第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの理念、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 理念等

当社グループは、存在意義や使命としての「パーパス」並びに大切にする価値観である「バリュー」をグループ共通の「理念」として定めております。また、理念に基づき、社会・ステークホルダーへの基本的な向き合い方を明確化した「オリコがめざすサステナビリティ」を掲げております。

 

〔パーパス〕

その夢の、一歩先へ

Open the Future with You

〔バリュー〕

正しさを求める 信頼を育む

未来を想う   挑戦を楽しむ

 

〔オリコがめざすサステナビリティ〕

私たちは、「その夢の、一歩先へ」というパーパスを掲げています。これには、お客さまをはじめとするステークホルダーの皆さまのパートナーとして、一人ひとりのいまと未来に親身に寄り添い、真摯に向き合い、時には熱意をもってリードするという私たちの想いが込められています。

私たちがめざすのは、誰もが豊かな人生を実現できる持続可能な社会。イノベーションの力で様々な社会課題を解決し、未来の世代へと継承していきたいと考えています。

そのために、私たちは信頼されるパートナーとして、すべての企業活動を通じて社会に貢献し、社会価値と企業価値の両立を追求してまいります。

 

(2) 経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等

① 前中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の振り返り

 当期におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加等を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、景気の先行きは、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、関税引き上げ等、米国の政策運営による各国経済への影響が懸念されており、依然として不透明な状況が続いております。また、金融市場の変動等には十分注意する必要があるものと認識しております。

 このような状況のなか、中期経営計画最終年度となる2025年3月期につきましても、「Transformation Now! ~お客さま起点で価値を創造する新時代の金融サービスグループへ~」をスローガンに掲げ、4つの事業戦略(①重点市場の深耕と新規事業の探索②顧客ニーズを起点としたマーケットイン型営業の確立③異業種・先端企業との協働による新たなサービスの創出④プロセスイノベーションの深掘)に基づくアプローチを徹底してまいりました。

 厳しい経営環境を踏まえ、リスクリターン、コストリターンに基づく事業ポートフォリオ運営の更なる高度化を図り、金利上昇等、環境が変化するなかでも持続的な成長軌道を確立するための強固な収益基盤の構築に努めてまいりましたが、前中期経営計画における経営目標(経常利益、ROE、営業収益一般経費率)についてはいずれも未達となりました。主な要因として、重点市場と位置付けた海外事業における貸倒関係費の増大や、事業構造改革の遅れにより収益力低下に歯止めをかけることができない中で、金利上昇という逆風が影響しました。

 

 一方で、「グリーン」「デジタル」「オープンイノベーション」を切り口とした社会課題解決に繋がる有望なサービスの萌芽が見られます。具体的には、性能規定与信を活用したデジタルカードやデジタル分割払いに加え、オープンイノベーションを活用したアキカツローンやOBS(Orico Business payment for SME)など、社会課題解決に寄与する新商品・サービスをリリースいたしました。さらに、株式会社みずほ銀行との連携に加え、独自の経済圏を有するイオンフィナンシャルサービス株式会社、楽天グループ株式会社などとの提携・協業関係を相次いで構築しております。今後、こうした新商品・サービスの拡大や独自経済圏を梃子に事業基盤を拡充させてまいります。

 

 経営基盤、財務規律の面では、2022年6月にこれまでの監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行するとともに、取締役会における独立社外取締役の比率も3分の1以上に引き上げ、ガバナンス体制の一層の充実を図りました。また、新たな理念を策定するとともに、サステナビリティを経営の上位概念に位置付けて取組みを強化した結果、脱炭素に向けた取組みと開示が評価され企業の環境や気候変動対策への取組みを評価する国際的なNGOであるCDPから、全世界の回答企業の上位2%であるAリスト企業として認定されました。加えて、サステナブル投資のファンドや他の金融商品の作成・評価に広く利用されているESG指数への組入れも果たしております。具体的には、FTSEの世界的なESG指数シリーズであるFTSE4Good Developed Index並びにFTSE4Good Japan Indexの2銘柄、及びGPIFが採用するESG指数6銘柄のうち5銘柄に組入れをされております。

 人財戦略においては、めざす姿として「会社と社員が互いに成長できるWin-Winな関係構築を通じた社員エンゲージメントの最大化」を掲げ、オリコで働くすべての社員が仕事を通じて“自分らしく活躍できる”会社に向けて「自律的なキャリア形成支援」「ミッションを軸とした人事制度」「働きやすい環境の整備」を軸に人事制度を見直し、望まない転居転勤の廃止やジョブポスティングの導入を行っております。また、財務規律においては、外部格付が「A+」まで上昇したことにより資金調達基盤が安定いたしました。

 

② 今中期経営計画(2026年3月期~2030年3月期)の取組方針

 2030年3月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画策定にあたり、昨年4月に制定した新たな理念(パーパス:その夢の、一歩先へ)を踏まえ、10年後のめざす社会、めざす姿を再定義しました。

 今中期経営計画期間における当社グループを取り巻く経営環境については、少子高齢化、金利ある世界への回帰、デジタル化・キャッシュレス化の進展、所有から利用へ流れが加速するなど、大きな転換点を迎えております。とりわけ、生成AIを中心としたテクノロジーの急速な進展により、現時点では想像できないインフラ・サービスの登場などのゲームチェンジが起こりつつあると想定されます。

 これらを踏まえ、当社グループの強みであるこれまで紡いできた英知と信頼の証である審査・回収などの与信の力とAIなどのテクノロジーをかけあわせ、さまざまなお客さまに安全・安心・便利な金融サービスを提供することで、社会課題や金融ニーズに応えていき、新たな金融シーンを創出していきたいと考えています。

 

 

  めざす社会 誰もが豊かな人生を実現できる持続可能な社会

 

  めざす姿 「与信 X テクノロジー」で新たな金融シーンを創りだす先進企業

        ~お客さまの笑顔と豊かな未来のために~

         ※「X」=かけあわせることでのイノベーションとトランスフォーメーションのエックスの両義的な意味

 

 

 10年後のめざす社会・めざす姿を実現するために、優先的に取組むべき重要課題としてマテリアリティの見直しを行いました。当社グループの商品やサービス等を含むあらゆる戦略の根幹を成す位置づけにあり、「何のためにその事業を行うのか」「商品・サービスを開発・販売するのか」「その施策を行うのか」を、マテリアリティを起点に決定します。

 

 テクノロジーの進展により、決済手段の多様化とキャッシュレス化が進行していますが、不正や金融犯罪の問題も深刻化しています。お客さまが安全・安心かつ利便性高くキャッシュレスサービスを利用できる環境を整えることは、リテール金融事業者としての当社グループの最重要課題です。また、日本の企業の99%を占める中小企業においても、キャッシュレス化や業務効率化のニーズが高まっています。

 今後、ますます社会経済状況が複雑化し、価値観やライフスタイルも変化するなかで、お客さまが自分らしい生活を築くための多様な商品やサービスのニーズが一層高まると考えられます。また、社会構造の変化に伴い、フリーランスや在留外国人、高齢者、単身世帯、スタートアップ事業者など、お客さまの属性も多様化する見込みです。ニーズや属性が多様化していくなかで、生活を支える金融サービスを皆さまがより便利に利用できるようにすることは、当社グループにとって重要な使命であり、社会全体の活力を高めるためにも欠かせません。

 

 

 上記を踏まえ、新たな4つの成長牽引マテリアリティと2つの経営基盤マテリアリティを定めました。なお、マテリアリティの見直しの過程においては、内外の有識者との議論及び経営会議・取締役会における複数回の議論を重ねております。

 

《成長牽引マテリアリティ》

①個人や中小企業にとって安全・安心・便利な「キャッシュレス社会」実現への貢献

 キャッシュレスの進展に伴う不正の増加・巧妙化は重要な社会課題です。中小企業DX支援(企業間決済、売掛金決済保証等)の領域は、人手不足等社会課題の解決にもつながる取組であり、企業価値と社会価値の両立を図る上で極めて重要と判断しました。

 

