第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当社グループの経営環境について

2021年度の日本経済は、新型コロナの新規感染者数の増減による緊急事態宣言等の発出と解除に伴い、経済活動の制限と緩和が繰り返されてきました。そのような状況の中、景気は緩やかに持ち直してきており、2022年5月内閣府発表の1次速報値では、2021年の実質GDP成長率は前年比+2.1%となりました。

しかしながら、新規感染者数の今後の動向や、ウクライナ情勢を受けた世界的な政治的・経済的不安による個人消費・企業業績への影響など、先行き不透明感は依然として根強く、今後、成長が失速するリスクが懸念されています。

一方で、行政や民間におけるデジタル化に向けた動きは堅調に推移しています。2021年9月には、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のデジタルトランスフォーメーション(DX)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げることを掲げたデジタル庁が発足しました。行政や民間におけるデジタル化の動きは、サービスモデルやビジネスモデルの変革による中長期的な企業価値の向上や競争力の強化に向けて、活発化しています。

 

(2) 当社グループの経営戦略について

当社は、経営理念ならびに「2023中期経営計画」のグランドコンセプトとして「安全・安心な社会の創生」を掲げており、政府の「目指すべきデジタル社会のビジョン」で示された社会と同じ未来を目指しています。総務省は、この社会の実現のためには、住民に身近である自治体、とりわけ市区町村の役割が極めて重要であると示しており、これまで多くの自治体にITサービスを提供してきた当社のノウハウや強みを最大限に生かせるデジタル社会の実現は、当社の責務であるとともに、大きなビジネスチャンスであると捉えています。

2023年3月期は、「2023中期経営計画」の2年目にあたるところ、中期経営計画実現に向けた取り組みとして、以下の4つを推進します。

①自治体DXから地域・民間DXへ

自治体DXを通じて地方自治体と連携し、地域の民間企業、住民、地域金融機関が抱えている様々な課題を解決し、地域・民間DXを推進します。

DXを推進するコーディネーターとして、戦略ロードマップの策定やテクノロジーの選定、データサイエンスによる分析等、さまざまな支援を推進していくために、2022年4月にDX事業を推進する組織体制をさらに強化し、提案力・技術力の向上、アライアンス戦略の推進によるサービス展開の拡充に取り組んでまいります。

②行政システム(WebRings)標準化対応

今年度より開始するWebRings提供自治体のシステム標準化導入支援を着実に実施するとともに、当社の強みを活かしたDXの支援に取り組みます。

自治体分野における当社の豊富なサービスメニューや顧客基盤と、株式会社三菱総合研究所の社会課題解決への知見・ノウハウを組み合わせ、手続きのワンストップ、ノンストップを実現し、自治体の行政手続のオンライン化(住民接点の総合デジタル化、住民の利便性向上)、バックオフィスのデジタル化(業務改革、データ活用による住民サービス向上)等によるDXを推進してまいります。

③グループ会社戦略の推進

グループ経営のシナジー効果を追求するため、BPO業務と運用業務の当社グループ内での移管、集約を2023年4月に実施します。当社グループ内で業務を集約することで、業務の自動化・効率化を実現し、人的リソースの専門性・機動性を高め、収益性の向上を図ります。また、当社グループの事業再編により、DXグループ企業として当社グループの企業価値の向上を図るとともに、リスク管理の徹底によるガバナンス強化を通じて経営基盤を強化します。中期経営計画の達成、ひいては安全・安心な社会の実現に向けて、当社グループ一体となって取り組んでまいります。

④サスティナブル経営の推進

2020年10月から導入した、社員が自律的に働く時間や場所を選択できる「新しい働き方」を推進していきます。多様な社員が働くことのできるインフラを整備し、生産性の向上とワークライフバランスを実現します。また、Gold(シングルスター)に認定された「iCD(iコンピテンシ ディクショナリ)」などのIT人材育成指標を活用し、人材育成・タレントマネジメントを推進します。社員一人ひとりが輝き、持続的に成長し、活躍することのできる環境・風土の醸成を継続して推進し、「アイネスウェルビーイング」を実現することにより、サスティナブル経営を推進してまいります。

