第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

(1)経営の基本方針

 当社は、経営の基本方針である「経営理念」、「経営ビジョン」および「行動指針」を以下のとおり定めています。

 「経営理念」は、長期的な視点でめざす“ありたい姿”、「経営ビジョン」は、この“ありたい姿”を実現するためにめざすべきもの、「行動指針」は、経営理念・経営ビジョンを実現するために社員一人ひとりが持つべき価値観・心構え、取るべき行動です。

経営理念

わたしたちは、アセットの潜在力を最大限に引き出し社会価値を創出することで、持続可能で豊かな未来に貢献します。

経営ビジョン

地球環境に配慮し、独自性と進取性のある事業を展開することで、社会的課題を解決します。

世界各地の多様なステークホルダーとの価値共創を通じて、持続可能な成長をめざします。

デジタル技術とデータの活用によりビジネスモデルを進化させ、企業価値の向上を図ります。

社員一人ひとりが働きがいと誇りを持ち、自由闊達で魅力ある企業文化を醸成します。

法令等を遵守し、健全な企業経営を実践することで、社会で信頼される企業をめざします。

行動指針

チャレンジ     未来志向で、責任を持って挑戦する。

デジタル      デジタルリテラシーを高め、変革を創り出す。

コミュニケーション 対話を通じて相互理解を深め、社内外のステークホルダーと信頼関係を築く。

ダイバーシティ   多様性を受容し、相互に尊重する。

サステナビリティ  人・社会・地球と共生し、持続可能な世界を実現する。

インテグリティ   高い倫理観を持ち、絶えず基本に立ち返る。

 

 

(2)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題

① 経営環境

 昨今の外部環境の変化は激しく、「地政学と経済」「気候変動」「テクノロジーの広がり」「人口動態」「富の格差」といった中長期的に内外経済の動向を左右する潮流、メガトレンドを認識する必要性が増しています。

 このような外部環境の変化の中で、当社グループに求められる役割は、従来型のリース・ファイナンスに加えて、事業投資・運営などを通じた社会的課題の解決へと変化しています。また、想像以上のスピードで産業レベルでのビジネスモデルチェンジが生じるとみられ、各企業が環境変化に適応していくうえでは、アセットに関する多様な機能を有し、金融機能にとどまらない柔軟なサービスを提供する当社グループの存在意義がさらに高まるものと考えています。

 このような状況を踏まえ、当社グループは、2023年度(2024年3月期)からの3年間を対象期間とする中期経営計画(以下、2025中計)を策定、2023年5月に公表しました。

② 当社グループの進むべき方向性と2025中計骨子

 当社グループは、10年後のありたい姿として「未踏の未来へ、ともに挑むイノベーター」を掲げました。これを実現するために、データ等、有形・無形のアセットの潜在価値を最大限に活用したサービスや事業経営などを推進することで、「ビジネスモデルの進化・積層化」を進めていきます。

 その推進においては、環境・社会・経済的課題の解決を通じた持続的な成長とともに、成長性・資本収益性・財務健全性の3つのバランスをとり、バランスシートの最適化を実現することで、中長期的な企業価値の向上をめざします。

 2025中計は、「10年後のありたい姿」に向けた3次(「ホップ」・「ステップ」・「ジャンプ」)にわたる中期経営計画における「ホップ」として位置づけ、「ステップ」・「ジャンプ」に向けた飛躍につながる「種まき」と「足場固め」をキーワードに取り組んでいきます。

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(注) 2022年度の数値、2025年度の計数イメージ、ならびに、新中計期間中の配当性向イメージは2022年5月16日現在の数値です。

 

 

③ 事業戦略

ビジネス類型

 当社グループのビジネスを以下の5つに分類しており、事業ポートフォリオ変革を実現するために「ビジネスモデルの進化・積層化」を進めます。

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ビジネスモデルの進化・積層化のイメージ

 「ビジネスモデルの進化・積層化」は、「既存ビジネスの収益力強化と効率化」、「既存ビジネスから高付加価値サービスへのシフト」、「新事業の開発」を同時に行うことにより進めます。

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・「既存ビジネスの収益力強化と効率化」

 ①カスタマーファイナンス、②アセットファイナンスは、強固な顧客基盤からの安定的キャッシュ・フローを創出する収益基盤の位置づけです。一方で、リターンは相対的に低い資産もあるため、収益力を強化していくとともに、低収益資産の圧縮等も着実に進めていきます。

・「既存ビジネスから高付加価値サービスへのシフト」

 ①カスタマーファイナンス、②アセットファイナンスの顧客基盤を維持・拡大のうえ、これらの既存ビジネスを③ファイナンス+サービス、④データ活用プラットフォームサービスといった高付加価値サービスにシフトし、顧客への提供価値を向上させ、リターンを高めていきます。

・「新事業の開発」

 ④データ活用プラットフォームサービス、⑤アセット活用事業のような「新事業の開発」を進めていき、③ファイナンス+サービスとともに中長期的な利益成長の柱とすべく注力していきます。

 

事業戦略の前提

 利益成長は、「ビジネスモデルの進化・積層化」を通じて、事業ポートフォリオやアセットの質を中長期的に転換していくことにより実現します。そのためにも、配当後のキャッシュ・フローは、中長期的視点で積極的に投資していきます。

 その取り組みを下支えするため、バランスシートを最適化することで、中長期的な資本収益性と財務健全性を両立し、企業価値を最大化していきます。

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セグメント別の事業戦略

 セグメント別の事業戦略の方向性は以下のとおりです。

セグメント

事業戦略の方向性

カスタマーソリューション

盤石な顧客基盤の確立とデータ・デジタル活用による新営業プロセス構築により、事業ポートフォリオ変革を実現。

海外地域

地域特性を捉えた経営資源の戦略的配分による収益性の向上を実現。

航空

グループシナジー深化による収益の早期回復および新事業基盤の開拓。

ロジスティクス

事業基盤のさらなる強化と新規事業開拓を進め、物流分野における社会的課題の解決に貢献。

環境エネルギー

国内トップクラスの再エネ事業者のポジションを堅持し、事業領域の拡大等により付加価値を向上。

不動産

不動産投融資・アセットマネジメント事業を通じ、サステナブルな社会基盤づくりに貢献。

モビリティ

社会の脱炭素化ニーズを踏まえた、EV関連事業の強化・開発による収益拡大。

(注) 翌連結会計年度(2024年3月期)については、組織改編にともない、「環境エネルギー・インフラ」の報告 セグメントの名称を「環境エネルギー」に変更する予定のため、変更後の名称を記載しています。

 

組織横断重要テーマ

 組織横断的に当社グループの総力を挙げて取り組んでいくテーマを以下のとおり設定しています。

 各テーマは、当社グループだけではなく、パートナー企業とともに社会的課題の解決を通じて社会価値を創造し、持続可能で豊かな未来に貢献していく、当社のありたい姿につながるものを設定しています。

水素

グローバルな事業展開と顧客基盤を生かした水素ビジネス戦略の構築。

EV関連

再エネ供給、充電インフラなどを含む、EVの導入・運用に必要な機能を広範に提供できる統合型サービスの構築・事業化。

物流

物流サプライチェーン上の社会的課題・顧客ニーズに対し、有力パートナーと協働した「一気通貫型物流ソリューション」を構築・提供。

脱炭素ソリューション

(省エネ、排出権)

脱炭素社会の実現に貢献するワンストップサービス(CO2可視化・省エネ・再エネ・クレジット創出等)の構築・提供。

 

 

④ 経営基盤強化戦略

 以下の4つの戦略を中心に経営基盤を強化していきます。

 

2025中計主要施策

人材の育成・確保

・ サーベイ等を活用した社員エンゲージメントの向上。

・ 経営戦略の実現に資する人材ポートフォリオの形成。

・ 戦略的な人的資本開示。

財務基盤・社内基盤の

強靭化

・ 安定的かつ良質な資金調達と調達余力の拡大、ALM体制の高度化。

・ 事業ポートフォリオ変革に対応した審査、管理態勢の再構築。

・ 新事業、ビジネスモデルに対応した最適なシステムの構築。

コーポレートガバナンス

体制の強化

・ 連結経営体制の強化によるグループ一体運営の推進。

・ ビジネスの進化や変化に対応する統合リスク管理の高度化。

・ グローバルベースの監査一体運営体制の構築。

ステークホルダー

エンゲージメントの向上

・ 財務、非財務情報の開示内容の拡充、発信手法の多様化。

・ 外部ステークホルダーとのコミュニケーション強化。

・ サステナビリティに関する取り組みの推進、強化。

 

⑤ 変革を促す仕組み

 変革の実現に向けて障害となるものを取り除き、変革に向けた意識改革を実施します。

 従来の延長線ではない新たな視点で各種施策をスピード感を持って推進します。

 

打ち手の方向性

1 変革の土壌を「整える」

全社員の変革意識の醸成。

2 変革を「生み出す」

変革に資する取り組みが活発に生み出されるための仕組みを構築。

3 変革を「推進する」

効率的な意思決定プロセスや権限委譲等を進めることで、アジャイルな検討態勢を構築し、変革を推進。

 

(3)優先して対処すべき事業上の課題

 当社グループは、「10年後のありたい姿」の実現のために、データ等、有形・無形のアセットの潜在価値を最大限に活用したサービスや事業経営などを推進することで、「ビジネスモデルの進化・積層化」を進めていきます。

 この「ビジネスモデルの進化・積層化」を進めていくには、社員一人ひとりの意識改革が必要だと考えています。そのための仕掛けとして、「変革を促す仕組み」を構築します。「変革を促す仕組み」として、「変革の土壌を整える」、「変革を生み出す」、「変革を推進する」の3つの切り口から打ち手を実施し、従来の延長線ではない新たな視点で各種施策を実行していきます。