②お客さま一人ひとりのニーズを捉えた新たな顧客体験価値の創造

 今後10年の間に、お客さまの属性・ライフスタイル・価値観が一段と多様化すると見込まれ、当社グループは分割払いや決済保証などの領域で貢献することが求められています。多様なニーズを先取りした新たな金融サービスの提供は、当社グループのみならず社会全体の活力を高める上で特に重要と判断しました。

 

③地域経済活性化への貢献

 地域経済活性化は、当社グループ及び加盟店・提携先金融機関等ビジネスパートナーの商圏の維持・拡大において重要です。ビジネスパートナーと連携し地域の個人・中小企業に円滑な金融を提供し、販路拡大や労働力不足対応にも貢献することはめざす社会実現のうえで不可欠と整理したため、マテリアリティとしました。

 

④循環型社会・脱炭素化実現への貢献

 セカンドハンドやリユース等のマーケットでプレゼンスを有する当社グループに対し、ビジネスを通じた循環型社会実現へのステークホルダーの期待値は潜在的に高いと整理しました。所有から利用への価値観の変化等を先取りした新たなサービスの提供は事業面でも重要であります。

 

《経営基盤マテリアリティ》

①イノベーションを後押しするインクルージョン&ダイバーシティの推進

 インクルージョンこそイノベーションの源泉と当社グループでは位置づけ、多様な属性・バックグラウンド・強みを有する役職員が、多様な外部のステークホルダーと連携し、自ら挑戦のうえイノベーションを起こせる組織となっていくことを当社グループは志向しています。経営基盤強化・事業面の成功の必須条件と位置づけており、マテリアリティとしました。

 

②コーポレートガバナンス・リスクマネジメント

 強みである与信力(審査・オペレーション・回収含む)の担保及び強化と、グループ経営高度化等ガバナンス強化は事業成功の前提となる重要課題と認識しています。

 

 新たな中期経営計画においては、足元の課題を踏まえつつ、10年後のめざす姿「与信 X テクノロジーで新たな金融シーンを創りだす先進企業」からバックキャスティングし、「オリコならではの金融モデルの確立」を最終年度の到達点として定めました。

 

オリコならではの金融モデルの確立

 

マテリアリティ(重要課題)解決を起点にオリコの代名詞となる事業領域を確立

◆従来型の信販モデルから発展的に脱却 ⇒ 真にお客さまを軸とした事業モデルへの転換を実現

(お客さまに選ばれ続ける企業へ)

◆オリコの強み(=紡いできた英知と信頼)である与信・回収・オペレーション等をテクノロジーの力で磨きをかけ競争優位の源泉として確立

 

 

 今中期経営計画の期間は5年間とし、前半3年間で、早期に事業構造改革を完遂し、捻出された経営資源を成長領域に振り向け、分割払い・企業間決済・個人向けリース等、前中期経営計画の成果を活かして、競争優位性のある事業の基盤固めをしたうえで、後半2年間では、市場シェアの拡大・収益獲得を加速化し、今中期経営計画の期間中、早期にPBR1倍超を実現してまいります。

 この実現に向けて、経営目標と4つの事業戦略・4つの経営基盤戦略を策定いたしました。

 

《経営目標》

PBR1倍超を実現するために、以下の財務上の経営目標を定めました。

 

2028年3月期

2030年3月期

経常利益

250億円超

500億円超

ROE

7.5%以上

12%以上

営業収益一般経費率

60%未満

50%台前半

 

《事業戦略》

①事業構造改革の完遂

・前中期経営計画からの継続課題である事業構造改革や海外事業の抜本的見直しを含め、不採算分野の縮退、事業効率化、経営資源の再配分を通じ、事業ポートフォリオの再構築を早期に完遂

・リアルとデジタルのタッチポイント最適化と営業のやり方/型づくり等を含めたマーケットインの営業改革を実践

 

②新たな体験価値提供を通じたお客さまとのエンゲージメント強化

・マテリアリティに掲げる新たな顧客体験価値の創造に向けて、eオリコを入口としてお客さまに新たな体験価値を提供し、ロイヤリティやエンゲージメントを高めることで、当社グループ独自のネットワーク経済圏を構築(お客さまから選ばれ続ける企業へ)

・リスクベースドプライシング導入等も含め、与信・回収・オペレーションの更なるレベルアップを通じたお客さまの獲得とリテインを促進

 

③中小企業等への信用供与・生産性向上支援

・安全・安心で利便性の高い「キャッシュレス社会」実現へ貢献するため、法人与信モデル高度化を梃子にした信用供与拡大に加え、キャッシュレス等のDX支援を拡充(地域経済、ひいては日本全体の経済活性化にも貢献)

 

④サーキュラーエコノミー市場の深耕

・循環型社会・脱炭素化の実現へ貢献するため、リユースやリサイクルに対する意識の高まりと所有から利用への潮流を捉え、リテール領域での資源循環市場を深掘

 

※株式会社みずほ銀行との連携に加え、大手事業者等の提携・協業を梃子に独自経済圏を深耕し、②③④をスケーリング

 

《経営基盤戦略》 事業戦略を推進するうえで不可欠な経営基盤を重点的に強化

①デジタル/AI利活用の徹底拡充

・強みである与信・回収・オペレーションを更にレベルアップするとともに、組織全体の生産性向上やマーケティング・商品開発力を高めるべくデジタル及びAIの組織ケイパビリティを強化

 

②コーポレート・ガバナンス/リスク管理/ALMのレベルアップ

・国内外の子会社管理を含めたグループガバナンスの実効性向上に加え、与信モデルやRAF高度化、金利上昇局面でのALM強化

 

③人的資本経営/人財戦略の更なる進化と働き方変革

・『個』が成長・協働し、変革・改善を起こす人材集団を形成。多様な人材が最大のパフォーマンスを発揮する基盤を構築

 

④「新たな金融シーンを創り出す先進企業」の実現に向けたカルチャー変革

・理念の共感・実践を軸に、インナーブランディング、組織開発、BPX(ビジネスプロセストランスフォーメーション)・AIX(AIトランスフォーメーション)等さまざまな取組を通じ、めざす姿にふさわしい企業カルチャーへ変革

 

《資本政策》

「財務健全性、成長投資、株主還元の最適なバランスを実現」することを資本政策の基本方針とし、株主還元については「配当を基本に実施」することとしております。

配当政策については、「累進配当を基本とし、連結配当性向30%から40%を目安に実施」することといたします。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに対する考え方及びマテリアリティ

当社グループにおいては、すべての事業活動を通じて理念を体現していくうえで、サステナビリティを経営の上位概念に位置づけており、中長期的な企業価値及び社会価値の向上に向け「オリコがめざすサステナビリティ」を定めております。また、前中期経営計画時に策定した優先的に取組むべき重要課題「マテリアリティ」は、3年前と比較してサステナビリティに対する社会的な要請が高まっていることを受け、今中期経営計画において実現をめざす事業を通じた社会価値創出に基づき見直しました。なお、マテリアリティの見直しにあたっては、内外の有識者との対話、及び経営会議・取締役会レベルでの議論を複数回重ねました。

こうして策定したマテリアリティを起点とし、事業戦略をはじめとする今中期経営計画を全社的に策定しました。事業を通じた社会価値の創出を内外ステークホルダーと推進し、社会課題解決に貢献する事業成長を実現していきます。

 

①ガバナンス

a.サステナビリティに関するガバナンス

環境、人権、お客さま保護等のサステナビリティに関連する事項に関しては、当社グループとしての姿勢を示す基本的な方針を取締役会で審議し、承認のうえ、「経営の基本方針」として定めています。これら「経営の基本方針」に基づき、実行計画を立案のうえ、具体的な取組を組織横断的かつ中長期的に推進しています。計画の進捗等の具体的な内容は、サステナビリティ委員会や経営会議等を通じ、取締役会に対して適宜・適切に報告されております。また、取締役会は適切な指示を行う等、サステナビリティの体制を監督しております。

 

b.サステナビリティ委員会

取締役社長を委員長とし、各部門・グループ長が委員を務めているサステナビリティ委員会を中心に全社的なサステナビリティの推進体制を構築しております。今期につきましてはサステナビリティ委員会を4半期に1回、計4回開催しました。また、その取組状況を取締役会へ報告し取締役会の関与・監督の実効性を高めております。

 