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の防止及び発生した場合の適切な対処に努めておりますが、予測されない事態が発生した場合には、業績に影響を与える可能性があります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境リスク

当社グループの属する情報サービス産業においては、顧客の情報化投資動向や情報技術動向の急激な変化、新規参入企業の増加等により事業環境が大きく変化する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。この事業環境の変化に対応するため、当社グループでは、顧客・業界における情報化投資の実行時期や実行規模を見極め、適宜事業ポートフォリオを見直し、適切な資源配分を行っております。また、常に技術革新動向を注視し質の高い技術者の育成に取組んでおります。

 

(2) システム開発リスク

ソフトウェアの受託開発及びパッケージ製品などにおいて、品質不良や納期遅延等が発生し、コスト増加により不採算案件が生じるリスクやソフトウェアの不具合により顧客の業務に影響を及ぼすリスクがあります。その結果、顧客との取引契約に関して債務不履行が発生した場合、顧客から契約上の損害賠償請求または提訴を受けるリスクや情報サービス企業として信用失墜のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらを回避するために、当社では見積り段階での受注額の妥当性やリスクの評価、プロジェクトの進捗状況の管理、品質や見積り精度の向上、開発プロセスの標準化など、開発体制の充実に取組んでおります。

 

(3) システム運用リスク

アウトソーシングなどの運用サービスにおいて、大規模災害による想定外の損害や長期の電力不足、サイバー攻撃、運用ミスなどにより、システムダウンや回線障害が発生し、顧客の事業が停止もしくは中断した場合、顧客から契約上の損害賠償請求または提訴を受けるリスクや情報サービス企業として信用失墜のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらを回避するために、当社ではITIL※1に準拠した体制の整備、データセンター設備の増強、バックアップ機能の充実、運用ツールの強化等の設備投資、運用管理レベルの向上、技術者教育、BCP※2の策定などに継続的に取組んでおります。

 

(4) 投資に関するリスク

当社グループは、事業拡大や競争力強化のため新規事業の立ち上げ、ソフトウェア開発投資、設備投資、資本提携などを行っております。しかしながら、社会情勢の変化や景気悪化などにより、投資案件が計画どおりに進まず当初見込んでいた利益が得られない場合、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらを回避するために、当社グループでは、投資に伴う事業計画、投資効果やリスク等について十分に検討したうえで、投資を実施しております。

 

(5) 情報漏洩リスク

当社グループは、業務上、顧客が保有する特定個人情報を含む個人情報や機密情報を含んだ情報資産を取り扱う場合があります。当該情報が漏洩した場合、顧客から契約上の損害賠償請求または提訴を受けるリスクや情報サービス企業として信用失墜のリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これらを回避するために、当社ではISMS※3やプライバシーマーク※4など各種認証の維持・取得に積極的に取り組むとともに、研修や教育などを通じて社員への啓蒙活動を継続的に実施しております。

 

(6) 大規模災害に関するリスク

当社グループは、事業継続計画を策定し従業員の安全確保、被害の防止・軽減及び早期復旧等危機管理の徹底に取り組んでおります。しかしながら、首都直下型地震や南海トラフ地震等の大規模震災をはじめとする自然災害の発生など事業継続に支障が起きた場合や事業の一部調整を行った場合は、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これを回避または軽減するために、当社では、(3)システム運用リスクで述べた対策のほか、連絡体制の整備、訓練等社員への教育、事業拠点の見直し等を行っております。

 

(7) 新型コロナウイルス等感染症に関するリスク

当社グループは、新型コロナの感染拡大に対し、従業員の安全確保、感染の防止及び感染者が発生した場合の対応等危機管理の徹底に取り組んでおります。しかしながら、新型コロナの収束が長期化し事業継続に支障が起きた場合や事業の一部調整を行った場合は、当社グループの業績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これを回避または軽減するために、当社では、テレワークの推進、事業のオンライン化、事業拠点の見直し等を行っております。

[用語解説]