 また、2025中計は、「10年後のありたい姿」に向けた3次(「ホップ」・「ステップ」・「ジャンプ」)にわたる中期経営計画における「ホップ」としての位置づけであり、変革に向けた社員の意識改革をはじめとした「ステップ」・「ジャンプ」の飛躍につなげるための「種まき」と「足場固め」に資する戦略に取り組んでいきます。

 

 

(4)目標とする経営指標

 2025中計の対象期間である2023~2025年度(2024年3月期~2026年3月期)において、以下の財務目標および非財務目標の達成をめざします。

 

(財務目標)

項目

目標

財務目標

(2026年3月期)

親会社株主に帰属する

当期純利益

1,600億円(2023年3月期実績比 年平均成長率+11.2%)

ROA

1.5%程度(2023年3月期実績比 +0.4pt程度)

ROE

10%程度 (2023年3月期実績比 +1.8pt程度)

配当方針

(2025中計期間)

配当性向40%以上

・ 株主還元は配当によって行うことを基本とする。

・ 利益成長を通じて配当総額を持続的に高めていく。

財務健全性

(2025中計期間)

A格の維持

・ 健全な財務基盤と積極的な投資戦略の両立。

・ 現行スタンドアローン格付の維持。

(注)ROAおよびROEの算定においては、親会社株主に帰属する当期純利益を使用しています。

 

(非財務目標)

KPI

目標(2025中計期間)

経営戦略に合致した人材ポートフォリオの

充足度

人材ポートフォリオの枠組みを策定、充足度を可視化。

従業員エンゲージメントサーベイ結果

サーベイの内容を精緻化し、分析を高度化。

DX関連新事業・新商品の件数

DX体制の基盤を構築(DX人材養成・獲得、システム投資等)。

業務効率

女性管理職比率

20%以上

有給休暇取得率

70%以上

月平均残業時間

14時間以下

育休・産休利用率

100%

温室効果ガス排出量(Scope3)

影響度の高いカテゴリーを主に分析し、Scope3を可視化。

温室効果ガス排出量(Scope1,2)

2030年度:2019年度対比△55%

2050年度:ネットゼロ

エネルギー使用量(国内)

前年度比△1%を継続。

 

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)サステナビリティについての基本的な考え方

 当社は、地球環境の保護や人権の尊重、多様性への対応など、サステナビリティへの取り組みは企業が担うべき重要な社会的責任と考えており、今後、企業が存続していくためには、環境・社会・経済の視点で、課題解決に向けた事業活動に取り組み、ステークホルダーからの信頼を獲得しつつ、長期的な成長をめざすことが必要になると考えています。

 

(2)マテリアリティ(重要課題)

 当社は、当社グループが持続的に成長するうえで優先的に取り組むべきテーマとして、以下の6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。

 近年における温暖化による気候変動、人口増加、都市化、資源不足といった地球規模のメガトレンドを背景に、私たちの生活や社会環境はグローバルに大きく変化しており、企業には、脱炭素社会の推進や循環型経済の構築など、多くの課題解決に向けた取り組みが求められています。

 当社グループにおいては、今回特定したマテリアリティの重要性を認識したうえで、課題解決に向けた実効性のある経営、事業活動に取り組んでいきます。

当社グループのマテリアリティ

マテリアリティ

重要性が高いと考える背景

SDGsとの関係

脱炭素社会の推進

・脱炭素社会の実現に向けた取り組みは、喫緊の課題として、世界的に認知されており、再生可能エネルギー投資、EV化の促進などの成長・有力分野における当社グループの貢献の余地は大きい。

・この社会的課題の解決に逆行する取り組みの峻別などは、事業面における影響も大きく、重要性が高い。

 

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サーキュラー

エコノミーの実現

・自社ならびに社会における廃棄を減らすこと、アセットの新たな価値を最大限に活用し、循環型社会に貢献することは、リース業界のリーディングカンパニーとして、その重要性が高い。

・パートナーとの連携を強化することで、持続可能で豊かな社会の実現に貢献できる。

 

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強靭な

社会インフラの構築

・修繕期や再構築期を迎えている国内インフラの整備や、さまざまなパートナーと協業する海外のインフラ支援の積極的な展開、スマートシティの構築は、多くの機会を有する領域。

・企業間の連携を支援する仕組みの構築、サービスの提供により、その事業の多様化や高度化、効率化に貢献できる。

 

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健康で豊かな

生活の実現

・当社を取り巻く、多くのステークホルダーの健康および安全・安心・文化的な生活の保全に関わるサービスの創出と提供は、豊かな未来の実現に向けて、その重要性が高い。

・企業活動における価値と信頼の源泉は人材であり、従業員のモチベーション向上、優秀な人材の獲得なども、その意義は大きい。

 

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マテリアリティ

重要性が高いと考える背景

SDGsとの関係

最新技術を駆使した

事業の創出

・お客さまのDX推進におけるファイナンスニーズを捉え、自社のテクノロジーやデジタル技術の利活用により、その解決を図ることは、新たな事業モデルの開発を促進するもの。

・代替エネルギーの利活用にともなうサプライチェーンの構築も含めて、多様性と新規性を兼ね備えた事業創出の機会として重要性が高い。

 

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世界各地との共生

・国や地域により、抱えている社会的課題は異なることから、地域密着で独自のニーズを捉え、各国・地域のパートナーとの協業などをもって、その解決を図ることの意義は大きい。

・当社グループの総合力を発揮することで、ともに成長する社会を実現できる。

 

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※マテリアリティの特定プロセスについては、ウェブサイトをご覧ください。

https://www.mitsubishi-hc-capital.com/sustainability/materiality.html

 

 

(3)サステナビリティの基本方針

 当社は、グローバルに多くのステークホルダーとのつながりを構築しており、社会的課題の解決に貢献できる、大きなポテンシャルを有しているものと自任しています。そのうえで、お客さまやパートナー企業とともに社会価値を創出することで、持続可能で豊かな未来に貢献していくことを当社のありたい姿として「経営理念」に掲げ、その実現に向けて取り組んでいく姿勢を「経営ビジョン」として定めています。この経営理念、経営ビジョン、さらには、特定されたマテリアリティを一体とした姿勢こそが、当社グループの「サステナビリティの基本方針」となります。

マテリアリティと経営理念・経営ビジョンの関係性

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(4)気候変動への取り組み

 気候変動問題は、持続可能な社会を実現するために解決すべき重要な課題です。当社グループは、今後、企業が存続していくためには、事業活動を通じてその課題解決に取り組むことが必要になると考えています。また、適切な情報開示により、ステークホルダーからの信頼を獲得することの重要性を認識しており、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同しています。

 

TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示

① ガバナンス

 持続可能で豊かな未来社会の実現に貢献する存在となるべく、当社グループでは2021年4月に「サステナビリティ委員会」を設置しました。本委員会は経営会議の諮問委員会の一つに位置付けられ、気候変動問題をはじめとするサステナビリティに関連する重要課題について審議することを目的に開催し、その結果は、経営会議ならびに取締役会にて報告されます。同年12月に公表した「脱炭素社会の推進」を含むマテリアリティについても、サステナビリティ委員会、経営会議、取締役会での議論を経て特定したものです。当社グループは気候変動にともなう事業への影響を把握・管理する取り組みを進め、ガバナンスを強化していきます。

 

② リスク管理

 脱炭素社会への移行にともなう規制変更や技術革新、ビジネスモデルの転換、または地球温暖化にともなう異常気象などは、業績悪化などによる取引先の経営破綻、当社グループが保有するアセットの価値下落など、経営成績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、気候変動リスクを全社的なリスク管理における重要なリスクの一つとして認識しており、適切な把握・管理に向けた取り組みを進めていきます。

a. リスクマネジメント態勢の概要

 当社グループは、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事業などのリスクを「統合リスク管理」の枠組みで総合的に管理しています。

 統合リスク管理の枠組みで管理している重要なリスクには、信用リスク、アセットリスク、投資リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスクなどがあります。

 考えられるリスク要因を管理対象に、各リスクの所管部門が外部環境の変化などによる課題を把握し、定期的にこれらのリスクへの対策を検討のうえ、リスク管理委員会をはじめとした各委員会にて報告・審議しています。また、重要事項は経営会議・取締役会にて報告・審議する管理態勢としています。リスクマネジメント態勢の詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

b. 気候変動リスクの分類、影響事例

 気候変動リスクには、気候関連の規制強化・技術革新などにともなう移行リスク、異常気象や気候の変化にともなう物理的リスクがあります。TCFD提言ではそれぞれを政策と法・テクノロジー・市場・評判、急性的・慢性的のサブカテゴリーに分類し、影響事例を示しています。

 当社では、気候変動リスクは、信用リスクやアセットリスク、投資リスクなどといった既存のリスクを含む幅広い波及経路を通して、短・中・長期とさまざまな時間軸のなかで影響が発現するものと捉えています。また、当社の事業活動に対する直接的な影響に加えて、当社の顧客を通した間接的な影響の発現も想定されます。

 こうしたリスク特性とTCFD提言の内容を踏まえたうえで、当社のリスク管理の枠組みも考慮し、気候変動リスクの影響事例を当社の主要なリスクごとに整理しています。統合リスク管理態勢のもと、気候変動リスクもその他の主要リスクとの関係性を踏まえて、リスクを特定・評価、管理する体制の構築を進めています。