<サステナビリティ委員会での主な議論・報告内容>

年月

主な議論・報告内容

2024年4月

・サステナビリティ委員会、部会活動総括及び活動計画

・サステナビリティ取組項目における進捗報告及びKPIの見直し

2024年7月

・環境関連の取組における進捗・審議

・部会活動・サステナビリティ取組項目における進捗報告

・ESG、サステナビリティの社内浸透施策、地方自治体との連携の報告

2024年10月

・サステナビリティ委員会運営総括、部会活動報告

・サステナビリティ取組項目、地方自治体との連携における進捗報告

2025年1月

・部会活動報告及び次期中期経営計画に向けた課題

・サステナビリティ取組項目における進捗報告

・次期中期経営計画に向けたサステナビリティの方向性

・サステナビリティの社内浸透施策、社会貢献活動における報告

・「グリーンウォッシュ」に関する管理について

 

今後、サステナビリティ委員会では、「マテリアリティに基づいた事業運営の実装」を中心的な議題とし、組織横断的な取組について議論しながら推進してまいります。具体的には、委員会直下に設置する部会を通じて経営レベルで組織横断的な取組を議論し、各組織におけるマテリアリティに基づく事業運営の実施状況を報告いたします。これらの取組により、経営レベルのみならず役職員の日常業務にもサステナビリティの視点を組み込むことで、全役職員が事業を通じて社会価値を創造する意識を常に持つことをめざしてまいります。

 

c.部会

マテリアリティ起点の事業運営の浸透に向け、組織横断的な議論を行い、具体的なサステナビリティの取組施策の推進を担う場としてサステナビリティ委員会の直下に3つの部会「環境・地域部会」「顧客部会」「人財部会」を設置しておりました。

今中期経営計画におきましては、新しい部会のありかたとして、実効性のある具体的なテーマを設定する運用とします。この部会の活動には、グループ会社も参加のうえ、組織横断的な取組を推進します。新たな部会はお客さまエンゲージメントの強化、法人戦略、在留外国人向けサービス、人事運営などのテーマごとに設置することを企図しております。

 

②リスクマネジメント

サステナビリティに関連する課題を含む事業リスクを一元的に把握・管理し、その規模・態様に応じた総合リスク管理を行っております。リスク管理の詳細は、[3.事業等のリスク]に記載をしております。

気候変動に関するリスクに対しては、取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会にて審議・報告する体制を整備しております。加えて、気候変動関連のリスクや機会を含む事業戦略などの検討状況は定期的に取締役会に報告しており、気候変動関連を含むリスク管理体制は取締役会が監督しております。

 

③戦略

マテリアリティ起点での事業運営を通じ社会価値を創出することをめざし、10年後のめざす社会及びめざす姿を定めています。中期経営計画策定にあたっては、フォアキャスティングとバックキャスティング両方の観点で中期経営計画期間における到達点を検討することとしており、前中期経営計画においては、「従来型の信販モデルからの発展的脱却」を3年後の到達点としておりました。

今中期経営計画においては、事業構造改革等の積み残しの課題の早期克服や、リスク機会及び環境変化等を加味し、5年後の到達点を「オリコならではの金融モデルの確立」としております。これらに基づき、優位性のある事業領域で最も社会価値を創出している企業となることをめざします。

事業戦略の詳細は、「1〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕」の「(2) 経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等」をご確認ください。

 

<気候変動におけるリスクと機会>

当社グループでは、台風や豪雨などの異常気象の激化や、企業に対する気候変動リスクへの対応、脱炭素経営の要請が高まっていると認識しております。これに伴い、気候変動がもたらす事業環境への影響を気候変動リスクとして捉え、適切に対応していく必要があると考えております。

気候変動が当社に与える影響について、TCFDが提言する情報開示フレームワークに基づき、リスクと機会に分類して分析しました。また、昨今の自然資本保全に関する企業への高まる社会的責任の要請を踏まえ、自然資本・生態系への依存や影響関係も同時に管理することとしています。具体的には、経営企画部サステナビリティ推進室が関係各所と連携し、①気候変動を含む環境関連の「リスクと機会」並びに「依存と影響」の洗い出し、②同左の評価、③対応策の検討を行っています。また、それらの結果については、サステナビリティ委員会並びに取締役会に報告し、実効性の高い気候変動をはじめとする環境関連の諸課題への対応を全社的に推進しています。具体的なシナリオ、影響額、その対応策については以下のとおりと認識しております。

「物理的リスク」として、気候変動の深刻化により業務運営に支障をきたす可能性があり、事業基盤が損なわれるリスクがあります。特に、台風や豪雨などの異常気象が増加することで、事業継続リスクが高まると考えられます。また、「移行リスク」として、気候変動への対応が不十分と見なされることで、ステークホルダーからの信頼を損なう可能性があります。

また、「機会(市場)」として、新たな市場形成に伴うビジネスチャンスへの対応策を策定しています。具体的には、環境に配慮した商材の需要増加に対応するための施策を進めています。

 このように、気候変動に関するリスクと機会を明確に把握し、適切な対応策を講じることで、持続可能な成長をめざしています。

 

なお、このシナリオ分析は適時見直すこととしており、今後は自然資本保全を見据えた対応も強化していくこととしています。

 

 

リスクと機会の認識一覧

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                                        (2025年3月末時点)

 

④指標及び目標

<サステナビリティ取組と目標>

10年後のめざす社会・めざす姿からバックキャストし、マテリアリティに紐づくサステナビリティ取組項目及び2025年3月期のKPIを「ステークホルダーからの期待や要請」と「オリコの戦略上の重要度」の二軸でマッピングし、優先順位の高いものを選定しました。これらの取組は、統合報告書やWebサイトを通じてステークホルダーの皆さまに公表しております。

今中期経営計画における新たなマテリアリティに紐づくKPIにつきましては、競争優位性のある事業領域で最も社会価値を創出する企業としての貢献度をはかることができると想定できる指標を公表しています。

※詳細については当社Webサイトをご覧ください。

 

<GHG排出量削減目標>

当社グループは、TCFD提言を踏まえGHGプロトコルに則りScope1・2・3の排出量を把握し、パリ協定の1.5℃目標に貢献することを目標に2050年にネットゼロを達成すべく取組みを進めており、以下のとおり短期と中期の削減目標を掲げております。引続き排出量削減目標達成に向けた努力を継続していきます。

 

削減目標(連結目標)

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*1 電力会社の排出係数を適用して算出した排出量。但し、国内外の連結子会社の排出量に関しては、以下に記述するロケーション基準(*2)の手法で算出しております。

*2 日本における電力系統全体の排出係数をもとに算出した排出量。海外子会社(タイ、フィリピン、インドネシア)に関しては、IGES(公益財団法人 地球環境戦略研究機関)及びインドネシア政府公表値を使用しております。

 

(2) 人的資本経営への取組

①人的資本経営の考え方

当社はスキルや専門性・生産性の向上と創造力を養うための教育・学習支援といった社員への投資と、組織・チームとして社員が能力を最大限発揮し、イノベーションを起こしやすい環境整備・仕組みづくりの両面にわたる取組を「人的資本経営」としています。人的資本への投資により、社員一人ひとりが自律的に学び挑戦することで人材価値を高め、それぞれの個性や強みを活かして最大限のパフォーマンスを発揮し、企業価値向上につなげていきます。

 

②人財戦略

a.人財戦略の策定の狙い

 当社で働くすべての社員を当社の持続的成長における重要な「財産」として捉え、更なる経営基盤の強化を図るべく、「人財戦略」を策定しております。

 人財戦略は、社員と会社の関係性を、これまでの「雇う側-雇われる側」という関係から、「互いに選び・選ばれるもの(Win-Winの関係)」に変えていくという、「中長期的な視点での、社員と会社の在り方」を捉え策定しております。

 

b.人財戦略のめざす姿と人事基本方針

 人財戦略を通じてめざす姿として、「会社と社員が互いに成長できるWin-Winな関係構築を通じた社員エンゲージメントの最大化」を掲げています。このめざす姿には、会社と社員がともに必要な存在として絆を深めながら、社員が成長・活躍し、会社が持続的に成長する関係を築き上げていきたいという想いを込めております。