※1 ITIL(アイティル):Information Technology Infrastructure Libraryの略

英国商務局が策定した、コンピュータシステムの運用・管理業務に関する体系的なガイドライン。ITサービス管理を実行する上での業務プロセスと手法を体系的に標準化しています。

※2 BCP(ビー・シー・ピー):Business Continuity Planの略

企業が、自然災害、大火災、パンデミック、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく事業継続計画です。

※3 ISMS(アイ・エス・エム・エス):Information Security Management Systemの略

情報セキュリティ管理の国際標準に基づき定められた情報セキュリティマネジメントシステムの適合性評価制度です。継続的に情報セキュリティリスクを管理しリスク回避や軽減を図り、この認証基準に適合したマネジメントシステムを構築・維持できている企業や団体が第三者機関により認証されます。

※4 プライバシーマーク

個人情報保護に関するJIS(JIS Q 15001:2006個人情報保護マネジメントシステム要求事項)基準に適合し、特定個人情報を含む個人情報の取り扱いを適法かつ適切に行うための体制を整備している企業や団体について、第三者機関が客観的に審査・評価し認定する制度です。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、「新基準」といいます)等を適用しております。前連結会計年度以前につきましては、新基準等適用前の数値を使用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

① 当連結会計年度の事業環境に対する経営陣の認識

当連結会計年度における当社グループの属する情報サービス産業は、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」といいます)拡大の影響により、引き続き厳しい状況が続いているものの、本格的なDX時代の到来を迎え、グループ経営下での新たな事業ポートフォリオへの転換、企業経営のデジタル化を加速させる動きやニューノーマル時代を見据えた投資が行われてきました。

 

② 当連結会計年度の取り組み

このような状況下、当社グループは、安全・安心な社会の創生をコンセプトとする「2023中期経営計画」の初年度となる当期は、その土台構築と位置付けて、2021年4月より新たにDX事業を強力に推進するための専任組織を新設し、既存事業部門の人員の大幅シフトを実施、マーケティング活動、研究開発、人材育成に積極的に取り組みました。さらに、業務資本提携先である株式会社三菱総合研究所グループ他、お客様のDXニーズに資するソリューションを有する企業との協業を推進いたしました。

当社の主要事業である自治体ビジネス分野におきまして、総務省策定の「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」に基づき、2025年度予定の自治体業務システムの標準化仕様が2021年8月に明らかになりました。これら自治体システムの標準化は、当社基幹商品の「WebRings」の開発、販売戦略の大幅な見直しを強いられましたが、既存の行政手続き・行政事務、さらには周辺業務のデジタル化に向けた大きなDXビジネスチャンスと捉え、自治体のDX化を支援する有力なソリューションとして、自治体との各種実証実験や、先進的な技術を要する機能の開発、複数企業とのアライアンスを通じたソリューションの組込み等、新たな施策を推進しました。

また、ニューノーマル時代を見据えた取り組みとしては、新型コロナの拡大防止に努めつつ、社員の積極的なテレワークや時差出勤の推進、会議のオンライン化、サテライトオフィスの整備などを進め、全社ベースでの生産性向上を図るとともに、中長期的に持続可能な経営の実現に向けた「働き方改革」を継続しました。

資本政策においては、「2023中期経営計画」におけるROE7%の達成と株主還元強化を目的に2021年8月から2022年3月までに総額46億円の自己株式取得を実施しました。また、株式会社東京証券取引所の市場区分再編に伴い、当社は2022年4月をもって新市場区分である「プライム市場」に移行しました。

 

③ 経営成績及び財政状態の状況

当連結会計年度の売上高は400億33百万円と、主に金融分野やグループ会社での減収を主因として前期比3.7%減となりました。業種別には、公共分野につきましては、新型コロナワクチン接種、各種福祉関連給付金に関わる制度・施策案件などがあり、166億68百万円(前期比2.5%減)と、前期並みの水準の売上高を計上しました。金融分野につきましては、新型コロナの影響を最も受けた前々期以降、金融機関を中心にデジタル化に向けたシステム投資が回復基調にありますが、当期は前期比、減収の114億19百万円(同4.8%減)となりました。産業分野につきましては、小売業などのIT投資需要の回復に伴い、69億42百万円(同2.5%増)と増収となりました。その他グループ会社において前期に売上増加に寄与したBPO入札案件が、当期には案件規模が縮小したことにより50億3百万円(同12.3%減)と減収となりました。