 今後、リスク分類や影響事例は、外部環境の変化、気候変動リスクに対する分析・評価の深化に応じて、その見直しを行っていきます。

 

c. 全体的なリスクマネジメントへの統合状況

 気候変動リスクによるその他の主要なリスクへの総合的な影響は、リスク管理委員会にて報告・審議する態勢としています。シナリオ分析を通して判明したリスクも含めて、モニタリング体制を構築するなど、リスク管理全体への反映を進めていきます。また、気候変動に関する目標・計画策定、モニタリング内容は、サステナビリティ委員会にて報告・審議する態勢としています。両委員会の審議内容は取締役会の監督体制のもと、当社の経営戦略全体に反映し、リスクマネジメント全体、個別リスク双方の観点から適切に対応できる態勢としています。

 

③ 戦略

 当社は、将来の気候変動が当社グループに及ぼすリスクと機会を把握し、適切な情報開示、今後の施策の検討を目的に、「移行リスク」および「物理的リスク」に関するシナリオ分析をおこなっています。

 なお、シナリオ分析は、現時点で得られる限定的な情報やデータを基に分析したものです。今回得られた分析結果を慎重に解釈し、ステークホルダーとの対話を通じて、今後はより多くの情報と関連データを入手し、分析手法の改良や分析対象事業の拡大を図ることで、適切な開示に反映させることに努めていきます。

 

a. シナリオ分析の概要

移行リスク分析の概要

対象セクターおよび

主要セグメント

対象セクター

主要セグメント

エネルギー

(石油、ガス、石炭、電力会社)

環境エネルギー・インフラ

運輸(航空貨物輸送、航空旅客輸送)

航空

素材、建築物(不動産管理、開発)

不動産

シナリオ

国際エネルギー機関(IEA)が公表しているNet Zero Emissions by 2050 Scenario(NZEシナリオ)およびStated Policies Scenario(STEPSシナリオ)

分析方法

対象セクターにおける脱炭素社会に向けた機会とリスクを特定し、事業影響を評価(定性分析)

物理的リスク分析の概要

分析対象

環境エネルギー・インフラ事業本部、不動産事業本部、および当社グループの事業所、支店が保有する事業用資産

シナリオ

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表しているShared Socioeconomic Pathways(SSP5-8.5)

分析方法

事業用資産の所在地で起こり得る異常気象、気候の変化が及ぼす事業影響を評価(定性分析)

 

b. シナリオ分析結果

 シナリオ分析実施対象セグメントである、環境エネルギー・インフラ、航空、不動産、カスタマーソリューションを所管する各本部および全社のリスク管理所管部署であるリスクマネジメント統括部と気候変動が及ぼす当社の事業影響に関する議論を行い、シナリオ分析結果と既存戦略方針との整合性を確認しました。

 当社グループは、気候変動に関するリスクと機会について、短期ないし長期にわたる対応策を講じることにより、リスクの最小化および機会の最大化を図っています。移行リスク分析の結果としては、再生可能エネルギーの拡大(環境エネルギー・インフラ)、高燃費航空機・エンジンならびにSAFや水素などの低炭素燃料への移行(航空)、低炭素建物の需要拡大(不動産)などに関連するリスクと機会に適切に対処する必要性が認識されています。また、物理的リスク分析の結果としては、発電所の被災、太陽光パネルなど発電設備の劣化(環境エネルギー・インフラ)、自然災害の激甚化による不動産価値の毀損、建築・運営費用・改修費用の増加(不動産)、当社グループ事業所の被災や運営費用・保険費用の増加などのリスクが想定されています。

 気候変動リスクに対しては、適切な対応策を策定する一方、気候変動による機会については、事業機会の獲得を戦略に織り込んでいます。今後、気候変動関連のKPIを中期経営計画の実行の過程で反映し、国内外における関連動向および当社グループの取り組み状況を定期的にモニタリングする体制を整備していきます。

 

④ 指標および目標

 脱炭素社会の実現に向けた取り組みは喫緊の課題との認識から、当社グループの温室効果ガス削減目標をパリ協定に準じて設定し、脱炭素社会への移行を「機会」と捉え積極的に推進していきます。なお、将来的に新規事業の取り組みなどにより温室効果ガス排出量が大幅に増加した場合、あるいは、サプライチェーンを含めたグループ全体の温室効果ガス排出量算定を高度化するなかで数値の変動が生じる場合などにおいては、適宜目標設定を見直す可能性はありますが、いずれも今回設定する目標と同様に、パリ協定の水準に沿うよう設定する予定です。

a. 当社グループの温室効果ガス排出量削減目標

Scope1およびScope2

短期(毎年)

中期(~2030年度)

長期(~2050年度)

国内のエネルギー使用量

前年度比 △1%

2019年度比 △55%

ネットゼロ

 

b. 今後の取り組み

 当社グループの温室効果ガス排出量の大部分を占めると想定されるScope3カテゴリー11(販売した製品の使用)、カテゴリー13(リース資産(下流))、カテゴリー15(投資)についても計測方法を検討し、開示に向けた議論を行っています。

 今後、営業取引に関する温室効果ガス排出状況の見える化、温室効果ガス多排出セクターに対する取り組み方針、および移行計画の策定などを通じて、サプライチェーンを含めたグループ全体の温室効果ガス排出量削減を検討していきます。

 

(5)人的資本に関する戦略

① 人的資本に関する戦略の方向性

 当社は、「人的資本」を蓄積し活用することが、「経営の基本方針」や「経営の中長期的方向性」実現を通じて企業価値を向上させるための重要課題であると認識しています。特に、「経営の中長期的方向性」に示した「SX/DX」と「事業ポートフォリオ変革」を実現し、当社が目標とする経営指標を達成するために、質・量共に必要な「人的資本」を確保・活用してまいります。

 2022年度は、「人的資本」の可視化に着手し、「経営の中長期的方向性」に示した「SX/DX」と「事業ポートフォリオ変革」実現に必要な人材と現状の人材のギャップを質・量の観点で検討を開始しました。結果、「経営の中長期的方向性」実現のうえで「人材の質的な転換」「人材の量の確保」の両方が重要であると改めて認識いたしました。

 

② 成し遂げたいテーマ

 「人的資本」の確保・活用(「人材の質的な転換」「人材の量の確保」)にあたって、中長期的に成し遂げたいこととして、2つのテーマを掲げています。

成し遂げたいこと(a)

当社が戦略実現に資する人材(質・量)を育成・確保する(人材ポートフォリオの充足)

「経営の中長期的方向性」実現に必要な人材の質と量を定義し、人材ポートフォリオを可視化します。

必要な人材と現状の人材のギャップを質・量の観点から把握し、ギャップを埋めるための施策を実施し、必要な人材を充足します。

成し遂げたいこと(b)

従業員一丸で価値創造を推進する環境を作る(従業員エンゲージメントの向上)

当社では、「従業員が仕事に誇りを持ち、自発的に努力して働いている」「自らの能力を活かして働きやすい環境がある」「多様な社員が尊重されている」環境を作ることで、従業員一丸となって価値創造を推進します。

実現にあたっての課題を明確化し、施策を推進することで、従業員エンゲージメントが高い状態を継続的に実現します。

 

 

③ 取り組み内容

 上記の2つの成し遂げたいテーマに対し、2025年度までの中期経営計画期間では、「人材マネジメント基盤の再構築」「エンゲージメント向上の仕組み化」の2つを、当社グループが経営戦略を実現するうえで優先的に取り組んでまいります。「人材マネジメント基盤の再構築」により「人材の質的な転換」を行い、「エンゲージメント向上の仕組み化」により従業員エンゲージメントが高い状態を継続的に実現し、「人材の量の確保」につなげてまいります。

 

取り組み内容

人材マネジメント基盤の再構築

当社ではこれまで、人材情報を収集・蓄積し、人材活用(配置・育成)に活かしてまいりました。

今後は、「成し遂げたいこと(a) 人材ポートフォリオの充足のために人材マネジメント基盤を再構築し、「経営の中長期的方向性実現のうえで必要な人材像を定義し人材のさらなる把握と質的な転換に資する育成を行います

人材の把握では、従業員数をはじめとする量の観点に加え、経験・知識・スキルやコンピテンシー等の質的な要素を扱います。育成(質的な転換)では、人材ポートフォリオ充足のための質的な課題を特定し、能力開発のための施策を行います。

また、人材情報に加えて職務の情報も、体系的に整備することで、人材と職務のマッチングの精度を上げ、適所適材をより一層実現してまいります。

エンゲージメント向上の仕組み化

当社グループではこれまで、エンゲージメントサーベイを行うことで、足元の課題領域を特定し、改善活動を行ってまいりました。

今後は、エンゲージメントサーベイの指標をKPIとし結果と原因/プロセスを管理する仕組みを構築・活用することで能動的な課題設定を行い施策を推進してまいります

グループ全体としてエンゲージメントの高い状態を継続的に実現することで、結果として、人材の量の確保にもつなげてまいります。

 

④ 指標および目標

 「成し遂げたいテーマ」2点の実現に向けて、2025年度までの中期経営計画期間において、人材ポートフォリオの枠組みを策定し、その充足度を可視化するほか、エンゲージメントサーベイ内容を精緻化したうえで、分析の高度化を図ってまいります。

 結果指標KPIと原因/プロセス指標KPIを設定することで、結果指標のモニタリングに加えて、重要な原因/プロセスの特定や効果的な施策の推進を行い、確実な目標達成をめざします。

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの事業等のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なものを「(1)統合リスク管理」に記載している枠組みで総合的に管理し、リスクの概要やリスクに対する主な取り組み等の具体的な内容については「(2)統合リスク管理の枠組みで管理している重要なリスク」に記載しています。当社グループでは、このようなリスクに対する適切な管理態勢を構築し、リスク顕在化の未然防止と発生時の影響の極小化に努めています。

