて行われるものではなく、また米国の郵便その他の州際通商若しくは国際通商の方法・手段(電話、テレックス、ファクシミリ、電子メール、インターネット通信を含みますが、これらに限りません。)を使用して行われるものではなく、更に米国の証券取引所施設を通じて行われるものでもありません。上記方法・手段により、若しくは上記施設を通じて、又は米国内から本公開買付けに応募することはできません。

 また、本書又は関連する買付書類は、米国内において若しくは米国に向けて又は米国内から、郵送その他の方法によって送付又は配布されるものではなく、かかる送付又は配布を行うことはできません。上記制限に直接又は間接に違反する本公開買付けへの応募はお受けいたしません。

 本公開買付けに応募する方(外国人株主等の場合はその常任代理人)はそれぞれ、以下の表明・保証を行うことを要求されます。

 応募者が応募の時点及び公開買付応募申込書送付の時点のいずれにおいても、米国に所在していないこと、応募者が本公開買付けに関するいかなる情報若しくは買付けに関する書類も、直接間接を問わず、米国内において、若しくは米国に向けて、又は米国内からこれを受領したり送付したりしていないこと、買付け若しくは公開買付応募申込書の署名若しくは交付に関して、直接間接を問わず、米国の郵便その他の州際通商若しくは国際通商の方法・手段(電話、テレックス、ファクシミリ、電子メール、インターネット通信を含みますが、これらに限りません。)又は米国内の証券取引所施設を使用していないこと、及び他の者の完全な裁量権のない代理人又は受託者・受任者として行動している者ではないこと(当該他の者が買付けに関する全ての指示を米国外から与えている場合を除きます。)。

 

第2【公開買付者の状況】

1【会社の場合】

(セコム)

(1)【会社の概要】

①【会社の沿革】

 

②【会社の目的及び事業の内容】

 

③【資本金の額及び発行済株式の総数】

 

④【大株主】

年 月 日現在

 

氏名又は名称

住所又は所在地

所有株式数

(千株)

発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合

(%)

 

⑤【役員の職歴及び所有株式の数】

年 月 日現在

 

役名

職名

氏名

生年月日

職歴

所有株式数

(千株)

 

(2)【経理の状況】

①【貸借対照表】

 

②【損益計算書】

 

③【株主資本等変動計算書】

 

(3)【継続開示会社たる公開買付者に関する事項】

①【公開買付者が提出した書類】

イ【有価証券報告書及びその添付書類】

 事業年度 第63期(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) 2024年6月25日 関東財務局長に提出

 

ロ【半期報告書】

 該当事項はありません。

 

ハ【訂正報告書】

 該当事項はありません。

 

②【上記書類を縦覧に供している場所】

セコム株式会社

(東京都渋谷区神宮前一丁目5番1号)

セコム株式会社 大阪本部

(大阪市城東区森之宮一丁目6番111号)

セコム株式会社 神奈川本部

(横浜市西区北幸二丁目10番39号)

セコム株式会社 中部本部

(名古屋市東区主税町二丁目9番地)

セコム株式会社 兵庫本部

(神戸市中央区海岸通一丁目2番31号)

セコム株式会社 東関東本部

(千葉市美浜区新港14番地2)

セコム株式会社 西関東本部

(さいたま市大宮区土手町二丁目15番1号)

株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

 

(ISフロンティアパートナーズ)

(1)[会社の概要]

①[会社の沿革]

年月

沿革

2024年7月

商号をISフロンティアパートナーズ株式会社とし、本店所在地を東京都港区北青山二丁目5番1号、資本金を500,000円とする株式会社として設立

 

②[会社の目的及び事業の内容]

会社の目的

1.地理空間情報関連ビジネスの発展に関するコンサルティング

2.地理空間情報関連ビジネスに対する投融資

3.前各号に付帯関連する一切の業務

 

事業の内容

 ISフロンティアパートナーズは、対象者の株券等を取得及び所有すること等を主たる事業としております。

 

③[資本金の額及び発行済株式の総数]

2024年9月6日現在

 

資本金の額(円)

発行済株式の総数(株)

500,000

1,000

 (注) ISフロンティアパートナーズは、本公開買付けの決済の開始日の遅くとも2営業日前までに、上記「第1 公開買付要項」の「8 買付け等に要する資金」の「(2)買付け等に要する資金に充当しうる預金又は借入金等」の「④ その他資金調達方法」に記載のとおり、400,000千円を上限とした出資を伊藤忠商事から受ける予定であり、これにより、ISフロンティアパートナーズの資本金の額及び発行済株式の総数が増加することが予定されております。

 

④[大株主]

2024年9月6日現在

 

氏名又は名称

住所又は所在地

所有株式数

(千株)

発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合

(%)

伊藤忠商事株式会社

東京都港区北青山二丁目5番1号

1,000

100.00

1,000

100.00

 

⑤[役員の職歴及び所有株式の数]

2024年9月6日現在

 

役名

職名

氏名

生年月日

職歴

所有株式数

(千株)