商品・サービス別では、公共分野における新型コロナ対策案件等の拡大により運用が増加しました。

当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、以下、業種別及び商品・サービス別の売上高を示しております。

[業種別連結売上高]

(単位:百万円)

 

区分\期別

前連結会計年度

当連結会計年度

対前年
増減率

自 2020年4月1日
至 2021年3月31日

自 2021年4月1日
至 2022年3月31日

金額

構成比

金額

構成比

公     共

17,095

41.1%

16,668

41.6%

△2.5%

金     融

11,999

28.9%

11,419

28.6%

△4.8%

産     業

6,772

16.3%

6,942

17.3%

2.5%

そ  の  他

5,706

13.7%

5,003

12.5%

△12.3%

合     計

41,573

100.0%

40,033

100.0%

△3.7%

 

[商品・サービス別連結売上高]

(単位:百万円)

 

 

区分\期別

前連結会計年度

自 2020年4月1日

至 2021年3月31日

当連結会計年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

対前年

増減率

金額

構成比

金額

構成比

システム開発

16,489

39.7%

15,560

38.9%

△5.6%

運用

12,642

30.4%

14,029

35.0%

11.0%

システム保守

5,084

12.2%

5,030

12.6%

△1.0%

情報機器販売

2,237

5.4%

1,126

2.8%

△49.7%

その他

5,119

12.3%

4,285

10.7%

△16.3%

合     計

41,573

100.0%

40,033

100.0%

△3.7%

 

損益面においては、国による自治体システム標準化の動きに備えたソフトウェア投資戦略の大幅な見直し、ニューノーマル対応のための各種インフラ整備などの一過性のコスト増、自治体DXに対応するための研究開発費増、グループ会社等の減収影響などがあり、営業利益は19億63百万円(前期比29.5%減)、経常利益は20億60百万円(同29.6%減)と大幅な減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益では、13億円(同9.2%減)となりました。

当連結会計年度末における財政状態は、総資産は468億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ44億33百万円減少しました。

流動資産は、主に自己株式の取得等に伴う支出により28億99百万円減少し、223億23百万円となりました。固定資産は、ソフトウエアの償却等により15億33百万円減少し、245億4百万円となりました。

流動負債は、主に未払法人税等の増加により2億33百万円増加し、61億17百万円となりました。固定負債は、4億90百万円減少し、60億89百万円となりました。

純資産は、自己株式の取得等により41億75百万円減少し、346億20百万円となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます)は前連結会計年度末に比べ6億36百万円減少し、97億31百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、64億27百万円(前期比235.2%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上19億26百万円、売上債権の減少14億82百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は14億22百万円(同87.7%減)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出8億96百万円、有形固定資産の取得による支出7億40百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は56億41百万円(同480.8%増)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出45億69百万円、配当金の支払額10億53百万円等によるものです。

 

⑤ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における商品・サービス別の生産実績を示しております。

商品・サービスの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

前年同期比(%)

システム開発(百万円)

15,081

94.2

運用(百万円)

14,036

111.0

システム保守(百万円)

5,055

101.0

情報機器販売(百万円)

845

34.6

その他(百万円)

4,261

83.1

合計(百万円)

39,280

95.3

 (注)金額は売価換算によっております。

 

b.受注実績

 当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における当社グループ全体の受注実績を示しております。

受注高(百万円)

前年同期比(%)

43,298

104.9

 

 

c.販売実績

 当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における商品・サービス別の販売実績を示しております。

商品・サービスの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

前年同期比(%)

システム開発(百万円)

15,560

94.4

運用(百万円)

14,029

111.0

システム保守(百万円)

5,030

99.0

情報機器販売(百万円)

1,126

50.3

その他(百万円)

4,285

83.7

合計(百万円)

40,033

96.3

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載については、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ 経営成績及び財政状態の状況」に記載しております。