考えられるリスク要因を管理対象として、各リスクの所管部門が外部環境の変化等による課題を把握し、定期的にこれらのリスクに対する対策を検討のうえ、業務執行の統制を行うための協議決定機関である経営会議に遅滞なく報告する管理態勢としています。具体的には、個別リスクの課題と対策を議論するALM(資産・負債の総合管理)委員会・コンプライアンス委員会・J-SOXに関わる情報開示委員会等のほか、経営全般に係るリスクを総合的かつ体系的に管理するリスク管理委員会を四半期ごと、および必要に応じて開催し、リスク状況の報告・対応方針の審議等を行っています。また、各委員会における重要事項は、取締役会に報告し、審議しています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

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(1)統合リスク管理

当社では、経営の健全性維持と収益性向上を両立させることで持続的な成長を図るため、「統合リスク管理」の枠組みを組み込んだ事業運営を行っています。統合リスク管理の枠組みで管理している重要なリスクには、信用リスク、アセットリスク、投資リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク等があり、連結ベースでリスク管理を行っています。

具体的には、アセットやビジネスの特性に応じた評価手法により各リスクを定量化したうえで、当社のリスク資本管理方針に基づきそれぞれのリスクカテゴリーにリスク資本を配賦し、リスク許容度の範囲内で合理的なリスクテイクを行う態勢としています。

こうしたリスク管理の枠組みの中で、定期的にリスク資本の使用状況や各種ポートフォリオの状況についてモニタリングを行い、リスク管理委員会、経営会議および取締役会に報告され、審議することで、適切な対応を務めるとともに、社内におけるリスクに関するコミュニケーションの充実を図っています。リスク管理態勢や管理の状況は、取締役会が把握し、監督する態勢となっています。

 

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(2)統合リスク管理の枠組みで管理している重要なリスク

当社グループは、グローバルに事業活動を行っており、取引先の事業に必要な設備投資やサービスをリース等により提供しています。リース取引等のために保有するアセットは、事務機器や生産設備といった一般的な動産のほか、航空機等特定の産業で使用されるアセットまで多様化しています。国内外の景気の減速・後退にともない、取引先の事業環境等が悪化し設備投資需要が大幅に減少した場合、リース取引の減少等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、内部プロセス・人・システムが不適切であることもしくは機能しないこと、または外生的事象が生起することから生じる損失によっても、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これら想定されるリスクを対象として、当社では「(1)統合リスク管理」で記載した枠組みで重要なリスクを管理しています。

① 信用リスク

 当社グループは、リース取引や割賦販売取引や金銭の貸付等の形態による金融サービスの提供により、中長期にわたり信用を供与する事業を行っています。今後の景気動向や金融情勢によっては、企業の信用状況悪化による不良債権の増加にともない貸倒引当金の追加繰入等が必要となり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、グローバルなビジネス展開を行っていることから、取引先や投資先の国や地域における政治・経済等の状況によって損失を被るカントリーリスクを負っています。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 個別案件の取り組み可否の検討にあたっては、当社グループ独自の格付制度を用いて取引先の信用状況を精査するとともに、リース対象物件の価値やカントリーリスク等を踏まえたうえで総合的に審査を行い、リスクに基づく適切なリターンの確保に努めています。また、取引開始後も継続的に取引先の信用状況をチェックし、取引先の信用状況悪化の際には必要な措置を講ずる態勢を整えています。さらに、ポートフォリオ全体として、特定取引先、業種、国・地域等に与信が集中しないよう、リスク分散を考慮した与信運営に取り組んでいることに加えて、定期的にポートフォリオの信用リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。

② アセットリスク

 当社グループは、国内外において、一般的な動産に加え、航空機等のグローバルアセット、建物等の不動産を保有し、オペレーティング・リース等の形態で、これらを賃貸する事業を行っています。この事業では、前述の信用リスクに加えて、アセットリスクを負っているため、アセットの運用や処分によって得られる収入の変動が当該取引の採算に影響を及ぼす可能性があります。このため、オペレーティング・リースの取り組みにあたっては、個別案件の取り組み時に、取引先の信用状況に加え、アセットの種類に応じて、その価値を慎重に見極めて審査を行っています。また、取引開始後も継続的に当該アセットに係るリースや売買市場の状況、賃借人によるアセットの利用状況等のモニタリングを行い、リスクの顕在化防止、軽減に努めています。

 

a. グローバルアセット

 当社グループは、航空機、航空機エンジン、コンテナ、鉄道貨車等のグローバルアセットを国内外において保有し、オペレーティング・リース等の形態で、これらを賃貸する事業を行っています。グローバルアセットに関する事業では、前述の信用リスクに加えて、当該アセットの価格変動リスクを負っています。オペレーティング・リースでは、取引先からのリース料収入のほか、リース期間満了後にアセットを売却して資金の回収を図ります。また、取引先の経営破綻等の際には、当該アセットを引き揚げたうえで、別の取引先とリース取引等を行うほか、アセットを売却して資金の回収を図ります。アセットの売却に際しては、景気動向や金融情勢のほか、技術的問題に起因する大事故、技術革新による陳腐化、法律や規制等の改定、世界的な感染症の拡大やテロの懸念の高まり、あるいは自然災害や戦争・地政学的リスク等によってもアセットを取り戻せなくなるリスクやアセット売却価格が変動するリスクが生じるほか、減損損失の計上や物件管理に付随するコストの増加等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 グローバルアセットのオペレーティング・リースの取り組みにあたっては、個別案件の取り組み時に、動産を対象とする取引時の確認事項に加え、将来のアセットの流動性等を含め総合的に審査を行うとともに、信用リスクやアセットの価格変動リスクに見合った適切なリターンの確保に努めています。さらに、アセットの種別や地域・満了時期等リスク分散を考慮したポートフォリオを維持すべく、当社グループ内でクライテリアを定めて運用しています。また、取引開始後も継続的に取引先の信用状況や業界動向をチェックし、必要に応じてアセットの劣化を回復するための預かり金を取引先から徴求するなどして、取引先の信用状況悪化の際に必要な措置を講ずる態勢を整えています。加えて、主要なアセットカテゴリーごとに、事業部門とリスク管理部門にて、必要に応じて対象業界の動向やアセットの価値変動に影響を及ぼす兆候を点検する予兆管理会議を開催しています。また、定期的に取引先の信用リスクやポートフォリオにおけるアセットの価値変動リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。

b. 不動産

 当社グループは、国内外において、オフィス、住宅、商業施設、物流施設、ホテル等の商業不動産に対する投融資や保有不動産を活用した賃貸および事業運営等を行っていますが、当該アセットは収入変動リスクや価格変動リスクを負っています。不動産に関する事業では、テナント等からの賃貸料収入のほか、長期保有方針以外のアセットでは、適切な時期にアセットを売却して資金の回収を図ります。賃貸料収入やアセットの売却収入については、景気動向、金融情勢、アセットの所在する個別のロケーションの賃貸市況といった市況環境によって収入が変動し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 個別案件の取り組み時に、将来のアセット価値や流動性等を慎重に見極めて総合的に判断を行うとともに、アセットの価格変動リスクに見合った適切なリターンの確保に努めています。また、取り組み後も継続的にアセットの運用状況、価格動向や業界動向をチェックし、収益の極大化を図る態勢を整えています。加えて、事業部門とリスク管理部門にて、必要に応じて業界の動向やアセットの価値変動に影響を及ぼす兆候を点検する予兆管理会議を開催しています。また、定期的にポートフォリオにおけるアセットの価値変動リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。

③ 投資リスク

 当社グループは、太陽光発電を中心とする再生可能エネルギー事業、海外インフラ事業に代表されるプロジェクト向け投融資、事業会社やファンドへの出資等の様々な事業に対する投資活動を行っています。このような投資活動においては、景気変動や需要の減退といった事業環境が変化するリスク、投資先やパートナーの業績停滞等にともなって期待どおりの収益が上げられないリスクや投資額の回収可能性が低下するリスク、投資先の株価が一定水準を下回るリスクがあるほか、投資先の業績にかかわらず経済・金融情勢の急激な変化や金融市場の大きな混乱等により株価が一定水準を下回る状態が相当期間に及ぶリスク等があり、評価上の損失を含め投資の一部または全部が損失となる、あるいは追加資金拠出が必要となる場合があります。さらには、パートナーとの経営方針の相違、投資資産の流動性の低さ等により当社グループが望む時期や方法での事業撤退や事業再編が行えないリスク、あるいは、投資先から適切な情報を入手できず当社グループに不利益が発生する等のリスクがあり、そのような場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 投資案件の取り組みにあたっては、個別案件の投資額やリスクの深度等に応じて投資協議会を開催して関係各部の意見を確認、幅広い視点で将来の投資価値や流動性等を慎重に見極めて総合的に判断を行うとともに、リスクに見合った適切なリターンの確保に努めています。加えて、取り組み後も継続的に投資の運用状況や業界動向をチェックし、収益の極大化を図る態勢を整えています。また、定期的にポートフォリオにおける投資価値の変動リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。