代表取締役社長

髙部 公彦

1974年6月28日

1999年4月

伊藤忠商事株式会社入社

2019年4月

ITビジネス第三課長代行

2019年5月

ITビジネス第三課長

2022年4月

フロンティアビジネス第二課長

2024年4月

フロンティアビジネス部長

取締役

荒巻 裕史

1980年10月19日

2003年4月

伊藤忠商事株式会社入社

2021年5月

通信・モバイルビジネス第一課長代行

2022年4月

フロンティアビジネス第三課長

取締役

畑田 悠斗

1991年9月5日

2014年4月

伊藤忠商事株式会社入社

監査役

立本 浩之

1974年5月2日

1998年4月

伊藤忠商事株式会社入社

2018年5月

経理部単体決算管理室長代行

2024年5月

情報・金融経理室長

 

(2)[経理の状況]

 ISフロンティアパートナーズは、2024年7月24日に設立された株式会社であり、設立後、事業年度が終了していないため、財務諸表は作成されておりません。

 

(3)[継続開示会社たる公開買付者に関する事項]

①[公開買付者が提出した書類]

イ[有価証券報告書及びその添付書類]

 

ロ[半期報告書]

 

ハ[訂正報告書]

 

②[上記書類を縦覧に供している場所]

 

2【会社以外の団体の場合】

 該当事項はありません。

 

3【個人の場合】

 該当事項はありません。

 

第3【公開買付者及びその特別関係者による株券等の所有状況及び取引状況】

1【株券等の所有状況】

(1)【公開買付者及び特別関係者による株券等の所有状況の合計】

(2024年9月6日現在)

 

 

所有する株券等の数

令第7条第1項第2号に該当する株券等の数

令第7条第1項第3号に該当する株券等の数

株券

103,168(個)

-(個)

-(個)

新株予約権証券

新株予約権付社債券

株券等信託受益証券(   )

株券等預託証券(     )

合計

103,168

所有株券等の合計数

103,168

(所有潜在株券等の合計数)

(-)

 (注1) 特別関係者である対象者は、2024年6月30日現在、対象者株式22,039株を所有しておりますが、全て自己株式であるため、議決権はありません。

 (注2) セコム及びISフロンティアパートナーズは相互に特別関係者に該当しますが、重複記載を回避するため、上記「(1)公開買付者及び特別関係者による株券等の所有状況の合計」の計算において、セコムが所有する株券等の数は、特別関係者所有分としては加算されておりません。

 (注3) 公開買付者らは、本書提出後に特別関係者の所有する対象者の株券等を確認の上、本書の訂正が必要な場合には、本書に係る訂正届出書を提出する予定です。

 

(セコム分)

(2024年9月6日現在)

 

 

所有する株券等の数

令第7条第1項第2号に該当する株券等の数

令第7条第1項第3号に該当する株券等の数

株券

103,168(個)

-(個)

-(個)

新株予約権証券

新株予約権付社債券

株券等信託受益証券(   )

株券等預託証券(     )

合計

103,168

所有株券等の合計数

103,168

(所有潜在株券等の合計数)

(-)

 (注) 特別関係者である対象者は、2024年6月30日現在、対象者株式22,039株を所有しておりますが、全て自己株式であるため、議決権はありません。

 

(ISフロンティアパートナーズ分)

(2024年9月6日現在)

 

 

所有する株券等の数

令第7条第1項第2号に該当する株券等の数

令第7条第1項第3号に該当する株券等の数

株券

-(個)

-(個)

-(個)

新株予約権証券

新株予約権付社債券

株券等信託受益証券(   )

株券等預託証券(     )

合計

所有株券等の合計数

(所有潜在株券等の合計数)

(-)

 (注) 上記の計算において、ISフロンティアパートナーズの特別関係者としてのセコムが所有する株券等の数については加算しておりません。

 

(2)【公開買付者による株券等の所有状況】

(2024年9月6日現在)

 

 

所有する株券等の数

令第7条第1項第2号に該当する株券等の数

令第7条第1項第3号に該当する株券等の数

株券

103,168(個)

-(個)

-(個)

新株予約権証券

新株予約権付社債券

株券等信託受益証券(   )

株券等預託証券(     )

合計

103,168

所有株券等の合計数

103,168

(所有潜在株券等の合計数)

(-)

 (注) 上記表には、公開買付者らが所有する株券等の数の合計を記載しております。

 

(セコム分)

(2024年9月6日現在)

 

 

所有する株券等の数

令第7条第1項第2号に該当する株券等の数

令第7条第1項第3号に該当する株券等の数

株券

103,168(個)

-(個)

-(個)

新株予約権証券

新株予約権付社債券

株券等信託受益証券(   )

株券等預託証券(     )

合計

103,168

所有株券等の合計数

103,168

(所有潜在株券等の合計数)

(-)

 

(ISフロンティアパートナーズ分)

(2024年9月6日現在)

 

 

所有する株券等の数

令第7条第1項第2号に該当する株券等の数

令第7条第1項第3号に該当する株券等の数

株券

-(個)

-(個)

-(個)

新株予約権証券

新株予約権付社債券

株券等信託受益証券(   )

株券等預託証券(     )

合計

所有株券等の合計数

(所有潜在株券等の合計数)

(-)

 