(財政状態について)

 中期経営計画におけるROE7%の達成と株主還元強化を目的に2021年8月から2022年3月までに総額46億円の自己株式取得を実施しました。なお、2022年3月末のROEは、(1) 経営成績等の状況の概要に記載のとおり、一過性のコスト増により、分子である親会社株主に帰属する当期純利益が減益となったため3.5%でした。

 

(経営成績について)

 当社の過去10年の連結業績推移は図1のとおりであります。

0102010_001.png

 

 

当連結会計年度においては、公共分野では新型コロナワクチン接種、各種福祉関連の給付金などに関わるBPO案件などにより運用ビジネスが拡大しましたが、2025年度に予定される国による自治体システム標準化(以下、「国標準化」といいます)を前に新規のシステム投資を手控える動きなどシステム開発が減少したことや、一部売上の期ずれの発生などもあり、売上高は引き続き高い水準ながらも前期比では△2.5%の微減となりました。損益面は、「国標準化」に備え、自治体向け総合行政情報システムWebRingsの開発・販売戦略の見直しを実施、臨時的な評価損計上したことが同分野の損益面で大きなマイナス要因となりました。

金融分野では、新型コロナの影響を受けた前々年度からは、顧客の投資姿勢に回復傾向が見られますが、前期に見られた大口の情報機器販売が当期にはなかったことから、売上高は前期比△4.8%となりました。損益面では、コロナによる開発プロジェクトの遅延などの影響も薄れ、改善傾向にあります。

産業分野では、小売業などで投資の回復傾向が持続、売上高は前期比2.5%の増収へと転じ、損益面でも金融分野同様に回復基調にあります。

その他分野では、子会社において前期に売上増加に寄与した大型入札案件が、当期には案件規模が縮小したことから、前期比△12.3%の減収となりました。

以上の結果、図3のとおり基礎的収益力を示す売上高営業利益率は連結全体で4.9%に低下しましたが、主に公共分野での「国標準化」に備えた一過性のコスト増によるものが主因であり、当該コストを除けば、実質的には7%の売上高営業利益率を達成できております。

0102010_002.png

注)図2につきましては、2019年度に顧客業種別を一部変更しており、2018年度につきましても、当該変更後の区分による数値を用いています。

 

(経営成績に重要な影響を与える要因について)

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

なお、新型コロナの感染再拡大による経済環境の悪化、ロシアによるウクライナ侵攻による政治・経済・軍事情勢の急激な悪化の影響などにより、システム開発プロジェクトの進行遅延など、引き続き翌年度の当社業績は少なからずマイナス影響を受ける可能性があります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローについて)

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況等は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ④ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(資本の財源及び資金の流動性について)

資本の財源につきましては、財務の健全性や資本の効率性など当社グループにとって最適な資本構成を追求しながら、将来の成長のための内部留保の充実と株主の皆様への利益還元との最適なバランスを考え、安定した財源を維持することを基本としております。

また、当社グループは短期の運転資金につきましては原則自己資金で賄うこととし、設備投資や長期の運転資金につきましては自己資金または金融機関からの長期借入で賄うこととしており、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。なお、当連結会計年度末における金融機関からの借入金残高はありません。

なお、新型コロナの感染拡大や、ウクライナ情勢による経済環境の悪化は、営業活動の停滞やシステム開発プロジェクトの進捗遅れなどを通じて今後の当社業績へも少なからずマイナス影響を及ぼす可能性がありますが、現状の純資産額の水準ならびに資金状況から事業運営上、支障はありません。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、新型コロナの影響は、確実性に乏しく、見積りに反映させることが難しい要素もありますが、入手可能な情報を基に見積りを行っております。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。

(受注制作のソフトウェアに係る収益及び費用の計上基準)

受注制作のソフトウェア開発について、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合に、その進捗を発生したコストに基づくインプット法(原価比例法)により見積って収益を認識しております。なお、収益総額、見積原価総額及び決算日における進捗率について、当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。

(受注損失引当金)