④ 市場リスク

a. 金利変動リスク

 当社グループの行うリース取引や割賦取引におけるリース料や賦払金は、取引対象物件の購入代金や契約時点の市場金利水準等を基に設定され、基本的に契約期間中は変動しない取引が主体となっています。一方、リース物件等の取得資金については、資金調達の多様化や資金コスト低減のために、固定金利調達と変動金利調達とのバランスを図りながら調達を行っていますが、資金原価は市場金利の変動にも影響を受けます。したがって、金融情勢の急変によって、市場金利が急激に上昇するような場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

b. 為替変動リスク

 当社グループは、海外での事業展開に積極的に取り組み、外貨建て資産が増加しており、連結営業資産に占める割合も高まっています。当社グループの海外連結子会社では、原則として資産と同一通貨での資金調達を行っていますが、各社の財務諸表は現地通貨で表示されている一方、当社の連結財務諸表は日本円で表示されているため、為替相場の大幅な変動が生じた場合、日本円換算での当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 当社グループでは、金融市場の動向を随時注視するとともに、ALM(資産・負債の総合管理)により、資産運用と資金調達の金利形態や為替等のミスマッチの状況を随時モニタリングし、金利動向を考慮しながら適宜ヘッジオペレーションを行い、金利変動リスクを管理しています。為替変動リスクへの対応としては、外貨建て営業資産に合致した通貨での資金調達を原則とし、為替評価差損益を極小化するよう努めています。また、金利や為替相場が不利な方向に動いた場合に、保有ポートフォリオのポジションが、一定期間、一定の確率でどの程度損失を被る可能性があるかを過去の統計に基づいて計量的に示したリスク量を定期的に計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。なお、ALM委員会は四半期ごと、または状況に応じて開催し、地政学リスク、パンデミック等、様々なリスクファクターによるシナリオ分析、データ分析を行い、金融市場環境の動向やリスク量の状況などを踏まえてALM方針を決定しています。

⑤ 流動性リスク

 当社グループは、リース取引に係るリース物件の取得および割賦取引や金銭の貸付等の事業を行うにあたって、内外の通貨により多額の資金調達を行っています。リース等の与信取引や投資等の期間と資金調達の期間とのバランスを図りながら調達を行っていますが、経済・金融情勢の急激な悪化や金融市場の大きな混乱、あるいは当社グループの信用力低下等により、金融機関や投資家のリスク回避姿勢が強まり、十分な資金の確保が困難になる場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 資金調達については、金融機関からの借入に加え、社債、コマーシャル・ペーパー、リース債権流動化等市場からの直接調達により多様化に努め、かつ、長期・短期の調達バランスの調整や綿密な資金繰り管理を行うとともに、コミットメントラインの取得等により緊急時の流動性補完対策を講じ、資金の流動性確保を図っています。また、資金流動性のステージ管理を実施しており、調達環境が悪化した場合であっても返済資金を含めた当面の必要資金が確保できるように調達構造を構築し、その流動性の状況を確認し、ALM委員会に報告する運用としています。

 ALM委員会では、金利感応度分析(金利変動による収益への影響分析)、クレジット分析を実施するほか、金融市場などにストレスがかかった場合における④の市場リスクおよび⑤の流動性リスクの状況や損益インパクト等を総合的に検証したうえで、市場環境を踏まえた全社戦略を実現するための資金調達戦略、リスク対応への方針を決定しています。特に、リスク管理に関しては、全社的な統合リスク管理の一環であるリスク管理委員会とも連携しています。予兆管理態勢を強化し、コンティンジェンシー・プランと合わせることで、危機に直面したときの財務構造の柔軟性と回復力の向上に努めています。

 また、当社グループは近年の事業のグローバル化を支え、外貨調達力を引き上げるためにも、地域財務拠点の再構築を進めています。その一環として、まず当社グループの資産残高の多い北米に地域財務拠点を設置し、資金調達の集約を含めた「グループファイナンス体制」を敷いています。北米の地域財務拠点では、間接金融のみならずUSコマーシャル・ペーパーや社債の発行等による多様な資金調達を実施し、北米に展開するグループ会社に対する資金の提供を行っています。

⑥ オペレーショナルリスク

a. 地震・風水害・感染症・戦争・テロ等に関するリスク

 当社グループは、国内外に拠点・システム等の設備を有し事業活動を行っており、地震・風水害等の自然災害や感染症・戦争・テロ等その他の突発的な事態が発生した場合、拠点やシステム等への被害、従業員が直接の被害を受けるまたは出社が制限される等により、拠点の活動が縮小または運営困難などの被害が生じ、事業活動に支障が生じる可能性があります。また、その被害の程度、あるいは当該事象の発生の長期化等によっては、システム等の設備の復旧に多額の費用が必要になる可能性や事業活動の回復に長期間を要する可能性があり、このような場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 当社グループでは、このような事態に備え、想定されるリスク事象により所管部を定め、危機事態には対策本部を設置し対応する態勢を整備しています。また、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定、基幹システムの二重化対策、在宅勤務が可能なシステムインフラ整備による業務継続、継続すべき業務を限定したうえでの交代出社等により、業務継続態勢の整備を進めています。

 なお、当社グループはウクライナ・ロシアに拠点を有していないこともあり、現時点でウクライナ情勢による当社グループへの直接的な影響は限定的ですが、今後の事態が深刻化する場合は、取引先企業の信用状況悪化による不良債権の増加等の間接的影響にともない貸倒引当金の追加繰入等が必要となり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 2022年3月以降、当社では危機管理対策本部を設置し、サイバーセキュリティ対応、貿易管理やマネー・ローンダリング対応、金融動向注視、案件審査管理の強化、当社営業資産価値への影響注視、その他間接的影響の把握および管理等に努めています。

b. システムリスク

 当社グループは、様々な情報システムを利用し、会計処理、各種契約管理、取引先管理、リース物件の資産管理等を行うほか、電子メール等を利用しています。これらの情報システムについては、保守の不備、開発の不調等を起因とするシステムの停止や障害の発生による契約・回収等の業務や取引先への提供サービスの中断による営業活動の停滞、経済的損失等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 当社グループは、システムの安定稼働のため、当社および協力会社との連携による強固な保守管理態勢を整備し運用しています。障害等発生時には当該事象の社内外の速やかな情報連携・対応を行うとともに、その後の再発防止策の策定・実施も含めた一連の対応態勢を構築しています。また、システムの開発にあたっては、当社開発プロセスの標準的手法を国内外のグループ会社へも展開しグループベースでのIT統制を行っています。

c. サイバーセキュリティリスク・情報セキュリティリスク

 当社グループは、様々な情報システムを利用し、会計処理、各種契約管理、取引先管理、リース物件の資産管理等を行うほか、電子メール等を利用しており、これらの情報システムについては、ビジネスメール詐欺、マルウェアの侵入、外部からの不正アクセス等、サイバー攻撃等を受けるリスクがあります。外部からの不正アクセスやマルウェアの侵入、人為的ミス、不正、詐欺行為等により、システムの停止や障害、金銭的被害の発生、あるいは当社機密情報や取引先情報の漏洩、不正使用等が発生した場合、契約・回収等の業務や取引先への提供サービスの中断による営業活動の停滞、経済的損失、重要情報の外部への漏洩による社会的信頼の失墜等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 当社グループでは、これらのリスクに対し、社内に組織横断型チームMHC-SIRT(Security Incident Response Team)を設置し、入口・内部・出口の多段階での防御とインシデント発生時の対応態勢を整備しています。具体的には、脆弱性を悪用したサイバー攻撃への備えとして、ソフトウェアを最新の状態に更新し、外部からの不正アクセスやマルウェアの侵入、サイバー攻撃等を検知し、トラブルを未然に防止する管理態勢を講じるとともに、インシデント発生時の社内外の連携態勢の整備・訓練を行い、全社員に対し標的型メール訓練や情報セキュリティに係る社内教育を継続的に実施しています。

d. コンプライアンスリスク

 当社グループの業務活動は、国内外の各種関連法令等の適用を受けています。主なものとして、会社法、税法、金融商品取引法、独占禁止法、個人情報保護法、貸金業法、割賦販売法、犯罪収益移転防止法、環境に関する法令等を遵守する必要があり、海外においては、それぞれの国・地域における法令の適用を受け、規制当局の監督を受けています。法令や社会規範・社内ルール等が遵守されなかった場合、業務の制限や停止、取引先等からの損害賠償の請求、社会的信頼の失墜等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 当社グループは、法令や社内ルールの厳格な遵守に加え、高い倫理観をもって社会規範等にしたがって業務活動等を行うこととしており、コンプライアンスに関する継続的な教育や、マネー・ローンダリング、テロ資金供与行為ならびに不正行為の未然防止を図る対策を講じ、コンプライアンス態勢の強化に努めています。

e. 制度変更リスク

 当社グループの業務活動は、国内外の法令・会計・税制等、各種制度の適用を受けています。当社の業務に密接に関連する各種制度に大幅変更・改訂等が発生し、当社が当該制度変更・改訂に適切に対処できなかった場合、各種制度への不適合による罰則、商品の取扱い中止、業務活動の制限、会計上の売上減少等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 当社グループでは、国内外の法令・会計・税制等の各種制度について、コーポレートセンター・各事業部門・国内営業拠点・各国拠点のそれぞれが、担当業務・国に係る制度等の改訂・変更の状況を継続的にモニタリングしていることに加え、外部専門家の積極的な活用により当該モニタリングを補強しながら、各種変更・改訂の早期の情報収集・対策の実施を行っています。

f. 事務リスク

 当社グループは、様々な形態の取引を行っており、取引ごとに様々な事務管理が発生しています。これらの事務管理については、不適切な事務等の人為的ミス、不正等により、契約・回収等の業務や取引先への提供サービスの中断による営業活動の停滞、取引先からの信用の失墜等が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 当社グループは、取引ごとに事務管理ルールを定め、当該事務管理ルールにしたがって業務を行うとともに、同ルールの見直しを適宜実施しています。また、社内で事務事故が発生した場合の社内報告態勢を整備し、事故発生時には社内報告・発生事象への迅速な対応・事故原因の特定と再発防止策の策定・実施を行う態勢を構築し運用しています。

 

(3)その他の重要なリスク

 当社グループでは、統合リスク管理の枠組みで管理しているリスクとあわせて、以下のような重要なリスクについても認識しています。こうしたリスクは、各リスクの特性や状況に応じて、統合リスク管理の枠組みで管理している各リスク項目への影響や複数のリスク項目に跨る複合的な影響を分析するとともに、当社グループとしての対応を検討、必要に応じて対応方針を策定するほか、状況に応じてシナリオ分析などを実施して、リスク耐久力に対する多面的な検証を行っています。