(3)【特別関係者による株券等の所有状況(特別関係者合計)】

 該当事項はありません。

 なお、セコム及びISフロンティアパートナーズは相互に特別関係者に該当しますが、重複記載を回避するため、セコムが所有する株券等の数は、本「特別関係者による株券等の所有状況(特別関係者合計)」においては記載しておりません。

 

(4)【特別関係者による株券等の所有状況(特別関係者ごとの内訳)】

 該当事項はありません。

 

2【株券等の取引状況】

(1)【届出日前60日間の取引状況】

 該当事項はありません。

 

3【当該株券等に関して締結されている重要な契約】

(1)本共同公開買付契約

 セコム及び伊藤忠商事は、2024年9月5日付で、本取引に関して本共同公開買付契約を締結しております。詳細は、上記「第1 公開買付要項」の「3 買付け等の目的」の「(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「① 本共同公開買付契約」をご参照ください。

 

(2)本株主間契約

 セコム及び伊藤忠商事は、2024年9月5日付で、対象者グループの共同運営等に関して、本株主間契約を締結しております。詳細は、上記「第1 公開買付要項」の「3 買付け等の目的」の「(6)本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」の「② 本株主間契約」をご参照ください。

 

4【届出書の提出日以後に株券等の買付け等を行う旨の契約】

 該当事項はありません。

 

第4【公開買付者と対象者との取引等】

1【公開買付者と対象者又はその役員との間の取引の有無及び内容】

(単位:百万円)

 

取引の内容

取引金額

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

セコムが対象者から受領する配当金

361

412

722

セコムが対象者から受領する出向者給与

165

154

144

セコムが対象者から購入する商品及びサービス

201

31

93

 

2【公開買付者と対象者又はその役員との間の合意の有無及び内容】

(1)本公開買付けへの賛同表明

 対象者プレスリリースによれば、対象者は、2024年9月5日開催の対象者取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、対象者の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議したとのことです。

 なお、対象者の取締役会決議に係る詳細については、対象者プレスリリース及び上記「第1 公開買付要項」の「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」の「(ⅵ)対象者における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。

 

(2)本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程、並びに本公開買付け後の経営方針

 上記「第1 公開買付要項」の「3 買付け等の目的」の「(2)本公開買付けを決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」をご参照ください。

 

(3)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

 上記「第1 公開買付要項」の「4 買付け等の期間、買付け等の価格及び買付予定の株券等の数」の「(2)買付け等の価格」の「算定の経緯」の「(本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置)」をご参照ください。

 

第5【対象者の状況】

1【最近3年間の損益状況等】

(1)【損益の状況】

決算年月

売上高

売上原価

販売費及び一般管理費

営業外収益

営業外費用

当期純利益(当期純損失)

 

(2)【1株当たりの状況】

決算年月

1株当たり当期純損益

1株当たり配当額

1株当たり純資産額

 

2【株価の状況】

金融商品取引所名又は認可金融商品取引業協会名

東京証券取引所 スタンダード市場

月別

2024年3月

2024年4月

2024年5月

2024年6月

2024年7月

2024年8月

2024年9月

最高株価(円)

1,933

1,974

2,075

1,866

1,927

1,884

1,735

最低株価(円)

1,830

1,812

1,804

1,740

1,790

1,403

1,623

 (注) 2024年9月については、9月5日までの株価です。

 

3【株主の状況】

(1)【所有者別の状況】

年 月 日現在

 

区分

株式の状況(1単元の株式数  株)

単元未満株式の状況

(株)

政府及び地方公共団体

金融機関

金融商品取引業者

その他の法人

外国法人等

個人その他

個人以外

個人

株主数(人)

所有株式数

(単位)

所有株式数の割合(%)

 

(2)【大株主及び役員の所有株式の数】

①【大株主】

年 月 日現在

 

氏名又は名称

住所又は所在地

所有株式数

(株)

発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合

(%)

 

②【役員】

年 月 日現在

 

氏名

役名

職名

所有株式数

(株)

発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合

(%)

 

4【継続開示会社たる対象者に関する事項】

(1)【対象者が提出した書類】

①【有価証券報告書及びその添付書類】

 事業年度 第75期(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 2023年6月23日 関東財務局長に提出

 事業年度 第76期(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) 2024年6月21日 関東財務局長に提出

 

②【半期報告書】

 該当事項はありません。

 

③【臨時報告書】

 該当事項はありません。

 

④【訂正報告書】

 該当事項はありません。

 

(2)【上記書類を縦覧に供している場所】

株式会社パスコ

(東京都目黒区下目黒一丁目7番1号)

株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

 

5【伝達を受けた公開買付け等の実施に関する事実の内容等】

 該当事項はありません。

 

6【その他】

「2025年3月期期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」の公表

 対象者が、2024年9月5日付で公表した「2025年3月期期末配当予想の修正(無配)に関するお知らせ」によれば、対象者は同日開催の対象者取締役会において、本公開買付けが成立することを条件に、2025年3月期の配当予想を修正し、2025年3月期の期末配当を行わないことを決議したとのことです。詳細につきましては、対象者の当該公表内容をご参照ください。