 人財戦略の遂行にあたっては、「人事ビジョン」を定めるとともに、その実現の両輪として、社会的規範を重視した行動様式を踏まえつつ、社員に変革・改善を通じた価値創造を求めていく中で、オリコらしさを発展的・未来志向的に進化させた「求める人材像」、及び会社のコミットメントとして思考・行動の改革を後押しし支援する「人財マネジメントポリシー」を定めております。

 

 

 

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③ガバナンス

全社における人財戦略上の重要な取組みの推進にあたっては、取締役社長のもと、人事・総務グループ長を責任者として、社内各組織や連結子会社とも連携を取りながら進めております。当社の人事機能は、専門性の高さや複雑性への対処の観点から、企画・運用・厚生・人権啓発推進の機能を担う「人財マネジメント統括部」と、採用・教育・インクルージョン&ダイバーシティ推進の機能を担う「キャリアデザイン推進部」の2つの組織で構成しております。

 

④前中期経営計画における取組み

人事基本方針で掲げる5つの人財マネジメントポリシーの実現に向けて、進捗に濃淡はありますが、着実に進展しております。取組の結果、「人財戦略を通じて目指す姿」に掲げる社員エンゲージメントは上昇しつつあります。

※詳細については2025年9月発行予定の統合報告書及び当社Webサイトをご覧ください。

 

a.個性を重視し、多様性を育む

 インクルージョン&ダイバーシティの基本方針や行動計画を策定・実行及び専門人材を含めた経験者採用の更なる強化及び専門人材の採用・育成・報酬の考え方や体系を整備し、女性管理職登用及び経験者採用は順調に拡大しております。

 また、すべての社員が妊娠・育児・介護と仕事を両立する各種制度を整備・拡充・啓発や、社員が任意に就業時間を選択できるスライドワーク等、多様な働き方の拡充を推進しました。

 

b.自らの成長に繋がる挑戦する機会を提供するとともに自律的キャリア形成を支援

 上司とのキャリア面談や各組織によるジョブプロモーション等を通じて、社員が自身のキャリアについて向き合う環境を整備し、社内外への就業経験や自己学習ツール等により、社員が主体的に学び・挑戦できる機会の提供を拡大しております。これらの取組みが評価され、キャリアオーナーシップ経営AWARD2025「優秀賞」を受賞致しました。

 

c.客観性・透明性がある公正な評価と処遇の実現

 「より頑張った社員が報われる処遇」の実現に向けて、ミッションの大きさや組織・個人のパフォーマンスに連動した報酬体系を整備しました。

 

d.変革を牽引するとともに多様な人材を束ねるリーダーの育成

 意識改革・行動改革を促す実践的トレーニングとして「中核管理職ミッション開発プログラム」を実施し、次世代リーダーの育成を推進しました。結果、多くの社員の行動変革に繋がっており、変革リーダーとしてのマインドセットにおいて実施効果が現れつつあります。

 

e.心理的安全性を確保し、活力ある職場環境を整備

 社員一人ひとりの安心・安全や心身の健康を守るため、ハラスメントや心理的安全性にかかるマネジメント研修を拡大・拡充するとともに、労務管理に関する新たなルールを制定しました。また、社員エンゲージメントの重要性が浸透しつつあり、サーベイをきっかけとした職場環境の改善等が進展しております。

 また、健康経営基本方針に基づき、実行計画を立案のうえ、具体的な取組を組織横断的かつ中長期的に推進した結果、「ホワイト500」の更なる上位認定であり、1業種につき原則1社のみ選定される「健康経営銘柄」に初認定されました。

 

<前中期経営計画における重点実施事項に関する指標及び目標>

取組内容

目標

(2025年3月期)

実績

(2025年3月期)

社員一人ひとりの成長意欲を高め、強みを伸ばすキャリア支援の拡充

社内公募任用者

(中期経営計画累計)

150

211

社外・海外トレーニー、

レンタル移籍、副業・兼業経験者

(中期経営計画累計)

50

160

女性や外国人等、様々なバックグラウンドや個性を持つ人材の幹部登用加速

(注)2

女性管理職比率

(課長クラス以上)

28以上

29.7

女性管理職比率

(部室長相当職)

12以上

11.3

新規ビジネス創出等の核となる専門人材の確保・育成・活躍

DX推進人材

3,000

3,348

(注)1.グループ各社において課題に応じた指標と目標を設定していることから、代表として提出会社における指標と目標を記載しております。

2.女性管理職比率の目標値は、2025年3月期にめざす水準を、1年前倒しで達成したため、課長クラス以上は+1%、部室長相当職は+3%の目標値に見直しております。

 

⑤今中期経営計画の重点戦略及び重点実施事項

 今中期経営計画においては、「人材・組織」「環境・仕組み」「体制」の3つの視点で重点戦略及び重点実施事項を策定しております。また、今期は新たに組織開発を通じた全社的な課題への対応を強化し、社員エンゲージメントの最大化をめざして参ります。

※詳細については2025年9月発行予定の統合報告書及び当社Webサイトをご覧ください。

 

a.『個』が成長・協働し、変革・改善を起こす人材集団づくり(人材・組織)

 ・キャリア形成に必要な情報の充実化・可視化や社員の学びを後押しすることによる自律的キャリア形成支援

  の確立

 ・意思決定層への女性登用加速、ERGの拡充と対話の広がり、多様な人材の戦略的採用と計画的な育成を

  通じたインクルージョン&ダイバーシティの加速

 ・サクセッションプランの仕組みの構築、中核管理職ミッション開発プログラムの更なる推進、ミドルマネ

  ジメント育成強化等による、変革・改善を牽引する次世代リーダーの育成

 

 

b.社員が最大のパフォーマンスを発揮する環境づくり(環境・仕組み)

 ・ミッションの浸透や働き方の多様化等による人事制度の定着と改善・拡充

 ・経営レベルでの社内体制の整備等を通じた人権デュー・ディリジェンスの実施等、人権尊重への取組み

 ・生活習慣病予防及びメンタルヘルス対策等、健康リテラシー向上と心身の健康保持・増進の積極的な働きか

  けによる健康経営の更なる推進

 ・組織開発を通じた組織横断的な課題解決による働き方改革及び生産性向上

 

c.経営戦略に資する人事・総務の高度な体制づくり(体制)

 ・人事運営の最適化及び人事オペレーション業務の効率化等による人事機能の再編

 ・人材ポートフォリオの可視化、人事システムの改修・機能拡充等、テクノロジーやデータを活用したタレン

  トマネジメントの構築

 ・グループ会社を含めた人事運営及び人事情報や人材交流・育成の共有・汎用化

 

<重点実施事項に関する国内連結指標及び目標>

取組内容

2026年3月期

目標

2028年3月期

目標

2030年3月期

目標

社員エンゲージメントサーベイAの達成・維持・向上

(注)1

BBB

55.5

A

58.0

A

60.0

組織を牽引する女性リーダー比率

部室店長相当職

(注)2

16.0%

20.0%

30.0%

課長クラス以上

30.0%

34.0%

40.0%

新たなキャリアへの挑戦に向けて手をあげた人

(累計)

300人

1,000人

2,000人

   (注)1.海外グループ会社を含む指標及び目標としております。

      2.部室店長(執行役員である部室店長を含む。)及びそれに準じる職位としております。

 

⑥リスクマネジメント

 詳細は、3〔事業等のリスク〕 (4) 事業等に関する主なリスク ⑫人的(人材、人権等)リスクをご覧ください。

 

(4)お客さま本位への対応

当社は、最も重要なステークホルダーであるお客さまに対して、お客さま保護に加え、お客さまの声に真摯に耳を傾け、お客さま視点を大切にしていくため「お客さま本位の基本方針」を定めるとともに、お客さまとの信頼関係を醸成するため、お客さま本位の商品・サービス提供及びお客さま保護管理等、当社におけるお客さま本位の対応について全社的な枠組みを定めております。「お客さま本位の基本方針」を含めた当社のお客さまエンゲージメント等については、当社Webサイトを通じて社内外に開示しております。

お客さま本位の基本方針に基づき、実行計画を立案のうえ、具体的な取組を組織横断的かつ中長期的に推進しております。お客さま本位の商品・サービス提供の商品管理・最適化状況等に関しては新規業務・新商品委員会に報告し、お客さま保護管理の状況等に関してはコンプライアンス委員会に定期的に報告しております。これらの内容はお客さま本位の対応に関する実行計画及び実施結果とともに年1回に経営会議にて審議のうえ、取締役会に報告しております。