① 事業基盤拡大・戦略的提携・M&A等に関するリスク

 当社グループは、事業基盤拡大による持続的な成長を図るため、国内外で、当社グループ独自での展開に加え、各種サービスの充実に向けた外部との戦略的な提携にも取り組んでおり、また、M&Aによりグループの事業ポートフォリオの多様化・拡充を図っています。

 このようなアプローチで、事業の多角化やサービスの充実に取り組んでいますが、国内外の経済・金融情勢の変化、競争の激化、提携先の事業環境の変化や戦略の変化、関連法令の変更等により、期待した効果が得られない可能性、M&Aの際に計上したのれんの減損処理を迫られる等、追加的な費用計上が必要となる可能性があり、このような場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 M&A等の案件の取り組みにあたっては、個別案件の投資額やリスクの深度等に応じて関係各部で検討を行うほか、外部の専門家を起用し、幅広い視点で投資ストラクチャーの合理性や将来の投資効果等を慎重に見極めて総合的に判断を行うこととしています。なお、M&A案件実行後においても、当社グループの規程等を適用し、適正な業務運営を行う態勢を整備するとともに、その事業計画や実績管理等のモニタリングを行い必要な対応を適時に行う態勢としています。

② 世界的な感染症リスク

 世界的な感染症の拡大(パンデミック)が生じた場合、広域なサプライチェーンの分断、各国政府による経済活動の一定期間の抑制措置や停止措置の実施、産業システムや金融機能の棄損などにより、幅広い顧客層や当社保有アセットを利用したビジネスに影響が波及し、取引先の経営破綻や保有アセットの価値下落などが生じて、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 現在は、2023年5月8日の新型コロナウイルスの「五類相当」への引下げを受けて、afterコロナのフェーズにあるという認識のもと、感染の再拡大を警戒しつつ、コロナ禍で進展した社内外とのITリモートコミュニケーションツールを引続き活用しながら、改めて直接コミュニケーションの強化・拡大も行い、新たな取り組みを早期に進めていきます。

〔新型コロナウイルス感染症再拡大による影響〕

 2020年より続いてきた新型コロナウイルス感染症は収束を見せつつも、新たな変異株の拡大の可能性はまだ完全に無くなってはいません。

 新型コロナウイルス感染症の新たな変異株の世界的再拡大が発生した場合、当社グループのビジネスに与える影響としては、世界的な経済活動の停滞にともなう顧客の設備投資の抑制・縮小・延期等により、当社グループの営業資産が計画どおりに拡大できない、ないしは減少し、収益の低下につながる可能性、物価上昇や金利上昇あるいはサプライチェーンの混乱等を含めた様々な影響により、顧客の信用状況悪化による不良債権の増加にともない、貸倒引当金の追加繰入等が増加する可能性があります。

 さらに、当社グループが営業資産として所有するアセットの価格下落やリース等に供するアセットの稼働率低下、あるいは保有する株式等の価格下落につながる可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染症が再拡大するなかで金融危機が生じた場合、資金調達が計画どおりにできない可能性がありますが、当社グループは手元の資金流動性を厚くする措置を講じていることに加え、これまで、感染防止措置を十分に講じつつ、業務フローの見直しやITツールの活用および情報セキュリティ強化等を進めてきましたので、円滑にリモートでの業務活動を可能とする態勢整備を拡充済みです。

③ 気候変動リスク

 脱炭素社会への移行にともなう規制変更や技術革新、ビジネスモデルの転換等に対応できないこと、または地球温暖化にともなう異常気象等により、業績悪化等による取引先の経営破綻、当社グループが保有するアセットの価値下落等が生じ、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動リスクへの対応や情報開示が不十分であった場合、またはそのように見做された場合には、当社グループの企業価値の毀損につながるおそれがあります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 当社グループは、持続的に成長するうえで優先的に取り組むべきテーマとして、「脱炭素社会の推進」をマテリアリティ(重要課題)として認識しており、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、TCFD提言に準拠したリスクの把握・評価や情報開示の拡充に取り組んでいます。また、当社グループは、気候変動リスクを全社的なリスク管理における重要なリスクの一つとして認識しており、気候変動リスクを把握し、管理する取り組みを進めていきます。

④ 人権侵害リスク

 企業の責任はサプライチェーン全体に及び、またサステナビリティへの取り組みが重視されるなか、企業が尊重すべきステークホルダーは、広く一般の個人や地域住民にまで及ぶという考えが主流になってきています。こうしたなか、当該ステークホルダーを軽視し、当社グループにおける人権侵害や、当社グループの取引先での人権侵害が発生し、当社グループが人権侵害を自ら引き起こした、助長した、または直接関与したと見做された場合、当社グループの企業価値の棄損につながるおそれがあります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 当社グループは2022年9月、人権方針を定め、「人権の尊重を経営における重要課題と認識し、事業活動のすべてにおいて、その責任を果たす」ことを宣言しています。また、2022年10月より、社内にて人権侵害リスクへの対応プロジェクトをスタートさせており、今後も、人権侵害を排除する取り組みを進めていきます。

⑤ ビジネス領域の拡大にともなうリスク

 当社グループは、法令や規制をはじめとする各種の条件で許容される範囲において、新規のビジネス領域を含めた業務範囲をグローバルベースで拡大しています。その過程において、拡大したビジネス領域に関する経験や知見またはリスクの検証を実施してもなお、リスクの顕在化が合理的想定の範囲を超えるなどした場合、あるいは、拡大した業務範囲のビジネスが想定どおりに進展しない場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 競争の激化

 当社グループが国内外で行っているリース取引等の各種事業では、同業のみならず金融機関等も含めた競争のさらなる激化、あるいは異業種のビジネスモデル転換や技術革新等による競争環境の変化が生ずる可能性があります。当社グループでは、競争力の維持・強化に向けて、取引先へのさらなる付加価値サービスの提供、アセットホルダーとしての価値創造力、低コストによる資金調達など様々な取り組みを進めていますが、競争状況がさらに激化した場合、マーケットシェアの低下や利益の減少により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 人材確保に関するリスク

 当社グループは、国内外で展開している各種事業の競争力を維持・強化していくため、十分な人的資源を安定的に確保する必要があります。当社グループでは、継続的に有能な人材の確保・育成に努めていますが、必要な人材を十分に確保・育成できない場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 労務・雇用管理に関するリスク

 当社グループの業務には多くの従業員が従事していますが、長時間労働により、従業員の心身の健康等に悪影響を及ぼし、想定していた業務を遂行できないリスク、または雇用等に関する法令遵守事項を適切にモニタリングしていないことによって法令違反を犯してしまうリスク、加えてこれらにより社会的信用を毀損する可能性があります。

 上述のリスクを低減するため、生産性向上に向けたプロジェクトや多様な働き方を可能とする制度(テレワーク、フレックスタイム等)を推進し、長時間労働縮減だけでなく育児・介護の必要な社員が活躍できる環境づくりに努めています。また、ハラスメント等の労務問題についても国内外の従業員に対して、社内通報・相談窓口を設置するなど対応しています。当社では、従業員が最大限能力を発揮できるよう「働きやすい職場づくり」を当社の重要な取り組みテーマとして推進しています。

 

(4)ストレステスト

 経営戦略の遂行にあたっては、景気悪化や市場変動、各種市況の悪化等、当社グループのビジネスに影響を及ぼすと考えられる様々なリスク事象について、ストレス時の影響度を把握するようにしています。具体的には、世界経済が悪化するシナリオに加え、事業分野ごとに市況変動やクレジットの悪化、大口集中リスクの顕在化など、強いストレスを想定した複数のシナリオを設定し、ストレス状況下において、期間損益や自己資本にどの程度の影響が生じる可能性があるのか、分析・検証を行っています。

 こうした多面的な検証により、経営計画において、リスク選好に無理は生じていないか、リスクの耐久力の確認を行っています。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況は次のとおりです。

 なお、当連結会計年度は報告セグメントの変更を行っており、前連結会計年度および前連結会計年度末の数値については、変更後の報告セグメントに組み替えた値を記載しています。また、記載のセグメント利益または損失は、連結損益計算書の親会社株主に帰属する当期純利益と一致しています。

(報告セグメントの変更に関する詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。)

(連結経営成績)                                    (単位:億円)

 

2022年3月期

2023年3月期

増減

増減率(%)

売上高

17,655

18,962

+1,306

+7.4

売上総利益

3,346

3,573

+226

+6.8

営業利益

1,140

1,387

+246

+21.6

経常利益

1,172

1,460

+288

+24.6

親会社株主に帰属

する当期純利益

994

1,162

+168

+16.9

契約実行高

25,078

26,406

+1,327

+5.3

(連結財政状況)                                    (単位:億円)

 

2022年3月期

2023年3月期

増減

増減率(%)

純資産

13,334

15,510

+2,175

+16.3

総資産

103,288

107,261

+3,973

+3.8

有利子負債

80,660

82,361

+1,700

+2.1

自己資本比率(%)

12.7

14.3

+1.6pt

 

 

① 財政状況および経営成績等の状況

 当連結会計年度の経営成績等は、営業面では契約実行高は前期比1,327億円(5.3%)増加の2兆6,406億円となりました。

 収入面では、売上高は前期比1,306億円(7.4%)増加の1兆8,962億円となりました。

 損益面では、売上総利益は前期比226億円(6.8%)増加の3,573億円、営業利益は前期比246億円(21.6%)増加の1,387億円、経常利益は前期比288億円(24.6%)増加の1,460億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比168億円(16.9%)増加の1,162億円となりました。