受注制作のソフトウェア開発のうち、原価総額が収益総額を超過する可能性が高く、かつその金額を合理的に見積ることができる場合、損失見込額を受注損失引当金として計上しています。ただし、受注制作のソフトウェア開発は契約ごとの個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、契約時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況及び採算性等によって損失額が大きく変動する可能性があります。

(市場販売目的のソフトウェア)

市場販売目的のソフトウェアの減価償却方法につき、見込販売本数に基づく償却額と残存有効期間に基づく均等配分額のいずれか大きい額を減価償却費として計上しております。なお見積有効期間は3年以内であります。販売期間の経過に伴い、減価償却を実施した後の未償却残高が翌期以降の見込販売収益の額を上回った場合、当該超過額を一時の費用として計上しております。したがって、これらの金額は将来の当該ソフトウェアの販売見込により影響を受ける可能性があります。

(退職給付に係る負債)

退職給付債務及び年金資産は、割引率、年金資産の長期期待運用収益率等の将来に関する一定の見積数値に基づいて算定されています。退職給付債務の計算に用いる割引率は、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しています。また、年金資産の長期期待運用収益率は、将来の収益に対する予測や過去の運用実績を考慮して決定しています。見積数値と実績数値との差異や、見積数値の変更は、将来の退職給付債務及び退職給付費用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(繰延税金資産)

繰延税金資産の回収可能性の判断に際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が変動した場合は繰延税金資産の計上額が大きく変動する可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度中において、経営上の重要な契約等はありません。

5【研究開発活動】

当社グループは、急激な変化を続けている社会環境の中で、新たな社会ニーズを見据え、今後の事業の中心となる製品・サービスの研究開発及び長期的成長の基盤となる基礎的研究や新技術の研究に注力しております。なお、当連結会計年度の研究開発活動に要した研究開発費は1,324百万円であります。

当社グループの事業は、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発活動を示しております。

(1) 今後の事業の中心となる製品・サービスの研究開発

我々をとりまく社会や市場環境は年々複雑さを増し、変化のスピードも上がってきています。特に、2020年初頭からの新型コロナウィルスの世界的な感染拡大は、人々の生活様式に長期にわたる変化をもたらすことになりました。また、2021年9月にデジタル庁が設置され、国・地方行政のIT化に対し本格的な取り組みが始まり、同年11月には「デジタル田園都市国家構想実現会議」が設置され、地方からのデジタル化実装と新たな変革にむけて政府も動き始めています。

当社グループもこのような社会情勢にいち早く対応すべく「デジタルトランスフォーメーション」(デジタル技術を活用した人々の生活や企業活動の革新)への取り組み(下記(2)参照)を推進するとともに、当社グループのコンセプトである『「安心」と「革新」を創造するIT企業』をめざして、株式会社アイネス総合研究所を中心にお客様のビジネスに融合させる最先端のデジタル技術や、それらを活用したビジネスモデルの研究を進めております。

具体的には当社グループの事業領域に関係の深い「AI」、「ビッグデータ分析」、「クラウド活用」、「IoT」、「セキュリティ」及び「XR(現実世界と仮想世界の融合)」をテーマに、官学など外部組織との共創を深めながら、実証実験を交えつつ研究を推進しております。

 

(2) デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組み

新型コロナの流行でビジネス環境は大きく変わりデジタル化が加速する中で、DX市場に対応し課題解決のために新たな発想を持ち込み、周囲と共創できる人財の確保と育成に取り組んでいます。

また、これまでのDXに関する研究開発に加え、既存事業の幅広い経験、知見と技術を活用したお客様視点での価値向上に資する事業活動に注力してまいります。

2021年4月には、DX部門を新設し、既存事業のDX化に加え、新たなビジネスモデルを構築しつつ、安全・安心な社会創りの実現を推進しています。

そのための施策として、自治体・地域のDX化を中核とするDX事業戦略を策定し推進しております。また、株式会社アイネス総合研究所と共同で、既存ソリューションにおけるAI活用化を実施いたしました。さらに、広くオープンイノベーションの機会をつくり事業革新を加速するため、アライアンス戦略にも積極的に取り組んでおります。