 

3【事業等のリスク】

(1) リスクマネジメント

当社グループは、経営の健全性及び安定性を維持しつつ企業価値の向上を図るため、リスクを適切に管理することを経営上の重要課題の一つと位置づけております。

当社グループの多様化するリスクを総合的に把握・管理するため「リスク管理基本方針」を定め、業務執行部門及びグループ会社における自律的な統制活動を推進するとともに、個別のリスク状況をリスク所管部が管理し、全体としてリスク統括部が把握・評価することにより、適切にリスクをコントロールしております。

リスク管理の状況については、四半期に一回開催する総合リスク管理委員会において審議・報告がなされ、その内容が経営会議及び取締役会に適宜・適切に報告されるなど、当社グループ全体としてリスク管理の態勢を構築しております。

また、リスク管理を重視する企業風土を醸成するため、全役職員のリスクに対する意識の浸透を図るとともに、リスク管理の重要性を認識し行動するように、教育及び啓発を行っております。

 

(2) リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)

当社はRAFを、リスクアペタイト(事業戦略や財務戦略を実現するために進んで受け入れるべきリスクの種類及び総量)に沿ったリスクテイクを実現するための経営管理の枠組みと位置づけています。

「リスクアペタイト・フレームワーク運営に関する基本方針」に基づき、事業戦略・財務戦略とリスク管理を一体的に運営し、適切なリスクテイクを通じた最適なリスク・リターンの実現をめざしており、期中のモニタリングを通じた資本十分性の確認や環境変化に応じた迅速なリバランスを行うなど、経営の安全性確保と経営資源配分の最適化に資する適切な管理・運営を行っております。

 

(3) トップリスク運営

内外の環境などを踏まえ、足許から3年ないし5年先を見据え、顕在化した場合に当社グループの経営に重大な影響を及ぼすリスク事象を「トップリスク」として選定しております。

選定に際しては、内外のリスク事象を幅広く収集し、その蓋然性と影響度を評価のうえ、総合リスク管理委員会及び経営会議の審議を経て、取締役社長にて決定します。

選定したトップリスクは、定期的及び必要に応じて都度見直しを行う態勢とし、また適宜実効的な対策を講じることにより、適切なリスクのコントロールに努めております。

 

有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在の「トップリスク」は次のとおりであります。

 

<トップリスク>

 

リスク事象

リスクシナリオ

経済環境の低迷深刻化による業績への影響

物価上昇の高止まりや経済環境の大きな変動により、顧客の返済が困難となり貸倒損失が増加。事業環境の悪化により、加盟店の経営悪化・倒産が増加

金利上昇による業績への影響

想定外の金利上昇による金融費用の増加や事業収益の減少が業績を下押し

サイバー攻撃・大規模システム障害による事業への影響

サイバー攻撃や基幹システム障害を起因とする個人情報の漏えいや業務停止等により、ステークホルダーからの信頼を毀損し、ビジネス機会を喪失

社会的規範に悖る行為等による企業価値の毀損

役職員が社会的目線に照らして正しい行為を行わないことにより、ステークホルダーからの信頼を毀損し、ビジネス機会を喪失

不正利用増加による事業への影響

カードの不正利用・不正被害額が増大することによる業績影響や、ステークホルダーからの信頼を毀損しビジネス機会を喪失

自然災害や新たな感染症による業績への影響

首都圏直下型地震の発生や大規模風水害の発生により、社屋の損傷や基幹システムが被災し、業務継続が困難となり信用力が毀損

人財マネジメントの不十分さによる戦略実現への影響

事業計画を遂行するための人財マネジメントが不十分であり競争力が低下

 

(4) 事業等に関する主なリスク

当社グループの事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。

なお、本項については、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2025年6月20日)現在において判断したものであり、将来発生しうるすべての事業等のリスクを網羅するものではありません。

 

①信用リスク

リスク

・信用供与しているお客さまの支払遅延の発生や債権回収の悪化等により、損失を被る可能性があります。

・将来の景気動向、個人破産申立の増加、その他の予期せぬ理由等により、貸倒引当金等を積み増しせざるを得なくなる可能性があります。

・海外事業に関しては、東南アジア経済における物価や雇用環境の動向等により、お客さまの支払能力が変動し業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

・過去の実績を踏まえた統計的な手法に基づき、AIを駆使した審査システム・ロジックの最新化や性能規定与信の導入により、適切な延滞率の制御に取組んでいます。

・貸倒損失に備えるため、過去の実績等を踏まえた統計的な手法により予想損失率を算出し貸倒引当金等を計上しております。

・海外事業では与信基準の改定や延滞顧客に対する債権回収体制の強化に取組んでおります。

 

②金利変動リスク

リスク

・将来において想定以上の金利の上昇、格付の大幅な見直しにより調達金利が上昇した場合、金融費用が増加する可能性があります。また、調達金利の上昇分を運用金利に転嫁できない可能性があります。

対応策

・ALM(資産、負債の総合管理)を実施し、市場環境や当社グループのポートフォリオに応じて長短の調達バランスを調整するとともに、デリバティブ取引を活用し、金利変動リスクへの適切な対応に取組んでおります。

 

③流動性リスク

リスク

・金融情勢の著しい変化や格付の大幅な見直しが行われた場合、円滑な資金の確保が困難となる、或いは通常よりも著しく不利な金利水準での資金調達を余儀なくされる可能性があります。

対応策

・ALM(資産、負債の総合管理)を実施し、当社グループの事業活動に必要な資金確保に向け、調達手段の多様化に努めるとともに、複数の金融機関とのコミットメントラインの設定や手元流動性の調整等によって、流動性リスクの軽減に向けた対応に取組んでおります。

 

④サイバーセキュリティリスク

リスク

・サイバー攻撃により、コンピュータシステムの停止、データ改ざん、重要な情報の漏えい等が発生した場合、お客さまサービスに支障を来たす可能性、お客さまの情報が悪用される可能性、ステークホルダーからの信頼が損なわれる可能性、損害賠償責任が発生する可能性、法令に基づく処分の対象となる可能性、及びこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。

対応策

・高度化、巧妙化するサイバー攻撃等の脅威を経営の重要課題と認識し、専門部署であるサイバーセキュリティ室を中心にサイバーセキュリティリスク管理態勢を整備しています。具体的には外部機関等との連携による情報収集や統合SOCによるネットワークやデバイスの24時間365日監視を行い、インシデントの早期発見、即時対応に努めています。また、技術的な対策をはじめ、サイバーインシデント発生に備えた手順の整備、サプライチェーンの管理、役職員への研修・訓練等による組織的、人的対策を講じることにより、システムの安全性を維持する態勢を整備しております。

・セキュリティ品質の向上及びインシデント対応力強化を目的とした「オリコCSIRT」体制を構築し、平常時の予防安全からインシデント発生時の即応態勢までを一貫してコントロールする仕組みを整備しております。

 

 

⑤情報リスク

リスク

・事業の特性から、大量のお客さまの情報を取得、保有、利用しており、当社グループ及び業務委託先において、外部からの不正アクセス、媒体運送中の事故、内部関係者の関与等によって重要な情報の漏えい等が発生した場合、損害賠償責任が発生する可能性、ステークホルダーからの信頼が損なわれる可能性、法令に基づく処分の対象となる可能性、及びこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。

対応策

・お客さまの個人情報をはじめとする情報の漏えいを防ぐため、情報の取扱いに関する規程等の整備、システム上のセキュリティ対策、役職員への教育・研修、施設への入退出管理等、組織的、技術的、人的及び物理的対策を講じることにより、情報の適正な取扱いに関する態勢を整備しております。

・情報セキュリティ認証基準改定への対応を含むセキュリティ対策の継続的な改善等を通じてセキュリティ対策の向上に取組んでおります。

 

⑥システムリスク

リスク

・大規模なコンピュータシステムを保有しており、国内の拠点や、お客さま、各種決済機構等のシステムとの間を通信ネットワークで結び情報を処理しております。システムの大規模な誤作動等の事態が発生した場合や、外部委託先の過失・不正、自然災害等が発生した場合に、お客さまサービスに支障を来たす可能性があります。