 当期末の総資産は前期末比3,973億円(3.8%)増加の10兆7,261億円、純資産は前期末比2,175億円(16.3%)増加の1兆5,510億円、有利子負債(リース債務を除く)は前期末比1,700億円(2.1%)増加の8兆2,361億円、自己資本比率は前期末比1.6ポイント上昇の14.3%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末比595億円(11.4%)減少の4,604億円となりました。

 資金が595億円減少した内訳は、営業活動により467億円の資金獲得があった一方、投資活動により1,273億円、財務活動により89億円の資金を使用したことによるものです。

 営業活動におけるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,531億円に、賃貸資産に係る減価償却費・除却損および売却原価4,797億円を調整した収入等を、賃貸資産およびその他の営業資産の取得による支出4,961億円、貸付債権の増加による支出767億円、仕入債務の減少による支出226億円等に振り向けた結果、467億円の資金収入となりました(前期は1,958億円の収入)。

 投資活動におけるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入1,390億円等に対し、定期預金の預入による支出2,524億円等により、1,273億円の資金支出となりました(前期は1,078億円の支出)。

 財務活動におけるキャッシュ・フローは、直接調達で1,204億円の純支出、銀行借入等の間接調達で1,546億円の純収入、配当金の支払額430億円等により、89億円の資金支出となりました(前期は1,921億円の支出)。

 

③ 営業取引の状況

a.契約実行高

 連結会計年度における契約実行高の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

前連結会計年度

(単位:億円)

 

報告セグメント

調整額

合計

カスタマー

ソリューション

海外地域

環境エネルギー

・インフラ

航空

ロジスティ

クス

不動産

モビリティ

契約実行高

9,580

11,090

364

1,813

746

1,162

319

△0

25,078

 

当連結会計年度

(単位:億円)

 

報告セグメント

調整額

合計

カスタマー

ソリューション

海外地域

環境エネルギー

・インフラ

航空

ロジスティ

クス

不動産

モビリティ

契約実行高

9,332

13,007

358

1,956

553

879

318

-

26,406

 

b.営業実績

 連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

前連結会計年度

(単位:億円)

 

報告セグメント

調整額

連結

損益計算書計上額

カスタマー

ソリューション

海外地域

環境エネルギー

・インフラ

航空

ロジスティ

クス

不動産

モビリティ

売上総利益

1,160

1,122

176

350

69

266

82

119

3,346

セグメント利益

326

408

22

56

8

123

31

15

994

 

当連結会計年度

(単位:億円)

 

報告セグメント

調整額

連結

損益計算書計上額

カスタマー

ソリューション

海外地域

環境エネルギー

・インフラ

航空

ロジスティ

クス

不動産

モビリティ

売上総利益

1,165

1,211

164

336

321

249

90

34

3,573

セグメント利益

381

290

116

62

153

126

37

△6

1,162

 

c.セグメント資産残高

 連結会計年度末におけるセグメント資産残高は、次のとおりです。

前連結会計年度

(単位:億円)

 

報告セグメント

調整額

連結

貸借対照表

計上額

カスタマー

ソリューション

海外地域

環境エネルギー

・インフラ

航空

ロジスティ

クス

不動産

モビリティ

セグメント資産

33,376

23,163

4,193

13,651

10,267

7,127

1,294

10,214

103,288

(注)セグメント資産は、営業資産、持分法適用会社への投資額、のれんおよび投資有価証券等です。調整額には各報告セグメントに帰属しないセグメント資産およびセグメント資産合計と連結総資産の差額である現金及び預金や社用資産等が含まれています。

 

 

当連結会計年度

(単位:億円)

 

報告セグメント

調整額

連結

貸借対照表

計上額

カスタマー

ソリューション

海外地域

環境エネルギー

・インフラ

航空

ロジスティ

クス

不動産

モビリティ

セグメント資産

32,277

26,442

4,332

16,402

10,929

4,472

414

11,990

107,261

(注)セグメント資産は、営業資産、持分法適用会社への投資額、のれんおよび投資有価証券等です。調整額には各報告セグメントに帰属しないセグメント資産およびセグメント資産合計と連結総資産の差額である現金及び預金や社用資産等が含まれています。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 決算の概要など

親会社株主に帰属する当期純利益は業績予想を上回る1,162億円となり、過去最高益を更新。1株当たり年間配当金は期初予想比2円の増配。

・2021年11月に完全子会社化した米国の海上コンテナリース会社CAI International, Inc.の利益貢献、貸倒関連費用の減少、海外地域セグメントにおける米州事業の伸長などにより、2023年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益は前期比168億円(16.9%)増加の1,162億円となり、過去最高益を更新しました。

・2023年3月期の業績予想(親会社株主に帰属する当期純利益1,100億円)に対して62億円の超過達成となりました。

・1株当たり年間配当金は、業績予想に対する超過達成にともない、通期配当予想31円から2円増配の33円(配当性向40.8%)としています。これにより、前期実績の28円から5円の増配となりました。

 

 

◎親会社株主に帰属する当期純利益の増減要因                      (単位:億円)

0102010_023.png

 

 親会社株主に帰属する当期純利益の主な増減要因は、次のとおりです(記載の金額は、税金等調整前当期純利益に対する影響額としています)。

 

 事業成長          +259億円

 貸倒関連費用の減少      +215億円

 経費の増加         △186億円

 特別損益の減少       △229億円

 その他(税金費用等)の減少 +109億円

 

 なお、事業成長の金額については、売上総利益と営業外損益の合計金額としています(営業外損益の金額に、償却債権取立益の金額は含んでいません)。

 

 

② 主なトピックス

2023~2025年度中期経営計画(「2025中計」)の策定・公表

 当社は、2023年度から2025年度(2024年3月期から2026年3月期)を対象期間とする中期経営計画(2025中計)を策定、2023年5月に公表しました。これは「10年後のありたい姿(未踏の未来へ、ともに挑むイノベーター)」に向けた3次にわたる中期経営計画「ホップ」・「ステップ」・「ジャンプ」の「ホップ」の位置づけにあり、2025中計の最終年度である2025年度(2026年3月期)の財務目標は、親会社株主に帰属する当期純利益:1,600億円、ROA:1.5%程度、ROE:10%程度、また、2025中計期間中の配当性向を40%以上としています。なお、ROAおよびROEの算定においては、親会社株主に帰属する当期純利益を用いています。

 2025中計の詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

人権方針の制定・公表

 当社は、国連が策定した「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「人権方針」を制定、2022年10月に公表しました。当社は、人権が尊重される社会の実現に向けて、グローバル企業に期待される人権尊重の責任を果たすため、国際的に認められる人権に関連する基準などに配慮した事業活動に自主的、継続的に取り組んでいきます。

主な事業上のトピックス

 2022年5月 ・米国マサチューセッツ州における分散型太陽光発電事業への出資参画を発表。

・環境負荷低減に配慮したマルチテナント型物流施設「CPD名古屋みなと」を竣工。

 2022年7月 ・秋田県秋田市において、2015年9月に竣工した秋田天秤野風力発電所の隣に、新たに太陽光発電所を建設し、太陽光と風力によるハイブリッド型発電所としての運転を開始。

・三菱商事株式会社が事業開発を進めてきた倉庫産業DX事業を担う同社の新設子会社に出資参画。

 2022年9月 ・環境負荷低減に配慮した物流施設「CPD西淀川」を竣工。

 2022年12月 ・食産業向けロボットサービスの研究開発などを手掛けるコネクテッドロボティクス株式会社との資本業務提携契約の締結を発表。

・不動産セグメントにおける注力事業へのリソースの集中や収益力向上を図るため、グループ会社で居住用不動産関連ファイナンスを主要事業領域とするダイヤモンドアセットファイナンス株式会社の株式譲渡を発表(2023年3月に譲渡完了)。

 2023年1月 ・海上コンテナリース事業を手掛けるCAI International, Inc.とBeacon Intermodal Leasing, LLCの合併が完了し、新体制による事業を開始。

・太陽光発電事業を手掛ける三菱HCキャピタルエナジー株式会社とHGE株式会社の合併を発表(2023年4月に合併完了)。

 2023年2月 ・オートリース業界のグローバルリーディングカンパニーであるフランス企業ALD S.A.と、タイ王国におけるオートリースの共同事業会社を設立。

・海外インフラ事業への投融資を手掛けるグループ会社のジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブ株式会社(以下、JII)について、株式会社三菱UFJ銀行が保有するJIIの全株式の当社への譲渡を前提に、完全子会社化したうえで、当社に吸収合併することを発表(2023年4月に合併完了)。

・米国におけるグループ会社であるMitsubishi HC Capital America, Inc.、Mitsubishi HC Capital (U.S.A.) Inc.、およびENGS Commercial Finance Co. の経営統合を発表(2023年4月に経営統合完了)。

・オートリース事業を手掛ける三菱オートリース株式会社と三菱HCキャピタルオートリース株式会社の合併契約を締結(2023年4月に合併完了)。

 2023年3月 ・株式会社日本政策投資銀行とヘルスケアファンドを共同組成。

・東京ガス株式会社とトランジション・ローンを活用したリース契約を締結。

・当社の出資先で、水素貯蔵カプセルおよび水素燃料電池動力の航空機用発動機の開発を手掛ける米国のUniversal Hydrogen Co.において、水素燃料電池を主な動力とした航空機では世界最大の座席数となる40人乗り規模のプロペラ機の初テストフライトに成功、その実用化に前進。

 2023年4月 ・再生可能エネルギー発電事業を手掛ける三菱HCキャピタルエナジー株式会社と東京地下鉄株式会社とのバーチャルPPA(再生可能エネルギー電気に係る非化石証書譲渡契約)の締結を発表。