対応策

・業務上使用している情報システムにおいては、安定的な稼働を維持するためのメンテナンス、バックアップシステムの確保等の障害発生の防止策を講じ、また不測の事態に備えたコンティンジェンシープランを策定し、万一システムダウンや誤作動等の障害が発生した場合であっても安全かつ速やかに業務を継続できるよう体制の整備に万全を期しております。また、クラウドサービス提供者等の外部委託先に対し導入前後に亘る定期的な調査を行い、セキュリティ対策内容やサービスレベルを評価し、品質強化に取組んでおります。

 

⑦コンダクトリスク

リスク

・法令、社内規則、社会規範に反する行為のみならず、顧客保護、市場の健全性、公共の利益及びステークホルダーに悪影響を及ぼす行為があった場合、企業価値を毀損する可能性があります。

対応策

・コンプライアンスを単なる法令遵守にとどめず、企業倫理や社会規範も遵守することと捉え、役職員が問題に直面した際に「正しい行動」を取れるよう「The Orico Group Code」を行動規範として定め、役職員への浸透・定着に取組んでおります。

・役職員が安心して利用できる内部通報窓口「オリコ・ヘルプライン」を社内外に設置することにより、自浄作用を高めるとともに、不正発生の未然防止に取組んでおります。

 

 

⑧外部不正リスク

リスク

・不正取引の手口の複雑化・巧妙化により、クレジットカード等の不正被害額は業界全体で依然として増加傾向にあり、業績を下押しする可能性があります。また、不正取引の抑制は社会的責任の観点からも重要であることから、その取組が不十分とみなされた場合には、ステークホルダーからの信頼が損なわれる可能性があります。

対応策

・不正申込の傾向調査やモニタリングを実施し、審査ロジックの精度向上による不正発生の未然防止に取組んでおります。

・AIスコア搭載の不正検知システムによる検知及び会員向けの本人認証サービス登録促進、利用通知・停止機能提供等、不正取引防止対策の強化に取組んでおります。

・当社WEBサイトを模したフィッシングサイトの出現を24時間体制で監視し、検知した場合は速やかに閉塞対応を行っております。併せて、会員への啓発活動として動画やWEBサイトを活用し注意喚起を行っております。

 

 

 

⑨気候変動リスク

リスク

・台風や豪雨などの異常気象による自然災害多発や脱炭素社会への移行に伴う事業への影響を「気候変動リスク」と認識しております。

・物理的リスクとして、台風や洪水等の極端な気候現象の深刻化により、業務運営に支障を来たす可能性、事業基盤が毀損する可能性があります。

・移行リスクとして、循環型社会への移行や脱炭素化を促す技術革新やイノベーションへの対応、政策・法規制、特定の金融サービスの需給変化への対応、それらの情報開示への取組が不十分とみなされ、ステークホルダーからの信頼を損なう可能性があります。

対応策

・サステナビリティを経営の軸とし「環境基本方針」に沿って、環境関連の取組をさらに充実させるとともに、循環型社会・脱炭素化の実現に取組んでおります。

・サステナビリティ委員会を通じ、気候変動関連のリスクや機会への対応、サステナビリティの取組状況の確認、社内外のコミュニケーション強化、モニタリング強化に取組んでおります。

・物理的リスク、移行リスクについてはその発生可能性、影響度、影響額を算出し対応策に取組んでおります。

 

 

⑩大規模災害・感染症による影響

リスク

・大規模な地震・台風等の災害による被害や感染症の流行により、業務運営に支障を来たす可能性があります。

・災害による被害からの復旧までに時間が相当にかかる場合、また感染症の急拡大や重症者の著しい増加等の事態が生じた場合、信用リスクや流動性リスク等が高まる可能性があります。

対応策

・大規模な地震・災害や事故等の突発的な事態に備えて「事業継続管理規程」を制定し、「事業継続管理年間計画」の策定等、危機管理体制を構築することに加え、役職員の安全確認を速やかに行うための専用システムを導入しております。

・首都圏で大規模自然災害等が発生した場合、西日本エリアに暫定緊急対策本部を設置することとし、業務継続を可能とするため定期的に訓練を実施しております。

・決済インフラの安定稼働、適切なお客さま対応等に努められるよう、ビジネスコンティンジェンシープランを策定しており毎年最新化を図っております。

 

⑪規制変更リスク

リスク

・当社グループでは、国内における「割賦販売法」や「貸金業法」を含むそれぞれの国や地域において求められる現時点での法令諸規則、政策及び実務慣行等の規制の適用を受けながら業務を遂行しております。将来における法令諸規則、政策及び実務慣行等の規制変更により、当社グループの業績や事業展開に重要な影響を及ぼす可能性があります。

・万一、これらの規制変更に対応できず、法令等に抵触する行為があった場合、当局から処分を受ける可能性があります。

対応策

・規制変更リスクの所在・規模等を適時かつ正確に把握し、その内容・対応状況を総合リスク管理委員会に報告のうえ、リスク回避・低減等に向けた適正な管理・運営を行っております。

・関係法令等にかかる業務検証を実施し、その内容・結果をコンプライアンス委員会に報告のうえ、法令遵守に向けた適正な管理・運営を行っております。

 

 

 

⑫人的(人材、人権等)リスク

リスク

・少子高齢化により労働人口が減少するなか、仕事に対する価値観や生活環境が多様化しており、社員の働きがいややりがいに対する期待に応えられない場合、経営戦略を遂行するために必要な人材を確保することが難しくなり、競争力等が低下する可能性があります。

・経営戦略を達成するためこれまで以上にDXをはじめとした専門人材を必要としており、事業環境変化に合った十分な人材確保・育成ができない場合、競争力等が低下し業務運営に支障を来たす可能性があります。

・人権尊重に向けた取組が不十分とみなされ、ステークホルダーからの信頼を損なう可能性があります。

対応策

・外部環境の変化や働く社員一人ひとりの価値観・ライフスタイルの変化を踏まえた人財戦略に基づく重点事項の実施により社員エンゲージメントの最大化に取組んでおります。

・新たな経験付与プログラムや学習コンテンツの充実による社員の計画的な育成や、経験者採用等戦略的に多様な人材の確保に取組んでおり、専門性の高い人材に対する報酬体系を整備しております。

・人権尊重が重要な社会的責任であることを認識し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて定めた「人権基本方針」に従い、人権デュー・ディリジェンスを行うなど、国内外のグループ会社を含め人権尊重に関する取組を強化しております。

 

⑬繰延税金資産の回収可能性に関するリスク

リスク

・繰延税金資産の回収可能性は将来課税所得に基づき判断しており、その見積りは将来の景気動向、想定以上の金利変動、個人破産申立の増加、その他の予期せぬ理由により影響を受ける可能性があります。

対応策

・繰延税金資産は、将来減算一時差異等に対して計上しており、その回収可能性は将来の事業計画等に一定の不確実性を織り込み見積もった将来課税所得に基づき判断しております。

 

上記以外に、次のような事項が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

その他のリスク

・反社会的勢力排除、マネー・ローンダリング・テロ資金供与及び拡散金融対策が不十分であった場合

・割賦売掛金の流動化に伴い売却した優先受益権や保有する有形固定資産(土地・建物等)の時価が著しく下落した場合

・加盟店、提携先や業務委託先の法令違反等による消費者トラブルが、当社グループの社会的責任に発展した場合

・当社グループ及び当業界に関するネガティブな報道等によりステークホルダーからの信頼が損なわれた場合

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加等を背景に、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、景気の先行きは、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、関税引上げ等、米国の政策運営による各国経済への影響が懸念されており、依然として不透明な状況が続いております。また、金融市場の変動等には十分注意する必要があるものと認識しております。

このような状況のなか、当社は、前中期経営計画よりサステナビリティを経営の上位概念として位置づけ社会価値と企業価値の両立をめざすとともに、リスクリターン、コストリターンをベースとする事業ポートフォリオ運営を本格的に導入し、経営基盤・財務基盤の強化に努めてまいりました。しかしながら、重点市場と位置付けた海外においては延滞債権の増加により戦略の転換を余儀なくされたことに加え、個品割賦を中心とした事業構造改革は道半ばであり、継続して取組みを進める必要があります。