・物流施設の開発ならびにこれらに特化したアセットマネジメント事業を手掛けるグループ会社である株式会社センターポイント・ディベロップメントの完全子会社化を実施。

 

③ 報告セグメント別の経営成績

 

◎親会社株主に帰属する当期純利益の増減要因(セグメント別)              (単位:億円)

0102010_024.jpg

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりです。

 

(カスタマーソリューション)

 不動産リースに係る大口売却益の計上、ならびに、貸倒関連費用の減少などにより、セグメント利益は前期比54億円(16.7%)増加の381億円となりました。

 

(海外地域)

 米州子会社を中心とした事業の伸長、貸倒関連費用の減少、ならびに、欧州子会社における有価証券評価益の計上といった増益要因があったものの、一部の政策保有株式に係る時価評価額の下落にともなう有価証券評価損の計上や、前期に計上した政策保有株式に係る大口売却益の剥落により、セグメント利益は前期比118億円(29.0%)減少の290億円となりました。

 

(環境エネルギー・インフラ)

 海外における再生可能エネルギー関連の持分法投資利益の増加、インフラ事業における一部案件の出資持分売却にともなう売却益の計上、ならびに、前期に計上したインフラ事業の一部延滞先における貸倒関連費用の剥落などにより、セグメント利益は前期比93億円(411.6%)増加の116億円となりました。

 

(航空)

 前期に計上した一部破綻債権における売却益の剥落や、円安によるJOLCO(購入選択権付き日本型オペレーティングリース)事業における外貨建て借入に係る為替評価損の増加、ならびに、減損損失の増加はあったものの、リース収入や売却益が増加し、貸倒関連費用も減少するなど、事業は回復基調にあり、セグメント利益は前期比5億円(9.3%)増加の62億円となりました。

 

(ロジスティクス)

 2021年11月に完全子会社化した米国の海上コンテナリース会社CAI International, Inc.の通年での利益貢献、ならびに、同事業を営むBeacon Intermodal Leasing, LLCにおいても業績が堅調に推移したことなどにより、セグメント利益は前期比145億円(1,787.4%)増加の153億円となりました。

 なお、海上コンテナリース事業を営む両社は2023年1月1日付で合併しています。

 

(不動産)

 米国の一部案件に対する貸倒関連費用の計上などはあったものの、完全子会社であったダイヤモンドアセットファイナンス株式会社の株式譲渡にともなう税金費用の減少などにより、セグメント利益は前期比2億円(2.0%)増加の126億円となりました。

 

(モビリティ)

 国内の堅調な中古車市場を背景に、リース満了車両の売却益が増加したことなどにより、セグメント利益は前期比6億円(21.2%)増加の37億円となりました。

 

④ 財政状態

 当期末の総資産は前期末比3,973億円(3.8%)増加の10兆7,261億円、純資産は前期末比2,175億円(16.3%)増加の1兆5,510億円、有利子負債(リース債務を除く)は前期末比1,700億円(2.1%)増加の8兆2,361億円、自己資本比率は前期末比1.6ポイント上昇の14.3%となりました。

 

⑤ 資本の財源および資金の流動性に係る情報

 当社グループは、リース取引に係るリース物件の取得や貸付等の事業を行うにあたって、内外の通貨により多額の資金調達を行っています。

 当連結会計年度末における有利子負債(リース債務を除く)は、前期末比1,700億円増加の8兆2,361億円となり、負債合計は前期末比1,797億円増加の9兆1,751億円となりました。有利子負債のうち、長期借入金等の長期性の負債は前期末比959億円減少の5兆1,940億円、短期借入金、コマーシャル・ペーパー等の短期性の負債は前期末比2,660億円増加の3兆420億円となりました。

 資金調達にあたっては、調達コストを抑制しつつ安定的に事業資金を確保していくことを念頭に、金融機関借入による間接金融と、社債、コマーシャル・ペーパー、リース債権流動化等による直接金融により、調達手段の多様化に努めています。間接金融においては、メガバンク・地域金融機関・生命保険会社等の幅広い金融機関と長きにわたって築き上げてきた良好な関係を活かし、安定した借入取引を継続しています。直接金融においては、金融機関や機関投資家からの調達のみならず、個人投資家向け社債を発行するなど、調達源の多様化も進めています。

 なお、当社グループ全体の資金管理については、当社および地域財務拠点からのグループファイナンスも活用し、資金を効率的に融通する体制を整えています。

 流動性の観点では、平時より綿密な資金繰り管理や、資金流動性リスクのモニタリング運営を実施しているほか、四半期ごとに開催されるALM委員会において流動性リスクについての現状および課題を把握し、リスクに対する対策を審議しています。当社グループでは、これらリスクマネジメントの取り組みを通じて、強固な財務体質をめざしています。

 金融市場の混乱や、各種リスクによる調達環境の変化への備えとしては、複数の金融機関との間で当座貸越契約およびコミットメントライン契約を締結することで、緊急時の流動性補完手段を確保しています。当連結会計年度末において、当社グループにて締結しているコミットメントライン契約のうち未使用額は7,030億円となっています。

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

⑥ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表および財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

(3)特定金融会社等の開示に関する内閣府令(平成11年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく営業貸付金の状況

 当社の営業貸付金の状況は次のとおりです。

① 貸付金の種別残高内訳

2023年3月31日現在

 

貸付種別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

平均約定金利

(%)

消費者向

 

 

 

 

 

無担保(住宅向を除く)

29

0.31

42

0.00

2.05

有担保(住宅向を除く)

住宅向

6,088

65.91

31,389

2.01

1.43

6,117

66.22

31,431

2.01

1.43

事業者向

 

 

 

 

 

3,120

33.78

1,533,466

97.99

2.04

合計

9,237

100.00

1,564,897

100.00

1.99

② 資金調達内訳

2023年3月31日現在

 

借入先等

残高(百万円)

平均調達金利(%)

金融機関等からの借入

2,177,665

1.69

その他

1,954,763

0.91

 

社債・CP

1,850,470

0.95

合計

4,132,429

1.32

自己資本

862,621

 

資本金・出資額

33,196

(注)1. 当期の貸付債権の譲渡の合計額は、499百万円です。

2. 平均調達金利については、借入金等の期末残高に対する約定金利による加重平均金利を記載しています。

 

③ 業種別貸付金残高内訳

2023年3月31日現在

 

業種別

先数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

製造業

111

1.92

28,368

1.81

建設業

17

0.29

443

0.03

電気・ガス・熱供給・水道業

41

0.71

95,951

6.13

運輸・通信業

34

0.59

261,545

16.71

卸売・小売業、飲食店

219

3.79

20,813

1.33

金融・保険業

28

0.48

39,215

2.51

不動産業

209

3.62

383,722

24.52

サービス業

544

9.41

631,484

40.35

農業

個人

4,474

77.42

31,431

2.01

その他

102

1.77

71,921

4.60

合計

5,779

100.00

1,564,897

100.00

 

④ 担保別貸付金残高内訳

2023年3月31日現在

 

受入担保の種類

残高(百万円)

構成割合(%)

有価証券

 

うち株式

債権

6,995

0.45

 

うち預金

2,631

0.17

商品

不動産

160,181

10.24

財団

その他

3,605

0.23

170,781

10.92

保証

3,963

0.25

無担保

1,390,152

88.83

合計

1,564,897

100.00

⑤ 期間別貸付金残高内訳

2023年3月31日現在

 

期間別

件数(件)

構成割合(%)

残高(百万円)

構成割合(%)

1年以下

935

10.12

150,055

9.59

1年超 5年以下

1,023

11.07

707,210

45.19

5年超 10年以下

1,004

10.87

289,026

18.47

10年超 15年以下

87

0.94

308,996

19.74

15年超 20年以下

613

6.64

54,245

3.47

20年超 25年以下

1,584

17.15

9,952

0.64

25年超

3,991

43.21

45,410

2.90

合計

9,237

100.00

1,564,897

100.00

一件当たり平均期間

7.16年

(注)期間は、約定期間によっています。

5【経営上の重要な契約等】

(1)当社の連結子会社であるJSA International U.S. Holdings, LLCとボーイング社との間の航空機の購入契約

契約会社名

契約締結年度

契約先

受領予定時期

契約内容

JSA International U.S. Holdings, LLC

2019年3月期

ボーイング社

2023年から

2026年まで(注)2

航空機の購入契約

・ボーイング737 Max 8  22機

(注)1

(注)1.2021年3月期において、当初契約における購入機数30機から22機とする変更契約を締結しています。

2.当連結会計年度において、当初契約における受領予定時期(2023年から2025年まで)を2023年から2026年までとする変更契約を締結しています。

 

(2)当社は、2022年12月23日開催の取締役会において、連結子会社である三菱HCキャピタルオートリース株式会社(以下、「三菱HCキャピタルオートリース」)が、三菱商事株式会社(以下、「三菱商事」)を割当先とする第三者割当増資を実施し、同時に当社の持分比率が50%になることについて決議しました。また、三菱HCキャピタルオートリースは、三菱商事と2023年2月22日に総数引受契約書を締結し、同日付で持分法適用の関連会社である三菱オートリース株式会社(以下、「三菱オートリース」)と合併契約を締結しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(3)当社は、2022年12月23日開催の取締役会において、連結子会社であるダイヤモンドアセットファイナンス株式会社の全保有株式の譲渡を決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(4)当社は、2023年2月10日開催の取締役会において、2023年4月1日を効力発生日として、当社の完全子会社であるジャパン・インフラストラクチャー・イニシアティブ株式会社を吸収合併することを決議し、2023年2月10日に合併契約を締結しました。詳細は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

(5)当社は、2023年4月14日開催の取締役会において持分法適用関連会社である株式会社センターポイント・ディベロップメントの全株式を取得することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。