 

一方で、デジタルの活用による生産性向上や、新たな商品サービス・ソリューション(ワケタラ、OBS、アキカツローン等)の開発、さらにはイオンフィナンシャルサービス株式会社等との業務提携など、成長に繋がる事業基盤は着実に厚みを増しており、今後は、こうした基盤を確固たるものとし、企業価値向上に繋げていきたいと考えています。

 

 当連結会計年度の業績につきましては、以下のとおりであります。

 

 営業収益につきましては、重点領域である決済・保証事業等の伸長に加え、連結子会社化した3社(株式会社オリコオートリース、株式会社オリコビジネスリース、株式会社オリコプロダクトファイナンス)の収益貢献により、2,452億円(前年差162億円増加)となりました。

 

 営業費用につきましては、連結子会社化した3社の影響による一般経費の増加や金利上昇影響による金融費用の増加を主因に2,329億円(前年差199億円増加)となりました。

 

 以上の結果、経常利益は123億円(前年差37億円減少)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、特別利益の計上により139億円(前年差13億円増加)となりました。

 

 

0102010_004.png

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(参考)事業収益の事業別内訳

 

 

(単位 億円:未満切捨て)

事業

前連結会計年度

当連結会計年度

前年比(%)

決済・保証

220

250

13.8

海外

143

149

4.0

カード・融資

713

699

△1.9

(うち、カードショッピング)

(535)

(535)

(0.2)

個品割賦

685

782

14.1

銀行保証

335

350

4.5

その他

78

84

8.0

2,175

2,316

6.5

 

■決済・保証事業

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決済・保証事業につきまして、家賃決済保証や売掛金決済保証が伸長したことにより、取扱高は前年差で増加しました。

家賃決済保証では、単身世帯数の増加等により市場は拡大傾向にあるなか、電子申込による利便性向上等が貢献しました。売掛金決済保証では、既存加盟店の取扱高伸長に加え、株式会社みずほ銀行との連携強化により新規提携社数も順調に拡大しました。

 

 この結果、決済・保証事業の事業収益は、250億円(前年比13.8%増加)となりました。

 

■海外事業

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海外事業につきまして、海外子会社3社合計の取扱高は、タイ子会社の取扱高減少を主因に、前年差で減少しましたが、インドネシア子会社の商品構成の変化等により、事業収益は増加しました。タイやインドネシアでの長引く国内経済の低迷により厳しい事業環境が継続しておりますが、引続き回収体制の強化や与信基準の厳格化による良質債権の積み上げに努めるとともに、ガバナンス体制の徹底的な強化を図ってまいります。

 

 この結果、海外事業の事業収益は、149億円(前年比4.0%増加)となりました。

 

■カード・融資事業

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カード・融資事業につきまして、カードショッピングの取扱高は、キャッシュレス決済が浸透し、市場が拡大傾向にあるなか、大型提携先での利用が好調に推移したことにより、前年差で増加しました。融資残高は、新規取扱いが減少したこと等により、前年差で減少となりました。

 

この結果、カードショッピングの事業収益は535億円(前年比0.2%増加)、融資の事業収益は163億円(前年比8.1%減少)となり、カード・融資事業全体の事業収益といたしましては、699億円(前年比1.9%減少)となりました。

 

■個品割賦事業

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個品割賦事業につきましては、オートローン及びショッピングクレジットの取扱高は、株式会社オリコプロダクトファイナンスの連結子会社化により、前年差で増加しました。なお、株式会社オリコプロダクトファイナンスについては、連結化効果を高めるべくPMIを加速し、安定的に収益を上げられる事業構造への転換をめざしてまいります。

 

この結果、個品割賦事業の事業収益は、782億円(前年比14.1%増加)となりました。

 

■銀行保証事業

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銀行保証事業につきましては、地域の課題に応じた金融商品・サービスの提供に取り組んでおり、証書貸付における取扱高の順調な拡大を背景に、保証残高は前期末から増加しました。

 

この結果、銀行保証事業の事業収益は、350億円(前年比4.5%増加)となりました。

 

(2) 財政状態

① 資産の部

 資産の状況につきまして、資産合計は前連結会計年度末の3兆1,477億円から2,660億円減少し、2兆8,816億円となりました。これは主に、有利子負債の返済等に伴う現金及び預金の減少によるものであります。

 

② 負債の部

 負債の状況につきまして、負債合計は前連結会計年度末の2兆9,020億円から2,669億円減少し、2兆6,351億円となりました。これは主に、有利子負債の減少によるものであります。

 

③ 純資産の部

 純資産につきまして、前連結会計年度末の2,456億円から8億円増加し、2,465億円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の積み上げにより、利益剰余金が増加したことによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フロー

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

 当社グループの主な事業内容は、決済・保証事業、海外事業、カード・融資事業、個品割賦事業、銀行保証事業であります。当連結会計年度においては、海外事業の取扱高が減少した一方で決済・保証事業、カード・融資事業、個品割賦事業、銀行保証事業の取扱高が増加したことにより事業全体では流動化の為にオフバランスした営業債権及び信用保証を含む営業資産残高が増加しました。

 主な運転資金需要としましては、加盟店への立替金や顧客への融資金、また一般管理費等の営業費用並びにソフトウエア等の固定資産への投資等及び一部子会社向けの事業運転資金等があります。

 資金調達においてはマーケット環境の変化にも注視しつつ、手許自己資金のほか、借入金に加えて社債やコマーシャル・ペーパー等様々な調達手段を駆使しながら安定的かつ効率的に資金を確保しております。また、保有する営業資産を活用した債権流動化による資金調達も継続的に実施しております。なお、突発的な資金需要に備え、手許自己資金に加えてコミットメントライン契約や親密金融機関からの当座借越枠等で流動性リスクに備えております。当期末の有利子負債残高は、債権流動化による調達を拡大した一方で短期借入金を中心に有利子負債の返済を進めた結果、2兆182億円となりました。

 当社の外部格付の状況としましては、本報告書提出時点において、株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期債はA+、コマーシャル・ペーパーはa-1、株式会社日本格付研究所(JCR)から長期債はA+、コマーシャル・ペーパーはJ-1の格付を取得しております。

 

 各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動による資金の増加は26億円(前年差460億円の収入増)となりました。

 これは、主に売上債権残高が減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動による資金の減少は133億円(前年差311億円の支出減)となりました。

 これは、当社の成長に資する戦略的なシステム投資を行い、無形固定資産(ソフトウエア)を取得したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動による資金の減少は2,520億円(前年差4,736億円の支出増)となりました。

 これは、主にコマーシャル・ペーパーの償還及び短期借入金の返済が進んだこと等によるものであります。

 

 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,625億円減少し、2,168億円となりました。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 連結営業実績は次のとおりであります。

 

 区分

 前連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

 対前年増減

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

事業

収益

決済・保証

22,003

25,041

3,037

海外

14,355

14,924

568

カード・融資

71,344

69,984

△1,360

個品割賦

68,556

78,233

9,676

銀行保証

33,514

35,021

1,506

その他

7,812

8,441

628

小計

217,587

231,645

14,057

 金融収益

1,679

1,220

△458

 その他の営業収益

9,787

12,404

2,617

合計

229,054

245,270

16,216

(注)1.各事業の収益には、割賦売掛金等の流動化による収益が次のとおり含まれております。

 

(前連結会計年度)

(当連結会計年度)

決済・保証

百万円

862

百万円

カード・融資

27,342

 

27,760

 

個品割賦

44,086

 

46,805

 

その他

224

 

△8

 

71,653

 

75,420

 

 

2.主要事業における取扱高

 事業

 前連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

 対前年増減

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

決済・保証

1,713,227

1,830,005

116,778

海外

81,008

59,218

△21,790

カード・融資

3,224,955

3,430,435

205,480

個品割賦

1,068,646

1,268,802

200,155

銀行保証

572,307

612,566

40,259

6,660,145

7,201,029

540,883

 

(連結営業資産残高)

事業

第64期

(2024年3月31日)

第65期

(2025年3月31日)

対前年増減

金額(百万円)

構成比

(%)

金額(百万円)

構成比

(%)

金額(百万円)

増減率

(%)

決済・保証

128,043

3.4

120,919

3.2

△7,123

△5.6

(債権を流動化した残高)

(-)

 

(14,169)

 

(14,169)

(流動化を含む残高)

(128,043)

 

(135,089)

 

(7,045)

5.5

海外

165,350

4.4

158,144

4.1

△7,206

△4.4

カード・融資

278,255

7.4

267,593

7.0

△10,661

△3.8

(債権を流動化した残高)

(348,701)

 

(357,032)

 

(8,330)

2.4

(流動化を含む残高)

(626,957)

 

(624,625)

 

(△2,331)

△0.4

 

クレジットカード

174,046

4.6

169,856

4.4

△4,189

△2.4

 

(債権を流動化した残高)

(317,458)

 

(323,508)

 

(6,049)

1.9

 

(流動化を含む残高)

(491,504)

 

(493,365)

 

(1,860)

0.4

 

 

ショッピング

145,914

3.9

145,932

3.8

18

0.0

 

 

(債権を流動化した残高)

(280,856)

 

(286,463)

 

(5,607)

2.0

 

 

(流動化を含む残高)

(426,770)

 

(432,396)

 

(5,625)

1.3

 

 

キャッシング

28,131

0.7

23,924

0.6

△4,207

△15.0

 

 

(債権を流動化した残高)

(36,602)

 

(37,044)

 

(442)

1.2

 

 

(流動化を含む残高)

(64,734)

 

(60,968)

 

(△3,765)

△5.8

 

一般個人ローン

104,209

2.8

97,736

2.6

△6,472

△6.2

 

(債権を流動化した残高)

(31,243)

 

(33,523)

 

(2,280)

7.3

 

(流動化を含む残高)

(135,452)

 

(131,260)

 

(△4,191)

△3.1

個品割賦

1,909,767

50.6

1,862,522

48.7

△47,244

△2.5

(債権を流動化した残高)

(2,069,873)

 

(2,094,913)

 

(25,039)

1.2

(流動化を含む残高)

(3,979,640)

 

(3,957,436)

 

(△22,204)

△0.6

 

オートローン

1,164,261

30.9

1,152,284

30.1

△11,976

△1.0

 

(債権を流動化した残高)

(1,215,235)

 

(1,281,205)

 

(65,970)

5.4

 

(流動化を含む残高)

(2,379,497)

 

(2,433,490)

 

(53,993)

2.3

 

ショッピング

745,505

19.8

710,238

18.6

△35,267

△4.7

 

(債権を流動化した残高)

(854,637)

 

(813,707)

 

(△40,930)

△4.8

 

(流動化を含む残高)

(1,600,143)

 

(1,523,945)

 

(△76,197)

△4.8

銀行保証

1,252,374

33.2

1,385,230

36.2

132,856

10.6

その他(住宅ローン等)

36,744

1.0

32,800

0.9

△3,944

△10.7

(債権を流動化した残高)

(2,344)

 

(1,804)

 

(△540)

△23.1

(流動化を含む残高)

(39,089)

 

(34,604)

 

(△4,484)

△11.5

合計

3,770,535

100.0

3,827,211

100.0

56,675

1.5

(債権を流動化した残高)

(2,420,920)

 

(2,467,919)

 

(46,999)

1.9

(流動化を含む残高)

(6,191,455)

 

(6,295,130)

 

(103,675)

1.7

(注)前連結会計年度の情報は、「注記事項(企業結合等関係)」に記載の暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の重要な見直しが反映された後の金額により開示しております。

5【重要な契約等】

(財務制限条項が付された借入金契約)

企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第12号の4に規定する財務上の特約が付された金銭消費貸借契約は下記のとおりであります。

契約形態

シンジケートローン

(タームローン)

シンジケートローン

(タームローン)

シンジケートローン

(タームローン)

相手方の属性

都市銀行1行、地方銀行8行

都市銀行1行、地方銀行7行

系統金融機関8行

契約締結日

2020年12月25日

2021年12月28日

2022年3月29日

元本金額

15,400百万円

11,900百万円

6,800百万円

弁済期限(注)

2025年12月30日

2026年12月30日

2026年3月31日

担保の内容

なし

なし

なし

財務制限条項の内容

(抵触事由の基準となる財務指標の内容)

・各年度の決算期及び第2四半期の末日における連結及び単体の純資産の部の金額を1,200億円以上に維持すること

・各年度の決算期における連結及び単体の経常損益が2期連続して損失とならないようにすること

(抵触した際の効果)

債務弁済について期限の利益を喪失し、貸付人から請求があった場合、債務を直ちに全額弁済する義務を負います。

同左

(抵触事由の基準となる財務指標の内容)

・各年度の決算期の末日における連結及び単体の純資産の部の金額を1,200億円以上に維持すること

・各年度の決算期における連結及び単体の経常損益が2期連続して損失とならないようにすること

(抵触した際の効果)

債務弁済について期限の利益を喪失し、貸付人から請求があった場合、債務を直ちに全額弁済する義務を負います。

(注)約定弁済期日のうち最終弁済期日を記載しております。

 

 

 

契約形態

シンジケートローン

(タームローン)

シンジケートローン

(タームローン)

シンジケートローン

(タームローン)

相手方の属性

系統金融機関15行

都市銀行1行、地方銀行12行

系統金融機関14行

契約締結日

2023年3月29日

2023年12月27日

2024年3月27日

元本金額

9,400百万円

17,600百万円

8,900百万円

弁済期限(注)

2027年3月31日

2026年12月29日

2031年3月31日

担保の内容

なし

なし

なし

財務制限条項の内容

(抵触事由の基準となる財務指標の内容)

・各年度の決算期の末日における連結及び単体の純資産の部の金額を1,200億円以上に維持すること

・各年度の決算期における連結及び単体の経常損益が2期連続して損失とならないようにすること

(抵触した際の効果)

債務弁済について期限の利益を喪失し、貸付人から請求があった場合、債務を直ちに全額弁済する義務を負います。

(抵触事由の基準となる財務指標の内容)

・各年度の決算期及び第2四半期の末日における連結及び単体の純資産の部の金額を1,200億円以上に維持すること

・各年度の決算期における連結及び単体の経常損益が2期連続して損失とならないようにすること

(抵触した際の効果)

債務弁済について期限の利益を喪失し、貸付人から請求があった場合、債務を直ちに全額弁済する義務を負います。

(抵触事由の基準となる財務指標の内容)

・各年度の決算期の末日における連結及び単体の純資産の部の金額を1,200億円以上に維持すること

・各年度の決算期における連結及び単体の経常損益が2期連続して損失とならないようにすること

(抵触した際の効果)

債務弁済について期限の利益を喪失し、貸付人から請求があった場合、債務を直ちに全額弁済する義務を負います。

(注)約定弁済期日のうち最終弁済期日を記載しております。

 

 

 

契約形態

シンジケートローン

(タームローン)

シンジケートローン

(タームローン)

相手方の属性

都市銀行1行、地方銀行8行、その他銀行1行

系統金融機関8行

契約締結日

2024年9月25日

2025年3月27日

元本金額

16,500百万円

4,200百万円

弁済期限(注)

2027年9月27日

2029年3月30日

担保の内容

なし

なし

財務制限条項の内容

(抵触事由の基準となる財務指標の内容)

・各年度の決算期及び第2四半期の末日における連結及び単体の純資産の部の金額を1,200億円以上に維持すること

・各年度の決算期における連結及び単体の経常損益が2期連続して損失とならないようにすること

(抵触した際の効果)

債務弁済について期限の利益を喪失し、貸付人から請求があった場合、債務を直ちに全額弁済する義務を負います。

(抵触事由の基準となる財務指標の内容)

・各年度の決算期の末日における連結及び単体の純資産の部の金額を1,200億円以上に維持すること

・各年度の決算期における連結及び単体の経常損益が2期連続して損失とならないようにすること

(抵触した際の効果)

債務弁済について期限の利益を喪失し、貸付人から請求があった場合、債務を直ちに全額弁済する義務を負います。

(注)約定弁済期日のうち最終弁済期日を記載しております。

 

 

6【研究開発活動】

記載すべき事項はありません。